防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2012年2月3日)

平成24年2月3日(金)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約60分) ※MPEG4形式

  

1 大雪による被害 

●知事

 皆さま、おはようございます。今朝まで、かなりの雪が降っております。本県も日本海側の1つの地域として大寒波の影響を受けました。昨日は交通障害が数多く発生をしまして、特にJR、それから鳥取空港におきましては運航が停止をされたり、運休になったり、大変な状況がございました。その雪の量も大山で過去2番目の積雪を記録するなど大変に大きな雪ということになりましたけれども、ただ、昨年の年末年始のような大渋滞を発生させるとか、深刻な状況は関係者もだいぶん協力をし合いながら、なんとか乗り切ったかなというような感じもあります。例えば、国道9号線の日光坂[鳥取市内]のところは、今回東部の雪が多かったですが、そこで大型車を止めたりしましてチェックをしたり、坂をサッと上がらせるような、そういう工夫をしたりしまして交通障害をなるべく発生をさせないようにということをやっておられましたが、それでも各地で路側に落っこちた車が続出をするとか、大変普段の雪とは違った大雪を思い知らされた思いがいたします。

 青森[県]の方では交通障害で大変な大渋滞になり、500台が閉じ込められるということになりましたけれども、実は、鳥取県の方で昨日、ずいぶん朝早くだったと思いますけども、青森[県]の方にアドバイスもさせていただきまして、速やかに災害救助法を適用すると、例えば避難所対策とか、そういうのがとれますよというようなことを申し上げましたところ、青森の方でもそういう対応を取られたというふうにお聞きをしました。いずれにいたしましても、今、雪害については精査中でありますし、まだこれからまた次の寒波も来るかもしれません。備える必要があろうかと思います。予備費だとか、あるいは果樹等経営安定資金などそうした手法を使いながら、もし、被害が広がってきた場合には対処する必要があるかなと思います。報道によりますと、ネギの生育などに影響があったというような報道があったりしております。また、昨日から今朝にかけて[農業用]ハウスがちょっとへしゃげているというような、そういう報告も出てき始めています。ただ、雪があまりにも厚い地域もございますので、どういう状況になるかこれからだんだんと分かってくるんじゃないかなというふうに思います。

 県内では除雪作業の際に、軽傷でございますが、けがをされたかたもいらっしゃいまして、ご回復をお祈り申し上げたいと思いますが、これからずいぶん溜まった雪が屋根から落ちてくる、その落ちてきた雪でけがをされるとかいう被害があり得ます。また、雪崩などの被害も考えられますので、ぜひ関係住民の皆さまには注意を払っていただきたいと思います。この雪については、除雪の費用を2億~3億[円]、県としても増額計上をせざるを得ないだろうなというふうに思っておりますが、予算手当につきましては、来たる[2月定例]議会への提案分も含めまして、今なお精査をしているという状況でございます。



2 平成24年度当初予算編成 

●知事

 その当初予算のことでございますが、2月議会に備えて最終版の予算編成段階に差し掛かっております。今、いろんな経費を積み上げてまいりましたけれども、だいたい3,300億円台に乗せるぐらいの予算規模になろうかなと思います。去年が3,334億[円]でございましたので、それと同じぐらいになるか、微減になるかというくらいではないかと思いますが、今、最終の精査をしている段階でございます。かなり財源的には厳しい状況がございました。と申しますのも、これまで数年にわたりまして国からの基金がいろんなかたちで県政の方にも支援がきておりまして、この基金などが私どもの財源確保に助かった面がございました。

 ただ、これがかなり撤退というか縮小されておられまして、それが財源的なやり繰りの難しさを生じたわけであります。[地方]交付税だとか、臨[時]財[政対策]債といったいわゆる一般財源に使えるお金についてはほぼ前年並みを確保できるんではないかというような見通しで、今、精査をしておりますけれども、そうした基金の対応など難しい面がありましたことが影響をして、当初予算編成、若干足り苦しいところがございました。ただ、それに対しまして、今年度決算を締める、今、2月補正[予算]も同時に作業をしておりますけども、今年度の中でできるだけ不要不急のことは執行しないという原則を徹底をするなどしまして、財源の捻出を片方で図ることといたしました。

 その結果として、今取り崩そうと思っておりました財[政]調[整]基金は取崩しを取りやめる。それから、新年度に向けまして20億[円]繰越しをあえてさせていただいて、その20億[円]を当初予算の財源に回すという、少しアクロバティカル[(曲芸的)]なこともさせていただこうと思います。その心は三洋[CE]のことなど、県内の雇用情勢が非常に厳しい状況がございます。そういう経済状況、雇用対策など緊急性のあるものがございますので、そういうものを念頭におきながら、あえて繰越財源もつくって当初予算を少し厚めにしようというようなことを考えました。

 また、その決算対策の中で支え愛の基金[(とっとり支え愛基金)]というものを当初予算で作ってということも考えましたけれども、これ、今年度中に2月補正[予算]で設置をさせていただきまして、それを基に「絆・支え愛」といったテーマに県政としても正面から向き合っていく財源を捻出しようとしております。併せて、住民との協働によるパートナーシップによる県政づくり、パートナー県政を推進しようと考えておりますし、まんが王国とっとりの建国事業の中でも数多く住民との協働事業などがございます。そうした意味で、鳥取力創造運動の基金[(鳥取力創造基金)]を積み増しまして、これもそうした事業の財源に充てるということを工夫をさせていただきました。そういうようなことをさせていただきながら、当初予算を何とか、今、まとめ上げようとしているところでございます。

 この当初予算と併せまして、来る議会には条例案の提出も検討をしております。例えば、琴の浦高等特別支援学校の設置の条例、これは平成25年の春、開校を目指しますけれども、準備もございますので、この度の議会に提出をさせていただこうとしております。また、中山間地域振興条例、これも県民との協働によりまして中山間地に安心と活力をもたらそうというものでございますが、これの改正条例も提案をしようとしております。例えば、コミュニティビジネスのような分野を充実していくでありますとか、それから人材の育成や配置といったこともございますし、新たに最近見えてきた課題につきましても、この条例の中で盛り込ませていただき、予算事業も充実を図ったところでございます。その予算の方ではこうした中山間地だけでなくて、まちなか過疎対策にもそうした予算を適用していくということをさせていただきまして、鳥取県として、そうしたまちなか過疎対策にも先鞭をつけさせていただこうと考えているところでございます。



3 「まんが王国とっとり」関連イベント 

●知事

 以上のような、こうした中で、まんが王国のことも今後議論されてこようかと思いますが、そのまんが王国につきまして、PR事業を東京の方で展開をしようと考えております。2月8日に東京の汐留でキックオフとしてのPRをしようとしておりまして、「水木しげるロードin汐留」というスタイルのイベントを考えているところでございます。

 この中で、さかなクンにも登場してもらいます。さかなクンは先般の[全国豊かな]海づくり大会で鳥取県びいきになっておられまして、この度は魚ならぬ妖怪を描いてもらおうということをイベントの中で展開しようと考えております。また、[(マンガ)]「夏子の酒」の地にもなりました智頭宿で雪のお祭り[(智頭宿雪まつり)]が開催をされるわけでございますけども、その一環として、「夏子の酒」の作者のかた[(尾瀬あきら先生)]も諏訪泉さん[(諏訪酒造)]の方に来ていただきまして、語り合うようなイベントもこの週末、明日、予定をしているというようなことでございます。



4 エンジン01文化戦略会議「オープンカレッジin鳥取」 

●知事

 こういう文化芸術活動など、これから花盛りになってくると思いますが、そうした文化芸術の春をこれから演出をするのがエンジン01[(ゼロワン)「オープンカレッジin鳥取」]というイベントでございます。これは鳥取市と協働して応援することにしておりますけども、県民の皆さまに広くご参加いただければと思います。これまでの団体の方のやり方でございますけども、ワンコイン、500円の講座料でやるという運営スタイルになっております。このチケット販売が明日から開始をされます。前の開催のときにはあっという間に売り切れてしまったということもあるようでございまして、結構、その開催地だけでなくて追っかけ的によそから来られるかたもいらっしゃるようでございます。そういうイベントでございますが、せっかく鳥取県で開催をされますので、また多くのかたがたにご関心を持っていただき、ご参加を賜ればありがたいかなというふうに思います。



5 海外との交流事業 

●知事

 これから国際交流、「打って出る」という意味で海外との交流事業も充実する必要があるかなと思いますが、この度は鳥の劇場さんが[独立行政法人]国際交流基金の方の表彰[(2011年度国際交流基金地球市民賞)]を受けられるということになりましたが、大変に喜ばしいことだと思います。今日は別の意味でございますけども、先般、私どもでお伺いをいたしまして、[台湾]台中市の方から書法学会の皆さまが来られます。協働での展覧会、鳥取県の書道の関係者のかたがたと一緒に展覧会も行われることになります。それから、これから環日本海の大きな大交流が進んでいくべき時代を捉えて、[北東アジア]地方政府サミットを春に開催をすることにいたしますが、その準備として実務代表者が集まることになります。

 2月8日にその実務代表者の会議が鳥取で開催をされるということになります。今年は桜の季節に日本で、鳥取県で開催をするということになりまして、私どもとしてもホスト役を務めながらAPEC[(アジア太平洋経済協力)]2012が開かれるなど、この極東に大変な光が射す年でございますので、これからの航路促進であるとか、あるいはチャレンジングではありますけども、セカンドステージに向けた北東アジアゲートウェイ機能の充実など、語り合う機会になればありがたいなというふうに考えているところでございます。私の方からは以上でございます。


○山陰中央テレビ 作野俊介 記者(幹事社)

 それでは各社あればお願いします。



6 大雪対策予算措置 

○読売新聞 野口英彦 記者

 先程雪の関係で、2億円から3億円増額予算をしなければいけないと。これは除雪費用を予備費から捻出して2月補正に計上するという意味合いでしょうか。


●知事

 いえ、2月補正の中で計上を考えるということです。予備費は別の話でございます。議会の時期との関係もございますけども、機動的にやっぱり執行すべき。例えば、農業対策とかが出てくるかもしれません。去年とは若干ちょっと違う要素もあるんですね。例えば、ブロッコリーなどは、去年はこうした時期にみな雪の下に埋まっていましたけども、今年は少しこの時期を外しながら植えるということになってございましたし、ネギも平地の方は融けていますので、山の中の方、大山の上の方とか、そういうところだとか、あるいは[鳥取市]気高[町]だとか、東部の方ですね。ただ、どの程度、果たして被害が広がっているのかっていうところを、今、精査中なんですが、昨年ほど大規模になることはないんではないかというふうに、私どもの農業担当の者は見ております。

 ただ、どんな状況になっても、例えば、果樹等経営安定資金といったような制度を発動するとか、それから予備費で対策を打つとか、そうしたことで機動的にやっていきたいと思います。もちろん、実は今、雪がまだ積もり続けた状況だったものですから、今日時点でなんとも言えないんですが、かなり大きなものが判明してくれば、それは2月補正[予算]の中に盛り込んでいくということももちろん視野に入れたいと思います。ただ、どうも規模的に予備費の中で収まるぐらいかなという規模感は持っておりまして、機動的に予備費も充当しながら対処していこうという考え方であります。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それは、除雪費用は含まれないんですか。


●知事

 ええ。除雪費用は、予備費の中には入りきれません。とっても大きいです。それで、2億、3億[円]でも増額しないとやっていけないと。


○読売新聞 野口英彦 記者

 だから、予備費を利用するというかたちではなくて2億、3億を増額して。そして計上してですね。


●知事

 はい。


○読売新聞 野口英彦 記者

 その中で農産物対策もあり。


●知事

 いや。それは除雪費用だけです。


○読売新聞 野口英彦 記者

 除雪費用だけですか。


●知事

 県の除雪費用だけで。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それで2億、3億[円]。


●知事

 いや。だから相当今年も[予算を]盛ってあったんですけども、足らなくなったと。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それとはまた別に農作物の支援を考えたいということで。


●知事

 ええ。そうですね。ただ、これは予備費的な対応でいけるのではないかという見通しを持っていると。


○読売新聞 野口英彦 記者

 見通しを持っていると。


●知事

 ええ。去年はかなり広範囲にネギの被害が発生をしたりしましたし、ブロッコリーなんかもございまして、根腐れの現象などが問題になりました。今年はまだこの雪の状況なんでね、見えていないというのも正直なところなんですが、作付けの時期の問題などもございまして、去年ほどのことにはならないんではないかなと。そうすると、予備費での対応で十分かもしれないというふうに思っております。ただ、今、精査中でございまして、精査の如何によっては2月補正もあるかもしれません。はい。



7 県名古屋本部の存廃 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 昨日から政調政審が始まっていまして、今日も続いているんですが、その中で来年度の機構改革の部分で、名古屋本部を新しく名古屋産業観光センターという組織にするんだというのが入っていたんですけれども、これについて1月に、県議会のある会派も、知事のところに存続の要望に来ておられたと思うんですが、こういった意向を踏まえてのこういう考え方になったのかというところなのか、その辺の考え方を教えてください。


●知事

 私どもとしては、1つの民意の県政への注入の方法として、言わば「[事業]棚卸し」と我々呼んでいますけども、いわゆる事業見直しですね、これをやったわけでございます。それで、その結果として僅差ではありましたけれども廃止すべきという議論でありましたので、我々として、誠実に原案としては廃止を基本とした計画を考えかけておりました。ただ、先の12月県議会の中での議論でもだいぶんご意見も出ましたし、その後の会派要望などもございまして、このことについて、軌道修正をさせていただこうと考えております。

 今、最終的なとりまとめをしている段階でありまして、政調政審というお話もございましたが、今、いろんな議論、まだ今日も進んでいる段階でございますので、ちょっと今、ここで結論を固めたわけではないんですけれども、我々のアイデアとしては、今正直9人も[職員(民間を含む)が]いると、それは縦割りもあるんです、例えば観光だとか、あるいは物産だとか、企業誘致だとか。それで、縦割りになり過ぎて人が膨らんでいる面もありますし、また県職員として貼り付けなきゃいけないのかどうかということもございます。そこで、事業棚卸しの趣旨も十分踏まえますと、要は効率性の問題でございますので、県民の税金を執行する立場として、できるだけ簡素で効率的にやれる組織を作ろうというふうに再組み直しを考えました。その結果として、正職員を2人配置をして、あとは民間の職員も加わるようなかたちで、産業観光センターのような体裁を作ってはどうだろうかと。従来のものは、一旦終止符を打たせてもらいまして、新たにそうした組織として再スタートを切るということにしてはどうかというアイデアであります。

 まだ若干の議論もおありでしょうから、今日から来週にかけまして、再議論、再検討した上で、最終的に議案として提出をしたいと思っております。今現在のアイデアとしては、そういう産業観光センターのような、我々なりの新組織を作ってはどうだろうかという考えです。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 今検討中ということなんですけれども、特に議会でも指摘が出たのが、企業誘致の部分、この仕事を、知事の11月議会のご答弁の中では関西本部から人を派遣するなり、本庁から行くなり、こういったかたちでやってはどうかというお考えだったわけなんですけれども、これについて、やはり企業誘致の機能は残すべきじゃないかと、こういう議論が県議会で出ていたと思うんですが、このあたりは新しい組織に再編した上で残すというお考えでしょうか。


●知事

 はい、それは名古屋に残すと。そこは前回の答弁から軌道修正をさせていただきたいと思います。議会の方の議論の中でもごもっともだというふうに感じたものですから、その辺は現場に近い名古屋で。あと、議会側でご意見がございまして、なるほどなあと私も思いましたのは、要は名古屋人としてのプライドということもあるだろうと。大阪からやってきて企業誘致ということよりも、名古屋を重視しているという姿勢の中で誘致をした方が先方の心にも届きやすいという面はあろうかと思います。そういう意味で2人の県職員配置をしたいと考えております。



8 三洋CEの三洋電機による吸収合併 

○山陰中央テレビ 作野俊介 記者

 三洋CEがついに消滅して、三洋[電機]の1事業所となったということで、昭和41年からの鳥[取]三[洋電機(株)]という母体から発生したわけなんですけども、その鳥三が、鳥取の主要企業が消滅したという、そういう状況になったわけなんですけども、まずはそういった状況についての、改めてのちょっとご意見と、今後、大阪の本社の方に、また今後の要望とか、そういうこと、行かれることがあるんであれば、ちょっとお願いしたいんですが。


●知事

 一抹の寂しさを感じますし、将来に対する漠然とした不安も正直ぬぐい去れないものがあります。ただ、これはパナソニック・三洋グループだけでなくて、例えばシャープさんが2,700億円の損失見込みを立てたり、それからソニーさんも2,200億円の損失見込みを立てるなど、電気機器メーカー各社を通じて嵐のような決算になりかけていますので、ある意味、時の流れなのかなというふうにつぶやかざるを得ない状況もあります。私どもも、三洋CE側から説明を受けました。その内容からいたしますと、今までのやろうとしていたことをもっと迅速にやるために、機能強化をすると、また管理部門の重複のような、そういう無駄を省くような効率化もあるんだと。それで、三洋電機の一事業として、新たにスタートを切るんだというご説明でございました。

 私どもの方でもいろいろと質させていただいたんですが、例えば人事はどうなるのかとか、それについては今のまま横滑りをするということでありました。だから、事業部門としてコンシューマーエレクトロニクスビジネスユニットのそのユニットのトップとして今の大庭[功]社長が横に滑るということであって、組織はそのままいくんで、これ以上の人事異動というか、配置転換だとか、そういうことはないんだというようなご説明がありました。また、その趣旨として、例えば我々の方では、環境ビジネスなどの新事業分野をぜひ鳥取で起こしてもらいたいということを強く申し上げてきたんですけども、そうしたことに応えていくためにも資金調達をする意味では三洋電機株式会社の大きな器の中でやった方が、そういう資金調達の可能性が高まってくるではないかと、そういうお話もございました。

 そういう意味で、私としては前向きな改革という意味であろうというふうに受け止めさせていただいたところではあります。ただ、問題はこれからだと思います。つまり今回は新しい組織を再編をし、その中でかなり、鳥取でやる事業、海外でやる事業、鳥取以外の国内でやる事業、その辺の選別が行われた結果でありました。地域で願っていた主力事業であるGorilla[(ゴリラ)]とか、GOPAN、おどり炊きといったものは地域に残ることになりまして、この辺は我々の思いを聞いてもらえたのかなあと思います。もれ聞こえてくるところでは、かなり大がかりな議論がパナソニックグループ全体の中であったようでございまして、私どもが強く訴えかけてきたことがなんとか鳥取が生き残ることにつながったんではないかなあと思いまして、その辺は評価をしたいと思いますが、これから持続可能な形で発展に向かっていかなきゃならないわけですね、このグローバルな競争の中でそういう発展方向へと導いていくというのは、そんなに容易なことではないと思います。ですから、私たちも地域を預かるパートナーとして、三洋電機株式会社と正面から向き合って、雇用を守る、また、経済の活力を高めていく、そうした動きをしていく必要があると考えております。

 ご質問にありました三洋電機側への訴えかけでありますけれども、こちらの方にお話しに来られたときに申し入れを直ちにさせていただきました。私としては今月中に大阪の方に参りまして、直接社長に訴えかけをさしていただきたいと思います。今までと違いまして、三洋電機株式会社の社長はここを統括する事業の究極のトップでもいらっしゃることになりますので、そういう意味でも、もちろんご挨拶もしなきゃいけませんが、我々として雇用を守る必要性だとか、経済構造の中で県内で三洋[CE]が占める地位がいかに高いのか、そのインパクトの大きさも理解をしていただいて、これから一緒にやっていこうという呼びかけをさせていただきたいと考えております。



9 公共事業関連予算 

○山陰中央新報 道下健弘 記者

 補正予算なんですけど、公共事業で国の直轄事業だとかが減る中で、今年も県単独の事業をやる方針ということですけど、例えば建設業だとかで介護分野に業種転換するような、そういう事業もあるかと思うんですけども、これから先、この県単事業はどんどん上乗せしていくということが難しくなるかと思うんですけど、長期的に公共事業っていうのを、どういう展望で見ておられるかということをお聞かせください。


●知事

 私は、建設業の皆さんも[県内の]約1割ほどの雇用を抱えている存在であります。従いまして、1つの産業分野として我々もその実情に即した一定の対応というか、少なくともエチケットとしての配慮が必要だろうというふうに考えています。本当に正直ベースで予算を組んでしまえば、国の方が公共投資をギュッと絞ってきましたので、それに併せて公共投資を絞る。公共事業予算を、例えば7%ほど削減をするとかというのは簡単なんですが、ただ、それでいいのだろうかという迷いがあります。従いまして、我々としては、片方で業態転換を図ることも、施策として振りむけながら、また片方でソフトランディング[(軟着陸)]していくような、そういう予算配分を考えていきたいと思っております。

 今回は、急を要する、災害復旧事業もございますし、私どもで国がずいぶん絞ってきた関係で、やっぱりこれ、単独でやらざるを得ないなという、いろんな事業もございますので、そうした身の回りの単独事業、こうしたものを強化をすることで対前年よりも1%ほど伸ばすかどうかぐらいの、そうした着地点を、今、見出そうとしています。最終的に計数整理はしておりまして、これから、きちんとした数字にしていきたいと思いますけども、基本的には、そういうふうなソフトランディングを図り体力をある程度維持をしながら、他業界、他の業態への転換も促していくということであります。

 そういう意味で農業への参入というものを、1つにはこれまでも図ってきましたけども、介護ビジネスの場合も、例えば、施設の初期投資だとか、若干のそのハードルがございます。そうした介護分野への転換なんかも図っていただけるような後押し策を当初予算の中で考えたいと思っております。今でも、建設業態から介護ビジネスの方へと向かわれて、実際雇用を増やされている、そういう西部の中堅事業者もございまして、その辺をモデルにしながら、私どもとしても今回、新たな提案をさせていただこうと思います。



10 ソフトバンクのCM 

○山陰中央テレビ 作野俊介 記者

 今月1日からソフトバンクのCMで湯梨浜町が出てますよね。まずは、そのCM、だいぶん湯梨浜町の方も盛り上がっているんですけども、ご感想をちょっと1つお伺いしたいと思います。あと、何か知事さんが1枚かんでいるという話もちょっと、そういうことであるのであれば、ちょっとその辺についてちょっと伺いたいんですが。


●知事
 「やったあ」というもんですね、今回ね。私もかねがねソフトバンクの白戸家のCM、非常にインパクトが強いもんですから、鳥取県にも何がしか、ああいうCMの焦点が当たらないかなというふうに思っておりました。例えば、福井県の一乗谷シリーズみたいなことをされた時期もございまして、その後、いろいろあって、今、お父さんは宇宙の方に行ったわけでありますが、今度、家に帰ってきて留学生タダちゃんがやってくると、そういうCMが始まったわけであります。これは、今、私どもとして山陰デスティネーションキャンペーンだとか、また大手旅行会社のキャンペーンもございますし、「まんが王国とっとり」や、エコツーリズム、さらに古事記[編纂]1300年といったような旅のテーマを集中的に今年紹介し、提供している場面なもんですから、鳥取県というネーミングだとか、あるいは我々の土地を売り出すと、鳥取県の地を売り出すという意味で、ぜひ活用させていただきたいなという気持ちでありまして、ソフトバンクの皆さんにも感謝を申し上げたいと思います。

 ご質問でございますので、私もちょっと真相はよく分かりません。真相はよく分からないんですが、私はメガソーラー[大規模太陽光発電施設]の構想がソフトバンクから持ち上がりました。そのときに、関西広域連合で[ソフトバンク]孫[正義]社長にテレビ会議を通じ、直接訴えかけをさせていただいて以降、孫社長にも何度かお会いをして、応対、ご説明をさせていただいております。そういう中で打ち解けた席がありましたときに、孫社長の方に、もし、鳥取にメガソーラーというようなことになれば、ソフトバンクさんも鳥取に絡めて宣伝してもらえるといいんじゃないでしょうかということで、[CMに登場する]お父さんの白い犬を鳥取に持ってきてもらってもいいんじゃないんですかと、こういうようなお話をさせていただきました。孫社長は「ほう」というような感じで聞いておられましたけれども、その後どうなったのか、我々もずっと、よく分かりません。

 ただ、関係者によりますと、時折、鳥取についての取材めいたお話が、問い合わせも来ていたようでございます。それで、このたび、こういうCMがスタートをするという運びになりました。私も放送開始の日、早速、ソフトバンクの方にお礼の電話をさせていただきまして、また、孫社長の方にもいずれお話をさせていただくような機会がいただけないかとか、蟹でも贈りましょうというような話をさせていただいたり、ちょっとやり取りを、CM開始後しております。その後、さまざまな反響もあるようでございますけれども、鳥取、羽合[(はわい)]ということで、ハワイみたいな温泉もある。どちらかというと雪国のイメージがある所に、ハワイという言葉の語感が心地よいアンバランスを感じさせてくれるものですから、その辺が私どもとしても非常にいいツールができたかなと思います。願わくば、続編をいろいろ作っていただいて、我々も一緒にソフトバンクの今手掛けようとしておられますメガソーラーもございますし、一緒になって発展していきたいなと思います。ギャル語は難しいですね。あまり鳥取でも聞いたことがないかもしれませんけども、「おねー」、なんてありますかね。


○山陰中央テレビ 作野俊介 記者

 あれはちょっと難しいですね。



11 平成24年度当初予算編成方針 

○読売新聞 野口英彦 記者

 来年度の当初予算の話に戻りますが、今、知事はまさに査定中だと思いますけども、その査定に当たっての方針ですね、なんかメルクマール[(指標)]のようなものがあれば教えていただきたいと思います。


●知事

 私は「3つのチャレンジ」を事務当局に申し上げています。1つは、今のこういったご時世でございますから、やっぱり夢が持てるような、「夢・未来チャレンジ」というのをやっぱりやっていくべきだろうと。その中でエコツーリズムだとか、まんがだとか、そうしたテーマもございます。例えばエコツーリズムであれば、[(株)]ジャイアント[(台湾の自転車メーカー)]の方に、このたび東京支社の方に行こうと思うんですけども、鳥取の方に台湾からのサイクリングツーリズムをプロモーションできないかと、そのような話もさせていただこうかと思うんですが、我々の方でも体制整備をしなきゃいけない。従いまして、西部の方で、こっちに行けば大山ですよというような路面表示だとか、道路標識だとか、そういうものを整備して、要はそういうスポーツツーリズムの環境を作っていく必要がある。これは予算が必要でありますが、例えばそういう予算が要るじゃないかとか、こんなようなことで「夢・未来チャレンジ」を実現するような予算を指示をしております。

 また、「産業・雇用元気チャレンジ」、これも我々としては重要なチャレンジだろうと思っております。2番目のチャレンジにつきましては、当面、先程もお話にありましたような三洋[CE]、またちょっと言及させていただきますと、シャープが、今業績がどうだということもあったりしまして、県内でも影響がどうなるかがあるわけでありますけども、シャープについては、先般片山[幹雄]社長とお会いしたとき、応対をさせていただきましたが、非常に液晶は厳しいと言ってましたですね。ただ、それ以外の業態でもいいから鳥取を活用できないかというようなことを、こちらでもお願いをしていたんですけども、例えばエネルギー環境もありますし、そのようなことも申し上げたんですが、いずれにせよ、やっぱりこれから踏み出していかなきゃいけないということです。片方で守ることが必要でありまして、雇用経済は冷え込んできておりますので、緊急雇用経済対策を今年もやらざるを得ないと。これも16ヶ月予算で4,400人規模を目指そうじゃないかという話をしております。

 そういう受け皿づくりを片方でやるんですが、もう片方でLED[(発光ダイオード)]だとか、新規産業分野へ挑戦をしていくことを応援していく、これは農林水産業もそうだと思います。その農林水産業でも就業について鳥取県は全国でもトップレベルの支援態勢を組んでいますけども、これ、さらに充実させようじゃないかということなど、これから組んでいく必要があるかなと思っております。また、そうした産業基盤を整えていく意味でも、海外との交流というのを考えていく必要がある。これ、「夢・未来[チャレンジ]」にも相通ずるところがあると思います。

 あと、もう1つは、東日本大震災以後の我が国の在り方、人々が自分達のライフスタイルを見つめ直そうとしていて、これが地域社会を組み換える、今、動きになり始めていると思うんです。その意味で「絆・安心チャレンジ」という、3つ目のチャレンジを呼び掛ける内容の予算も必要だというふうに申し上げています。 この「絆・安心チャレンジ」として支え愛の基金をつくれないだろうかと。これ、例えば20億[円]レベルでつくりまして、これを年々崩しながらやっていくというようなことでとりあえずスタートできないだろうか。中山間地でも支えが必要でありますし、高齢者という観点でも支えが必要である。そういういろんな支え合いを鳥取県の中でかたちにしていく。そうした事業を県としても推進していくと。これは市町村だとか、住民の皆さんと一緒にならなきゃできないことでありますが、そういう支え合いに突き進んでいく必要があるだろうというふうに考えております。

 また、その絆とか安心という、安心の方でありますけども、原子力安全については思いきった予算投入が必要になります。これは筋論として国が100%出すべきものでありまして、それを切に我々としては求めていきたいと思いますけども、その体制づくり、例えば、防護服とか、ヨウ素剤とか、そういう基本的なアイテムすらない今の状況を変えなければならないと。これは早急なことでありますので、プロジェクトチームのとりまとめをそっくりそのまま予算化していこうというふうに考えております。こういう3つの大きなテーマを念頭において予算編成を、今、最終盤、やっているところでございます。



12 島根原発再稼働 

○読売新聞 野口英彦 記者

 先程、原子力安全の話が出ましたけども、先週の会見で[島根県]溝口[善兵衛]知事と[島根原発]再稼働の関係に関して話をしてみたいとおっしゃったんですが、その後、溝口知事とお話する機会はありましたでしょうか。


●知事

 これは常々、実はいろんな意見交換をしております、顔を合わせる機会も多いものですから。それで、お互いにコミュニケーション取っていきましょうという話は確認をしておりますので、改めて今、緊急にやる必要は、ちょっと感じてはいないところであります。ただ、今度2月16日に、また共同で[島根原発に係る防災]訓練をしますので、そういうところで実践した結果などを念頭において、また今後の在り方を話し合っていくということになろうかなと思います。[島根原発]再稼働の点につきましては、そうしたコミュニケーションですね、島根県とのコミュニケーションもそうでございますし、我々県内での議会が特にメインプレーヤーになろうかと思いますが、そうしたかたがたとのコミュニケーションもしっかり図る必要があろうかと思います。

 この度[島根原発]3号機も不具合が見つかって、それを修理したという報告が[島根原子力発電所に係る鳥取県民]安全[等に確保に関する]協定に基づいてもたらされました。これにつきましては、ネジについてのエラーだということでございましたけれども、やはり国、[原子力安全・]保安院の方でしっかりと検証してもらって安全な体制をつくってもらわなきゃいけないと思いますし、これは4月以降に結局なってしまうのかもしれませんが、福島原[子力]発[電所]の事故原因の究明、それに基づく新しい安全の基準などが最低条件だと思います。そうしたことを国側でもしっかりやってもらう必要があるのではないかなと感じておりますが、いずれ中国電力との今後の協議もあろうかと思いますし、この再稼働について、我々としても意見を述べるタイミングがあれば意見を述べるということは視野に入れていきたいと思います。



13 原子力災害対策本部の議事録未作成 

○共同通信 中川亘 記者

 国の原子力安全について1点お願いします。先般話題になっていますが、原子力災害対策本部などの議事録が未作成だったという問題が浮上しておりまして、それについて1点意見をお願いいたします。


●知事

 これはどこが真実なのか僕らもよく分かりません。ただ、当然ながら何らかの記録は置いておくべきだと思います。手で議事録を取るというのは、これは役所の常としてやることでございまして、それが1人も何もやってなかったというのはちょっと信じられないなと思います。ただですね、我々も実際に災害を経験していますのでよく分かるんですけども、優先度としては議事録作成よりも人命救助だとか、大きな災害の危機回避を図ることがよほど重要なのも、これまた確かであります。その意味で映像媒体だとか、あるいは音声とか、いろんな記録の方法が本来あると思います。そういうことすらやっていないというのは本当なのかなという感じがせんでもないんですけども、いずれにいたしましても改善を図らなければならないことだと思います。

 私たち鳥取県の場合ですと、原子力安全の場合、ちょっと島根県側との共同作業になりますので、どういうやり方になるかということはありますが、通常の地震だとか、あるいは台風だとか、そうした災害については、私どもは災害対策本部自体オールオープンでやっていますので、記者のかたがいつでも入れるという状態でやっている数少ない自治体でございます。我々のようなやり方も参考にしていただいたらいいんじゃないかなと思います。



14 山陰自動車道(鳥取西道路)の早期整備 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 今回の雪の話に戻りますが、今回の大雪で、毎年そうなんですが[鳥取市]白兎付近、国道9号の東部がかなり毎回渋滞します。それで、今年、今回いろんな機関の協力でそれがだいぶん緩和されたという面はあるんですが、やはり渋滞というのが何回か起きてしまいまして、今回のようにJRが止まってしまって、場合によっては鉄道も道路もということに今後なりかねないと思うんですが、そこで山陰[自動車]道の鳥取青谷間[(鳥取西道路)]というのが、整備がやはり急がれると思うんですけども、県としては平成20年代という見通しで、20年代を目途に整備したいということで要望等を進めていらっしゃるわけですが、20年代ということはあと6年ということになりますが、その実現に向けて今後、知事としてどのように働きかけ、どう動きをされていきたいか。


●知事

 これは尺取虫のように一歩一歩進んでいかなきゃいけません。従いまして、当面は事業量の確保が必要でありまして、私も近々直接新年度の事業量確保について要請活動に上京したいと考えております。また、新年度以降、どういうふうにこの事業量が変わってくるかということがございますので、関係のハイウェイネットワークがまだつながっていないミッシングリンク[(高速道路未整備区間がある)]の県と一緒になりまして、政府側に強力に働きかけをする必要があるだろうと思います。今年度の運動は一通りの成果を得たと思っておりまして、昨年度よりもミッシングリンクについては増額されています。ですから、このペースでやっていければ平成20年代というのも決してうたかたの夢ではないだろうと思っておりますが、ただ、これは今後1年1年の積み上げの話でありますので、粘り強く折衝していくと、働きかけ要請活動をしていくということだと思っております。



15 大学の秋入学 

○読売新聞 野口英彦 記者

 大学教育の関係になるんですが、東[京]大[学]が秋入学ということを言いまして、昨日鳥取大学の能勢[隆之]学長も秋入学を検討したいということをおっしゃったんですが、知事ご自身が秋入学をどう考えていらっしゃるかということと、鳥取環境大学で導入するおつもりがあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。


●知事

 これは[鳥取]環境大学が、曲がりなりにも公立の大学法人としてスタートされます。今はまだちょっとその法人もできていない段階でありまして、意思決定はその公立大学法人側の意思決定ということになりますので、エチケットとしてはあんまり私どもで、こうせえというふうに指示をすべきものでもないかもしれません。感想をということでございましたけれども、幅広く人材を得ていくというのは、これからの大学のあり方として、必要な側面だと思います。今回の東京大学、さらにそれに連動して数多くの国立大学やあるいは私立大学も参入して秋入学をという声が挙がり始めたわけでありますが、これは、結局海外[を]含めて学生、優秀な人材を集めてくると。それによって研究活動もエンジンがかかります。もっともっとその大学としての機能が高まってくる。当然ながらそれは後進の若者たちにも教育的効果を波及していくわけでありまして、そういうエンジンをふかすという意味で、秋入学というのは魅力のあるものではないかと思います。

 問題は、文[部]科[学]省の方が所管しているような、それに連動する一連の教育カリキュラムでございまして、小中高と皆つながって教育カリキュラムが組まれるわけでありますが、それが全部春入学になっているということでありまして、本当は根本論として、ここのつなぎまで議論をしなきゃ意味がないと思います。それは国として議論すべき時期にきたんではないかなというような感想が1つあります。あと、[鳥取]環境大学についてどうかということでありますが、県内の高校生をかかえる親御さんだとか、あるいは学生本人の気持ちからすると半年でもギャップがあることは重荷になったり、負担になったりする可能性もあります。もちろんその間にボランティアをやるとか、社会生活に向けた準備期間だと考えるというのは良いことだと思うんですけども、ただ、それは家庭の事情もいろいろありますので、一気に全部というのは難しいのではないかなと思います。

 だから、選択的に、秋入学の子も採るとかいうことは、検討されてもいいんじゃないかなという感覚はあります。ただ、この点、公立大学法人、これから成立をして、そこでまた理事会も開かれてご議論されることでありましょうから、そこでよくよく吟味をいただければいいと思います。仮に秋入学を一部導入しようではないかとか、そういう動きになったのであれば、私は賛成したいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それに関連して、県と[鳥取]市が経営に関与するということになると、いわゆるさっきおっしゃったギャップターム[(春の入学式から秋の入学式までの間に生じる期間)]と言われるところですが、そこで何か県教[育]委[員会]としての何らかの手当てをしたり、あるいは地域で何か有意義な活動をするような支援策をするということも考えられるんじゃないかと思うんですが、そのあたりはどうでしょうか。


●知事

 それは、だから全面的に移行するかどうかということにもよると思います。私どもは規模の小さい大学でございまして、ある程度教育の効率性とかいうこともあろうかと思います。ただ、秋から入学して果たして卒業できないかというとそうでもないような感じもしますんで、その辺カリキュラムがどういうふうに組めるかによっては可能性も出てくるんじゃないかなと思っています。選択的にごくごく一部でということであれば県教委という議論まで発展しないかもしれません。

 ただ、問題は、全国で秋入学がかなり大々的に行われるようになってきた場合、将来を嘱望される若者が単に半年遊んでいていいのかということが逆に社会問題になると思います。それのシステムを考えようとすると、今の教育課程をそっくりそのまま入学時期を改める必要があるのかもしれませんし、あるいはそのギャップタームについて特別の制度を作る必要があるかもしれない。これは鳥取県に留まらず、全国で取り組まなければならない課題になろうかと思います。


○山陰中央テレビ 作野俊介 記者(幹事社)

 よろしいでしょうか。



16 「国際まんが博」のキャラクター 

○読売新聞 野口英彦 記者

 [国際]まんが博の関係なんですけれども、2月1日の日本海新聞のコラムに、知事はこういう批判に対して意に介してないとおっしゃっているんですが、例えば私が取材した赤井[孝美]さんなんかは、クリエイターとしての経験から真摯にアドバイスをされたという側面があるんですが、知事としては耳を傾けるお考えはないということでしょうか。


●知事

 耳を傾けないと言っているわけではなくて、ちょっとその日本海新聞のコラムニストのお考えはどうだったのかよく分かりませんが、私は、かつて1300年の平城京博[(平城遷都1300年祭)]のときも「せんとくん」が、何か国論を二分するぐらいの議論になりました。そういうことが逆に平城京[遷都]1300年なんだなという実感を世の中に浸透させることにもなりました。ただ、そういう意味で、民主主義でデモクラシーでありますし、特にまんがというと自由な創造分野でございますので、創造活動の活発さの中で議論が百出するというのは、それは当然あっていいことだと思います。ですから、そこは皆おおらかに構えているのが本当かなというような気持ちがございまして、そういうスタンスで私も望んでいます。

 ただ、具体的にイベントをどうやって作り上げていくかということにつきましては、これは最後形になるものですから、その辺はいろんなかたがたのご意見を承りながら、真摯に仕上げていくと。要は皆ができるだけ多くのかたが参加しやすくて、実際参加してみて楽しいと。また鳥取に行ってみたい、こういうことになるイベントにするためには衆知を集める必要があろうかと思います。赤井孝美先生は本県が生んだ偉大なクリエイターでございまして、私も尊敬をしておりますし、アドバイザーがいらっしゃいますので、ご意見も承りながら進めていきたいというふうに考えております。おそらくご懸念の向きは、前の記者会見で申したと思いますが、主客転倒することではないかと思います。

 私はこないだ申し上げましたように、メインは鳥取のさまざまなまんがのキャラクターであったり、あるいはまんが・アニメを愛好するかたがたがされるさまざまな活動、イベント、こういうことであろうかと思います。それで、それを案内するガイド役としての、言わばイベント全体に統一感をもたらすために、そのディズニーキャラクターを起用しようというプロジェクトの提案者側の意図があったんじゃないかと私は理解しておりまして、そういうことで進めていけばいいんじゃないかなというイメージを持っています。赤井先生もその辺の主客転倒することがなければ、おそらくあんまり、それはクリエイターとしてのいろんなキャラクター性の違和感はあるかもしれませんけれども、受け入れてもいただける、そういう素地ではないかなと思います。

 現実に今指示をしておりますのは、「米子映画事変」でありますとか、「[とっとり]アニカルまつり」といったような、今、赤井先生が手掛けておられるようなそういうジャンルを今年はクローズアップして、広く世の中に出ていくような年にする、そんなイベントにしてくれと事務局の方には指示をしております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 あと、ちょっとこのコラムで冒頭、「鳥取県の平井伸治氏が叩かれている」とありまして、私は税金の使われ方を問題にしたつもりだったのですが、知事はこれを自分に対する攻撃であるとか、そういうふうに受け取っていらっしゃるんでしょうか。


●知事

 いえ。そういうことではありません。先ほど申しましたように、私、あるいは鳥取県として目指さなければならないのは、今年一気にこういうまんがというテイストが鳥取にはあるんですよということを世の中に知ってもらうということだと思うんです。そのための1つのツールとして、「国際まんが博」というのをやってみようじゃないかと言っているわけであります。これは皆でやるお祭りでございますので、さまざまな意見が出るのは当たり前であります。私もそういう意味ではコーディネーターではありますが、ワンオブゼム[(one of them:大勢の中の一人)]でございまして、何かこう意見はいろいろと飛んでくるとは思いますけども、それについては自分らしく受け止めてまいりたいと思います。


○山陰中央テレビ 作野俊介 記者(幹事社)

 よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。


  

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