●知事
皆さま、おはようございます。大雪もようやっと峠を越えたようだと気象台の方は見ておりますけれども、交通障害など、飛行機などいろいろと県民生活にも影響が出てきているところでございます。ぜひ、県民の皆さまにおかれましても、道路などよくよく注意をして、お過ごしをいただきたいと思います。先立っては岩美町の方で土砂崩れがあるなど、自然の猛威の影響も深く出ているところでございます。県としても全力を挙げまして気を引き締めて災害対応に当たってまいりたいと思います。
この度、[平成23年度2月]補正予算を組む中でも、今後の判明してくる農業被害なども含めまして、3,700万円の2月補正予算の計上をいたしたいと考えております。この中には除雪関係あるいはその融雪関係とか、そうした今後雪が降る状況も含めた支援が組めるような、そういう予算を用意させていただきたいと思います。先般は「援農隊」も出られまして、梨畑の手入れの方も進められたわけでございますけれども、今後もまだこのシーズンが続きますので、ぜひ、地域一丸となって支え合っていける体制を整えていきたいと思います。
●知事
昨日の経済発表によりますと、[2011年の]経常収支が43%悪化をしたというようなことが出ております。経済に対して深い影が落とされる状況でございますが、この度、三洋電機と三洋電機コンシューマエレクトロニクス社が統合するということが急遽発表になりました。こうした事態を踏まえまして、地元の強い思いを三洋電機株式会社の本社の方にお届けに上がる必要があるかなと思います。新しい社長、伊藤正人社長がご就任されておられますので、その挨拶も兼ねましてお伺いをしようと考えております。来週、そのセッティングが整ってまいりましたので、大阪の方に出かけてまいりたいと思いますが、雇用をしっかりと確保することの必要性、またグローバル競争の中でありますけども、日本、なかんずくこの山陰の拠点においてそういう生産活動など、事業活動を展開することの必要性を私どもの方から地域としてお願いをしてまいる必要があるだろうと考えております。
●知事
昨日まで上京してまいりました。たまたま、うまく下りた飛行機に乗っていたものですから帰って来られたわけでございますけども、別に私が乗っていたから下りたわけではございませんで、気象条件がたまたまそのときは少し雪が小康状態になったということであります。昨日、私の方から松本孟さんのメッセージも携えまして、松原[仁]拉致問題担当大臣の方に申し入れをさせていただき、松本京子さんについての救出をはじめとしたお願いをさせていただきました。大臣の方に、お兄様、松本孟さん[(拉致被害者松本京子さんの兄)]のメッセージを差し上げましたけれども、大変に大臣の胸に響いたようでございました。それで、大臣とも率直な意見交換をいたしましたが、今、[政府認定拉致被害者として]認定されているのが松本京子さんだけでございますけども、その他の特定失踪者、特に昭和52年頃の失踪者については政府としても確かに力を入れないといけんなという考え方が示されました。本県におきましても、そういう該当する時期の失踪者がおられますので、ぜひ再調査をやっていただく必要があると強く大臣の方にも申し入れたところでございます。北朝鮮の体制変更もございますし、日本側でも大臣の交代ということもございました。こうしたタイミングをぜひ活かして1日も早い解決へと結びつけていただきたいと念願をいたしております。
また、厳しい経済状況を打破していく上でも交通の結節ということが重要になりますが、昨日は津島[恭一]政務官の方に国土交通省宛ての要望をさせていただきました。箇所付けをぜひお願いをしたいということで訴えかけをしてきたところでございます。
●知事
この度、2月[県]議会が開催をされますけれども、予算を固めさせていただきました。提案させていただきます予算は、3,302億[円]という予算になります。当初予算の規模としては対前年で0.9%下がる格好にはなりますけれども、その中に積極的に盛り込ませていただきました。その結果、地方債の方も臨[時]財[政対策]債以外のところが若干伸びるような格好になりましたけれども、これは5年ぶりということになりました。単独事業などが結構活用していかないと公共投資をしっかり支えるというところにならないだろうと、これは雇用に影響しますので、今の経済状況を鑑みればエチケットとしてソフトランディングが重要だと考えておりますが、そういうことなども影響しまして、非常にやり繰りの難しい予算編成となりました。
3,302億[円]でございますので、「ミミワニ」と3302でございまして、兎の耳にワニでございまして、因幡の白兎、古事記[編纂]1,300年の年らしい予算かなというふうに思いますが、この予算編成の中で、雇用1万人に向けた積極的な対策として、雇用対策あるいは中小企業対策などを盛り込ませていただいたり、農林水産業の関係でも他県に先んじるような就農対策をとらせていただきました。2年目6万5000円とか、そうした就農対策など従来よりも強化をさせていただいたところでございます。
また、安全・安心の観点では原子力災害関係の備える予算もこの際盛り込ませていただきました。病院の方で放射線対策の医療を行う、そのための経費を計上させていただいたり、ヨウ素剤の配置でありますとか、モニタリングポスト[(放射線量測定装置)]の設置でありますとか、そうした対策を取らせていただくことにいたしました。その他にも35人学級、また30人、33人学級も従来どおりでございますが、少人数学級を小中学校全学年で展開をするなど、子育て王国とっとり、教育県としての復興を目指した予算組みをさせていただいております。
観光誘客も重要な観点でございまして、まんが王国などの取り組みもございますし、環日本海時代を睨んだ大交流時代に向けた予算編成なども展開をさせていただくということにいたしました。
組織の方ではまんが王国を建国をする年だということで、今年の4月から県庁の組織として「まんが王国官房」という組織を、設置をさせてもらおうと、この方が外国のかたあるいは国内のかたに向けても分かりやすいし、情報発信力も出てくるかなというふうに期待をいたしました。「まんが王国官房長」というのがそのトップになりますけども、副官房長とか、まんが王国官房の中に職員を配置をして、まんが王国の建国の年、「国際まんが博」の積極的な推進などを図っていきたいと思います。
また県西部[総合事務所]の方に[国際]マンガサミット[鳥取大会]の事務局組織を設置したり、それから[第64回全国]植樹祭の組織も県西部の方に設置をしまして、これから来年の全国植樹祭に向けた準備体制も整えてまいりたいと思います。人員的には、最初はマンガサミットの方にある程度人員を持たせながら、サミット終了後に植樹祭の方に年度途中で移行させていくというかたちで効率的な体制づくりを工夫をさせていただいたところでございます。こういうような組織改正も含めまして、この度の2月県[議]会に提案をしていきたいと思います。
●知事
原子力安全の関係につきましては、今、申し上げましたような展開を図りたいと思いますが、[2月]16日にいよいよ島根県との初めての共同の[原子力防災]訓練、私たちにとりましては初めて[島根原発]オフサイトセンター[(緊急事態応急対策拠点施設)]に入って統合本部の中で活動をする訓練の機会ということになります。その朝には隣県の溝口[善兵衛島根県]知事とテレビ会議で意見交換、情報交換を行ったり、体制の確認を行ったりするなどの訓練をすることにいたしておりますし、また、同じくテレビ会議を活用して米子市、境港市の市長とも結んで訓練を行うことにいたしております。鳥取県独自でも、今まで原子力災害に備えた訓練というのを本格的にやったことはないもんですから、若干の実動訓練もする必要があるだろうと考えております。中・西部の県庁部局、厚生病院、また消防局などにも呼びかけまして、市町村レベルはまた市町村レベルで何かされるかもしれませんが、私どものところでは、1つにはスクリーニング、これは除染を必要とするかどうか、放射能汚染があるかどうかということを測定をしまして、それで振り分けをするという、そういうスクリーニングという手順がございます。このスクリーニングをやる実動訓練。また、実際にヨウ素剤を配布をして服用してもらうというようなことも発生をするわけでありますが、そういう訓練、また、これはちょっと若干緊張感のある場面であるかもしれませんが、救急搬送を行う訓練、こうしたことを実際にやってみて今後の問題点の指摘なんかをお互いにやって精度を高めていく必要があると思います。今回は初めの一歩ということになろうかと考えておりまして、ぜひ多くの関係者のかたがたにも参加をしていただき、今後の議論の端緒を開いていきたいと考えております。
スピーディー[(SPEEDI:緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)]の活用につきましては、この度文[部]科[学]省の方から考え方が示されまして、接続をしていくということ、歓迎をしたいというふうに考えております。そうした原子力安全対策、一歩一歩着実に進めていく必要があるだろうというふうに考えております。
●知事
まんが王国の関係につきましては、昨日、東京の港区汐留におきまして、「水木しげるロードin汐留」をオープンをしました。3月7日まで開催をします。その翌日の3月8日は水木しげる先生の90歳のお誕生日でございまして、地元の境港[市]の方で水木しげる記念館のリニューアルオープンをするなどの行事をしてお祝いをしようとしております。それまでの間、東京の汐留で、まずはスタートをするということにいたしました。首都圏の皆さま、全国の皆さまにまんが王国とっとり建国の年が始まったことを分かっていただく、知っていただく、そういう機会になればということで始めたところでございます。
また、大阪でも打ち合わせをしまして、来週は実際にその準備に当たっておられます実行委員会のかたがたと話し合うことにしておりますけども、大阪の日本橋という、東京の秋葉原のようなところでございますが、ここで[日本橋]ストリートフェスタ[2012]が開催をされます。3月20日に開催をされるというふうに伺っておりますが、その際に鳥取県からもまんが王国としてステージショーを行ったり、パレードに参加をしたりというようなことを考えております。関西圏での呼び起こし活動もスタートをさせていきたいなと考えております。
また、上京した際に、一昨日でございますけれども、水木プロダクションのかたとか、小学館集英社プロダクションのかた、さらに[アジア]MANGAサミットの事務局[運営本部]のかたがたなどと意見交換をしてまいりました。これから、一致協力をしてマンガサミットを成功させる、さらにマンガサミットを盛り上げるためにも国際まんが博に一致協力してやっていくということをお互いに話し合いました。今後、具体的にどういうふうにコラボレーションするかということを詰めていきたいと思います。
そういうような意見交換もしてまいりましたけど、来週、谷口ジロー先生にお時間をいただけることになりまして、アトリエの方にお邪魔をするということにいたしておりますが、谷口ジロー先生の方にもご協力をお願いを申し上げてまいりたいと考えております。
ヒトコマ漫画展が現在開催をされておりまして、さらに明日から海洋堂というフィギュアのお店が、高知の方で展示施設をやっておられますけども、こちらの方のミュージアムを米子の方で開催をするということになります。これは昨年、京都の国際マンガミュージアムの方で鳥取県と高知県で共同でまんがについての展覧会をさせていただきました。お互いのまんがによる地域おこしぶりのエールを送り合ったところでございますけども、その関係もございまして、高知の方に出ておられる海洋堂さんが鳥取の方で展示をされるということになりました。これもぜひ多くの皆さまにもご来場いただければというふうに考えております。
●知事
廃棄物の関係でこれまで長く懸案でございました産業廃棄物[管理型最終]処分場につきまして、この度、私ども県の方でも出資をしております[(財)鳥取県]環境管理事業センターとそれから民間の会社と一緒になりまして、県の西部の方で設置を具体的にしようという方向性がセンターの理事会の方で決定をされたところでございます。今後、手続きが進んでいくことになると思いますけども、ぜひ、地元の皆さまにもご理解をいただくように関係者でもしっかりとご努力をいただき、県としては、これ、両方の立場がありますが、産業廃棄物[管理型最終]処分場、今まだ設置できていないところ、4か所[(県)]ございます。その内の2県は、もう既に設置に向けて動いて、具体的作業に入っておられますが、我々のところが残った格好になってきておりますので、ぜひ前向きに進めていきたいという気持ちで、この点、我々も協力をしていくという立場もございます。また、片方で、いずれ審査を行っていくという立場もございますので、その辺は厳正、公正にやりながら進めていくということでまいりたいと思います。
この度センターの方から民間の事業者といろいろ協議をされた上で、県の方にも支援要請がございました。その支援要請につきましては、今後始まります2月の県議会でも我々も関係の議案を提出をさせていただいてご議論を賜るということにいたしたいと考えております。まずはそのアセス[メント(環境影響評価)]を進めるためのものとか、実施設計を行う、これはいずれ環境影響評価などもする上で必要なことでございますので、そうしたことの支援の予算ということが提案対象になるところでございます。これから議会の方でもいろいろとご意見を賜りながら、この産業廃棄物処分場問題にも県としても取り組んでまいりたいと考えております。そのためにも地元のかたがたのご理解を得ることが第一だと思いますので、関係者のご努力を求めてまいりたいと思います。
●知事
これから、いろいろと、例えば、[(株)]水野商事さんと植樹関係というか、二酸化炭素の吸収源対策での[とっとりの森「カーボン・オフセット」パートナー]協定があったりしますが、先だっては、全国団体[(公益社団法人国土緑化推進機構)]の方で[第64回]全国植樹祭の[基本]計画が承認されました。いよいよ、「感じよう 森のめぐみと緑の豊かさ」をテーマにした[全国]植樹祭に向けて動き出すということになります。いろいろとこれから学校での[苗木の]スクールステイなども行っていったり、また、「美鳥(みどり)の大使」というコンセプトも今回の計画の中に盛り込まれて承認されましたけども、「白うさぎ大使」に続いて「美鳥の大使」を任命をしながら、ボランティア活動などを精力的に展開していこうというふうに考えております。環境立県でございますので、新しい年、明年はグリーンな年にしようというふうに考えておりますが、そうしたことへの展開も口火を切らせていただいたところでございます。私の方からは以上です。
○日本経済新聞 青木志成 記者(幹事社)
それでは各社さん、質問がありましたらどうぞ。
○朝日新聞 西村圭史 記者
予算の件なんですけども、前回のときも少し話に出たんですが、公共事業の額が大きく、台風の復旧等、災害復旧もあると思うんですけども、大きくなっていく一方で、建設業者のかたを介護の部門であったり、あとは林業の部門であったりというのにシフトチェンジしていくものの支援の予算も新しく2つついていたと思うんですが、これ、ちょっと相反するかなという思いもあったんですけども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
●知事
結局、フロー[(流動的)]な資金がないと、要は資金繰り等で会社の経営が継続していくものであります。一気に、手元不如意になってしまいますと他業種への展開の元手もないということになります。あと、ノウハウの問題もございましょう。そういう意味で、介護などの新ビジネス分野に挑戦をする際の支援策を考えたというところでございます。また、林業も従来は森林組合さんという大きな事業主体ですね、林業の関係ではございますし、片方で、それに近いノウハウを持っておられる建設事業者がいらっしゃいましたけども、なかなかここの折り合いがつきにくかった時代がございました。ただ、最近、徐々に、例えば、林道の開設だとか、そうしたところ、あるいは機械操作の熟達度などから一気に林業のコストを削減していく意味で、そうした建設事業者を活用しながら林業の活性化を図っていこうという、そういうことに対する理解が進んできたと思います。従いまして、そういう林業経営と言いますか、林業関連産業の方に展開をする、そういう予算も組ませていただいたわけであります。
ただ、実際に雇用も1割近くの雇用を持っておられます。そうした雇用を支えていくことも必要でございますし、新事業展開を図っていくためにも一定の資金だとか、会社経営の堅実さも必要でございます。そういう意味で、国の予算に合わせますと一気にこう[県の予算も]下がってしまうというのが正直なところなんですけども、そういうことにはせずに、経済景気対策と経済雇用対策ということもあって、対前年で微増ぐらいの、そういう水準に新年度は持っていきたいということにいたしました。その際に、当然ながら急がれる災害復旧なども前面に押し出した予算編成にしたという趣旨でございます。
○朝日新聞 西村圭史 記者
ゆくゆくはその建設業者のかたにはそういう林業であったり、介護の部門であったりというもののシフトしていくのを後押しをしていきたいというかたちなんですか。
●知事
結局、雇用の受け皿となる産業というのは、年とともに変わっていくものであります。例えば、これ製造業でもそうでありますが、液晶パネルがいいと思って、鳥取県がかなり前のめりにやった時期がありました。私が就任する前の頃でございますけども。ただ、現実には液晶パネルは完全に今、海外の方に拠点がシフトしてきてしまっています。そうすると、その穴を埋めるための別のビジネスが必要だと、それで環境産業だとか、あるいは自動車関連産業だとか、そうしたところを、今、慫慂していると言いますか、推奨していると。それと同じようなことが、産業間でも起こるわけですよね。それで、これから高齢化が進んでくるということになりますと、高齢者向けのサービスが必要になってくると、また当然ながら少子化が進んでいくことはいいことではございませんので、そうした意味での福祉サービス、数多く展開をしていく必要があるだろうと。これは、おそらく国全体の共通認識だと思います。
それで、こちらの方に新しい雇用が発生したり、産業が拡大していく目があるんだと思います。林業も従来と違いまして、海外でも材を必要とする国が増えてきました。今までは輸出一辺倒だったところが、輸入に転じるようなところも、これから出てくるでしょう。また、国内の状況を見ても、二酸化炭素の吸収に対する、森林の必要性というのは国民の共通理解にこれもなってきています。こうした意味で、今まではちょっと雇用が離れていって、産業が衰退していく一方の林業の方も、これから回帰、戻ってくる時代に入っていくのではないか。鳥取県の場合は、従来は公共事業にかなり大きなウェイトがございましたけども、このウェイトを、雇用、それから産業の活力という面で、他産業の方に緩やかにシフトさせていくというのが基本戦略としては重要だと考えております。
ただ、もちろん建設の技術を放棄するということでもございませんし、災害時の建設業の必要性というのは論を待たないわけでございますから、一定程度の公共投資というものは今後も当然やっていくということになろうかと思います。ただ、社会の発展ということを考えますと、他産業へのシフトというのは重要な方向性だと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
財[政]調[整]用の基金の見通しというのはどうなっていますでしょうか。
●知事
財[政]調[整用]の基金につきましては、65億円取り崩しをしたいと考えております。これは、私どもの1つ節度として、前年を上回ることのないようにということで、その辺で水準調整をすると。そうしますと、ちょっと今年の予算編成足り苦しいところがございまして、前回申し上げましたが、繰越金をあえて計上することで、その予算編成の厳しさを凌ごうというようにいたしております。緊急雇用経済対策がどうしても必要でございまして、そうした予算の重要性を思いますと、20億円ぐらい、繰越金を今年節約をすることによって捻出をしまして、これを次年度の予算として計上していくということをさせていただきました。そのような予算上の工夫をしながらではございますが、65億円の財政調整型基金の取り崩しをお願いしたいというふうに考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
第1期目の4年間で残された基金の額を、次の2期目の4年間で維持すると、こういう目標を2期目の就任当初立てられたと思うんですが、この4年間の長期財政目標の初年度として、この積み上げた額というのは目標通りに来ていると言ってもよろしいでしょうか。
●知事
今年度の分は積み戻すことにしましたので、まだ確実性があるわけではございませんけれども、想定の範囲内で動いているというところだと思います。その財政誘導目標については、達成可能なレンジ[(範囲)]の中で予算編成ができたと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
国からの臨時財政対策債が、今年やや微減とはいえ、やはりこれに頼らざるを得ない状況が来ています。地方交付税が三位一体の改革の以前から比べても、その臨[時財政]対[策]債と合わせてもかなり減っていますよね。この状況がしばらく続くと思うんですが、この臨時財政対策債が今後も続いていくことについて、どのようにお考えなっているのかというのは、改めて聞かせていただけませんか。
●知事
我々の予算編成をする立場からすれば、臨[時]財[政対策]債は交付税見合いでありますので、一般財源として活用することになります。ただ、建設国債に準じたような地方債と赤字国債に準じたような地方債という観点で言えば、臨財債は赤字国債に準じた地方債というカテゴリーに入ると思います。決して健全なことではございませんので、国が100%それを、今年度負担をするという約束があるにせよ、さらでみれば、なにもないバイアス[(先入観)]で見れば、借金がどんどん増えていくという状況に変わりがないわけでございまして、地方財政マクロの脆弱性を高める結果になると思います。従いまして、これは借金ではなくて、真水、きちんとした税収で国の方が交付税として手当てをする、その本筋をぜひお願いをしたいと思います。
今年度の予算編成に向けた地方財政折衝の中では、昨年より改善をされたと言っていいとは思います。交付税を若干増やしまして、臨財債を減らすということになりましたので、地方の意向をある程度踏まえたということは一定度評価できようかと思いますが、根本的な解決にまだ至ってないということでありまして、その改革を今後も求めていきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
その予算に関連して、間もなく正式に発表されると思いますが、知事としてはなんかこの予算を何々予算と命名するとしたら、どういうことになりますでしょうか。
●知事
私としては、これはあえてチャレンジをした予算というふうに考えたいと思います。夢・未来のチャレンジ、また雇用とか経済の安心を図っていく、そういうチャレンジであると思います。そういういろんなチャレンジに向けて未来づくり発進の予算を組まさしていただいたところでございます。
ただ、なかなか経済環境だとか、厳しい面がありますけども、これからメガソーラー[(大規模太陽光)]発電がいよいよ本格的に動く見通しが立つかもしれません。また、近々来られるというふうに伺っていますが、懸案だった電気自動車プロジェクトですね、こうしたものも動き出す年になるかもしれません。それから、まんが王国、昨日も東京の方で展開をしましたけれども、在京のメディアの方でも報道がなされておりまして、こうしたことで、古事記[編纂]1,300年と併せて、山陰を売り出していく、そういう未来づくりに向けていく年になるかもしれません。
このような期待を、やはり予算の編成の中でも実現していかなきゃならないだろうと思っております。そのための所要の経費を積極的に計上をいたしました。ただ、片方で、経済雇用対策として、4,400人の雇用を作り出すような、そういう守りの部分も同時に行いながら展開をするということにさせていただきました。
○山陰中央新報 道下健弘 記者
2月補正[予算]で新しく基金20億[円]決定で、あと鳥取力の基金も積み増ししているかと思うんですけど、それはマニフェストに掲げた内容というのは、なんというか、要はしっかりやっていくための狙いというのがあるんでしょうか
●知事
[とっとり]支え愛の基金というのは、2月補正で積ませていただこうと思っております。これは新年度の当初予算の中で、支え愛の事業を展開をするということであります。これは、マニフェストと言いますか、私のアジェンダ[(行動計画)]の中でも出させていただきました。これからは、東日本大震災を経験して、日本のシステムは変わっていかなきゃいけないわけであります。中山間地は、ただ取り残されていくだけで終わってしまってはいけません。また、高齢者も切り捨てられるということになってはいけない。考えてみれば、震災で我々は思い知ったわけではありますが、人の絆っていうものが社会の中で機能していって、そして、言わばしっかりとした土台を作っていく。このことに思いが至ったわけであります。その支え愛を鳥取県の地域社会の中で、ぜひ、積極的に展開したらどうだろうかと。その素地は、皆さんもお感じのように山陰にはあると思います。
従いまして、そういう支え愛の運動、ムーブメントを起こしていく。これはアジェンダの中で書かせていただいておりました。今回、それを当初予算の中で、また2月補正の中で表現することにさせていただいたわけであります。また、鳥取力創造運動もそれに関連するパートナー県政の一環でございますけども、特に、新年度、さらにその次の年度には、先程申しましたようなまんが王国のムーブメントだとか、それから、グリーンなフロンティアを築いていこうと、そういうムーブメントを起こしていこうとしております。そうした地域活動を積極的な後押しをする、その意味での基金の積み増しを予めやっておこうという考え方でさせていただいたところであります。
○NHK 月岡信行 記者
原[子力]発[電]の関係なんですが、先日、島根県の方から、原発事故があった場合の避難計画めいたものが示されたようなんですが、それについての所感と、今後県としてどういうふうに対応していただくかを聞かせてください。
●知事
島根県の方からこの間発表がありました。もちろん我々とこれまでも協議を詰めてきております。島根県側から提示をされましたお話としては、松江市民のうちの1万人の規模の皆さんを、鳥取県の西部の方で受けられないだろうか。また、安来市のうちの5,000人の避難されるかたがたを鳥取県の東部の方で受けられないかというご提示でございます。我々もこれまで、かねて島根県さんの方に、我々としても当然県内の避難は発生しますけども、さらに余力をこしらえて、受入に協力をしたいというふうに申し上げておりました。今回、具体的には、1万人ほどと言いますと、旧八束とか、旧美保関とか、旧島根といった町が、だいたい人口規模としてそんなようなものだと。そうしたかたがたを想定すれば、ずっと弓浜半島を経て、30キロメートルの圏外のところでの受入ということは可能だろうというふうに思いますし、現実的だろうと思います。
このかたがたにつきまして、[鳥取県]西部の町村の方が、具体的な受け皿として想定されようかと思っておりまして、今後は[西部]町村会の皆さん、1つひとつの町や村とご相談をさせていただくことになるかと思います。島根県の方針としては、避難元と避難先の市町村同士で直接話をしてもらいたいという考え方がございまして、鳥取県としても、それを促進していく役割を果たしたいと思います。風向きによってどうなるかということがございます。例えば、西風が吹いた場合、北西の風が吹いた場合、西北西の風が吹いた場合、そういう場合が鳥取県の方に放射能汚染が発生する可能性がある。その場合であっても、もう、恐らく1万人程度は、余力として西部の町村でも十分受け入れられる範囲内ではないかなと。結局、形態がどうなったかということに対応してフレキシブル[(柔軟的)]に組んでいかなきゃいけないわけでありますが、それでも対応可能な範囲内かなというように考えております。
ただ、今も西部の町村の方からお話が聞こえてくるのは、自分の町村の職員だけで全部やりきれるかどうかということです。ですから、そのときにはやっぱり応援体制を考えなきゃいけない。例えば、西部の町村であれば、今後、風向きがこう来た場合だとか、あるいは事態の展開によっては自らが避難の先頭に立たなきゃいけないということになります。ですから、ちょっと、やや微妙なコントロールが必要になってくるわけでございまして、そういうときには、県庁もそうでありますし、それから、近隣の市町村もそうでありますが、そうした応援体制のことも念頭におきながら、具体的な受入のあり方を考える必要があるかなと思います。
安来市からの5,000人のかたにつきましては、想定としては若桜町、智頭町が想定をされています。それ以外のところは県内避難[者]が入ってくることの想定がございます。安来[市]からの動きにつきましては、山を越えた向こうの[岡山県]西粟倉[村]とか、あちらの方も岡山県側の受入先になっていまして、そうした展開の中のゾーンだというふうに思います。これも両町とよく折衝をさせていただいて、そういう受入案作りの促進を図ってまいりたいと思います。鳥取県の中でも6万5,000人の避難が発生をすると想定されます。これは30キロメートル圏内という計算をした場合でございますが、そうしたかたがたの避難と、あと、受け入れるべき避難、その辺も含めて今年度内にはある程度の方向性、マニュアル的なもの、そうしたものを県としても作成を市町村と一緒にやっていきたいと考えております。
○NHK 月岡信行 記者
今も現在も、市町村ごとにマッチングとか、避難計画を今年度中に作るという方向で進めていますが、これに対して何か影響とかって出てきたりはしないんでしょうか。
●知事
ええ。それに重ね合わせるようなかたちで今回の1万5,000人避難されるかたがたが想定されると思います。あと、正直な話申し上げれば、島根県側でも2,000人ほど観光客がこちらの方にということも考えなければならないかもしれません。そうした観光客などの対応も含めて、ある程度、ちょっと風呂敷を大きめに用意しながら避難の受入体制を考えることになろうかと思います。従来やっている県内避難のことと、さらに島根県からのものも含めるようなかたちで市町村と協議をしてまいりたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
今回示された避難計画の話は、これは[2月]16日の[原子力防災]訓練には反映されるんでしょうか。
●知事
それは、[2月]16日はとりあえず、[島根県と]共同でやる部分と我々単独でやる部分がございます。共同でやる部分は、言えば準備に入るというところで終わる想定にしてあります。これは、要は避難訓練でありますので、どのフェーズ[(段階)]を訓練対象にするかということでございます。我々の方では、その市町村に向けて避難をするというころは図上訓練的な範囲になろうかと思います。先ほど申しましたように、実動訓練として、救急搬送だとか、そういう切迫感のあることを実際にやってみて、ということを片方で考えていますが、あと、職員体制の中で、いろんな想定を使った図上訓練的なシミュレーションもやっていく必要があると、その中で、避難がどうなるかとか、そうしたことをも絡めていきたいと考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
関連してなんですけども、米子[市]と境[港市]の6万5,000人のかたが県中部、東部に避難するという計画で、今やっておられると思うんですけども、今回この松江市から1万人、安来市から5,000人を受け入れるということになると、どうしても境水道大橋と江島架橋を渡って松江市の八束町や美保関町のかたが入ってくると、また安来市のかたは国道9号線を利用して、これは米子道を迂回して若桜[町]の方に行くかもしれませんけども、米子市に流入してくることは間違いないと。こういったことでかなり県内米子と境の避難計画にも影響を与えると思うんですけども、この辺の調整というのは、どういったかたちで進めていかれるんでしょうか。
●知事
この辺は、要は事前の想定できることは想定しながら、できるだけ公共交通機関を使ってもらうとか、それを両県で連携してやっていくとかいうようなことから始めていく必要があると思います。現実には、1つのプランを作りますけども、発災をしたということに仮になったとすれば、そのときにはまた、臨機応変に動かなければならない。例えば、こちらの方の交通がものすごい渋滞をしたということになったら、こっちに迂回をしてくれとか、あるいは、もう、あえてこちらの方にバスを出して、もうこれに乗り換えてくれというふうにやるような必要が出てくるとか、いろんなことが現実には起こってくるだろうと思います。
今、我々がやらなければならないのは、大きな受け皿作り、人間が移動していくんですよというそういう今までにないシステムをこしらえることだと思いますし、ぎりぎりどうなるかはやってみないと分からないところもある程度はありながら、できるだけスムーズに動くような人の流れ、車の流れなどを我々の方で考えていくというのが、今やるべき範囲内のことかなと思います。現実には、その橋の数は限られていますからね、江島架橋とそれから境水道大橋、これがここに全ての車が島根県方面から集中した場合に、どういうことになるかということは、よくよく島根県側とも事前の協議をやっておく必要があるアイテム[(項目)]だろうと思います。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
まんが王国官房のことについて、ちょっとお聞きしたいんですけども、今、まんが王国推進室はどうなるのかっていうことと、それで、あと官房長、副官房長以下何人ぐらいのどんな組織をイメージしておられるのかというのと、あと、既存の今の担当課とか、担当室と違ってどのような役割を込めて期待したいかということちょっと教えてください。
●知事
詳細はまた、組織関係でご説明申し上げたいと思いますが、官房長を設置して、多分全国の役所でも官房長っていう人はあんまりいないと思いますが、まんが王国官房長というのを、これは組織でございますので、一応文化観光局の統括の中に置かせていただこうと。それで、その下にまんが王国官房を作りまして、官房長は次長級を想定して、副官房長は課長級を想定しております。その中に職員を配置をして、国際まんが博が新年度展開をされますし、また漫画に関連した地域づくりがあります。さらに、漫画特有のいろんな事務があります。例えば、一昨日も水木プロさんはじめそうした漫画関係者のかたがたと話合いをするわけでありますが、漫画での地域づくりを展開しようとすると、いろんなライセンス使用料と言うか、ライセンスの問題、許諾の問題などがございます。そうしたことをある程度こう、県庁内の窓口一本化が必要でありまして、そういう窓口一本化の受け皿になったり、また、県民運動としての応援団を展開しようとしていますが、そういう応援団のまとめ役になったりということを想定をいたしております。
ただ、マンガサミットの運営自体のところは、これはやはり[県]西部においた方が機動的だと思いますので、このまんが王国官房の方から一応兼務で人はつけますけれども、西部の方にある程度自分らの裁量で動ける、そういう組織にしようと思います。その西部の方の組織は今の西部総合事務所の組織を活用しながら作っていくことにしまして、事実上のトップは西部の総合事務所長をサミットの取りまとめということにしようと思っております。結局、海外からいろんなお客さんが来られたり、非常に発信力がある、しかも能力の高い識見のある海外の漫画家の先生たちもいらっしゃいますので、[西部]総合事務所長がホスト役になって、そうした漫画家の皆さんを迎え入れるというようなことも必要かなと思いますので、あえてそういうかなり格の高いかたちでマンガサミットの事務局も組織をしていこうというふうに考えております。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連して、地方自治体で官房というのはあまり聞いたことがないんですが、これはなんかこう、法律上そういうものは設置できるんでしょうか。
●知事
たぶん。
○読売新聞 野口英彦 記者
通称ではないんですか。
●知事
通称ではないです。正式な組織名称としてまんが王国官房。
○読売新聞 野口英彦 記者
というのは作れるわけですか。
●知事
ええ。これは可能だと思います。昔はいろいろ部、課といったような、そういうリジッド[(柔軟性のない)]な決めを、地方自治法と政令の体系の中でございましたけれども、緩和をされてきております。それで、官房というのはビューローのことでありまして、これはマックス・ウェーバー[(ドイツの社会学者)]の世界でも役所の組織という意味でありますから、別に問題ないかなと。まんが王国官房長という名刺を持って歩いた方が格好がいいだろうと。漫画の発想です、これは。
○読売新聞 野口英彦 記者
あと、先程のお話をお伺いしていると、こう、地域づくりという面で、未来づくり推進局の業務に被さる部分もあるかと思うんですが、職員は皆、文化観光局の所属になるんでしょうか。
●知事
ええ。大きな文化観光局の中に入るということですね。ただ、その中でもある程度、だいぶ業界が違いますので、まんが王国官房の方は、ある程度独立性も持たせて動いてもらったらいいと思っています。
○日本経済新聞 青木志成 記者(幹事社)
他にございますか。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
梨と牛肉の東[京]電[力]の賠償のことなんですけども、この前のJA[農協]の協議会で断念するということに決まったんですけども、今、知事の、その結果を受けて知事の率直なご感想等を。
●知事
私どもは、実は農家さんのかなり痛切な声がございましたし、国会議員の皆さまとの打ち合わせ、意見交換の中でもやはりそういう賠償というあり方も検討しなきゃいけないという強いお話もございまして、私ども鳥取県の方でも、検討してみる必要があるかなということで動きました。今回、専門的な知見も含めて議論されたことでございますので、そうした結果は尊重して今後も対応していただければと思います。ただ、牛肉についての検査の費用をはじめとしたこともございまして、これからも他県の状況も見ながら、引き続き検討していくというのが最終的なとりまとめだと思います。このことは、今後も慎重に検討委員会もございますので、審議をしていただいて動いていただければいいのではないかと思います。県としては従来から申し上げておりますように、法律的な側面であるとか、仲介の役割とか、モラルサポートを今後もやっていくことにしたいと思います。
○朝日新聞 西村圭史 記者
関連してなんですけれども、前年から大きく値が落ちたので風評被害の影響ではないかというのが一番のスタートだったと思うんですが、前年が不作の年で数が少ないので値が上がっているというのは一昨年を比べたらすぐに分かる話だったと思うんですけれども、要は、それが原因で下がっているという要因も大きいんじゃないかというのは、すぐ予想がつく中で、今回、風評被害の賠償までいこうと踏み込まれたところは、農家のかたが相談に来られて、国会の先生にも相談したときに難しいだろうと、こう踏みとどまらずにとりあえずやってみようとなられたところの理由をもう一度教えてもらってもいいですか。
●知事
やっぱり検討すべきという地域の声があったわけでありますから、やはり検討ということは必要だろうと。私も賠償請求するんだということでなくて、賠償請求に向けた検討を開始するということを申し上げたと思います。その趣旨は、やはり専門的な検討も必要でございますけども、例えば農家の皆さんの手だけですべての検討ができるわけでもございませんので、いろんな角度で、法律論も含めた検討協議の場が必要だろうと。それをJAさんが中心となりましたけども、そうした委員会でもつくって検討してみようじゃないかというようなことを呼びかけたわけでございます。それに基づいていろいろと精細に検証した結果、一定の方向性が出たというのが今の段階だろうと思います。当時、結構いろんな分析もございまして、農家の方の思いというのもあったというふうに思いますので、検討自体はやはりやる必要があったのではないかなと今でも思っています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
拉致被害者の関係で松原拉致担当大臣とお会いしたというお話だったんですけども、松本京子さんは政府認定の拉致被害者ですけども、今の知事の報告の中で、特定失踪者、この中でも昭和52年頃の失踪者について政府としても力を入れないといけないと、こういう言及があったということなんですが、鳥取県関係で言うと、古都[瑞子(ふるいちみすこ)]さんというかたがおそらくその年代に失踪されたということでなっていると思うんですが、こういう特定失踪者のかたを今後、拉致被害者として認定していただくというようなかたちでのお話だったんでしょうか。
●知事
今もお名前が出ましたので、大臣の方に申し上げましたいろんな資料も指し示しながらご説明をさせていただいたんですが、私どもの方では、すでに認定被害者になっておられます松本京子さんがいらっしゃいますが、昭和52年の10月21日の失踪でございます。古都端子さんというかたも失踪されておられますが、昭和52年の11月14日だったと思います。本当に近接をしているんですね。この時期に、実は、例えば横田めぐみさんもそうでありますし、皆さん実はこの時期が1つの、別に統計を取るわけではありませんけども山があるんです。その同じ時期に特定失踪者がまだ残っていまして、認定されていない、その辺はやっぱりもっと事態を究明すべきではないだろうかと。それで、私もそういうことを申し上げました。大臣も同様の認識でいらっしゃいまして、ぜひそういうようなことで、認定の被害者以外のかたがたについてもしっかり地域でも声を挙げてもらいたいというお話がございました。
大臣の方からはその昭和52年のあたり、その近辺のときの失踪されたかたがたというのは、特に重点的に、やっぱり政府としても再検証は必要ではないかというような認識をおっしゃられていました。ただ、これもそれを認定をされれば政府として北朝鮮との交渉のテーブルに上げるということになりますので、かなり重たい意味があるだろうと思います。従いまして、県警であるとか、そうした関係者でしっかりとご努力をいただいて、事実と考えられることを克明に明らかにしていただくことがまず第一ではないかと思います。
私としては、これはやはり疑わしい事象があるのであれば、政府として正面から北朝鮮との交渉のテーブルに上げていただく認定被害者にしていただく必要があるだろうというふうに考えています。そのほかの拉致被害者ではないかと疑いのある特定失踪者のかたがたもいらっしゃいまして、そうしたかたがたも含めて政府においてよく検証していただく必要があるだろうと思います。松原大臣がその辺まで言及、踏み込まれたというのは、我々としては歓迎したいことであると思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
知事がずっとやってこられたことで、一昨年は[山陰海岸]「ジオパーク」、去年は[全国豊かな]「海づくり」[大会]、今年は「まんが」[王国]、来年は「グリーン」だとおっしゃるんですよね。そういうテーマの一貫性というのは何だろうかなとずっと考えてきたんですけども。それで、先程、鳥取力創造基金の中で「まんが」と「グリーン」をやるんだとおっしゃったんですけれども、その辺が鍵になってくるんでしょうか。さっき「ジオパーク」と言いましたけれども、来年は「ジオパーク」4年目の審査になるんですよね。何かそのあたりが、だから僕言いたいのは、「ジオパーク」を一昨年やって、去年は「海づくり」で、結局、一年一年取り組んできたことが、次の年になると忘れられてしまうんじゃないかというのが一番怖いなと思ってお伺いしていまして、今、「まんが」を一生懸命いっているんですけれども、まんが官房室というのを例えば作ったとしましても、これが一過性のものであれば、「まんが」というのは、来年、再来年忘れられちゃうんですかということが心配で聞いているんです。
●知事
私は、積木のように一つ一つ積み上げていくイメージで進めております。当然ながら山陰海岸ジオパークが世界認定された、これは大きなモーメント[(力)]でありまして、私たち鳥取県も一つの大きな土台ができたと思います。これは当然ながら土台として守った上で、さらにジオパークのエリアも含めた海づくり大会がございましたし、まんが、さらに「とっとりグリーンウェイブ」とでも言うべきモーメントを作りたいなと。実はエコツーリズム[国際]大会の誘致もございますし、それから全国都市緑化フェア、これも来年でございますので、こうしたものを何かこうつなぎ合わせながら県民運動を展開していくような、そういう「とっとりグリーンウェイブ」というべきものをやっていく必要があるかなと思います。
すべてに共通しているのは、今まで山陰の中で、まだポテンシャル[(潜在能力)]のまま眠っていたもの、これをもう一度引き出したいということでございます。相変わらずジオパークは自然のままございました。ただ、それが世界的に価値のあるものだということを皆で分かり合って、これを活用して頑張ろうというところまではいかなかった。まんがもそうだと思いますし、それから、環境、グリーンのことや海づくりもそうでありますが、そうしたことをあえて掘り起こしながら、今まで隠れていたものを土台としてしっかり積み上げていくと、こういうのが私たち、いわば地域のコーディネーターの役割かなというふうに考えております。まんが王国官房も、これは作りますけども、今年いろんなイベントをやろうと。特に、先般もまんが関係者と直接かなり突っ込んだ話し合いをしましたが、11月まではやっぱり期間限定で力を入れようというところは皆一致できると思うんです。結局、マンガサミットというのは、漫画家の皆さんにとっても大切なイベントでありますし、その期間であれば鳥取県に協力しようと。ここで一気に力を集めて11月まで展開をするわけであります。
その中で、これはなかなかいいと、来年度以降もぜひ続けていって、どんどん伸ばしていこうじゃないかと。例えば水木しげるロードがございますけども、第2、第3の水木しげるロードが県内にこう形成をされてくるというようなことになってくれば、それはこれから永続的に持続的にこう発展させていくということになろうと思います。こういうようなことを展開をしていく中心的存在として、まんが王国官房を組織しようというものでありまして、1年限りの組織ではございません。マンガサミットの事務局は年内ぐらいで多分店を閉めることになろうかと思いますけども、まんが王国官房は、これはこれから、やはり漫画を1つの地域の核としてやっていこうと思いますので、組織の中で持続可能に育てていきたいと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
まんが王国官房が1年限りじゃないと聞くと安心するんですけれども、マンガサミットにしましても、先程の全国[都市]緑化フェアにしましても、何かイベントがあるんでそれに向かってやっていますよというイメージがどうしてもついてきまして、そうすると、県民的には、何だ、イベントがあるからそれに向かってやっているのかと。目先がというか、ほんと真意が見えないんですよね。さっき知事は隠れたポテンシャルを引っ張り出すということが一番の真意だとおっしゃるんですけれども、やっているイベントを4年間なら4年間通して、これが自分のやりたいというか、鳥取県としてこれが一番のキーワードみたいなものっていうのは何だろうかというのがもう1つ見えてこないと、何だろう、その1つ1つのイベントに動かされているみたいな感じがして、漫画にしても、だからマンガサミットが終わったらどうなるんだろう。地域づくりに活かしますという、その地域づくりにどういうふうにマンガサミットを活かしていくのかというのがもう1つ見えてこないということだと思っているんですけども。
●知事
マンガサミットのことで言えば、マンガサミットだけをやるんであれば多分一過性のイベントになってしまうと思います。漫画家の皆さんに満足して帰っていただくということはできたとしても、地域の中に、結局残るものが少なくなってしまうかもしれない。ただ、もう一度その原点に立ち返って考えてみれば、名探偵コナン、あるいは谷口ジロー先生、さらには赤井孝美先生の作品のように、いろんなポテンシャルが地域の中にあるわけです。ただ、これは漫画という、そもそも実在しないもの、フィクションの世界からきているものでありますから、なかなか現実世界と結び目が作りにくいということでありまして、これをうたかたの夢にしないようにするためには、今年全県展開をして、それで、いろいろやってみようと。その中にこれは持続可能で永続性がある、例えば集客力という点で非常に魅力がある、その全国への波及力があるとか、そんなことが出てくると思うんです。そういうものは、今後の展開の目玉にしていけばいいわけでありまして、そういうものがこのまんが博をやる中で、1つでも2つでも3つでもこう出てくる、それを期待してるわけです。それが出てくれば、それをさらに今後も続けていって、発展して観光の目玉にしていこう。あるいは人材育成の目玉にしていこうということになってくるんだと思います。そいう意味で、あえて「国際まんが博」というラッピングをかけようとしているわけでございます。
こういうようにイベントを活用しながら地域づくりをやっていくわけでありますが、その視線の先にあるのは、やはり鳥取県あるいは山陰の発展というところを見ているわけでございまして、イベント自体を自己目的化しようというわけではありません。海づくり大会もそうでありましたけども、大会自体を成功裏に導くことも大切なんですが、それを通じて海洋資源だとか、水産資源の大切さについて思いがいく。今回も実際そういうことになりましたんで、海づくり事業というのをこれからやろうと、県政でも新年度の予算展開をすることにいたしました。また、環境推進活動も各地でされまして、これが今度「白うさぎ大使」から「美鳥の大使」へとバトンタッチをされて、とっとりグリーンウェイブの中で展開をしていこうとしています。これは当然ながら植樹祭が終わったら終わりでございませんで、そこから先も、これ、やっぱりやらないといかんなということを分かっていただいて、続けていただきたいという思いがあるわけですね。こんなようにイベントを1つの切り口というか、導火線にして、地域のポテンシャルを形にしていくということをやっていきたいと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
今のところは、だから来年までは「グリーン」と見えますよね。その先はまだ見えてない。
●知事
ええ。その次の年について、今、別にこのイベントをやるとか、こういうテーマに絞るということにはなってないですけども、ただ種は今、少しずつこう蒔いてるわけですね。例えば、環境イニシアティブを今、年度末までにまとめようとしています。これはさっきのグリーンウェイブだとか、海づくりなんかにも共通するわけでありますが、その中で、メガソーラーや風力発電といった新しい鳥取型のエネルギーサイクルというのを考えようとしています。これはおそらくこれから発展していくだろうというふうに期待をしています。その中でまた新しいテーマを作ってエンジンをかけていくということになるんじゃないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
分かりました。
○日本経済新聞 青木志成 記者(幹事社)
他にございますか。
○読売新聞 野口英彦 記者
広域連合の関係でお伺いします。[2月]4日に四国知事会が開かれまして、四国4県で四国広域連合を作るということで合意をされたわけですが、それで、これが中国地方に先駆ける形になったわけですが、それに関しての受け止めをお願いいたします。
●知事
これはぜひ中国地方でも同様のことをやるべきではないかと私は思います。先般の中国地方知事会でも、私も呼びかけた方でございますが、広島の知事さんも岡山の知事さん、また山口の知事さんも乗っかってきましたし、島根の溝口知事も乗っかってきたと。それで、検討しようということになっておりまして、この春になると思いますけども、次の中国地方知事会で、再度議論をすることにいたしております。鳥取県としては積極的に関西広域連合の例も我々認識しておりますので、こういうような持ち寄り事務を考えたらどうだとか、受け皿作りしようということを、提案をしているところでございます。ただ、まだ[中国]5県の間できれいに今、じゃあこういう結論でいこうということを事務局ベースで話し合えてまとまっているわけではありません。四国の方は、この際、呼吸を合わされまして動き始めたことは喝采を送りたいと思いますし、我々もそれについて、中国地方も進んでいく必要があるだろうと思います。
ただ、関西広域連合と中四国の場合で違いもあります。例えば、地方整備局、これについては対象にしないんだということで、四国4県が話し合いをされました。また、中国四国にまたがることで、地方環境事務所の問題などもありまして、これは中国地方と話を進めながらやっていこうということになりました。このように地域性がある程度出てくると思います。中国地方の場合、その地方整備局の取り扱いとか、この辺はコンセンサスが5県の間で得られるかどうかというのは、四国と同様にあろうかと思います。私はやはりまとめられるべきところからまとめていって、地方分権を前進をさせる、それが大切ではないかと思います。
他の4県の知事さんと膝を交えて胸襟を開いた話し合いをして、こういう分野の地方支分部局を引き受ける受け皿になりましょうということを柔軟に考えていけばいいのではないかと思います。現在ある経済産業局、それから地方環境事務所、また、地方整備局、この3つをリジットにこれ以外の選択肢はないということでやるのではなくて、地域の現実に即した移譲対象を議論していけばいいのではないかと思います。その辺の警戒感がまだ中国5県の中にはあるのかなと思いますので、私は柔軟に話し合いましょうよと、他の各県にも呼び掛けたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
地方整備局をめぐっては、災害対策は国の方がしてもらった方がいいという声が地方の方からも出ているという状況ですが、これについてはどうお考えでしょうか。
●知事
これはいろんな解決策はあるんだと思いますね。特に災害対策が難しいということについては緊急時に対処する整備組織、そういうタスクフォース[(特別組織)]を全国レベルで本来は作んなきゃいけないと思います。東日本大震災のような大きな災害のときに、九州や中国地方は関係ないんだよというわけにはなりませんので、やはり全国レベルで災害に対処していくようなタスクフォースが本来は合理的なのかなと思います。それがその地域の、例えば県庁であってもいいですし、広域連合ということであってもいいと思いますが、そうしたところと連携しながらやっていけば、ある程度結果は出せるんではないかなというふうに思います。ただ、結局広域連合を作って受け皿を作るということになりますと、関係の地域間のコンセンサスが出発点になります。従いまして、コンセンサスを作るためにはある程度、歩み寄って、現実的な選択肢を考えるということは、当然考えられていいことではないかなと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
徳島県の飯泉[嘉門]知事は、四国の広域連合は発足しても関西広域連合からは脱退しないということを明言されていますけども、中国5県の広域連合が発足した場合の鳥取県の立ち位置について説明をお願いいたします。
●知事
関西広域連合はこの度産業振興の分野に入ること、これは[県]議会の了解も得まして、4月から実現をすることになります。関西広域連合では文化や観光関係、さらに医療関係などで一定の成果を上げ始めていると思います。要は、県民益に叶う形で、コストパフォーマンスも保たれながら動いているというふうに評価をしておりまして、関西広域連合から脱退する必要性は感じていません。中国の方でないといろんな地方支分部局の受け皿に成り得ませんので、中国は中国でやはり私たちは話し合いをすべきではないかと思います。関西広域連合の例で言えば、例えば観光関係だとか、あるいは医療関係だとか、5県が集まってやった方が良い行政ができるよというのはあろうかと思います。そういう形で事務を持ち寄っていくことはどの県にとってもメリットがあるんではないかなと思います。そして、それが受け皿になるのであれば、一定の地方支分部局の受け皿にもなればいいというふうに思います。こういうことで、丁寧に議論を詰めていって、中国地方でも広域連合設立に向けた舵を切るべきではないかと考えております。
16 税と社会保障の一体改革に関連する岡田副総理発言
○読売新聞 野口英彦 記者
岡田[克也]副総理が、税と社会保障の一体改革に関連して、増税部分は地方に行くんだから、その分、地方も身を削る努力をしなければいけないという趣旨の発言をされましけども、これについての感想をお願いします。
●知事
その趣旨はちょっとよく分かりません。地方の方は国以上に身を削ってまいりましたので、まず我が身をよく点検をしていただきたいと思います。例えば、[県]議会の定数を減らしてきておりますし、[県]職員の定数も切り込んできておりますし、また、給与も、これも民間の水準に合わせるという鳥取県独自の取り組みをやっております。また、さまざまな事務事業の見直しを進めて行く中で、今年もそうでありますが、一定の剰余残余を作って、財政の健全化を図っているところであります。まだまだ国はここはできてないと思いますので、そこまで地方に身を削る努力という環境ではないんではないかなというのは率直な感じですね。地方側の方はもう既に努力をだいぶやってきているので、まずはその国の方がすべきでしょうと。消費税の問題などは、これはこれからどんどん拡大していく社会保障負担に備えての議論だと片方で国はおっしゃっているわけですので、それと行[政改]革努力を混同するのは、いささかそれを撤回しなければならないかなと思います。
○日本経済新聞 青木志成記者
他にございませんでしょうか。じゃあ、ないようでしたら、これで。
●知事
はい、どうもありがとうございました。