防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2012年3月28日)

平成24年3月28日(水)午前10時~
県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約84分) ※MPEG4形式

  

1 2月県議会を終えて 

●知事

皆さま、おはようございます。今年度もいよいよ押し迫ってまいりました。新しい年度、ぜひ3つのチャレンジ、すなわち夢・未来チャレンジ、また、産業・雇用元気チャレンジ、絆・あんしんチャレンジを進めていく年度にしたいと考えております。私どもの鳥取県議会2月から始まりましたものがこの度閉会をしました。その中で数々の議案の審議がございました。県民的な関心も高まったのではないかと思います。3,302億円の予算が仕上がりまして、これを、ぜひ力強く執行していくという段階に入っていきたいと思います。付帯意見もつきまして、まんが王国につきましては、しっかりとしたPRを行ったり、その内容もよく精査をしながら進めていくようにということでございまして、これについては関係者としっかりと協調しながら進めてまいりたいと思います。

みなとさかい交流館[外壁改修工事]の件につきましては、これは過去の経緯がいろいろとあるわけでございまして、このようなかたちになっておりますけれども、議会側からは二度と同じような補修騒ぎが起こらないように最大限の配慮をすべきだと、こういうご意見がつけられました。今、我々の方でも体制を立てようとしておりますけれども、従来の補修工事以上に現場の職員とそれから発注した先とダブルチェックのようなかたちで、よく現場を見ながら、しっかりとした雨漏りが起きないような対応がとられるように心がけていこうということを考えているところでございます。

こういう様々な予算がございました。それを実現していくために、新年度から新しい体制で臨んでいこうと考えております。41日付けで857名の職員の異動をかけることにいたしたいと思いますが、まんが王国官房を設置し、西の方には西部総合事務所の中に[国際]マンガサミットの実施本部を設置をしたいと考えております。また、[63]全国植樹祭も5月にいよいよ山口県で開催をされることになります。天皇皇后両陛下もぜひ、ご療養をしっかりとしていただきまして、ご無理のない範囲で国民の前に立っていただきたいという思いはございますが、その辺は御病状御回復の具合次第だと思います。

いずれにいたしても、5月に全国植樹祭が開かれますと、鳥取県の方にいよいよ大会旗がやってくるという運びになります。こちら の方もあまり暇がございませんので、西部の方に全国植樹祭課を設けまして、こちらの方の推進体制も図っていきたいと思います。名古屋本部につきましては、 この際、すっぱりと体制を改めて、名古屋代表部を設置をすることにしますが、東京[本部]の方から新しく新任の吉村[文宏東京本部副本部長]を派遣いたしまして、民間の皆さまの組織と一体となったPR活動を繰り広げたいと思います。

今日は早速、名古屋の方から観光関係者が県内へ入ってくるということになりますので、そういう名古屋本部の体制刷新の趣旨、これは観光を推進しようという 趣旨であるということを強調させていただき、観光テーマについてよく意見交換をさせていただきたいと考えております。こんなようなことで、議会を踏まえた 体制作りへと動き始めることになります。

2 教育振興協約 

●知事


そういう中で、県議会でもご議論がございましたのは、教育のあり方がございました。本日、この後に教育委員の皆さま、また教育長もそうでございますが、集 まりを持ちまして、調印式をしようということまで話が進んでまいりました。具体的には「鳥取県の子どもたちの未来のための教育に関する協約」という教育振 興協約を結ぶことにいたしております。私の方の思いといたしましては、鳥取デモクラシーによる教育改革の実現でございます。

マニフェストの中に、例えば、不登校[出現率]が全国平均を上回るという残念な事態にきているわけですね。具体的には小学生で[県平均]0.33%と[国 平均]0.32%とわずか0.01ポイントですが、若干国平均を上回りました。さらに、中学校の方でございますけども、こちらの方では県平均が3.1、国 平均が2.7ということでございまして、上回っている結果になってしまっております。こういうことを解消して国平均を下回るようにということを、前回の選 挙の際にも私が訴える内容になりました。

そういうことなども含めて、教育委員会と協約を結ぶ、それによって、実現の推進体制を図っていくという考え方であります。学力向上もそうであります。これ は保護者、子どもたち自身、また地域の願いであろうかと思いますが、具体的な少人数学級指導ということにあたりまして、これを授業内容の改革へと結びつけ ていかなければなりません。そういうモデル的な授業改革を行う学力向上プログラムを進める中学校区を21校区設定しようとか、いろいろと具体的な目標も盛 り込んで、教育振興協約を締結をしたいと考えております。

私は、大阪のやり方に対する1つのアンチテーゼ[反対命題]だと考えながら、この議論を教育委員[会]側としてまいりましたし、県議会でも発言をしてまい りました。現在の教育委員会制度は、制度疲労をきたしつつあると思います。それは、戦後作られた教育委員会制度でありますけれども、デモクラシーの観点が 失われてしまったということです。さらに、あろうことか、一時期は中央集権、つまり国家教育の集権的教育へ回帰をすると、その受け皿として、教育委員会と いう道具立てが使われてきた歴史があります。最近になって、ようやく教育長任命の国関与が外されるとか、そういうふうに地方分権ということで踏み出しつつ ありますけども、やはり残念ながら中途半端という状況はあると思います。

ただ、現行法がございまして、現行法の中に政治的中立性を担保するための趣旨だとか、そういう趣旨がございます。私は抜本的制度改革が必要だとは考えては おりますけども、現行法の範囲の中でも、鳥取では小さなコミュニティでありますから、その中で鳥取らしいデモクラシーのかたちがあるだろうと。その、鳥取 デモクラシーの中で、教育改革を果たしていく。大阪ですと、これは対立の構図として、教育委員会が悪役を引き受けたヒール[悪役]のようなかたちで、進行 する。教育現場ですらヒール、悪役になってしまうということになります。

私は、それはかえって改革のスピードを遅らせるものではないかと考えます。ですから、鳥取県の場合、今回、教育委員会との協調の中で、少人数学級を実現する ということが出来てきておりますし、その他にも情報公開、これを進めることも教育委員会側の理解も得て、少しバタバタしましたけれども、かつて実現した経 緯もあります。鳥取県は鳥取県らしく小回りを利かして、一気に教育改革を現行法の中でも進めてしまう、それが本来の狙いでございます。地域のため、子ども たちのために出来ることは何かを考えると、今やれることを誠実に実行すべきだと思います。

その意味で、全国にはまだ例はないことではございますけども、あえて首長と教育委員会との間で協約を結び、それにお互い拘束をされるようなかたちで1つの しっかりとしたデモクラシーに基づく教育への下地を作りたいと思います。これは、暴走しようという趣旨ではございません。従いまして、PDCAサイクル[計画・実行・検証・改善の流れを次の計画に活かす]を回すということを考えます。保護者や地域のご意見を、これから年度を進めながら実際に教育改革の途上で お話をいただき、いろんなご意見をいただく、これをまた次の年度の予算編成に反映をしていく、また教育カリキュラムの具体的なあり方に反映をしていくと、 そういうPDCAサイクルを回すことを今回、教育委員会との間でも合意をしたいと考えております。これによりまして、1つの教育鳥取デモクラシーモデルを 教育の中に組み込んでまいりたいというふうに考えております。

3 まんが王国関連 

●知事

県議会の中で大きな議論の焦点となりましたのは、まんが王国の関連でございました。これを後年度に向けても効果的あらしめるような、そういうキャンペーン なり何なりにする必要があると、その辺が最終的な議会の結論であったというふうに思います。その皮切りとして4月2日に名探偵コナンのラッピング列車をス タートさせます。全国に向けまして募集をいたしましたところ、おかげざまで申し込みが殺到をするということになりました。行きの鳥取から米子に向かう列車 は4.3倍の倍率になり、帰りの米子から鳥取に帰る方は3倍という倍率になりました。抽選の結果として、東北から九州までの範囲のご家族が乗車をされるこ とになりました。もちろん県民の皆さんのご乗車も半分ほどだったと思いますが、ご当選者があったと思います。

この列車、スタートをするときはコナン君が出発の合図をして列車に乗り込むと。中で検札をするとか、そういうことになります。そして、到着する駅が由良駅 でございます。この由良駅は名探偵コナンによる駅ジャックを計画しております。4月2日の列車が到着する頃には、名探偵コナン君が駅の待合室などを占領し ているということになろうかと思います。そういう駅の改装を進めておりまして、全国どこにもない駅になるんじゃないかと期待をいたしております。それから 米子の方に行きまして、また帰りも同様のセレモニーをしながら帰ってくると、これが新年度のまんが王国の幕開けとなろうかと思います。

[まんが王国の]PRを一生懸命やれということでございまして、先般は韓国の方に行き、韓国漫画映像振興院ですかね、要はICCと言われます、国際マンガ サミットの事務局のトップをされておられます、キム・ビョンホン院長とお会いをし、協力を求めました。また、ソウル市内、繁華街におきまして、ジャパン フェスティバルの中で、[ゲゲゲの]鬼太郎君と一緒に鳥取の漫画のPRをし、コナングッズの配布などのPRをしてまいりました。また東京の方では、先般、 国際アニメフェアがございました。これは[3月]25日で終了をしましたけども、ここには米子出身のだらず様とリトット[アニカルまつりのキャラクター] が出かけまして、向こうでPRをしましたけども、結構人気があったと、手応えは上々だったということであります。

さらに東京では、今度[アニメ]コンテンツエキスポ[2012]がございますので、これは幕張メッセの方であります。[3月]31日、4月1日と開催をさ れます。こちらの方にも私も31日のステージイベントの方に行きたいと思いますが、今野[宏美]さんという[アニメゲゲゲの鬼太郎の] ネコ娘の声優さんがいらっしゃいますけども、ネコ娘の声優さんと一緒にトークショーをやると。そこに妖怪のそっくりさんですね、おそらく子泣きじじいとぬ らりひょんぐらいになるんかなと思いますが、鬼太郎の着ぐるみだけでなくて、そういう妖怪のそっくりさんたちと一緒にイベントを繰り広げようと考えており ます。砂の美術館がオープンしようとしていますが、コナンの砂像で会場でもお出迎えをしようというような構想でございます。こうして東京のメインとなるア ニメ、漫画関連のイベントでも相次いでPRをさせていただき、先般は、大阪難波の方の日本橋のストリートフェスティバルの方に出かけました。こうやって国 内でもPR活動をしていこうと考えております。



4 中国からのチャーター便 

●知事

これに関連しまして、中国からの観光プロモーションがあろうかと思います。我々のこれまでの折衝が実りまして、春秋航空のチャーターフライトが実現をする ことになりました。[3月]29日に米子鬼太郎空港へ入ってきます。そして、私どもの方でマスコミ団を招聘をしておりますので、上海からのマスコミ関係 者、また観光客をお出迎えをさせていただき、PRをさせていただこうと思っております。私自身は、帰りのフライトに乗りまして、上海の方に行き、翌日[3 月]30日に春秋航空を訪問したり、上海でメディア等に向けまして、まんが王国のPRを行ったり、そういうようなことを展開しようと考えております。

中国からは、先般は美食、美しい食事、おいしい食事の愛好者、そのツアー造成グループがやって来られまして、知事公邸の方でお迎えをさせていただきまし た。鳥取県内見て回られて、三朝の[旅館]大橋さんの料理に非常に感激をしたとか、その料理パフォーマンスも良かったんで、その料理長さん、知久馬[惣 一]さんのことではありますけども、ぜひ中国でパフォーマンスしてもらいたいというような声が上がったり、鳥取を訪問するツアーをそういう食の観点でぜひ 造成したいというお話がございました。実現できるように我々も応援していきたいと思います。春秋航空さんの方でも、当座はそのチャーターフライト、今回でございますけども、すでに高松[空港]に入っている便がありますので、高松からまだまだ鳥取の認知度がもう一つ向上する必要があるということもありまして、 鳥取向けのツアー造成を検討しようというような声が上がったりしております。ぜひこういうようなことなど、中国という巨大旅行市場へのアクセスを高めてい く必要があると考えております。


5 北朝鮮の衛星打上げ 

●知事

大陸の方からは、今、核[安全保障]サミットの議論のニュースが伝わってまいりました。北朝鮮がロケットを発射をする。これは事実上の大陸間弾道ミサイルではないかと、こういう国際世論が巻き起こっています。北朝鮮は、この際、自制をすべきときだと思います。周辺との融和なくして国の繁栄はないと思いますし、国民の飢餓を回避しようということであれば、そういうロケット遊びに興じているお金の余裕はないはずであります。その辺に国際世論の怒りが爆発をしているということではないかと思います。ただ、我々として、現場を支える者として、この北朝鮮の騒動に対する対策も取らなければならないと考えております。

当面は、今、連絡手段の整備、体制整備を図っているところでございまして、庁内の連絡体制を設置をいたしており、市町村との協議も始めておりますが、J-ALERT[ジェイアラート(全国瞬時警報システム)]と言われる通報システムがございます。これが1つの町を除いて、自動的に市町村の住民への放送等へ直結することになっています。これを1つ活用して、ミサイルと言うか、ロケットと言うか、そういう飛行体が発射をされたという情報をお流しをしたり、随時そのJ-ALERT情報に基づくものも流していこうと思います。とりったー、あんしんトリピーメールという媒体もございます。鳥取県独自の媒体でありますが、こうしたところも活用しまして周知を図ってまいりたいと考えております。この問題は、4月12日頃が正念場と言いますか、今、北朝鮮側が言っている期間になるわけでございまして、その頃になりましたら庁内体制も一段格上げをして、警戒を引くということをやっていく必要があるかなと考えております。

6 原子力安全・津波対策 

●知事

この他にも、原子力安全や津波対策など、精力的に進めていきたいと考えておりまして、津波についてはシミュレーションを公表したところでございますが、市 町村の方にその詳細のデータを今月中にお伝えをして、津波対策の実を図っていただくように働きかけていきたいと思います。原子力につきましては、非常に残 念でありますが、なかなか原子力災害特別措置法等の審議が進んでいません。国の方はぜひ決めるべきことを決めて、やるべきことをやっていただく必要があろ うかと思います。この問題につきましては、そういう国の遅れもありまして、我々もある程度ちょっとスケジュールをずらさざるを得ないところも出てくるかな と懸念をいたしております。避難の対策等を今日、島根県側と話し合う機会にしておりますけれども、国の方の動きのこともあり、また島根県側の検討状況もあ りましょうから、ある程度歩調を合わせる必要がありますので、そうしたことも睨みながら、スケジュール調整をやっていく必要が出てきているかなと思ってお ります。

国の方は、こうしたことでなかなか決めること、それからやるべきことをやらないという状況がございまして、昨日も米子の方で放射線の懸念があるということ でなかなか進まないがれき処理についての説明会を実施させていただきました。私も[環境]大臣の方に申し入れをしておりまして、こういうような地元側の要求する 条件というものを速やかに対応してもらわないと前に進まないということを申し上げているわけでありますが、昨日もそうでありますし、その前もこちらの方に 説明に来られるかたもそうなわけでございますが、要は、処分権がない、決められない人たちばかりやって来るんですね。昨日も中国四国地方環境事務所の所長 だと言ってやって来るわけでありますが、最終処分地として国有林の構想があるわけでありますが、それについて否定的な発言をして帰るとか、安全の基準のこ とを私たちは再三に渡って申し上げているんですけども、それについてしっかりとした発言が出てこない、いったい何をやっているのかなという憤りを感じま す。

国民性が問われると政府が言って、国民に対して、あるいは地方に対して責任転嫁をしようとしているのではないかというような感じすら覚えます。本来、これ は国だ、地方だということではなくて、協力して方向性を見出していこうということでありますから、処分権のある人が来て説明をするなり、協議をしてもらわ ないと話は前に進むはずがないわけでございます。現に米子市は、議会まで開いて受け入れについて検討すると言っているわけでありますが、昨日の話は通り一 遍でありまして、子どもの使いでありました。こんなことをやっていては前に進まないというふうに思います。我々としても、政府側にも言うべきことは言いな がら、今後、被災地の一日も早い復興に向かっていくように県内での体制づくりを市町村と協力して進めていきたいと考えております。

こういうようないろいろと議会の中で話し合われたこと、その後、誠実に我々もフォローをしていこうということで動いております。つい先だっては、エンジン 01[文化戦略会議オープンカレッジin鳥取]が開かれました。145名の文化関係者が鳥取に集結をされ、胸躍るような日々であったかというふうに思いま す。こういうような経験を地域の中で活かしながら、さらに魅力の高いふるさとへと高めてまいりたいと思います。今年度も私も就任して新しい任期の1年目を 締めくくることとなりましたけれども、県民の皆さまの非常に力強いご協力をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。私の方からは以上です。

○朝日新聞 宋潤敏 記者(幹事社)

各社、質問をお願いします。


7 教育振興協約 

○山陰中央新報 太田満明 記者

教育振興協約なんですけれども、知事部局で教育委員会に歯止めと言いますか、ある程度関与を持つ方法というのは、教育委員会は予算権を持っていないと思うんですよね、議会に予算を提出する権限。それで、教育委員会の方でいろんなことを考えたとしても、最終的には知事部局の方でそこのところに歯止めをするわけで、全く教育委員会に対して知事がものが言えないという立場ではないだろうと思うんです。その中で、こういった協約を結ぶということはどういう意味を持つのか。


●知事

今の予算のことで言えば、それはまさに中途半端な現状を言っておられると思うんです。結局、教育委員会は、要は一時期、多分中央集権的に設計しようと思ったんだと思うんですね。それで、要は、国の上意下達する機関にしようと考えて、人事でコントロールをしながら最終的には末端の教員まで全て文[部]科[学]省のコントロールの下におこうというぐらいの制度なのかなと思います。ただ、それは地方自治で言えば、当然ながら選挙で選ばれた首長や議会が協議をして予算を設定するわけであります。従いまして、予算権、編成権が事実上ないということになっている。だから、協約を結ぶわけです。それで、我々は予算編成権を持っている、向こうは、教育委員会側は教育の執行権を持っている、これが現行法の中です。だから、この両者で協約を結んで、予算については我々の方でも当然ながらその教育委員会の考えていること、それはPDCAサイクルを回しながら、何が必要な政策かを考えるわけでありますが、当然、必要となる施策については、財政的な裏打ちを執行部としても、我々首長側としてもやっていきましょうと。その辺の趣旨も含めた協約を結ぶ意味が出てくるんだと思います。

今は結局、教育委員会がこれやりますよということを自分のところの計画で書いたところで、これが実現するかどうかの担保がない。しかし、協約であれば、お互いの合意でありますから、予算編成権の側も、それから、教育執行権の側も合意してこういう方向で進めていきましょうということになります。その意味で、今の中途半端な制度の狭間を埋めるような意味で、民意と言いますか、住民や保護者、これからの地域に求められる教育の姿というものを両者で合意をして、それを実行していこうというスタイルへと改めようとしているわけです。


○山陰中央新報 太田満明 記者

理念的に分かるんですけれども、そうすると、じゃ、どこまで協約というもので教育の中に入っていこうとしているんでしょうか。


●知事

ですから、今、関心があるようなことですね。例えば、学力向上、あるいは文化芸術の振興、体力向上、あるいは特別支援教育ということもあります。そういう、今、その教育の中で求められていることがあります。これは保護者側と言いますか、地域の側でもこうあってほしいということがあります。若干のパーセプションギャップ[認識のずれ]は当然あるわけです。教育委員会なり、教育現場の方では、私らこれだけやっていて、もう十分じゃないかと。しかし、保護者や地域の側からすれば、もっともっと子どもたちの可能性があるのに、その可能性を引き出す教育をしてくれとか、そういうことがある。この辺のパーセプションギャップを埋める役目をこういう協約で果たしていかなきゃならないわけでございますので、この程度のことは、お互い合意して進めていきましょうということを打ち出していくわけであります。今回は1年目でありますので、当然ながらいろんなご意見は出ようかと思いますが、PDCAサイクルを回していきながら、この協約というものをさらに進化成長させていきたいというふうに考えております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

今回どこまでの協約が結ばれるかっていうものは漠然と言うか、障がい者の問題なんかも入っているようですけれども、あまり微に入り細に入り細かいところまで入るわけではないんだというふうに理解しているんですけれども、今、知事も合意事項だとおっしゃったんで、ある程度大まかな部分での合意なんだろうな。その中で、なんて言うんでしょうか、範囲の歯止めをかけるんではなくって、方向をある程度見据えていこうということなのかなという、方向と言っても、抽象的な言い方なんですけれども、不登校の問題だって知事の場合、確か数値を挙げるということでしたから、それは先程の言葉では、例えば、全国平均レベルというんでしょうか、に届くようなかたちということになるんだろうと思うんですけども、具体的には。その中で、じゃ、具体的に教育委員会はどういう施策をするかというところまでは入らないわけですよね。


●知事

そこは言わば職人の世界ですから、現場とよく議論してもらって、こういうかたちで進めていきましょう。例えば、カウンセリングの問題だとかいうことになってこようかと思います。その辺は我々の方でもバックアップをする。この辺をお互いの基本合意の中から導いて、執行体制を強固にしていこうということであります。正直申し上げて、例えば、何の科目についてはこういうことをやりなさいだとか、そういうカリキュラムの微に入り細に入りのところまで、我々がやるよりは概括的な目標の方でしばっていくということから始めてみたいと思います。もちろんPDCAサイクルを回す中で、特に英語教育、もっと、もっと首長側から向こう側に突きつけてもらいたいという世論があれば、我々もその代弁者として、この英語についてはこういうことをやりなさいとか、こういうところを目標にしなさいとか、科目ごとの目標設定ということもあり得るとは思いますけども、今回はまず1年目ということもありますので、概括的なところになろうかと思います。現実のものは、今ちょっと昼頃になれば最終固まると思いますが、現実のものはそういう大きな目標を中心とした協約ということになろうかと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

概括的なものということは聞いているんですけれども、ただ、心配しますのは、教育現場にどんな影響が出るのかな、ただでさえ先生忙しいっていうのが現実だろうと思うんですけれども、もし、これを結ぶことによって、教育現場がさらに忙しくなる、多忙になるとか、締めつけは、大阪みたいな締めつけはないんだろうと思うんですけれども、多忙になるようなことっていうのがあればそれは心配だなって思っているんですが、どうなんでしょう。


●知事

それは教育として現場の先生がたも当然やらなければならない、目標にしなければならないことを書いてあります。ですから、それを政治的作動として議論の種にするのであれば、私も反論していかなきゃいけないと思います。中身としてはもう、正直申し上げて、当然、先生がたを目標とすべきものだと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

教育が政治に利用されるっていうのはあまり好きでないんで、違うだろうと思っているので、今、知事がおっしゃったように現場から政治的な反論云々っていうのはちょっと違うんだろうと思っているんですけれどもね。それともう1つ、希望と言うか、あれになるんですけど、今、鳥取デモクラシーということをおっしゃったんですけれども、鳥取県には昔、綴り方運動っていうのがございまして、これは今でいう手記と言うんですか、子どもたちに手記を書かせるという運動で、ものを書けば自分を見つめることになるんで、戦前教育でなくなったんですけれども、弾圧されたわけですよね。こういう鳥取県から古くから伝わっている綴り方運動みたいなものも、なんかもう1回興こしてほしいなみたいな、そんな気持ちもしているんですが。


●知事

そういうことも幅広くご意見をいただきながら、PDCAサイクルを回して、こういう鳥取型の教育改革というのを前へ進めていきたいと思います。現実に鳥取でも朝読書運動というものがスタートして、かなり力強く定着をしています。こういう地方、地方の特色ある教育っていうこと、それは効果があるものであれば当然ながら進めていく値打ちがあるだろうと考えております。


○日本海新聞 井上昌之 記者

関連してですけれども、大阪府議会で教育基本条例が[3月]23日に可決されたわけなんですけども、大阪府の条例の方では、[大阪]府教委と知事との、例えば、目標、合意できなくても知事の方から議会にそういう施策が提案できると。それには教育委員会の意見をつけて提案するということになっているんですが、かなり知事の方が権限が強いような中身になっています。知事は大阪府とは違うとおっしゃるんですけれども、その辺を心配される県民のかたもおられると思いますので、大阪府との違いというのをちょっと分かりやすく説明していただけませんでしょうか。


●知事

私どもは協約でございますので、アグリーメント、合意であります。ですから、教育委員会が現場の実情ということも考えて、そして、我々の方では、正直申し上げて財政の問題も片方であろうかと思いますが、県民の考え方、これを第一義に考えまして、それで合意をするというスタイルでございます。ですから、権力的に、私は選挙で選ばれたんだから言うことを聞けというスタイルではなくて、相手方の専門的知見ということも、むしろ活用しようということで取り込んでいくスタイルの協約でございます。ですから、こちらの方の意思が優先をすることにあえて、今はしておりません。もちろんこれからPDCAサイクルを回す中で、いろんなご意見が出てくれば、実際に制度の枠組みの変更もあり得るかもしれませんが、私は、結局何のための改革かと言えば、これはデモンストレーション[示威行為]、いや、プロパガンダ[政治的宣伝]としての改革ではないわけでありまして、実際に教育現場の人たちも納得をして、スピーディーに進めていかないと何の意味がないわけであります。

特に、少人数学級がそうでありますけども、4月からスタートしようとしている。それで、これが議会でも議論がありましたが、単なる人員増ということだけなのかということにならないようにするためには、教育の中身もこうやって向上させますよということに繋げていかなければならない。これは県民の意思だと思います。実は、教師の皆さんも、大阪の方に行くと非常に悪役で語られるわけでありますけども、当然、その余裕が多少でも生まれれば、こういうことを子どもたちに教えてみたいとか、子どもたちの成長をもっともっと高めていきたいという、そういう職業倫理はあると私は思っています。そうであれば、お互いに合意できないこともないわけでございますから、アグリーメント、協約によりまして前に進める方が、より県民に成果を還元しやすいというふうに考えました。

○日本海新聞 井上昌之 記者

あと、その今回の協約の意味ですけれども、民意を反映させるんだと、教育の分野に。ですから、県民と教育委員会との約束をどう設定するという意味で捉えているんですけれども、その民意の設定の仕方なんですけど、知事が知事選で掲げられたマニフェストがその民意というかたちになるのか、あるいは、選挙で選ばれた知事のお考え、知事個人のお考え自身が民意として設定されるのか、その辺のちょっと区別というか、設定を教えていただけませんでしょうか。


●知事

ここは、若干抽象論になると思うんです。大阪の議論も分かりにくいのはそこだと思うんですね。俺の言うことが民意だということであれば、それは首長の言うことだけで計画を作ればいいということだと思います。私は、教育委員会の方も、教育委員会なりの民意の捉え方はしていると思うんです。それで、私は確かに選挙で選ばれて、そのときにマニフェストを掲げて書いてあることもございます。そういうことは、個人的には、当然実現してもらいたいと思うし、信念を持って書いておりますので、それは盛り込んでもらいたいというふうに思うわけでありますが、それだけでなくて、やっぱり書ききれないこともいっぱいあるわけです。例えば、特別支援教育の、非常にこれから展開の問題であるとか、体力をつけてもらうような子どもたちのことだとか、どうしても抽象的な議論しか選挙時にはできないことっていうのはたくさんあります。日々世論は動くわけでありますし、その保護者や地域の考え方というのは、それは個々に分かれているものですよね。それで、その最大公約数的なところはどの辺にあるかなということを、お互いに捉えながら、合意をしていくということで協約をまとめてまいりました。

その協約は、じゃ、その民意からかけ離れることになったら意味がないというご意見があろうかと思います。従いまして、これから、PDCAサイクルを回す中で、いろんなご意見を、今後のあり方について受け付けていくべきだと思っています。これが、この点も今、教育委員会側と合意ができつつあると思っておりまして、今日、最終的な取りまとめをいたしますけれども、そういうPDCAサイクルを回す中で、民意から離れないようにもやっていくということだと思います。当然ながら、議会でのご議論だとか、最大限尊重して、今回も入れさせていただきましたし、次回以降も、議会の議論というのも大きな意味を持ってこようかと思います。



8 北朝鮮の衛星打上げ 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

[山陰]中央新報の桝井と言います。北[朝鮮]のロケットのことですけども、警戒態勢が問われるというのは、これは落ちてくることはないだろうけども、ものがものなんで、県民の皆さんが不安がられるだろうから、その不安解消のために、こういう体制を、県としてできることとしてやりますよという意味でよろしいでしょうか。


●知事

そうですね。今の北朝鮮側のアナウンスとしては、気象観測等を目的としたロケットを打ち上げるんですよと。それで、第1段は韓国の西側の海に落ちます。さらに、その後フィリピンの近海に第2段目が落ちますと。こういう想定を向こう、北朝鮮はアナウンスをしています。それで、これが額面どおり100%そうであれば、漁船の問題なんかございますが、鳥取県民に直接影響があるということにはならないかもしれません。しかし、問題は想定通り動くかどうかということでございます。また、今いろいろと国際世論も緊張が高まっていると思うんですね、この北朝鮮のロケットないし弾道ミサイルの発射が、ロシア、中国も含めて、アメリカ、韓国はもちろん、日本もそうでありますが、反対をしているという非常に厳しい態度で核サミットでも議論がなされました。

そういうような背景を考えますと、やはり県民としても知っておきたい情報だと思いますし、場合によっては切迫した動きが、可能性がないとは言えない、言いきれないということでございます。ですからJ-ALERT、とりった、あんしんトリピーメールといったような媒体を通じて、瞬時に情報が伝わる体制を市町村と協力して作っておく必要があるだろうと考えております。それが今、やっている作業中のことであります。あと4月の12日以降が次のステージに入ると思いますので、そのとき庁内としても不測の事態が起こったときに動けるような体制をとっておくということであります。念のためと言えば、念のためかもしれませんけれども、それが行政としての誠実なあり方だというふうにも考えております。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

想定どおり動くか分からなくて、切迫した状況は可能性としてはないわけでないというのは、コースが変わるかもしれないという意味ですか。


●知事

コースの問題もありますし、それに対する何らかの動きが世界のどっかで起こってくるということも含めてですね。


○山陰中央テレビ 松本英樹 記者

それに関連しまして、最初のご説明で、1つの町を除いて、J-ALERTを今、整備をというふうにおっしゃられたんですけど、それを整備してないという町があるという。


●知事

J-ALERTは入っています。J-ALERTがそのまま、通報システムにシステム上直結しているかどうかです。それで、これで言いますと智頭町は、要はJ-ALERTで通報が入れば、手動と言いますか、マニュアルと言いますか、例えば口でアナウンスをして一斉放送を流すと、こういうことで今段取りをしていますので、もう数秒の違いだとは思います。訓練をしたりして、すぐに情報が流れるような体制をとっていただく必要があるということです。それ以外のところはJ-ALERTが流れてくると、即座に通報できるというシステム上の担保ができてきましたので、これで流せるかなあというふうに、今判断しています。



9 教育振興協約(再質問) 

○読売新聞 野口英彦 記者

知事部局と教育委員会は、予算編成などを通じて、日ごろから意思疎通していると思うんですね、知事も学力テストの結果開示の問題で要望されて、開示されたという結果があって、1つはできてると思うんですね、それで、そうするとなぜ、わざわざ協約を結ばなければならないのかということと、もう1つ、もう1つの民意の代表である議会の役割は、これはどうなるのかということについてお願いします。


●知事

要は、制度が劣化するという危険が常にあるわけですね。教育委員会が常に民意に向き合って、現場の声はもちろんでありますけども、保護者だとか、あるいは地域の実情、その声をよく聞いて、教育行政を進めていけば、あんまり大きな問題にはならないと思います。理念的にそれが選挙というプロセスを通じているかどうかということはともかくとして、結果論において、皆さん、まあまあしょうがないかなあというふうに容認し得ることだろうと思います。ただ、問題は、そこが一種の教育官僚の世界の中で、民意から離れていくことですね、それで、民意から離れていってしまうということになりますと、これを止める手立てがなかなかないです。それがあの大阪の条例でも問題なっていますが、罷免権を行使をするとか、云々ということになるわけであります。そんなことをやっている間にどんどんと子供の教育は進んでしまいますので歯止めをかけなければならない。ただ、そのため手立てが、今の現行制度の中にないわけです。

従いまして、協約ということでお互いにアグリーメントを作りました、合意しましたというスタイルを、あえて組み込むことで、その地域の実情から遠くへ行ってしまわないように、我々としては担保をとることができるというふうに考えております。議会のご意見も当然ながら想定しながら、今、実は2月県議会の中でもだいぶん議論しましたんで、想定をさせていただきながら、今回協約の折衝を教育委員会側といたしました。もちろんこれについて、いろいろご意見は議会の方でもあろうかとは思います。大きくたぶん中身を見ていただければ、こんなもんだろうなというような内容になっていると思いますけども、その辺は、これからPDCAサイクルを回していきますので、実際には、またご意見はいただいて、次の協約の中に盛り込んでいくとか、また協約にはこう書いてあるけれども、具体的執行手順はまた別にありますので、具体的な執行の中で反映をしていくとか、いろいろと民意を踏まえた教育を意識してやってまいりたいと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

先程の問題の中身ですね、知事の方の発言でこれからも進化成長させていきたいという発言、あるいは抜本的な改革が必要なんだということを、そもそも思っておられるということなんですが、今回の教育委員会と結ばれるものは、最終形ではないというふうにお考えであるということですか。


●知事

本来は、抜本的改革って言っている趣旨は、私は教育委員会制度、これ繰り返し申し上げてきておりますが、教育委員会制度自身が、やや時代から遠ざかってきているんじゃないかなと思います。諸外国を見てもそうでありますが、教育というのはもっとも地方自治に相応しいものであって、地域が教育のあり方を決めるぐらいのところが世界標準、ワールドスタンダードなわけです。残念ながら日本の場合は、ちょっと戦前、戦中の教育の反省がありまして、戦後の教育委員会制度が置かれたわけでありますけども、本来の公選制に基づく教育委員会からずれてきております。本来は、選挙の中でも、民主的な過程を通じて教育についても住民の皆さまが直接発言できるチャンネルを制度上作っておかなきゃならないと思います。今それがございません。その辺をやはり抜本的改革としてはやるべきではないかと、こういうことを申し上げています。

今やろうとしている協約は、そういう改革とはまた別でございまして、これは理想だけども、今実現していませんので、すぐにはできない。だけど、子どもたちの教育、子どもたちの未来のことを考えればできることはすぐにでもやるべきだと思います。その意味で、協約というかたちであれば、現行法の範囲内でも地域のためになる改革が進められるではないだろうか。そういう意味で、鳥取県としてそういう手法を教育委員会と大分議論をした上で締結の運びになったということです。これを進化させていくという意味は、PDCAサイクルを回すことによりまして協約の中身の精度を上げたり、また、協約と実際の教育の現場との繋がりだとか、いろんな具体の教育施策、そうしたところの制度を徐々にこう上げていきたいという意味で進化発展させていきたいというふうに申し上げたわけであります。


○読売新聞 野口英彦 記者

それに関連して、教育委員会制度への問題意識が根底にあるとしますとね、今回の内容は子どもの育みをということがテーマだと思うんですが、何年後かには、教育制度に、教育委員会の制度に手を突っ込むような改革に進展するんではないかと思うんですが、その点どうでしょうか。


●知事

冒頭申し上げましたように、大阪的なやり方に対するアンチテーゼだと思っているんです。私はよく改革派の自治体で起こることなんですが、内部での踏んだり、要は蹴っ飛ばしたり、殴ったりっていうそういうバトルが非常に面白いわけですね。報道でも取り上げられて、そういうバトルをやりながら、制度を変えるということにエネルギーを使っていくと、そういうスタイルの政治っていうのは行われがちであります。今の国会が実はそれに近いんじゃないかなと本当は思っているんです。だけど、そういうことをやっていますと、いつまで経っても決められなかったり、決めた後でスムーズに動かなかったりということも弊害として起こると思うんですね。また、勝者が生まれれば、敗者の方の訴えている本当に正しい実情があったとすると、それが捨象されてしまうということにもなります。

だから、私は改革を、教育改革を進めるんであれば、スピーディーにやるべきではないだろうかと。そのためには、現行制度を前提として、今の教育委員会制度を活用させてもらうと、だけど、その代わり言うことをお互い言いあって、決めたことはやってくださいねと、こういう教育改革鳥取デモクラシーのあり方があってもいいんじゃないだろうかと、こういうように考えているわけであります。そういう意味で、アプローチは、実は似ているようですけど、だいぶん違うわけでございまして、要は、実を取りたいという思いが先に立っていると考えていただければと思います。


○時事通信 中川亘 記者

協約について2点お願いします。1点目は知事がこれまでの任期の中で、なかなか民意が教育に対して反映しにくかった、ちょっとされなかったというような例はこれまであったのかということが1つ、もう1つは、PDCAサイクルのチェックの部分なんですが、今回の協約は、条例ではないので強制力はないと思うんですね。その中で県側はどのようなかたちでそのチェックの部分に関わっていくのかというのをもう一度ちょっと説明していただけますか。


●知事

まず前者の方でございますけれども、今でも実は教育委員会、教育現場と住民との間のパーセプションギャップはあると思います。それは皆さんも気づかれると思いますけども、実際、街の中を歩いてみたら、例えば、高校教育ですね、今で十分か、まだまだもっと学力向上を図るべきではないだろうかと、そういう声っていうのは実は沸々とございますよね。これは別に教育行政に限らず我々のやっている一般行政の分野でもそうだろうと思いますけども、そういうパーセプションギャップはやっぱりあるんですが、このパーセプションギャップを真剣に考えて動けるかどうかというと、教育委員会のシステムというのは若干届きにくいシステムだと思います。それで、我々がこうバイパスに入ることによりまして、そういう学力向上に対する潜在的な欲求だとか、そうしたものを注入していったり、厳し目の議論を外だからこそさせていただけるということはあろうかなと思います。こんなようなことが実は教育の分野でたくさんあるもんですから、全国の首長の中に、今回の大阪もそうでありますが、やっぱり今の教育委員会制度自体おかしいんじゃないかなという声が出るのは、その辺のバックボーンがあるというふうに思っています。あと、すみません、後者はなんだったかな、すみません。


○時事通信 中川亘 記者

後者はチェックの部分で。


●知事

すみません。それで、PDCAサイクルにつきましては、これは県というか、執行部と教育委員会と共同でやっていくということになろうかと思いますが、県民のご意見を、教育についてお伺いをするようなそういう機会を意識的に作っていきたいと。それからもちろん議会という場がございますので、そういう言論の府である議会のご議論、こういうものを入れながら秋ごろを目途にそういうPDCAサイクルを回す、キックオフ的なことをやって、その後の予算編成、あるいは具体的なカリキュラム編成といったところに反映をしていければと思っております。まずは4月から年度はスタートしますけども、1学期が終わるぐらいで、今やっていることに対する評価もありましょう。そういうことも含めて、夏休みごろから秋にかけていろんなご意見が出てくる、それを吸収しながら取り入れて教育施策の方へと反映をさしていく、そういうPDCAサイクルの回し方を考えています。


○共同通信 小出秀 記者

去年から知事は教育委員会制度に対して制度疲労きたしつつあるということでやっておりますが、その中で今回この時期にまた協約を結ぶというふうに考えたのはどういった理由だったんでしょうか。


●知事

これは議会での議論に基づきます。議会の中で大阪[府]の教育改革について、見解を求められてまいりました。その中で、私は、大阪のやり方は時間もかかるし、ハレーション[他に影響を返す]も大きいんじゃないかなと考えておりましたので、鳥取は鳥取なりのやり方をしますと、その意味で協約というやりかたがあるんじゃないでしょうかということを議会で議論させていただきました。一部反論もありましたけれども、大方その協約方式ということに対してご理解が得られたのかなと思っております。ですから、議会のそうした考え方も背景にしまして、年度は始まりますから、年度が始まる前に協約を結んでおくと、そうやって誠意を我々としても誠実にやるべきことをやらせてもらうとこういうことであります。


○山陰放送 秦卓史 記者

PDCAサイクルについてですね、それを活用すると目標が年次ごとにどんどんなくなっていくというような数値を、そこで数値目標というのが出てくるんじゃないかという部分があります。そのあたりは、年次ごとにどんどん細かい目標を設定していくようになっていくというようにお考えでしょうか、というのが1点と、それから結果が出ない場合、教育委員会がなかなか成果を上げられない場合に、究極的には教員の懲罰に応じるべきだというふうにお考えでしょうか。


●知事

私は、これは行政をずっと預からせていただいている感覚から申し上げれば、こうたくさんの目標を掲げられますと、割とその学校の先生がたもそうだと思いますが、今度は身動きが取れなくなってくるということにもなろうかと思いますね。だから、ある程度目標というのはシンプルに、割といいシーンを捉えて考えていくべきかなと思います。要は、動きやすい指標と言いますかね、その辺はそういうことでございますので、PDCAサイクルを回してみて、どんなご意見が出てくるかってことはありますけども、私どもとしては、教育委員会と話をして、できるだけパフォーマンスが上がるようなそういう設定を考えるべきだと思います。この辺、具体論で今後考えていきたいというふうに思います。

それから、懲罰というのは、これは懲罰権は教育委員会側にあります。学校の先生のですね。それは向こうの方で結果が出ないと、それの原因はこういうことにあるということで懲罰権を発動されるということはあるかもしれません。ただ、私の方から積極的に、出来が悪い教員だから辞めてくれと、こういうことを突きつけるつもりは今はありません。ただ、ちょっと勘違いされないようにちょっと注意して申し上げなきゃなりませんけども、我々一般行政の職員もそうでありますが、教職の世界もそうでありますけども、どうしてもその職場環境への不適応っていうのは、少なからずあるという実態があります。これは、今、別に日本のどこの職場でもそうでありますが、そういう場合には立ち直る機会を与えながら指導していくと。どうしてもだめな場合は、別の道に進んだ方がいいということも出てくるかもしれません。そういうようなことは、一般論としては、今後も考えていかなきゃならないと思います。ただ、具体に協約との関係でこれは守れないから辞めてくれというようなタイプの協約ではないと思いますので、先方の教育委員会側の懲戒権の発動の範囲内だというふうに思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

確認ですけど、この協約は今年1年限りでなくて、残りの知事の残り任期3年間ずっとされるというお考えでしょうか。


●知事

ええ、そういうスタンスでおります。あえて1年というふうにさせていただいたのは、予算とも連動させながらやった方が、おそらく効果が上がるだろうというふうに判断しています。大阪とはそこ、ちょっとやり方が違うかもしれませんけども、あまり中長期の計画を立てますと、切迫感が抜けてきますので、将来のことも論じながら、この1年のことを考えると。そういうアグリーメントの方がいいかなと考えております。



10 鳥取市庁舎立替えをめぐる住民投票 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

新参者が今更みたいな質問ですけども、この鳥取市の庁舎のことでちょっと2点お尋ねしたいと思います。1つは、市役所の庁舎の建て替えの仕方であったり、場所だったりというのはその内容のことを住民投票という方法で判断の材料にしようとしているということについて、同じ自治体経営者として合意形成なり、説明責任なりという観点からどのようにお感じになっておられますかというのが1つ。もう1つは、多分ちょっとお答えいただけないかと思うんですが、知事ご自身はどっちがいいと思われますかというのをお願いします。


●知事

前者の方でありますけども、私は、今回市民の意見が割れておりまして、お互いにヒートアップをしているという状況であります。それで、どちらにも、言わば理があるということであれば、私はその住民投票で決着をするという、そういう解決策はあってもいいと思っております。従いまして、この騒動が始まった当初から申し上げてきましたけども、私はその住民投票で決着をするのも1つの方策だというふうに考えてきまして、今回非常に困難はあったようでございますが、住民投票をやろうという条例ができたことは評価したいと思います。

こういうようなパートナーとしての行政のあり方を議論する意味で、今、鳥取県としてもパートナー県政のかたちを作ろうとしています。その中で、今、委員会も議論していまして、この年度末もやるわけでありますけども、多分新年度まで持ち越して理論すると思いますが、県政としても、そういう住民投票の導入のあり方については、検討に値する課題だろうと思っています。この辺、議会でもまだいろいろと議論があるんですけども、まずは専門家の皆さん、住民代表も入っておられますが、そうしたかたがたで委員会で議論していただくということにいたしております。

今回のその庁舎を建て替えして移転をすべきか、現在地でどうかという二者択一のことにつきましては、私自身はコメントすべき立場ではないかなと思います。先程申しましたように、デモクラシーでございますので、もう迷ったときは、やっぱり皆で話し合って決めると、そのときに投票という手段を選ぶのであれば、投票の結果で、皆で決めようという合意をした上で、このプロセスに入っていくわけでありますから、投票の結果ということに従っていく必要があると思います。そうした趣旨で、私として、今ここで発言するものでもないだろうと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

知事、ヒートアップしているというふうに言われましたけど、今日、今朝も県庁前で、竹内[功 鳥取]市長自ら立たれて投票を呼びかけておられましたけども。非常にその関心がやはり市民、高いというふうに思われていますか。


●知事

関心はそこそこあると思いますね。だから、そこそこ投票率が出るんじゃないかなと思います。それで、それについて、いろんな立場の人がどういうふうに関われるかというのは、いろいろ議論があるかとは思いますが、私は冷静に、市民に一番大切なのは、ここまできたら情熱とかいうことよりは、中身の方だと思いますね、その利害得失が誠実に判断できる材料を、十分に提供していくということが大切ではないかなと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

市長が自らそういって立たれてお一人で呼びかけられていることについては、どうですか。


●知事

それは、それぞれのおそらく公務としてというよりは、政治的な活動かもしれませんけども、私として申し上げるべきものでもないかなと思います。先程も申しましたように、本当に市民に必要なことは、やはり正確で判断できる材料、それをできるだけ客観的に提供することではないかなと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

まさに知事がおっしゃるとおりで、一市民として今さら何やっとるのかなという感想ですかね、昨日も若桜橋のところに立っておられましたけども。


●知事

今、申し上げましたとおり、今ね、やはり冷静に材料を提供するということが何より、市民にとって必要かなと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

それに関連して、知事はデモクラシーのモデルケースであると住民投票は、とおっしゃっておられるんですが、その一方で住民投票というのは公職選挙法の規定を受けないので、選挙活動が自由であるということがあると思います。どのような住民投票であってほしいと思われますか。


●知事

私はその鳥取市民の皆さんのご見識、これをしっかりと表明できる投票であってほしいと思います。おそらく、後々モデルケースと言いますか、話題になる事例になろうかと思います。ですから、今回せっかく住民投票というコストもかけた手段を選択されるわけなんで、なるほど、皆、一所懸命考えたなと、考えた結果いい結論が出ましたねと、そういうふうに後々言われるような、そういう住民投票であってほしいなと思います。



11 震災がれき受入れ 

○日本海新聞 井上昌之 記者

震災がれきの受け入れについてなんですが、[3月]25日の関西広域連合の委員会で一定の基準というのが合意に至ったと聞いています。一部焼却灰の関係ですか、国の基準よりもかなり厳しい基準を設定されたということなんですが、今、県の方でも各市町村なんか回って、いろいろお話をされている最中だと思うんですけども、この基準で橋渡しをするのか、あるいは鳥取県として独自のさらに厳しいような基準を設けるようなお考えはないのかということを、お聞かせいただけませんでしょうか。


●知事

今回、関西広域連合が示した基準というのは、非常に厳格なものだろうと思います、[1キログラム当たり]100ベクレルというのは、これは、要は今、ダブルスタンダード[二つの基準]と言われる問題になっていますけども、そのダブルスタンダードでなくせということにほかならないものでございますから、その100ベクレルという基準以上のことは、多分元々想定し得ないものぐらいのレベルではないかなと思います。それから、焼却後の2,000ベクレルという基準設定もございますけども、私は関西広域連合の一角をなしているところでもありますけれども、重要な参考指標だと思います。国の基準に対して、昨日も本当に明確な話もなくて残念ですけども、国の基準について、多くの国民がいぶかしがっているという現状を考えますと、関西広域連合の指標を念頭に置いて議論をするというのは、私は選択肢としてあり得るのかなと思います。

ただ、これ、再三申し上げましたように、ちょっと県として非常に微妙な立場なところは、県では処分権がない、最終的な処分権がない事項なものですから、これは市町村、広域連合といったところで、最終的にうちはこういう基準をということを打ち出されていくべきものだと思います。その足かせをはめるようなことは、要は最終的な決定権がない県として申し上げるのもいかがかなと思います。ただ、県職員にも市町村と議論するときは、この関西広域連合の基準も重要な指標ではないかということでお伝えはしているところであります。


○日本海新聞 井上昌之 記者

じゃ、今のところ、県が安全性を確認できると考えている指標としては、この関西広域連合の指標が最低限の基準であると、そういう認識ということでいいでしょうか。


●知事

ええ、そうですね。その関西広域連合の基準の方が国の基準よりは妥当ではないかなと考えております。ただ、最終的な具体的基準設定は、結局処分場の能力だとか、いろんな要素が関連するものでありますので、最終的にどういう数字で受け入れ基準を設定するかの設定権は市町村側の方にあると思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

それに関連しまして、知事が環境省に申し入れをされたということがあったと思うんですが、どういったやり取りがあったのかということと、そのやり取りを踏まえて今回の環境省の担当者の対応をどう考えるかということをお願いいたします。


●知事

私自身は米子市の方で非常に重たい決意を持って表明をされた以上は、国に対して訴えかけるべきことを訴える必要があると考えまして、その環境大臣の方に電話で要請をさせてもらいました。その際に最終処分地を国有林などで受けるんだという可能性の表明が野田[佳彦]総理[大臣]からもございましたし、それを考えてくれと、それからあと基準については、地元なりに厳しい、国の厳しい基準を考えながら受け入れるということもあろうから、それも考えてもらう必要があると。あと3点目としては、財政問題、財政負担をその現場の方に求められては、この処理は進まないということを申し上げました。細野[豪志 環境]大臣からは、そういう地元としての努力があったこと、率直に感謝の弁を述べられておられまして、早速担当者を派遣をするということで、月曜日にでもということで、翌週月曜日に人を送ってこられました。ただ、残念ながらこのかたは、中四国地方環境事務所の担当者でございまして、国の要請書を置いて帰っただけの、単なるメッセンジャーだったんですね、だから、ちょっと不信感がどうしてもあります。本気で地方と向き合って議論しようというのが、末端の職員まで届いているのかなと。それで環境省の職員の皆さんはどうも保身に走って、火の粉さえ降り払えばいいというような感じが無きにしも非ずかなという思いがするわけであります。

昨日も説明会の方でお話がありましたけども、国有林の活用について消極的な発言をされて帰られましたし、それから受け入れの基準のことについて、言葉を濁されていましたし、財政問題については検討中のことですと、いったい何しに来たのかなという感じがいたします。これほど、もう[東日本大]震災があって[昨年]3月11日から1年以上が経っているのに、要は言葉だけで受け入れろと言っていて、それで、現実にその受け入れ体制となると、それは決まっていません、協力できません、こういうことを判断権もない人がやってきて、述べて帰っていったのでは物事前に進まないと思います。ですから、国も真剣にこの問題取り組むべきだと思うんですね。おそらく一番大切なのは、被災地の皆さんだと思うんです。それで、被災地の側で、国のメンツはともかくとして、国のメンツとして自分のメンツが立たないので、国民性の問題があるから地方で受け入れろというのは簡単なことでございますけども、被災地として、本当にどれだけの量を受け入れてもらわないといけないのかというところが未だにはっきりしないわけですね。

現に宮城県、岩手県、地方側で広域処理をしろという話になっていますが、現地では、知事さんや市町村長さんはじめ、皆一所懸命になって、その処理容量を増やそうと頑張っておられるわけです。それに雇用も関係してくるわけでございましてね、被災地の雇用も。本当にどれほどの量が、じゃあ、地方に行かざるを得ないものなのかというのはやっぱりはっきりしないと。それで、どういうようなことで国が動きたいのかというのがはっきりしない。それで、野田総理がこういうことで受け入れのためのスキーム[枠組み]を打ち出しましたと報道はされていますけども、現場の職員がやってくると、それは、いや、それは検討中です、いや、それは難しいでしょうと言って帰るんであれば、何のための表明だったのかということでありまして、頑張ってリスクを取って受け入れるぞと鳥取県や米子市が言い始めているときに、梯子を外すような話だと思います。

ですから、国も緊張感を持って、私は細野大臣なんかは一所懸命やっておられると思うんですけども、その出先機関任せで判断権も与えずに、人をよこして何とかなると思ったら大間違いだと思いますね。


○朝日新聞 宋潤敏 記者(幹事社)

いかがでしょうか、かなり時間が経っていますけども。


○読売新聞 野口英彦 記者

先程のことを踏まえて、昨日の環境省の職員の話は、トップである野田総理の国有林の活用の方針を否定するような、ちょっと民間企業で言えば社長の言うことを社員が否定するような話でちょっと驚いたんですが、そういうことを踏まえて、改めて環境省に申し入れなり、抗議をされるお考えはあるのでしょうか。


●知事

それは年度が明けたら環境省に対すること、それから原子力安全の問題は、ちょっと微妙になってきて、[原子力]規制庁がどこにいくか、訳が分からなくなっていますんで、難しいんですけども、そういう原子力安全対策など緊急に要請する必要がある課題を整理して、年度明けに要請活動を行いたいと考えております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

一言。さっき昨日の米子での説明の話があったんですけれども、我々米子の現場を知らないものですから、知事から一方的に環境省のことを言われても、正直言ってそれは嘘ではないと思うんですよ。ただ、現場を知らない我々としては、それを判断できる材料がないもんですから、知事一方的なそういう言い方ってあまりよろしくないんじゃないんでしょうか、どうでしょうか。


●知事

やはり、ここまできたらば、ちゃんと地域と折衝する態度で臨んでこなきゃいけないと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

それは分かります。


●知事

通り一遍の説明会をやって、それで、アリバイを作られたんじゃ、ちょっとたまったもんじゃないと思います。皆、今身を乗り出して、市議会であれ、その受け入れの可否について判断しようとしている。それで、県議会では市町村に受け入れを促進するように、県も働きかけなさいという決議までしている。ここまで来ているわけですから、国もやはり自分たちのやるべきことはクリアしながら、こういう地方との話し合いに臨むべきだと思います。今はまだ皮切りかもしれません。ですから、これからまだまだ議論は続くのだとは思いますけども、そうこうしている間にどんどん被災地の瓦礫は溜まっていくばかりでございますので、やはり国全体のことを考えると、非常な憂いをもって、この問題について残念な気持ちもあります。


○山陰中央新報 太田満明 記者

庇うつもりはないんですけれども、何も国の方を。ただ、一方的な言い方になるとちょっと理解に苦しむ部分も出てくるのかなと思ったもんですから、誤解と言いますかね。


●知事

はい。それは国と地方で誠実に協議をするということだろうと思います。国だけでも処理ができない、地方だけでも処理ができない、だからこそ、やはりそれは本省の人間なり、地方関係事務所、役に立たないのであれば、本省の人間なりをよこして、これについては分かりましたと、引き取って帰りますというぐらいの折衝をすべき段階だと思うんですよね。そうでないと非常に混乱が生じると思います。結局今までの震災対策みんなそうでありますけども、その混乱だけが地方へと波及してしまうというのは、僕は国全体としては得策でないだろうと思います。


12 国家公務員給与引下げ 

○読売新聞 野口英彦 記者

国家公務員の給料を平均7.8%下げるという法案が成立しましたけども、これを機に地方も身を切るべきだという論議が一部であるんですが、それについてどうお考えでしょうか。


●知事

地方はもうすでに身を切ってきています。現に鳥取県はラスパイレス[指数(国家公務員を100とした場合の地方公務員の給与水準を表す指数)]で94とかいう数字になっていまして、県内でも際立ったぐらいのことまでやってきています。これは職員の皆さんにもご理解、納得をいただきながら進めてきております。ですから、国が自分らがようやっと腰を上げたから地方もやれというのは違和感をいろんな自治体覚えているんじゃないかなと思います。今回のそういう一連の動きが、地方の財源切りということに帰結しないように、そこはしっかりと議論をしていただきたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

ただ、地方公務員法には、職員の給料は国や民間企業なんかのことを勘案して決めるとなっていますが、それについてどうでしょうか。


●知事

ですから、そのぎりぎりのところで、鳥取県の場合は民間給与準拠であるから94%まで下がっていますね、国の、そういうようなことをずっとやってきているわけであります。国家公務員への準拠も当然ながらありますけども、今、鳥取県のことで言えば、県職員のレベルにようやっと国が追い付いてきたと。だから国のレベルを気にして、我々が影響を受けるという法的な状態ではないと思います。




13 関西広域連合のガバナンス 

○読売新聞 野口英彦 記者

関西広域連合なんですが、滋賀県議会が、広域連合の議席配分でもめまして、最終的には政令市の加入が認められたんですけども、今回の騒動を通じて広域連合のガバナンス[統治能力]に疑問符がついたとお考えではないでしょうか。


●知事

いや、結局解決しましたんでね、私はむしろ生みの苦しみがあったのかなと、それで一体感を持って、別々の府県であっても市であっても、最後の結論は1つに導くという努力する姿勢が確立されたかなと思います。その意味で、途中ごたごたしましたけども、それは、私はデモクラシーですからしょうがないと思いますが、最後はまとまれたということを評価したいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

こういった重要な事項については、参加各府県の同意を得るという仕組みなんですが、これは理想としてはいいけども、なかなか難しいかなという感じもするんですね。そこで、例えば広域連合の執行部と、広域連合議会がもっと物事を決められるようにした方がいいとお考えでしょうか。


●知事

私は、むしろコンセンサス[合意形成]方式が鳥取県については砦になると思います。ですから、現行の制度を基本にして理事会制にするとか、そういうあたりが制度的な方向性として望ましいと考えておりまして、むしろ、大阪集権的にやることを望んでいる自治体は、本当は少ないと思います。


○朝日新聞 宋潤敏 記者(幹事社)

各社さん、よろしいでしょうか。では、これで定例会見終わらせていただきます。


●知事

はい。どうもありがとうございました。
  

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