防災・危機管理情報


平成24年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。

 今議会に提案いたしました議案は、             
  予算関係       32 件                 
  条例関係       40 件
    その他の案件   17 件 の合計89件であります。

 最初に、議案第1号 平成24年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 昨年は、年始早々の豪雪に始まり、東日本大震災、それに起因した福島第一原発事故、台風12号など厳しい災害の爪痕を目の当たりにした年でした。
 また、欧州金融危機や記録的な円高、企業再編など県内の雇用・経済を取りまく情勢は厳しさを増し、少子高齢化や中山間地域問題などの待ったなしの課題も抱えています。だからこそ、今、こうした災禍や雇用、経済、社会情勢を乗り越えるべく、人口最少県の鳥取県がその機動力を活かし、フロントランナーとして日本の元気を力強く回復する役割を担わなければなりません。
 私は、昨年4月に「みんなでやらいや未来づくり」を掲げ、2期目の県政を預からせていただくこととなりました。県議会の皆様、県民の皆様とともに地域と暮らしに活力と安心をもたらし、誇り高き鳥取県の未来の姿を、一身を捧げて創り出していく決意であります。
 昨年末には、中国電力との間で島根原子力発電所に係る安全協定を締結しましたが、原子力防災の体制づくりや津波対策など災害に強いまちづくりは喫緊の課題です。震災後の日本に必要となった絆を太くして安心を生み出すとともに、海外への産業活力の流出を食い止め雇用を守る国づくりを断行するために、鳥取県は先頭に立って「支え愛」のまちづくりを強化し、中小企業チャレンジ支援や雇用創造1万人プロジェクトを本格的に展開していかなければなりません。エネルギー革命の先進地として、メガソーラー発電所の誘致やエネルギーシフトを推進するとともに、「まんが王国とっとり」建国イヤーを飾る「国際まんが博」を開催し、鳥取自動車道の全線開通などの陸路整備に加え、航路・空路の活性化など北東アジアゲートウェイを次のステージに進めて、輝く国際リゾートに向けて踏み出していきます。「人財とっとり」の推進も本格化させ、県内小中学校の全学年での少人数学級を実現するとともに、新生公立鳥取環境大学もスタートさせます。
 本年はこうした壮大な挑戦、チャレンジに乗り出し、鳥取県の未来づくり発進の年にしたいと強く願っております。
他方、現下の経済情勢を反映して法人二税の減等により県税収入が低水準で推移し、地方交付税、臨時財政対策債と合わせた一般財源がかろうじて前年度並みに見込まれるものの、公債費負担が引き続き高水準にあるほか、社会保障関係経費が増加傾向にあるなど、依然厳しい財政状況にあります。
こうした中にあっても、平成24年度当初予算のみならず、平成23年度11月補正予算、今回提案した2月補正予算を通じた16ヶ月予算を展開し、4,400人分の雇用経済対策を切れ目なく実施するとともに、鳥取県の未来づくりにチャレンジする事業を積極的に計上することといたしました。
 また、予算編成にあたりましては、県民の皆様との議論に基づいて施策を練り上げる一方、本県独自に行った「事業棚卸し」結果等も踏まえ、事業全般にわたって内容を精査し、最少の経費で最大の効果を上げるよう細心の注意を払って予算を編成いたしました。

 それでは、平成24年度当初予算案の概要について御説明申し上げます。

 第一の挑戦は、「夢・未来チャレンジ」であります。
 まず、「人財とっとり」の推進であります。
 小学校1・2年、中学校1年で実施している少人数学級をその他の学年に拡充し、義務教育全学年の少人数学級を実現します。また、少人数学級を活かした小中学校の授業改革や高校生の学力向上を推進するとともに、不登校児童生徒の減少を図るため、未然防止対策など総合的な不登校対策に取り組みます。さらに、国際社会で活躍する人材を育成するため、高校生の海外留学の支援を強化します。
 次に、子育て王国とっとりの推進であります。
日本一の子育て環境を目指し、これまで取り組んできた子育て応援パスポ
ート事業等の充実に加え、男性の育児参加に向けた全国フォーラム開催、婚活応援などにも取り組みます。また、幼保一体化に向けた幼児教育の充実のため、保育士及び教職員の相互研修を実施します。
次に、「鳥取の誇り」の創造であります。
本年は、国際マンガサミット鳥取大会が開催されますが、その成功を図る
とともに、一過性のイベントに終わらせないため、「まんが王国とっとり」建国による地域活性化へつなげていくこととし、国際まんが博を市町村や県民と一丸となって全県的に展開します。また、まんがをコンセプトにしたチャーター便ツアー造成や首都圏・関西圏でのイベント展開、ラッピング列車を活用したPR等により全国・海外への情報発信や観光誘客を戦略的に推進します。さらに、「まんが王国応援団」を結成し、高校生などを含め人材育成の裾野を広げるとともに、まんが・アニメ等のコンテンツを活用した企業の新たな取り組みを支援します。
 次に、北東アジアゲートウェイ・セカンドステージに向けてであります。
中国や台湾・ロシアなどとの新たな航空路実現に向け強力に働きかけるとともに、米子ソウル便や環日本海定期貨客船を利用した外国人観光客誘致を強化します。また、環日本海時代をにらんだ新たな物流を起こすためトライアル輸送を展開するとともに、境港が日本海側拠点港としての役割を果たすため、コンテナターミナル拡張、大型クルーズ船の寄港や貨物輸送に対する支援を行うこととします。
 また、山陰海岸世界ジオパークについて、優れた自然を活かした体験活動やボランティアガイド育成に取り組み、女性モニターツアーの実施など県外PRも強化します。まんが王国、古事記編纂1300年等を素材に10月から実施される「山陰デスティネーションキャンペーン」をフル活用し、本県の魅力発信や誘客促進に戦略的に取り組むとともに、平成25年度に向けて「全国植樹祭」や「エコツーリズム国際大会」の開催準備を進めるほか、西部のサイクリング、中部のウオーキング、東部の若桜鉄道など地域資源を活用した観光地づくりを推進します。さらに、「とっとり暮らし」の魅力発信など移住定住の促進を図るとともに、無料でブロードバンド環境が利用できるアクセスポイントを県内各地に整備し、観光客や来県者のサービス向上に取り組みます。

第二の挑戦は、「産業・雇用元気チャレンジ」であります。
 まず、経済成長戦略断行であります。
本県の未来をリードする産業を創造するため、環境、エネルギー、バイオなどの次世代型産業育成を戦略的に追求します。県産LED製品のブランド力向上、販路開拓等に向けた支援を行うとともに、太陽光発電設備の施工・維持管理などの人材育成を推進します。また、バイオ関連産業を県内に集積させるための融資制度や利子助成を創設するとともに、医療機器産業分野への県内企業の参入に向け、大学、企業等との医工連携に取り組みます。
 次に、雇用創造1万人の実現についてであります。
 現下の厳しい雇用情勢に配慮し、若者が定着できる社会の実現を目指すため、「雇用創造1万人プロジェクト」を強力に推進し、農林水産業・福祉・教育なども含め精力的に幅広く雇用を産み出してまいります。また、県版経営革新制度を創設し、中小企業の新たなチャレンジや雇用創出を後押しするほか、建設事業者等による介護ビジネス・林業への参入や情報通信技術を活用した新ビジネスモデル開発などを支援します。さらに、職場体験型雇用事業や立地企業に対する雇用奨励金支給等により、正規雇用を着実に下支えしていきます。
 次に、やらいや農林水産業についてであります。
生産拡大による地域活性化や雇用創出を目指し、意欲的な農業者、法人等に加え、農業を核とした地域全体の振興に取り組む産地全体への支援を開始します。また、梨新品種の生産拡大と二十世紀梨ブランド再興、果樹農家の担い手づくりのほか、乳牛増頭対策などにも新たに取り組みます。また、県産品の販路拡大を図るため関西圏での新たなインショップ展開を図る団体の取り組みを支援するとともに、原木しいたけ産地づくりや間伐、路網整備等も推進します。さらに、昨年度の「第31回全国豊かな海づくり大会鳥取大会」の成果を基に、新たに定置網漁場拡大、井戸海水や陸上養殖導入の調査を行うなど、本県水産業の振興に向けた「豊かな海づくり」に乗り出します。
 次に高速道路整備などの社会資本整備であります。
 県内外をつなぐ交通基盤整備が急務であり、引き続き山陰道、北条湯原道路、鳥取豊岡宮津自動車道、江府三次道路等の高速道路整備を積極的に進めます。24年度中には鳥取自動車道が全線開通予定であり、関西、中京、中四国エリアに対し重点的に観光誘客、情報発信を行うとともに、企業立地を促進するなど確かな産業展開に結びつけていきます。
 また、公共事業については、国の公共事業予算が削減される中厳しい財政状況であるものの、単独事業を前年比9.4%増とすることにより、公共事業全体で対前年度比1.3%の増としたところであり、県民にとって重要なインフラ整備を着実に実施しつつ、県内経済への影響を極力緩和する着地点を見いだそうとしたところであります。
 また、事業棚卸しの結果等を踏まえ、名古屋本部を廃止して新たに名古屋代表部を設置することとし、中京圏における企業誘致、観光情報発信などを関係団体の職員と一体となって効果的・効率的に実施する「ふるさと鳥取県産業・観光センター」に一新することといたしました。

 第三の挑戦は、「絆・あんしんチャレンジ」であります。
 まず、災害に強い地域づくりであります。
東日本大震災を教訓に、市町村・企業・医療・福祉施設と連携して県版のBCP(業務継続計画)の策定を鳥取県全体で進めてまいります。また、衛星携帯電話配備など減災・防災の取り組みや、新たに設定された津波浸水想定等に基づくハザードマップや案内表示の作成、津波避難施設等の整備などについて市町村支援を強化します。さらに、福島第一原発事故を踏まえ、島根原子力発電所で同様の事故が起きた場合に適切に対処できるよう、SPEEDIシステムの改修やモニタリング機器等必要となる資機材の整備を行うとともに、県内の緊急被ばく医療体制整備強化のため、安定ヨウ素剤や汚染防護資機材の整備を着実に進め、県民の安心づくりに取り組んでまいります。
 次に、「支え愛」のまちづくりの展開であります。
平成23年度2月補正予算で「とっとり支え愛基金」を創設することとし、この基金を活用して高齢者・障がい者等の生活を地域で支え合う活動、中山間地域や「まちなか」での生活環境を整える取り組みなどを推進します。地域の民家や公民館等を活用し、高齢者の日中の居場所づくりや住まいの提供を行うモデル的な取り組みを立ち上げるとともに、高齢者・障がい者をサポートする成年後見支援センター開設を市町村と協調して支援します。また、商談会参加助成など事業所で働く障がい者の工賃水準向上を図ります。さらに、中山間地域で暮らす人々が安心安全に住み続けられるよう、買い物支援やコミュニティビジネスに対する支援を拡充するとともに、地域支援サポーターの配置や大学の人材活用等、集落支援体制を充実し、まちなか過疎・振興対策にも着手することとしました。
 次に、安心医療と健康づくりであります。
腎センターや感染症病床の整備支援、医療連携体制の構築等を推進するとともに、「地域医療支援センター」を設置し、地域の医師確保と医師のキャリア形成支援を推進します。また、企業での特定検診とがん検診の同時受診の促進、女性特有の乳がん検診等強化など、がん対策を戦略的に推進するとともに、糖尿病や慢性腎臓病の予防対策にも取り組みます。
 次に、とっとり環境イニシアティブであります。
NPO、地域、企業と協働して全国をリードする環境実践を進めるため、市町村の新たなエネルギーシフト・省エネ・リサイクルの取り組みを支援する交付金を創設するとともに、島根県や関西広域連合と連携して新たにエコポイント制度を導入します。また、再生可能エネルギー導入を加速させるため、従来から行っていた住宅用太陽光発電導入支援に加え、中小企業、福祉施設、農業施設などあらゆる事業体の太陽光発電設備整備を支援します。また、国の規制緩和にあわせた農業用ダムへの小水力発電の導入や県営ダムへの小水力発電の設置を積極的に推進します。さらに、電気自動車等の普及に向け、公用車への率先導入や購入助成を行います。
 次に、パートナー県政の推進であります。
県民、団体、企業、NPO、市町村などの協働による地域づくり活動を一層推進するため、鳥取力創造運動を拡充して、団体ネットワーク構築やビジネスモデル創出を新たに支援します。また、ボランティア活動の更なる充実のため、ボランティアマッチングデータベースの整備や弓ヶ浜の松林アダプトプログラムの導入など多様な活動を推進します。さらに、県民に開かれた県政の礎を確かなものとするため、県民参画基本条例の検討を進めます。

 以上により、平成24年度当初予算案の総額は3,302億2,800万円を計上することとし、平成23年6月補正後予算に比べ0.9%減となるものであります。

 続きまして、議案第21号 平成23年度鳥取県一般会計補正予算につきましては、先般の豪雪に際し、必要となる除雪経費を増額するとともに、被害が想定される農業者に対し園芸ハウス・果樹棚等の復旧や融雪剤の散布等の支援を緊急に行うなど豪雪被害緊急対策を実施することといたしました。

 また、とっとり支え愛基金の創設や鳥取力創造運動推進基金の積み増しのほか、国4次補正に伴う安心こども基金など福祉・子育て等に係る基金の延長・積み増し、農業生産基盤整備の前倒し、梨選果場や県産材を活用した木造公共施設等の整備支援、原発対策モニタリングポスト増設などを計上することとし、一方で現時点で確定できる不用額を精査いたしました。その結果、23億1千万円余を減額することとし、補正後の平成23年度予算総額は、3,567億5千万円余となるものであります。

 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。

議案第36号 鳥取県スポーツ審議会条例の設定につきましては、スポーツ基本法が制定された趣旨や本県のスポーツ振興施策の充実が求められていることに鑑み、鳥取県スポーツ審議会を設置しようとするものであります。

議案第38号 鳥取県情報公開条例及び鳥取県個人情報保護条例の一部改正につきましては、「透明度全国ナンバーワン県庁」の地位を堅持するとともに、県民参加による開かれた公正な県政を一層推進するため、県が基本財産の全額を出資する法人等を当該条例の実施機関に加えるほか、一部出資法人や補助金等交付団体の情報公開も併せて強化しようとするものであります。

議案第46号 鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例の一部改正につきましては、中山間地域対策について関係各位とともに検証した結果を踏まえ、安全かつ安心な定住環境の確保及び充実、産業の振興、中山間地域の公益的な機能の維持増進など今後重点的に取り組むべき施策を定める等、施策内容の強化を行おうとするものであります。

議案第64号 鳥取県立高等学校等設置条例の一部改正につきましては、知的障がいがある生徒が自立しながら地域で生活できるよう鳥取県立琴の浦高等特別支援学校を、新たに設置しようとするものであります。

 議案第81号 公立大学法人鳥取環境大学中期目標の制定につきましては、新たに発足する公立大学法人鳥取環境大学が平成24年度から29年度の6年間に達成すべき業務運営に関する中期目標を定めようとするものであります。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

  

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