防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2012年5月23日)

平成24年5月23日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約75分) ※MPEG4形式

  

1 6月補正予算 

●知事

 皆さんおはようございます。いよいよ6月の県議会を控えまして、6月補正予算の編成作業が本格化することになりました。私も今日以降、その予算編成作業に携わることになります。昨日は雇用創出に向けた〔雇用〕1万人を目指そうという会議が開催をされまして、今年度4,300人の雇用を緊急雇用も含めて目指していこうということが了解をされました。こういうようなことなどを含めて、非常に今厳しいいろんな状況がありますが、〔平成24年度〕当初予算では、見込み得なかった事柄につきまして、柔軟かつ強力に予算計上をしていく必要があると認識をしております。

 いろいろ今、県庁内の各部局間の議論が始まっておりまして、ざっとこう積み上げてみた感覚で言いますと、総額ベースでは40億〔円〕を超えてきて、40億円台の後半、50億〔円〕にはいかないとは思うんですが、40億円台の後半ぐらいに積み上がってくるかなと、今そういう作業を開始しているところでございます。具体的には、私自身もひょうの被害、先般も見てまいりました。実は、その後も毎日のように現場を情報収集をしたり、関係者で話し合ったりが続いておりますけれども、日々被害が拡大をしているという状況にございまして、予断を許さないわけであります。

 そういう中で、例えば、B級規格品と言われるようなもの、市場にそのまま持っていくと買い叩かれるようなものを別の梱包にしまして、これを県内のさまざまな所で売っていこうとか、そんな動きを始めております。県庁としても共同購入をしようかというような呼び掛けを始めたところでございますが、そういういろんな取り組みが始まりつつございます。また、このひょうの前には大風が吹きまして、その暴風と降ひょう被害の対策がございます。すでに予備費で5,000万〔円〕程度執行したところでございますが、さらに6月補正〔予算〕でも1億円を超える規模で対策予算を県費で計上していきたいと考えております。

 具体的には、例えばブロッコリーで言えば、今後秋冬期の植え替えが予定をされますが、そういうものが収入がなくても滞りなくできるような、そういう支援策でありますとか、それから、各種の施設災害対策でありますとか、いろんな経費が入ってこようかと思いますが、1億円余りの対策予算を県費ベースで計上していく必要があるかなと考えております。

 また、昨日の雇用推進の会議でもいろんな意見が出されました。これから年度末に向けて金融制度が変わる可能性が高いということもございます、これ国全体の問題でありますが。そういうことに備えて県として単独で中小企業向けの新しい融資制度を検討する必要があるかなというのが1つあります。また、なかなか会社の借入額が積み上がってきておりまして、懇切丁寧な指導と言いますか、相談体制が必要であろうということもございます。従来からやっていることをさらに強化をしまして、県内にそういう拠点を作って、企業支援のネットワークづくりを、強化をするということも必要かなと考えております。そういうさまざまな産業雇用対策も急がれるんではないかなと考えております。

 また、まんが王国関係、「国際まんが博」関係では、先般、地域や民間の皆さんのいろんな企画を募集しましたら非常に大きなレベルで要求と言いますか、要望がございました。エントリーがございました。これは地域の方で、今鳥取県の方で仕掛けている漫画をモチーフにした地域づくりにこうしようという動きが急速に広がった結果でございます。従いまして、この火は消す必要がないし、むしろ今年はやってみて、さらに来年以降、良いものは残し育てていくという趣旨で、若干、増額をする必要があるかなと、具体的には漫画ゆかりの地域で境港〔市〕とか北栄〔町〕とかそういう地域がございますけども、そうした地域などでまとまった動きが出ているところを、応援をして、夏から秋にかけての「国際まんが博」シーズンに地域、現地、現場とともに備えてまいりたいというふうに考えております。

 そういうような予算に加えまして、原子力安全の関係も重要でございます。原子力安全につきましては先般、関西広域連合が開かれまして、細野〔豪志〕原発担当大臣や齋藤〔勁〕内閣官房副長官もお見えになりまして、国側の考え方の説明がございました。丁々発止のやり取りが私たち首長側との間でございまして、その後も若干この議論が波紋を呼んでいると思います。その席で私が細野大臣に強く申し上げましたのは、地域として周辺部分が安全対策を手掛けようと、今、動き始めたわけです。しかし、総額が抑制されていて初動で十分に動きが取れないと、こういうことでは原子力発電所を動かすというどころの騒ぎじゃないんじゃないでしょうか。やっぱり再稼働を検討するのであれば、そうした周辺の安全対策ということをしっかり制度を改正してもやっていくと、そういうことが必要ではないですかという訴えかけをさせていただきました。

 そういう中で、私どもでも見込み得ることは今年度もやっていきたいと考えておりまして、可搬式のモニタリングポスト〔放射線監視装置〕を当初予算で加えまして、さらに増設を考えたいと思っております。今、国と折衝中でありますが、ある程度国との協議が整いそうな部分を見越しまして、計上を図っていきたいと思います。また、被ばくをしたんではないかと、福島から来られたかたがたが不安に思っておられることを受けまして、小さなお子さんには広島大学等で受診していただける、そういう予算もこの度の6月補正予算の中で検討させていただきたいと思っております。

 そうしたさまざまな予算項目があるかと思いますが、今日からしっかりと議論もさせていただきまして、今、鳥取県として向き合うべき課題に鳥取県なりの考え方を予算案として示させていただきたいと考えております。


2 モニタリングポストの測定データ公開 

●知事

 先程申しました原子力安全対策では、県内で今、5か所のモニタリングポストの設置を進めています。従来から中部地域に2か所のモニタリングポストがございました。木地山と〔鳥取県〕衛生環境研究所でありますが、それに併せて、今、7か所の整備を急いでいます。そのうち2か所は国の予算との関係がありまして、今よりは若干遅れますけども、近々オープンをしたいということでありますが、他の5か所につきましては、だいたい整備が整います。それで、今週いっぱいで通信回線なども含めて整備が終了するだろうということでございます。具体的には日野総合事務所とか、南部町の〔法勝寺〕庁舎のところですとか、そうしたところなど5か所あるわけでございます。その5か所分と県内の従来の中部にあります2か所分と合わせての7か所分につきまして、週明けの月曜日からリアルタイムでデータの公開をしていくという体制をつくることにいたしました。

 当面は、これ、文部科学省の方の予算を活用して我々の方で整備を急いだものでありますので、文部科学省の方のサイトで当面公開されてきます。さらに、県で独自にそれを把握をして公開をするという回線も今後、整備をしていきたいと思っておりまして、これも遠からず県としての表示ができるようにしたいと思います。当面は国のサイトを活用して、それで用に供したいと思っております。また、溝口〔善兵衞島根県〕知事とも話をして、島根県サイトとつないだり、それから島根原発のサイトですね、こちらともつないでいくと、そうやって地域のいろんな情報が我々現場レベルで把握できる体制づくりは今後、協議しながら進めていきたいというふうに考えております。

 そういう中で、これからの体制づくりを急いでいきたいと思っておりますけども、国の方のまだまだ我々としての要求に応えてくれてない部分がありますので、今後ともしっかりとした要請活動をしていきたいと思います。近々は中国地方の知事会も開かれる予定もございますし、そういうところでも原子力安全の課題について、議論を私どもの方からもさせていただきたいと考えております。


3 企業誘致と王子製紙(株)本社訪問 

●知事

 次に企業誘致の関係につきましてでありますけども、昨日はヤマト運輸〔株〕さんで250名の雇用が実現をしました。これは他地域とかなり競争的な状況ではあったわけではありますが、鳥取県の立地を評価をしていただき、特にヤマトホールディングスの瀬戸〔薫〕会長のご理解もございまして、徐々に規模も大きくなって、今回こういう話で動き出すということになりました。こういう意味で、事務系の企業誘致を強化する必要があるかなと思いますので、こういう事務系の強化につきましては6月補正予算の中でも、今、非常に濃厚な折衝をしている相手がた企業も他にもございますので、そうしたところを見越して後押しとなるような施策も作り上げて、こういう体制を整えていきたいと思います。

 また、企業は、特に製造業は海外に流出するという圧力がだんだんと強まっています。そういう中で、県内の有力な雇用の場であり、県の生産を引っ張ってもらっている王子製紙〔株〕さんがございますが、この王子製紙さんの方に、先般、進藤〔清貴〕社長を訪ねました。王子製紙の幹部のかたがたと意見交換をして、かねてからお互いに協議のテーブルに載せていた構想を前へ進めようということで、話し合いをさせていただきました。また、細かいことは今後、詳細詰めていくということになろうかと思いますが、例えば、王子製紙さんで言えば、中国の上海の近郊にあります南通というところに巨大な製紙工場を造っているわけです。それから、王子製紙さんもおっしゃっていましたけれども、国内での紙の需要というのはやはり多くこれから伸びていく状況にないということがあります。そうであれば、いろんな業態を王子製紙としても探っていきたいということがありまして、我々としてもそれを、じゃ研究とか、そういう業態転換の後押しをしましょうというお話をさせていただいたところでございます。

 具体的には79億〔円〕ほどの投資規模で、これから事業を今年度以降やっていこうという話になってきております。それは木質のバイオマス〔植物資源を使った材料〕がありますが、そういう木質バイオマスを、それを紙にするということだけではなくて、いろんな素材として活用できる、例えば健康素材だとか、いろんなものがあります。また、製紙の過程で必要となるような原料を、外国から輸入しているようなものを内製化と言いますか、米子の地で作っていくということもあるわけであります。例えて言えば、セルロース〔植物繊維の主成分〕というような素材であるとか、そうしたものを作っていくというお話でございまして、そういうふうにして県内での雇用を確保すると、そして、業態転換によって今後の需要をつかんで発展してもらうという後押しも必要かと思います。この辺、我々としても最大限の支援をさせていただくお約束を、先般、進藤社長に対して申し上げたところであります。

 こうした事務系もそうでありますが、製造系につきましてもグローバルマザー工場〔世界化を先導する代表となる工場〕と言われるような構想であるとか、そういう今後の経済変動に即応した企業の動きを、応援をしてまいりたいと考えております。


4 北東アジア地域での観光交流 

●知事

 また、そうした企業につきまして魅力となってくるのは海外との結び付き、アジア地域との結び付きということではないかと思いますが、明日〔5月24日〕はいよいよクラブハーモニーという船が境港に入港することになり、我々として地域挙げて、これ、島根県もご出席になりますけども、両県でお祝いをし、歓迎をしようということにいたしております。

 それで、ハーモニークルーズ社のハン〔・ヒスン〕会長もご来県をされますので、いろんな意見交換もさせていただきたいと思いますが、非常にこれまで長くこのクルーズ船の誘致に携わってきた者として非常に喜ばしい展開ではないかなと思います。〔韓国〕釜山〔プサン〕からこっちに入って来まして、こっちから今度は北陸の方へと抜けていくというコースになりますが、来られたお客様に満足して帰っていただけるようにしていきたいなというふうに念願をいたしております。また、APECで注目をされる〔ロシア〕ウラジオストクにおきまして、〔第16回太平洋〕国際観光展〔示会〕が実施をされますが、〔5月〕25日~27日まで実施されるこの観光展におきまして、鳥取県からもPRへ出かけで行くことにいたしました。「国際まんが博」もございますので、漫画家のかたにも協力をしていただいて、まんが王国とっとりを、アピールをしたり、鳥取県の観光の魅力を強調してやっていこうと、こういうようなことを考えているところでございます。


5 週末イベント 

●知事

 イベント関係では、先般、県の植樹祭を実施をしました。今回の県の植樹祭は来年の第64回全国植樹祭に備えて同じ会場でやるということでございますが、いろいろと反省点もあるかと思いますので、その辺も総括をして来年につなげていきたいと思います。その全国植樹祭でありますが、いよいよ今週末に山口県のきらら博記念公園で実施をされまして、天皇皇后両陛下も山口〔県〕へ行幸啓になるというふうに決まってまいりました。私も引き継ぎ式を、セレモニーがございましてこの式典に参加をさせていただき、鳥取県で新しい年に力強い全国植樹祭を展開することを全国の皆さまにお誓いをしてまいりたいと考えております。この全国植樹祭につきましては、県民各位の絶大なご協力が必要でございますし、大変大きな行事でございます。この際、大勢のかたがたがお見えになりますので、県内の食のみやこぶりであるとか、観光の魅力であるとか、そうしたところも納得をして帰っていただけるようなおもてなしを県全体で展開をしたいと考えております。多くのかたがたのご協賛をいただければと思います。

 また、やはり今週末になりますけれども、県の西部におきまして〔皆生・大山〕SEA TO SUMMIT〔2012〕が開催をされます。これは実行委員会形式で行われるものでありまして県も協力をしておるわけでございますが、この度の会には、国連の認定をされました森づくり運動のリーダーとなっておられます畠山重篤さん、「森は海の恋人」という言葉で有名な牡蠣養殖に携わっておられて、今回も〔宮城県〕気仙沼で津波の被災をされたという非常に厳しいご経験もされました。鳥取県の方にご来県いただきまして、シンポジウムに参加をいただけるということでございますが、競技も競技でございますし、そういういろんな話も聞けるチャンスでございますので多くの皆さまにもご参加をいただければありがたいと思います。私の方からは以上です。


○中国新聞 円山文雄 記者

 では、各社お願いします。


6 降ひょうによる農作物被害 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません。ひょうの被害の対策のことでB級品になる規格品を買って云々という話をちょっともう少し詳しく伺いたいと思います。


●知事

 はい。ブロッコリーで言えば、言わばつぼみにあたる花蕾というものを提供していくわけですね、それで、今回はひょうが降りました。現場を見ますと結構大きなひょうが一面に降った感じでございまして、積乱雲が通った後は畑全体がのべつまくなしの状態で、葉っぱは折れ、それからつぼみに当たったところは色が変わっています。ちょっと変色をしたりしています。それで、市場に出ていくのはさわやかな緑色をしていまして、これが市場での、これは味には関係ないと思うんですが、見た目の評価というのもございまして、A級品となるにはそういうことになるんですが、傷が入りますとその分はA級品の格付けを得がたいものになります。ただ、それでも、それなりの価格で流通をさせて、それを農家の収入に還元をしていかないといけないわけでございまして、その辺の応援をする必要があるだろうということであります。JAさんの方で、すでにそういうB級品、B級の梱包として、要は、最近のはやりで言うと、わけあり商品と言うんですか、わけあり商品的なかたちで販売促進を図るということを、今、実行に移されつつあります。県としてもそういうのを応援したり、県での共同購入みたいな、県庁での応援ということもあっていいんじゃないかなと考えております。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません。県庁の中での共同購入というのは、職員さんに呼び掛けて個人で、良かったら買ってくださいということですね。


●知事

 そうですね。そうですね。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 県のお金でこうまとまって、どかっと買うということでは。


●知事

 いえいえ、そうではないです。ほんとおいしいものですから、皆さんもぜひ記者クラブでも買っていただければと思いますが。はい。



7 王子製紙米子工場の動向 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません。王子製紙の関係で今日報告がありましたけれども、ちょっとそういう認識がなかったんですが、その米子工場が、かなり紙の生産が落ちて、今後、例えば撤退するですとか、そういったところまでの危機感の話になっていたんでしょうか。


●知事

 一時期は、我々も一定の危機感を持ちまして、米子工場について話し合いをした時期もありました。ただ、王子製紙さんはいろんな戦略がございますし、かなり大きな技術力もある会社でありますので、多分王子製紙さん側としては上手に展開しようとされていたんじゃないかと思います。一時期そういう噂が立ちまして、米子工場がどうなるかわからんという噂が立ったときに、私自身もこの工場関係者とお会いをしたり、いろいろ動かさせていただきまして、その当時は、例えば米子工場のコストを下げなきゃいけないと、コストを下げるために、県として協力できること、地域として協力できることをリストアップしまして、そのリストアップを1つ1つ丁寧に、実現できなかったものもありますけども、丁寧に実行しながら、米子工場側、王子製紙側の納得を得てきたという経過がございます。

 ただ、その時期はおそらく脱していると思います。ただ、長い目で見て、王子製紙側としては、例えばインドの展開であるとか、今回の上海近郊の南通のかなり大型の最新鋭の工場であるとか、そういうふうに今展開をしてきてございまして、そうした世界戦略の中で、日本の国内の工場を今後どういうふうに発展をさせていくかという思いが、米子工場のみならず、各地の王子製紙の工場さんでございました。それで、我々としては精力的に王子製紙側と協議を重ねてまいりまして、できれば米子の場で、そういう新しい新事業の研究開発、実証プラント的なことはやってもらえないだろうかと。それで、その実証プラントを進めて、それで、ここを雇用だとか、生産の場として、製紙はもちろんやるんですけども、製紙のみならず定着をさせていくということを要請してきたところであります。

 この度、進藤社長の方からも、米子〔工場〕の活用という方針が明確に私の方にもございましたし、それから、そうしたために、県側としてもこういう支援措置をやっていこうというような話合いを先般させていただきまして、当初予算の事業スキーム〔枠組み〕である程度足りるんじゃないかと思いますが、ただ、我々としても精一杯の支援措置を組んでいきたいと思っております。今後、近いうちに、おそらく夏までということ、夏頃になるかもしれませんけども、今、最後詰めておりまして、今後正式な合意を取りたいと考えております。先般、東京に出張した機会に、王子製紙の進藤社長からさまざまなお話もいただきましたし、私どもからの働きかけもさせていただいたということです。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 その業態転換を考えておられるというお話ですけれども、地元で、おそらく県西部で一番大きな企業になるんじゃないかなと思うんですが、そういった雇用の問題とか、あと、木材のチップですね、境港を活用してチップを輸送したりして、かなり関連の産業に影響がある話だと思うんですけども、そういったところにかなり大きな影響というのは出てくるお話になるんでしょうか。


●知事

 ええ。それを今、今回のこの1件でプラスの方に、逆に転じることに、今方向性が出てきたと思っています。チップの話で言えば、製紙用のチップということがございますが、さらにそういう化学原料としてのチップという強い性格が出てきます。場合によっては、東南アジアと、東南アジア方面との船のやり取りが今後出てくる可能性がございまして、そうなると境港の利活用ということでも前進をすることになろうかと思います。ただ、今、構想段階でございまして、我々としては地域としてプラスになるようないろんな展開を引き出していきたいと思っておりまして、その意味で今非常に雇用も厳しい、政策も求められている時期でありますので、鳥取県としても産業政策として王子製紙の今回の展開を応援をしたいと考えております。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 すいません。県としての支援策っていうのは、具体的にいうと、どういったかたちが想定されますでしょうか。


●知事

 投資に対する支援というのは当然あろうかと思います。投資が、先程申しましたように、ちょっとこれはまた後で確認した方がいいかもしれません。79億〔円〕と確かおっしゃったと思うんですが、そういう額でかなり大きな額になりますが、そういう額に対して、我々の方でも応分の支援をさせていただくということを、今調整させてもらいたいと思っています。だいたい考え方については、王子〔製紙〕側の合意は得られたと、前回の協議で考えております。また、もちろん新規雇用に対しまして、新規雇用の支援っていうこともあろうかと思います。今回の事業は、新しい事業展開ではありますので、恐らく、他地域からこっちに入ってきていただく人も出てくるかもしれません。そういうことだとか、いろんな展開の支援を我々としてもしていきたいと思っております。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 その王子〔製紙〕の話は、今度の補正予算の中に何ぼ関係のものがあるんでしょうか。


●知事

 ちょっとそこは再度、まだ出てきた話でありますので、これから詰めてみたいと思います。ただ、今回の補正予算の中には、間違いなく今入れようとして、今ちょっと発破をかけているのは事務系ですね、事務系の進出企業さんだとか、大量雇用を行うと。我々もかなりのちょっとギャップが出ていまして、有効求人〔倍率〕が全国平均を下回っていますので、そういう意味でこの際、昨日のヤマト運輸さんのように大量雇用を行うという企業さん向けの新しい支援メニューということは考えていきたいなと思っております。王子製紙さんがどういう、ちょっとまだ展開になるか、もう少し見極める必要がありますけども、可能なものは6月補正〔予算〕にも盛り込むことを検討したいと思います。



8 降ひょうによる農作物被害(再質問) 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すいません。それと、ちょっとブロッコリーの最初の話に戻って恐縮ですけど、質問させていただいてお答えいただいた内容からすると、これ、直接補正予算に何ぼって事業費がつくのとは違うということかなと思いまして。


●知事

 ちょっとそこは詰めてみたいと思います。そういう販売促進の支援なんかはあるかもしれません。前ですね、雪害をやったとき、大雪でネギなどが被害を受けました。あのときも、販売促進の支援を県でも行いました。その辺はちょっとこれからJA側と調整してみたいと思います。



9 王子製紙米子工場の動向(再質問) 

○読売新聞 野口英彦 記者

 すいません。王子製紙の関係なんですが、業態転換というのは、王子製紙側から出てきた話なのか、あるいは、県の方から工場を残してほしいという要請の中で、それじゃ、業態転換をしましょうという話になったのか、どっちなんでしょうか。


●知事

 王子製紙の未来戦略だと思いますね。会社としてどうやって成長をさせていくかと、製紙業だけでなくて、業態の幅を広げていって、これから発展していく企業として変わっていきたい、イノベーション〔革新〕を遂げていきたいと、それが根っこだと思います。ただ、その適地を探す過程では、正直申し上げて米子〔市〕以外にも、当然候補地があるわけでございまして、我々としても精力的に折衝してきたという状況であります。


○読売新聞 野口英彦 記者
 
 つい先程、他地域からいらっしゃるかたもあるんじゃないかと言うことですけど、そうすると、トータルでは雇用が増えるというお考えなんでしょうか。


●知事

 一定程度、増えるんじゃないかと思います。その点につきましては、我々も支援策の用意があるということですね。


○読売新聞 野口英彦 記者

 業態転換というと、人員削減ということもちょっと頭に浮かぶんです。そういうことは考えられるんでしょうか。


●知事

 いや。人員削減の頭は、今、ないと思いますね。一時期は確かにそういう風聞が飛びまして記者クラブでもそういう話はどうかというご意見が出たこともあったんですが、今はその危機的な状況は脱しつつあるのかなと思っております。むしろ、前向きに、これからそういうバイオ系の企業としての性格も積極的にイノベーションで作り上げていきたいという王子戦略に我々も乗っかろうということです。


○読売新聞 野口英彦 記者

 王子製紙の場合、日吉津村に協力会社がたくさんあるわけですけども、バイオ系関係に転換するとなると、そういった協力会社の方にも県として何かの支援と言いますか、今でこう納めていいというものが違うとか、そういう関係企業への支援みたいなことは考えられますでしょうか。


●知事

 それは今後の何か動きが出てくればということだと思いますが、今は原則的に話し合いをしています。従来の製紙を止めるということではないと思います。むしろ、製紙のラインもありまして、その副製物を作るようなかたちで、言わばコスト的にも競争力のあるような新素材を世の中に出していこうというイメージが近いんじゃないかと思います。例えば、私はちょっと門外漢でございまして、ただ、木の繊維などからセルロースを作っていくという発想はおそらくそういうことじゃないかと思ってますので、あまり劇的な負の影響ということにならないのではないかと期待しております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 逆にプラスの面でお伺いすると、新しく、何か、敷地を取って工場を作るとか、そういうことまではいかない感じでしょうか。


●知事

 ですから、先程申しましたように、投資を大規模に今回行うということは、それはラインを形作るということになりますので、従来よりも工場の機能をアップさせようということであります。



10 中小企業への金融支援 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません。中小企業支援の関係でお尋ねしようと思うんですけども、お話の中だと金融機関の返済を緩める制度が今年で切れるので、その対策をなんぞしてくれという声が企業から挙がっておったので、それを受けての対策だと思うんですけど、鳥取県さんの方では具体的にどういうかたち、独自の融資っていうのはどんな仕組みになるのか。


●知事

 ちょっとこれは今日から各部局と私も議論したいと思っていまして、そういう対策を考えようということで指示をしております。今、起こりかけているのは〔中小企業〕金融円滑化法という法律がございまして、これは国策によって、ちょっと1期間延びたんです。ただ、次の期間に向けて今年度いっぱいでは、もうこれを延長しないんではないかというふうに多くのかたがたが見ておられます。それで、これは、私はその金融政策としていかがかなと国に対してご意見を申し上げるべきかなと思っているんですけども、かなりこれ、厳格に今後もこういう動きを強めていきますと、山陰両県など経済的に非常に厳しい状況にあるような地域では、個別の企業に向けて、言わば金融の側から整理にかかるということすら起きかねない、ちょっととげとげしい模様になろうかと思います。

 本当にそんなことを今消費税の議論をしようかなと言っている野田政権がやるつもりなのかなと疑問もあるんですけれども、そういうような状況が、ただございまして、民間の企業さん、金融機関自身もそうなんですけども、含めて危機感を持っておられます。その声がいろいろと入ってきておりますし、先般のトップミーティングもそうでありますし、昨日の会議もそうでありますが、今後の先行きへの不安感が出ているということですね。ですから、例えば資金の借り換えのようなかたちだとか、ニューマネーの提供だとか、そういう今後の事業の運営が、金融円滑化法が提出された後も何らか引き継がれていくような、何か工夫を県の融資制度の中でできないかと考えております。



11 王子製紙米子工場の動向(再々質問) 

○中国新聞 円山文雄 記者

 先ほどのバイオの業態転換ですけども、県の働き以外に米子は適地としてという、何か、今まで言われてなかった要素がありますか、適地という。


●知事

 王子製紙の幹部と話したときは、境港っていう良い港があるという趣旨の話はされていました。ただ、実は争った他の地域といろいろと考えてみますと、絶対的な優位性ということではないかもしれません。だからこそ私たちとしては、やはり地域でしっかり支えますよという意思表示をきちんとやっていく必要があるかなと思います。



12 中国広域連合 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 よろしいですか。中国広域連合のことについてお伺いしたいんですけどもね。昨日、島根県知事の会見の中で、経〔済〕産〔業〕省の権限移譲ということに限って同意したいということを言っておられるようですけれども、6月1日の知事会で、そういう広域連合の設立に向けて同意される意向のようですけれども、今後のスケジュールと広域連合のメリットですね、中国広域連合の。その辺のことを教えていただけますか。


●知事

 溝口〔善兵衞島根県〕知事の今回のご決断には私も敬意を表したいと思います。私自身、先般岡山〔県〕の石井〔正弘〕知事、こちらが中国ブロックの、今、会長県でございます。近々、6月1日に山口県で中国知事会が開催をされますが、その席上で、中国地方として広域連合を設置する原則的な合意を得てはどうかと、私、提案をさせていただきました。それで、石井知事も賛同をされておられました。ちょっと今、具体的にどういう議題でやっていくかというのはまだ十分関係地域間で合意は得られていませんけれども、今回、島根県さんがその方針を支持をされたというのは非常に大きいかなと思います。広島県の湯崎〔英彦〕知事、山口県の二井〔関成〕知事もどういうお考えかというのは当日お示しになるのではないかと思いますが、石井知事とその場で協議したり、その両県知事会議の後の記者会見がございまして、その記者会見でのやり取りでもお話をいろいろとしたわけでありますが、イメージとしては、今回、まずは原則的な合意と言いますか、方向性を合意すべきじゃないかと。それは我々もそれぞれの県の議会がございます。また、もちろん県民、住民の皆さんがいらっしゃいます。そうした県議会や住民の皆さんに対して説明責任を果たしていかなければなりませんので、そういうレベルでの議論の投げかけをやって、コンセンサス〔合意形成〕を今後得ていかなければなりません。もちろん異論反論もありましょうから、そういうものに対してじゃあ5県でこういうような別の考え方があるけどどうだというようなことをお互い話し合っていったりしなきゃいけない。

 ただ、何かまず議論をする1つの骨格がないと相談のしようがないんじゃないかというのが私の認識でございまして、石井知事もそういうことで考えていこうかという方向、一致していると思うんです。ですから、今回6月1日で可能であれば何らかの原則的な考え方、こういうスキームについて検討をしましょうぐらいのものを5人で作り上げて、それをそれぞれが持って帰ると。それで、例えば向こう1年ぐらいの間に中国広域連合の設立に向けていろんな議論をしたり、合意ということになるんであれば、準備をしたりということをしていく必要があるかなと思います。おそらく権限移譲の話が具体化してくるにはまだ2年程度は確実にかかると見込まれていますので、ただ、いきなり事務移譲を受けるわけにはなりませんから、まずは広域連合を発足させておく必要がありますので、これから1年間ぐらいを念頭に置いて、広域連合の設置を議論してはどうかなと思っています。

 広域連合につきましては、今なされている地方分権の議論との関係はもちろんございますが、広域連合自体のメリットがあります。例えば、広域防災というようなこととか、広域医療というようなこと、さらにいろんな資格試験だとか、そういう仕事がございます。こういうものも単県でやるよりも5県まとまってやった方が事務の効率化が図れるということがあります。こういうように、それぞれの地域の県民益に適うようなことを、広域連携を進めることによって行うことが初めて可能になります。ですから、そういう事務の持ち寄りと言うんですが、その事務の持ち寄りを詰めていくことも大事になってこようかと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 今回、経〔済〕産〔業〕省、経済産業局の権限委譲ということが出てくるんですけれども、そうしますと鳥取県の場合、境港と言いますか、海外との交易ルートを持っている、もちろん広島〔県〕にも岡山〔県〕にもそういった港というのはあるわけですけれども、鳥取県の優位性というのはやっぱり1つ謳っていかなくちゃいけないのかなと思うんですが、経産省が委譲することで産業振興ということを頭に入れると、その辺の優位性というのはどうなんでしょう、中国広域連合の中では。あんまり。


●知事

 今、経〔済〕産〔業〕局がやっているような仕事を広域連合が受け皿となってやると。さらに言えば、広域連合から委任をされてそれぞれの地域の県庁で行うことも可能になると思います、理論的には。これはこれから詰めていきますけども。そういうふうになってきますと、今の中小企業対策、あるいは貿易振興対策というのがスムーズに動けるようになろうかと思いますし、バックアップの措置も組みやすくなると。これは国の施策、これは県の施策ということを分け隔てなく統括してまとめてやることができるようになるかと思います。また、関西広域連合の例で言えば、ビジネスマッチングを地域丸ごとでやることがやりやすくなります。そういう意味で、アジアに近い中国地方のメリットを活かして、東日本とのビジネスマッチングであるとか、海外とのビジネスマッチングであるとか、域内でのビジネスマッチングであるとか、そうした動きを加速化させることは期待できようかと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 このスケジュール的なことなんですけれどもね、先程1年程かけて、それぞれの県で議論してという話がありましたけれども、もし、6月1日に5人の知事さんで合意できることになれば、やはり準備期間を置いて1年程先に設立というようなかたちになるんでしょうか。


●知事

 これはちょっと、皆さんで話し合ってでありまして、この間石井知事と協議したときは、そうですね、だいたい1年ぐらいには決着しないといけないでしょうなという話をしたんですが、それは逆算していまして、国の方の今法案が、ちょっとずれ込んでいますが、6月に多分法案をまとめるということになってくるんだと思うんです、広域連合に対する事務移譲について。それで、その法律が成立してもその執行のための期間が定められます、言わば経過措置が定められると言いますか。ですから、それはまだ2年ほど先にはなろうかと思いますね、2年よりもうちょっと先ということかもしれません。ですから、ぎりぎりまで、この議論をやっていってもいいんですけども、ただ、受け皿をまず作ってみて、それで、そこでいろいろと仕事を動かして、初めて権限移譲がスムーズにいくことにもなりますので、1つの理想形から言って、1年ぐらいの間には決着をさせていくという議論じゃないかなという認識を持っています。これはこれから議論しなきゃいけません。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 そうですよね。国の法律云々というよりも関西広域連合が、もうあるわけですからね、広域連合ができても何ら問題はないんだろうと思うんで。


●知事

 ええ、問題ないです。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 はい。だから、もう1年先を目途にしたい。


●知事

 そうですね、向こう1年ぐらいは検討準備期間が必要ということじゃないかなと思います。それぐらいやっぱり大きなスキーム作りの話になりますので、拙速に亘るのではなくて、ある程度時間をかけながら議論をしていくということじゃないかと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 それと、関西広域連合のときにも議論になったと思うんですが、道州制とは違うんだよっていうことを、今回もやはり中国広域連合の場合、特に5県ということになると、即道州制の枠組みを考えてしまうものですから、そのあたりのことについてもちょっと一言お願いできますか。


●知事

 そこは、これから5県で協議をしようということになろうかと思いますが、私の印象、今まで意見交換している印象からすると、道州制は念頭に置いてないと思います。道州制を強力に主張しておられる知事さんもいらっしゃいますけれども、ただ、道州制のために広域連合を作るということではコンセンサスは作られないと思います。ですから、道州制の議論とは切り離して、連携できることをやって県民益に叶うようなスキームを作ろうと、こういうことになろうかと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 その権限移譲をする機関として国が検討対象としているのが地方整備局と地方産業局と、地方環境事務所ですよね。このうち、全てを受け入れた方が良いというふうにお考えなのか、ある程度限定的に受け入れた方が良いというお考えなのか、今の時点での、どうなんでしょうか。


●知事

 私は持論から言えば、本来その3機関だけでもないと思うんですね。例えば運輸局であるとか、厚生局であるとか、いろんな地方機関がございます。中国地方をエリア限定にしている機関もございます。中四国農政局のように、四国に跨っているのもございますけれども、県民のいろんなニーズから言えば、農政局の仕事を県庁ないし広域連合でやっていくというのは望ましい姿かもしれません。ただ、本当は幅広い議論が必要だと思います。ただ、現実がありまして、それと併せて国の方の法律論がございまして、今、法律論として浮上しているのは3つの機関だけに限定をされていますから、いずれそちらの方で集約せざるを得ないんだろうなと思います。

 その際に5県まとまって議論する課題でありますので、5県の意見がまとまる対象機関を選定をしていくということにせざるを得ないんではないかなと思います。その意味で言えば、昨日、溝口知事が地方整備局を明確に外されたというようなことでございまして、この辺でコンセスを得るのは難しいのかなという感触を持っております。環境事務所についても、四国にまとまるのはどうかなというお話もあったようですけども、それはいろんな考え方あるかなと思います。いずれにせよ、これ6月1日に皆で寄り集まって話をします。権限移譲の対象の話と、それから広域連合設立の話、これ必ずしもイコールではありません。別々のレベルの議論なんで、広域連合の議論は、まず決着をさせて、それぞれ持ち帰って議論をしようというぐらいのレベルに高めていくのが、まずファーストステップ、第一段階かなと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 広域連合の話で行きますと共同事務というのがございますよね。鳥取県も関西広域〔連合〕で3つほど共同事務に参加しておられますけども、今回、中国広域連合ができるとすると、鳥取県は全ての事務に加わるというかたちになるんでしょうか。その辺を確認させてください。


●知事

 今回は一応フルコースで臨む必要があるかなと思いますが、今事務レベルで折衝をしているところでは広域防災とか、広域医療がテーマとして浮上しています。その他のテーマも私はあり得るんじゃないかなと思いますので、胸襟を開いた議論をこれからやっていきたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 ドクターヘリなんかの話も広域医療で入ってくると思うんですけども、兵庫と京都と一緒に今ドクターヘリを鳥取県が運航されていますが、中国5県で共同運航となると、またその辺のどっちから来るのかとか、そういった議論も必要になってくると思うんですけども、その辺の整理っていうのは可能なんでしょうか。


●知事

 今、事務レベルで折衝しているのは共同運航まで視野に置いていないと思いますが、ただ、その運航調整と言いますか、広域医療でやっぱり実を上げていくという趣旨ではないかなと思います。まだ正直具体的に定まった方向性は出ていません。私としては助けられる命は助けられるように、県境を取り払ってやっていくという考え方で臨みたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 その広域連合、若干制度的なものにはなるんですが、国の示している方針として、その移管事務のテーマは、先程中四国農政局の話なんかありましたけど、管轄地域の都道府県全部入っていないと基本的には権利を移譲しないんだと。特例的に特別な合理性があればでしたかね、そういった場合は認めた。その今の国の考え方についてはどうお考えでしょうか。


●知事

 これは関西広域連合でも、今議論しているんですけども、若干我々の方は警戒感を持っています。特に今、法案の骨子のようなものが今月に入って示されておりますけれども、丸ごと移管のようなかたちで3つの機関を名指しをして移管対象として挙げている一方で、じゃ、移管する事務についてはおそらく法律名を挙げてという意味だと思いますが、政令で定めて列挙をすると、こんな書き方になっています。前回、広域連合の機会にも、フランクな話を関係知事同士で交換したんですが、ちょっと心配なところがあるなと。ですから、ここは、これから地方側でも共同戦線を張って、国に対して議論をしかけていかなきゃいけないところだと思います。

 私が他の知事さんや市長さんに申し上げたのは、今の客観情勢からして、法案をとにかく国会に出して可決してもらうと、これがやっぱり最優先ではないだろうかと。今までは何もゼロのオールオアナッシングで言えばナッシング、ゼロの状態でございまして、まず風穴を開けていくと。それで、具体的に政令で移譲事務を定めるということになったときに、その政令で定められるものはもう丸ごとですよというふうに第2段階の戦いをもう1回しなきゃいけないんじゃないだろうかと、こういうことを申し上げました。恐らく理論的にはそういうことじゃないかなと思いますが、まだまだ、安心感を持っていける状況ではございませんので、我々としては地方で共同タッグを組んで取り組んでいきたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 その権限移譲に関して、今、国の方で事務の仕分けをしているという段階だと思うんですが、権限移譲の裏付けとなる財源については、あまり話が聞こえてないんですが、そのあたりはどうでしょうか。


●知事

 財源についても、一応その法案の骨子の中では財政措置の条項はございました。ただ、おっしゃるように、じゃ、それが100なら100なのか、あるいは100を値切って70なのか、50なのかというところはまだよく分からないわけですね。ですから、これも予断を許さない状況だと言わざるを得ないかなと思います。先般の全国知事会議での議論の中でも、岡山の石井知事はその辺明確に国に申し出する必要があるんじゃないかと懸念を表明されておられました。私たちも今回、知事会議で集まりまして、中国地方で議論する際には、そうしたことも当然ながら国に訴えかけるテーマとして浮上すると思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 あと、広域連合の意義なんですが、必ず広域連合の話が出ると、屋上屋を架すものだという批判があるわけですが、今回、〔5月〕19日の関西広域連合の委員会ですと、細野原発相が説明に来られるというふうに国の政策決定過程に一定の影響力を及ぼす存在になっているというふうに思うわけですが、知事としては1年半も経って、どういうふうにお感じになっているでしょうか。


●知事

 やはり、関西広域連合の存在感は出たんだろうと思います。それは、皆さんも実際肌で感じておられると思います。本体はやっぱり鳥取県であり、大阪府であり、兵庫県あるんですけども、ただ、その一部の事務だとか、それから将来的なビジョン、方向性だとか、そういうことについて、地域の中で共有し合うということが日本全体で社会的に承認され始めたんじゃないかなと思います。だから、関西広域連合に大臣が出席をするという、恐らく初めてのことも今回あったわけでありますが、それだけ存在感が出てきていると思います。今後の展開を考えますと、国の方も地域とのパイプ作りとしてこういう広域連合という選択肢を考えられることは十分あろうかと思いますので、我々としても受け皿を作る意義は、長い中長期的な地方分権の進展の中で持ってくるんではないかと思います。



13 まんが王国とっとりの進捗状況 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 まんが王国についてお伺いしたんですが、先程、知事は、6月補正〔予算〕の編成の中で、増額する必要があるということで具体的に6月補正でまとまった動きもあるところをおっしゃったんですが、今回、新年度予算で10億円という大きな規模の予算を計上して、さらに増額するということですが、具体的にどういったことを支援していくのか、それから、その規模、現段階でお示しください。


●知事

 これは補正ですから、微修正の話でございまして、何億円も追加するということではなくて、3,000万〔円〕、4,000万〔円〕とか、そういう数千万〔円〕程度の話だと思いますし、また、財源的には今年度から繰越して、事実上繰越しているような財源、例えば、鳥取力創造運動の基金なんかを継ぎ増したわけでありますが、そういうものを活用して財政負担にならないような手法を考えていくと思います。具体的には、今、それぞれの地域で、例えば北栄〔町〕であれば〔鳥取〕中部ふるさと広域連合も巻き込んで、結構いろんな議論をされています。そうしたところとよく摺り合わせをして、核となるゾーニングについて我々もきちんと、もちろん地域でもされるわけでありますけども、我々の方でも財政的な支援を行っていきたいと思います。ちょっと具体的なことは今からということになろうかと思います。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 だいたい〔鳥取〕中部〔ふるさと〕広域〔連合〕等がする事業に対しての補助ということですか。


●知事

 そうですね。中部広域とか、北栄町だとか、それから境港の関係者のかたがたの行われること、そういうものに対する支援ということになります。だから、従来こうしたものを1億円ほどの助成枠の中で収めようとしたんですけども、そうしたら、ものすごい数の提案が出てきました。これ、どう考えるかなんですが、1億円でもう切ってしまって止めてしまうというのも1つの考え方なんですけども、何となれば地域おこし、この際一生懸命やろうということで、住民が、地域が動き始めたことでありますので、ある程度はやはり支援の幅を持った方が今後のためにはいいかなと判断をいたしております。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 それで、一部そういう、ある程度そんな動きが出てきたという一方で、先日の〔県議会〕常任委員会でも指摘がありましたが、〔とっとりまんが〕ドリームワールドの会場の1つである米子市民体育館の周辺の住民の人は、会場であることを知らないというような、それがすべての声ではないかもしれませんが、そういうような声もありまして、それから、私は個人的に大阪の知り合いが、日本橋というのは1つの漫画のメッカ、アニメのメッカなんですけれども、そういったところでもまったく知名度が低い、知られていない。それで、以前貼られたようなポスターがもう剥がれかけているという声も聞いたんですが、そのあたりでPR、ずっと遅れというのが指摘されていたんですが、この期に及んでもまだなかなか浸透していないという現状があります。それについては知事、どのようにお考えですか。それから、それに対して今後、どのようにしていくか、教えていただけますか。


●知事

 はい。この辺の遅れは我々も実はちょっと認識していまして、庁内でも平井がいつもやかましく言っているという実情がありますが、先般は東京の方でメディア向けのPR活動も行いまして、トットリンドル王女の即位式典を兼ねて国際まんが博の詳細説明を行わせていただきました。こういうようなことを通じて認知度を今回も上げてきていると思います。例えば、今回の東京でのPR活動、ざっと見て2億円ほどの広報効果があったという試算も出ておりまして、それだけ各方面に取り上げられたわけでありまして、放送局で言えば5放送局、それから5つの新聞、もっと本当はあるんじゃないかと思うんですが、今把握できているところで5つとか、それからインターネット系では180だとか、200近いというような、そういうようなことで取り上げられてきていまして、いろいろなかたが見るサイトで鳥取の「〔国際〕まんが博」が登場してきています。

 そういうように、今回、実はここ数日で仕掛けたところでありまして、今後さらにPRをやっていきたいと思います。具体的には今ある広報予算もございまして、これを活用してやっていくこともございますし、年度の後半では10月からは山陰のデスティネーションキャンペーンが行われます。これはJRグループが全国で展開をするPR活動なわけでございますが、島根の神話博とともに鳥取の国際まんが博を全国でJRグループを挙げてPRをするということになります。もちろんその他の媒体でも登場しようかと思います。また、併せて全日空がこの度増便をすると、このまんが博を睨んで増便をするというのが出ていますし、それから、その増便だけでなくて、機材の大型化ということも出しています。私たちとしてはこうした増便、大型化を今後にも続けてもらえるように、搭乗支援と言いますか、いや、搭乗促進のPR活動、広報活動なども強化したいと考えております。こうしたことも、当然ながら国際まんが博のPRにもつながると思いますので、いろいろと手を尽くして認知度の向上に全力を上げてまいりたいと思います。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 東京のトリンドル王女の即位式に関連して、先日の常任委員会で、知事が執事の姿をしたということに対して恥ずかしいという一部皆さんの声もあります、それについての反論はございますか。


●知事

 これは1つのストーリーの中での役柄でございまして、当日の記者会見自体は、前半は私が鳥取県知事として説明をします。それで、後半にトリンドルさんが王女の姿をして出てくるというタイミングで、そこから切り替わりまして、いわば第2場に入りまして、執事役という役柄でお迎えをするというストーリーでやったわけです。やはり広報でありますので、強烈にアピールしていくことは必要でございますから、そういう仕立てを若いかたがたがいろいろと考えられて、ストーリー立てをされて作られました。私も執事に扮して、果たして十分にできたかなというぐらいでございますけども、ちょっと自信がないところがございますが、そうやって批判が出るくらい執事役は強烈にうまくいったのかもしれません。お叱りの言葉なんでしょうけども、ただ、メディア発信としてはむしろ効果は叱られるくらい効果があったのかもしれないなというふうにも受け止めています。いずれにいたしましても鳥取のイメージ、まだまだ全国的にございません。それをなんとか少し尖って出していくことが必要でございますので、今後ともいろいろと工夫をしていきたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それに関連して、知事は以前吉本新喜劇にも出演されて、いろんな役柄を演じられて、それはいいと思うんですけども、もし、県民がまんが王国ということを理解しておるんであれば、知事も本当に頑張ってるなという声になると思うんですね。それが、ところが恥ずかしいという声が出てくるということは、県民の中にそのまんが王国ということが浸透してないということの証左ではないでしょうか。


●知事

 その辺はこれから、まんが王国と言いますか、まんが王国自体はバーチャルな話でありまして、1つのストーリーの話ですね。本体は観光地としてリゾート地としてのレベルアップのことでございますし、認知度アップのことであります。その認知度を上げるために、まんが王国というストーリーを立てて、今、仕掛けをしているということでございます。この辺はまたこれからもしっかりと県民の皆さまにも、そのまんが王国ぶりを楽しんでいただいてご参加いただいたり、それから認知していただきましてご協力をいただけるように、私たちとしても全力を挙げてまいりたいと思います。



14 メガソーラー設置の進捗状況 

○読売新聞 野口英彦 記者

 すいません。ちょっと時間が、申し訳ないんですが、そのまんが博の日にソフトバンクエナジーのかたとお会いされたと思うのですが、メガソーラーについて、何か具体的な進展、ありましたでしょうか。


●知事

 今、私たちとしては、具体的なスケジュール作りに入れたかなという感触を持って別れました。近々6月議会が始まってしまうんですけども、その議会中になるかもしれません、6月や7月、6月中とか、7月に入ってくらいのなるべく早いタイミングで、双方の正式な合意を得ようという方針は話し合えたと思っております。まだ調整中でございます。また、ソフトバンクとあとそれのバックアップと言いますか、パートナーであります三井物産、また、さらに言えばこの企業体が事業執行を言わば頼んでいくことになるわけでありますが、これ、具体的に言えば、大手の電気事業者のような、電気機器産業と言いますか、電機メーカーさん、そういうところがおそらく受け皿になるんだと思うんです。その辺の今調整をされているんだと思いますが、そういう受け皿企業との話合いなど、まだ詰めるべきことがあるようでございまして、その辺がクリアできれば合意に向かうという方向性を話し合いました。かなり前進したんではないかと思っています。



15 大阪市の入れ墨調査 

○時事通信 小出秀 記者

 すいません。ちょっと話変わってしまうんですけども、大阪市の実施する入れ墨調査について、知事のお考えを伺いたいのですけども、そもそも今回これが始まったのは、橋下〔徹大阪〕市長が、そもそもこの入れ墨をどこにしているのか聞くような組織自体がおかしいと、そもそもそういったことをやらなくてもいい組織にならなきゃいけないなんていうことを元々言っていたんですけども、これに対して各自治体の首長からもいろんな意見が出ているようなんですけども、これについて知事は同じ自治体のトップとして、この動きについてどう考えられるか教えてください。


●知事

 今回の橋下さんが調査に踏み切ったのは、大阪市固有の事件があって、入れ墨を示して他人を脅したという、なんかテレビドラマを地で行くような話でありますが、そういう事件があって、それで職員の服務規律の問題として、調査せざるを得ないというふうに踏み出されたんじゃないかと思います。ですから、その心情は分かりますけれども、そのやり方は非常にプライバシーに関わる部分もございますし、昔の入れ墨と今日タトゥーと言われているようなものに対する意識が、若い層を中心として違う面がありますので、慎重に調査だとか、その調査に基づく処遇の格差付けについて考えるべきではないかなという印象は持っています。ちなみに鳥取県は入れ墨調査が必要がない組織かなと思っていまして、私は入れ墨調査をするつもりはございません。


○時事通信 小出秀 記者

 処遇の格差というところなんですけども、今回、回答拒否をした500名ぐらいについては昇進をさせないように指示したという話もあるんですけども、これについてはどうでしょうか。


●知事

 その辺が、地方公務員法という法律もございまして、公務員の場合は公正平等に取り扱うということがございます。それに、そのアンケートに答えないということだけで、一生に亘る不利益を課すことができるかどうかというのは、私は多分議論があるんじゃないかなと思いますね。まずはちょっと橋下市長が発言をされたという段階だと思いますが、これからまた大阪市役所の方でも慎重に検討されるんではないかなと思います。



16 鳥取市の住民投票 

○読売新聞 野口英彦 記者

 すいません。鳥取市の住民投票がありまして、それの感想をお願いいたします。


●知事

 はい。今回住民のご判断が下されたわけでございますので、鳥取市役所は、鳥取市長、あるいは市議会もそうでありますが、そうした市民の意思と正面から向き合って、誠実に執行していただきたいというふうに思います。また、今回50%を超える投票率に結果的になりました。どうなるかなと思って見ていたんですけども、そういう投票率という結果も出たわけでありまして、私はこういう住民投票が必要な場面もあるんだという、市民の意思表示のように見えました。今後鳥取県として、住民投票の是非も含めて、県民参画基本条例の議論をすることにしておりまして、専門家だとか、県民の公募委員のかたがたの議論を、今待っているところでございますが、そうした今後の検討の中で1つのモデルとして参考にさせてもらいたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 今の知事のお話しからすると、賛否もそうなんですが、それももちろんですが、住民の住民投票をして意思表示をしたいという意思と言いますか、そういう欲求を感じたということでしょうか。


●知事

 今回、投票率が低ければ、それは住民投票という制度を鳥取は馴染まないんじゃないかなということになるかなと思ったんですが、現実には蓋を開けてみますと、通常の選挙と比較してみて、遜色のないと言いますか、50%を超える投票率になったというのは、多分関係者のかたも驚かれている面もあるんじゃないかなと思います。いずれにいたしましても、今回は1つのサンプル、いい例でございまして、これを今後の鳥取県における住民参画の参考にさせていただきたいと思います。ただ、ここまで言うと、ちょっとまた誤解を招くかもしれませんが、住民投票至上主義者では私はございませんで、住民投票至上主義ということではなくて、二元代表制を今の地方自治制度を作っています。また、今回も市民の皆さまの中から、議会がしっかりと議論をしてもらいたいわなという本音ともとれる議論もございました。ですから、ある程度は、やはりしっかりと議会と首長との二元構造の中で処理するのが本当だと思います。

 それに対する非常に例外的なケースとして、どうしてもこれは住民が自分たちで決めたいんだというふうに思われるような限定的な場合に、住民投票というものが初めて導入され得るものかなというのが私の印象でございます。今回もそういうご意見もありましたので、議会がしっかり議論をしてもらいたいというご議論もございましたので、のべつ幕無く住民投票に移行できるという制度もまたいかがかなと思います。従いまして、一定のカテゴライズ〔分類する〕、限定をして、こういう場合は、なるほど二元代表制の外で決着した方がいいなというような場合に、投票の制度というものを組んでいくということかなという印象は持ちました。いずれにせよ、これ今、専門家の皆さんとか、公募委員のご議論もございますので、まずはそれをいただいて、今後県議会なり、県民の皆さんと議論を進めていきたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 一方で、住民投票の課題みたいなものも、この度の鳥取市の例を見ておられてお感じになったんじゃないかと思いまして、例えばAかBかという選択肢はあったと、そこにはもうCという選択肢はもう全く排除されるわけですし、いろいろ議論をしてAとBの折衷案を模索しようということも排除されるわけですし、それから比較するのに、こう、いろんな物差しが本当はあるんですけど、例えば今回みたいなお金のことに非常に関心が集まって、ほぼそれを基にして判断されるというようなこともあるというのが課題かなと思っておりますけども、そこはいかがでしょうか。


●知事

 ですから、先程申しましたように、今回のは非常にいいサンプルではないかと思います。今後この制度について、県としても考える際の参考にさせていただきたいと思います。いろんな議論が問題点の指摘も含めて、今回は出ていようかと思いますので、我々としても冷静に分析をしてまいりたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 投票日の〔5月〕20日は、知事は県の植樹祭があって、水木しげるロードの〔来場者〕2000万人の記念式典があったということですが、投票はなさったんでしょうか、知事ご自身は。


●知事

 私は期日前投票をしました。


○読売新聞 野口英彦 記者

 期日前投票を。


●知事

 放課後の時間でございますが、夕方就業後に次の行事に行く手前で、時間を見つけて行ってまいりました。


○中国新聞 円山文雄 記者

 各社、よろしいでしょうか。それじゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。


  

最後に本ページの担当課    鳥取県 政策戦略本部 政策戦略局 広報課
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