●知事
皆さんおはようございます。かねて鳥取県でいろいろと誘致活動をやっておりました件が1件実りました。実は鳥取県は、今、雇用問題に悩みを深くしているわけでございますが、特に事務系におきますミスマッチングが非常に大きかったということであります。事務系の仕事に就きたいというかたがたが多いわけでありますが、その受け皿となる職場がなかなかないという、そういう悩みを抱えておりました。従いまして、私どもとしてもそのミスマッチを解消すべく、今、精力的に企業誘致活動だとか、県内企業のテコ入れを、今、図っているところでございます。昨年の末ごろから本格的に誘致を手掛けておりました件でございますが、JCB〔株式会社ジェイ・シー・ビー〕といわれます国内のクレジットカード大手会社で世界的ブランドとして成長してきた会社がございます。このJCBさんの鳥取カードセンターを鳥取市内に開設をする方向で話がまとまりました。
具体的には鳥取環境大学がございますが、そのすぐ近くのところの〔鳥取市〕若葉台をサイトとしまして、そこに鳥取カードセンターを設置するということになりました。雇用の規模としては当面、平成26年度から事業を本格的に開始するというような目論見でございますが、平成28年度ベースで200人規模を目指したい、さらに我々、〔鳥取〕市と共同していろんな話し合いをしておりますけども、400人規模は念頭に置いて拡大をしていこうというような話し合いをしています。私どもとしては、さらに鳥取に定着をしてもらって、もっと大きな規模にも増やしていただけるように地元としての受け入れ体制をしっかりと整えていきたいと考えているところでございます。これにつきましては、県の関西本部の方に、最初にJCBさんが国内の立地を探しておられるという情報が入りまして、県の商工労働部などを中心として働きかけを強めてまいりました。私自身も先月にはJCBの幹部と直接面談をいたしておりますけれども、最終的に私どものところを評価していただきまして、かなり厳しい地域間の競争がございましたが、鳥取市の方に立地をするということがこの程固まりました。
この県での発表と期を一にしまして、JCBの本社の方でも、このニュースのリリースが行われていると伺っております。私どもの方は誘致側でございまして、立地をされるJCBさん側の目論見などはたぶんそちらのJCBの本社の方でのリリースが詳しく行われるんではないかと考えております。この方向性をお互いに確認をするという趣旨で来月、7月の17日にJCBの〔川西孝雄〕社長さんも鳥取市内にお越しになりまして調印式を行うということになりました。ぜひ、今回のこの誘致を本当の意味で成功させる、つまり将来的にもJCBさん、今ですと東京とか福岡だとかに拠点があるわけでありますが、それと並ぶ拠点として鳥取を発展させてもらえるように我々としてもJCBともよく協力関係をつくってやっていきたいというふうに考えております。
●知事
今、私どもとしては6月県議会を控えております。6月県議会の提案事項につきましては、これまでも重ねて申し上げてきておりますが、48億円の補正予算等々を、提案をするということになります。条例もございますけれども、それ以外にも今後の県の戦略を見据えた政策についても議会で話し合いをしていきたいと思います。例えば、地下水の保全、その持続的な利用ということを念頭に置きました条例〔持続可能な地下水利用に向けた条例(仮称)〕制定、これは県議会の方でも度重ねて執行部側に要求があった話でございますが、この6月県議会でも常任委員会でその骨子をまず提示をして、県民の皆さまのご意見もいただきながら、9月以降の県議会に正式に提案できるように準備を始めたいと考えております。いろいろと悩みましたけれども、届出制ということがやはり基本にならざるを得ない、つまり県内の地下水の賦存量〔理論的に導き出された総量〕からしますと一気に許可制など厳しいところまで持っていくのも難しいかもしれない。
しかし、届出制であってもそこに、場合によっては計画の変更命令を出すとか、そういう許可制に近いような届出制ということもあるんではないかと、そんなアイデアを持っていまして、そうしたことをまずは議会側に骨子を示してご相談を始めたいと考えております。今、提出する骨子につきましてまだ細目と言いますか、中身を詰めている段階でございます。それから、先般、6月の1日に中国地方の5県で合意がなされました広域連合の設置に向けた検討でございます。この状況につきましても県議会の方にも全員協議会でご説明をさせていただき、ご議論を賜りたいと考えております。
百年の大系とも言うべき中国地方の地方自治のあり方について一石を投じるものでございまして、県議会の幅広いご意見もいただきながら、これからどういうふうに5県の間の折衝に臨んでいったらいいのか、私としてもスタンスを固めていきたいというふうに考えております。先般の中国地方知事会としては、我々の持ち寄り事務をまず考えようと、防災あるいは医療、こうしたことは念頭にまずありますけども、さらには議論を、私の方も提出しましたが、例えば観光だとか、産業だとかそうしたことなども持ち寄り事務があり得るんじゃないかということをお互いに話し合ったところでございます。そういう何らかの事務を持ち寄って、ベースとなる広域連合をつくる。それで、その広域連合に国の方からの事務移譲を受ける受け皿としての機能を果たしてもらう。その事務移譲につきましては現在、5県の間で明確になっていますのは広島にございます経済産業局の機能ということが念頭にありますが、さらに中国地方と四国地方とで話をしまして、両者で話がまとまるようでしたら、地方環境事務所というのも想定対象になり得るだろうということでございます。
地方整備局についてが、やっぱり議論が分かれたところでございまして、広域連合自体は5県での協議の上に設置をするものでございますので、協議が整わないとそこのところは難しいのかなという認識を持っております。ただ、いずれにいたしましても、そうした地方分権に伴う国からの事務の受け皿としての役割を広域連合に果たしてもらおう、そういうことも念頭に置いて一歩踏み出そうということでございます。まずは県議会側の議論も仰ぎたいと考えているところでございます。それから、これは今後の課題になりますが、先週6月の1日に鳥取県として県組織のあり方を今後見直していこうという、そういう検討をスタートさせました。有識者のかたあるいは市町村の代表のかた、そうしたかたがたに入っていただきまして、検討のテーブルをつくりました。
具体的には本庁と地方機関との役割をどういうふうに見直していくのか、あるいは地方機関がいくつもございますけども、その地方機関を今後どういうふうに再設定していくのか、そうしたことも念頭に置きながら議論を開始をしたところでございます。これはこれから具体的な議論が進んでまいりますので、その中でよく検討をしてまいりたいと思いますし、幅広いご意見もいただいていこうと考えているところでございます。
●知事
いよいよ、いろんな鳥取県の自慢の物産が市場に出回るようになりました。先般はマグロが初めて境港の陸に揚がりまして、キロ当たり2,200円余りという昨年を上回る単価のスタートになりました。ちょっと量の方はまだ今一つということかもしれませんが、これからまだ量が見込まれるわけでございまして、期待をしたいと思います。また、海で言えば、岩ガキも出荷が始まることになりましたが、しっかりとした衛生検査も経た上での出荷が始まりました。そういう意味で安心しておいしい鳥取の水産物、全国のかたがたに味わっていただきたいなと思います。また、スイカにつきましては査定会をやりましたけれども、糖度が13.2〔度〕という水準でございまして、今までよりもずいぶん高いです。ここ5年ぐらいの中では最高の糖度でございまして、だいたい12度あるととっても甘いなというふうに人間、感じるもんでございまして、13度だとおいしさが相当加わったようなそんな出来栄えでございます。異常気象が続きましたので、心配をしておりましたけれども、なんとか出荷にこぎつけるということになりまして、明日〔6月7日〕以降、具体的に市場に出回ってこようかと思います。
●知事
こういう鳥取の旬を迎える季節にあたりまして、県として過去おそらく最大規模になると思いますが、県外の物産フェアとしては、6月15日~17日まで首都圏〔埼玉県越谷市〕の〔イオン〕レイクタウンというショッピングセンターにおきましてその物産展を行おうということにいたしております。ここはイオングループでは全国でも最大のショッピングセンターでございまして、大変に集客力のあるところでございます。埼玉県に立地をしているんですが、近隣から随分と集まって来ますし、都内からも買物に行くようなところでございます。こちらの方のショッピングセンターにおきまして、レイクタウンにおきまして、県として今申し上げましたようなマグロであれば解体ショーをやろうと。それで、ちょうど6月17日は、父の日でございまして、そうしたお父さんの大好きなマグロを、ぴちぴちの鳥取県産を食べていただこうと、こんなような企画も考えています。
また、ご家族の皆さまにも人気の高い、首都圏で、今、もう定番として定着し始めました鳥取のスイカ、これも試食会を行うことにいたしております。それ以外にもメロンでありますとか、いろんな今の旬のものがございますし、それから、鳥取県を代表するいろんな物産がございます。レトルトのカレーみたいなものもございます。今までにはないような豊富な、いろんな品揃えでやっていこうということでございます。境港からはマグロ関係で大谷〔和三境港天然本マグロPR推進協議会〕会長、あるいは、JAからは福山〔巌JA鳥取中央〕組合長とか、県内からも結構大物が向こうに行きまして販売促進活動を行おうということにいたしておりますし、イオンリテールの村井〔正平〕社長も出席をしていただけるということになります。セレモニーは土曜日の昼過ぎ1時からという予定にいたしております。今はちょうど8月4日からの「国際まんが博」を控えたシーズンでありますので、首都圏の最大規模のショッピングセンターということもございますので、鳥取の「国際まんが博」、鳥取のまんが王国ぶりを、宣伝をする機会にもしたいと考えております。2つのブースを設けまして、その間に鬼太郎だとか、鳥取ティストのものが150mぐらいに渡って並ぶなど、ちょっとした鳥取まんが王国の再現を向こうでも図っていきたいと考えております。当然ながら、王女さまでいらっしゃいますトットリンドル王女ことトリンドル玲奈さんもご登場願おうというような予定にいたしております。
●知事
それから、今これから議会シーズンに入って来る季節にはなりますけども、いろいろと大きなイベントも出てくることになります。この週末には、西日本、近畿・中四国のB-1グランプリが行われることになります。こちらではご当地グルメが全国から集結するということで、特に、西日本の大会でございまして、西日本一円が多いわけでありますが、この西日本エリアというのは、例えば、〔岡山県の〕蒜山の焼きそばだとか、あるいは日生のカキオコとか、津山のホルモンうどんを初めとしまして、実は、全国的に、今結構上のレベル、賞を受賞していくというような、そういうご当地グルメが多くございます。従いまして、非常に魅力的なイベントになろうかなと思います。
また、〔東日本大〕震災の応援をしようと、募金活動も会場で行いますし、さらに、〔福島県の〕浪江の焼きそばも、この度特別参加でやって来るというこということになります。富士宮の焼きそばだとか、全国に名だたるところもエリア外からやってくるということになります。県内のご当地グルメも、今だんだんと盛んになってきました。県内からも20団体出品をしまして鳥取のご当地グルメフェアを、同時展開をしようということでございます。ぜひ、多くの県民の皆さま、また、県外の皆さまにご来場いただきまして、鳥取の食、それから、全国の食を、満喫をしていただければと考えております。
知事
また、来週は、鳥取県はシイタケの産地であり、シイタケのDNAをしっかりと研究をして、そして、全国の指導の拠点にもなっているところでございます。そういうことから全農の乾椎茸の品評会を来週の14日に行うということになっております。鳥取市の〔鳥取〕産業体育館ですね、県の産業体育館でありますが、そちらで行うということになります。また、〔6月〕14、15、16〔日〕とイベントが続きまして、16日を中心としてきのこ王国のとっとりのフェア〔きのこ王国とっとりけんフェスティバル〕を、実施をしようじゃないかということでございます。いろんな県民の皆さまや県外の皆さまに、鳥取のきのこの奥深さを感じていただければありがたいなと考えております。いろいろともぎ取りの体験とか、楽しいイベントも数多く用意をされているところでございまして、ぜひ鳥取のきのこも味わっていただければありがたいかなというふうに考えております。
●知事
これからいろいろとイベントが出てくる賑やかな季節に、海からは「コスタ・ヴィクトリア号」がいよいよ来航するということになりました。1,920人乗りという、2,000人近いですね、大きな客船でございます。上海を出港しまして、そして韓国の釜山に行きまして、それから国内に入ってくるわけでありますが、境港にも初めて寄港することになります。このオペレーションをやっておられますロッテ観光さんだとか、それから、この船でございますが、コスタクルーズ社、そうしたスタッフのかたがたも境港入りされるわけでございます。予定によると、明日〔6月7日〕の朝の8時頃に入港するのではないかということでございますが、午後の3時まで境港に停泊をして、次の寄港地へと向かっていくことになります。そして、またぐるぐる回りまして、韓国を経て上海へと帰っていくという、そういう船旅になるわけであります。
国際リゾートを目指す鳥取県として、食の魅力あるいは大山を初めとした自然の魅力、歴史や文化の魅力、そうしたものが増えています。また、入港する境港はゲゲゲの鬼太郎の聖地でもございますし、まんが王国ということもアピールの材料になるのかなと考えております。ぜひ、この機会に、鳥取県山陰の国際リゾートを感じていただいて、リピーターが出てきていただければ誠にありがたいかなと思います。明日〔6月7日〕は、朝の10時半以降、船内を中心として歓迎のセレモニーも予定をいたしております。このコスタクルーズ社はいろんな船を持っていますし、ロッテ観光さんもオペレーションを積極的にしかけ始めたところでございまして、今後とも入港していただけるように、我々としても働きかけをこの機会にしてまいりたいと考えております。私の方からは以上です。
○共同通信 田島沙羅 記者(幹事社)
各社質問がありましたらどうぞ。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すいません。JCBについて1つ伺おうと思っているんですけども。知事がご期待なさっているところとしては、その雇用規模もでかいですし、事務系の仕事なので、ミスマッチの解消に効果は大きいだろうと期待しておるようなところをちょっと一言いただけたらと思っているんですけど。
●知事
私ども鳥取県は、有効求人倍率も全国平均を、残念ながら最近は下回るようになってしまいました。特に東部〔地区〕のミスマッチが大きいですし、それから事務系のミスマッチが大きいということでございまして、JCBの進出というのは、そうしたミスマッチ解消に大きな役割を果たしてもらえるんではないかと期待をいたしております。また、JCBさんは大手の金融カード会社でございまして、いろんな事務を持っているんです。そういう、その仕事の一部を鳥取に移してくださるということは、今後展開によって、鳥取をJCBの1つの拠点として考えてもらうチャンスにもなろうかと考えております。具体的には、今、東京にあるカードセンターの機能を一部鳥取に移すことから始めるというふうに伺っておりまして、そういう意味では企業のブランチ〔支店〕が、こちらに誕生するということでございます。
今までこういう事務系の大手さんが鳥取にそうしたブランチを考える、本格的に考えるということは、なかったことでございますので、その意味で我々の山陰のすばらしさ、これは労働環境ということ、優秀なかたがたがおられるということもございますし、これから環日本海時代を睨んでいくというような戦略を持っていますし、またそうした企業とともに栄えていくことを考えて応援体制を強めている鳥取県の姿勢に対して高く評価をしていただけたものだと思っております。そういう意味で、我々としても、その期待に応えなければならないと思います。この度6月県議会が開かれますが、この中でもこうした大量雇用に対する優遇制度を強めようと考えておりまして、投資に対する助成が20%上限のところを、更に5%、大量雇用については上乗せをしようという提案を考えています。条例改正も含めて考えております。こういう鳥取県の、言わばスピーディーな支援充実の動きというものを向こうでも評価をしていただけたというふうに感じております。
ただ、これですべて解決するわけではございません。1つには、このJCBさんを初めとした大量雇用が期待される進出の動きが、先般のヤマト〔コンタクトサービス(株)〕さんであるとか、あるいは縫製工場〔(株)フロンティアファクトリー〕の動きだとか、最近ようやくここに来て実りつつありますが、それに応えるようなマッチングをしなければいけません。ですから、明日、雇用対策の連絡会議を庁内に発足させまして、こういう大型誘致を県庁としても雇用面でも支えていくといいますか、応援していくと、実現していく、これは将来の大型の企業立地にもつながってくることでございますので、我々としても、まずはそういうこともやっていきたいと考えているところでございます。また、これにとどまらず、まだ県内のミスマッチが解消されるわけでありませんので、今後ともこういう企業誘致活動でありますとか、中小企業の500社チャレンジの支援、そうしたことを通じて、雇用の幅を広げていければと考えております。
9 持続可能な地下水利用に向けた条例(仮称)の制定
○山陰中央新報 桝井映志 記者
地下水のことで1つ教えてもらいたい。詳しいことは担当課で尋ねようと思うんですけども、なぜかというところとこの今のタイミングというところを、ざっくりとしたところを知事にお答え願います。
●知事
これはちょっとたぶん経緯、もう1つご存じないのかもしれませんが、昨年度、もうかなり県議会でやりとりをいたしてきております。それは、もちろん県内には大手のミネラルウォーター工場が立地をしていますけども、それ以外にもいろいろと取水を考えた動きというのはございまして、そういう動きについて、果たして単にこう放置しといていいのだろうかという懸念の声が挙がり始めたわけでございます。それで、県内の市町村でもそういう懸念を踏まえた条例制定の動きが今始りつつあります。県としても有識者などの検討なども含めてこれまでやってきました。そこで、我々は骨格を今整えつつあるわけでございます。歩みながら今調整をしているところでございますけども、先程申しましたような、許可制に近いような届出制というあたりを基本コンセプトにしまして、命令違反に30万円の罰金とか、そういう強制力もある程度考えながら進んでいこうと考えております。
また、これは実際に取水を行っておられる事業者さんも地下水を保全することに参画をしてもらう必要があるだろうと、その意味で地下水の保全を推進をする協議会を条例上設置してはどうだろうか、それに対する負担金を、負担を関係者に求めてはどうだろうか、もちろん県や市町村もそれぞれの責務を果たすということが予定されると思いますが、事業者側にもそういう一定の負担を伴うような協議会参加を求める。そういうことを通じまして、地下水の保全、持続可能な取水と言いますか、利活用を図っていくと、そうした動きを作り上げていきたいなと考えております。また、場合によってはある程度の規制が必要になるだろうと、そういうある程度の規制ということも最終的に骨子の中には盛り込んでいきたいと考えております。今まだ議会に向けまして、最終的な骨子の調整中でございます。
○日本海新聞 川口耕 記者
すいません、JCBの件でちょっと2つほど質問させてください。1つは先程にもちょっとありましたけれども、今回大きな規模ですけれども、改めて決め手になった地域間競争がかなりあったというふうに伺ったんですけれども、その中で鳥取県を選んでもらったというか、そのあたりをどう認識されているかということが1点、それから、今後の課題と言いますか、先日のヤマトさんにしても、内容がどちらかというと専門的なものになっていくんじゃないかなと思うんですけれども、その事務の内容がですね、今後、例えば人材育成等で、さらに業務を高度化してもらうということになっていったら、そういった支援等も必要なんじゃないかなと思うんですけれども、そのあたり知事の方で、何かこう将来的な絵姿があるのでしたらちょっと教えていただきたい。
●知事
今の2つの質問、実は重なり合っていまして、まとめてお答えを申し上げたいと思います。正直いろんな議論をJCBさんとさせていただきました。有力な対抗する地域もございまして、最終盤は結構緊張感のある状況で折衝させていただきました。そのうちJCBさん側のおそらく懸念と我々捉えたんですけども、懸念の1つは、JCBさんとしては本格的に自分たちがやっている業務の一部を別の拠点に分けていこうと、おそらくリスク分散の観点だとか、それから業容拡大、今世界ブランドとしてJCBを発展させようとしています。そういう意味で顧客サービスだとか、いろんな展開をしていかなきゃならない。そういうこれから本気でカード会社間の競争の中で、拠点を設けるとしたらそういう人材も片方で育てていかなきゃならない。JCBさん側と私もいろんな話をしましたけども、定着してくれてずっとJCBを愛してくれて働いてくれると、そういう人をやっぱり求めたいんだということなんですね。いろんな業務がありますけども、そういう業務に精通をして、リードをしてくれるようなリーダーを育てていく。そんなことまでも視野に入っているんだということでございまして、単なる1つの便法的なBCP〔事業継続計画〕とはちょっと違うわけであります。
従いまして、我々もそういう研修の支援をしっかりやらなきゃいけない、そういうふうに考えました。今回、先方と折衝する中ではそういう研修の支援に、ある程度力点を置いた助成も考えるということにいたしました。この辺は向こうにとっては逆に魅力に映ったんではないかと思います。あと、最終的には大都市地域などかなり有力なライバル地域もございまして、やはり我々としてはいろんな課題も正直そういう中では指摘をされてはいたんですけども、最終盤におきまして、鳥取県では有効求人倍率がまだ思わしくない。かなり大型のものであって、将来性のある立地というふうに見込みまして、そういう大量雇用ということであれば、我々としては支援の上増しをすると。先程申しました投資の5%アップということも私も決断をして提示をさせていただきました。この辺でだいたい決着はついてきたかなと思いますので、そこは向こうも我々の熱意を評価したんじゃないかなというふうに考えております。
それから、たぶんJCBさん側としては、言わば今後の社運をかけた話も入っていると思いますので、スムーズに業務を移転させるということのいろんな工夫を求めていたんだと思いますが、これは鳥取市と協調をしまして〔鳥取市〕若葉台のところにそういうカードセンターになるような建物を我々の方で用意をすると、それに賃貸で入居をしてもらうというやり方を提示をさせていただきまして、これも先方には魅力的に映ったんではないかなというふうに思います。いろんな折衝のポイントはあったかと思いますけども、向こう側が一番やっぱり、懸念と言うか、課題、問題意識が深いのは人材の問題でございまして、今ご指摘のように、その向こうの問題意識に我々地域としても応えていく必要があるだろうと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連して人材育成の支援という意味では、6月補正〔予算〕に計上されています大規模雇用をする企業に対しては初期研修費用の2分の1を助成すると、これがまさにことなんでしょうか。
●知事
はい。その辺も今回向こう側とのやり取りの中で入ってきているところでございます。これはお金だけの問題でありまして、あと、実際中身をどうしていくか、それから実際にそういう人材が集まるかどうかということもございますので、我々としては、先般の、ここのところ相次いでいる大型出店もございますので、県庁の中に、大型進出話を包括的にケアしていくような庁内での雇用対策の連絡会議を設置をしようと考えております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すいません。ずいぶん違う話題になりますけども、先週の関西広域連合のことのご報告もこの場であるのかなと思っておりまして、何か、もしお考えでしたら、皆さんの前で。
●知事
それ、この間もあったと思うんですけど。関西広域連合につきましては、伯耆町のホテルを会場にしまして活発な議論を先週行いました。これの場で、いろんな議論が交わされましたけども、一番メインになりましたのは原子力発電所、これは〔福井県の関西電力〕大飯〔原発〕3、4号機のことでございますが、このことでございました。細野〔豪志〕原子力行政担当大臣、それから斎藤〔勁〕内閣官房副長官がお見えになりまして、政府側の考え方を、再度説明をされました。我々として、そのあとかなり活発な議論を、集まった知事同士でやりました。また、市側とは大阪市と堺市が会員でございますけども、橋下〔徹大阪〕市長などとも電話、もちろん時間中はテレビ会議がありましたし、その会議のオフの時間には電話等でお互いにやりとりをしまして、夕方までに最終的に声明を出すということでまとまりました。各県、それから各市、いろいろな思惑や思いがあったと思いますけども、我々の中ではいみじくもあの日に政府側が大飯原発について1つの大きな動きをするんではないかと、そういう情報もありましたので、現時点でまとまれる話を我々としても声明を発すべきだということが最大公約数だったのかなと思います。
その後いろいろとその結果につきまして報道もございますし、いろんなご意見も出ておりますけども、私自身は今回、大飯3、4号機の問題でございまして、我々は鳥取県、中国電力管内でございますので一歩引いて今回の議論には参加をさせてもらいました。ただ、せっかく細野原発担当大臣も来られたわけでございますので、同じ周辺地域である京都〔府〕や滋賀〔県〕の思いを代弁するというつもりもございまして、周辺地域に対する原子力安全対策について強く細野大臣の姿勢を正しました。その結果として、大臣自ら、これはちょっと私の想定以上だったですけども、約束をしますと、周辺対策、国が責任持ってやりますという予算のことも含めてお話がございまして、その意味で、私ども、周辺地域として一定の成果はあったかなと考えております。
ただ、我々山陰にとりまして本丸は、島根原発をどうするかという議論のときだと思います。今回のは1つのテストケースとしてその動向についてしっかりと見守らせていただこうというところでございますし、島根原発のいずれ来る論争と言いますか、検討に備えまして、月曜日に〔鳥取県原子力防災〕専門家会議を、招集をして委員の皆さんとも意見交換をし、委員の皆さんは、実際島根原発サイトにも視察に行かれるというような動きを始めさせていただきました。これからも慎重にこの問題に当たっていきたいと考えております。幸い昨日、民主党と自民党、公明党との間で原子力規制庁をどうするかということについて、修正合意が図られたと報道がされております。遅すぎると思うんですけれども、ぜひそういう第三者的、専門的な機関をいち早く設置すべきだと思いますし、原子力安全の基準、本格的な基準というものを政府として責任を持って設定をすべきだと思います。
そういうことからまず解き起こして、こういう原子力発電所の問題は動くのが本筋ではないかなと考えておりまして、まだ未成熟な段階のまま、大飯原発3、4号機について何らかの声明を発せざるを得なかった、関西広域連合の苦渋というものを私もその中にいまして、拝見をさせていただきました。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すいません。中国5県の知事さんで合意された広域連合の設立についてお伺いいたします。6月1日の〔山口県〕岩国市であった会議に私も行ったんですけれども、その中で、国の出先機関の移譲対象事務として、今、検討されている3つの機関がございますよね。その中で〔中国〕地方整備局について島根県の〔溝口善兵衞〕知事さんが、まだ時期が早いんじゃないかと、一定程度の資本整備が終わってから受け入れてはいいんじゃないかという議論があって、次回以降に検討するということでまとまったと思うんですが、平井知事の方から、地方整備局については明確なご発言がなかったように記憶しているんですけども、改めて地方整備局の受け入れについてはどのようにお考えか教えてください。
●知事
私はどちらかというと、広域連合推進派と恐らく言われるんでしょう、そういう立場だと思います。従いまして、私の念頭にありますのは、やはり地方分権の新しい時代を拓くためには、積極的に国の事務移譲を受け入れるということを地方側も汗をかいてやっていく必要があるだろうと思います。ですから、別に地方整備局に限らず、例えば、運輸局とか、厚生局だとか、農政局だとか、いろんな国の出先機関がございますけども、本来は幅広く議論の対象にすべきだろうと思います。今回具体的に広域連合設置を検討すると、それをそれぞれの県で持ち帰って、議会や住民の皆さんと議論するんだと、こういう合意が得られたのは本当に大きな一歩だった思うんですけども、そういうような合意が得られるということであれば、私はコンセンサス〔合意形成〕を得て、いち早くこれが発足される方に力点を置きたいというふうに思います。
従いまして、いろんな議論が分かれる部分がございます。この地方整備局もそうでありますけども、今回、かなり有力な異論もありますので、この地方整備局という観点については、中国地方としては折り合えないのであれば受け皿機関ということは、今回は目指さないということで、私も、気持ち良く同意したいと考えております。ただ、その他の2つですね、今、国が俎上に上げておられます経済産業局と地方環境事務所につきましては、これは大きな異論があるわけではないと思いますので、我々も取り組んではどうかと思いますが、中四国地域に跨る地方環境事務所という設定になっておりまして、四国側との話し合いが必要だというご意見も片方でございました。ですから、この点は岡山県が会長県でございますので四国側と話し合いをしていただいて、我々のスタンスを今後決めていこうじゃないかと、こういう方向性で私も譲歩させていただいたところでございます。気持ちとしては、幅広く受け入れ対象を検討の俎上に載せるべきだと思いますが、現実には5県で広域連合を設定するという、そういう作業になりますので、この際、コンセンサスが得られる部分を優先していきたいと考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
それで、関西広域連合の場合は割と共同事務が部分参加というかたちになっていると思うんですけれども、中国広域連合が仮に設立されるとなると、鳥取県ももろにエリアに入ってくるわけでして、いろんな国の機関ですね、住民のかたの関心も高いと思うんですが、今回の合意をするにあたって、県内の首長さんにちょっと聞いてみたんですけども、幾つかご意見がありまして、道州制との関わりが非常に明確でないと、5県の知事さんの中には道州制を推進される知事さんもおられるし、そうでないかたもおられる。この辺の整理がきちんとできているのかというようなことですとか、あと、本来地方主権と知事さんがたも言っておられるのに、地元の市町村や住民に対して、まだ事前の説明がないのではないかと。これは知事もおっしゃっておられるように、6月議会で説明した後に、恐らく住民のかたにも正式にそういう協議の場を設けられると思うんですが、そういった声も一部であることについて、どうお考えかお聞かせください。
●知事
これは、今、とりあえずさいを投げたという段階でございまして、今1つの粗粗の紙ができたというだけであります。これから議論がスタートしますので、市町村、それから住民の皆さんのご意見を拝聴していきたいと思います。その上で最終的に鳥取県として、この広域連合についてどういうふうに取り組んでいくか、スタンスを決めていくことになります。第一歩として、全員協議会が初日開かれますので、県議会で口火を切らせていただいて、それから市町村、それから住民の皆さん、いろんなかたちで折衝をさせていただきたいと考えております。ご懸念があるという道州制については、私自身は、これは切り離して広域連合を議論すべきだと思いますし、必要があれば、道州制を前提とするものではないと、5県の間で確認書を取り交わすということもあっていいと思います。これはまだ、正直、まださいを投げた段階でありまして、そこまで話がいっておりません。
しかし、今後の議論の展開では、そういうことも最終合意の段階では考え得るのではないかと思っております。ちなみに、岡山県が会長県でありまして、先般も両県間の知事会議を行いました。それで、ぜひ今回出していこうということでお互い話をしたんですけども、その岡山県の石井〔正弘〕知事は、報道によりますと、道州制と、それから今回設置を考える広域連合とは、これは別々のものだという言い方を、報道によるとされていると伝わってきております。おそらく各県とも、そこはそういう思いではないかなと思いますが、明示的には、山口県岩国市では議論はなされませんでしたので、今後、しっかりと確認をしていきたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
もう1点だけお聞かせください。国の出先機関の業務権限の受け皿としての機能、それからもう1つが各県で持ち寄る事務の遂行と言うか、執行というか、その2つが大きな役割になってくると思うんですけども、今の時点では、まだ議論がスタートしたところではありますが、どちらの方に比重を置いたかたちで運営されていかれるのか、このあたりイメージがあればお聞かせ願えませんでしょうか。
●知事
5人の間でちょっとバラバラかなと、この間思いました。おそらくそれで井上記者はおっしゃっているんじゃないかと思うんですけども、私は、これは地方自治法に基づく設置でございますので、ドライに考えております。つまり、5県で共同してやった方がいい事務というのは、仕事というのはありますので、どの道、広域連合を作ることにはメリットがあると考えております。防災の点もそうでありますし、それから、私の考えでは国際的な観光プロモーションだとか、それから、海外へ物産を売りに行くとかいろいろと、1県だけではなかなかロットだとか、費用面で問題があるけれども、もう今の時代、やらなきゃいけないことというのはあると思うんです。地方自治体のレベルを超えて広域的にやった方がいい仕事が、もう今は出始めているだろうと思うんです。そういうのは、広域連合を作って、皆でやるという意義は非常に大きなものがあると思います。
それがあるので、まずは広域連合を設置することありきから始まってもいいんじゃないかなと思います。その上で、これは国の方の制度改正が必要でございますので、国の方の制度改正と相まって実際に事務移譲が起こるというのが、素直な、地方自治法に基づくドライな道筋かなと思うんです。ただ、正直申し上げて、広域連合を設置するかどうかについて、基本姿勢が若干肌合いの違いがあるなと先般の議論では感じまして、中には、事務の移譲もなされないのに広域連合を設置する必要が本当にあるだろうかというようなご議論をされる知事さんもおられました。片方では、私が申し上げましたように、国の方の検討が遅れても広域連合の設置には進んだらいいんじゃないかと、そう言いたげな発言をされる知事さんもおられました。これから、よく5地域の間で、その辺の考え方の溝を埋めていく必要があるかなと思います。
13 関西広域連合委員会での原発再稼働に関する声明
○読売新聞 野口英彦 記者
すみません。関西広域連合のことでもう一度確認なんですが、私はその場におりましたけれども、あの場にいらっしゃった首長さんは、「容認」という言葉は一言もおっしゃっていないんですよね。それで、なおかつ井戸〔敏三兵庫県知事〕連合長も強調されていましたけど、容認とか、するとか、しないとか、そういうことを決める場ではないんだということをおっしゃっていました、そういうようなことが「事実上容認」と報じられて、政府も再稼働に向けて動きが進んでいることに対しては、率直にどうお考えでしょうか。
●知事
これは松井〔一郎大阪府〕知事が関西広域連合が利用されたんちゃうかみたいな言い方をされていますけども、そういう面はなきにしもあらずかもしれませんね。
○読売新聞 野口英彦 記者
うん。
●知事
ええ。ただ、あの日我々が集まって議論したところからいくと、最終的には、要はどこがボールを持つかという話だったと思います。それで、そのボールを今関西広域連合が事実上世間の目としては持たされてしまっていると。それで、ただ関西広域連合が法的にも制度的にも、また恐らく事実上も決定権がある話ではなくて、原発の再稼働についてはそのオーソリティー〔権威〕が本当は付与されていない。ただ、世間はそう思ってくれているという状態であったと思うんですね。それで、結局そういう意味で全ての、要は可否のリスクまで、我々で背負い込めるかどうかという思いがあって、ボールは政府の方にお返しをするんだというようなことでまとまったんだと思います。これ、いろいろちょっとその人その人の捉え方があるかもしれませんけれども。それで、従いまして、容認する、しないということは文面を見ていただけばお分かりのとおり申し上げているものではないわけであります。
ただ、人によっては、明確に、やはりこれ私は、実はこの辺の議論は引込んでいるんですよ、そこはちょっとよく誤解を先程も受けたようなんで、ご認識をいただきたいと思うんですが、私はあんまり口挟んでないんですけども、原発再稼働に割と肯定的なかたっていうのは、もう〔ピークカット〕15%なんかはもうとっても無理だから、これやったらもう死者が出るみたいなんですね、死人が出るぞというようなぐらいでの言い方で、やっぱりもうここでいい加減割り切らないといかんという議論もあれば、もう片方で、そうは言っても限定的に、こういうことは考えないといけんというようなご議論もありで、そういうものがないまぜの中で、関西広域連合が声明を時間切れ的に発せざるを得なかったということだと思います。従いまして、それを、このあと多分報道機関との個別の知事のやり取りがあったんだと思うんですけども、いろんなこと恐らく喋ったと思います、皆さんの取材録を見ていただければ。それで、その中のフレーズの中で、じゃ、事実上容認するのかどうかというところが多分切り取られて、大きく報道される結果にもなっているんだと思うんですね。
中には、容認はしているとは絶対言えないと言ってその場を出て行った知事さんもいらっしゃいましたので、そこはそういうことになることまでは、みんなであまり想定していたわけではなかったとは思います。ただ、それを捉えられて政府の方で概ね消費地側の理解が得られたということをおっしゃられているわけでございまして、これについての評価は、私は関西プロパーではないもんですから、あえてコメントは挟みませんけども、実際、当事者と言いますか、2府6県の知事の皆さんがたとしては、いろんな思いがあって受け止められるだろうなと思って見ております。
○読売新聞 野口英彦 記者
そもそも声明を出すべきだったのか、出すべきでなかったのか、あるいは今出して良かったというふうに知事はお考えでしょうか。
●知事
先程も申し上げましたように、この課題につきましては、2府6県近畿エリアの問題でありまして、奈良県は〔関西〕広域〔連合〕でも入っていませんけども、2府4県の問題でございまして、このことは相当悩みながら議論はしていました。結果的に、ああせざるを得なかったんではないかなあというふうに拝見をいたしております。ここから先だと思うんですね、実際再生可能エネルギー中心の、我が国のエネルギー政策、エネルギーシフトへ持っていけるかどうかとか、いろいろと今後の戦略はあろうかと思います。今回は1つの節目かなあと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
この問題、もともとその〔原子力〕規制庁が発足していない段階で、大飯〔原発〕の再稼働がされようとされたことに対して疑念の声を挙げて、関西広域連合で議論をすることになったと思うんですが、仮の話ですが、原子力規制庁が4月に発足して新しい監視体制がとられていたら関西広域連合で議論する必要はなかったと考えられているのか。あるいは、こうやって議論することで、その問題点が明らかになったというメリットがあると考えられたのか、どうでしょうか。
●知事
今回はおそらく周辺地域として、関西広域連合の方からの住民の声を踏まえた懸念の表明があったと思うんです。その懸念の表明に対して、政府側も動かざるを得なかったと。それで、細野大臣、斎藤副長官を派遣して5月19日ですか、最初の説明会となったというところでございまして、その辺はやっぱりそうした世論の動向に政府側が配慮したことで、関西広域連合がクローズアップされたということではないかなと思っております。一石を投じることは、おそらく出来たんではないかと思いますが、ただ、結果において、議論で目指したところと完全に同じ方向に向かっているかどうかというのは分かりません。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
これは確認ですけども、平井知事としては、この事実上容認したという認識は全くないということでよろしいですね、流れとして。
●知事
ええ。私はどっちかというと若干、客観的に今回の議論を見ていますけども、あの大山で皆さん集まってお互い取り交わしたところで容認をしたという結論ではなかったですね。ただ、そのボールを政府側に返したと。それで、それも適切な判断、中身は書いてないけど適切な判断というボールは返したというところは皆さん、共通に理解しているということです。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
その政府の認識、それから報道が「事実上容認した」ということになってしまっておりまして、そのことについて、知事もメンバーの1人で、世間的には容認した1人ということでとられかねないわけですけども、そのことが島根原発に置き換えて、その再稼働問題、別と言うことはもちろんおっしゃっていますけども、そのことで不満を感じている県民さんもいらっしゃるんじゃないかと思いまして、その辺あたり説明の必要があるんじゃないかと思うんですけど、そのあたりいかがでしょうか。
●知事
これはあの日からずっと一貫して同じことをお話し申し上げておりますが、今回はテストケースであると。ただ、私の印象としては、未成熟な段階のまま政府がこの問題に走ったものですから混乱が混乱を生んでいるという状況ではないかなと総括をしております。私どもとしては、やっぱり時間をかけてその安全性ということをまず第一義に冷静な検討が行われる環境を、まず政府は作るべきだと思います。その意味で、今後も精力的に政府なり、中国電力なりに働きかけをしていく必要があるだろうと、これは今回の議論を通じて再認識をしております。
○読売新聞 野口英彦 記者
すいません。広域連合の話に戻るんですが、中国地方ですね、関西広域連合ですと以前、これは関経連〔関西経済連合会〕なんか強力に地方分権を訴えてきたという経緯があって、前身として関西広域機構という事務局のようなものがあったわけですけども、これ、中国地方の広域連合は事務局な役割をどこが担うことになるんでしょうか。
●知事
事実上、会長県である岡山〔県〕が議論の取りまとめをするかたちで、今、物事は進んでいます。ただ、今後そうしたことも考えなければならないタイミングも来ようかなと思います。これは行政だけでやってもあんまり上手くいかないと思うんですね。ある程度の広がりを持って広域連合の設立をしていく必要があると私は考えています、これは他の知事さんと考え方が違うかもしれませんけれども。そういうことであの日も会議の席上で、会長の方から当日経済界が5県集まる、一緒に協議をする場がセットされたもんですから、会長の方から今日の我々5人の話し合いの結果を説明してくれと、それで、議会も代表者が来られるので説明をしてくれということを申し上げました。実際そうしたわけでございます。こうして経済界とか、あるいは住民の皆さんと対話をしながらこの問題を考えていく、まずは糸口を作ったと思います。
関西の例で言えば、関経連が中心となって、その元々KU〔関西広域機構〕という組織を作っていました。中国地方にはそれがございませんで、その辺の違いはあるはあるんですけども、今のところはこういう、まだ発展段階の生まれたばかりの検討でありますので、今の体制でこなしていけるんでないかなと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
その経済関係で言いますと、山口県の経済団体が九州の経済団体の方に加盟していたりとか、また、例えば我々の新聞社でも山口県はこう九州の管轄になったりするわけです。そういう意味で、求心力が上手く働くのかなというという気もするんですが、いかがでしょう。
●知事
それは鳥取県も事情は一緒でありまして、ここも関経連に加入しているんですね、経済団体の方に。そういうような経済同友会ですか、経済団体も関西側の方に入っておりますので、そういうような意味はいろいろとあろうかと思います。ただ、そういうような事情はあるにせよ、1つの中国地方としての地理的なまとまりもございますし、片方で議論されるような国からの出先機関移譲というようなことを念頭においた場合、中国5県と言うのはエリアとして分かりやすい部分ではないかなと思います。山口の二井〔関成〕知事も積極的な反対はなく、むしろどちらかというと積極的に同調された方ではないかなと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
すいません。話題が変わりますが、山陰新幹線の関係ですね、先日の近畿ブロック知事会議で、山陰新幹線を整備するべきという提唱をされたんですけども、現下の経済状況を考えたらなかなか厳しい面もあると思うんですね。それで、知事としては問題提起をしてよしとされるのか、これはしつこいくらい粘り強くこれからあらゆる場所で言っていかれるのか、どちらなんでしょうか。
●知事
これから議論の口火を切って、国としてのアジェンダ〔政策課題〕に載せていくことを目指していきたいと思います。正直申し上げまして、一朝一夕でできることでもありませんし、来年度の予算要求でどうかということのレベルではまだないと思います。私が特に主張しておりますのは、山陰新幹線のことだけを言っているわけではなくて、東日本大震災後の国家のグランドデザインを考えなければならない、そのときに1つ一本軸を通して太平洋ベルト地帯だけでものごとを割り切れるものではありませんで、そのベルトを幾つか作っておく必要があるだろうと。特に私ども山陰側で言えば、日本海側がアジアに対するフロントになるわけです。この最前線のアジアに向かっている山陰側に1つのベルト、日本海ベルトというのを作っていく必要があるだろうと思うんです。これは四国側には四国側のモチベーションがまた別途あるんですね。
そういういろんな議論があるんで、リダンダンシー〔代替手段確保〕をやはりこれからの国家戦略として正面から取り上げるのであれば、山陰側に、今、高速道路網を作ろうとしています。さらに鉄道ということもやはり検討の対象に挙げていってもらいたいと、こういうことを、表明をさせていただいたところでございます。当日、近畿ブロック知事会でもこれちょっと意外なほど賛同がございまして、徳島県、それから京都府、福井県がそういう構想に理解を示されていました。それで、近畿ブロックとしてもこういう議論を全国レベルに提出していこうという方向性が出てきたわけでございまして、まだ緒に就いたばかりでございますが、我々としても国家のグランドデザインを睨んで、山陰の果たすべき役割というのを、今後しっかりと追求してまいりたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すいません。この間県議会の野球部が、県議会に野球部というのがあるそうでして、野球部が事務職員さんに、これまで休日返上でいろいろ手伝いをさせていたという問題がありまして、それをもう取りやめるということにしたわけですけども、それについての知事部局じゃないんでとおっしゃるかもしれませんけど、知事のご感想をお聞かせいただきたいんですが。
●知事
はい。今回、伊藤〔美都夫県議会〕議長が判断をされて、県議会の野球部と話し合いをして、そういう職員の参加ということを止めていこうというふうになりましたことは評価していいんじゃないかなと思います。これ違法かとか、著しく不適切かいうと、要は課外活動で職員は参加しているんですね。ですから、それは自分もサラリーマンをしていましたんで分かりますけども、いろいろと課外活動としてやっぱりお付き合いをしないといけんなというかたがたはおられますから、そういうような一環で、事実上そうしたお世話係を買って出てくださっていたという状況があったことは理解できようかとは思います。また、それが違法だということでもないと思います。ただ、けじめをつけて、襟を正してやっぱりこれは議会の中の議員同士の活動であるということを明確にされて、整理をされたということは評価をしたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
過去に鳥取県の知事部局との対戦というのもあったようですけども、例えばそういう場でその知事部局として幹部のかたとかが出られる場合に、若い職員さんが同じように準備を手伝っていたりという状況はないですか。
●知事
これはちょっと私もよく分かりませんけども、これも県庁の野球部ではないですが、県庁の中の人たちが出て、その相手をすると、それで、また当然野球でありますから別に県庁以外にも相手はいますので、民間の会社のかたとか、あるいは県内の団体のかたとか、そういうところでいろんなチームがありまして、それで対戦をするということがあります。これはいずれも課外活動でございまして、その課外活動としてのやり方で、それぞれのお付き合いをしていると思います。県庁のチームは参加したときに皆、手弁当で行っていますので、それは一定の職員のかたが、例えばグローブを運ぶだとかいうことは当然あったと思いますけども、普通に草野球でやっている程度の話ではないかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
すいません。福祉行政の関係でお伺いしたいんですけども、テレビに出ているタレントさんの家族が生活保護を受けられているということが週刊誌等で取り上げられました。それで、県も福祉事務所を持っているわけですけども、今の生活保護の在り方とか、その点について知事のご所見があればお伺いしたいと思います。
●知事
今はこの生活保護の問題につきましては、2つ考えないといけないことがあると思うんです。1つは構造的な問題でありまして、これは鳥取県に限りません。どんどんと受給者が増えてくること、それをどう考えるか、どういうふうに本質的な転換を図っていくかということが、これはもう鳥取県1県ではどうしようもないことでありまして、国の構造的な問題として変えていかなければならないということが1つあります。あと、生活保護の制度に内在するいろんなスキーム〔枠組み〕がございますが、これが十分かどうか検証する必要があるという2つがあると思います。前者の方については、鳥取県は今どんどん毎年こう増えてきておりまして、今では12‰超えたと思います、受給水準〔保護率〕が。それから〔被保護人員〕7,000人、〔被保護世帯数〕5,000世帯ですかね、そういう大台も突破してきているという状況でございまして、他県、他地域と同様なことが県内でも、全国平均ほどではありませんけども起こってきているということでございまして、ぜひ、国として抜本的な対策を作る必要があるだろうと思います。
本来はワークフェアと言いますか、人間の欲求として、憲法上も勤労の権利というのがございますが、働いてそれぞれが自活しながら、自分で稼いだお金で人生を謳歌していくというのが人間の欲求の本質だと思いますので、それを国全体でできる社会構造というのをリードしていく必要があるんではないかなと思います。この辺のポリシーや政策が残念ながら我が国に欠けているんではないかなと思います。それから、2点目の方でございますが、今回議論されているのは扶養親族の問題なんですね、これは皆さんも我が身に置き換えていただければお分かりいただけるように、自分の親族としてはいろんなかたがいらっしゃいます。それで、その親族は家族だとは言っても、ファミリーとは言ってもやっぱり他人という部分もありますよね。ですから、お金がないようだから、わしが養ってあげるからみたいに入っていって、それはそんなもんほっといてくれという人間関係というのはやっぱりざらにあると思います。これはいろんな感情がないまぜになりますから、それは、自分はもうしっかり自分でやるんだと、それで、自分のところで何とかするからというようなことの意識が働いたり、あるいはそんな俺だってプライバシーあるわいというような、そういう受け手側の心理もあったりして、なかなか一律には論じがたいところがあるわけですね。
ただ、その法律上は、その扶養義務ということも念頭に置きながら制度は設計されているわけです。この辺は調査権の強制力だとか、それからどこまで一律に求めるかというところが明確でないんですよね。従いまして、現場では、これ常に苦慮するところであろうかと思います。それから、じゃあ、扶養すべき人がお金を払わない場合に強制力があるかというと、これは裁判所に申し立てて取りに行かなきゃいけないということになります。ちょっと考えていただければと思うんですが、片方で生活保護の受給制度があって、一定の要件を満たしさえすれば受給できるという制度がある。それを行政が司っている、そういう状態にあるわけでありますけども、その行政が、その本人とは別の親族、例えば兄弟だとか、伯父、甥だとか、そういう関係のところまで踏み込んでいって、すべからく裁判所に訴え出て取りに行くということが、果たして現実的なのかどうかということはあろうかと思います。
この辺実は制度はそうだということを厚生労働省は説明をするんですけども、やはり現実可能性として、年がら年中それができるかということを、社会常識に照らして考えれば難しい面があるということだと思うんです。ですから、こうした社会常識に照らしてこういう生活保護、どうやってリーズナブルに回していくかというところの具体的な、強制力まで踏み込んだような仕組みが十分でないと思います。こちらも併せて検討を国は急ぐべきではないかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
今のお話をお伺いしていると扶養義務の範囲を限定すべきというふうにも聞こえるんですが、そういうことなんでしょうか。
●知事
いや。そもそも例えば、厚生労働省は扶養義務者がいれば裁判所に申し立ててやればいいんですよと、これはその管理している自治体の方が怠けているんですよと言いたげなんですけど、じゃあ、本当にいろんな親族がいるわけですから、そういう親族にすべからくこう裁判所に求めていくというのが現実ではどうかというと、それはなかなか難しいと思います。ですから、今そういうふうに厚生労働省が言いまわっているスキームが本当にワーカブル、動き得る実効的なものかどうかというと、そこに疑問があるということを申し上げているわけです。
○共同通信 田島沙羅 記者
各社よろしいでしょうか。知事ありがとうございました。
●知事
はい、どうもありがとうございました。