●知事
皆さんおはようございます。先般、東京の方に上京をいたしましたときに、松原〔仁〕拉致被害者対策の担当大臣と親しく要請活動をさせていただきました。折しも、今まだその協議が続いております。本来、昨日までで北朝鮮側と日本政府との交渉は終了するはずでありましたけれども、異例の延長ということになりまして、伝えられているところによりますと、今日〔8月31日〕の午前中にも協議が再開されるということであります。今回は、金正恩〔キム・ジョンウン〕体制になりまして初めて外交ルートを開こうと、北朝鮮側も動き始めたわけであります。〔日本人の〕遺骨問題が中心的な課題というような呼びかけであったのかもしれませんけれども、我々としては、ぜひこの機会に拉致被害者の救出を、実現をしていただきたいと思います。私ども鳥取県には松本京子さんという政府の認定〔拉致〕被害者がいらっしゃいます。さらに、その他にも拉致の可能性を疑われる人もおられまして、先般は松原大臣にその状況についてもお話を申し上げました。
大臣の方も、ぜひこれについては行動を起こしていくという話がございました。一致結束した体制をつくっていかなければならないと思います。今週末〔9月2日〕には東京の日比谷公会堂におきまして、拉致問題を解決するための国民集会〔すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会〕が開催をされることになります。実は、この件につきましては、私が7月の全国知事会で動議を出しまして、最終的にはそれが了承されたかたちになりましたけれども、関係の知事など、本人が出ていって、皆で訴えかけをしようじゃないかということもございました。だから、複数の知事が今回、日比谷にも集結をすると思います。もちろん拉致議連〔北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟〕だとか家族会〔北朝鮮による拉致被害者家族連絡会〕であるとか、さまざまな関係者が集合するということになろうかと思います。
私自身もこの地元の熱い思い、切実な情勢を訴えかけをさせていただきたいと考えております。この件につきましては、今、政府認定の被害者であります松本京子さんがいらっしゃいますが、今日、どういう予備交渉が行われるか注目をしているわけでありますが、その展開によっては、解決の光が差してくる可能性がないわけではない。その場合に備えまして、これまで米子市とも受け入れということについての協議をしてまいりました。具体的に動き出せば、米子市に改めて呼びかけをさせていただいて、米子市長との協議会を開かせていただきたいというふうに思います。我々としては、〔福井県〕小浜市など先進地域の視察を重ねてきておりまして、どういうように受け入れる体制が必要か、例えば住宅の問題であるとか、あるいは当座の働く場の確保であるとか、心理的なカウンセリングであるとか、いろんな対策が求められると思います。我々地元にできることは、それが我々の役割だと思いますので、最大限私たちでやれることをやっていきたいというふうに考えております。
●知事
環境関係についても大きな展開がありました。先般、孫正義ソフトバンクの社長様、この社長さんはソフトバンクエナジー〔株〕の社長でもあります。それから、三井物産〔株〕の飯島〔彰巳〕社長さん、野坂〔康夫米子〕市長さんなどと東京で調印式を行いました。我が国の最大のプロジェクトが動き出すということになりましたけれども、非常に地元としても、この問題、熱く訴えかけてきたことが認められた思いでありまして、大変に喜ばしい展開だと思っております。ただ、これを単なる発電所だけで終わらせるのではなくて、再生可能エネルギーや環境問題に取組む、その先進県として鳥取県としての施策もあわせて展開していく。これにソフトバンクを初めとした関係者も協力してもらう、こういう体制をつくっていく必要があると思います。
先般も記者会見の席上でも申し上げましたけれども、環境貢献をプロジェクトの中からやっていただきたいと考えております。これ実は、孫社長や飯島社長とも話をさせていただきましたが、あんまり違和感のない受け取られ方をされたと思います。例えば、環境教育の場であるとか、それから地元では中海の水質問題などいろんな課題があります。これに市民を挙げて取組んできた。中海圏全体で取り組んできたという歴史もあります。そういうことに孫社長も少なからず興味を持たれたと思います。ずいぶんいろんなやり取りをしたんですが、孫社長も記者会見の席上で自らその中海の長い環境を取り巻く歴史があるというような話をされました。その直前の話し合いを踏まえての発言だったと思います。ですから、どういうかたちでいくかどうかはこれから細部を詰めたいと思いますが、何らかの環境貢献をこのプロジェクトを通じて打ち出していければというふうに思っておりまして、今後も折衝にあたっていきたいと思います。
この度、鳥取県としてはCO₂ダイエットに、企業さんあるいは団体さん、県民のかたがた、共同して取り組むことになりました。分かりやすい例で言えば、住宅について太陽光発電などリフォームをかける、そんなような場合に住宅ローンが組まれるわけでありますが、そういうリフォーム住宅ローンについて金利を安くしましょうという協賛を得まして、銀行さんと一緒にやるとか、それからレジ袋のことでも、ノーレジ袋の以前の問題として、レジ袋を使わないといったらポイントを付けるとか、いろんな商品の割引だとか、そういうことを地域全体で展開していこうということをやっております。これを今年度いっぱいやろうじゃないかと呼びかけまして、始まることになりました。併せて、10月〔1日〕からはいよいよ東部でノーレジ袋が始まるわけであります。これは、スーパーマーケット、小売さんの協力を得て始まるわけでありますが、そのノーレジ袋がいよいよ実行に移されますよという、そういう事前告知のキャンペーンを今日〔8月31日〕いろんな関係団体と共同で、県ももちろん入っておりますが、キャンペーンに回らさせていただき始めました。こういうようなことをいろいろと進めていきたいと思います。
●知事
こういう環境関係の取組みも含めまして、来る9月〔定例県〕議会に補正予算を提案をし、いろんな条例を提案していきたいと思います。環境で言いますと、ソーラー発電は住宅だとか、事業所でも行われるわけです。それで、そういうところでやられる場合には県として助成しますよという助成制度を打ち出したところ、これ結構今の世相も反映し、また環境先進県としての浸透も図られているようでありまして、非常に好調であります。これを補正をしようと、1億2,700万円程補正してもいいかなと思っていますが、そういう、かなり思い切った増枠をしたいと考えております。また、森林環境保全税、これも鳥取県が独自に始めたものでありますが、それぞれの住民税関係で500円、さらに法人関係では1,000円~4万円、均等割の中でご協力をいただくというものでやってまいりました。これは期限が到来するわけでありますが、これまでパブリックコメントを求めたり、関係団体への意向調査などいろいろやってまいりました。概ね現状で維持していいのではないかという感触を得ましたので、来る議会には現在の税率によりまして、再提案をさせていただきたいと考えております。
また、産業廃棄物処分場にかかります、そういう産業廃棄物の税につきましても、これも延長させていただくということで提案をいたしたいと考えております。そういうような9月議会での提案の中に、ぜひ含める必要があるかなと思っておりますのが、実は、この間、議会の会派要望がありまして、その会派の方から複数で出された中にございましたのは、アレルギー疾患、食物アレルギーについての対策を求める要請がございました。これも、いろいろその要望もありまして、大学であるとか、関係者と若干の協議をしたんですけれども、さまざまなアプローチが必要だということはだんだん分かってきまして、病院の方で専門的な人材がいる外来が必要じゃないかというようなこともありましょうし、それから、これ食べ物の問題でありますので、住民の皆さまに正しい知識を持ってもらって、対策を自ら取っていただく。栄養相談だとか、そういうこともありましょう。そういう意味で、広がりのある対策が必要だというような議論がございましたものですから、そういう食物アレルギー対策について検討するような、そういう予算も計上していきたいなと思います。
それから、いじめ対策でありますが、これについては、先般も申し上げましたとおり、教育委員会側と協議を進めてまいりました。昨日までに、だいたいその協議の骨格が固まってまいりまして、今日にでも調印しようかと、協約を結ぼうかというような段取りに、ようやっとなってきたわけでありますが、そういうことを踏まえますと、2,000万円を超えるような規模での対策を打つ必要があるかなと思います。1つ、この際全県で一斉にやってみようというふうに考えておりますのは、子どもたちの間の人間関係があぶり出されるような、つまりいじめが起きている可能性というものを、さりげないかたちで問いただしていくと。普通のアンケートなんですけども、一見。ただ、これをやりますと、その中の人間関係が分かってくると。こういう手法がございまして、こういうものをこの際、1回全県でやってみようかというふうにも思います。これについては教育委員会側に申し上げているんですけども、個別の生徒指導、児童指導に結び付けていただくと、そういうようなことを求めながら実施をしていくということもあってもいいかなと思います。
また、速やかにサポートチームを作って、学校現場に入れる体制をつくる必要がありますし、相談体制をつくる必要がありますし、また、第三者調査委員会、これは知事部局の方にイニシアチブ〔主導権〕をということで、先般来、話をしておりますが、具体的には県の人権局に事務局を設置をするという方向でだいたい今、調整がつき始めております。そんなような新しい対策を盛り込んだ9月議会の案を、条例案や予算を提案していきたいというふうに考えております。
●知事
今、観光の夏のシーズンが終わりまして、9月のシーズンへと入っていくことになります。この観光シーズンのいろどりとして温泉だとか、食べ物以外にも国際まんが博を実行しまして、本県としても集客のテコ入れを図っているところであります。中部で〔とっとりまんがドリームワールド〕第2幕が開くということもございまして、徐々にではありますけれども、その先駆けがこの週末ぐらいからまた動き始めます。例えば、コナンの巨大迷路〔名探偵コナン巨大迷路で少年探偵団を探せ〕がありましたが、これ本当は終わるはずだったんですけども、好評でございまして9月いっぱい土日、祝日は継続しようと、延長しようということになりました。また、同じ地域で、トレジャーキング〔名探偵コナン大泥棒トレジャーキングからの挑戦状〕というイベントをやって、まちを巡り歩いてもらうと。コナンをモチーフにいろいろと探検をしてもらうということですね、こんなようなイベントも今週末から始まるということになります。
9月2日には湯梨浜町でアニソン〔アニメソング〕のフェスティバル〔ゆりはまアニソン祭りBIG3コンサート〕が開催をされることになります。また、中部では食のみやこフェスティバル〔中部発!食のみやこフェスティバル〕、これも倉吉市で開催をされまして、今週末、土日〔9月1、2日〕と行われることになります。そのような賑わいが、また新しい第2幕として始まってきたところでございます。昨日もJTBの方にまいりまして、集客のテコ入れをお願いしてきたところでございますが、いろいろと観光会社の方でも応援をしようという体制が組まれつつあります。なかなか海外への、あるいは九州とか、東京にスカイツリーがあるとか、観光のテーマが分散しておりまして、そういう中でテコ入れを図っていくというような体制を組んでいきたいと思います。
●知事
そういう一環として、これまでも交渉を続けてきました〔中国の〕春秋航空とのチャーターフライトでございますが、これにつきましてはこの度、話がまとまりました。9月23日から10月25日まで10回に渡るチャーターフライトをプログラムで飛ばすということになりました。これは具体的には180人乗りの〔エアバス〕A320を飛ばすということになります。これは、将来こういうようなことが継続していけるかどうかの試金石というような意味合いも春秋航空側にもあるんだと思います。そういう意味で、いろんなパターンを織り込みながらのチャーターフライトになります。もちろん、中国から日本へのインバウンド〔訪日〕観光、これは、1泊は鳥取県で必ず泊まってもらうというようなことで調整がついてきております。
また、日本側からも、これは山陰だけでなくて、むしろ山陽とか、関西とか、春秋航空はそういう意味で、ネームバリューが出てきている航空会社でありますので、意表を突くようなツアーで、説得力のある、そういう競争力のあるツアーで中国に行くお客さんを、むしろその米子鬼太郎空港から出ていってもらうと、こういうようなパターンをやってみようと。併せてインターネットベースなんだと思いますが、チケットの直接販売ということも春秋航空側としてやっていくと、その辺を組み合わせたチャーターフライトで10回飛ばしてみようということになりました。
正直紆余曲折ございましたけれども、王〔正華ワンジョンホア〕会長のリーダーシップ、あるいは春秋航空に関連する観光会社の姜〔偉浩ジャン・ウェイハオ〕副社長さんとかですね、さまざまなかたがたの熱いご協力によりまして、この度実現をするということになりました。国際まんが博が開かれるからこそ、こういうチャーターフライトが日の目を見たということも、ございますが、こういうことが一過性にならないように、ぜひ、この機会にいろいろと、北東アジアへのゲートウェイとしての機能を米子鬼太郎空港が発揮できるように、関係者の皆さまのご協力も仰いでやってまいりたいと考えております。
●知事
そういうようないろいろな観光の動きがありますが、本県は山陰海岸ジオパーク、夏のこのシーズン、非常にお客さんにも注目されるシーズンでありました。夏は終わりますけども、行楽シーズン、9月に入ります。9月1日にタレントのさかなクンに〔山陰海岸学習館〕ギョギョバイサーに就任していただこうということになりました。山陰海岸学習館が県営でございますけども、ここのギョギョバイザー、意味はよく分からないんですけども、要はアドバイザーと言いますか、館長ではないと。館長やってくれませんかみたいな話もしたんですけも、ちょっとそういうことではなくて、別の角度でということがございまして、ギョギョバイザーに就任をしていただくと。その就任式典をやろうということになりまして、9月1日行うことになりました。
●知事
また、梨も昨日大阪で初売りということになりまして、だいたい平年並みのスタートということに舵は切れたかなと思います。本当に厳しいシーズンで、雪は降るわ、雹は降るわ、風は吹くわ、暑い日が続くわ、そんな大変な気象状況の中で、よく生産者のかたがたが育てていただきました。その願いや祈りが通じるシーズンになれば、いいなというふうに思っております。
これにつきましては、私も、今度は9月2日に東京の方に行きまして、東京の三越銀座店で梨のイベントをやっていきたいと思います。これはまた、新甘泉〔しんかんせん〕、なつひめと言った新しい品種も含めて売り出していくような、そんなようなイベントを今、検討中でございます。
8 鳥取県民参画基本条例(仮称)検討委員会の検討状況報告
8月は終わりますけれども、これから秋の実りの季節を迎えるわけであります。ぜひ、9月の県議会、ここでもしっかりとした実りのある議論をしていければと思います。昨日は、住民参画の基本条例に向けた検討委員会の検討状況の報告をいただきました。私的諮問機関でございますので、検討状況について報告をされるというようなかたちで昨日〔8月30日〕、私の方でも受け取らせていただきました。だいたいコア〔核〕の部分は入っているというふうにお見受けいたしました。この案を、基点としてこれから議論を幅広く提起していきたいというふうに思います。
当面県議会が始まります。恐らく、自由闊達な議論にさらされることかと思います。そこで、さまざまな観点の検討も加えながら、さらにその後か前か、ともかく県民の皆さまとも、もちろん意見交換の機会も十分に持って、時間もある程度かけながらやっていきたいと思います。目指すところは、鳥取型のデモクラシー〔民主主義〕でありますので、そういうデモクラシーを手続きとしても、プロセスとしてもしっかりと進めながら、成案を得ていきたいと思います。そして、県議会の方に条例案を提案を、いずれは正々堂々と提案をしていきたいというふうに考えております。私の方からは以上です。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
各社質問がありましたら、お願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
食物アレルギーのことでちょっと教えてほしいのは、これは現状、今日午後もなんか保護者さんの団体が来られますけども、現状鳥取県は取組みが遅れているのでということでしょうか。
●知事
というか、我々もそういう元々会派要望がありまして、ちょっと調査してみましたけども、今日もたぶんいろいろと切々とした状況のお話があろうかと思います。そういういろんな動きが聞こえてきました。背景には、本県、全国平均と比べると、食物アレルギーのパーセンテージが若干高めに出ています。原因はよく分かりません。解明も難しいのかと思います。ただ、そういうようなことで悩んでおられるかたの比率が、平均よりも高いということでありますので、我々としても、きちんとした検討・調査、そのための検討の場の設置というようなことを、まずやる必要があるかなと思います。
○NHK 月岡信行 記者
すいません。補正予算なんですが、規模はだいたいどれくらいになりそうですか。
●知事
まだちょっとラフスケッチでありますけども、9億円ぐらいにはなるでしょうね。10億〔円〕行くかどうか、9億円台かな、そういうちょっとまだ、今まだ調整始めたところでありまして、これから細部を詰めてまいりたいと思います。そういう中で若干、我々もちょっと気を揉んでおりますのは地方交付税の問題でありまして、これについて昨日も地方六団体と首長協議が開かれて、山田〔啓二全国知事会〕会長の方から、山田会長とは実は先般も関西広域連合のときにいろいろ意見交換を内々、皆でやったんですけども、なかなかその地方六団体で足並みが揃わないこともありまして、交付税についての動きとしては昨日の協議のようなことになったんだと思います。その中で、市町村側に配慮をしながらこの厳しい状況に対処していこうということで話し合いをされておったわけでありますが、今日、はっきりと我々の方に話も来ました。本来9月で340億円の配分があるはずなんですが、113億円、200億円強欠けるということの連絡が来ております。ただ、市町村には満額を確保しようということで都道府県側に寄せたということだったようです。不満がないわけではないんですが、ただ事態が事態でありますので、やり繰りをしてでも乗り切らないといけないと、現場ですから我々は。
それで、いろいろ考えるわけでありますが、鳥取県としては、昨年度末も決算対策をしっかりやりまして、余分な事業をやらないということで締めた関係で154億円の実質収支がたっております。要は繰越がたっております。その繰越財源を活用しながら歳計現金〔国または地方公共団体の歳入・歳出に属する現金〕の、現金収支のやり繰りもしながらこの事態をなんとか、とりあえずはしのいでいきたいと思います。ただ、長期化は厳しいです。ですから、それはぜひ国会あるいは政府、しっかりとした対策を求めたいと思います。都道府県は確かに市町村と比べますと相対的には財政ひっぱく度というのが、影響度は小さいかもしれませんけども、鳥取県は貧乏では他に引けを取らないぐらい貧乏なところでございまして、交付税の依存度が高い、そういう自治体でございます。
ですから、その自治体の状況というものもございますので、それぞれに、しっかりとした協議による打開策を図っていただかないといかんなと強く思います。ただ、市町村との関係性も配慮しながらの今回の配分決定でありますから、不満がないわけではありませんけれども、なんとか当面はしのぐ努力をやっていきたいと思います。
○時事通信 小出秀 記者
すいません、最初に話のあった拉致の関係なんですけども、米子市長と協議会を持つというのが、昨日、今日の日朝協議の結果を見て、それで何か具体的な前進があるようならばという前提の上で協議会を設置するということでしょうか。
●知事
ええ、そうですね、協議会は、実はもう設置されています。私が1期目当選した後に、私の公約の中に拉致被害者対策ということが入っていまして、受け入れ態勢を作っていこうというのがございました。それもありまして、1期目当選してあまり間もなくの段階だったと思いますが、米子市と一緒にそういう協議組織を作っております。これを招集するということをいずれ考えられればと思います。これはもちろん日朝協議の状況展開を見て、そういうことを臨機応変にやっていきたいと思います。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
今の時点で何かええ話になるような感触とか情報を得ておられるんですか。
●知事
ありません。ぜひ打開を図ってもらいたいと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、いじめの関係なんですけれども、弊社今朝の朝刊でも文〔部〕科〔学〕省の方がいじめの支援組織を作るようなことも検討しているというのを報じているんですけども、先程支援体制もということでしたが、アンケートの概要、いつぐらいからどんなふうにされるご予定なのかということと、支援組織というのは具体的にどんなふうに考えられているのかということを。
●知事
これちょっと予算がどうしても要ります。お金がかかるものであります。今回こういうよう〔な〕全国的な状況もありますので、県として全県で一斉にやってみようというように踏み切らせていただきますが、まずは9月議会成立したかどうかということがございますので、予算の成立を待って取りかかるということになります。ですから、秋以降の実施ということになります。それで、その分析も、専門的に分析をするということになります。心理学的アプローチなんですね、一種の。そういうことをやった上で、学校現場に還元をしてくと、それで、我々の方でもいじめ対策の重要な資料とさせていただくということになろうかと思います。ですから時期的にはまだ今年度の話というふうに考えております。
それからサポートチームにつきましては、教育関係者はもちろんでありますが、それに私どもの関連での心理的なカウンセリングの組織であるとか、それから専門家だとか、そういう人材を集めまして個別の支援を必要とする学校に入っていくということであります。それで、このまずチームを、できれば早いうちに組みたいと、これ既定予算も活用しながらできると思いますので、9月段階での編成も可能かなと思っています。その辺を今、教育委員会とやり取りをしております。それで、このサポートチームにつきましては、先程の調査委員会とは違いまして、教育委員会の中の方でイニシアチブを取っていただいて派遣してもらうということにしようと思っております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
いじめのアンケートは、例えば小中学校全校の、全ての子どもが対象ということでしょうか。
●知事
ちょっとこれまた報道でそういう出方をするとちょっと誤解を招くんで、いじめのアンケートではありません。HyperQU(ハイパーキューユー)という調査を予定しています。ハイパーでQUはクエスチョン、それからユニバーサルのUですね、QUっていうのは、学校の友達、クラスメイトの級友を多分シャレで引っかけているんだと思いますが、そういう、何て言うんですかね、みんな仲良くやっているかな、学校大丈夫かなって、そういうアンケートです。アンケートというか、調査ですね。いろんな質問項目がありまして、そういう調査をする。それでよく今世間で言われているようないじめのアンケートっていうのは、その問題のあった学校で、そこで誰それさんがいじめているのを見たとかなんとか書かせるって、あれではありません。あれではなくて、もっと一般的なかたちで設問がセットされていると。
それで、それをただ児童心理学的にマトリックス〔関連性〕を作って処理していくと、ここにその人間関係に不穏当な状況があるんではないかとそういうのが見えてくると。これが学校現場でも、生徒児童指導にも役立つ可能性もあります。当然使ってもらいたいと。それから、我々としても、市町村の教育委員会や県の教育委員会もそうでありますが、いじめ対策を総体的に打ち立てるために我が市、我が町はこんな傾向があるなとか、我が県はこんな傾向があるか、あるなっていうのも分かってくるとか、そういう使いかたができる調査なので、これをやってみたいということです。いじめのアンケートではありません。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
規模は、やっぱり全小中学校全児童ということになりますか。
●知事
そういうふうに考えています。今日ちょっと確認してみますけども、今、話し合いの途上ではあります。はい。
○読売新聞 加藤あかね 記者
ハイパーアンケートをするのというのは全国的にはどうなんでしょうか。
●知事
教育実務としてはいろんなやりかたがあるようです。ちょっと私は聞いていませんけども、教育委員会に全国の実態はちょっと訊ねていただくとありがたいです。あんまり例があるとは思いません。ただ、学校によっては、このHyperQU〔ハイパーキューユー〕と呼ばれるようなものもありますが、そうではない手法でのアンケート調査を、今でも県内で導入している学校もあります。ですから、いろんなアプローチがあるんだと思いますが、我々としてはこういう手法を取って、まずちょっと全県的にやってみたらどうかということです。
○日本海新聞 井上昌之 記者
春秋航空のことについて伺いたいんですが、1つは、これはチャーターフライトが実現するという明るいニュースなんですけども、定期便化をかなり色濃く視野に入れた運航になるのかという、その辺の捉えかたをお聞きしたいのと、あとは、知事が今日の紆余曲折ありましたけども王会長を初め関係者のご協力で実現したと。その紆余曲折というその苦労した部分というのを具体的に教えていただけませんでしょうか。
●知事
はい。定期便化するかどうかは、今回の実績が非常に大きく影響すると思います。まずやってみないと分からないじゃないですかということを我々も言って、それで、しかも、今、「国際まんが博」が実施をされますので、中国から鳥取、山陰への集客もやりやすい時期ですよと。だから、今の時期を逃がさずにやりましょうと。それで、最終的には王会長も、この「国際まんが博」の期間中にこだわって、かなりちょっと性急にみえる話だと思いますが、直ぐにやろうとこういう決断を下されたということです。ですから、定期便化するかどうかっていうのは、まだまだ霧が濃くかかっていまして、ただ、チャーターフライト自体は経済効果もありますので、これ自体はやる意味は充分あるだろうと思います。
それから、私たちとして苦労したところは、やっぱり鳥取、あるいは島根県も含めて、山陰の知名度が、中国側であまり高くないことです。従いまして、向こう側で旅行商品を造成するとしても、なかなか集客が確保しにくいと。例えば富士山が入っているとか、東京ディズニーランドが入っているとか、そういう中国のかたに分かりやすいような観光スポットが山陰にあるわけではございませんで、残念ながら。その辺の知名度アップ対策などもやりながら、今回そういう集客を図っていこうということであります。
ただ、今回これが実現するということになれば、おそらく「神話博〔しまね〕」もあるでしょうが、「〔国際〕まんが博」もやっていますよということを全面に出すんだと思います。名探偵コナンが待っていますよというようなことであれば、中国のファミリー層にも分かりやすい仕掛けになるということでありまして、この機会にやろうということで、何とか話がまとまってきたということであります。いろいろとそういう意味で、やるぞとこう盛り上がったり、それからやっぱり冷静に考えると、山陰に飛ばすのは難しいかなあというふうに、ちょっとムードがややしぼみかけた、これのちょっと繰り返しがございましたけれども、最終的には王会長の方の経営感覚で、茨城でも成功したんだから、鳥取でもやろうというような乗りだったですね。そういうことも含めて今回チャーターフライトをやろうということになりました。
○時事通信 小出秀 記者
すいません、ちょっと発表外の質問で恐縮なんですけども、今年8月に、鳥取県の30代の職員が飲酒運転で逮捕されて懲戒免職を受けたりですとか、あるいは先週でしたか、まだ県からの処分は出てないんですけども、50代の非常勤職員が、インターネット上で女性を中傷するような書き込みをしたということで名誉棄損罪で逮捕されたりと、ちょっと不祥事が相次いでおるんですけれども、もちろん、個人のモラルですとか、その法令遵守というのは個人によるところが多いんですけども、今後こういったことを起こさないために、県としてこういった対応をしていきたいというのは、何か考えがありましたら。
●知事
コンプライアンス〔法令遵守〕対策をしっかりと、もう1回手綱を締める必要があると思います。この点につきましては、今、その50代の職員のことは、調査中っていうことになっていますが、速やかに処断を下すべきだと私は思います。そういうことも含めて職員にも、コンプライアンスの徹底を図っていく必要があると思います。9月に入りまして、いろんな状況が見えてくるところで、改めて各所属に徹底するような会議の開催などを呼びかける必要があると思います。
○時事通信 小出秀 記者
そういった会議など、定期的に開催されているものなんでしょうか。
●知事
コンプライアンスは、実は5年前くらいですかね、実は鳥取県で、私の前任の時代でありますけども、裏金不正事件が発覚をしまして、大問題になった時期があります。そのあと、コンプライアンス対策を強化しようということで始まりました。それで、徹底してその資金面とか、不正をあぶり出していって、だいぶんこう膿は出してきた状況にあります。ただ、残念ながら、今回の飲酒運転はプライベートな世界での話だったんですけども、こういうことが起きてしまったとか、やはり職員としてのモラルも強く求められるところだと思います。その意味で、改めて徹底する必要があると思います。
○中国新聞 川﨑崇史 記者
先日、広島の湯﨑〔英彦〕知事と対談をお持ちになられましたけれども、そこで何点かこの合意なり、申しわせがあったと思うんですが、その中で、今、ちょっと何かちょっと具体的に動き出しそうなものというのは、おありですか。
●知事
中国広域連合については、共同歩調で呼びかけていくというのは確認し合えたと思います。10月の中四国サミット、それから11月の中国地方知事会、ここでは共同して、歩調を合わせてやって、何とか広域連合の実現に向かっていこうということは確認できたと思います。実はそのあと、若干メール的なやり取りはお互いしていますけども、この点は今後進める状況にあろうかと思います。あと、子育て同盟をやってお互いで子育て対策を育てていこうとか。それから障がい者関係では、障がい者の芸術、これはあいサポート展覧会のようなイメージでやろうということでありますが、これも合意に基づいて、もう実務的に進め始めております。そうしたさまざまなレベルで実行を進めていきたいというふうに考えております。
○中国新聞 川﨑崇史 記者
この、なんですか、テナントショップのような東京でのキャンペーンであるとか、京都でというようなお話もありましたけど、まだその辺何か具体的なものが出てるわけでは、現時点ではなく。
●知事
テナントショップの件は、これは広島県もそうなんですけども、私どももそうなんですが事業者に委託して運営している面がありまして、若干ちょっと時間がかかるかなあと思います、仕掛け作りには。その他のことについては、割と行政ベースでありますので、具体的にも動かしていきたいと思います。ぜひ、「フラワーカントリー」という花で彩られるようなそういうゾーニング〔区域づけ〕をした観光の売り出し、これ島根県とも話をしてやっていきたいと思います。湯崎知事と、その後メール的なやり取りをお互いしていますが、島根県側にもその呼びかけをするという話をされておられまして、具体的に動くと思っています。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
他にありますか。
16 鳥取県民参画基本条例(仮称)のスケジュール感
○共同通信 田島沙羅 記者
すいません、住民参画基本条例案なんですけれども、知事の中でいずれは正々堂々と議会に提案するということだったんですが、どのようなスケジュール感を持って進めて行こうと思っておられるんでしょうか。
●知事
これは議論の成熟度というのが私は指標だと思っているんです。これは大切な話だと思うんですね。鳥取県で全国のモデルとなるようなデモクラシーを実現したいと。その私1つの思想と言いますか、信条を持っております。それができるところだと、鳥取県と言うのは58万人規模でありますので、他の都道府県ではできない、言わば話し合える、そういう土俵がかろうじてあるんじゃないかと思いますね。その意味で、住民のかたが参画をしながら、ただ、ある意味、単にこう分裂だとか、騒動を起こすということではなくて、落ち着いて話し合う、そういう地縁的なつながりって言うんですか、そういう1つの連帯感、その辺もあろうかと思うんですね。そういう意味では面白いデモクラシーができる、その意味で住民の皆さまには、最大限の行政サービスを県庁というマシーンを使って引き出すことができる。そういう行政をやってみたいし、それが目標であります。
ただ、これは議論としてまとめていくには、それだけ多くのかたの賛同を得ていかないといけないと思いますね。ですから、そのプロセスが私は大切だと思っています。デモクラシー、新しい地方自治をスタートさせようというぐらいのものでありますので、十分な時間をかけて、もちろんその県議会という私の車の両輪のパートナーもおられますし、それから県民の皆さんご自身の思いもあるでしょうから、そうしたいろんなご意見をさらにこれから吸収して、1つにまとめ上げていきながら、これが最大公約数かなと、現実可能な線かなというのを作り上げていきたいと思います。若干の時間はかかるかもしれませんが、その議論の成熟度が高まったところで、提案に結び付けていきたいと思います。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
他にありますか。じゃ、なければ終わります。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。