●知事
皆さん、おはようございます。来週から県議会が開会をされることになります。こちらの方には9億2,500万円の予算、さらにはさまざまな条例の提案をさせていただこうということにいたしているところでございます。その中には、これからの懸案を考えるような、そういう場を設置することも含めています。例えば看護師不足が叫ばれておるところでございまして、特に医療だけでなくて、福祉でも看護師職が重要性を増しています。その総量をどうやって確保するのか、これが大きな課題になってきています。そのために県の東部、県の中部で具体的に看護師の養成機関を設置をしたい、設置しようではないか、そういう動きが急速に展開し始めています。県としてもこれらの課題について、トータルでどういうような環境作りができるのか具体的な検討を行う、そういう場を設置しようと200万円の予算を計上をいたしております。
これは、単にそういう新しい機関を設置するために、それに対する財政支援がどうかということだけではできないんですね。なかなかこの辺は小さな県の悩みでありますけども、看護師養成機関を設置しようと思いますと、じゃあ研修体制をどうするんだと、受け入れる病院なり福祉機関がどれほど集まるかというような課題があったり、また、人材であります教官となるかたがた、こういうかたがたをどうやって確保するのか、資金面以外にもいろんな課題が鳥取県のような小さなコミュニティの場合にはございます。この辺をやはりトータルで議論していく必要があるだろうと。もちろんこれからの看護師の需給見通しなんかも含めて考えていく、それで、じゃあどういうパッケージとしての解決策が考えられるのか。東部はこんなこと考える、中部はこんなこと考える、そういう全体の見通しをつける、その意味での検討機関というものを設置したいと考えております。
また、中部で今、急速に問題化しておりますのは、産科小児科の医師不足であります。これは各地で、特に過疎地を中心としまして叫ばれている課題でありますが、とうとう鳥取県の方にもその状況が及び始めているということになってまいりました。そこで、この産科小児科問題というのを考える機関というものを、検討の場を設置をしようということであります。もちろんこの問題を解決していくには鳥取大学さんの考え方だとか、それから地元の医師会関係者の考え方、いろんなところがなければなりません。また、これは産科であればお医者さんだけでなくて、助産師さんの世界もございますし、もう少し幅広くどういうアプローチがあるのか考えてみて、いずれ当初予算なり何なりで解決策を考えていくと、こういう流れにしていきたいと思います。現状は中部におきまして産科で出産ができるところが厚生病院とあと倉吉市内のクリニック、要は2機関だけでございまして、その2機関だけに絞られてしまったという現実も出てきました。これにも緊急にアプローチしていくと、そういう課題を背負っていると思います。この辺も9月議会の中で新たに提案をしていきたいと考えております。
●知事
こういう中で、来年の当初予算に向けた政策戦略の議論を今日からスタートをするということにいたします。もちろん「グリーンウェイブ」と言われる緑の風を起こしていく、そういうこともありましょうし、来年度で言えば、県民の参画、新しい鳥取型のデモクラシーをどうやって構築をしていくのか、この辺も本格始動してくると思います。新型、新規の産業政策というのももちろんありましょうし、いろんな課題があろうかと思います。こうしたことにアプローチしていくための総合的な議論を始めたいと考えております。
●知事
その意味で重要でありますのは、この度発表されました概算要求、国の当初予算に向けた動きであります。正直政情が今はっきりしません。従いまして、今回の概算要求で出てきたものがそのまま政策化されるのか、これからじっくりと見ていかなければならないことだと思います。さらに、次の補正予算を作るべきだと、昨日〔9月12日〕記者の前での公開討論会の中で野田〔佳彦〕総理が述べられたわけでありますが、こうしたことも注目していかなければなりません。今回の概算要求、全体トータルで101兆5,000億円余りと、非常に大きなものになりました。もちろん〔東日本大〕震災復興関係が入っていますので、その辺は当然と言えば当然なわけであります。私どもとしては堅実な財政運営を国としてやっていただく、そのことは国家全体として必要なことだと思いますが、片方で、鳥取県のような発展の遅れていると言いますか、まだまだミッシングリンク〔未整備の高速道路〕の接続などが必要なところでは、そうした予算に期待せざるを得ない向きもあります。
中身を拝見させていただきますと、ミッシングリンクにつきましては9%の対前年増額の概算要求になっておりまして、この辺は評価できるだろうと思います。具体の路線名でも、私どもが来年度中に完成を求めておりました鳥取西道路の1期分、山陰道、それから名和・中山間のところ、山陰道、さらに駟馳山〔しちやま〕バイパス、これは鳥取豊岡宮津自動車道、この辺の完成が明記をされておりますので、私どもとしては安堵できるところもあると思います。ただ、それ以外のまだまだ長いミッシングリンクがありますので、我々としても運動を強めていく必要があると考えております。また、山陰新幹線の構想など、これは中長期的な長い目での、視野での課題になろうかと思いますが、そういう高速鉄道網のあり方、これにつきましても鳥取県として要請をしておりましたし、また、中国地方、近畿地方、全国知事会、そうしたところでも発言をさせていただき、アピールも出させていただいたことを踏まえた予算になっております。
与党の国会議員の皆さんも動かれたというふうに伺っています。関係者のかたがたに感謝申し上げたいと思いますが、ともかくこの度の概算要求の1項目として1億円余りではありますが、将来の新幹線網などについて検討する、その予算が付いています。私自身も、上京した際に〔国土交通省〕鉄道局長のところにお伺いをしまして、山陰新幹線の構想もありますということを申し上げました。鉄道局長の方からも、そういう山陰新幹線も含めて、今回の新幹線等の高速鉄道のあり方を勉強する予算を要求していますと、こういうやり取りでありました。我々としても、まずは一歩前進をしたのかなと受け止めております。ただ、こちらの方はミッシングリンクとは違いまして、非常に長いスパンでの課題になりますので、粘り強く訴えかけをしたり、それから国の方との協調しながらの実現に向けた動きというのを長い視野で考えていきたいと思います。
●知事
そういうような中で、原子力関係の予算につきましても、来年度は今年度よりも増額されたかたちで要求がなされています。昨日、私たちの方では原子力安全対策のプロジェクトチームを招集をし、議論をいたしました。今、国の方でもこの原発安全を巡る動きが進んでおります。民主党の中では、新しい原則を示そうという話も出てきておりまして、2030年代には原子力発電というものをなくしていくと、そういうような提言もまとめられつつあるわけであります。大きなエネルギー政策の転換が起ころうとしています。もちろん自民党、公明党、〔日本〕維新の会、いろいろとこれから動きは出てこようかと思いますが、従来のまんまのレールの上を走るということではなくなるのだろうと思います。
そういう中で、鳥取県としては、原子力安全対策はせめてしっかり地元として、現場としてやっていく必要があると認識をしておりまして、昨日もそういう議論をいたしました。具体的な避難計画につきましても、概要案を昨日議論をしました。今、修正をしておりますが、修正をした上で県議会なり、住民の皆さまなり、提示をして、またご議論仰いでまいりたいと思います。もちろんこの避難計画につきましては、山陰両県一体のものでありますので、鳥取県の方の議論がいろいろと湧き起ってきて、それによっては島根県側とまた調整をしなければならないということは、今後あり得るかもしれません。いずれにいたしましても、スタートを力強く踏み出していきたいと思います。
9月19日には、鳥取県はUPZ〔緊急時防護措置準備区域〕に位置付けられることになります。これは鳥取県としての原子力安全対策、従来もやってきていることが、結果的には功を奏したことになりまして、この度30km圏内、さらには、地域防災計画の中に盛り込まれているかどうか、この辺がメルクマール〔基準〕になってUPZの定義ができましたので、鳥取県は他の隣接地域に先駆けて、UPZの中にあるという位置付けになります。だからこそ、これから3月18日までに地域防災計画を取りまとめる責任も負うことになります。しかるべく議論をしっかりとやって、責任を果たしていく必要があると思います。
具体的な避難につきましては、これは、これから幅広いご議論をいただくことになろうかと思いますが、原発サイトに近い方から順次避難をしていくと、それで、できる限り整然と移っていくと。境港〔市〕の方では3万6,000人のかたの避難が想定をされます。これらのかたにつきましては鳥取市、岩美町、八頭町の方に避難をしていただく、米子市の方の30km圏内、2万9,000人のかたがいらっしゃいます。こういう皆さまにつきましては、倉吉市、それから鳥取市、そうした周辺への、あと東伯郡ですね、東伯郡への避難ということを考えていただく。これで今具体的にこちらの体育館といったようなマッチングをコミュニティ〔自治会〕ごとに作り、おおかた作っています。これ今、最後の調整が昨日段階で、もう少し必要でありますが、そういうことを進めております。東北〔地方〕の場面でも、コミュニティごと移った方が、あとあとの生活については影響が比較的少ないというような経験値がございますので、その辺も踏まえて、計画を今考えているところであります。このような議論も今後本格化をさせていこうというふうに考えております。
●知事
急に浮上したこととして、日立金属の問題が浮上しました。ここ鳥取県東部の方では、かつて三洋〔電機〕とパナソニックの再編という大きな風が吹きました。日立金属さんの場合は配置転換をしようということではありますけれども、鳥取の事業所を縮小していくと、そういう構想が示されました。これは会社全体での苦渋の決断だったんだろうと思います。このことは決まってしまったことのようでありまして、それは受け止めることになろうかと思うんですが、昨日〔9月12日〕、急遽ですね、話し合いの場を作ることができまして、日立金属の本社の方から浜本〔直樹〕常務様、それから、赤田〔良治〕工場長様、そうしたかたがたと鳥取工場の方で、意見交換をする機会を得ました。私の方からは、できる限り雇用への影響というのがないように考えていただきたいということを、申入れをいたしました。また、併せて、配置転換で一旦は外に出て行く人がいらっしゃるかもしれませんけども、これからの日立金属の将来構想として、鳥取の事業所において、何らかの新展開を図り、こちらの方にまた、新しい動きを作ってもらって、場合によってはそうしたかたがたに帰っていただくということも、ぜひ考えていただきたいということを申し上げました。これから会社側の方でもお考えをいただくということかと思います。
私ども、今、経済としては非常に厳しい時期を全国的に迎えているんだと思います。鳥取県に限らず、製造拠点が海外へ移るということが相次いでいます。町ごと吹っ飛ぶような大きな話も他地域では出ています。そういうような時代の流れ、経済の流れでありますので、ここを何とか乗り切っていかなければならないわけであります。従いまして、一旦は縮小するということに、会社の形態としてなったとしても、それを計画的に新しい事業というものを考えて、こちらの方に、また呼び戻しますよという事業体、企業さんに対して鳥取県としては支援をしていくと。それによって雇用を、こういう海外流出の時代において守っていく。それを考えていきたいと思います。いずれにいたしましても、これに限らず、企業誘致や中小企業振興を含めて、思い切った措置を今後とも取っていきたいと思います。
●知事
観光関係、イベント関係など、秋のシーズン、これから連休も控えております。目白押しということになります。第2幕を迎えました国際まんが博関係でありますけども、近々、鳥取会場、倉吉会場併せて、とっとりまんがドリームワールドの入場者が8万人の大台に乗るんではないかと考えております。また先般、米子で開かれました、「とっとり〕アニカルまつり〔2012」は2日間だけで2万人の入場ということになりました。去年が7,500人だったと思いますので、倍増以上の、3倍増の増えということでございまして、にぎわいを醸し出すことができました。まんが博の効果が、その名前に、名前がアピールしてきたということもあるんだと思いますが、各地でのイベントやまち歩きなどにつながっていけばありがたいと思っております。
また、新しいイベントもこれから始まるわけでおりまして、この週末からは北原照久さんのコレクション、おもちゃだとか、あと、トキワ荘のカーテン、ここには著名な漫画家が描きつけたという一品でありますけども、こうしたものが倉吉の町中で展示をされることになります。また、〔第13回国際マンガ〕サミット〔鳥取大会実行委員会〕の委員長をしていただいております里中満智子先生の展覧会も因幡万葉歴史館で〔9月〕15日から開催をされるということになります。サミットの実行委員会も明日、米子で開催をされることになります。
●知事
こういうように新しいイベントも続々とスタートして、秋のシーズンを迎えるということになります。これが、9月、次々にオープンをしてくる中で、山陰ディスティネーションキャンペーンという大型の観光キャンペーンもJRグループとタイアップをして始まることになります。10月6日にそのオープニングをやろうということになります。鳥取駅で1つイベントもやろうかということにいたしております。
今、全国的には観光客が〔東京〕スカイツリーへと流れているわけであります。そういうことでなくて、地方、山陰の方にお客さんの誘客を図っていくと、そういう全国的なキャンペーンで展開をしていくと、そんなようなシーズンになろうかと思います。12月まで展開をされることになります。水木しげるロードなど、境港の方でも、今後、ゲタ飛ばし大会であるとか、それから、妖怪そっくりさんコンテストであるとか、9月、10月も賑やかでございます。そうやって賑わいを作りだしていきたいと思います。さらに、それ以外でも9月15日、この週末には米子でのコレクション〔米子コレクション2012〕が開催されますし、さらに、JCF〔日本サークル連盟〕が主催をしまして「〔第11回JCF〕学生映画祭 in Tottori」が去年に引き続き〔米子〕コンベンション〔センター〕で開催をされるということになります。また、皆生温泉でもナギサのプロムナードにおきましてブラックライトのライトアップが始まる、そんなような賑わいもあります。さらにこれから多くの行事や賑わいが出てくることになります。
●知事
そういうものを今期として展開していって、来年には〔第64回〕全国植樹祭を初めとして緑の風を起こすムーブメントを鳥取から作っていこうと考えております。この関係では10月からボランティアセンターを立ち上げまして、全国植樹祭のボランティアの募集を開始することにいたします。また、それと前後しまして、東部において、まず全国植樹祭のカウントダウンイベントと言いますか、PRイベント、そういうものを展開をすることにもいたしております。今年から来年にかけて、そういうように賑わいの鎖をつないでいくように我々としても努力してやってまいりたいと思います。私の方からは以上です。
○産経新聞 服部幸一 記者
各社、質問ありましたらどうぞ。
○NHK 月岡信行 記者
すみません。この日立金属の件なんですが、先方からは知事の呼びかけ、それに対してどういうような反応があったんでしょうか。
●知事
まず、今の人事異動ですね、職員の配置転換につきましては、これは会社全体で、会社の構造改革として発表済みのことでありまして、これは社員と一人ひとり協議をして、その実情を聞きながら進めていくというお話がありました。また、我々の方から強くご提案申し上げましたこと、1つは雇用の影響を少しでもこう緩和をしてもらう必要があると、このことについては、同意していただいたんではないかと思います。そういう地元の情勢っていうのをよく踏まえながら進めていきたいと、こういう趣旨のご発言がございました。あと新しい事業展開をぜひ鳥取でやってくれと、それによってまた雇用を戻してもらうとか、鳥取の事業場を、継続をしていくという、そういう構想につきましては、会社としてよくこれから検討してみたいと、そういう受け止めをいただいたと思います。別にこれ、後ろ向きな話ではなくて前向きと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、少し鳥取県側のプロポーザル〔提案〕に若干こう驚いておられる様子もございましたが、ただ、そういうことには非常に強い興味は持っていただいたと思います。
従いまして、日立金属側でも真剣に考えていただけるんではないかなと期待をいたしております。これからまずは昨日キックオフをしたところでございますので、これからしっかりと会社側とも話をしていきたいと思います。
○NHK 月岡信行 記者
例えばその新事業の形態で、例えばこんなことをやる、そこまで具体的な話は出なかったということですか。
●知事
そこはないですね。ただ、我々としてはこういう時代でありますので、製造ラインそのものをどうでも残せって言うとなかなか〔会社も〕難しいかもしれません。もちろん設備投資なんかも支援するということ申し上げましたが、逆に言えば研究開発であるとか、人材育成であるとかそういうところも鳥取県として支援の用意があると、そのことを申し上げました。
○時事通信 小出秀 記者
もう1つ、先程話が出た2030年代に原発ゼロということに関連してなんですが、明日にも関係閣僚による会議が開かれて、この方針が正式に決定される見通しなんですけども、この原発ゼロという動きに対してですね、知事としての受け止めと、あとは島根原発の隣接県としてこれをどう受け止めるか、2点についてお伺いします。
●知事
私は〔東京電力〕福島原発事故で明らかになったことは、原子力発電所は安全であるという神話は単なる空想であったというこということだと思います。そういうことからしますと安全対策をしっかりやることはまず1つでありますし、すぐに実現可能ではないにせよ、やはりエネルギーシフト〔転換〕というのを緩やかに起こしていく、エネルギー革命を起こしていく、これが避けて通れない道だと思います。その意味で2030年代に〔原発〕廃止していく方向性が今議論されているようでありますが、そうしたことは大きな時代の流れを捉えた議論ではないかなと思います。私としては、さらにその中に原則として幾つか示されましたけれども、例えば40年経ったら廃炉にしますよとか、そういう原則も議論をされているところです。これは我々隣接する島根原発にとっても非常に大きなプリンシプル〔原則〕方針になろうかと思いますので、議論の行方を注目する必要があるなと思います。国に切に求めたいのは原子力規制庁、原子力規制委員会が発足をします以上は、世界に冠たる原子力安全の国を作ってもらいたい、そのための基準作りや周辺地域の現場のいろんなその対策を財政的にも技術的にも支えてもらう必要があるだろうというのが第一であろうかと思います。
あと、そういう方針を出されたら、そしたらそれで今度はしっかりとした動きをやってもらいたいと、例えば原子力発電所40年で廃炉ということになりますと、〔中国電力〕島根原発の1号機の問題にも直結をするわけであります。我々にとっても、これ他人ごとではございませんで、ぜひ、国としての方針をきっちりこう出していただければと思います。そういうものを踏まえながら、現実的対応というものを広く皆で議論していくということでないかなと思っています。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません。今日の午後から政策戦略会議が開かれるということでおっしゃられていましたけれども、鳥取版の鳥取版デモクラシーという言葉も出ましたけれども、具体に知事が構想されているようなもの、もしあれば伺いたいんですが。
●知事
1つは、かねて申し上げておりますように、県民参画基本条例っていうものを来年度は本格的に議論をする、あるいはそれが実施をされる、そういうタイミングに入ってくる時期だと思います。そのことを1つにはこう念頭において議論をしていきたいと思います。これにつきましては、9月県議会でおそらくさまざまなご議論が議会側からも出されると思います。議会も私と同じようにデモクラシーを担うパートナーでありますから、議会側の議論というものも大切に受け止めて、条例案作りを進めていく必要があると思っています。ですから、今、じゃ、いつからこれ実現するかと言うと見通せないところはありますけども、拙速に逸るのではなくて、きちんとした議論を経て、その実現を図っていきたい。その意味では、来年度は大きな節目の時期になろうかと思いますので、来年度の1つのテーマとしたいと思います。
あと、それぞれの地域の中のことを考えますと、県庁の中のそういうデモクラシー〔民主主義〕のシステムっていうのは1つ考えられていい。あと、今、政治的には激動が起こると思うんです。それで、おそらくこれは賛否両論当然あるわけでありますが、道州制ということを高く旗を掲げて選挙を戦うという勢力もあります。また、それに対して、町村など非常に危機感を持って、地域が崩壊するんではないかという運動を展開されようとしているところもあると。こんなような中で、道州制なり、何なり国の在り方、国と地方の在り方が大いに議論される時期がこれからくるだろうと思います。遅くとも来年の夏には総選挙があるわけでありまして、早ければ今年度中でありますけども、遅くとも来年には、そうすると政治テーマとして国地方の関係性や地域の在り方が議論される。
ですから、我々はその中で、決してその東京都とかとは違って、経済力だとか社会的な力がある地域ではありません。したたかに生きていかなきゃいけないところですね、したたかに生きていくために、その地域の中でのいろんなまちづくりの努力だとか、コミュニティづくりだとか、そうしたことを、てこ入れをしていく、それが激動の分権時代というものに備えていく道だと思います。まず、そういう、いいまちを作ろうという、こういうことも単に県庁の中のデモクラシーだけで終わるんではなくて、それぞれの地域でのコミュニティづくり、まちづくり、そうしたことをまた別のレールを作って進めていく必要があるかなあと思います。その辺をやっていくことで鳥取型のデモクラシー、鳥取型の地域づくり、小さな鳥取県だからできる、そういう県土っていうものを目指していきたいと思います。
○産経新聞 服部幸一 記者
各社よろしいでしょうか。
○NHK 月岡信行 記者
よろしいですか。昨日ですね、橋下〔徹大阪市長〕が〔日本〕維新の会、政党として立ち上げましたが、どういうふうな感じでご覧になっていますか。
●知事
この維新の会が、この立ち上げ、旗挙げですね、日本維新の会として国政選挙に出て行き、大戦をするぞというアピールを強烈にする、その背景には現在の政治に対する国民の不信感、飽きたらなさというものがあるんだろうと思うんです。だからこそ、私も日頃お付き合い、いろんな話し合いをしていますけども、橋下〔徹〕さんがそこまで突き進んでいく、そういう結果にもなってきたんではないかなと思います。維新の会は維新八策を掲げて、これから議論をしようということだと思いますが、維新八策の中には、例えば、首相公選制であるとか、そういう私自身もそうあるべきだろうなと思う国家像とか入っておりまして、共感できるところも当然あります。ただ、実現可能性についてはやっぱり慎重に現実を踏まえたことも、必要な面もあろうかと思います。例えば、消費税の地方消費税化自体にはおそらく地方ブロックはそれぞれに賛意を示されると思います。ただ、これは地域間格差を、税源の偏在性がございますので、地域間格差を助長する面があります。
そうなりますと、当然ながら財政〔調整〕システムというのが必要でありますが、地方交付税を廃止というふうに言いきっておられますので、そこのところの充分な水平調整なり、国地方を通じた垂直調整なり、地方同士、都道府県同士や市町村同士での水平調整なり、そういう財源調整がどういうようにビルトイン〔組み入れる〕されるのかというのは、これも充分議論してもらわないと地域の崩壊を招きかねないということになろうかと思います。
ですから、そういう意味で、荒々しく作り上げている感じもございまして、いざ実行するという段階になったときには、余程精査なり、慎重なスキーム〔枠組み〕作りというものが必要な部分も多いんではないかなと思います。この辺おそらく国政選挙に出ると言った昨日から、他の政党との論争の場にさらされることになられると思います。そうした論争を通じて、有権者の皆さまが、この国の主人として厳正な審判を下すと、こういうことではないだろうかなと思っております。
○山陰中央テレビ 山中一高 記者
すいません。県政とは直接関係ないかもしれませんけども、先週もちょっとお話に出ましたが、鳥取〔1区〕選出の石破〔茂〕さんが自民党の総裁選に正式に出馬表明をされましたし、民主党の方でも代表選挙が始まっておりますけれども、国政の中で2つの大きな党の党首選が本格化をしてくる中で、地方の立場からこの2つの党首選をどのようにご覧になるのか、知事の立場で、受け止めかたを教えていただけませんでしょうか。
●知事
まず1つお答え申し上げなければなりませんのは、私は全国知事会の中で、そういう党首選を含めて政権公約について、全国知事会の代表という立場でアピールをしたり、評価をしていく、そういう役職、特別委員長を拝命しております。その関係もありまして、先般も上京し、各候補に相次いで、全国知事会の考えかたを訴えかけをしました。これから私達は東日本大震災後の国造りをしていかなければならないと思います。言わば日本をもう一度復活をさせる、再生をさせる、その大きな仕事をやっていかなければならないわけであります。これは国と地方はパートナーでやるべきものでありまして、各候補に申し上げましたのは、国、地方協議の場というものを十分に活用して、日本再生をやっていく、こういうテーマで全国知事会は考えていますよ、このことをぜひ理解してもらいたいということを訴えました。
また、現在、たなざらしにされております、〔国機関の〕地方支分部局の広域連合への移譲、これを法律化してもらいたい、こういうことなど地方分権の課題について訴えたり、災害からの復興や原子力安全対策、こうした課題など、12箇条をそれぞれの候補者に向けて話をさせていただきました。そうやって、今訴えかけをさせていただいておりますが、やはり今回、今までと違った選挙になると思いますね。総選挙が仮に行われたとしますと、自民党、民主党という二大政党勢力が争うということだけでなくて、さらに〔日本〕維新の会など第三勢力も入ってきて選挙を行う。混沌とした状況でありまして、例えば、今自民党さんの方が支持率が高いとかいうことだけで、それで総理が決まるかどうかというのも一義的でないわけです。従いまして、この両方の代表選挙ですね、代表選挙、総裁選挙が両方とも非常に重要になってきて、これが同時進行しているという希有な政治状況が今あるんだと思います。
未来のリーダーが、それぞれの勢力から出てきてやっているということでございます。それで、非常に高い確率でこの中から総理が生まれてくると。ですから、私たちとしても、今が重要な時期と捉えて、訴えかけをさせていただくことにしたわけでありまして、各候補からは手応えのあるご返答を今、いただきつつあります。地元で石破茂代議士が名乗りを上げて、今、正々堂々と選挙戦へ向かおうとされておられ、明日いよいよ総裁選挙の告示というタイミングまでやってきました。鳥取県は残念ながらこれまで、総理総裁という立場のかたを輩出することなく過ごしてきまして、県民の間にも中央政府あるいは権力からの疎外感を味わい続けてきたような気がいたします。そういう意味で、地元の選出の国会議員が、党派はどうあれ、政権の中枢に行くポテンシャル〔潜在力〕が高まってきているというのが、地域としても大切な時期なのかなというふうに思います。私も全国知事会の立場もありますので、どの候補が良いというふうに、こういう記者会見の場で申し上げることは差し控えたいと思いますが、地域の中の期待は高まりつつあると感じております。
○産経新聞 服部幸一 記者
他に質問ありませんでしょうか。じゃ、なければどうもありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。