食品には地域ごとの伝統に根ざしたものがありますが、鳥取市周辺の伝統食品のひとつに「とうふちくわ」があります。
グラフは家計調査から作成した、2つの食品分類の、鳥取市における1世帯当たり年間支出金額と全国ランキングの推移を示したものです。Aは凍豆腐などが含まれる「他の大豆製品」で、Bははんぺんなどが含まれる「他の魚肉練製品」です。すぐに目を引くのは、平成22年を境に両者の順位が逆転していることですが、これは、とうふちくわが平成22年にAからBに分類替えされたことによるものです。
江戸時代に、倹約のため魚肉に豆腐を混ぜる製法が考案されたのが始まりと伝えられ、元はちくわの代用食だったとうふちくわですが、今では調査結果を大きく左右するほど、地元には欠かせない食品として食卓に上っているのです。
代用食から地域の伝統食品へと地位を高め、最近はそのヘルシーさにも注目が集まるとうふちくわ。これからも身近な食品として味わうとともに、全国に自慢できる特産品として広く紹介していきたいものです。
ちなみに、本来の「ちくわ」の支出金額も長らく全国1位を続けています。元々、ちくわ自体が好きなのかもしれませんね。
資料:総務省統計局「家計調査年報(二人以上の世帯)」
本ページは、平成25年7月26日付「日本海新聞」掲載の同題コラム(鳥取県地域振興部統計課執筆)からの再録です。