●知事
はい。皆さんおはようございます。9月の定例県議会終了いたしました。活発なやり取りがありました。条例問題、あるいはいじめに関する予算措置など、大いに議論がなされたと思います。これからは次の〔11月〕県議会まで間がありますが、スタートをさせるべきは、検討を急ぐべきことは急ぎ、着手すべきことは着手するということだというふうに思います。例えば、脱法ドラッグの問題がかなり議論の俎上に上りました。結果としては青少年健全育成条例の改正が成立をしまして、ほぼ全会一致に近いかたちでの理解が得られましたが、併せて脱法ドラッグについての抜本的な対策を早急に講ずべきだと、こういうお話がございました。従いまして、今、庁内で議論を始めているところでございますけども、具体的な手順をこれから踏んでいく必要があるだろうと思います。例えば、脱法ドラッグについては、今、厚生労働省の方でどういうものが脱法ドラッグに当たるかということの包括的な検討をされておられます。実は、私どものところで東京都のように自らその化学分析を行って、その効果と言いますか、作用というものを調べるだけの能力や人材というものはすぐには確保はできないと思います。ただ、厚生労働省の方はそういうことで基準作りを進めていけば、我々としてももっと抜本的な取り締まりに乗り出す可能性は十分あるだろうと思います。
その意味で、そうした国の動きも睨みながら薬物乱用防止条例とでも言うべきものの検討に着手する必要があるだろうと思います。国の方の薬物となる脱法ドラッグの同定がおそらく年内というようなかたちで行われるんではないかと思います。並行してこちらも作業を進めていく必要があろうかと思いますが、11月〔県〕議会までに、ある程度の考え方や方向性を我々としても議論をして、2月県議会ぐらいには遅くとも条例案を提出できればというようなスケジュール感で臨んでいきたいと思います。そのために、庁内で医薬担当部局はもちろんでありますが、啓発や教育、取締など各方面の部局にも加わってもらって、ワーキンググループをつくる必要があると思います。これを早速に立ち上げるように指示をいたしたところであります。
併せて、我々の方で、じゃあ薬物乱用防止に鳥取県として取組むということになりますと、それを調べるための若干の資材が必要になると。私どもでは衛生環境研究所がございまして、ここがそういう分析を行う、これは怪しいというものを持ってきて、これは条例違反のものですよというような同定をする。その能力はあります。ただ、そのためには標準品と言われる脱法ドラッグないし薬物がこれと同じもの、数値なり、分析結果を示しますよというものをあらかじめ用意しておかなきゃいけないと。こういうものを11月の県議会までに我々でも情報収集をして、そういう標準品を県の中に取り揃えておくと、それで条例改正へ向かう、本格的に向かうと、その手順を踏んでいく必要があると思います。ですから、次回の11月県議会の補正予算にはそうした標準品を備えるための予算を計上していく必要があるかなと、この辺も検討を急いでいるところであります。
その他にもいじめ対策であれば、今、いろいろと言われているものもございます。正直申し上げて、生徒が飛び降りた後、タクシーを呼ぶとか、ちょっと考えられないようなことが起きています。この辺は教育現場にも反省していただき、もう一度いじめ対策というものに正面から向き合っていただく必要があるだろうと思います。そういうことと併せて、この9月〔県〕議会で大議論をして成立をさせましたいじめ対策の関連のスキームがあります。例えば、調査委員会をつくるとか、あるいはサポートチームを派遣するだとか、相談窓口を機能させるとか、そうした数々の予算措置も併せてやっておりますので、そういうものを速やかにこれから打ち上げていく必要があるだろうと思います。今回の境港の件については、今、現場の方でいろいろと細心の注意を払いながら動きを見せておられます。我々としては第三者委員会〔鳥取県いじめ問題検証委員会(仮称)〕の予算もできましたので、これはいつでもどんなときでも動けるような、そういう体制づくりを急いでいきたいと思いますが、当面はその境港〔市〕の方における動きは注意深く見ていきたいというようなところかと考えております。
その他にも看護関係の人材育成、そうした検討のスキーム〔枠組み〕を作りました。また、中部における産科の充実についての検討のスキーム、そうした数々のスキーム作りに動いています。〔食物〕アレルギー対策でも同様のことを考えています。これらは9月の県議会での結果として得られたことでありますので、それの実現に向けて動いていきたいと思います。
●知事
また、昨日からキックオフをいたしまして、来年度予算編成に本格的にとりかかることになりました。県民の目線に立ちまして、県民の皆さま、地域にとって必要なことを正直に誠実に予算の中に盛り込んでいく、これを丁寧にこれからやっていきたいと考えております。大きなテーマとして、「グリーンウェイブ」というふうに我々申し上げておりますけれども、〔第64回〕全国植樹祭やエコツーリズムの国際大会、さらには〔第30回〕全国都市緑化フェア、こうしたものを基軸といたしまして、さらに鳥取県内でメガソーラー〔大規模太陽光〕発電所が夏ごろ完成するのではないかという、そういう動きにもなっております。これは全国最大規模になるということにもなります。従いまして、我々として絶好の機会として鳥取県の環境推進を一気に進め、そして内外へアピールをしていくことにいたしたいと思います。これは観光ですとか、それから産業形成にも影響を与えるものだというふうに考えております。
また、今非常に危機的な状況に入ってきたと思うんですね、昨日も予算編成の会議の中で、幹部同士で議論もしたわけでありますが、速やかに今の産業とか、雇用をめぐる危機的な状況について検討を行い、対策を整えていくプロジェクトチームを作っていきたいと思います。そして、こうした場で現実の実体経済や雇用の動向を分析をしまして、当初予算と言うか、補正予算も含めてやるべきことに速やかに手を打っていく、そういう体制を整える必要があるかと思います。危機を乗り越えていくような産業創造、雇用確保ということに向かっていくのも大きなテーマになろうかと思います。
また、原子力安全対策も含めまして、これからの安全の推進に向けた動きもやっていく必要があります。津波対策でもシミュレーションも整いました。さらに原子力安全については〔原子力〕規制庁ができ、〔原子力〕規制委員会ができました。こうしたところでの基準作りが進むと思います。こうしたものを踏まえて、今から飛躍的に鳥取県内の原子力安全対策の体制整備も図る必要があります。これは新年度の当初予算の焦点にもなって来ようかと思います。そんなようなわけでございまして、これからいろいろと取りかかっていく必要があるだろうと思います。これについて、来週上京いたしまして、東京の方で来年度予算編成だとか、制度改正に向けた国会議員への説明、関係省庁への要請活動を行うことにいたしておりまして、いよいよ来年度のかたち作りに入っていきたいと思います。
ただ、現状、政局がよく分かりにくくなっています。その辺の透明、不透明な流動的な状況というのも我々、財政的に課題の多い県でありますので難しさはありますけれども、それを慎重に的確に見極めながら予算編成作業に当たっていきたいと思います。
3 ロイヤル・カリビアン・クルーズ・リミテッド(RCCR)アジア運営本部長の表敬訪問
●知事
昨日はロイヤル・カリビアン・クルーズ・リミテッドの童剣鋒〔トン・ジュンフォン〕アジア運営本部長と面談をさせていただきました。童〔トン〕本部長と話し合いをさせていただき、いろいろと境港の条件整備についてご注文もありました。私の方からは、速やかに対策をとっていきましょうというお話を申し上げました。具体的には船を係留するときの若干の施設でありますが、それを追加整備する必要があろうかと思います。これは、11月の〔県〕議会、さらには境港管理組合といったところで手当てをすれば間に合うと思います。そうしたような話をさせていただきましたところ、先方から具体的に就航の計画、思い、構想についてのお話がございました。今、上海と天津の方に停泊をさせている船があると、それは「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」という船と今回入れ替えるんだそうでありますが、新しく来る「マリナー・オブ・ザ・シーズ」という船と2隻の大型船があると。本社は、アメリカのフロリダでありまして、ロイヤル・カリビアン・クルーズグループというのは世界大手のクルーズ会社であります。その保有している2隻の船は両方とも14万トン級でありまして、3,114人乗りの船でございます。
今、我々のところに来た一番大きなのが「コスタ・ヴィクトリア」で、〔乗客〕2,000人規模でありますから、3,000人規模の大型客船でございます。これを昨日の話し合いの中で、向こうから示されましたのは、〔来年〕6月8日に境港に寄港させたいというお話がございました。ただ、今そのスケジュールを調整をして日本のエージェント会社ともよく協議をしているところだということでありました。また、8月にも第2回の寄港を予定をするということでございます。我々としては、これから国際リゾートを目指す中でこういう大型クルーズ船の海外からの寄港というのは非常に大きな意味を持つと思いますし、今後に向けた弾みにもなろうかと思います。ぜひ、成功に向けて、私たちとして努力をしていきたいというふうに考えております。
●知事
それから、観光関係でまいりますと、この週末からいよいよ国際まんが博もファイナルステージに入ってまいります。米子の方でとっとりまんがドリームワールドの西部編が開幕をします。10月20日の開幕の日には、三石琴乃さんという非常に人気のある声優さんも来られまして、声優甲子園だとかトークショーを繰り広げるなど、いろいろと賑わいのあるオープニングの初日になるんではないかと考えております。こういうようなことだけでなくて、この週末には米子の街中の方でも映画のイベントでありますとか、その他にも漫画談義という、そういうイベントをやる。これも週末に予定をされています。また、〔鳥取〕環境大学の方ではアニソン〔祭りin〕環謝祭というものをやろうということにもなっております。すでに開幕しましたけれども、この週末まで開催しておりますのは、日南町の美術館におきまして、これは長谷川〔洋〕さんという日南〔町〕ご出身のかたがプロデュースしましたが、元々〔機動戦士〕ガンダムの製作に携わっていたというご縁もございまして、かなり濃密なガンダム展が行われています。アニメの世界展でございますが、ここにはザクヘッドでありますとか、ミニチュア模型なども来ていますし、他では見られないようなセル画や原画も出てきていると。こういうようなことなどですね、賑わいのあるファイナルステージのスタートになろうかと思います。
これから11月〔25日〕の終幕に向けまして、ネジを巻いて、ますますの集客を図っていきたいと思います。国際マンガサミット〔鳥取大会〕もそのクライマックスを演出することになると期待をいたしております。また、その〔国際〕まんが博の効果として、この度ソフトカルチャーの、ポップカルチャーのビルが米子の方でオープンすることになります。アルファビルが〔10月〕19日のオープンということになりました。私もまいりますけども、ここにはガイナックスであるとか、それから人形の会社であるとか、現代を代表するような、そういうポップカルチャーの関連会社が入居するということが決まっております。ぜひ、国際まんが博後を睨んで新しい動きを起こす拠点になってくれればと期待をいたしております。
先程申し上げましたグリーンウェイブに関連してでありますが、このグリーンウェイブの動きを行っていこうと。〔全国〕植樹祭のボランティアのセンターを立ち上げることになりますし、今日は今から〔全国〕都市緑化〔とっとり〕フェアに向けまして〔鳥取〕マツダさんから「ボンゴ〔ワンボックスカー〕」のプレゼントと言いますか、無償貸与のセレモニーが行われることになります。こういうようなことなど、〔国際〕まんが博の次の大きなモーメントとなりますグリーンウェイブもじわじわとスタートさせていくという段階に入ってまいりました。
●知事
国政の方が正念場と言いますか、非常に緊張感のある展開になってきました。民主党、それから自民党で新代表、新総裁が9月議会中に誕生をしました。野田〔佳彦民主党〕代表は継続でありますが、安倍〔晋三自民党〕総裁が就任をするということになり、公明党でも山口〔那津男〕さんが再選をされておられます。そういう中で新しい政党として日本維新の会が立ち上げられました。私ども、全国知事会としては各主要政党に対しまして、順次回らせていただいて、日本を再生させるための知事会が考える戦略、これを訴えかけをしております。この12箇条の我々のアピールを日本維新の会にも訴えかけをする必要があるだろうと考えております。これにつきましては、日曜日に日本維新の会の松井〔一郎〕幹事長の方に私の方からアピール行動、アピール活動をさせていただき、知事会の方で議論している地方分権、あるいは震災復興、原子力安全対策などの思いを直接話をさせていただくことにいたしております。
●知事
こうしたことを通じてこれから恐らく政治の季節がやってくるのだと思いますけれども、これまで懸案であった地方分権などが一気に進む、あるいは震災対策が一気に進む、そういうようなモーメント〔動き〕をぜひ、国政の関係者の間で作っていただければありがたいと考えております。その国政選挙についてでありますけれども、昨日〔10月17日〕、非常に注目すべき判決が最高裁判所で出されました。平成22年の参議院議員選挙に関連をしまして、これが憲法違反であるかどうかが争われた訴訟であります。訴訟の詳細は各種報道で伝えられているとおりでありますが、念のため、若干掻い摘んでそのプロット〔筋書き〕を申し上げますと、結論としては、請求は棄却であります。憲法違反ではないと。ただ、その理由づけですね、理由づけとしては、現在のその平成22年当時ということありますが、5.00倍の1票の価値の格差があったと、それで、最小選挙区が鳥取〔県〕選挙区であったと、神奈川〔県〕選挙区と比較して、そうした投票価値の格差があったと。これにつきましては憲法違反の問題を生じさせる程度の格差であるというふうに言っています。
ただ、憲法違反を生じさせる程度の格差はあったけれども、じゃあ公職選挙法を改正していないということが、立法府の裁量権を逸脱して、違憲な状態、違憲になったかどうか、憲法違反になったどうか、その、具体的な憲法違反になるかということにつきましては、これは立法府として、それだけ改正の猶予期間が乏しかったとか、それから、現に参議院でいろんな議論が行われていることであるとか、そうしたことなどをいろいろ挙げまして、憲法違反ではない。従って、原告の請求を棄却し、選挙無効とはしないという判決であります。これらの論旨については、私は妥当なもの、これまでの判例の考え方を踏襲していまして、妥当なものではないかと思いますし、その理由付けの中でも、都道府県の選挙区が、昭和の戦後直後に作られたときの意義についても非常に正確に書いておられまして、おおむね妥当な、判決自体はおおむね妥当な内容を持っているというふうに思います。ただ、その後で、傍論なんですけども、これは判決の本旨ではなくて、傍論のところで、立法府に対して、強烈なメッセージが書かれている。これが今日大きく報道されている部分でありますけども、都道府県単位の選挙区を維持したままで、この1票の価値の格差というものを是正していくのは極めて困難であるという言い方をしていまして、それについては、立法府として、抜本的な改正を加えるべきであると、こういうようなことが書かれているわけであります。
その都道府県単位の選挙区を維持したままで果たしてできるかどうか、それは極めて困難ですよと、ですからそうした都道府県単位ということではない選挙方法ということも含めた抜本的な改革というものが必要ですよという、傍論が付されているわけであります。それで、私はその最小選挙区の方でありますけども、今まで最高裁の先程の基本的な論旨の中で書かれておられたように、都道府県単位の選挙区を設定をしたことの意義というのは、非常に大きなものがあったと思います。最高裁判所の裁判だとか、意見の中でも書かれていますけども、なかなか現状において、今の日本において、都道府県というような枠組み以外の選挙区というものを見出すのはなかなか難しさもあるということは認めておられます。社会的まとまりであるとか、あるいは地方自治という観点での意思決定の固まりであるとか、いろんな意味で、都道府県単位で国会議員を選挙することの意義というのはあると、これは想定されていると読めます。
ですから、そうしたことが、確かに1票の価値の格差の観点で状況は変わってきています。それで、最高裁の判決の中で言われているのは60年経ったと、元々この選挙制度設定したときは、衆議院は中選挙区制の選挙制度であります。それで、参議院の方は、衆議院とは違った代表を選出しようと、それで、中選挙区ではなく、都道府県単位の地方区と、それから全国区と言われる職能代表制を想定した選挙区と2つを設けるんだと、そして、都道府県単位のところには3年ごとの半数改選を行い、ある程度格差があってもしょうがないということを最初から想定しているわけですね。それで、人口を考慮しながら、大きな人口の都道府県には多めに配分もすると、これは人口比例ではありません。人口比例ではありませんが、多めに配分をするということで、選挙制度を設計したわけです。それで、これは、当時の立法サイドとしては妥当なもんであったというふうに考えているわけですね。
ところが、そのあと、60年経って衆議院の選挙制度が変わってきてしまったわけです。それで、衆議院の方では小選挙区制と、それから比例代表制ができ上がった。だから同じような選挙制度に結果的になっちゃったんですね、それで、参議院の方も昭和57年の改正を契機としまして、比例代表制が先に導入されていると。そうなりますと、カーボンコピーのような2つの院が出来ていて、これがおまけに、今、ねじれを起こすということで問題になるというような状況が生まれているわけであります。非常に厄介なことになってきているのは事実だと思うんですね。その意味で最高裁は衆議院が選挙制度が似てきてしまっているので、衆〔議院〕と参〔議院〕とで、これほど大きな人口と言いますか、1票の価値の格差をもたらすのは果たして妥当なのかどうかと、こういう疑問を強烈に呈しておられると、そういう状況になったっていうことです。ですから、これから憲法の番人である最高裁判所が言ったことでありますので、立法府の方ではこれから抜本的な選挙制度改革を議論始めることを迫られると思いますし、当然ながらそれは遅かれ早かれ早晩スタートするんだと思います。
その際には、ぜひこれまでその鳥取県のような小さな県で、人口的に都道府県の単位の選挙区を果たしてきた役割ということも考慮して、少数意見、小さな地域の意見がいたずらに捨象されることがないように十分な慎重な配慮を持って、これから議論をしていただきたいというふうに思います。最高裁は言外に指摘をしていますが、衆〔議院〕と参〔議院〕との選挙制度の兼ね合いの問題も本当はあるんだと思うんです。それで、そういう衆〔議院〕と参〔議院〕との議論、調整の議論もあるかもしれません。また、都道府県の選挙区を廃止しろとは判決は書いていないんですね、そこまでは書いていない。困難ではないかというふうに書いてあるんです。ですから、もういっそ参議院は全て都道府県単位の選挙区にしてしまうと、それで、人口のある程度の標準も考えながら配分をするということも本当はあるのかもしれません。いずれにいたしましてもいろんな想定なり、選挙制度の設計っていうことはできようかと思います。その辺は立法府の裁量の中でありますので、これは国政の基本でありますから、各党、各会派で議論していただくべきことだと思います。その際に小さな地域の意見がいたずらに捨象されることがないように、そのことは今回該当する選挙区になりました地元として思いを申し上げさせていただきました。 これから国会での議論、その中でそうした多様な民意の反映ということについて慎重な検討を望みたいと思います。
●知事
これからいろいろと世の中動いてくると思うんですが、先程申しましたように経済対策などは非常に厳しい状況もあります。そこで企業誘致活動もやってきましたけれども、私どもが言わば念願しておりましたこれからの1つの産業テーマになるリチウムイオン電池については、アロイ工業さんが進出することが決まりました。鳥取市の河原町の布袋、それから池田小学校という、これは若桜町の廃校になった小学校の跡でございますが、それらを拠点として事業所を設けるということになってきました。こうしたことを地道にこれからも積み上げていってやっていく必要があると思います。
●知事
10月21日が迫ってきたわけでありますが、この10月21日は昭和52年に松本京子さんが拉致をされた日でありまして、35年目という節目になります。関係団体にも呼びかけをさせていただき、署名活動などを5ヶ所程度で行うなど運動を展開しようとその日に計画をさせていただいております。残念なのは担当の大臣をめぐって、いろんな政治的な議論が起こっていることであります。ご家族の皆さんの想いを思いますと本当に何をやっているのかということも愚痴が口をついて出るような気がいたします。ぜひ政府として毅然としてこの問題の解決の道筋をつけていただきたい。今、局長級協議、場合によってまた課長級協議もという報道も出始めていますが、北朝鮮との協議のチャンスが回ってきましたので、ここでしっかりとした決意で交渉していただきたいと思います。
この度は、日韓米で外交当局の会議も行われました。その中でもこの北朝鮮の拉致被害者問題というものが取り上げられ、共同で対処していくという方針が出ました。35年というあまりにも長過ぎた年月、その重みを噛みしめて関係者には当たっていただきたいと思います。私の方からは以上です。
○山陰放送 秦卓史 記者
それでは各社質問ありましたらお願いいたします。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません、お願いします。来週ですかね、原子力規制庁の〔原子力規制〕委員会と言うか、初めて開かれると思うんですけれども、そこに向けて鳥取県としての期待と、県としてこれからどんな対策を講じていきたいと考えておられるかというのを教えていただけますか。
●知事
はい。先般私どもの方で、原子力規制庁の長官の方に要請活動もさせていただきました。県内の実情をつぶさにお話を申し上げました。我々から申し上げましたのは、1つにはやっぱり安全対策が全然できていないと、そのことを危機感を持ってしっかりとした世界一の安全基準作りというのをやるべきだと、こういうことを申し上げました。また、我々はキャッチアップしなきゃいけないんですね。立地〔地域〕と違いまして、今まで対策がなされていなかった地域です。この度UPZ〔緊急時防護措置を準備する区域〕の30km圏内に入ることがほぼ確実でありまして、いずれ月内に作られるというふうに言われています指針の中で動かぬものになると思っています。そうなりますとモリタ二ングであるとか、あるいは医療機関の放射線汚染対策であるとか、そういうさまざまな対策を取らなきゃなりません。こうしたことにはお金もかかります。今年度ですと2億5,000万円位の予算枠しか鳥取県にはどうも与えられないんですね。上限が付いているのはナンセンスでありまして、そういう上限を付けずに初動ですから、初動の経費がかかるのは当たり前なんで、そうした柔軟な予算執行、それから来年度予算の編成、これをお願いしたいということを強く申し上げました。
また具体的な項目ですね、例えばSPEEDIといわれるシミュレーションがありますけども、こういうSPEEDIというシミュレーションの対象範囲を広げてもらいたいとか、それからヨウ素剤を服用するということもあります。それで、私どもは周辺地域だから尚更なんだと思いますが、どういうタイミングでどうやってヨウ素剤を飲んだらいいのかというのは、県民の皆さまになかなか理解してもらうのは大変です。ですから、国としてのマニュアルなり、基準を作ってもらう必要があると思いますし、子どもたちであればシロップに混ぜて飲ませる、赤ちゃんとか。そうしたことを考えますと、そういう製剤が必要じゃないかとか、そうした具体的な項目についても数多く〔原子力規制庁〕長官の方に要請活動をさせていただきました。こうした山積する課題について、ぜひ規制委員会、規制庁でリーダーシップをしっかり取って、取組んでもらうことがまず第一歩だと思います。
併せて、規制庁の方に申し上げましたのは、中国電力と安全協定を全国で初めて私たちは結んだわけであります。ただ、それについては、締結時に議論がございました。従いまして、立地〔地域〕並みの体制を取るべきだということがあります。現に先般、閉会しました県議会でもその趣旨の議決がなされました。それで私たちとしては、こうした改定の動きを起こすことを考えていますよと。それについて国としても電力会社に指導してもらいたいということを申し上げました。そういうようなことを〔原子力〕規制委員会の方には期待をしたいと思います。具体的に中国電力への申し入れは〔9月〕議会が終わったら、両市〔米子市、境港市〕とまず話をしてみたいというふうに考えていましたし、それを踏まえて中国電力側に正式に申し入れをやる必要があるだろうと思います。早ければこの週末くらいからでも、そうした動きをとり始めるかなというふうに思っているんですが、これは関係者といろいろとスケジュール調整なんかもしていかなければならないと考えております。
○読売新聞 加藤あかね 記者
協議のスケジュール感としては、いつぐらいを念頭に置いておられるんでしょうか、中〔国〕電〔力〕の社長。
●知事
中〔国〕電〔力〕ですか。まず米子市、境港市と話をしてみたいと思います。それはできるだけ速やかに話をしたいと思っております。それで、意思統一ができればこういうような内容で中国電力に申し入れようという内容をお互いやり取りをしまして、その上で中国電力に協議を申し込むということになります。我々は他の地域と違いまして、すでに安全協定を結んでいます。その安全協定の項目の中に、協定改定の申し入れ権が設定されています。その協定改定を申し入れる権限に基づいて、正式な申入れをしたいというふうにシナリオとしては想定しております。これが設定をその申入れがなされれば、これはお互いの合意事項の中に入っているんですけども、まず実務者の間で協議機関を設置することになっております。そうした協議機関を立ち上げることを具体的にこれから行っていくということになろうかと思います。
ただ、昨日も滋賀県で関西電力など、原子力発電事業者側と滋賀県との間で話し合いが持たれたようでありますけども、全国的にはやっぱり鳥取県をトップランナーで走っていたということの証左だと思いますが、従来鳥取県が結んでいた内容というのは、非常にハードルの高いところまで取りにいきましたので、それの範囲内の協定しか関西では結べそうもないという方向で、もう決着しようとしかけておられます。そのような外部環境もございまして、決して容易な話ではないと思いますが、県議会の議決という重みもあり、我々としては、やはりそれ協議申し入れにおく必要があると考えております。
○中国新聞 川﨑崇史 記者
この申し入れの時期的には、年内を知事としては想定をされているんでしょうか。
●知事
遅くとも年内にはなると思うんですが、その前に、これは協定の相手方が鳥取県、米子市、境港市の3者でありますので、3者間で意思統一をまず図らないといけないと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
月内にもまとまる指針の中で、そのUPZ30km圏内という設定が出されましたが、それと同時に5km圏内に即時避難の地域に設定されようとしています。こういう動きからすると、その立地自治体に、今よりも非常に重きを置いたようなかたちの設定も想定されると思うんですが、そうすると、立地自治体並を目指す上で、ちょっとハードルになってくるんじゃないかなという気もするんですが、この辺はどう考えておられますか。
●知事
我々は全国で初めて安全協定を協議をしまして、相当固い岩盤にぶち当たりました。ただ、中国電力側も努力をされたんだと思います。周りの電力会社との関係もないわけじゃないと思いますから、それで先方も努力をしてギリギリまで譲歩してくれたと。そのタイミングを捉えて、うちとしては締結に向かったというのが、これまでの経緯でございました。今回、5km以内はさらに即時避難ということで差をつけたような格好になっていますけども、大切なのは我々の立場からすれば、UPZというエリアは従来の8km、10km〔圏内〕に相当するものを想定したものが広がっていることです。鳥取県は長くこれを主張してきました。それは国際原子力機関の方でも30km〔圏内〕というものを示しているわけです。ところが政府は頑として、8km、10km圏内から動かなかった。それで、我々は、30km圏内で国際的にも大切で必要な地域だから協定を結ぶべきだと中国電力側に申し入れたんですが動かなかったと。それが、福島原発事故後、当時の山下〔隆〕社長さん、それからその後の苅田〔友英〕社長さんにも何とか合意をさせてもらいまして、それで、協定が結べたというようなことでございまして、なかなか岩盤は固いということをこれまでも実感をしています。
ただ、先般の県議会でも、県民代表の意思として立地自治体並という目標を持って交渉に当たるべしという思いが示されましたので、私は県民の気持ちというものを、やはり中国電力側にもぶつけていかなければならないと思っています。我々としてもいろいろと周辺関係は厳しいものがありますけども、ぜひ蟻の一穴を開けられるように交渉に臨んでいきたいと思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
他、この関連でありますでしょうか。なければ、他の観点が。ありますでしょうか。
○中国新聞 川﨑崇史 記者
よろしいですか。先程「1票の格差」の件で知事の方、ご意見として伺ったんですけれども、ちょっと突っ込んで伺いたいんですが、現在、最小単位としての鳥取県の果たす役割があると。それで、都道府県ごとの枠組みを取っ払うか取っ払わないかが今後の議論であると思うんですけれども、あくまで最小単位としても鳥取県の議席数というのは、知事としてはやっぱり守ってほしいというお考えありますか、それともそこについてなにがしかの余地があるというふうに。
●知事
それは確かに鳥取県選挙区は何らかのかたちで大議論があると思いますけども、その末に残されるということになれば、地元の住民としては安心感はあると思いますね。そういうようなオチになるかどうかは、これからやってみなきゃ分からないと思います。ただ、最高裁が言っていたのは、都道府県単位の選挙区というやり方、制度、スキームを維持するかどうかということでございまして、おそらく巷間が言われていたように、例えば鳥取と島根をくっつけてしまえばいいんじゃないかというような議論も、これまでいろんな案の中では浮上したこともあります。ただ、それは最高裁が言っている都道府県単位と言う制度以外の制度ではないと思いますね、弥縫策〔びほうさく〕になると思います。鳥取と島根をくっつけたら、今度はじゃあ徳島とか高知とか、たちまち次の最小選挙区が現れる。そことの間でも4倍だとか、5倍だとかいう格差が出てきます。だから、これは都道府県単位という選挙制度を維持するとなると結構大変だと。それを見切って最高裁がああいう判旨を出したんだと思います。
ですから、都道府県単位というものを維持してもこういうふうに解決策はあるよと。なんだったら衆議院と一緒にしたような解決策もあるよということも考えられるかもしれません。そういうことで、いろいろと議論がなされて、結果として鳥取県選挙区が残るということになれば、それは一定程度、地元として代表を担保できるという安心感は出るかなと思います。ただ、先程申しましたように、これは立法府の裁量の中の話でありまして、国政の基本に関わることでありますから、各党、各会派で、私たちのような地域というのもあることをぜひ考慮に入れていただいて、慎重に検討していただきたいと、このように申し上げたわけです。
○日本海新聞 井上昌之 記者
話がガラッと変わりますけれども、昨日の政策戦略会議の中で、新年度の予算編成に当たって、知事の口から「北東アジアゲートウェイプラス」というような表現が出たように記憶しているんですけども、今後、東南アジアの方にも目を向けていくべきだという趣旨の発言だったと思うんですが、これについて、もうちょっと詳しくお考えをお聞かせ願えませんか。
●知事
県内企業は、もうすでに北東アジアの外の圏域まで提携先を広げてきています。中には工場を東南アジアに作ったところも出てきています。また、物流、特産品の流れ、我々の生鮮品の販売先としても東南アジアにおける人口規模は大きいですし、それから、成長力はこれからますますベトナム、あるいはミャンマーといった新興地域含めて伸びてくるだろうと思われます。インドネシアも極めて顕著に成長し始めているということであります。そういう意味で、我々のところは地勢的には北東アジアに近いので、北東アジアゲートウェイという構想でやっていけばいいとは思うんですが、ただ、それにプラスアルファをこれから考えるべきタイミングに来たのではないかなと思います。県内企業の中にはタイの方に工場を展開しておられるところもございます。そうした具体的な何か地域をターゲット当てて、新年度まずは突破口と言いますか、第一歩を開いていくことはできるんではないかなと思います。それで、場合によっては鳥取県単県というよりは他県との連携ということも考えられてもいいと思いますし、いろいろと柔軟に考えてみたいと思います。
あと、昨日「北東アジアゲートウェイプラス」と申し上げたもう1つの意味はロシアですね、これは必ずしも北東アジアだけでございませんで、中央アジアやヨーロッパに広がります。ここについては鳥取県の航路が唯一存在する貨客船でございます。それで、我が国にとって唯一の定期的に行き来できる扉が鳥取県境港にあるわけであります。これを私たちは活用していく必要があると思うんですね、競馬で言ったら先行逃げ切りのような感じだと思うんですが、今かなりリードを保っていますので、こえから恐らくAPEC〔アジア太平洋経済協力〕後は、各地でロシアとのパイプ作りに動き始めると思います。そうなりますと、我々の方で今まで培ってきた蓄えというものを活用して、例えば関西圏地域の対ロシアの窓口を引き込むとか、そういう構想をなお一層進める必要があるだろうと思います。それは北東アジアの中のロシアだけでなくて、中央アジアやヨーロッパ、ロシア、さらにはヨーロッパ諸国まで睨み得るものだと思います。そうした新展開も強化する必要があるだろうと思います。そうした意味で、東南アジアだとか、ロシアの先行逃げ切り策であるとか、そうしたことを想定した「北東アジアゲートウェイプラス」を打ち出す必要があると考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
ちょっと穿った見方かもしれませんけれども、韓国や中国と昨今の領土問題で揉めたりして、国家間のそういう問題が、企業が放火されるとかいろんな問題が起きています。そういったリスク回避というか、そういう意味も含めて新天地に活路を探ろうとしてるのかなという感じもしたんですが、そのあたりはどうでしょうか。
●知事
世界経済ないし人的交流、物的交流はどんどん拡大の一途を辿ると思います。それで、拡大の一途を辿る中で、我が国の国内での鳥取県の、例えば関西に打って出る戦略、これまで5年間やってきました。あるいは東京の方にアンテナショップを作るとか、そうした展開をやってきました。それと併せて海外にウイングを伸ばすというのを積極的に仕掛けていかなきゃならなくなるんですね。北東アジアは我々の手掛けやすい地域でありまして、これまでやってきました。ただ、それだけ、そこでかなりロシア航路とか、成果も出てきたわけでありまして、じゃあ、次のステージにまた上げていく必要があるだろうと、エリア的にもさらに北東アジアの外のところまで広げて連携・リエゾン〔橋渡し〕を作っていくと、そういう考え方が必要になってきたと思います。現実問題、県内の企業さんと話をしていますと、かつては中国の上海あたりだとか、大連だとか、あるは青島であるとか、そうしたところの話をもっぱらされていましたけれども、自動車工場がタイに行っちゃったもんで、タイに追っかけて出ていったとか、そういうように展開が変わってきています。私たちも北東アジアの圏域の中だけで思い詰める必要もないと思いますので、その外にもアプローチをしていくことは必要だと思います。
今のその国際的な緊張との関係で言えば、企業マインドとして、これは率直に申し上げればやっぱりチャイナリスク〔中国で経済活動する上での不確定性〕と言われるものが意識され始めたことは、これは拭い得ないと思います。そうなりますと、チャイナリスクのないチャイナリスクフリーな東南アジア地域等に今度は展開が変わってくると思いますので、我々としてもそうした民間の動きに合わせて、ウイングを広げていく必要があるということであります。
○山陰放送 秦卓史 記者
他、ありますでしょうか。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、冒頭にあった脱法ドラッグの関係なんですけれども、具体にどんな条例として規制を考えておられるんでしょうか。
●知事
やっぱり断固たる決意で脱法ドラッグもそうでありますし、その他の麻薬、大麻、覚せい剤という従来型のドラッグもあります。これに対する撲滅とか、社会的排除の条例というのは、本県はまだ持ち合せがございません。今回の脱法ドラッグということを1つの契機として、そうした従来型ドラッグと併せて排除条例と言いますか、そうした規制などを行う必要があるだろうと、1つにはその規制の体系もありますけども、啓発ですね、県民の皆さまと一緒に、県民運動としてそういうドラッグを撲滅をしていくと、そういう運動を展開するということもあろうと思います。また、県の責務としても、先程申しましたように標準品を取り寄せて、それでしっかりとした態勢を整備するなど、そういう我々としての県の役割も、より明確に鮮明にしていくということもあるだろうと思います。そうした一連の若干勾幅の広い、射程の広い薬物排除条例というか、薬物撲滅条例というか、そうしたものを考えていく必要があると思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
これは、もう作られるということでよろしいんですね。
●知事
これは9月県議会の中で附帯決議がございます。抜本的な対策を考えるべきだということでありまして、議会が終わってからいろいろと頭の整理もしておりましたけれども、条例の制定ということを視野に入れた検討を開始すべきだと判断しました。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それに関連して、ワーキンググループを作られるということでしたけども、現状でどういった条例制定に向けて課題があって、具体的にどういうことを検討していかないといけないのか。
●知事
1つは規制対象、あるいは撲滅対象、排除対象をどういうふうに設定するかということであります。これ結構技術的でありまして難しいです。だから、私のイメージとしては、今、国の方が脱法ドラッグも取り込んだ薬物規制の枠組みを作ろうとしていますから、それを援用するようなかたちが、結果としては鳥取県の取組み可能なのかなと思っているんですが、そうした技術的課題も解明していかなきゃいけないと思います。また、県民運動的にそういうドラッグ、薬物を徹底して社会から追放していこうということをやるためには、どんなような啓発なり、関連施策が必要であるか、この辺も議論することが大切だと思います。
また、併せて、この新しい条例案と併せて、この間の青少年健全育成条例でも議論がございましたけれども、有害図書指定を端的に行うということも、これも検討対象になるかなと思います。そうしたことなどをやりますと、1つの部や課だけで始末がつきませんので、庁内横断的と言いますか、場合によっては教育委員会とか警察関係者そうしたあたりもご協力いただきながらワーキンググループを設定する必要があると考えております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
資材を整えるということでしたけども、資材さえあればその衛生環境研究所でもそういう脱法ドラッグの判別とか、そういったものは技術的にできるようになるんですか。
●知事
技術的に可能になると思います。ただ、厄介なのはどれを取締まり対象とするかというところの法規範ルール作りですね、これがなかなか難しいです。それで、東京都は独自に、そこをかなり多くの人間とそれからお金も投入してやっていまして、その東京都の調査なり指定の状況を今までは厚生労働省が追認するようなかたちで国の規制に横滑りさせるっていうことを今やっているんですね、ちょっと不思議なんですけど。そういうような状況であるんですが、それらがどういう範囲のものを対象にして我々の方で検査をし、これは条例違反ですよとやっつけにかかるかっていうのは、これは罰則なんかも絡みますので、我々としてもきちんとした条例を設定しなきゃいけないんですね。また、そのための検査も必要になるんですが、そういうものを決めていくのがなかなかまだ難しさはあります。ただ、これが違反薬物だということになった場合は、その標準品を我々の方で装備していくことで同定することは可能になります。従いまして、11月の県議会でそうした予算をまず提案していく必要があると考えております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
1つ、すみません。その国の法律で包括指定ということが実現すれば、国の法律である程度規制されることになると思うんですけども、それでもなお条例が必要というのは、条例でさらにその規制、国の規制よりも厳しくしようというお考えもあるという。
●知事
そこも含めて専門的・技術的な見地も入れた検討が必要だと考えております。この辺は能力があれば、我々も本来はやらなきゃいけないところだろうと思いますが、国の方がたぶん年内だと思いますけども、どういうかたちで包括的な網をかけるやり方をされるか、それは注目していきたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
ありますでしょうか。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すいません、よろしいですか。昨日のそのロイヤル・カリビアン・クルーズのアジア〔運営〕本部長さんとの話なんですけども、境港に今その「コスタ・ビクトリア」という、こういった大きな今回のカリビアンさんもそうですけども、客船が次々寄港していますけども、こういった大きなクルーズ船を迎え入れる意義と言いますか、そういったのをお聞かせいただけないでしょうか。
●知事
1つの街がそのまんま鳥取県内に入ってくるほどの規模であります。それは航空機と違いまして非常に大きな規模で入ります。ただ、そういう街がそれまるごと観光に来ることに対処する能力を、我々の地域でも作っていくことが鳥取県を国際リゾートとして売り出していくためには必要なことだと思います。ですから、今回のこうした大型クルーズ船3,000人規模というのは大変なインパクトがあると思いますので私達にとってはこうした機会をステップアップの踏み台にさせていただいて、地域まるごとそうした海外観光客向けのレベルアップになるようにしていかなきゃいけないと思います。結局来たはいいけれどもあんまり地元にメリットがないようなことで帰しても、それは経済効果が弱まります。ですから、できるだけ地元を見てもらって地元で買い物をしてもらうというようなことを、クルーズ会社側とよく協議をして実現する必要があると思います。今からならそれだけの暇があると思いますので、準備を万端に整えてまいりたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
こういう実績を積むことで、日本海側拠点港の追加指定ですとか、あるいは〔境港市〕竹内〔団地〕の方の国際フェリーターミナルの方の整備に向けても道筋が付いてくると思うんですが、そういったことはどうでしょうか。
●知事
それは、大きな実績になると思います。特に今回入港を表明されたロイヤル・カリビアン・クルーズのグループは世界大手でございまして、そこが境港にいよいよ入ってくるというのは業界に対するインパクトもあると思います。そこが行く港ならうちも入らないといかんなということで、次から次へとそのクルーズの幅が広がってくる可能性もあります。その意味でぜひともこれを成功させなければいけません。そうやって実績が広がってくれば、国の方で今、若干逡巡されておられますけれども、竹内地区の国際フェリーターミナル、これも開設を急がなければならないと、これは事業採択の促進材料にもなるかと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すいません。保育専門学院のことでお伺いしたいんですが、議会では鳥取短期大学への一本化も視野に前向きに検討したいということで答弁がありましたけども、具体的な時期はいつ頃想定されていますでしょうか。それから卒業生からは存続を求めるというような声も一部挙がっているように聞きますが、そのあたりの理解はどのように求めていかれるのでしょうか。
●知事
これについては、子育て王国の推進のために、むしろレベルアップする考え方で進まなければならないと思います。それで、議会の方でいろいろ議論はありましたけれども、私は収斂してきたというふうに受け止めました。自民党系あるいは民主党系のそれぞれの会派から、そういう一本化に向けて、同じ方向での議論が質問戦の中でありました。ただ、その際に注意すべきこと、すなわち低所得者対策であるとか、しっかりとした人材養成ができる基盤作りであるとか、そうしたいろんな困難な条件もあると思いますね。この辺を私ども鳥取県として一本化ということになりますと、協議の相手方は鳥取短期大学になると思いますので、鳥取短期大学の方とも話をこれから精力的にさせていただいて、具体案を作っていきたいと思います。その具体案が、粗々まとまってくれば、11月県議会で何らかの方針を出させていただき、場合によっては予算措置も一定程度考えていくとか、そういうような流れになるかもしれません。11月で間に合わなければ2月ということになろうかと思います。議会が終わりましたので、まずはちょっと当事者である鳥取短期大学と話をさせていただき、それから県民参画アンケートに諮ったり、いろんな諸団体等のご意見も改めて伺って取りまとめに入りたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
気持ちとしては本年度末、来年度からもう一本化というところまで考えておられますか。
●知事
いや。学生募集がありますので、それはそんなに急速にはできないと思います。ただ、例えば来年度末で切り替えるということにしますと、やはりもう今年度中には方向性が決まってないと、おそらく学生募集だとか、手当てがつかないことになろうかと思います。保育専門学院が果たしてきた歴史的役割、高いものがあると思いますので、そのいいところをしっかりと継承していくDNAを埋め込んでいけるような協議を向こう側とやってみたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
すいません。予算関連の話になりますけれども、昨日の会議で出ていたのかもしれませんが、今年度の事業棚卸しの成果については、どういうふうに盛り込まれるのか、その方向性などはもう出たんでしょうか。
●知事
はい。昨日皆で議論をさせていただきまして、幹部職員同士で話をいたしましたのは、事業棚卸しが廃止だから廃止という単純なものではないということであります。要は鳥取県の事業の効率性、事業効果、これを最大限引き上げていくための事業棚卸しであります。老人クラブの補助金などが多分焦点になると思いますが、これはこれからの予算編成過程の中で議論をしていきたいと思います。昨日〔10月17日〕例えば、「支え愛」と言う鳥取県が打ち出している地域づくりのコンセプトがありますが、そうしたところで、老人クラブの力を活用するとか、あるいは「アクティブシニア」というコンセプトで、健康づくりだとか、長寿社会を謳歌する、そんなようなことでの事業の提案もありました。そうしたいろんなアイデア、これからまだ議論詰めていかないといけませんけども、そういう中で、老人クラブ連合会のお考えも当然ながらあると思いますし、片方で棚卸しの趣旨もございますので、そこをちょっと見極めながらこれから議論を急いでいきたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
当初言われていました、ゼロベースで見直すということですね、議論がずっと進んできたわけですけども、知事としては一旦こう予算をゼロにするというような大胆なことというのは考えにくいという見方ですか。
●知事
いや、ゼロベースはゼロベースですよね。ですから、棚卸しで「廃止」という2文字で充ててありますので、ゼロから出発して、じゃ、どういう考え方を今後は作っていくか。それができなければ、今回の補助金については一旦休止をするということもあるかもしれません。ただ、昨日ちょっと議論した中に、少し方向性の端緒が見えてきたかなという気はいたします。老人クラブという社会的存在は非常に大きなものがありますので、そうした力を活用して、健康づくりであるとか、生きがい対策であるとか、また地域の見守り活動などの安心安全に参加をしていただくような支え愛運動、そうしたところで、今回の問題を調和的に解決できるかどうかというところかなと思って、昨日は議論しておりました。
○山陰放送 秦卓史 記者
すいません。もう1点お願いします。
●知事
はい。
16 境港市でのいじめが原因と思われる事例への対応
○山陰放送 秦卓史 記者
境港〔市〕でのいじめ問題なんですけども、知事は最初に注意深く見ていくというふうにおっしゃっていましたけども、具体的に報道等で触れる範囲での、注意していくという意味なのか、それとも事務局レベルで情報のやり取りを定期的に行っていかれるつもりがあるのかというのが1つと、それからその教育委員会からのレスポンス〔回答〕と言いますか、教育委員会の成果として、いつ頃ぐらいまでにそういう具体的なものを報告を上げてほしいというか、ありますでしょうか。
●知事
これは今ちょっと現在進行中の案件でありまして、しかも〔滋賀県〕大津〔市〕の事件と根本的に違うのは、生徒がいずれ復帰しますよね、当然ながら。ですから、そういう意味で、急いでいろんなことを解決していかなきゃいけませんけども、現場サイドでの心遣い、繊細な配慮ということもまた必要だと思います。私の気持ちとしては、こう米子〔市〕の方でもいじめとして報道されたものがあったりして、本県の中で、じゃ、実態はどうなんだというところはもっとあぶり出していかなきゃいけないと思いますね。それで、今回の境港の事象については、実際に2階から飛び降りるという深刻な案件であるというふうに、私は受け止めておりまして、事務局サイドの方には、十分情報のやり取りをやっていくように申し上げております。それに基づいて、いろいろと今教育委員会サイドと私ども知事部局の方でのやり取りは続けております。それで、先程申しましたように、第三者調査委員会のような伝家の宝刀も今回ないわけではありません。従いまして、我々としては、いついかなる展開があっても動けるように、急いだ体制づくりというのはしていく必要があるだろうと、これ申し上げております。現にそういうふうに動きつつあります。
ただ、今回がそうした調査委員会を県で設置してどうのこうのという流れになるかどうかは、これ慎重に見極めなければいけないかなと思うんですね。要は子どもたちの育ちが健全になされていく、特に当事者の子どもたち、これが焦点なんだと思います。ですから、教育的配慮ということも、決してその否定はできないと思いますので、その意味で情報のやり取りはしながら慎重に事態を見させていただいているということです。希望を申し上げれば、境港の現場に近いところで、いずれは第三者的にも、今回の事象について、説明責任を果たすような、何らかの取り組みが本来は必要なんではないかなという感想は持っています。ただ、今、教育現場も非常に精力的に取り組んでおられる様子は伝わってきますので、今いまは我々としてもその動きを見させていただいているという段階です。
○山陰放送 秦卓史 記者
先程おっしゃいました、その第三者的な説明責任を果たすというのはイメージがしにくいんですが、具体的にはどういうようなものを。
●知事
まず今はその学校の中で、非常なデリケートな面もございますので、細心の注意で事態の解決は図ろうとされている動きがあります。それは見守らせていただきたいと思います。ただ、今後の教訓と言うか、仮に今回の事件が解決したとしても、じゃ、一体どうしてということは、幾つか疑問符は、私は残ると思っているんです。例えば、生徒が飛び降りると、そのときにペーパーを投げ捨てている。そこに書かれた内容もある。そういう中で、生徒が飛び降りたすぐの学校側の反応がタクシーを呼ぶという反応であると。それで、若干そういうところに、本当にこれでいじめ対策として良かったのかなという疑問符は残ると思うんですね。そういう意味で、一定の検証は、これは県がやるのかということではありますけども、私はまず今、現場が動いていますので、現場に近いところで、そうした検証作業と言うか、いずれは必要になる時期があるのではないかと。そうやって説明責任を果たしていただくことは、最低限なければいかんのだろうなと思います。ただそれが今なのかどうかということはあります。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すいません、もう1点だけ。2003年に完成したJR山陰線の高速化事業で、昨日民間の募金委員会がJRに対する未払金7,900万〔円〕の免除を求めるという方針が昨日出されましたけども、この高速化事業は県が主導と言いますか、県も非常に深く関わっていたわけですけども、県として、例えば仲介に入るとか、そのようなお考えとか、対処法、何かお考えはございませんでしょうか。
●知事
これは、ちょっと私の前任者の時代の事業でありまして、いろいろと経緯がございます。これはその責任分担を当時したって言うんですね。それで当時の片山〔善博〕知事は、言わば裁かれた部分がございます。すなわち民間で集めるべき寄付の部分は民間の責任、それで県は実はかなり大きな出費をしています。〔山陰〕夢みなと〔博覧会記念〕基金という基金がありまして、それを取り崩して充てるということをいたしております。その他にもその金融支援的なことをやったり、いろんなことをやっています。そういうことで、県それから市町村もそうなんですけども、市町村は市町村、それから民間は民間でそれぞれにJRとの間で直接の責任を果たすというスキームなんです。そういう覚書にも当時なっております。ですから、これは経済界とJRとの間で話し合っていただき、解決を図っていただく、そういう内容ではないかなと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
他よろしいでしょうか。知事ありがとうございました。
●知事
はい。どうもありがとうございました。