防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2013年2月14日)

平成25年2月14日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約73分) ※MPEG4形式

  

1 臨時県議会の招集 

●知事

 皆さん、おはようございます。先程、衆議院予算委員会におきまして国の方の補正予算が通過をいたしました。予算委員会の方が終わりまして、今日、衆議院の本会議から参議院へと送られるということになります。昨日も締めくくり一括総括質疑が行われまして、この予算案に目途がついてきたのかなというふうに考えております。そこで、鳥取県としてはこの経済雇用対策を1日も早く実現する必要がありますし、特に今回、規模が大きくなっておりまして、過去2番目の大きさのこのような年度中途における経済対策の補正予算ということもございます。当然、鳥取県の〔予算〕規模も大きくなるということになります。従いまして、これから年度末までに実際にその予算を執行する手続きを進めるのはなかなか大変でございまして、できるだけ早くその作業に取り掛かる必要があるというふうに考えております。本日〔2月14日〕衆議院通過ということの目途が立ちましたので、私としては議会ともこれまでも相談をさせてきていただいておりますけれども、明日〔2月15日〕、臨時の県議会を招集することにいたしたいと考えております。ちょっと急なことではありますけれども、事情が事情でございますので、議会のご理解もいただき早速に審議に臨みたいというふうに考えております。

 明日〔2月15日〕の〔臨時議会では〕経済雇用対策としては339億円の予算を提案をしようと考えております。これには安全、安心を図るための防災対策、原子力安全対策等が含まれておりますし、また、経済を成長させていく、その後押しをするような政策、さらに暮らしの安全、安心を図っていく、そういう対策も盛り込まれているところでございます。公共事業の規模も170億〔円〕を超えるような規模になるなど、かなり大きなことになりますし、かねて1月26日の我々の行いました原子力の避難訓練、これで明らかになってまいりましたシステム上の足らざるところ、これをハード面でも補う、そういうことを中心として予算を提示していきたいというふうに考えております。雇用も大変でございますので、その雇用対策にも応分の資金を割いて、この年度末まで速やかに予算執行の作業を進めて県民に還元をしてまいりたいというふうに考えております。

 現在のところ、経済の方はG7〔主要国首脳会議〕がございまして、ちょっと円高か円安か、少し神経質な展開になってきましたけれども、ひと頃よりも円高の水準が是正をされてきておりますし、また、経済の指標である株価も上昇をしてきております。1万1,000円を超えるような水準でここ数日、動いているというようなことにもなってきております。そういうふうに、少し気分的にはよくなってきておりますけれども、これを確かな方向に持っていくためには、中身を作っていかなければなりません。そこで、経済雇用対策をこの際、補正予算でも組んでいこうということにいたしまして、その一番早いタイミングということで明日〔2月15日〕の〔県議会〕招集をさせていただくということにいたしました。



2 新年度予算案と組織定数改正案 

●知事

 ただ、これと併せて、〔新年度〕当初予算を編成しております。この当初予算と今回の補正予算を合わせて14ヶ月の予算というふうに考えまして、今、その作業を進めてまいりました。この程、その中身が固まってまいりまして、来週の定例の県議会に提案をさせていただく運びとなりました。総額では、一般会計3,305億〔円〕の規模となります。これは、昨年に比べまして若干増えるということになりました。ただ、私としてのいろんな意欲を、できる限り、込めたつもりでありますけども、残念ながら、今、財政環境は少し微妙な方向に動き始めていると判断をいたしております。来年度に向けた当初予算編成作業で一番難儀をしましたのは、その私どものお財布の方でございます。税でいきますと、今年度と新年度と対比して5億円ほど減るだろうということであります。また、我々として大切なのは税とあともう1つ一般財源を構成します〔地方〕交付税並びに交付税の身代わり財源である臨時財政対策債、この臨財債のところでございますが、これをセットで考えた場合、これまではここ数年、上昇傾向にあったんですけども、今回は減少ということに転じまして、これが予算編成作業上、なかなか苦労をした点でございました。

 実態を申し上げますと、その原因の引き金を引きましたのは、給与問題で、国の方で地方交付税の減額を行ったことでございます。その減額によりまして、本県では38億円の減額ということに計算されます。それで、我々の方でも声を挙げたわけです。特に鳥取県の場合は給与水準は国よりも低いということで、職員も協力をしている中で、交付税が下がってくるというのはまったく理屈に合わない、給与が高いからといって交付税を下げるといっているわけでありますが、現実には私どものようなところもありまして、これはおかしいんじゃないかということを申し上げたわけです。その結果として、元気作りの資金というものを交付税上算入するという措置が取られました。この措置によりまして、その給与水準等で各都道府県、市町村の方に交付税が若干、戻されるかたちになりました。ただ、それで戻ってきたと見込まれますのが、現在、ちょっとそろばんを弾いておりますと28億円ほどでございまして、差し引き10億円は穴が開いた後のままで終わってしまいそうであります。ですから、ここもちょっと予期せざる財源不足ということになりました。

 給与水準が低いのは、うちとかあるいは岡山県、隣県〔島根県〕であるとか、この辺が全国でも一番低い水準なわけでありますけども、岡山ですらたぶん、前年同額は確保できないんじゃないかと思います。それぐらい最初のその削減の方、とにかく地方交付税を下げるという方にウエイトがかかっているわけでございます。ふたを開けてみれば交付税削減のための方便として地方公務員の給与水準を取り上げたということが見え隠れしているわけでありまして、非常に残念な状況だというふうに思います。ただ、私たちは現場でありますので、最終的には帳尻をしっかり締めながらやるべき事業をやっていかなければならないと考えておりまして、いろいろとやり繰り算段をさせていただきました。

 そういう中で、今年度の最終盤に向けて不用額を無理に使わないという執行をしておりまして、これで余剰金を生み出そうということでございます。その余剰金を積んだもので財政調整型の基金に積み戻すこと、さらに繰越金を20億〔円〕用意しまして、この20億〔円〕を原資として新年度予算の穴を補うかたちといたしました。ただ、それでもだいたい、新年度予算編成段階で100億円とかそういったオーダーでの財源不足がございましたので、財政調整型の基金も去年よりも多く取り崩さざるを得ない状況でございました。今年度、何とか余剰金を出して新年度に財源を送るというドライブをかけながら、また新年度予算でそれを取り崩すというようなオペレーション〔操作〕にならざるを得ないということでありまして、昨年度もそういうことをいたしましたが、繰越金をあえて20億円計上をして新年度予算の財源とさせていただくといった工夫をいたしております。こういうやり繰りをしながら、これからの新しい鳥取県の姿を新年度予算の中で作っていこうと考えているところであります。

 いくつか柱を立てながら予算編成をさせていただきました。1つには危機を突破しなければならないと。今のこの経済雇用情勢、それから防災、そうしたことを考えて危機を突破していくと、この危機を克服するという経済雇用対策や防災原子力安全対策等、ここに一つ注力をさせていただきました。新しい経済雇用対策を数多く盛り込ませていただきました。これからの成長産業となってくると期待されるところへのテコ入れでありますとか、また、中小企業が頑張れる、そういう事業項目を用意をさせていただきました。農林水産業でも陸上養殖、これを支援するとか、また「新甘泉」という新しい梨のブランド、これに本格的に取り組めるような、そういう予算付けをさせていただきました。また、原子力防災対策、これはこれから何年かのうちには確実に初動のものを終わらせていこうと、そのためにも従来よりもかなり思い切って計上させていただいております。これは国が付き合ってくれなきゃ困るわけでありまして、国の方にもしっかりと要望しながら、そういう原子力安全対策の充実を図っていく必要があると考えております。

 こうしたことなどの危機を克服していく施策がまず1つにございます。それから「〔とっとり〕グリーンウェイブ」、これを新しい年度のテーマといたしたいと考えております。早速5月26日には〔第64回〕全国植樹祭が開かれますし、〔第30回〕全国都市緑化フェアであるとか、エコツーリズム国際大会〔2013in鳥取〕等、目白押しであります。また、メガソーラー発電所をはじめとした再生可能エネルギー、こちらも鳥取県がメッカになり始める年度周りにもなってくるわけでございます。こうしたことを捉えて、緑だとか、あるいは環境だとか、そうしたことを前面に押し立てて教育や産業振興も含めたグリーンウェイブの年をかたち作っていきたいと考えているところでございます。また、これからは鳥取自動車道が〔全線〕開通をし、松江自動車道も開通をし、いよいよ山陽・山陰が直結する時代がやってくるわけでございます。また、海外を見据えた大交流時代という道筋が見えてくることにもなるわけでございます。そんなようなことで、そうした対策の予算が必要でございますし、また、県民とのパートナーシップを組んでいく、そのためにも県の方の体制を効率的で強力的なものに変えていくとともに、住民の参画を求められる、そういう土台を県政の仕組みの中にも作っていく必要があると考えております。

 その意味で、別途県民〔参画〕基本条例も提案をさせていただきますけれども、それのみならず「アドボケイト・プランニング」と言われますが、住民の皆さんが計画段階から参加をしてきて、例えば、河川の整備、あるいはその利用というようなところをやっていただくと。自分たちでもやっていただく、そういう執行段階も含めて公で支えるような究極の、県民の皆さまとのパートナーシップ、この事業も実験的なものでありますけども導入をしてみようというふうに考えているところでございます。そういうようなことなどに加えまして、福祉であるとか、あるいは教育関係であるとか、また、治安の問題であるとか、いろんなところに切り込んでいきまして積極型の予算編成を心がけたところでございます。そういう成果として、1つのとりまとめとして、3,305億円という前年を上回る規模で決着をすることにいたした次第でございます。

 また、併せまして条例の審議をさせていただくことになります。1つには県民参画基本条例がございますが、脱法ドラッグと言われるような、そういう薬物の取り締まり強化など必要となる条例の整備も行ってまいりたいと思います。そういうようなことを進めていく体制作りも必要でございまして、組織体制の見直しも行うことにいたしております。新年度の体制として今想定をいたしておりますのは、東部・中部・西部、それぞれに1つのまとまった地域として、エリアとして県政を執行する体制を組むということでございます。これは市町村や住民の皆さまとの対話を続けながら、しばらく時間はかかりましたけれども、これまで議論をしてきたものでございます。

 その東部の方は東部振興監をこの本庁の中に設置をしまして、効率的で強力な振興体制を組もうと。また、中部におきましては県と市町村の垣根を超えた組織体制を考えようということでございます。具体的には、〔鳥取中部〕ふるさと広域連合の方に県職員も行かせる。それから観光関係で、テーマ性のある中部の観光事業に県と市町村で、共同で取り組むと。例えば、漫画であるとか、温泉であるとか、そうしたいろいろな魅力があります。その魅力を絞り込みながら周遊してもらうという中部の一体的な振興方策を組もうということです。これは市町村の単位では小さすぎるわけであります。そこで県としても広域で係わって、資金的にも応援をする仕組みをこしらえてみようじゃないかと、こんなようなことを考えております。また、西部の方では日野とか米子地区と、そうしたところは一体となった日野川流域の地域でございます。これの地域振興は一体として西部の総合事務所で行うことにいたしまして、日野の方には〔日野〕振興センターを設けるという体制を整えました。

 また、全県的な対応として鳥獣被害対策、これについては八頭郡に県庁全体の拠点を〔鳥獣対策〕センターとして設けるということにいたしました。こういう組織でございました。これは農林水産部長の直轄のようなことでやるわけでございます。こういう東、中、西の体制を整え直すということにし、新年度をそのスタートの元年としたいと考えております。また、原子力安全対策、これはその立地地域は一生懸命、組織的にも充実ができる環境にございます。私どもは核燃料税等の財源がございませんので、どこの周辺地域もそういうことについては、体制づくりを躊躇しているところでありますが、この際、国の方にそういう組織体制の構築の支援なり、負担を行うべきだという主張は今後していきますけれども、県としても独自にそうした原子力安全組織の充実を図ることにいたしたいと思います。その意味で、危機管理局の中に原子力安全対策監というスタッフ職を設けることにいたしました。これは県庁の幹部という位置づけでございます。そして原子力安全対策室は原子力安全対策課に昇格をしまして、この原子力安全対策課であるとか、それから、その他の関連の部局を全庁的にも引っ張ってもらう人材として、原子力安全対策監というのを考えた次第でございます。

 こうしたことで、周辺地域としては異例の措置、体制をとらせていただくということに向かっていきます。また、いじめとか不登校、こういう問題に加えまして体罰問題というのも出て来ました。教育委員会とこの組織体制について昨日まで協議を重ねてまいりました。その結果として、その体罰問題も含めて、いじめ・不登校総合対策センターを教育委員会の直属の部署として設けるということにいたしました。場所としては教育センターという施設の中に置きますけれども、教育長ないし教育委員会の直轄の組織として、情報を集め、また対策を進めるという体制をとることにさせていただきたいと考えております。

 こうしたことなど、県庁の組織の方も改革をさせていただきまして、より強靭で県民の皆さまの期待に応えられる体制づくりをしてまいりたいと思います。こういうように、今、県の予算等、新年度に向けて展開を進めさせていただきたいと思っており、2月の県議会で議論を願いたいと思っておりますが、国の方もいろいろと予算上の動きが出てきております。先般国土交通省の赤澤〔亮正〕政務官を訪ねたときに示唆された話として、〔境港の〕竹内〔団地〕の岸壁の国際フェリーターミナルとしての整備の要望を重点的にさせていただいたんですが、これをいずれ、やっていかなければならないという認識が政務官の方から示されて、競争的に調査をしながら、他の港との間で差別化を図って、国としても採択できるような道筋を付けてもらいたいというような話がございました。

 そのあとも国土交通省のご当局といろいろと情報交換をさせていただいておりますが、我々としては、先導的官民連携支援事業という事業がございまして、これは地方自治体も含めて、国と連携しながら調査をすると。それで、事業効果等を検証したり、その新しい施策の効果をみたりする、中身を検討すると、こんなような事業になります。これを近々、国土交通省の方で募集をされるということでございますので、この先導的官民連携支援事業に竹内岸壁の事業化に向けた、我々としての調査をエントリーしていきたいというふうに考えております。こうしたことなど、今後さまざまな目鼻となるような、鳥取県のしっかりとした基盤づくり、これを進めてまいりたいというふうに考えております。



3 北朝鮮の核実験に対する対応 

●知事

 北朝鮮の暴挙には、本当に憤りを感じるばかりでございます。早速、国際連合におきまして、非難する対応が取られたということは評価をいたしたいと思いますが、未だに北朝鮮側として、第2、第3の対応を考えるといったブラフ〔こけおどし〕をかけておられます。これは許しがたいことであり、拉致被害者を抱える本県としても憤りに堪えないところでございます。その片方で、県民の健康等への影響を我々としてモニターしていく必要がございます。北朝鮮は核実験を行ったと称しておりますし、実際に地震の波動からしても自然地震ではないと思われることなどから、それを思い起こさせる状況でございます。私どもとして、環境監視に早速入りました。これは、火曜日〔2月12日〕に会議を開きまして、その前の12時20分頃くらいですかね、早速その担当部局の指示をしまして、国の指示に先行して我々としては〔放射線量〕モニタリングを始めたところでございます。現状を申し上げますと、今1時間ごとに計測をしてございます。これについて、異常はないということでございます。また、大気中を浮遊する粉塵の調査もさせていただきました。中には、こう累積をしながら、その結果を取るというものもありまして、そう簡単になかなか結果が出てこないということがございましたけれども、本日から完全に全ての情報をホームページ等で県民の皆さまに提供させていただくこととなりました。これを見ていただければお分かりだと思いますけども、今のところ異常は見られないというふうに判断をいたしております。



4 大気汚染物質(PM2.5)の情報提供 

●知事

 また、PM2.5〔大気汚染の原因物質〕、これは中国由来のものでございますが、この微小粒子につきましても計測を行ってきております。昨日から、ホームページだとか、あんしんトリピーメール等の提供をさせていただいております。ホームページにつきましては、これは状況を毎日報告をさせていただきます。メールの方は、これは、メールの受け手側のご事情も当然あるわけでございますので、何でもないのに通知出されてもという向きもありましょうから、朝9時の段階で35マイクログラム/立法メートルを計測するようなときに、注意情報を出すということにいたしております。

 これは大西〔一成鳥取大学医学部助教〕先生など、専門家ともいろいろと協議をしたんですけども、それでいけば、だいたい確率的に国の方の基準に達するかどうかのところが見れるだろうというふうに判断をしまして、国の方の警戒基準と併せたことを予報できると判断をいたしまして、そういう体制を取らせていただいております。こちらの方も今のところ鳥取県として、顕著な動きにはなっておりませんので、この辺も、一応は安心をしていただきたいと思いますが、大西先生など、専門家のお話によりますと、データ的にはそれは低くとも症状が出られるかたというのは、それはおありでございますので、それぞれに対処策をご検討いただければと思います。健康なかたには特に問題がないレベルだとご理解をいただければありがたいと思います。



5 全国植樹祭カウントダウン 

●知事

 いよいよ、〔とっとり〕グリーンウェイブということで5月26日が見えてきました。先週は特別委員会が開催をされ、衆議院議長の伊吹〔文明〕議長をトップにし、また〔国土〕緑化推進機構の佐々木〔毅〕理事長などの下で、我々のプランの審議をしてもらいました。その結果、鳥取県において行われます第64回全国植樹祭の事業が完全に固まりました。いよいよ、執行へと乗り出していくことになります。本日ですね、この後、だいたい100日前ということになりましたので、残日計を設置することにいたしております。また、それと併せまして、岩手県、宮城県、福島県からコナラですとか、クリですとか、ミズナラの種を持ち帰っております。これを我々のところで苗木に育てて向こうにまた植樹をしていこうということを、今、県内の学校さん等の協力を得て進めているところでありますが、その苗作りですね、それも実地にここで見ていただく、これも今日行わせていただきたいと考えております。私たちとしては、東日本大震災の復興、そして、我が国におけるこの美しい緑の大地、これを育てていくためにも鳥取県から立ち上がりたいと考えております。ぜひ多くの皆さまのご協力を賜りますよう、呼びかけながら運動を展開してまいりたいと思います。



6 メタンハイドレートに関する講演会 

●知事

 また、これからを見据えますと、〔山陰海岸〕ジオパークと言われるこの日本海を望む地域の目の前で、やはり日本列島の生まれる痕跡があるわけですね。それは大陸だった時代の生物の証が海底に眠っています。これがメタンハイドレートと呼ばれるものでございます。このメタンハイドレート〔メタンガスと水分子が結合してできた氷状の固体物質〕の研究の第一人者である明治大学の松本〔良特任教授〕先生をお招きして、県内のガス会社を初めとした関係者のかたがたを交えて意見交換を行い、さらに、県民の皆さまにも聞いていただく講演会を実施することにいたしました。この土曜日〔2月16日〕に開催をいたしますので、ご興味のおありのかたはぜひお越しを賜ればありがたいというふうに思います。このメタンハイドレートでございますが、新年度予算の方にもそれに対する関係経費を盛り込ませていただきました。片方で国の方は、これから日本海側のメタンハイドレートの調査に本格的に乗り出すという予算がこれから審議されます国の当初予算の中に入ってきました。我々の運動の成果でございます。かなりボーリング的なことをやっていかなきゃなりません、事業費がかさむもんですから、国の方の調査事業を待ちたいと思いますけれども、我々側でも委員会を設置して研究をしたり、また、我々でできるような調査を行ったり、今後に向けた展開を検討したり、そうしたことを新年度でも進めていきたいと考えているところでございます。



7 廣川マテリアル(株)の倉吉市進出 

●知事

 産業関係でも企業誘致等を行っており、つい火曜日〔2月12日〕の日も大阪における企業関係者をお招きして意見交換会も行いました。鳥取県、新年度も含めて積極的にそういう企業誘致等をしかけていき、なんとか1万人雇用を実現してまいりたいと思います。そういった一環で廣川マテリアル〔株〕さんがこの度ご進出なさることが決定をしました。今日、その調印式を行いますけれども、こちらはいろんな容器等で使うプラスチック樹脂の工場でございまして、そうした企業さんの進出等をさらに進めていきたいと考えております。この新規立地は倉吉西インターチェンジ、新年度に開通をするところの近くに用地を得ているわけでございます。やはり大交流時代が鳥取県を変えていくというふうに見込まれるわけでございます。



8 知事 韓国トッププロモーション 

●知事

 その大交流時代を目指して3月23日の鳥取道〔全線〕開通、さらには3月10日に河原インター線が開通をすることになり、鳥取県は、特に東部の地域は山陽方面としっかりと結ばれることになります。これと前後して、今、2月から県外も含めたスタンプラリーを始めておりますし、例えば楽天とか、じゃらんとか、いろんなインターネットを通じた宿泊サイトがございます。こうしたところでのキャンペーンを3月下旬の開通時期等を目標に、仕掛けていったり、また温泉地等々と一緒になりましたキャラバンを組織したり、展開をしていきたいというふうに考えております。また、その大交流時代を睨みますと、海外からの誘客をまた考えていかなければなりません。高速道路がつながってくるということは周遊がしやすくなる。従いまして、海外からの旅客の呼び込みにも有効であるということになります。そのため、〔2月〕18日に〔韓国〕ソウルの方に私17、18、19〔日〕と行きまして、18日ソウルの方で活動をさせていただこうと考えております。具体的には韓国の大手新聞社のグループとタイアップをしまして、鳥取県のアピール、観光だとか、食とかそうしたアピールを今後展開をしていこうというふうに考えております。例えば四季を通じて鳥取県の情報がそういう大手メディアを通じて韓国で流れるような体制を作ることなどを交渉してまいりたいと思っております。

 また、ロッテ・ジェイティービーといったような、観光事業者を回ったり、またDBSクルーズフェリーの顧客対策、そうした会も開かれます。そうしたところを回りなら、今、米子-ソウル便など危機的な状況も言われた時期でございますので、テコ入れを図ってまいりたいと考えております。その一環として、韓国江原道のチェ・ムンスン知事とも会談を予定をいたしております。これからの諸情勢についての話し合いもさせていただけるんではないかと考えているところでございます。こういうようなことで、大交流時代をぜひとも開いてまいりたいというふうに考えているところでございます。



9 イイトコトットリ映画祭 

●知事

 こういうPR、動画等でもこれからしっかりと売り込んでいく必要がございます。そこで、県としてイイトコトットリ〔イイトコトットリ鳥取動画コンテスト映画祭〕という事業をやっております。現在170を超える県内外の動画が集まりました。ユニークでクスッと笑えるようなものもあれば、うっとりするようなものもございまして、結構それぞれ力作が揃って集まってきたかなと思います。今月〔2月〕24日には、映画館におきましてそのグランプリを決める最終選考会を実施をしようということにいたしております。これからも鳥取県として積極的に内外へアピールしてまいりたいと思います。私の方からは以上です。


○日本海テレビ 山本愛 記者

 各社質問をお願いいたします。



10 新年度予算案 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません、当初予算についてちょっともう一言いただけたらと思ってですけども、この度の当初予算はいろいろやりくりが厳しい中で当面の課題にしっかり対応しながら、鳥取県の未来に夢も膨らむような前向きな攻めの予算というふうな理解をしたらいいでしょうか。


●知事

 はい。今、経済のトレンドが変わり始めていると思うんですね。ただ、片方で鳥取県の現状というのは非常に厳しいものを地域として、県民として感じておられる、これが正直なところだと思います。ですから、この今変わろうとしている流れに一気に乗っかっていく。そのためには明日〔2月15日〕招集をした〔県議会〕臨時会、さらに当初予算を審議していただきまして、それでその土台をぜひこしらえたいという気持ちであります。東日本大震災というマイナスの状況から我が国は変わっていかなければなりません。そこで生まれた防災上の課題だとかいうようなこともございますし、それから経済の復活ということも必要であります。今が仕掛けどきだと思いますので、その意味で少し張り切った予算を作らせていただいたということです。

 ただ、片方で、県民生活をしっかりと考えていく必要もあるわけですね、医療関係では、今回東部の医療圏の再整備に向けて、臨時会の中でも議論していただこうと考えておりますが、再編問題というものも着手をしていきますし、それから、がん対策これもがん死亡率が全国でも高水準にあるという不名誉な状況から脱却をしなければなりません。本県のような西日本は、どうもその肝炎の影響がデータとして出てきているんじゃないかということですね、肝炎が進行してきますと、治りにくいがんに進行していくと、そんなことで肝炎の検査を行うという思い切って計上をして、がん対策に資するようにしようと、こうした暮らしとか命に関わるところにも重点を置かせていただきました。また、対外的にアピールしていくグリーンウェイブだとか、大交流だとか、こうしたことも我々の眼目として据えさせていただいたところでございます。そういう意味で、新年度は時代の風を捉えて挑戦をしていくと、そうした気概を持った年度にしたいと思っております。


○時事通信 小出秀 記者

 すみません、関連しまして、予算なんですけども、今おっしゃったような、さまざまなことに意欲的に取り組んでいくという中で、例えば国の要請する人件費の削減には鳥取県は応じない方針ということもございますし、もう歳出の削減策といった点では、今回どんなことをなされたんでしょうか。


●知事

 ちょっと誤解がないように改めてご説明申し上げますと、鳥取県は人件費の削減ないし抑制ということは国以上にやっているわけです。それで、国は国並みにしろということを言っているわけでありまして、それに応じないというよりは応じる必要が全くない自治体であると、非常に全国的には例外的な自治体だというふうに認識をしておりますので、追加的なことはやらないということです。ただ、そういう中でも新年度から適用させていただく退職金の適正化、こうしたことも進めさせていただくなど、歳出の適正化にはさらに尽くしていきたいと思います。当然ながら事業の棚卸であるとか、それからレビュー等をしっかりとやって、不要不急の事業を整理しながら重点的な事業へと振り向けていくということであります。皆さまご考証のとおり、鳥取県は日本一貧乏な県と言ってもいいわけでありまして、それを、そうでありながら温かく、そして健やかに、のびやかに暮らせる、そういうふるさとにしていくためには、やっぱり張り切った財政ということも必要だと思っています。

 その余地を片方でスリム化、効率化等でも生み出していこうと思っております。私どもの組織のこと、今回改革をするということを申し上げました。それは、プラス要素がちょっと聞こえやすかったんだと思いますけども、最終的な定員のことで言いますと、30名を上回る定員減ということを、今、条例上盛り込もうといたしております。それで、これは昨年度と合せて60名を超えてくるわけですね。それで、私どもとしては、さらに〔平成〕27年度当初までに全体で私の任期中で100人を減らそうという目標でやっているんですけども、既にその6割方を達成しているということでございます。こういうことが、実は鳥取県が健全な財政に向かってきた大きな要素になっていまして、そういう歳出削減努力、適正化努力とか、今後もきちんと進めていきたいと思っております。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 新年度予算なんですけれども、危機突破ということで雇用ですとか、グリーンウェイブということいろいろあるんですけれども、名づけるとしたらどんな予算になったといったらいいでしょう。


●知事

 「日本復活・鳥取復活〔予算〕」ということじゃないですかね。そういう予算にしたいと思います。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 それは増額になったという点も踏まえてですか。


●知事

 増額になんとか持っていったというのが正直なところですが、辛くも財源をかき集めて、なんとか増額レベルへ持っていったということです。これは今回の、ただ緊急補正、これと合わせて考えていただければ相当力強いということは見ていただけるかなと思います。賛否両論ありますけども、公共投資を進めてインフラの整備をしたり、また経済に対するテコ入れを行うという手法が国全体を捉えているわけであります。その反映として、我々もできる限りそこを取り込もうとした結果、14ヶ月予算ベースで行けば2割以上増える投資状況ということになります。これはかなりの増額と言っていいんじゃないかなと思います。そういう意味で、非常に挑戦的な予算組みを緊急補正を合わせて行ったというふうにご理解いただければと思っています。


○NHK 月岡信行 記者

 今回の予算に関して、印象としてはどうしてもやらなきゃいけない事業もあって、それに合わせて財源をいろいろなところからかき集めた結果、前の年度を上回る予算になったと、ただ一方で、やっぱり借金、特に基金の残高なんかは360億円、知事が就任されてから一番少なくなっていると思うんですが、その辺を憂慮するところというのはあるんでしょうか。


●知事

 今年度はこういうことでなんとか予算組みはできましたし、新年度を通じた、これから財源整理は今後ずっと年度末までやりますけども、新年度を通じた財源はほぼ確保できていると思います。新年度すぐに危なくなるということではないんですが、問題は、今回の交付税カット、これはこれから非常に効いてくると思います。全国の自治体が、これ多分共通に憂慮しているんじゃないかと思いますが、先程申しましたように元気対策として、うちで言えば38億〔円〕、公務員給与という名目で削られて、それで28億戻ったということでありますが、28億〔円〕戻ったというのは、これは未来永劫続くということは言っていないんですね。ですから、この部分は、新年度は知らんよということになるわけです。平成26年度予算の中で、この部分がまた返ってくるとは限らない。

 それで、その給料にかこつけて切ったところは、これは固定化される危険があると。それで、実は、これは交付税だけでなくて、教員給与にも響いているわけです。教員給与の方でも5億円補助金が削減されている。これも非常に大きな額でございます。こういうものをいろいろと影響を見ていきますと今後分析してみますと、それは〔平成〕26年、27年といった段階で50億〔円〕、100億〔円〕といったベースで財源が落ち込んでいきかねないという危険性を感じています。ですから、我々としても、非常に神経質な展開ではないかなと思っていまして、注意深く今後の地方財政対策等を見ていく必要があると思いますし、知事会を通じた運動展開が必須であろうと考えております。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 今のことに関連して、知事はその300億〔円〕を切らないということで、財政調整型基金ですか、言っておられるわけですけども、本年度は、そこは何とかぎりぎり確保したんですが、26年度ですね、そこの危険ゾーンに入っていく可能性というのはあるのかどうか、知事として、そこは持っていきたくないと思いますけども、それのためにどういう努力をしていくというのは。


●知事

 今、ちょっとそこの推計、中期的財政推計を今行っております。来週にはその推計ができてくるかなあと思っているんですが、今の作業状況を申しますと、〔平成〕26年ないし27年そういったタイミングで、300億〔円〕を切ってくる可能性があると見ておりまして、それを回避するための我々の財政努力が必要になってくるだろうと見ております。あと、非常にやっかいなのはプライマリーバランス〔基礎的財政収支〕ですね。これプライマリーバランスの黒字化というのを我々としては、県民に対するお約束として示しておりますが、これを維持していくのが、当面はその基金残高以上に大変ではないかなあと思っております。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 特にもう1点その関連なんですけども、政権与党も変わって、経済対策ということで大型の補正も組まれてるんですが、それは3ヶ年分というところもあると思うんですが、ただ来年度も同じようなこと、26年度ですね、また同じような経済対策とか、ないかも知れないということも考えると成長戦略としては、県としては特にどういった点においていると言ったらいいでしょうか。


●知事

 私たちは、国が「三本の矢」と言っています。金融対策それから財政出動、そして経済成長による民間投資、この3本の矢という構想は賛成できると思っています。ただ、その財政対策というか、いわゆるケインジアン的な需要創造だけでやるということではない。我々としても、そういう意味で産業創造、これが重要だと思っています。特に鳥取県の場合、電気機器産業、電気電子部品産業というものが半分以上これまでは占めてきたと、おそらくこの状況はこれから数年のうちに一変するんじゃないかと思います。そういうことを考えますと、新しい環境関連型とか、それから農商工連携型であるとか、あるいは観光産業だとか、そうした産業シフトを徐々に起こしていかなければなりません。今、国の方でも対策をとろうとしているものも取り込みたいと思いますし、県独自でもそういう新規産業創造に乗り出していくのがこれからの県経済の分かれ道ではないかと思っております。

 そうした意味で、企業誘致をやり、それから新しい産業活動に向けた中小企業等の地元企業支援、これを新年度の1つの眼目におかせていただいております。


○毎日新聞 田中将隆 記者

 すいません。公共事業の関係の話なんですけれども、2月補正と合わせて、単県事業を100億〔円〕規模を確保されたと、これについて知事としての位置付けと言いますか、どういった思いで100億〔円〕を上回るような規模にされたかというところをお聞かせ願いますでしょうか。


●知事

 これは、県議会との議論の過程で出てきたわけでございますけども、正直申し上げまして、今、県財政は落ちつきつつあるんですね。全国の自治体の中では、ごぼう抜きで今、財政状況の改善ができてきております。経常収支比率であるとか、将来に向かう負担比率であるとか、そうした意味では全国でも金銀銅メダルぐらいなところを取れるようになってきている。こういうような状況になってきているからには、そうしたことで徐々に県の地域振興の方に還元していくということも意識的に必要だろうと思います。それで、県議会との議論の中を通じまして、今までそういう数値目標というのは特に考えておりませんでしたけども、今回県の単独事業として100億〔円〕という目安を考えてみようと。

 実は単独事業でありますので、身の回りの交通安全のための改修事業であるとか、それから河川の危険箇所をさわるとか、ごく小規模なものの塊なんですけども、そうしたことは、実は事業はやったらいくらでもある部分でもございますので、一応その数字的目安を考えて、コントロールしていくやり方を部分的に導入しようというふうに考えました。今回100億〔円〕を目標に事業を関係部局で考えてもらったんですが、国の方の緊急補正が来ましたので、それの方が財源的に有利なものはそちらに前倒しをして、20億〔円〕ほどは緊急補正の方で、当初の方で80億〔円〕ということで通算100億〔円〕を確保したということです。ここ数年にはない規模を確保できたと思っております。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 今回、とっとりグリーンウェイブに50億〔円〕といった予算を投入されておりまして、昨年のまんが王国の10億〔円〕もインパクトがあったんですが、それに代わる今回の県政の柱の1つにもなると思うんですが、ただ一方で一過性のイベントで終わらせてはいけないという思いは知事にもあると思うんですが、これを契機に、このグリーンウェイブと言いますか、本県の環境とか自然、どのように発信とか再生とかそういうものをやっていきたいというふうに。


●知事

 まず、1つは、県民の皆さまに私たちの素晴らしい故郷、これをもう一度感じていただき、その大切さを未来へと継承できる運動を展開してもらいたいという願いが1つあります。そうしたところから我々の観光の魅力の磨き上げですとか、それから今まで埋もれていたような産業資源、また教育の場としての活用、いろんな使い方が、元気を出して想像されてくるだろうと思います。ですから、いろんな予算を組んでいますけども、1つ例を上げて言えばバイオマス〔生物由来の有機性資源〕発電ですね、これも木を使うわけです。それで、今まではチップ材として使う使い道が、本県の場合は結構その大手の製紙会社の方に流れていました。ただ今、産業構造が少しずつ変わってきておりまして、その受入量というものに変化が見られております。ただ、山はどんどん循環させなければいけません。そうしないと段々と活力を失い、CO2〔二酸化炭素〕の吸収等の陰りが出てくるわけです。木の成長の時期というのもありますしね。間伐が進まないと成長量が減ってしまうと。

 そういうことを考えますと、緑豊かな自然のためには間伐を行い、それを活用していく。その際に端材が出てくる。こういうチップ材を活かすためにバイオマス発電を思い切ってやろうじゃないかということでありまして、これに20億円余りの、思い切った助成金投入を考えております。国の方の事業も活用しながら、こういう予算組みをさせていただきました。これはその緑の活動というものを、それを産業の方に転換をしていく一つのやり方でございます。これができてくれば、各地の材を切るインセンティブ〔動機付け〕が働き始めます。それにより、森の更新がなされていくということになってくるわけですね。こういうようなことをいろいろと埋め込みながら、今回予算の編成をさせていただきました。持続可能な発展に鳥取県がつながっていくように、産業面や観光面を特に意識をしながらグリーンウェイブの予算組みをさせていただいたところであります。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 これはもう確認ですけど、本年だけ重点的にこのグリーンウェイブをやっていくのか、それとも来年以降もこれを契機に、こういった取組みをより強化していく方向っていうふうに捉えていいんでしょうか。


●知事

 持続可能な取組みになろうかと思っております。今年は特にイベント関係が少し膨らんだ格好になりますので、大きめに出ているかと思いますけども、新年、さらにあとの年度にも、これは必要だという事業は継承していきたいと思っています。


○中国新聞 川崎崇史 記者

 関連してなんですけど、先程知事が、県の産業構造を今後ちょっと変えていく必要があるというような趣旨のお話をされたと思うんですが、鳥取県の今後こう経済の活性化に向けて、知事が考えるべきその1次産業から3次産業までのバランスというか、モデルというのはどういうのが相応しいというふうにお考えなんでしょうか。


●知事

 これから日本の強みがどこに来るかっていうことに敏感に動いていかなきゃいけないと思うんです。我々のところは、電子・電気機器関係が主流でありまして、稀有な産業構造だったと思いますが、大手の電機産業が構造転換をしてしまうと。恐らくギューとその生産額が減ると思います。それで、その減った関係で他の産業とウエイトのバランスが急速に変わるだろうと、このことを先程申し上げたわけです。じゃあ、そのところを、今度どうやって埋め合わせていくかということですね。これは今の技術を活用して、例えばLED〔発光ダイオード〕であるとか、液晶関係でもイグゾー〔「IGZO」酸化物半導体〕を初めとした新しいビジネスモデルへ転換をしていくとか、さらにその農業だとか、水産業のところに、建設業だとか福祉だとかそういうのが結び付いていくとか、こうやって従来とは違った産業世界っていうのを作っていかなきゃいけないということだと思います。これから日本の強みがどこにいくかということでありますが、1つは先端技術のところには当然残ると思うんですね。

 そういう意味で、工場を単にその生産の場、作る場ということだけでなくて、ワールドセンターとしての研究開発や研修の拠点、そういうものに作り変えていくと、そういう時代に入って来ると思います。その辺は意識的に我々としても支援をしていこうということにいたしております。また、従来とは違った売り先を考えなきゃならない。あるいは新商品を開発しなきゃならないということに対する支援も当然必要になると思います。先端技術とか、一歩先に進んできたその産業集積っていうのを活かしていくのは一つの道筋になろうかなと思います。また、2つ目には、日本というのは、安全で安心というブランドがあるわけですね。それは食品について特に言われるところでございます。そのブランドを活かして、産業へと転換をしていくと。単に作るだけの農業だとか、それから海に行って獲るだけの漁業じゃなくて、養殖をして育てるような漁業だとか、新しいブランドにチャレンジをして新甘泉〔梨の新品種〕のように付加価値を大幅に上げる、さらには農商工連携で工業や商業と結び付けて、手取りを増やせるようにしていく。こういう姿を作っていかなければいけないだろうというふうに考えております。

 幾つかこれからそういう食とか、あるいは先端技術とか、日本として強みで残っていくと思われるところ、こうしたものを見ながら産業を再構成していく必要があると思います。医療なんかもその分野になろうかと思います。ですから、3月末か、4月の頭ぐらいまでに経済再生成長戦略というのを作ろうと、今県としては考えております。これからの産業ビジョンを改めて県民の皆さまと共有できるように、有識者のご意見を聞いたり、それから県内の実態を調査をしているところでありまして、予算の審議と並行して、そういう産業ビジョン作りを行っていきたいと思っております。


○中国新聞 川崎崇史 記者

 一方で、これは別に鳥取県だけではないんですけれども、労働人口の減少というのが、少子高齢化と相まって、これから問題視されてくると思うんですけれども、やっぱりその産業を維持したり、新しいイノベーション〔技術革新〕の方法を求めたりする中で、やっぱりその若い労働力であったり、技術者が必要になってくると思うんですね、その辺の覚悟というのはどういうふうなお考えがあるんですか。


●知事

 それは、これは国全体でその労働需給のことは考えるべきものだろうというふうに思います。現実を考えれば、今県内での雇用は非常に厳しい状況の中で、外国人労働者を大量に入れてやるという議論はなかなか湧き起こりにくいではないかなと思いますけども、国全体として日本の産業構造をどの辺に持っていくかということで、そこは議論されてもおかしくないというふうに思います。我々としては、そういう意味でだんだんと働き手が減ってくる中で、人材養成がキーになってくるとみております。新年度の予算の中でも、いくつか事業組みをさせていただいておりますけれども、産業人材を作っていく事業というのは、我々、公、パブリックで支えていかないといけない。つまり人の数が少なくて、それで優秀で生産性の高い姿を作っていかないと、海外との単純な価格競争等には勝てないわけでありますので、そこを企業の中で全て解決できないのであれば、パブリック、公の方からサポートしてあげるとか、この辺も重点的な課題になろうかというふうに思っております。

 また、その労働人口として、ご高齢のかたというのは、分野によっては非常に有効だと思うんです。ですから、IJUターン、移住ターンを進めて、そして私たちのところに帰ってきていただく。それで農業だとか、そうしたところの手当をする。こちらの方も年々充実をしてきておりまして、新年度もそういうサポート事業を行っております。さらに、特に「いいまちづくり」を新年度はやろうと考えておりますが、支え愛で、高齢者のかたが自分たちで町を守ったり、お互いに見守るということで、それを一種の労働資源、地域資源としていこうという運動を進める。あるいは中山間地域で、このままでは人がいなくなってしまうというところにプレミアムをつけて、移住を促すこともやってみてはどうかと。都市部から大都会の生活に疲れた比較的若い人に来ていただいて、お年寄りばかりで支え切れなくなった限界集落で住むことによりまして、地域を盛り立ててもらおうと、そういう志を持ったかただったらば、250万〔円〕まではプレミアムをつけて助成をするというような、そういう他地域にはない思いきった人口流動策というのも取らせていただこうと考えております。なかなか難しい課題でありますけれども、いろんなこう政策的なアプローチもして、有効と考えられるものをさらに発展させることで、その人口減少社会における地域の維持に努めてまいりたいと思います。


○日本海テレビ 山本愛 記者

 その他、よろしいですか。


○毎日新聞 田中将隆 記者

 すいません、ちょっと話変わってしまうんですけれども、一過性のものにしないというお話が先程あって、その意味で言うと、今年度の話で言うと、漫画の関連に関しても一過性のものにしないということが必要かなと思うんですけれども、その観点で2点お聞かせ願いたいんですが、今回3億ちょっとぐらいでしたかね、予算計上されておられますけれども、今後官から民へというような流れが必要かとは思うんですが、そういった意味で今回の漫画関連の予算編成で、念頭におかれたと言いますか、気をつけた点というところをまず1点聞かせていただきたいのと、組織改編の関係なんですけれども、職員の数を減らしつつもまんが官房ですかね、残されたというところで、ここら辺の意図についてもお聞かせ願えたらなと思うんですけれども。


●知事

 私どもの1つの地域の売りは漫画という素材があるということは、国内外に一定程度アピールできたと思っております。現実にこれがきっかけとなりまして、香港から妖怪列車に乗りに来られる、そういうお客さまも定常的に生まれ始めております。ですから、これを直ちにやめるということは、私は得策でないと思いますし、関係者もぜひ継続、発展させてもらいたいという声が非常に強かったです。そこで、一定の予算組みをさせていただきまして、中核となるイベントとして、夏休み時期にずっと開きっぱなしのイベントをやろうと。これは「まんが博乙」というふうに仮に名前を付けていますけども、乙と言うのは、甲乙丙丁の乙であります。そういうイベントをやることにする一方で、基本的には地域での取組みを積極的に支援して、その種をどんどん育てていこうと。また、ソフト関連ビジネスで頑張ろうとしている人たちを積極的に後押しをしまして、そちらの芽を育てようと、こちらの方にむしろ県直営の事業から注力先を変えていこうとしております。これが持続可能に展開していくやり方かなというふうに思っております。

 そのために、地域の、例えば名探偵コナンを中心とした地域整備等、今からやりたいという声が挙がっているところもございまして、そうしたところに、今年度と同じように助成措置が組めるようにしようと思っております。また、アニメを含んだソフトカルチャー、ポップカルチャーの振興も、これも事業費を一定程度割いて、そのチャレンジ支援を行おうということにしています。事業者のかたといろいろと話をして、予算編成終盤まで議論しましたが、例えば〔東京の〕秋葉原に出先を作ってみたいと、こんなお話もございます。そこで、秋葉原に「ザ・トットリ」というようなそういうスペースを、もちろんこれテナントはそういうソフトビジネスの会社さんですけれども、その箱作りを応援してあげるというようなことをやったり、人材育成の支援をしたり、こういうようなことを展開をして、今、効果が見られ始めましたので、そのソフトビジネスの支援策を考えているところであります。

 ただ、こうした漫画関係のところは、基本的にはその鳥取力創造の基金を活用しようと考えております。これはそのために、今年度末までの経費節減の結果として、5億円ほど捻出をして、それを鳥取力創造基金に積み、その一部を活用して、そういうまんが王国推進の事業を展開をするということで、基本的にはその地域の県財政の余力の中でやっていける、そういうサイクルにしようとしております。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 すいません。率直な疑問として、今年は漫画で、新年度はグリーンウェイブと新しいものを積んでいく中で、一方でその既存事業を不要不急のものをスクラップしていくという説明でしたけども、この本来そのじゃあ、厳しい財源の中で、本来必要なものまで削られていたりはしないかと、そういう心配も県民としては持つかたもいらっしゃるかもしれませんが、それについてはどうでしょうか。


●知事

 そこはよく事業精査しておりますので、我々としては、県民の皆さまの安全安心が図られる、そういう事業は全て確保できたと思っております。当初予算でありますので、もし、あれ、これはというのがあれば、またご意見を聞いて、補正予算で対応していけると思います。頑なな態度で向かうわけではございません。現実にも鳥取県の場合は予算編成過程から全て公開をしておりまして、私よりも関心のある県民のかたの方が予算の内容詳しいぐらいであります。ですから、いろんなご意見をこれまでも頂戴をし、我々の議案段階から最終案まで修正をして予算案に取りまとめてまいりました。私たちとしては、小さな鳥取県という限界はどうしてもあると感じているんです。ですから、東京とか大阪であれば、あれもこれもたくさんやりながら、それで、いろんな重点を置いてやって展開できる余力があると思うんですが、我々の場合は、今年はこれをテーマでやってみようと、ある程度その選択と集中的なオペレーションを、選択と集中を考えながら進めて行った方が地域としては引っ張りやすい、動きやすいのかなと考えておりまして、今年度はまんが王国建国というのを1つテーマにしましたが、新年度はグリーンウェイブというのをテーマにさせていただきました。

 ただ、ご案内のように、それぞれの課題がその年だけ現れるものでもございません。ですからそこにあえて重点を置いてアピールをすることで、国内外の人たちに鳥取は緑豊かなところだなとか、鳥取には漫画があるなあということを知っていただく、そういうメソッド〔方法〕として、そういうやり方を取り入れているというふうに考えております。従いまして、これらのために他事業を追い出してということでは進んでおりませんので、今後ともよく注意をしながら財政運用に努めてまいりたいと思います。


○日本海テレビ 山本愛 記者

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。


  

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