9月1日のベニズワイガニ漁に続き、今月6日には松葉ガニ漁が解禁になり、いよいよ本格的なカニの季節になりました。松葉ガニは、地方によって呼称が異なり、北陸では「越前ガニ」、丹後半島では「間人(たいざ)ガニ」と呼ばれています。山陰地方では「松葉ガニ」と呼んでカニの代名詞的な存在です。天明2(1782)年に、鳥取藩主が津山藩主にお歳暮として贈ったという古い記録があり、県民にとっても大変身近なカニです。
ズワイガニとベニズワイガニを併せた漁獲高を各県と比較して見ると、平成10年から19年までは鳥取県が1位でしたが、近年は島根県、兵庫県、鳥取県、北海道、新潟県の順となっています。また、カニの世帯購入量について家計調査で見ていくと、10年以上の長期にわたり鳥取県が他県を大きく引き離しての1位で、石川県、新潟県、福井県、島根県など日本海側の県が5位までを占めています。これは、漁場が日本海に集中していることと関係していると思われ、古くから身近な海でとれたカニを美味しく食べる食習慣が根付いている地域と言えるでしょう。
近年は、調理に手間のかかる魚介類より簡単な肉類に人気がありますが、少し手間がかかっても食材に恵まれた地域の食文化を大事にしたいものです。これからの季節、家族そろってカニ料理を囲んでみてはいかがでしょう。
※3年平均のデータです。
出典:家計調査(総務省統計局)
本ページは、平成24年11月26日付「日本海新聞」掲載の同題コラム(鳥取県企画部統計課執筆)からの再録です。