平成25年1月4日(金)午前9時45分から
県庁講堂
皆さま、あけましておめでとうございます。職員の皆さまにおかれましては、健やかにご家族とともに新年を迎えられたと思います。また県民の皆さまにおかれましても雪が比較的少ないお正月でありまして、穏やかなお正月を迎えられたこととお喜びを申し上げたいと思います。先程は県庁のコーラス部の皆さんや有志の皆さまの合唱がありました。ピンクの蝶ネクタイが流行なんですかね、不思議な格好でございまして、私も合わせてきたわけではございませんけれども、ピンクのネクタイでありまして、蝶ネクタイだったら良かったのかもしれませんが、ともかく私たち新しい年に向かうこととなりました。蛇年という年回りになります。癸巳でございますが、元々斧を振り回すような、そういう絵柄であったわけでございます。ですから象形文字の由来から言えばちょうど一巡をするという、そういう年格好になるわけでございます。
考えてみますと安倍政権がこの度誕生しました。海外を見ていただきましても韓国ではもうすぐ朴槿恵政権が誕生することになります。中国では習近平政権、またちょっと早くに選挙が行われまして、アメリカの方では引き続きオバマが政権を担うことになりました。また、ロシアではプーチンが大統領になり、さらに金正恩体制が北朝鮮でできる。考えてみますと一通りの国々で新しい体制へと向かってきて、いよいよ本格的になるのが今年ではないかというふうに思います。
特に我が国の政権交代の意味合いはこれから鳥取県にとっても大きなものになると思います。新しいトレンドが起こることは間違いないと思います。今はまだ呼吸を合わせようとそれぞれの地域が駆け引きを始めた段階であろうかと思いますが、新しいシステムへ向かって動いていくことには私たちもそれ相当の思いを感じるようになってきました。例えば、年初にはアメリカで株価が急に上がりました。これは財政の崖と言われる危機を克服したからであります。また我が国におきましても円高の是正が進み、そして株価も伸びるというような状況になってきまして、先程も経済界のかたとお話をしておりましたが、随分と空気が変わる、そんな期待を感じるというお話が出てまいりました。
このように新しい年は私たちにとって新しいチャレンジを必要とする年になろうかと思います。世の中が変わるわけでありますから鳥取県も変わっていかなければならない。そのときに県民生活や地域の活力、あるいは安心というものが引っ張り上げられるような年にしなければなりません。それは県民皆さんの役割でもありますが、県職員はそのためのコーディネートをし、ときに牽引車の役割を果たしていかなければ世の中は変わっていかないと思います。そういう意味で、皆さまにはこの年、皆さまそれぞれの役割を果たしていただきたいと思います。考えてみますとこの年には大きなイベントが目白押しであります。1つ目にはとっとりグリーンウェイブを皆さんと一緒に成し遂げていきたいと思います。考えていただきたいと思いますが、私たちの故郷は緑に満ちています。それは私たちのポテンシャルでもあるわけです。これを最大限活用することによって世の中を変えていく、そのキーマンの役割を鳥取県が果たし得ると思います。
5月の26日には全国植樹祭が開催をされることになりました。また9月の21日~11月の10日には鳥取の湖山池湖畔、さらに中部の方では東郷湖羽合臨海公園、また西部の方では花回廊もサブ会場にしながら、水と緑のとっとりオアシス2013が開かれるわけでございます。こういう全国都市緑化フェアというのも年回りで巡ってくることになりました。さらにエコツーリズムを盛んにしていこうという国際大会も誘致に成功して、これも10月の19日~21日に開催をされることになります。これだけではございません。私たちの長く負の財産と言われてまいりました崎津の地が生まれ変わることになります。早ければ今月にもそうした具体的な着工への日取りが決まってこようかと思いますが、これも来年の秋頃完成を迎えることになろうかと見込まれますが、42.9メガという日本で一番大きな太陽光発電所になることになります。
このとっとりグリーンウェイブ、これを興していくために私たちも一丸となってさまざまな事業を展開をし、ああ、やっぱり鳥取は再生可能エネルギーの故郷だ。あるいは自然とともに生きていくなら鳥取だ。観光に訪れるなら鳥取だ。こういうように思っていただけるように勝負をかける年だと思います。このことをぜひ、皆さんのそれぞれの職場でも考えていただきたいと思います。例えば、再生可能エネルギーは鳥取県の直営でも可能でございます。今、企業局でも検討してもらっておりますけれども、併せて太陽光関係で2.4メガの発電ができるのではないか。さらに小水力で0.7メガの発電ができるのではないか。合せて3メガ以上の発電能力をこれから養っていこう、こんなような今話し合いも始めたところであります。また、バイオマス発電、これは林業の窮状を救うものになろうかと思います。そうしたいろんなプロジェクトに具体的に乗り出していく。これを1年かけてしっかりとやっていきたいというふうに思います。
また、2点目としては危機を突破することです。今私たちの足元の経済は非常に大きく揺らいでいます。また、東日本大震災後の新しいシステム、これはまだできあがっているわけではありません。そのフロンティアを私たちは果たしていかなければなりません。産業、雇用、あるいは防災、そうしたさまざまな局面において危機を突破していくことが求められていようかと思います。企業誘致を、なお一層促進をしていく。また、地場の企業に活力を与えていく。これが大切な課題であります。これと併せて不幸にして職を失ったかたが次の職場へと移っていく。こうした動きをつなげていく、鎖状につなげていく、こんなことも必要であります。そうしたさまざまな緊急的な雇用対策、経済対策等をやっていかなければなりません。今政権が変わり10兆円の補正予算を目標に編成していると伝えられています。そこで、企業の立地ですとか、あるいは産業の活力にカンフル剤を入れる、そうした施策が次々と出てくると思います。我々地方の現場も決して無縁ではなくて、むしろそれを引っ張り込んで多くのことをやり遂げていかなければなりません。
その一環として私たちの方で原子力安全対策であるとか、津波防災対策であるとか、そうした新しい課題も含めた地域防災計画を練り上げる必要があります。1月中には隣の島根県と初めての住民避難訓練も含めた原子力防災訓練も予定をしております。このようなことを積み重ねていって、私たちは何とか今の危機を突破をして、次の世界へと県民、そして、鳥取県を導いていかなければならないわけであります。
3番目には大交流時代がいよいよやってくるということであります。新しい政権の眼目は国土強靭化であり、防災・減災のニューディール政策であります。すなわちネットワークをつなげるということで、この国を生まれ変わらせようというところに力点が置かれることになります。3月にはいよいよ鳥取自動車道が全線開通をすることになります。また、5月頃になろうかと思いますが、夏前には倉吉道路が倉吉西インターチェンジまで、これも3.3kmが開通をすることになります。その他にも鳥取自動車道と併せて若桜谷の方に導線を持っていく、そういう河原インター線も2.1km開通をすることになります。新年度には山陰道や駟馳山バイパスなど別の開通区間も見えてくる頃になります。
いよいよ大交流が始まります。これは鳥取県だけではありません。隣の島根県も見ていただきますと島根県の方では松江道が完成をするわけですね。そうなりますと米子道、それから松江道、鳥取道、3本の足が立つ状態に山陰はなってくるわけであります。これは、今までの人の流れが大きく変わるものだろうというふうに思います。これを観光の活力とか、あるいは農林水産物の出荷であるとか、それから、私たちの日常のビジネス、旅行、そうしたことにつなげていかなければ意味がありません。これからそれを活用して山陰を生まれ変わらせる、それが観光に与えられるテーマであったり、あるいはインフラストラクチャーに与えられるテーマであると思います。鉄道のインフラであるとか、港湾のインフラ、そうしたこともありますし、空港の関係でも、空の道を海外とのチャーター便等で活発にしていくことも必要であります。このようなことで大交流時代を意識的に山陰から興していく、鳥取県から興こしていく、これが今年のテーマではないかというふうに思います。
また、住まいや“いいまち”とっとり、これも4番目のテーマではないかと思います。なかなか暮らしにくいという声が上がって来ます。例えば、医療でも産婦人科関係で、中部の方で欠乏感が出てくるとか、またそうしたことだけでなくて、介護の新しいサービスが必要であるとか、障がい者の暮らしをもっとよくしなきゃいけないとか、また子どもたち、子育て王国を活発にしなければならない、そんなようないろんなテーマがあります。そうしたことと併せて、それぞれのまちに息吹が生まれてきました。まんが王国とっとりを標榜したところ若い力が随分と動き始めまして、新しいまちづくりの動きもこれからなお活発になってくると思います。まんが王国建国はもちろんのことでありますけれども、それだけでなくて、地域の特性に合わせた、いいまちづくりが進まなければなりません。これを県庁全体でもバックアップをし、市町村とタイアップをして進めていくことが必要であります。
例えば、中山間地域、疲弊していると言われます。そうであれば、最近農林水産業で入ってこられるかたがたが多くなってきました。そうした農林水産業関係も活発にしようじゃないか、新甘泉という梨の新品種をもっともっと植えつけるように誘導していけないだろうか、また海の方でも、育てる漁業を活発にできないか、林の方でも、例えば医薬品と林業とを結び付けるような、そうした林産物の新しいステージだって模索してもいいんだろうというふうに思います。こんなことで中山間地域と言われるところでも活力は出て来得るわけであります。さらに後継者問題もありますので、移住対策を進めて、一層限界集落と言われるようなところに住まれるのでありましたら、そうしたかたをスペシャルに応援してもいい、そんなような大胆な考え方も取っていいんじゃないかと思うんです。こんなようなことで、住まいや“いいまち”を鳥取県全体のムーブメントとして進めていく。鳥取力創造運動、あるいは支え愛の運動、また、あいサポート運動、こうした運動とタイアップしながら、県全体をダイナミックに動かしていく、それが必要となってきているのではないかというふうに思います。
そして、こうしたさまざまな改革をし、今、世界中が新しいチャレンジに向き合い始めたときに鳥取県も大きく躍動感を持って動かすために、一歩先の県政を目指していく必要があります。これが5番目のチャレンジになろうかと思います。具体的には、県民参画基本条例、長く議論を続けてきました。この制定をいよいよ今年目指すべきだと思います。これは議会との対話も必要でありますし、県民の皆さまのご意見も今集めているところでございますが、そうしたさまざまな考え方を盛り込みながら、新しいデモクラシーの姿を鳥取から作っていく、そういうようなことで、これからまさに進めていかなければなりません。さらに中国広域連合を設立しようという具体的な検討も始まりました。正直申し上げまして、選挙後には道州制の動き、検討も強まってくると思います。その前に鳥取県として、あるいは鳥取県を含む広域としてやっていけることを我々の方で真摯に取り組んでいかなければならないわけであります。
そうした鳥取県の県庁システム改革、一歩先の県政を目指すこと、これもぜひ皆さまに考えていただきたいと思います。それは鳥取県で始めたカイゼン運動と無理をなくしていく運動にもつながっていかなければなりません。皆さまのお力を必要としているわけであります。
蛇年になりましたが、鳥取県は蛇にゆかりのある土地柄と昔から言われています。今急に正月になりまして元気が出ましたのが多鯰ヶ池のあたりでありますが、おたね伝説があります。おいしい柿の実を獲ってきたのが実は蛇であったという伝説であります。また、中部の方に行きますと東郷湖のところで、これは下照姫の使いだったという蛇がいた。これが祭られているのが宮戸弁天でございます。また大山のふもと、赤松の池のところにも、ここにも蛇の伝説があるわけでありまして、松江の松浦氏の方に命を授かった。それがお殿さまにお越しを入れることになったけれども、結局赤松池へ戻っていったと、こんな物語もあります。
蛇というのはさまざまな神の使いとして伝説があるわけでございますけれども、中国の方では常山の蛇勢という言葉が伝えられています。これは孫子の兵法の中にあるわけであります。両頭の蛇が、これが常山という山西省に住まっていたということでございます。その蛇の頭を撃たばその尾いたり、また、その尾を撃たば頭いたり。その真ん中その中を撃たば、首尾つまり首と尾っぽとともにいたりとこういう言葉が孫子の兵法の中に入っているわけであります。すなわち頭を攻撃しようと思ったら尾っぽがやってくる。尾っぽを攻撃しようと思ったら頭がやってくる。その真ん中を攻撃しようと思ったら尾っぽも頭もやってくる。非常に堅固な守りであったということであります。これが今の鳥取県の職員にも求められているのだと思います。これからいろんなことが起こってくると思います。変わり目の時代です。そんなときに、さまざまな変革に対して私たちは小さな県庁だから臨機応変に対応していかなければならないと思います。大きな県庁とは違いまして、小さな県庁だからこそ頭も尾っぽもすぐ近くのところにあって、そしていかようにも対応できる。こんなような組織ではないかというふうに思います。
近々組織改革も行いますけれども、ぜひ皆さまにも常山の蛇勢をそのとおりに実践をしていただきまして、これから県民の皆さまに頼られる県庁に育てていただきたいというふうに思います。この1年皆さま、そしてご家族がつつがなく過ごされますように、そして鳥取県民、鳥取県に繁栄と幸せがもたらされるよう心からお祈りを申し上げ年頭の挨拶といたします。本当にありがとうございました。おめでとうございます。