●知事
皆さん、おはようございます。
このたび私も上京いたしまして、国のほうに要望活動をしました。その一つとして、TPP〔環太平洋パートナーシップ協定〕のことも内閣府を訪ねまして〔西村康稔〕副大臣に要請をしました。我々としては、先般の県議会でも決議がなされましたけれども、慎重な検討をすべき事柄であり、特に農業関係の対策等がどうなるかわからないままで議論されておりまして、関係者に大きな不安があるということを強く申し上げました。
今、報道で流れ始めましたけれども、明日にもTPPにつきまして日米で合意をするというような報道も始まりました。政府関係者が明らかにしたと、こういうようなことだそうでございますけれども、ぜひこの問題については非常に大きな影響を受ける層があります。各界各層いろんな影響が出ると思いますけれども、その影響が出るところに対してどういうような手だてを講じていくのか等も含めて議論をしていかないといけないだろうというふうに思います。
内閣府に対しまして要請活動をいたしましたときにも、農業者のいろんな要望活動を受けている私のほうの状況をお話を申し上げ、いろいろと農業問題について国としてやるべきことがあるじゃないかと、明らかになっていないわけでありまして、それも混乱に拍車をかけているんじゃないかと強く申し上げました。
〔西村康稔〕副大臣のほうからは、それに対しては全く同感であるということもございまして、政府としても農業関係の施策をぜひ近いうちに示していくようにすべきだろうというような認識もおっしゃっておられました。いずれにいたしましても、今後ステージが切りかわると思いますけれども、政府としては極めて慎重にこの問題について当たっていただく必要があると思います。聖域なき関税撤廃というハードルは越えたと言っても、守るべきものは守らなければならないわけでありまして、そのことを中心に据えて、今後、交渉の段階かもしれませんけれども、取り扱いは慎重にお願いを申し上げたいというふうに思います。
また、暫定予算で県内でも影響が出ているというお話を申し上げましたら、総務省のほうでも〔坂本哲志〕副大臣が、非常に興味を示されまして、この問題については各省でも考えなければならないねというお話をされました。
例えばナラ枯れ対策などもそうなんですが、ナラ枯れ被害が広がるのは、カシノナガキクイムシという虫が飛び出しますと、これで一斉に広がっていくわけですよね。ですから、今の季節に対策を打たなきゃいけないわけです。ところが4月から5月20日までは暫定予算期間内だということでありまして本予算が使えない。じゃあどうするんだということになるわけですね。鳥取県としては、この点についてはもう既存の予算を充当していってでもやってしまおうと、単独になってもしようがないということでやっていくわけでありますけれども、こういうようなことは本来、国のほうの都合で暫定予算になっているだけの話でありますので、さかのぼって適用するなどの措置が必要だろうと思います。
その総務省を出た後、これは全国知事会としても考えてもらいたいというふうに思いまして、今、全国知事会のほうでも取り上げていただくように働きかけをしているところであります。これはナラ枯れに限らず、そういう暫定予算にかかわる問題があります。
今回、50日と極めて長い暫定予算になるもんですから、多分、政府の各省庁の中堅クラスの人たちだと思うんですけども、混乱が走っていて、それが地方の現場に混乱をもたらしているということではないかなと思っております。
●知事
そのほかにも、原子力安全対策等につきましても要請活動に参りました。この点につきましては、要請活動をした後、昨日〔4月10日〕、国として新たな原子力安全基準に当たります規制基準という新しい考え方を出されました。委員会のほうで今後、パブリックコメントに付していくということになりました。
また、国のほうの指針の素案も出されました。今まで我々のほうでそういう基準を早く〔東日本大〕震災の反省に即して出していただきたいということを申し上げておりましたけれども、それに対する一つの答えなのだろうというふうに思います。これにつきましては我々、周辺地域ではありますけれども、大切な問題でありますので、改めて〔原子力〕規制委員会側、〔原子力〕規制庁側に説明を今後求めたいと思います。また、必要なことにつきましては、我々の意見も出していきたいと思います。これからパブリックコメント期間に規制基準が入ってくるという宣言がございましたので、我々としてもそういうような手続をとっていきたいと思います。
具体的なことでいきますと、例えばヨウ素剤の服用につきましては、今回、指針が示されました。この指針につきましては、今回は素案的なもので、5月に確定をしようかという見込みが報道的に伝わってきておりますけども、まだ最終確定ではないんでしょうが、一つの考え方が示されたということだと思います。
PAZ〔予防的措置範囲〕の中につきましては事前配布をして服用するという考え方が示されました。それとあわせてUPZ〔緊急防護措置計画範囲〕、私ども30キロ圏内のところでございます。こちらにつきましては、備蓄先のほうで管理をしながら〔原子力〕規制委員会の指示で服用に入ると。その際には医師等の立ち会いといいますか、指導を受けながらやるというのが原則的なことになりました。詳細はまだちょっとよくわかってないことが我々もございますので、いろいろ確かめてみる必要があるかなと思います。
私どものほうでは、既に10万人分の備蓄が3月いっぱい、昨年度〔平成24年度〕末で完了がなされました。これを今後、今回の指針が出ましたので、現場に近いところの保健所だとか適切な箇所に配備をしていくということを考えたいと思いますが、その辺のことがあります。あと服用の注意点等がございますよね。こうしたことにつきましても周知を図っていく必要があろうかなと思います。この辺につきまして、国のほうの考え方も改めて問いただす機会をつくった上で、各地に徹底をしていきたいというふうに思います。
また、新しい安全基準、いわゆる規制基準と定められたものでございますが、この規制基準の中で幾つかのハードルが設けられました。これを具体に読んでみますと、例えばフィルターつきベント〔排気弁〕の装着が沸騰水型の原子炉では即時に必要であるということになりました。〔中国電力〕島根原〔子力 〕発〔電所〕は沸騰水型でございますので、このフィルターつきベントをつけなければならないという規制基準になる。これも今後、パブリックコメントに付された上で7月ごろに確定をさせる基準だということではございますけども、これは相当島根原発にとってハードルが上がっただろうというふうに読めるところであります。
また、不燃性のケーブルにするということ。これは1号機については装着がございません。これもかなりハードルが上がる話ではないかなというふうに思います。
また、テロ対策等も含めた二次的な指令施設〔特定安全施設〕、この整備ということもございます。これにつきましては、5年間の猶予つきということではありますが、今後、整備がなされるということかなと思います。
津波の基準も出された上で、この装備〔防潮堤〕も求められているわけでありますが、これは今、島根原発、建設中であります。今後、我々としては、どういう高さの津波を想定すべきものなのかというところが今回の規制基準でわかりませんので、この辺、規制庁側に見解を問いただしていく必要があるかなと思っております。
また、今回入っておりませんけれども、敷地内の断層につきましては、規制基準がかかるようになりました。敷地外、近隣の断層の扱い、これはちょっと今回の規制基準ではわかりかねるところでありますが、やはり何らかの対策があってもいいところではないかなと思います。この辺も今後、〔原子力〕規制委員会、〔原子力〕規制庁側に見解を問いただしたり、対策を促したりということが必要なのかなと思います。
いずれにいたしましても、このような新しい安全基準が示されたわけでありますが、ぜひ、まず地域住民の安全を第一義に、この原子力安全対策については国として考えていただきたいと思います。
その際に、我々としては周辺地域を含めた地元の考え方、このことにきちんと配慮する、その意見を徴する、そういうシステムがきのうの規制基準、あるいは指針の中でも示されていないわけでありまして、この辺のシステムの確立を求めたいと思います。
まだ課題は多く残されておりますけれども、いろんな議論を経て、安全サイドに立とうとしているという姿勢はある程度評価できるのかなと思います。ただ、それが具体的に適用される段階でどうなるか、また、私たちとして周辺地域の扱いがどうなるか、この辺が重要な課題として残っていると思いますので、これからしっかりと当たってまいりたいなというふうに思います。
そのほか、〔鳥取市内の〕放射性廃棄物の問題等も〔原子力〕規制庁側に、〔池田克彦原子力規制庁〕長官に要望活動をする等をさせていただきました。
●知事
それとあわせて、子育て同盟を発足させました。10県の仲間が集まりまして、安倍〔晋三内閣〕総理〔大臣〕、そして森〔まさこ少子化担当〕大臣、また田村〔憲久〕厚生労働大臣にも面談をさせていただき、意見交換の機会を得ました。我々としては、決意を持って子育て対策に当たっていこうというリーダー役を果たしたいと思っております。7月に改めてサミットを開き、それまでよく施策の交換、調整をしようじゃないかと、国に対する要請活動の内容をもっと考えようじゃないかと、こんなような申し合わせをして閉じたわけでございます。これから新しい時代を開いていければなというふうに考えております。
●知事
また、昨日は我々としての今後の方向性を出していく未来づくりのビジョン、また政策の中心課題、これを適切に、機動的にやっていくための未来づくり推進本部の体制づくり、こういうことをさせていただきました。県民とのパートナーシップを築くパートナー会議につきましても基本的な方針を固めましたので、これから人選を調整させていただき、スタートをしていきたいなというふうに考えているところでございます。
●知事
北朝鮮には、本当に憤りにたえないところでございまして、記念日が続くということで緊張を高めるやり方というのはもってのほかだろうと思います。国際社会の平和と秩序を乱す暴挙でございまして、今後、我々としても注視していく必要があると思います。
県としては、おととい〔4月9日〕、危機管理部局とも話をしながら、昨日〔4月10日〕発射するんではないかという韓国側のかなり強烈な報道もありましたので、昨日〔4月10日〕、今日〔4月11日〕と、今7人体制で情報収集活動をするという、かなり強化した体制に入っております。当面、この体制を続けてまいりたいと思います。
また、我々としてJ-ALERT〔全国瞬時警報システム〕、Em-Net〔緊急情報ネットワークシステム〕という通信手段がございまして、これが緊急時に機能しなければなりません。この点検は〔4月〕9日に終えました。したがいまして、正常に作動するというふうに考えられます。これからしばらく、また緊張感を持って事に当たっていきたいと思います。
●知事
鳥インフルエンザにつきましては、30名を超える罹患が中国で報道されています。9人の方が残念ながら命を落とされたということでありまして、まだまだ広がる気配が続いているところでありまして、中国政府、それからWHO〔世界保健機関〕等で、ぜひ封じ込めを図っていただきたいと思います。
私どものほうでも対策を進めてまいりまして、衛生環境研究所のほうで検査体制が一応整いました。100の検体に対する対処能力を持つようにさせていただきました。もし情報があれば1時間で検査に入るということの体制ができました。具体的にはH7N9、さらにはH5N1という従来から言われているもの、こうしたものを一括してPCR法〔合成酵素連鎖反応〕によって検査をするという体制を整えたところでございます。
さらに疑いがある場合には国のほうに送りまして検体の確定検査といいますか、ウイルスの型式の最終的な判定ということに持っていくというような体制をとらさせていただきました。近く渡航された方で異常がある方は、ぜひ最寄りの相談電話のほうにお電話をいただければありがたく存じます。
●知事
ことしは今、〔とっとり〕グリーンウェイブを進めさせていただきまして、〔第64回全国〕植樹祭等を開催する予定です。〔4月〕14日、日曜日には総合リハーサルをするわけでありまして、子供たちを初めとした出演者の皆さんと一緒にステージづくりを一通りやってみようということになりました。私もそちらのほうに参ります。
また、奥大山鏡ヶ成会場も明日〔4月12日〕、江府町において伸びのびトークをやるわけでありまして、地元のボランティアなどの方々と意見交換をしたり、さまざまな施設等を見させていただくんですが、奥大山の鏡ヶ成会場、植樹祭会場も視察をさせていただこうというふうに思っております。
また、〔とっとり〕グリーンウェイブに関連しては、明日〔4月12日〕、いよいよマイクロモビリティー〔超小型移動体〕が、電動のモビリティーが姿をあらわすというようになっておりまして、私も実物を知りませんが、楽しみにさせていただいております。
●知事
こういうグリーンウェイブの後は、来年は障がい者のことを取り上げようと、今、準備を進めているところであります。文化芸術祭をやろうというふうに考えております。この障がい者関連では、このたび特別支援の〔琴の浦〕高等〔特別支援〕学校がオープンをしました。子供たちも元気な顔で登校し始めたわけでありまして、成果が出ればなと期待をしております。あいサポート運動も順調に10万人台に乗ってきて、さらに長野や奈良等にも広がってきているという状況であります。
そういう中で、まだまだ対策が必要なのかなと思われる分野もあります。実は〔(財)全日本ろうあ連盟及び〕〔鳥取県〕ろうあ〔団体〕連〔合会〕の皆様方と意見交換をしたときに強調されておられましたのは、やっぱり手話というのは大切な言語であり、大切な文化なわけですね。しかし、そこのところのきちんとした枠組みができてないんじゃないかということをおっしゃられます。私ども鳥取県は、実は全国に先駆けまして、手話は言語文化であるということを、先ほど申しました改定作業をしようとしている将来ビジョンの中で既にうたってある唯一の県であります。その手話が言語文化であると言ってきた鳥取県でございますけれども、さらにもう一歩進めて、手話言語条例とか手話促進条例とでも言うべき手話条例の制定を検討したらどうだろうかなというふうに考えております。これは、そうした関係者の方の強い思いがあります。
実は世界中がそういうふうに動き始めておりまして、2000年にフィンランドの憲法が改正をされました。その中で手話について規定もなされています。手話というのは大切なアクセス手段なわけですね。これがないと社会との接点ができない方々がおられるわけです。我々は健常者としてこのような言語文化を口と耳で持っていますけども、口と耳以外の言語文化というのは当然あるわけであります。それを正面から我々も考える必要があるんじゃないかなと思います。したがいまして、そういうフィンランドの動きなどが出てきたのも、当然ながら時代の流れであります。さらにハンガリーなど、法律で手話は言語であると。その活用が十分に図れる環境づくりをするという法律がつくられています。
日本でも手話言語法を制定すべきという議論があります。〔(財)全〕日本ろうあ連〔盟〕を初めとして、そういう主張を高々と掲げられてやっておられるわけでありますが、なかなか国会での議論が進まないようでございます。我々は今、将来ビジョンの中でこの手話を位置づけておりますけれども、そういう意味で、国のほうの法律ということ以前に、地方のイニシアチブとして条例で手話についての位置づけをするということがあってもいいんではないだろうかというふうに思います。
実はこういうようなことで、そういう関係者の方々、障がい者の方々と議論を重ねておりましたら、これは〔公益財団法人〕日本財団という組織でありますけども、日本財団がこの研究に協力したいという申し出が出てきました。そこで、そういう日本全体を今後考えていく一つの方向性かなと思いますので、そういう日本財団とも協力をして、共同研究として手話言語条例、手話促進条例とでも言うべき手話条例について、まずは研究をしてみてはどうだろうかというふうに考えております。
もちろん条例等のそういう中でということになれば、これは議会や住民の皆様と十分議論を重ねながら進めていくべきものでありまして、時間をかけて議論していくことになりますが、まずはそういう研究に入ってはどうだろうかなと思います。
これは、来週になると思いますけども、日本財団の理事長さんがこの件で鳥取に来られるということにもなりましたので、そういう方向性について話し合いたいと考えているところであります。
●知事
大交流時代がいよいよ本格化してこようとしています。ハイウエイの開通だけでなくて海の道も大切であります。このたび物流のRORO船〔車両甲板貨物船〕のルートをテストしようということになりました。船会社の栗林さんも来られてオープニングのセレモニーをしようと。これは試験運航でありますけども、トライアル輸送のテープカットをしようということでございまして、15日に北海道を出て、17・境港、18・新潟、19・北海道というような航路であります。我々としては、これは北海道との間では、例えば水産物等、あるいは木材、そうした物流の可能性があるわけです。また、新潟は私たちにとっては東京に行く道筋にもなります。もちろん新潟と北海道との間の航路もあり得るんでしょう。そういうようなさまざまな荷物の需要をつなぎ合わせて航路として今後使えそうかどうかというのを、また実際に輸送経費がこれで安くなるかどうか、この辺の実験をこの15、16、17、18、19という期間でしようということになりました。
幸い移入、よそからこっちに入ってくる、あるいは移出といってこっちから出ていく、そういう荷主さんの会社も14社、21社と、それぞれかなり集まってきました。ぜひこういうような実験等も重ねて、そういう海のほうの大交流も強化できないかなというふうに考えております。
高速道路もおかげさまで鳥取〔自動車〕道は平日1,000台、2,000台ベース、また休日は3,000台、4,000台ベースで通行量がふえておりまして、これは県外ナンバーが結構鳥取県内に入ってくるという状況でございますので、ゴールデンウイークを目指して、もっとPRをしていけばと思います。
また、飛行機につきましても、昨年〔平成24年〕は国際まんが博等のイベントもあったわけでありまして、全日〔本〕空〔輸株式会社〕と話し合いができ、一部増便をしたり席数をふやしたりということも実現をしまして、実際に飛ばしたところ、米子のほうは44万人と過去最高の東京便の搭乗者数になりましたし、鳥取便も、これも30万人台超えを再び果たすということになりました。これからぜひそういう大交流時代、もっと手がたくつくり上げていければと考えているところでございます。
●知事
来週の〔4月〕18日になりますけれども、実はことしは年回りとして我々として厳粛に考えるべき年であります。それは今、「八重の桜」をテレビ番組でやっておりまして、幕末の京都の様子が克明に描かれているわけであります。あの一連の明治維新を迎えようとする幕末の時期に花と散った志士たちも鳥取藩にはいたわけでございまして、因幡二十士という、そういう歴史でございます。
この因幡二十士につきましては、本圀寺事件という事件なわけでありますが、それがありましたのが1863年8月17日でございまして、ことしが150年目ということになります。かねてからどこか機会がないかと計画を模索していたんですが、〔4月〕18日に京都〔鳥取〕県友会の皆さんと一緒に、その本圀寺の事件にかかわった志士たちの墓参に伺うことにしたいと思います。
志士とはいっても、これ両方ございまして、鳥取藩のいわば内紛のような状況でございまして、その本圀寺事件によりまして逆に命を絶たれてしまった人たちもいるわけです。その後、事件を起こした人たちは池田藩のほうにお預かりで帰ってきて、その後、非業の死を遂げた人たちもいると。時代の荒波の中で、いわば時代の犠牲になった両方の人たちがいるわけでありますが、両方の人たちにとりましては、この150年目の節目というのは、いわば時代を振り返るときではないかと思います。そんな意味で、京都のほうでも来週、そうしたモーメント〔契機〕を持たさせていただこうと思っております。
私のほうからは以上です。
○朝日新聞 山崎聡 記者
それでは、各社、質問をお願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、手話のことでお尋ねしようと思ったですけども、その手話条例という考え方としては、例えば公的な機関とか、民間もかもですが、いろいろな情報発信をするに当たって、手話でアクセスできるように義務づけるというようなイメージのものなんでしょうか。
●知事
それはハンガリーの法律等もそうですけども、完全な義務づけ等はなかなか難しいかもしれません。ですから、そういう環境づくりをしましょうというようなことかなと思います。
ただ、ポイントになりますのは、手話はいわばランゲージ、言語の一種であると。英語で言えばサインランゲージという言葉を与えるわけですね。こういうサイン。サインによりまして伝える言葉であると。しかし、我々健常者の世界ですと、こういう言葉の、音声上の言語にあふれていますので、それが当たり前だと思いがちなんですが、全く静かな世界に生きる人たちにとっては、言葉を失ってしまった状態になるわけですね。そのサインランゲージないし手話というのも、それぞれの国ごとにやっぱり発達した言語でありまして、いわば言語としての市民権を与える、そういうことが関係者では切望されて久しいわけです。なかなか国がそのチャンネルを開いてくれないというもどかしさを感じておられるわけですね。我々鳥取県としては、これはいち早く、もう6年ほど、5年前ぐらいになりますかね、5年前に将来ビジョンをつくりましたときに、東部、中部、西部を回りながら県民の皆様が将来ビジョンとして共通の未来像で描きたいことということを、意見を出してもらって回ったわけです。そのときに障がい者の方のほうから強烈に手話をやっぱり言語として認知すべきだと、こういう御意見が出ました。そこで我々は将来ビジョンの中で現場主義に基づきまして、手話は言語文化であるということを明記をしたわけです。
これが実は全国のろうあ者の皆さんにとりまして希望の星的な意味合いを持っているんですね。鳥取県は全国で唯一、手話を言語文化として認めている県だというふうに言われているわけです。この5年間、ずっとこの将来ビジョンを回してやってきて、徐々にそういう環境を整えたりということをやってきて、別に問題はないだろうと思いますので、もう一歩進めて、そういう条例の世界の中でも規定を持ってもいいんではないかなと、全国に問いかける意味でも、我々として考えてもいいんではないかなと思います。
特に来年が、障がい者芸術文化祭を誘致しまして大々的に障がい者の皆さんとの共同参画を世界中にも訴えていきたいと思っているところでありますので、やはり我々としても、いわば自分たちの環境づくり、やはりそうしたものも重要だろうと思いますので、今年度、考えてみたいテーマだと思っております。
ただ、これは先ほど申しましたように条例でありますから、いろんな方々の理解がないと進まないことでありますので、まずはその研究に入りたいということです。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
いわゆる啓発的な条例ということですか。
●知事
啓発じゃないです。ですから条例ですね。啓発ではありません。ですから、そこはだからやっぱり障がい者に対する理解がまだ残念ながら足りないんじゃないかと思うんですけども、まず障がい者の方にとって、これを重要なコミュニケーション手段、言語ないし言語に等しいものだと認めてもらいたいという切望があるわけです。それを我々のルールとして考えてもいいんじゃないかということですね。これが一つの中心課題です。
また、実際にそうした手話言語が使いやすい環境づくりというのを社会全体で進めていきましょうと。それは罰則を設けてどうのこうのということではありませんけれども、そういう環境づくりをやるということを我々として方針を考えてもいいんじゃないかということですよね。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
仮に条例づくりをすすめるに当たって、それに対するハードルになるようなことって、どういったことが想定されるんでしょうか。
●知事
これは研究してみたいということであります。これからそうしたいろんなメリット、デメリットということについては議論が出てくるんではないかなと思います。現実に国のほうは、もうかねてこういう手話言語法というものの制定を求められているんです、運動団体等から、障がい者の世界ではですね。しかし、これ超党派で議論されるようであっても、一向に前に進まないというところがあります。鳥取県として今まで既に将来ビジョンで手話を言語文化として位置づけてきた県として、突破口を開いてもいいんではないかなと私は思います。これについてはいろいろと、条例のことでありますので議論がありましょうから、これからゆっくり時間をかけて、いろんな方と議論していきたいと思います。
○NHK 月岡信行 記者
それを条例で設けているところというのは、例えば自治体レベルではほかにあるんでしょうか。
●知事
一切ありません。これはもう都道府県、市町村通じてありません。国も、だからなぜちゅうちょしたのかよくわかりません。私たちも、将来ビジョンで位置づけましたので、手話を言語として尊重するという政策を展開してきて、何ら一向に支障はないと思っていますから、一歩進めてもいいんじゃないかなと思います。
○NHK 月岡信行 記者
恐らく今後研究、検討していく上で、例えば手話をどういうふうにして教えていくのかとか、一般の人たちに普及させるとか、その辺のハードづくりというのもあると思うんですが、その辺もやっぱり視野に入れるということですか。
●知事
例えば我々でも今、あいサポート運動等も展開していまして、手話も含めたPR活動をさせていただいております。全員が手話を使えるようにしようということではありません。これは、我々としてはそういうコミュニケーションとして使える、例えば災害の非常時、困ったとき、例を挙げていえば条例上位置づけるかどうかはともかくとして、そういう聾唖者の方を念頭に置いた、そういう手話を使える、そういうセンター機能を例えば東部、中部、西部等で設けて、そういうものを運営していく、それで災がい時情報等をそこから発信するとか、またいろんな困り事相談だとかができるような体制をつくるとか、そういうふうないろんな環境づくりが必要だと思うんですね。
学校で手話を教えるという意味ではありません。ただ、手話に親しむような教育の場があってもいいと思いますが。そういう意味で、だから公用語として手話を定めるとか、そういう単純なものを考えているわけではないわけでありまして、環境づくりということと、あと、大切なのは障がい者とともに生きていくという私たちの願い、これを法律的にも表現するということではないかと思います。
○共同通信 田島沙羅 記者
すみません、日本財団との共同研究というのは、具体的にどういった内容をやっていかれるということなんでしょうか。
●知事
ちょっと〔尾形〕理事長さんとも話してないんで何とも言えませんけども、日本財団もかねてこういう手話を言語として認めることに非常に関心を持っておられた財団でありまして、実は我々、〔第14回全国〕障がい者芸術文化祭〔とっとり大会(仮称)〕とかを来年度〔平成26年度〕やろうというような計画もしておりますが、彼らとしても我々のところの将来ビジョンに興味を持たれておられた。私どもでそういういろんな障がい者の皆さんと話し合う中で、やっぱり条例について真剣に考えようかなと、こういうような構想を話しているということでありまして、日本財団側としても、ぜひ自分たちも一緒に研究させてもらいたいと、いいテストケースになりますので、鳥取県がそうすると。だから全国のモデルとして、日本財団としても研究をしたいと。
○共同通信 田島沙羅 記者
盛り込む内容について検討していくというような場ではない。
●知事
そうですね、盛り込む内容について検討すると。だから今、まだ世の中にそういう手話についての条例というのはないですから、そういうものを実際に我々が現場でやっていることとすり合わせをして、どういうものが考えられるかというのを、あちらもいろんなノウハウや人材がありません。正直申し上げて、私どもからすると、向こうには財源もありますので、県の予算なくしてもできるかなと思っています。
○読売新聞 加藤あかね 記者
これ、知事がそこまで言われるということは、研究レベルではなくて、実際に制定を念頭に置いた具体的な検討に入ったという考え方でよろしいんでしょうか。
●知事
検討に入る意味で研究会を設置するということです。
○読売新聞 加藤あかね 記者
具体的なスケジュール感は。
●知事
ですから、来年度に〔第14回全国障がい者〕芸術文化祭〔とっとり大会(仮称)〕を今考えています。これは全国といっても、私はもっとスケールアップしていいと思うんですね。先般も〔韓国〕江原道の知事とも議論したんですけども、あちらからも参画してもらうとか、世界中でそういうアール・ブリュット〔障がい者などが自由に表現した芸術〕というのはやられていますので、それがむしろ芸術の主流でもあるかもしれません。ですから、私どもとしては、そういう意味で来年度〔平成26年度〕、ぜひ障がい者と健常者の共同参画をテーマにやりたいなと思っているんですね。その準備として、やっぱり少し我々としてもこれ、やっとかなきゃいけないなというのの一つが、この手話の問題だと思っています。ですから今年度、ぜひ議論したいと思っています。
○読売新聞 加藤あかね 記者
今年度中に、早ければ議会に提案するという可能性はありますか。
●知事
そうですね、そういうこと、だから来年度〔平成26年度〕に向けた準備としてやっていきたいということです。
○読売新聞 加藤あかね 記者
もう一つだけ。先ほども災害のときとかも含めて言われてましたけれども、具体的に条例をつくるというときに罰則を設けるものではないともおっしゃられているんで、内容もこれから検討するということではあるんですけれども、具体に条例をつくることによって、どんな場面で、どういうふうな形で手話をもっとこう位置づけたいと思われているのかという、その具体の内容をもう少しだけ、念頭にあることを教えていただきたいんですが。
●知事
世界中で今、この手話を法律化しようという動きが来ています。これはヨーロッパから今、順次来ると思うんですね。今、ヨーロッパでここ、だから13年ほどの歴史です。まだ新しいテーマであります。その手話を法律化しようという動きの中でやられていることは、まず言語、コミュニケーション手段として、これの重要性を規定しています。それから、あとは環境づくり、手話を使いやすい環境づくり。この2つが大きな領域じゃないかなと思います。その辺のひな形を頭に置いて、我々としても法的に整備が必要なレベルはどういうものかなということを考えていきたいということですね。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
言語だという認識を広く県民に持ってもらうことで、どういうようないいことがあると言ったらよろしいでしょうか。
●知事
やはりひょっとすると頭の意識からおっこちてしまいますよね。手話でないと話がわからない人たちがいると。私たち、町なかを歩いて買い物に行っても、何か食事に行っても、時折そういう手話を使っておられる方に出会いますよね。理想を言えば、だんだんこういうことで地域社会、私は鳥取県というのは優しさのある地域社会だと思っていますので、ちょっとした手話ぐらいは使える時代になってくるんじゃないかなという期待をしております。そうやって徐々に健常者と障がい者の共同参画というのがレベルアップしていくというふうに考えています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
関連してなんですけれども、先ほど、手話の話が今、出てますけれども、全国障がい者芸術文化祭をされるということで、来年のそういう障がい者の方なんかにスポットを当てた施策がテーマになってくるのかなと思うんですが、知事の中でのウエートとしては、昨年のまんが王国とっとり、ことしのグリーンウェイブ、これに続くような大きなテーマとして位置づけようということなんでしょうか。
●知事
これはだから、我々はちょっと貧しい自治体なもんですから、全てがやりにくいところがありましてね、ですから、ある程度その年は多少、選択と集中の若干のことはやるべきかなと思っています。その意味では、来年度〔平成26年度〕は障がい者との共同参画というのを中心的な課題として考えてはどうかなと思います。何となれば全国からそういう障がい者の方が〔第14回全国〕芸術文化祭にやってくる年になりますので、地域社会としても、そういう気持ちを持ってもいいんじゃないかなと思います。
ただ、まんが王国だとか〔とっとり〕グリーンウェイブをやめてしまうということではございませんで、今年度〔平成25年度〕もそうでありますけども、まんが王国の推進については引き続きやっていこうとしております。
今、それぞれの地域で準備が始まっておりまして、例えばまんが王国でいえば米子の皆さんも話し合いを始めていますし、北栄町の方々も話し合いがありますし、境港でも今、〔水木しげるロードの〕ブロンズ像めぐりをもっとおもしろくする仕掛けづくりとか考えておられまして、県と今、話し合いをしながら、その辺の構想を今、煮詰めようとしております。高知県ともタイアップができましたので、こんなようなことをさらに前に進めるために推進組織というのも近々設けたいと思っております。だからそういうのを、せっかく火がついた地域づくりの運動というのをやめてしまうということは、するつもりはございませんけれども、障がい者のことを真剣に多くの方々に考えていただければありがたいなという気持ちは持っています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
障がい者のことを考える地域をつくるって、そのこと自体はすばらしいことだと思うんですけども、やはりどうしてもまんが王国だったら国際まんが博だったり、マンガサミットでしたり、ことしのグリーンウェイブは全国植樹祭や都市緑化フェアでしたけども、来年も大会を開くということですよね。どうしてもイベントのほうを中心に県政の主要テーマが形づくられているような気がして、ちょっとそこが気になっているんですけれども。
●知事
実はイベントを目的としてやっていないんです。多分お気づきではあると思うんですけれども、例えば漫画であれば、主たる目的は地域づくり、それから観光振興、あるいは子供たちを含めた人材養成、こうしたテーマとして、国際的には漫画が日本のキーワードになっていますので、いずれそういう時代に来るわけですね。それを先取りしながら進めようとしているのが本来の目的としているところであります。
〔とっとり〕グリーンウェイブも〔第64回全国〕植樹祭だとか、そうしたイベントということだけでなくて、今、それ大切なので植樹祭を一生懸命やるわけでありますが、植樹祭だけが目的ではなくて、これを通して県民の皆様に自然を大切にする心、環境推進活動の芽が広がればいいですし、また、周囲の他府県からは、鳥取というのは環境のいいところだなあと、住んでみようか、観光に行ってみようか、何だったらこんなビジネスができるかもしれない、こんなように考えていただける土地に成長すればいいなという願いが込められて動いているわけですね。
どうしても、記者会見もそうかもしれませんけども、情報発信としてはイベントを出しながら世間の関心を引きつけてやっていくと効果が上がるということがあるもんですから、そういうように上辺見える面がありますけども、目的としているのは、むしろそういう一つ一つの行政領域、地域社会の重要な断面を掘り起こそうとしているということで御理解いただければと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
そのイベント、成功体験があるからこそ、そういう発信の仕方ができるんだと思うんですけどね、やはり何度もこの会見でも出てますけども、やっぱり一過性のものに終わるんじゃないかという、この辺が大変心配なところでして、まんが博にしても、知事、さっきおっしゃったように、これからも継続していくんだと、漫画の取り組みですね、それはいいんですけども、県民の方がその意識を共有できるかというところが問題だと思うんですよね。やはり知事はそういうお考えがあっても、ことしはグリーンウェイブだ、来年は障がい者だということがやっぱり出ていくと、どうしても、あれ、去年のあれはどうなったんだろうというのが、やっぱり一般の県民の方のそういうふうなところかなと思いまして、そのあたりを引き続き情報発信をしていかないといけないと思うんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
●知事
そこはよく気をつけなければいけないと思います。実はそういう情報発信のことでいえば、県外とか、あるいは何だったら海外にも届くような情報発信をしようと思いますと若干重点戦略が必要になりますけども、ベースとしての地域づくり、地域が必要としていることに変わりはありませんので、その辺はきちんと組織立った、後々残るような活動をするように心がけたいと思います。
○共同通信 田島沙羅 記者
知事、先々週の児童手当差し押さえの判決なんですけども、控訴期限が迫っておりますが、知事としてはどういうふうな方針でしょうか。
●知事
それは先週申し上げましたけれども、今、冷静に〔鳥取〕地〔方〕裁〔判所〕の判決を我々としても受けとめて、内容を今、分析、精査をしてございます。これはあしたが控訴期限ですので、もうぎりぎりまで検討をさせていただいて結論を出そうというふうに考えております。
いたずらに長引かせようとか、そういう意図は全くございませんで、そういうことではないんですけども、片方で、やはりこれ純粋に法律論なんですね、訴訟でありますから。純粋に法律論なんですが、最高裁〔判所〕の判決もあり、それから実は全国の税務当局もそうでありますし、他の地域ですね、国税も含めて。それから銀行なんかも同じなんですが、そういうような、いわば取引の安定とか実務にも大きく影響するところがございまして、実はうちに問い合わせも結構、他の自治体等からも来ているという状況もあります。その辺もいろいろ考え合わせて、我々としてどうすべきか、あしたいっぱいで結論を出したいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、よろしいですかね。
RORO船のお話がありましたけども、トライアル輸送が15日からということで、試験運航だと思うんですけども、仮にこういう北海道、新潟との間の境港のルートができるとしたら、どういういいことがあるのかなと思いまして、その辺の期待感をちょっとお聞きしたいと思います。
●知事
今まで境港の弱いところは、国内的なハブ〔中核拠点〕機能に弱いところがありました。一点集中で海外のロシアとはつながっている唯一の港ということはありましたけれども、国内で、じゃあそこに集荷した上で持っていくという機能まではつながっていなかったんですね。その辺は定期的なそういう貨物・物流機能というのはないという弱みがございましたけども、今回、いろんな荷物が実は日本国内を動いていますから、その中にはこういう船を使って国内で動かしてもいいんじゃないかというのが見えてくると、海外と結んだネットワークにも影響してくるというふうに思います。
我々も募集をかけたところ、結構今、荷主さんが集まりましたので、これを船会社側がどう評価するかということもあろうかと思います。まずはやってみなければ、みんなが納得できる要素もありませんので、まずはやってみて、あるいはこういうような実験を何度か繰り返しながら、その航路を、できればそういう不定期・定期の航路ができてくればありがたいがなと思っていますが、まずは第一歩だと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
島根県の浜田港なんかでRORO船が入ってきますけど、境港はあんまりこれまでRORO船がそんなに入ってなかったと思うんですけども、RORO船が入るということは、車なんかの輸送とかそういうのができるということですよね。それはかなり可能性が広がると思うんですが、やっぱり荷主さんからもそういう要望というか、RORO船が欲しいなという関係者からの声というのはあるんでしょうか。
●知事
ありますね。結構、横持ちといいますが、陸上輸送でずっと持っていくというのはコストもかかるわけですよね。その意味で、大量輸送するようなネタがあれば、それを船で動かす。それもチャーター船を使うんでなくて動いている船に乗せさせるというやり方、これはビジネスも切望しているところであります。だからこそ今回、荷主さんも集まったわけでありますが、なかなかそういうロットがないじゃないかということで、これまで実験もできなかったところですので、まずは今、やってみせることから始めるのかなというところですね。
海外との関係のRORO船でいけば、鳥取県も〔島根県の〕浜田港同様に〔韓国〕釜山向けにはRORO船を持っております。これはシノコー〔長錦商船(株)〕さんだったかと思いますが、運用している会社も、船社もございまして、そういうように海外向けにはあるんですけど、国内のところの物流、日本列島は細長いですから、本来はもっと考えたいところでありました。
15 雇用創造1万人プロジェクトの成果と目標達成に向けた取組
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません、雇用創造1万人のことでお伺いしたいんですが、きのうの未来づくり推進本部会議で、平成23、24年の2年間で4,704人の雇用があったという報告がありまして、残り2年間で5,000人と少しの雇用が必要ということになると思いますが、この2年間の成果をどう総括し、あと、その達成に向けてどういうふうに当たられようというのか、お聞かせください。
●知事
実はこの2年間、リーマンショック後の非常に厳しい時期でありました。また、国際競争力を日本が失いかけている2年間でもありました。ですから、なかなか地場で雇用を創造するのは難しかったわけでありますが、一つには大きな誘致がここに来て何件か成功してきたということが追い風になりまして、何とか半分ぐらい、5合目まで来たかなというところであります。
これは、農業とか、それから福祉等もカウントしながらやっていくわけでありますが、農業についてもIJUターンが成熟してきましてロットも出てきたわけでありまして、この辺を今後、そういう農業や福祉等も含めて広げていくことができれば、1万人というラインも見えてくるかなと思います。相当努力しなきゃいけませんけれども、気を引き締めてやっていきたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
一方で、順調に雇用、数字の上では図られているところはあるんですけども、有効求人倍率が全国よりまだ、2月で0.77倍ということで下回る状況が続いておりますし、県民とか求職者の方にはなかなか実感が持てなくて、若い方もこの3月、4月でやっぱり職場がなくて出ていったりする方も実際いらっしゃいますし、ふやしても、一方で抜け落ちていくという、この状況ですね、もどかしいところもあると思いますが、そのあたりはどういうふうに思われるでしょうか。
●知事
やはり我々としても良質な雇用をやっていただきたいと県内の企業さんに呼びかける必要がありますし、県外からの誘致も強めることが大切だと思います。〔株式会社〕JCBさんとか、あるいはヤマト〔コンタクトサービス株式会社〕さんとか、そうした企業さんはすごく倍率が高く人が集まりますし、若い人もやってきます。意外に繊維系も若い女性の姿も就職された方には多く見られまして、こういうようなことで地道に若い人の働く場をつくっていくということかなと思います。
また、これからは福祉・教育サービス、そうしたことも若者雇用の場として重要性を帯びてくると思います。こんなことも視野に入れて、農林水産業も視野に入れてやっていくことで、都会とは違った働き方になると思うんですが、都会とは違った働き方、子育て環境もいい中で、給料は外資系企業の有名どころと違って、そんなべらぼうには出ないにしても、生活実感を感じながら、幸せを感じながら生きていく、そんなライフスタイルを鳥取が提案できればなと思います。
昨日〔4月10日〕も我々のほうで〔第一回〕未来づくりの推進本部を開き、一番大切なテーマかなと思って議論もさせてもらいましたが、人口がどんどん減少してしまうという試算が出ていまして、いずれ44万人というラインを国が試算をしたりしまして、こういうことを振りほどいていくためには、もっと若い人の意見を聞きながら人口減少対策とか活力対策とかを考える必要があるかなと思っています。
こういう若い人たちの意識や意見を取り入れながら、雇用対策もそうですし、IJU対策等を再構成していくことで、もっと実が出るようなことに結びつけていきたいと思います。
○朝日新聞 山崎聡 記者
どうでしょうか。
では、会見を終わります。
●知事
どうもありがとうございました。