●知事
皆様、おはようございます。
びっくりしたニュースが入ってきましたのは、飯島〔勲内閣官房〕参与が北朝鮮へ行かれたというニュースでございました。これは国内外にさまざまな御意見、波紋を投げかけているわけでありますけれども、私ども鳥取県としては、松本京子さんを初め拉致被害者の存在が疑われている県であります。かねてからその解決を求めてきたところでありまして、何がしかの動き、成果につながればいいなというように思っております。
これはまだ現在進行中でございまして、向こうでも逐次話し合いが持たれているようであります。会っているレベルからしても、まず金永日〔朝鮮労働党初期〕に会われた。この方は外交担当ということでありましたが、さらに金永南〔最高人民全権常任委員長〕という、これは国家のナンバーツーの人にまで会ってきたと。内閣〔官房〕参与が面談する相手としては異例の対応ということが言えようかと思います。
もちろんこれまでの北朝鮮の動きもありますので、決してただいいことばかりということだけでなくて、若干の慎重な見方を持ちながら事態に対処していくべきかと存じますけれども、何がしかの打開策を家族関係者は待っていると思います。その心情を政府としても最大限理解しながら事態に当たっていただきたいと思います。
昨日〔5月16日〕は上京しておりました関係で、拉致被害者の関係組織のほうに、内閣〔府〕のほうに行くことを模索させていただきましたけれども、なかなか対応が難しい状況がございました。電話で申し入れをさせていただきましたが、ぜひ解決に向けて動きを見せていただきたいということを申し上げたところであります。
政府としては、世上伝えられているようにノーコメントとしか言いようがないと、まだ北朝鮮での交渉状況は情報がないと、そういうようなお話でございました。さはさりながら、事態は動く可能性もありますので、我々としても、もし事態が動くのであれば機敏に対応できるように、関係組織のほうでも注意していくように指導してまいりたいと思います。
2 全国知事会総合戦略・政権評価特別委員会、各政党への要望活動
●知事
昨日〔5月16日〕上京いたしました一つの目的は、全国知事会として来るべき参議院選挙に備え、各政党に地方の思いを伝えることでございました。これは4月の全国知事会でその方針を決め、私が特別委員長をさせていただいておりますので、全国知事会長の山田〔啓二〕京都府知事、あるいは副会長の徳島県知事、また長野県知事、こういった方々と一緒に各党を回らさせていただきました。その中で民主党、それから自民党、公明党といった大きな政党も行きましたし、そのほかにも生活の党とか共産党とかみんなの党とか、そうした第三極と言われるようなところなども行ってまいりました。維新の会につきましては、これは日を改めて大阪でということなので、〔5月〕23日に大阪で全国知事会からの要望をさせていただきたいと思います。
訴えかけの幾つかのテーマがございましたが、地方分権をぜひ推進をしてもらいたいと。これは今、道州制の議論の陰に隠れてはいないでしょうかということを申し上げました。税財源の問題でありますとか抜本的な権限移譲の課題でありますとか、そうした事柄について訴えかけをさせていただきました。
また、こうしたことを進めるためにも国、地方の協議を進展させるべきであるということ。さらに、道州制につきましては、これが単なる都道府県の廃止等でとどまるのではなくて、仮に議論するのであれば、それは国家構造を変えるものでなければならない。そうであれば基礎自治体のあり方にも影響するのではないか。そういうことを正直に国民に問いかけるような議論をすべきではないだろうか。また、ある地方へ一極集中してしまう、そういう格差が生まれる、また州の中でも道州内の格差ということも、これも懸念されると。そうしたことを解消していく具体的な手だて、この辺が今、巷間伝えられているような道州制の基本法案的なものでは入っていないわけであります。これは選挙を戦う前に、ぜひ各党としても議論として十分でない点があるということを認識してもらいたいと強く申し入れました。
そのほかにもTPP〔環太平洋パートナーシップ協定〕のこと、経済対策や雇用対策のこと、あるいは原子力安全対策、それから南海トラフや首都圏直下型地震対策、震災からの復興、またリダンダンシー〔代替手段〕の確保による国土軸の形成、そうした各般のテーマについて課題提起をさせていただきました。
自民党さんからは、地方団体側との公約づくりに向けた話し合いをしてもよいというメッセージが塩崎〔恭久自民党〕政調会長代理からございました。これは改めて関係団体と相談をしながら、改めて自民党側への申し入れをするとか、手続をとっていく必要があるかなと思っております。そして、地方分権についても当然やっていかなければならない課題だと、そういうお話がございました。
民主党さんも公明党さんも同じような、分権については、これは特に民主党さんは地域主権という言葉を使って政権を担当されましたので、地方分権については我々は思いが強いということをおっしゃっていましたし、公明党も、道州制は地方分権を抜本的に進めるためのものであるという、そういうことであって、手段と目的を見間違うことがないようにしたいと、こんなようなお話もされておられました。
いずれにせよ、これはまだ各党、昨日〔5月16日〕の感覚では公約作成中でございまして、その段階で我々が飛び込んだということであります。これから公約がまとめられてきます。それを全国知事会として、恐らく6月後半ぐらいになろうかと思いますが、取りまとめをし、検証させていただいて、我々なりの評価を加えさせていただきたいと思いますし、必要があればアピール行動を今後もとっていくということで申し合わせをいたしているところでございます。
●知事
あわせて、メタンハイドレート〔水分子とメタン分子が結合してシャーベット状になった化合物〕という、これからの日本海側のエネルギー資源についても訴えかけをさせていただきました。経済産業省のほうにも参りましたし、京都府知事、新潟県知事などと協議をしまして、今年度の運動方針を話し合いました。これは今、5月から7月の日程で新潟、さらに富山、石川沖あたりで試掘がされております。その状況を見て、秋にでも改めて円卓会議を新潟でやろうということを決めましたし、また、それ以外にも行動を起こしていくことを申し合わせたところでございます。
国のほうに強く訴えかけを私からもいたしましたのは、一つは、日本海側はまだ調査が十分でないと。これは我々、明治大学の松本〔良〕先生〔特任教授〕からも知見をお伺いしたときに、その話がございました。これは一生懸命、加速度的に前倒ししてやらなければならない。それから日本海側は太平洋側と違ってメタンハイドレートの埋蔵状況が違います。日本海側では、ちょうどコラム状に、ぼこっ、ぼこっと塊が点在をしていると。これが海底に見えるか見えないかというようなぐらい、海底のごく浅いところに存在をしていると。ですから、それをどうやってエネルギーに変えるかという技術が必要だということでありまして、これはまだ開発されていないわけであります。太平洋側のほうは、シェールガスとよく似た話でありまして、海の底があり、そこに地層がありますが、その下に層状に分布をしているということでありまして、これについてはシェールガス〔岩盤のすきまに閉じこめられた天然ガス〕のやり方で取り出すことができる。現にこの間も世界で初めて成功したということでありました。こういうようなことでありますので、その技術開発、これは日本海型についても速やかに行うべきだということを強く訴えかけをいたしたところでございます。
さらに、エネルギー関連で再生可能エネルギーの協議会も開催をされました。今、本県でも再生可能エネルギー、ソフトバンクメガソーラーなど、急速に進んでいるところでございますけれども、なかなかそれが系統連系と言われます電力会社との接続などで結構苦労しているということです。中国電力に私も直接、トップにも申し入れをしていますけれども、先方は先方で一生懸命やっているとおっしゃっていまして、あながちそれはうそでないんだろうとは思います。ただ、いろんな規制があります。例えば電力の方向は一方通行であるとか、そうしたいろんな規制がありまして、それが邪魔をしているという面があります。また、電力会社自体の努力ももっと求められているところではないかと思いまして、孫正義事務局長もそこを力説をされていました。そういう課題があるということで、これも今後、アピール行動を起こしていくことを申し合わせたところであります。
●知事
また、国土交通省のほうにも行きましてお礼を申し上げたところでありますが、5月15日に国の予算が成立をしました。その内容が明らかになってきました。正直なところ、画期的な内容であったと言うべきものがございました。特に国土交通省関係など、我々が懸案としていたところが一挙に道筋が見えたという部分がございまして、高く評価できる内容だったと思います。
具体的に申し上げますと、国直轄、あるいは補助、そうした事業がございますが、それぞれにおいて全国平均を上回る配分が鳥取県のほうにこのたび当初予算でございました。それもミッシングリンクと言われるところについて顕著でございました。ミッシングリンク〔高規格道路の未整備区間〕関係では、対前年5%増の直轄ということでございましたが、我々が開通を望んでおります東西の軸、これについて明確な筋道が見えたと思います。すなわち赤碕-中山インター、それから名和インター、この間のところにつきまして開通のめどが立ちましたし、それから鳥取西道路のうちの1期工事分、鳥取空港インターチェンジまでのところ、また山陰近畿自動車道の中では駟馳山バイパス、これら3路線が今年度中の完成が確実になったと思います。
それから、そのほかのところも気になるところでありますが、長く懸案でありました、私が就任する前に、前の知事さんの最後のときに休止ということが決まってしまった北条道路、北条バイパスのところですね、これは山陰道の一部になります。これについて再事業化の方向性が出てきたということであります。これもたび重ねて議論してまいりまして、国にも訴えかけをしてきたんですが、なかなかこれ、一遍寝てしまった子供を起こすことが難しゅうございました。このたびは交通安全施設関係として5,000万円を上回る額が配分をされました。これは交通安全対策とはいっても、要は高速道路の続きをつくるに等しいような部分がございます。例えば北条湯原道路への入り口のところを立体交差化するとか、そのときに今盛り土をしてあるような、ああいうところを使ってくる。そうなりますと、いずれ完成しなければならない山陰道の一部の工事をするに等しいことに事実上なってくると思います。こういうようなことをやっていく片方で、それ以外の区間についても調査を行うという方向性、これ額は詳細には教えていただいておりませんが、そういうふうにこのたび伺うことができました。これも非常に困難な課題でありましたけれども、これによりまして北条道路がいよいよ山陰道の一部となる、そういう日が遠からず見えてきたということになりました。
また、山陰近畿自動車道もこのたび兵庫県や京都府と連携をして議〔員〕連〔盟〕が立ち上がったり、我々でもそのための協議会をつくって首長同士の連携を高めたりやってまいりました。急速にステップアップしたところであります。そうしましたら岩美道路という、駟馳山バイパスと、それから七坂八峠を越えていく、それのトンネルとの、その接続のところの岩美道路、これが2.6倍の大幅増ということになりました。これも我々にとって非常にありがたいことでありまして、浦富インターチェンジへの開通時期がこれから見えてくるんじゃないかなというところまで来たと思います。
そんなように東西を結ぶ軸、ミッシングリンクが鳥取自動車道の開通後の新しいテーマとして深掘りされてきたというのが今回の予算だったかなと思います。
鳥取西道路が残る大きなミッシングリンクになろうかと思いますが、それについても入り口を問わず、西からだ、東からだでなくて、全面展開して進めていきましょうということを、これまで強く申し上げてきました。そうしたところ気高-青谷のトンネルが事業化をされるというのが今回の予算の中で配分が見えまして、これも今までは空港インターチェンジまでのところにある程度重点を置きながら、そのほかのところでも用地買収等を進めるというようなことをしてきましたけれども、トンネル工事が見えてきたわけであります。これは実は鳥取西道路で一番長いトンネルになりますので、時間がかかるところに入り始めたというところでございまして、大変に評価できる道路予算であったんじゃないかなと思います。そういう中で、6月の8日には鳥取県で施行してまいりました倉吉西インターチェンジまで、これを開通させるということにいたしまして、そのほかのミッシングリンク解消に努めていく弾みにいたしたいと考えております。
河川、海岸、砂防関係、こちらのほうでも1割を上回る伸びになりました。かねての懸案であった日野川の青木のあたりであるとか、いろんなところの事業費の確保が図られました。皆生工区の海岸事業とかですね。
さらに、港湾関係では、〔境港の〕中野岸壁に13億円の配分ということになりまして、港湾関係、直轄で2.8倍を超える伸びということになりました。これも大幅増でございます。原因は、この中野岸壁の配分だろうと思います。
この中野岸壁は、当初、我々が今年度はこんなものかなと思っていましたのは、海を掘るところまでの事業費かなと思っていました。しかし、予想を上回ることになっていまして、地上部分、岸壁部分、こちらのほうにも手が入れる予算となりました。これも非常にありがたいことだなというふうに思います。
これ、石破〔茂自民党〕幹事長のほうにたび重ねて要請活動を県民、各種団体と一緒にやったり、また国土交通省のほうで赤澤〔亮正国土交通〕政務官が調整に当たられたり、さらにそのほか国会議員さんとか県会議員さんだとか、いろんな方々のお力をかりながら、何とかこれ、画期的な予算にこぎつけることができました。まずは御礼を申し上げたいというふうに思います。
こういう国の予算が出てきたもんですから、県のほうでもちょっとこれ、想定外でございましたけれども、かなり大きな公共投資関係の補正を組まなければならなくなりました。具体的には、わかりやすい数字でいえば、国直轄と補助関係、国土交通省関係だけで国費が31億入るというのがございますので、こういうようなことなどを考えますと、当然かなり上回った規模の事業費になります。ざっと見て公共投資関係だけでも70億は下らないような補正規模が必要だと思います。そのほかのもちろん事業もございますので、そういうところも合わせて、6月議会に提案するものとしては異例に大きな額の補正予算が必要に急遽なってきたという感じでございます。これは今、担当部局に申し上げておりますが、至急状況を取りまとめて予算に反映するように、今申し上げたところでございます。
●知事
中国5県でいろいろと共同歩調をとろうとしてきました。今までと違って、県境を越えた連係プレーによって住民の皆様にサービスを提供していくスタイルをつくろうとしております。その皮切りに始めたのがドクターヘリでございました。基本協定を結び、さらに我々でいえば島根県との協調によって、島根県のドクターヘリを鳥取県内にも飛ばしていただきたいと、こういうことで協議を重ねてまいりました。
昨日、電話で島根県の溝口〔善兵衞〕知事と話をさせていただきました。溝口知事を初め島根県の関係者の皆様に大変に寛大な御配慮をいただきまして、5月27日から共同運航の一環として鳥取県内にも島根県のドクターヘリが飛んでくる、こういうことになりました。そのために5月22日に訓練をしようと、実地訓練を日南町を舞台にしてやることも決まりました。大変にありがたいことでございまして、エリアとしては西部消防管内、それから中部のふるさと広域消防管内、こうしたところが今回の島根県のヘリの対応になろうかと思います。
〔兵庫県〕豊岡の基地から飛んでくる、それから島根県の基地から飛んでくる、大体真ん中が倉吉市あたりになります。そういう意味で東から西から、我々のこの鳥取県域をカバーをしてくると、こういうようなことで当面はドクターヘリを運用できるんではないかと。ようやっとそういう筋道が立ちました。感謝を申し上げたいと思います。また、こういうものに鳥取大学のドクターカーなどを併用することで、緊急の輸送体制、すぐに命を助けられる体制づくりに前進することができたと思います。
●知事
また、これから〔とっとり〕グリーンウェイブを進めていかなければなりません。その〔とっとり〕グリーンウェイブは、我々としては産業だとか、あるいはエネルギー革命につながっていくもの、これを鳥取県から提案したいというふうに思ってまいりました。いろいろ当初の方針を変えまして、一足飛びに事業化のプロジェクトに向かうべきだということでかじを切ってきましたのがバイオマス発電〔生物由来の再生可能な燃料〕でございます。このバイオマス発電について、今まで関係者と話し合いを重ねてまいりましたけれども、日新林業が中心となりましたバイオマス発電が動き出すことが本決まりになりました。早速それを支える協議会を森林組合や県等も入りましてつくることにいたしております。詳細は会社側のほうから何らか発表があるんだろうというふうに思いますが、発電規模としては5メガを上回る規模ということでありまして、8万トンというチップ材を活用しながらやろうという構想だと伺っております。それが実現できるように、地域としても応援する必要があるというふうに思います。
当初予算で私たちは、そうしたバイオマス発電を応援する予算を組まさせていただきました。さらに今回のプロジェクトを話し合う中で、関係者からもいろんな御意見をいただいております。当然ながら系統接続のための助成というのを、これを従来のスキームにのっとってやる必要があろうかと思いますし、いわば別会社を立ち上げて動き出すことになりますので、借り入れの資金に対する利子補給といったことも必要になりましょう。それからバイオマス発電はほかの発電とちょっと違いまして、要は山側との連係プレーが大切なんですね。山のほうからチップ材を切り出します。その切り出すのは、例えば冬の雪が積もっているときにできるわけではございません。ですから流入量については、これは変動性があるわけです。そういう意味でストックヤード〔一時保管場所〕をある程度の広さで確保しなければなりません。そのストックヤードがないと発電ができないというのが、このバイオマス発電が太陽光発電、水力発電等と違うところでございまして、こうした特殊な事情があるということが話し合いの中で見えてきました。こうしたところも支援をしていく必要があるのかなと思います。そういうことで、数億レベルで、またこのプロジェクトを応援する追加補正予算を6月議会に提案する必要があるかなというふうに考えております。本県においてもいよいよ木質バイオマスの発電所が動くめどが立ちました。このほかにもプロジェクトとして動かそうとしているグループもございます。これも精力的に県も入って話し合いをしているところでございます。〔第64回〕全国植樹祭を控えたこの時期に、こういう山、森林の未来を感じさせる、そういう動きが出てきたことは歓迎したいと思いますし、全面的に支援をしていく必要があると考えております。
7 グリーンウェイブ2013とっとりアクションの実施
●知事
〔とっとり〕グリーンウェイブにつきましては、これは鳥取県だけの運動ではございません。実は我々がこのグリーンウェイブ構想を打ち上げたら、我々のほうに一緒にやりませんかという話が来ました。これは国〔際〕連〔合〕のほうでもグリーンウェイブという活動をされています。その日本組織のほうから一緒にやろうという話が来ました。来週の〔5月〕22日にそのグリーンウェイブ2013の鳥取という、これは国連の活動と一環した、そういうイベントをやることにいたしました。
具体的には、〔JR〕鳥取駅前で子供たちや、あるいはミス日本の方、こういう方にも入っていただいてゴーヤの苗を配る、あるいは子供たちが緑のメッセージを出す、そうしたことを今、計画をいたしているところでございます。いよいよ目の前に見えてきた〔第64回〕全国植樹祭、さらにだんだんと迫ってまいります〔第30回全国〕都市緑化〔とっとり〕フェア、こうした緑のムーブメントにつなげていく、まずは初夏の催しとしようと関係者と話し合っているところでございます。これは県だけでなくて、これは植木関係の関係者の方々もゴーヤの苗の提供等、大変に協力をいただきながらやる、国連の一環としての活動ということになります。
8 人口・活力対策チーム会議並びにパートナー県政推進会議の開催
●知事
また当面、今年度新しくスタートするような県政の動き、それを仕掛けとしてつくっていく時期にもなってまいりました。きょうはこれから人口・活力問題に対応するプロジェクトを立ち上げることになります。きょうは県庁の中の話し合いというようなことでございますけれども、いろんなアイデアを出し合って人口減少社会に歯どめをかける、そのための方策を探ったり、人口減少、あるいは中山間地域、そうした厳しい状況に置かれていく中で、安全で安心できる、そういう鳥取県らしいライフスタイルが継続するための施策、こんなことも今後話し合っていく。さらには移住を促進をするためには、若者たちにも魅力のあるような鳥取県をつくっていかなければならない。こんなようないろんなテーマがあると思います。こうしたことは県庁の中だけでもいけないだろうというふうに思います。そこで、民間の有識者の方、これは鳥取県に限りません。これは全国的な有識者の方にも入っていただいて、鳥取県のこれからの道行きに提案をしてもらいたいということの趣旨も含めた、もちろん県外の方にも入っていただいた、そういう有識者会議を立ち上げることも、きょう話し合いたいと思っているところであります。住もう好きですとっとり未来会議とでも言うべきような、そういう有識者会議を立ち上げることを検討したいと思っております。
また、休日にはなりますが、〔5月〕19日にパートナー県政を進める会議を立ち上げようと考えております。これはかねてから申し上げておりますように、議会で議論もございました。在日外国人や若者、こうした層の方にも入っていただいて、県政参画、これを今後進めていく。そのための御提言をいろいろといただきたいというふうに考えているところでございます。
●知事
また、まんが王国の建国は2年目に入りました。その中で、具体的に地域づくり、あるいは人材育成、そうしたところに進めていったり、観光振興等にウイングを広げていく、こんなような話し合いをやっぱり地域としてもやっていかなければならないと思います。そこで、まんが王国とっとりの元老院会議を招集をしようということにいたしました。水木しげるプロの原口尚子社長さんとか、そうした県外の有識者の方々も含めて入っていただいて、例えば京都のマンガミュージアムがございますが、こうした関係者の方々にも入っていただいて、これからまんが王国とっとりをどういうふうに地域づくりや人材育成と具体的につなげていくのか、こうしたことを話し合っていきたいというふうに考えております。そうしたさまざまな今後の課題に対していろいろと会議等の場を起こしながら、これから具体的に進めていくということになろうかと考えているところでございます。
●知事
きょうもだんだんと日差しが強くなってまいりました。熱中症対策、例年よりも早く始めなければならないのかなというふうに考えております。〔5月〕24日の日にその対策の会議を開かせていただくことにして、昨年度よりも、例えば救急関係の鳥〔取〕大〔学〕の先生に入っていただくとか、幅も広げながら対策を話し合うことにしようと考えております。昨年度のやり方とはいろいろと工夫して変えながら、具体的に、特に高齢者の方が畑でお倒れになると、こんなようなケースが去年も見られました。ことしも同様のことが起こりつつございますので、高齢者の方に具体的に届くような仕組みづくりとか、そうしたことを今後、話をしていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。そんなようなことをこれからやっていくことになります。
先般、香港のEGLツアーズには、大変にうれしい協定をもたらしてくださいました。鳥取県のこれからの観光シーズン、夏場に向けて大きな弾みがついたかなと思います。来週には庁内のプロジェクトの具体的な立ち上げ、チームの会議をしていきたいと思います。もう既に走り始めているところでございます。予算にも当然反映させるべきこともあろうかというふうに思いますので、これからどんどん向かってまいりたいというふうに思います。来るべき春から、初夏から夏にかけて、にぎわいのある鳥取県になるように全力を挙げてまいる所存であります。私のほうからは以上です。
○朝日新聞 山崎聡 記者
では、各社、質問をお願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、ドクターヘリのことで。今回の話の意義と期待をもう一言、コメントいただけますでしょうか。
●知事
県境があるからといって、命が救えないということは、あってはならないと思うんですね。したがいまして、医療につきましては県境を越えた取り組みが大切だと思います。それをそれぞれの県が力を合わせることでやっていこうという方向性の具体化がなされたこと、大変に感謝を申し上げたいと思います。これは島根県、溝口知事の御英断によるものでありまして、私としても、その気持ちに応えられるように県内の関係者といろいろと相談をさせていただき、本当にそれで命が助かる、あるいは悪くなるはずの症状が軽減をされるとか、そういうことにつながる具体例をこれからつくり上げていきたいと思います。県境を越えて命を守る、このすばらしい道に山陰が動き始めたこと、時代の変わり目を感じました。
13 岩美道路開通時期の見込みと残る区間の整備に関する要望
○日本海新聞 北尾雄一 記者
道路の関係でお尋ねしたいんですが、岩美道路の予算が昨年度に比べて2.6倍と大幅増になったということでしたが、開通の時期も見えてきたという発言もありましたけども、具体的に開通の年度を知事、思い描いていらっしゃいますでしょうか。
●知事
もう、あと、そうですね、二、三年、〔平成〕27年とか、そういう時期を今後目指していく等の話し合いをこれからしたいと思いますが、これから精査をしていきたいと思います。ただ、確実に言えますことは、じわじわと開通時期が前倒しされてきたことは間違いないです。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それから、残る区間として鳥取西道路と、それから駟馳山バイパスをつなぐ道路のルートというのがまだ見えてこないんですが、これに関しては国に対して要望等、いかにして進めていかれるんでしょうか。
●知事
これは、今回の〔国の当初〕予算に向けても要望させていただきましたけれども、このたびの予算の中には具体的にはまだ見えていないところであります。これは白紙から書かなきゃいけないわけでございまして、かなりハードルが高いといいますか、将来的展望からつくっていかなきゃならない事業路線でございますので、これは若干日にちがかかるのかなとは思っていました。ただ、これは国土交通省のほうにも、こういう必要性があって、残された課題があるよということは認識してもらえているという手応えは感じるようになってきました。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、メガソーラーの関係ですけれども、ソフトバンクさんが系統連系で電力会社との調整に苦労しておられるということですけれども……。
●知事
いや、ちょっとそれは、ごめんなさい、そこはちょっと私、言い方が不適切だったかもしれません。そこを実は区分けしながらしゃべっていまして、ソフトバンクエナジー〔SBエナジー株式会社〕のメガソーラーなどがございます。ソフトバンクさんについては、もう既に系統連系は問題ございません。ただ、それ以外にまだ〔ソーラー〕発電所がございます。そういうところの中には、ちょっとまだ接続できていない、形はできているけど。そういうところが生まれてきてしまっているんですね。このことを昨日〔5月16日〕、訴えかけました。私としては、これは規制緩和もあるでしょうし、電力会社側への働きかけもあるでしょうが、ぜひここは解消しないと再生可能エネルギーに弾みがつかないということを力説したところなんです。
孫〔正義〕社長がおっしゃったのは、これは北海道電力〔株式会社〕等を特に念頭に置いておっしゃったと思います。北海道電力で、要は太陽光発電所、これだけ要望があるという中のこれぐらいというふうに、かなり限定的な枠しか示さないということになっているようです。そういうようなことでは再生可能エネルギーの開発にブレーキがかかると、この辺の危惧を孫正義さんは述べておられました。そのことをちょっとつなげてしゃべったかもしれません。申しわけありません。
○日本海新聞 井上昌之 記者
じゃあ、崎津ソーラーパークの話ではないということですね。
●知事
ないです。
○日本海新聞 井上昌之 記者
わかりました。
○読売新聞 加藤あかね 記者
バイオマス発電なんですが、たしか予算だと28億ぐらいあったと思うんですけども、数億レベルにしたというか、する理由と、あと、いつぐらいから事業化をするような御予定になっているんでしょうか。
●知事
当初、予算で組みましたのは10億円の貸し付けと、それからあと、それに上乗せして補助をしていくと。この〔木質〕バイオマス〔発電〕の助成、特に集材をしていくとかいうようなこともございますので、その予算を組んでいたんです、これは1事業所当たりとして。ただ、今回、日新林業〔株式会社〕さんのプロジェクトについて具体的に話し合って検討していきますと、やっぱりストックヤード〔一時保管場所〕をつくんなきゃいけないとか、ちょっと我々も木質バイオマスは初めての経験でありますので、ちょっと我々として想定していなかったけれども、これ、事業者側も大変だなあということがあります。このストックヤードについて、当初予算にあわせて追加の予算措置が必要じゃないかと思います。
それから、これはほかの、さっきのメガソーラー発電所なんかもそうなんですけども、系統連系をここでやると。この系統連系の助成だとか、それから会社を立ち上げてやるときの利子補給だとか、これはほかの発電制度で持っている助成制度があります。こういうものもやっぱり適用していく必要がありますので、そうしたことでの追加予算が今回数億円程度必要になるだろうという認識を申し上げたんです。ですから従来のものに上乗せをしなければならない部分があるということです。
○読売新聞 加藤あかね 記者
そうすると、数億というのはどれくらいの数億なんでしょうか。10億近い数億もあれば1億、2億も数億なんですけども。
●知事
真ん中ぐらいの数億です。
○読売新聞 加藤あかね 記者
約でいうと。
●知事
約5億とか、そういう、ちょっとこれから精査しなきゃいけませんけれども、そういう数億レベル。10億ではない数億レベルということですね。
○読売新聞 加藤あかね 記者
そうすると、全体的にもともと組んであった予算、1事業所当たりの予算と比べると、事業規模としてはどれくらいの予算を県として配分することになるんでしょうか。
●知事
ちょっとそこはまだこれから、まだ精査してみたいと思います。ついこのたびそういう方向性が出てきたもんですから、我々も先方からいただいている宿題に答えを返す必要があるかなと思っていまして、その今、構想を申し上げたところでございます。
このストックヤードの問題というのは、これは林業の問題でもあるんですよね。今、実はチップ材が県内でちょっとだぶついちゃって、行き場がなくなってきているという問題があったんです。これはそういうチップ材を非常に多く活用してくれていた工場があったんですけれども、そちらのほうが受け入れが難しくなってきている。そういう流れの中で、やっぱりそれがとまってしまうと山の動き自体がとまってしまう、切り出しがとまってしまうと、そういうことでありますので、これ山側のほうの隘路を解消する意味もあるんですね。それを解消させるためには、やっぱりストックヤードがないと、こっちに運び込ませて、これを燃やしてもらうということにしなきゃいけません。もう山から運んだそばから燃やせればいいんですが、さっき申したように、山陰特有の季節的変動のこともありますし、どうしてもこれはちょっとやむを得ないところかなと。その辺は太陽光発電等とは性格が違うので、配慮すべき部分があるんではないかと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
そうすると、いつからぐらいを事業の始める予定として見込んでいらっしゃるんでしょうか。
●知事
まだ向こう2年ぐらいは、これから準備期間が要るんじゃないかなというふうには聞いておりますが、詳しいことはちょっと、我々は事業体ではありませんので、先方のほうが考えていく。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
たしか県内で2カ所ぐらい、こういう動きがあったというふうに理解しているんですが、これ、今回の日新林業さんは、どの地域に発送を検討……。
●知事
西部ですね、西部です。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
西部。
○NHK 林久美子 記者
すみません、ストックヤードの確保に関する支援というのは、土地を借りることだったりするのか、県有地を貸し出すとか、そういう……。
●知事
ちょっとそこをこれから精査したいと思います。これは当然施設整備がありますので、そういうことなど、これから動きがあると思いますね。ちょっと具体的な先方の事情とすり合わせなきゃいけませんので、まだ6月〔県〕議会までに整理をしたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
チップ材のその8万トンというのは、もう既に確保できるめどというのが、ストックヤードさえあれば、もう確保できるめどというのは立っていると言えるんでしょうか、事務組合さん等の協力を含めて。
●知事
だから、そういう意味で協議会をつくる必要があるかなと我々も思ってまいりました。今回も実は協議組織を立ち上げて、森林組合さんから何万トン出してくださいということをやらないと、8万トンには行かないですね。日新林業〔株式会社〕さんが自前で出せる規模をはるかに上回っておりますので。その辺がややこしいのが、ちょっと木質バイオマス〔発電〕の難しいところです。ただ、これができると、逆に森林組合など、山側からすると端材の部分がはけるようになって、これは投げて捨てると何のものにもなりませんが、それがはけるようになることで間伐材の切り出し促進などに大いにカンフル剤として役立つと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
森林保全の切り札として、知事は位置づけてらっしゃるということでしょうか。
●知事
そうですね。これはいわばエネルギー政策としてもそうですし、それから山の緑を元気にしていくと、そういう意味でも一挙両得のスキームではないかと思っています。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
住宅関係者からは、いいA材、B材も場合によってはそっちに流れてしまって、なかなか住宅用の材が確保できなくなるんじゃないかなという懸念も少しあるように聞いたんですけど、そのあたりはどうなんですか。
●知事
それは、少なくとも西部のケースでそういうことはまずないと思いますね。それは住宅関係者の方もおわかりだと思いますが、全然価格帯が違いますので、A材、B材とチップ材では。ですから、それは売るほうがそういう売り方をしませんので、そこのところは、むしろA材、B材を生産する、そのときに端材が出ますから、そのチップ材の吸収先が、ある程度お金が見えてくることでA材、B材の流通がよくなるというようになるんじゃないかと思いますけどね。少なくとも西部の場合は日新林業〔株式会社〕さんが、あそこは製材工場でございますので、そこで実は大量にチップ材が出るわけです。それとあわせて山のほうからチップ材を入れてくる。これを組み合わせて8万トンという高いハードルをクリアしたいと、こういう構想なんですね。ですから、こちらの場合でいきますと、ある程度は日新林業〔株式会社〕さんの自前の部分が出てきますから、特にそういう懸念には当たらないんじゃないかなと思っています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、ドクターヘリの関係に戻ってしまいますけども、これだとすごくいい話なんですが、あわせて鳥取大学医学部附属病院にヘリポートを整備するという話もあったと思います。そのあたりの進捗状況は何か聞いておられますでしょうか。
●知事
これは私ども、申し入れはこれまでもしてきましたし、実は県側として、それを支援する予算スキームも用意をしております。ただ、予算スキームにも期限がありますから、早く決めてやりましょうということをこれまで申し上げてきております。
鳥取大学も、このたび学長がかわられて、豊島〔良太〕学長になられました。今は順次、そういう大学の懸案について道筋をつけ始めておられると思います。その中でどういうふうに整理されるのか、今は注目している段階です。
○日本海新聞 井上昌之 記者
ドクターカーがスタートしましたので、結構ヘリポートのほうはちょっと後になっちゃったのかなというような心配があるんですが、そういうことでもないんでしょうか。
●知事
それは全く違います。例えば今、我々が豊岡ベースで3府県共同でやっている〔ドクター〕ヘリもそうですし、今回の島根県の〔ドクター〕ヘリもそうでありますが、当然ながら鳥取大学附属病院は一つの重要な受け入れ先であります。ですから、今も運んでいますけども、本来であれば病院にヘリポートがあって、すぐに運び入れるのがベストでありますから、その形をぜひ目指したいと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、そのドクターヘリって、そもそも基本的なことなんですが、鳥取県でドクターヘリが持てない理由というのを教えてもらえませんか。
●知事
ドクターヘリは、これは結構経費がかかります。したがいまして、それを導入するにはそれ相応の負担もつくということでありまして、最初に京都〔府〕、兵庫〔県〕と共同で運航を始めましたのは、その辺の隘路を解消するために共同運航ということをやろうじゃないかということで始めたわけであります。現にこのドクターヘリ、鳥取県内にも運用されて入ってきております。ただ、その際に課題として示されたのが、中・西部も含めて、もっと近場に〔ドクター〕ヘリを持つべきではないかということでした。そこで鳥取県としては防災ヘリ、これをドクターヘリ仕様に変えることをいたしました。その県の〔防災〕ヘリを飛ばして鳥〔取〕大〔学〕の救急チームを乗せて現場へ急行する、こういうことを現に運用を始めております。これがドクターヘリというものではないですけども、防災ヘリのドクター〔ヘリ〕運用でございまして、これも現に動き始めています。この二枚看板でやってきたんですが、さらに中・西部、特に西部ですね、一番豊岡基地から遠いですから、この西部について、今までもたぶん日南町の交通事故などを豊岡からのヘリで助けに行ったことも当然あるんですけど、もっと時間距離を考えれば、やはり島根県との共同運航がありがたいということでありまして、これは申し入れをこれまでもしてきました。両県知事会議でも話し合ったり、それから中国5県の会議でも話し合う中で基本協定が結ばれ、利用権協定が成り立ち、今回、実際に運用されたということになったわけです。今後、その需要動向などはもちろんにらみながら、鳥取県として独自にドクターヘリを持つことを放棄しているわけではありませんので、今後も検討課題として考えていきたいと思います。
○時事通信 小出秀 記者
飯島内閣官房参与の北朝鮮への訪問についてですが、まだ全く具体に中身が見えてこない状況ではあるんですけれども、鳥取県としては以前、すぐに、松本京子さんが帰国された際に備えて生活支援費などを予算に計上されておりますが、もう今後の鳥取県の立場としては、今回の訪問の中身などが見えてきて、何か具体的に進展があったなと思った場合に会議の開催などを行って今後のあり方を、やり方を検討していくということでしょうか。
●知事
仮にもし事態が動くということになれば、早速に米子市長と協議の場をつくりたいと思います。これはかねてそういう要綱を考えて、お互いの共通理解もありますので、仮に受け入れとなれば直ちに動ける体制に進めたいと思います。
昨日〔5月16日〕、そういうこともありまして、要請活動を内閣側にしようとしたんですけれども、事情が事情でございまして、きのうはかないませんでしたが、電話でお話を申し上げて、ぜひ道筋をつけていただきたいということを言いました。それで動きがあれば、すぐにもお知らせいただきたいと、こういうことを申し上げております。これからの動きを注視しながら機動的に対処したいと思います。
○時事通信 小出秀 記者
動きがあればすぐに知らせてほしいといったことに対して、向こうからはどういった返答だったんでしょうか。
●知事
それは、情報が入れば当然出したいと言いました。
○山陰放送 秦卓史 記者
すみません、子宮頸がんワクチンの接種についてお聞きします。全国ではワクチンの接種後、副反応で、中には重篤な場合を含め、全国でも1,000を超える事例がもう報告されているということで、国もきのう、検討などに入ったということなんですけれども、鳥取県として何かこれへの対応なり対策なりということはお考えでしょうか。
●知事
これは非常に専門性の高い話でございまして、症例分析等を本県のみではやり切れないところがあろうかと思います。したがいまして、国のほうの研究を注視する必要があるかなと思っています。ただ、女性にとって命に値するような話がございますので、大切なことでありますから、今後、関係者の何らか御意見があれば、我々として県でできる範囲のことは今後も考えていきたいなと思いますが、まずはちょっと専門性が高い分野であり、国のほうの動向を見たいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
県のほうで独自に県内の医療機関に問い合わせるとか調査するというような予定はないということ、今のところはないということですか。
●知事
これは、恐らく全国的な症例検討などがあろうかと思いますので、我々としても全面的に協力していきたいと思います。
19 従軍慰安婦に関する橋本徹大阪市長発言の受け取め
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません、今週の前半に橋下大阪市長の従軍慰安婦の問題が非常に世間をにぎわしましたけれども、知事は何かこれについて、どのように受けとめられたでしょうか。
●知事
橋下〔徹〕市長は、ある程度確信なり信念があってこのたびの言動に及んだんだと思います。彼の性格からすれば、そうなんだと思います。それも何かよこしまな意図があってやっているわけではないんだろうとは思うんですけれども、率直に申し上げて、橋下さんのために申し上げれば、撤回するのがいいと思いますね。今回の一連の発言については撤回されるべきではないかと思います。
これから橋下〔徹〕市長が外遊をされてアメリカに行くというふうに報道されています。サンフランシスコが大阪市の姉妹都市でありまして、あちらのほうにも行かれ、ニューヨークにも行かれるということでございますが、サンフランシスコというまちは、アメリカの中で最もリベラルな都市であるというふうに言われるんですね。人権意識が非常に強いまちであります。例えば同性婚の問題など、日本ではちょっとタブー視されるような面がございますが、そういう先鋭的な人権問題に対して非常にセンシティブ〔敏感〕で、包容力の高い地域であります。この辺はアメリカのいわば人間主義といいますか、ヒューマニティー〔人間性〕に対する高潔な理想がありますが、それの特に強い地域だと思ったらいいと思いますね。このまま、もしアメリカに行かれて、大阪市長として成果を上げられようとするのであれば、多分それは難しいのではないかなと心配をいたします。
いろいろと言辞を尽くされて説明をなされておられますけれども、根本はやっぱり認識の問題だと思うんですね。女性に対する認識であるとか、もちろん歴史問題も言われるわけでありますが、歴史は横に置くとしても、人権等も含めて、やはり人間社会として高い理想を持って臨まなければならない事柄について、いささか認識自体を変えなければならない面があるんじゃないかと思います。これは幾ら言葉を入れかえてみても、そこは難しいんじゃないかなと一連の報道を見て思っております。ですから、これは率直に撤回をされるのが本来ではないかと思いますし、最も橋下市長にも傷がつかないやり方だろうなと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
よろしければ、知事の従軍慰安婦ですとか歴史認識に対する考え方を少し教えていただければと思いますが。
●知事
こうした事柄は、外交に係る事柄でもございますし、国家間等も絡むことでありまして、これは相手先のこともございます。だからこそ、かねてからやっていますように、韓国や日本の歴史学者でこうしたことについて共同研究をしようというプロジェクトもあったんですね。そういう冷静な精察がまずもって必要なんだろうというふうに思います。そして、それについての発言なりが国家間の関係や、あるいは思わぬ国際社会からの、いわば差別にも等しいような反論を食らうことにもなりかねないと思うんですね。
そういう差別というのはどういうことかって、ちょっとこれ説明しないとまた話がごちゃごちゃになるかもしれませんが、ちょっと言い出しちゃったもんで若干申し上げるんですね。今回の橋下さんの発言でちょっと心配していますのが、私もアメリカに住んでいた時期もありますので思うんですけれども、とっても国際社会で受け入れられる発言ではないんですね。それはやっぱり人権ということに対する基本的な核心に触れるところがあるんです。
今、実はアメリカでアジアについて何が話題になっているかといいますと、ある韓国の高官が朴槿恵〔パククネ〕大統領と一緒に訪米をされて、朴槿恵さんが向こうで確固たる外交成果を上げられたと思いますが、その陰でセクシャルハラスメント事件を起こしている。これについてアメリカの捜査当局も調べているというようなことが言われているんです。そのときに、この人物は非常に知識もあって見識もある方なので、何か報道されたのは違った意図もいろいろとあるんだろうと思うんですけども、自分としての身の振る舞い方がアメリカ社会の文化に対する理解が足りなかったということを言われたんですね。これ今度、韓国の中でまた猛烈に批判を受けているわけです。そんなアメリカで認められないことは韓国社会も認められないと。ヒューマンライツ〔人権〕の問題でありますので、セクシャルハラスメントは当然ですけれども。
そういうことで今、一大騒動になっているんですね。ちょうどその時期にこの橋下〔徹大阪市長の〕発言がアメリカでも取り上げられ始めているというのは、ちょっとアジア社会に対するアメリカの、間違った差別観といいますか、偏見を持たせかねないところがあると思うんですね。ですから私は撤回するのがいいんじゃないかなというふうに率直に思っているんです。そんなようなことがございまして、事ほどさようにこうした事柄については、やはり人間としての尊厳にまず立ち返りながら、政治的意図は横に置いて、まずは発言の核心を考えていくべきものだというふうに思います。
これ、こうした歴史認識等、例えば村山談話のこと一つとってもそうでありまして、それ自体が国際的な議論に直結をすることでありますから、これは政府として、まず外交問題も含めて各界各層の意見を聞きながら、きちんと方向づけをしていくべきものであって、そういうものを念頭に置いて、我々行政のトップに当たる者も言説を行うべきものだというふうに考えております。
○朝日新聞 山崎聡 記者
よろしいでしょうか。
では、終わります。
●知事
どうもありがとうございました。