山や森の緑が美しく映える季節になりました。鳥取県は県土面積の73%を森林が占める緑豊かな県ですが、実は森林面積の半分以上は自然のままの「天然林」ではなく、人の手で苗木を植え育てた「人工林」、つまり「手づくりの森林」なのです。
鳥取県の人工林の割合(人工林率)は54%。全国平均の41%を大きく上回り、中国地方では最も高い水準です。人工林率の高い地域は高知県や三重県をはじめ、日照時間などの面で生育条件の良い太平洋側に多く見られますが、日本海側で50%を超えているのは鳥取県だけ。鳥取県は日本海側ではトップの「森づくり県」なのです。
鳥取県内で計画的な森づくりが始まったのは江戸時代後期。寺社の建立・修繕や大火後の復興などで天然林が過度に伐採され、荒廃が進んでしまったことが大きな理由でした。先人たちの努力が実を結び、今では智頭や若桜、日南など県内各地に森林が育っています。これらの森林が持つ水源のかん養や二酸化炭素の吸収といった機能を十分に発揮させるためにも、枝打ちや間伐のような手入れを続けていくことが何より大切です。
5月26日には「全国植樹祭」が鳥取県で開催され、記念植樹などが行われます。この機会に都市部の人や企業も含め、森林の恵みをみんなで守る気運を盛り上げたいですね。
資料:林野庁「森林資源の現況」(平成19年3月31日現在)
本ページは、平成25年5月22日付「日本海新聞」掲載の同題コラム(鳥取県地域振興部統計課執筆)からの再録です。