●知事
皆さん、おはようございます。
昨日〔7月4日〕から〔参議院議員〕通常選挙がスタートをしました。国民の厳粛な審判のもとに、これからの国政の大きな方向を位置づける、そういう大切な選挙でございます。そういう意味で、活発な議論が政党間で展開をされ、候補者間で展開をされ、それが今後の日本の方向性に大きなインパクトを与え、推進役を果たしていくことを御期待申し上げたいと思います。
この通常選挙に当たりまして、全国知事会のほうでも私どもなりのアジェンダ〔政策課題〕を提示いたしまして、それについての各党の意見を聞いてみました。8つの項目をぶつけたわけでありますが、それに対する答えも含めまして、今、各党の公約が出そろい、選挙戦がスタートしたわけであります。
7月2日に全国知事会の特別委員会として、私のほうから東京で各党の状況について公表させていただきました。地方分権という喫緊の課題がありますが、この争点が埋もれてしまうことにならないようにしなければなりません。そういう意味で活発な議論を期待をしたわけでございますが、私ども知事会のほうから提示したアジェンダをかなりの割合で公約の中に文言として盛り込んでくださった政党もありまして、そういう意味で、運動を展開した意義はあったのかなと思っております。
ただ、いろいろ慎重な議論が必要な項目もあります。例えば道州制であるとか、それからTPP〔環太平洋パートナーシップ協定〕の関連の施策であるとか、そうしたさまざまな施策がございますので、ぜひ国民の皆様の前で正々堂々たる議論を各党に展開をしていただき、厳正な審判を仰いでいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
●知事
そのような環境の中で、この週末から7月7日、8日、9日と、全国知事会議が愛媛県の松山市内で開催をされることになります。上京いたしまして、そこに提出するさまざまな議論項目の準備作業をやってきたところでございます。これからの広域的な行政の枠組み、国のあり方をどうするのか、例えて言えば道州制の問題ということがあります。そうしたことに対する考え方、これも一つのことになろうかと思います。それから地方分権の課題、交付税につきましても、ひょっとすると削減されるかもしれないという選挙後のさまざまな報道もございまして、我々の方のそういった地方分権についての考え方を提示していく必要がある。また、人づくり。これは子育てだとか男女共同参画も含めてでありますが、そうしたこれからの地域づくりの指針となるような、柱となるような、そうした事柄につきましても知事の間でコンセンサス〔合意形成〕を深めていく必要があるのではないかと思います。原子力安全対策。これも大きなテーマになろうかというふうに思います。幾つもそうした項目がございまして、これらについて活発に意見交換を行い、地方としての情報発信、我々なりのアピールを、この選挙戦の最中でありますが、やっていきたいということにいたしている次第でございます。
●知事
そういうような知事会の動きというのはあるわけでございますが、私どもの鳥取県のほうでは、先週、県議会が閉会をいたしました。地域経済の問題、あるいは子育て条例等、新しい条例をつくっていく、そんなような課題などにつきまして話し合いを重ねたところでございますが、可決をいただき、議案が整ったわけであります。6月県議会で決議された内容というものを我々執行部として、この夏の間、誠実に執行していく必要があり、それが県民に対する責任だと思います。
90億〔円〕を超える大きな異例の補正予算となりました。これを執行していくのも重要でございます。特に公共投資関係が78億〔円〕、6月補正〔予算〕で盛り込まれていました。これにつきましては、県庁内の担当部局のほうで、その推進の方策を確認させていただいたところでございますけれども、この上半期のうちに7割方、当初予算の分も含めて執行しようというような方針で臨みたいと思います。また、昨年度の末に2月補正〔予算〕で緊急補正〔予算〕という経済対策をやりました。こちらのほうに出てきたものも、先月〔6月〕末段階で大体73%ほど執行された状況にありまして、まあまあ順調に推移していると思いますが、この分につきましても上半期のうちに全部終えてしまおうという方針で向かおうと考えております。このようにして、アベノミクスについて今回、審判の対象に通常選挙はなっておりますけれども、もう既に成立した予算に基づく地域経済効果をできるだけ早く発現させていく意味で、そうした前倒し執行等で精力的に行っていく方針とさせていただきました。
4 あいサポート運動の推進を契機とした長野県との連携
●知事
こんなようなことなどがございますけれども、特にいろいろと議論をされた中におきましては、福祉の関係のことも6月県議会で議論をされたわけであります。あいサポート運動は、おかげさまで今週、長野県の阿部守一知事と協定を締結することが調いまして、今までの鳥取県、島根県、広島県に加え、長野県も加入をした、日本の中部地方にまで波及をした全国的運動への端緒を開いたわけであります。阿部知事とも意見交換を、その前後でもさせていただいたところでございますけれども、長野県はパラリンピックを長野オリンピックのときにやっているなど、障がい者スポーツをも含めて先導的に行ってこられたところでございます。そうしたところと提携をしてやっていくことは非常に大きな意味があるなと思いますし、障がい者芸術・文化祭を来年〔平成26年〕、鳥取県で開催することを申し上げまして、これにも長野県の協力を求めることになったところでございます。こんなように、障がい者関連施策を進めていくことも、6月県議会の一つのテーマとして話し合われました。答えを出していきたいと思います。
●知事
そういう中で、鳥取県のろうあ連盟の大会がございましたときに、私も出席をいたしましたところ、荻原〔耕三〕会長様初め鳥取県のろうあ者団体の皆様から、ぜひ鳥取県の手話言語条例を早期に提出をしてほしいと、全国をリードしてほしいという非常に強い要望をいただきました。実は昨日もこの手話言語条例の案をめぐりました委員会が開催をされたところでございます。今、具体的にそうした声を受けて、できるだけ前倒しをしてスキーム〔枠組み〕を詰めていこうという話し合いをしています。昨日〔7月4日〕の委員会の中でも、手話言語条例についての理念、考え方であるとか、あるいは県の責務、あるいは関係者の責務、またこれからやっていくべきこととして教育現場の環境整備や、あるいは手話に親しめるような、そういう地域づくり等々のいろいろな方向性が具体的に昨日も話し合われたところでございます。
また、関係者と話し合いをして、今月〔7月〕中に手話についてのフォーラムを、住民の皆様にも問題状況を知っていただく上で開催しようではないか、こういうような今、準備を始めたところでございます。徐々に環境が整いつつあると思いますので、これから県議会とも、常任委員会での報告など、随時話し合いをしていきたいと思いますが、早ければ9月県議会提出を視野に入れ始めて検討を精力的に行っていきたいというふうに考えております。今回の早ければ9月県議会提出とも、少し視界が開けてきた手話言語条例とでも言うべき新条例でありますが、全国の関係団体、ろう者等の集まりなども非常に期待を寄せているところであり、日本財団のような、そういう応援団もできてきておりまして、鳥取県からそのモデルを示す意味はあるだろうというふうに考えているところでございます。
●知事
また、とりぎん文化会館の前にハンセン病の大変な災禍をもたらしてしまった、いわば行政もかかわった重大な事案でございましたハンセン病問題、このことについての、それを忘れない碑が設置をされたわけでありますが、それから5年という歳月がたちました。来週、7月9日に岡山県内のハンセン病の療養施設を私自身もお訪ねをさせていただき、献花を行い、また入所者の皆様と意見交換を行うなどすることにさせていただきました。こうした重大な人権にかかわる、これは国を挙げてのことでありましたが、そうした課題、問題につきまして、それと今後も真摯に向き合っていくこと、これが大切だというふうに考えております。来週、岡山のほうを訪ねることとさせていただきました。
7 いじめ防止対策推進法成立を踏まえた鳥取県における対応
●知事
教育につきましては、選挙前にいろんな新しい方向性のスキームが出ました。教育委員会制度をどうしようか、これも来る全国知事会議で話し合われることになろうかと思います。現実にも各党には教育委員会改革をアジェンダとして投げて、それぞれの党でそれぞれの考え方が述べられていたところでございました。我々地方のスタンスでの提言ということも、この知事会議の中で話し合う必要があると思っているところでございます。
そういう教育改革の一環として、与野党のすり合わせ等もあった上で、さきの通常国会で成立したのがいじめ〔防止〕対策〔推進〕法でございました。このいじめ対策の法律は、議員立法で国会で成立したわけでございますが、9月28日に施行時期を迎えることになります。それに向けて我々としても体制を整える必要があるかなと思っております。
鳥取県では、教育委員会と知事部局との間で教育振興協約〔鳥取県の子どもたちの未来のための教育に関する協約〕というのを結びました。その教育振興協約を去年の夏に、改定をしまして、いじめ対策につき、〔滋賀県〕大津〔市〕の事件などを反省材料にしながら、例えばいじめの検証委員会を設けるとか、それからサポートチームをつくるとか、そうした対策を打ち出したわけでございます。これは全くの県と県の教育委員会独自の方針として出させていただき、その後、市町村の教育委員会等ともすり合わせをして体制整備を進めてきたところでございます。
今回の法律の中にも、いじめ問題についての検証をする委員会の設置をすることができると地方公共団体に認めているところでございます。私としては、これまでの本県独自の取り組みをさらに前進させるという意味で、新しいいじめ対策法を活用するのがベターではないかと考えております。その意味で、早急に教育委員会側と知事部局側で話し合いをさせていただいて、この新法と我々のスキームとをどういうふうに組み合わせて効果的ないじめ対策を鳥取県として環境整備していくのか、これを整えてまいりたいと思います。
例えば鳥取県いじめ問題検証委員会というのを今、知事部局で設置をすることを、教育委員会と了解をとっております。実は現実にはもう仮の人選もやっておりまして、例えば東部、中部、西部というような想定で、実際にいじめについての訴えのあった方の御意見も参考にさせていただきながら人選できるような、そういう体制をとっているところでございます。このスキームを新しい法律を受けたスキームでも活用したいと思います。法律の中では30条、31条といったところで県立の学校や、あるいは市立の学校での事案につきまして、教育委員会や学校の申し立てで執行部局のほうで、知事部局のほうでそういう検証を行うような、そういう組織をつくることができるという規定になっていますが、私は、鳥取県としてはそれを常設的につくっていきたいというふうに思います。何か事が起こったときに、すぐに対処できる人材をあらかじめ想定をしておいて機動的に立ち上げていくと、そういうようなことで対処をしたいと思います。
そういうこととあわせて、私どもの県の場合は独自に学校だとか、それから教育委員会だけでなくて、当事者側のほうからも申し立てが可能なような、そういう形で門戸を開いてやっていってはどうかというふうに考えておりまして、従来の教育振興協約で想定したスキームを拡充しながら、今後は展開していきたいと思います。例えばそうしたことをやろうと思いますと、9月28日に法律が施行されるということもありますので、県のほうでも何らかそういう検証委員会をつくるだったらつくることなど、条例上の根拠づけも必要かもしれません。至急そうした条例上の根拠づけも含めて検討をさせていただこうというふうに考えております。
8 地域活性化総合特区の認定と関西広域連合による国家戦略特区に向けた提案
●知事
経済や雇用の環境につきましては、我々のほうはまだ一進一退かなという感覚もあるんですが、昨日〔7月4日〕、日本銀行のレポートとしては、中国地方においても全体として持ち直してきているという評価となったようでございます。現実問題、いろいろ今までも県内企業の中小企業の振興、新しいチャレンジの応援、あるいは私どものほうで企業誘致を積極的に展開する、特に鳥取道が開通をするなどの効果もあったり、あるいはリスク分散に対して先般の6月県議会でも海外からの転入につきまして応援する施策を整えましたが、そういう鳥取県独自の、こちらに呼び込んでいく企業誘致施策、これがある程度功を奏してきているところもありまして、求人と求職のバランスがある程度戻りつつあるということかなと思います。現実にもこのたび発表された有効求人倍率は0.82というポジションになりました。私も就任して初めて0.8を超えてくるということになったところでございますが、それでもまだ全国平均は0.9でございますので、これに向けてまだまだ我々としてやっていかなきゃいけないことは多いというふうに考えているところでございます。
そういう中で、先月末、6月28日に国のほうで総合特区の指定を県西部のほうで受けることができました。今回の6月県議会でも、こういう特区を想定をしながら新制度の提案を議会中にさせていただき、可決をしましたが、それに基づいて、例えば1.43の利率のものを国と、それから県の新しい県議会で成立したものとを合わせて0.03の利率で借りられるようなスーパー制度融資みたいなものを特区関連の業態分野については考えられる、そういうようになったところでございます。こういうように、特区が成立したというのは非常に我々としてもありがたいことだと思いますし、これを生かしてまいりたいと思います。
あわせて、今、国のほうで議論されているのが国家戦略特区というものでございます。どうもこれ、知事同士で話をしても、大都市偏重じゃないかなという議論が出がちなものであるんですけども、制度スキームとしてはオープンに開かれたスキームで今、議論をされているわけであります。
先般、関西広域連合の委員会が開かれました。そのときにお互い確認をしたことに基づいて、鳥取県の主張も関西広域連合で反映をしてもらいまして、国のほうに提出をする関西広域連合としての国家戦略特区の構想の中に鳥取県の分野も入れ込むということで、リンケージ〔関連〕をつけていただくことになりました。イメージとしては、私が主張したのはクラスター〔集団〕的に、当然関西、京阪神が中心なんでございましょうけれども、関連の分野というのはオープンというか、かなりリンクして周辺地域である我々鳥取県のようなところにも広がっていると思いますので、その辺をやはり関連づけた特区の申請、要請をしてもらいたいということで申し上げたところでございます。それを反映した形で、このたび国のほうに提出をする運びとなりました。
具体的には、一つはバイオサイエンス関連ですね、こうしたところでも関連があるわけです。例えば京都のiPS〔人工多能性幹細胞〕の研究所のようにライフサイエンスの牙城があります。大阪であれば製薬業の集中したゾーンがございますし、そうしたところと我々の地域もあわせていけるものがあるわけですね。例えば筋ジストロフィーの治癒に向けて新しい治療法を開発しようと。それにヒトの染色体をのせたベクター〔遺伝子組み換えに用いられる核酸分子〕を、これは鳥取大学のほうで開発をしているわけでありますが、そこにジストロフィーの遺伝子というものを組み込みまして、それでやっていくと。そうすると、これマウスの段階でありますけれども、筋ジストロフィーが回復をするというようなことになります。これをiPSというか、幹細胞ですね、それを絡めるわけです。そうすると遺伝子が正常化していくことで筋ジストロフィーの治療にも効果があるかもしれないと。これはアメリカの学会にも鳥取県の鳥取大学のそういう論文として掲載をされているところであり、注目をされているわけです。こうしたことでいろいろと結びつけながら、ライフサイエンスを語ることができるはずであります。
あるいはエネルギー関連でも、本県の中にもリチウムイオン電池の工場がございますが、ごく小さな、そういう電池の開発であるとか、さまざまな分野で関西の一角として鳥取県も絡み得るところがあると思います。そうしたことも含めた特区という形で、ぜひ国家戦略特区に向かってもらいたいと、こういうように考えておったところでございますが、広域連合としてもそれを理解して、全部入れた形で出そうということになりました。そんなような意味で、これから展開していけばありがたいなというふうに考えているところであります。
9 原子力発電所に適用する新規制基準等に係る国への働きかけ
●知事
先ほどもちょっと触れましたけれども、原子力安全対策については知事会のほうでも議論がなされるかと思いますし、担当の特別委員会のほうでの話もなされるスケジュールにさせていただいているところであります。7月8日をもちまして新規制基準が発効するということになります。これにつきまして先般、上京して〔原子力〕規制庁の池田〔克彦〕長官に要請活動を行いました。我々地元としては、この規制基準、従来よりは、それは進化していると思いますし、世界最高水準を求めるんだという気概もわかりますが、例えば〔東京電力〕福島〔原子力発電所〕事故の検証がこれからなされるでありましょうから、もっともっと必要なことをやっていかなきゃいけないというようなことを申し上げたり、鳥取県としては、新しい規制基準に基づいて、我々のほうでもさまざまな、今度は防災対策等も進めていかなければなりませんが、そうしたことへの手当てが必要だということも申し上げたりしました。
また、私どものほうで、子供たちにヨウ素剤を飲ませるのは大変なんですね。飲みやすくするためにシロップをまぜてやらなきゃいけない。そうすると、これ一々薬剤師さん等で調剤していただかなければならないわけです。ですから、新しいそういうヨウ素剤を開発してもらいたいと、そんなようなことを申し上げたり、また、大事な課題として、これから再稼働の議論が始まるでしょうと。そういう議論が始まるタイミングになってきたわけでありますが、周辺地域の意見も聞きながら、そういう議論を進めてもらいたいと、こういうことを強く主張させていただいたところであります。
規制庁の長官のほうからはいろんなこと、お答えがございましたけれども、ヨウ素剤につきましては、子供たちでも飲めるような、そういう子供用のヨウ素剤の開発に企業ベースで着手する見通しも出てきたというようなお話がございました。再稼働については、これは規制庁だけの問題でないという認識を言っていまして、資源エネルギー庁、経済産業省といったところ等も役割を果たす中で、この再稼働については政府全体として考えていくと、そういう趣旨かなというふうに私には聞こえました。いずれにいたしましても、これから事態が全国で展開していくと思いますので、我々としても注目していく必要があろうかなというふうに考えているところでございます。
10 新たに拉致被害者の可能性があるとされた方への対応
●知事
拉致問題につきましても新しい展開がございました。これにつきましては、現在進行中のことだと思いますが、新たな捜査線上に上がっている方というのが、警察のほうでの公表がこのたびなされたところでございます。これはいろいろプライバシー等もあるかもしれませんので、私どもとして地元の市町村を通じて被害御家族と想定される御家族とも話をさせていただいた上で、これからの拉致被害者対策の中に加えながらやっていく必要があるかなと思っております。従来、松本京子さんが政府認定の拉致被害者ということでございますけれども、そのほかにも拉致されたのではないかということで告発をされるなど、既に明らかになりまして、こういう我々の拉致被害者対策の範疇に入れさせていただいている方々もいらっしゃいますが、それに新たに今名前が出てきた方につきましても、至急協議をさせていただきながら検討したいというふうに思います。
いずれにいたしましても今、国際情勢が非常に流動化したり、何か本当で国際情勢が変わる兆しが出てくるのかなと思うようなところもありますけれども、ただ、政府として全力を挙げて取り戻すというふうにおっしゃっていますので、我々としてもそれをぜひやってもらいたいと、これは強く今後も求めていきたいと思います。全面的な解決に向けた前進を望むところでございます。
●知事
我々として新しいパートナーシップ県政を進めようということでやってまいりましたけれども、アドボケイト・プランニング〔住民の味方につく専門家を公費助成するシステム〕、ないしはアドボカシー・プランニングと言われる行政手法を導入しようと考えております。これは例えばニューヨークのグラウンド・ゼロの再建を今しています。そのときに導入された手法でありますけども、住民の皆さん御自身が考えていただいて、それを実行に移すという、それを行政セクター〔部門〕のほうが支えるというやり方ですね。今回は3件を想定して当初予算でも事業化をしたところでありますが、今11件、県内でこのアドボカシー・プランニングへの手が挙がりまして、7月7日に、これは有識者による選考会を実施することになりました。私どもとしては、ぜひこれをきっかけにしてパートナー県政が一層前進する、鳥取県民参画基本条例が描くような、そういう参画の行政というものが前進することを願っているところでございます。
●知事
これから週末、またいろんな行事も出てきます。東京のほうでは、これはスイカ畑を六本木で再現しようと。これは北栄町と鳥取県等とが共催をして行う事業でありますが、これが7月6日にスタートをすることになります。そのスイカ畑はこの夏、にぎわうということになりまして、6日の日には屋台も出して直販をしたり、また楽しいステージというようなことも検討しているところでございます。
また、〔第3回境港〕まぐろ感謝祭がございます。日曜日の朝ということになりますが、これもことしはマグロの漁が結構いいんですね。イカがこっちに回遊してきていることもあるんだと思いますが、そうしたことでいい漁になっておりまして、多くの来場者でにぎわうと思われます。湯梨浜町の恒例のハワイアンのフェスティバルも土、日と開かれるなど、さまざまな夏休みを感じさせるイベントが始まるわけでございます。ぜひ県民の皆様におかれましてもお楽しみをいただければと思います。
●知事
心配しておりました渇水でございますが、ここ数日も結構降水がございます。例えば昨日〔7月4日〕も〔日南町〕茶屋のほうで10数ミリ観測をされていたりしまして、だんだんとこうやって上乗せをされてきておりまして、菅沢ダム等では平均並みに近づきつつある湛水率に回復をしてきました。いまだ注意体制を解いたわけではございませんけれども、7月下旬の新たに農業で水を必要とする時期への備えぐらいは今、もうたまってきているんじゃないかなというように関係者は見れるようになりました。そんなようなことで、一息つきかけてはおります。ただ、逆に豪雨災害等もこれからあったり、また竜巻の注意報が出されるシーズンにもなってきました。そうした意味では、御警戒のほうもお願いを申し上げたいと思います。私のほうからは以上です。
○共同通信 千野真稔 記者
それでは各社、質問をお願いします。
○読売新聞 加藤あかね 記者
手話言語条例の関係なんですけど、きのう、委員会の中でも、どこまでやる覚悟が県にあるのかと、具体的な内容なんですけれども、条例自体がわかりにくいというか、漠としているところもあるとは思うんですけれども、知事としてはどのくらい、条例に何を盛り込もうと思っておられるのかというお考えを聞きたいんですが。
●知事
きのう〔7月4日〕、私どもの受けとめとしては、そういう概括的な感じに見えるようなものかもしれませんけれども、手話についての基本的な考え方、これを明らかにして、それで県行政として、あるいはパートナーシップを組みながら、住民の皆様、あるいは市町村等でもやっていただく、そういうことを書いていくような条例のイメージが、コンセンサスができたんではないかなと思ったところであります。もちろん関係者ともよく今後もすり合わせをしていきたいというふうに思います。
覚悟という御趣旨は、いろんな翻訳もあると思いますので、それがどの程度のことかということはありますけれども、我々としては、明年〔平成26年〕、障がい者の芸術・文化祭を控えて、やはり障がい者の共同参画に向けた体制づくりをやっていく、その意味で手話というのは重要な要素だというふうに考えておりますので、この条例が成立をすることとあわせて、これは条例以外のところになりますけれども、予算上、あるいは日本財団のような応援団の応援も得ながら、モデル的な地域を目指した取り組みをやっていきたいということであります。
予算ではありませんので、条例の中にそこを一つ一つ書き込むというものではありませんが、県の責務であるとか、教育の環境整備であるとか、それから手話に親しめるような、そういう地域社会づくりであるとか、そうした基本的な考え方を新たな条例の中に盛り込んでいこうということであります。今後、これをこの夏、何回かやりまして煮詰めていって、それで当然ながら議会とも折に触れて進行状況を協議をしながら、早ければ9月議会を目指して取り組んでまいりたいと思います。
15 原子力発電所に関する電力会社による自主的な取り組みへの認識
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、原発のことでお尋ねさせてください。新規制基準が来週施行されるというのはあるんですけども、一方で現状、関係自治体が何らかの形で関与したりとか、こういう対策でいい悪いといったことで意見を反映するということが今のところないままの状態で、既に電力会社のほうは安全対策を自主的な取り組みとして進めてきておるという現状があるんですけれども、まずはその現状、要するに自治体が関与するという場面がないままにどんどん電力のほうで安全対策が進んできておるという状況についてどう思われるか伺ってもいいですか。
●知事
御質問の趣旨に合うかどうかはちょっとわかりませんけれども、電力会社が対策を進めるのは当然だと思います。それは可及的速やかに、それは進めなければならないと。それは周辺住民に対する責任でも当然ながらあると思います。特に東日本大震災という災禍があり、そこであってはならないはずだった原発事故というのが起こってしまった。これに今なお福島の方々は苦しんでいますし、県内の農林水産物のようなものを含めて間接影響も出ているというような状況であります。こんなようなことを考えますと、当然ながら前倒ししてでも整備は進めていく、対策は進めていくということは当然でありまして、それを何か我々のほうで問題視するほどのこともないのかなという気はいたします。
ただ、そこでコミュニケーションは同時に必要だと思うんですね。一番関心を持っているのは周辺の住民たちであり、私ども自治体でございます。我々も責任を持って、そういう地域の安全というものを図っていかなければなりませんので、当然ながら十分なコミュニケーションをとりつつ進めていく必要があると思います。その意味で、どんどん電力会社が対策を打つということとはちょっと別の次元かもしれませんけれども、安全協定のようなものがあるわけですね。今、新潟〔県〕の事案を見ていただければおわかりのように、そこで、あそこはうちと同じ沸騰水型なんです。沸騰水型の場合はフィルターつきベントというものを今度、新規制基準で義務づけているわけでありますが、そのフィルターつきベントを整備しようということについて、新潟県がそれに待ったをかける形になっていますね。これはだから、そこでまた今、きのうも大分火花が散ったみたいですけれども、安全協定に基づく事前協議が必要な設備であるかどうか、そういうようなことでのやりとりが今、電力会社と立地自治体である新潟県との間で交わされるようになってきています。
事ほどさようでございまして、我々が法的にかかわれる分野というのは、そういう安全協定だとか原子炉等規制法だとか、そうした法令に基づく、あるいは契約に基づく、協定も契約でありますから、そういう法的地位で請求をしていくということだろうと思います。それの限界がどこまで行くのかというのも、今のまさに新潟県と〔株〕東京電力の間で議論がありますけれども、その事前協議の対象となる設備なのかどうかということがあるわけですね。問題状況というのはこういうことじゃないかなというふうに思っています。安全水準というのを高める努力というのは絶対に必要でありまして、それはやってもらう必要があるわけでありますが、お金をかけてでも。ただ、あわせて地域とのコミュニケーションということも図っていかないと、こういう原子力発電所の設置運営ということは電力会社側もできない環境にあるんではないかなと思っております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
そのコミュニケーションというのは、具体的に例えばこういったレベルのものというので、もしイメージしていらっしゃるところがございましたら。
●知事
ですから、今回の新潟の場合は、コミュニケーションがとれてないんですよね。ああいうことはやっぱりあってはいけないことなんだろうというふうに思います。これは、ただ、その事前協議の対象はどこまでなのかと、これは安全協定の問題ですけれども、そういう協定上の地位というものをめぐった争いもその背景にありまして、そこはちょっと難しい厄介な問題ではあろうかと思いますが、ただ、やっぱり地元ともよく話をしてもらわないと、電力会社がただこれは当然安全に資するからやるんだということだけでもないという面もあると申し上げているわけです。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
ちょっと話が飛ぶかもしれませんけど、身近でいいますと島根原発がございまして、中国電力は恐らくいつかの時点、国に対してこの新しい基準に基づいて島根はこうやりましたというのを出して、国がそれを審査して、どういう形になるかわからないですけど、再稼働に向けての手続が進んでいくんですが、そのときに関係自治体である鳥取県としては、例えばその再稼働を判断するに当たって、例えば同意というようなことになるのか、理解というようなことになるのか、どういうところまで中国電力が考えておるかわかりませんけども、平井知事のお考えでは、どういったような形での鳥取県の関与が望ましいとお考えでしょうか。
●知事
これは、この記者会見でもたびたび申し上げてきたところでありますけども、我々は何もないところから始まっています。立地自治体については同意を求めるということで、これまで電力会社が運用してきました。それとあわせて安全協定というものがありました。厳密にいうと安全協定の同意という項目に再稼働というのは入っていないんです。ただ、慣例上、地元の自治体に同意を求めるということをやってこられました。これが、じゃあ今まで何も法的地位がなかった我々でありますけれども、今、ようやっとその法的地位ができつつある。
一つは、鳥取県が全国に先駆けて安全協定を結び、そこで同意という言葉には厳密にはなっていませんけれども、事前に我々と意見交換をしていくということを今回盛り込まれたわけですね。さらに前回の改定といいますか、その協議に当たって2月の県議会中に先方から文書での覚書、申し入れがありました。このメモランダム〔覚書〕によれば、立地自治体と同等の扱いをするというところを初めて中国電力側が書いたわけです。そういう意味で、私たちは安全協定の内容的にも立地に限りなく近いものになっているんだろうというふうに思っているところであります。これが一つ、我々が勝ち取った、今回新たに鳥取県がアクション〔行動〕を起こして勝ち取った部分です。
あともう一つ、法律も変わりまして、今おっしゃったように関係自治体として、関係周辺自治体として我々が位置づけられたわけでありまして、その意味での権能というものも持ったところでございます。
ただ、こういうような環境の中で原〔子力〕発〔電所〕が再稼働したとか、運転をされたというケースはないんですよね。我々のところがどうなるかというのは、だからまだ羅針盤のないところでございまして、私たちとしては、そこに非常に重大な関心を持っているということであります。
かねてから島根県の溝口〔善兵衞〕知事ともこの問題について協議をしてまいりましたが、溝口〔善兵衞〕知事のおっしゃり方としては、周辺地域の意見を聞きながら自分たち立地としても行動していきますよと、発言していきますよというお話がございます。これは東日本大震災以後の新しいチャネル〔道筋〕として認識されるんではないかなと我々は思っています。
また、当然ながら中国電力には安全協定の改定を求めていまして、我々としては立地地域と同じように周辺の意見を聞いていくという形をとってくれるんでしょうねということを、これまでも申し入れをしてきているところであります。
また、国に対しては、先ほども申しましたとおり、これからの再稼働云々が起こってくる局面で、周辺地域の意見を聞きながら進める必要があるということを申し上げていますし、法的な新しい仕組みなりが必要じゃないかということも申し上げております。
ただ、これ、ここから動く動き方の問題ですね、これからどうなるかというのは、正直我々はそういう思いをこれからも訴え続けますけれども、じゃあ電力会社や国がどういうふうに対応してくるか、これはまだブラックボックス〔不明〕のところでありまして、我々としても関心を持っているところであるというのが現状です。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
もう一つだけよろしいでしょうか。最後おっしゃられましたように、再稼働ということに向けて、例えば国がどういうふうに関与していくのかということもはっきりしておりませんで、例えばの例で申しますと、電力が安全対策を基準にのっとってして、国が審査してオーケーですよということになった場合に、国がじゃあ、これは、この原発は再稼働しても大丈夫だということを、例えば判断して、その上で地元の関係自治体に国としてはこういう判断をしたのでよろしくお願いしますというような流れになっていくのか、もしくは、そういったこともなしに、もう国はほったらかしで地元がどうするか見とるということになるのかもわからないということで、一番いけないのは、国が関与をするのかどうかということもはっきりしない状態で、そうすると責任の所在もはっきりせんということになっていけないんで、国がこういう形で関与すべきだというところで、もし知事のお考えになっておられることがございましたら。
●知事
先般、実は池田〔克彦原子力規制庁〕長官に今申し上げたような要望をした際に、正確に長官のお言葉を申し上げますと、〔原子力〕規制庁は規制に適合するかどうかということの判断をしますと。ただ、政府部内で今話し合いをされていて、先ほど申しましたように資源エネルギー庁だとか、それから経済産業省といったラインがあるんですね。で、再稼働を現実にするかどうかということになると、むしろ政府部内ではそちらのほうが当事者としての任に当たるんじゃないかと、こういう見方を述べておられました。
現実にこれは政権交代前の話になんですけれども、政権交代前の大飯原発の再稼働を考えていただいたらそうでありますが、政府として判断をするというような形をとりましたですよね。そういうようなことなので、これからどう展開するかは正直わかりませんけれども、政府部内でもいろいろ議論がなされていることは間違いないだろうと受けとめました。それについて政府としても一定の役割を果たす用意があるのかなというふうに見えましたし、前回、大飯原発を稼働させるときには、政府の高官が福井県だとかおおい町はもちろんでありますが、別途京都府とか、あるいは滋賀県のほうにも、いわば政務三役を派遣してきましたですね。ですから、どういう動きになるかというのはこれからちょっとわかりませんけれども、ある程度政府が関与する、そういうやり方を想定しつつあるんではないかなというふうに聞こえました。これは今後の話でありますけれども。我々として申し上げているのは、周辺地域の意見も聞きながら、こういうことには対処してもらいたいということ、それから法的な枠組みが必要なんじゃないかなと、そうしたことも検討してほしいということを申し上げているところであります。
18 データセンターや本社機能の地方移転への取組状況
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、よろしいでしょうか。きょう、知事のほうから中国地方の雇用の話なんかもございまして、鳥取県の有効求人倍率も上がってきているんですけど、まだまだ全国水準を下回ると。今回の参議院選で一つ、景気、雇用の対策が大きな争点と言われていますけども、知事も全国知事会の政策、評価の委員長をしておられますけれども、政権与党の自民党さんの経済対策なんかを見ますと、例えばデータセンターの地方移転ですとか、あるいは本社機能の地方移転とか、こういった鳥取県でもいろいろと誘致を進めてこられているような分野の新しく促進を図るというような項目も入っています。この参議院選後に動き出してもなかなか遅いと思うんで、既に動いている話もあるかもしれませんけども、参院選を見越して何か鳥取県にいい話がないのかなと思って期待しているんですが、いかがでしょうか。
●知事
データセンターにつきましては今回、自〔由〕民〔主〕党のJ-ファイル〔2013総合政策集〕と言われる公約の中にございまして、私もびっくりしたんですけども、データセンターの移転についての支援ということを書いてありました。これはいわばリスク分散なわけですね。要は国土強靱化的な発想の一環なんだと思います。そういうことであれば、鳥取県は適地の一つになり得るわけでありまして、精力的に今、そういうことを検討し得る企業さんに働きかけをしていますし、実際、そうした会社のトップの方々にも私のほうから、今回、自〔由〕民〔主〕党のJ-ファイルにこういうものが入っていましたよと、それから県としても6月県議会でデータセンター移転の支援という独自のものを組んでいますよということを御紹介申し上げまして、いろいろと今アプローチをしているということであります。
ただ経済行動でありますので、企業さんがどういう選択をされるかというのは、我々としてもなかなか確実なところに持っていくのが大変なんですけども、精力的に参議院選挙後の新しいそういう国としての支援スキームや産業再配置の考え方を援用させていただいて働きかけをしたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
事務系の求人が少ないというアンバランスさはまだ非常に残っているんだと思います。求職者は多くても、なかなか職がないと。そういう意味でデータセンターなんかは期待できると思いますし、あとやっぱり本社機能の移転ですよね、リスク分散の関係だと思いますけども、こういった点でもいろいろと、いろんなところとお話を進めておられるんじゃないかなと勝手に想像するんですが、例えば選挙後ですとかにいい話になって、どっと出てくるような見通しにならないのかなと思いまして。
●知事
私は、ちょっとこれからタイムスケジュールでどうなるかわかりませんが、〔参議院議員通常〕選挙が終わった後、どういう政権の枠組みになるにせよ、秋ごろにはやはり経済産業関係で一定の施策を出さざるを得ないだろうと思います。そのことをいわば風を読んでいけば、今のうちから企業さんにアプローチをしていくことが必要だと思います。それを見越しながら6月県議会に海外からの移転であるとか、それからデータセンターのことであるとかを積極的に盛り込んだところでございまして、実際、企業さんを回ると、やっぱりかなり企業経営、厳しいところが多いですから簡単ではないんですけれども、企業さんによっては、鳥取県の施策にびっくりされて、そうであればちょっと考えてみるかなというようなところもないわけではございません。これから我々としても庁内、ねじを巻かせていただきまして、今では0.82という水準でありまして、特に東部が低迷状況が続いておりますので、大きな企業系列が抜けた穴をどうやって埋めていくのか、我々としても動いてまいりたいと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、いじめの関係の検証組織でしたっけ、いじめの関係の常設でつくりたいと言われてたんですけれども、今までもそういう組織というか、ないわけではなかったように思うんですが、いつごろ、どこの部署で、どういう、外部の有識者なりなんなり、どういうものを組織をしようということでしょうか。
●知事
今、実は一つの、バーチャル〔仮想〕な構想として教育委員会との教育振興協約に基づきまして、いざというときに鳥取県いじめ問題検証委員会というのを立ち上げようということで合意をしています。その人選についても想定をしようということでリストアップもしています。ただ、これは問題が起こったときに動き出すものでありますので、ふだん、現実に今存在するかといったら、これはバーチャルなものであって、存在していないということだと思います。
ただ、これについて今回、法律〔いじめ防止対策推進法〕ができました。その中に、これはできる規定、やらなくてもいいということなんですが、知事部局側でいじめ問題について、個別具体の事案につきまして検討を加えるような、そういうことをやってもいいというふうに議員立法ができました。私としては今回、議員立法を受けて、いろいろと教育振興協約で、教育委員会と取り決めてきた内容をもう一回整序しなきゃいけないと思うんですけども、そのうちの一つの項目として、このいじめ問題検証委員会を法律の30条、31条に基づく調査機関としてきちんと位置づけておいたほうがいいんじゃないかと思います。
常設的にというふうに申し上げましたのは、これは事件が起こって初めて動くものなので、人選等はそのときに行うということにするにせよ、例えば条例の中で鳥取県いじめ問題検証委員会というのを設置するというような条例を持っておいて、それで臨機応変に立ち上げてというか、要は人選をして、その問題その問題に向かっていくというようなやり方もあるのかなというふうに思っています。これから教育委員会側とも一応合意をとりながら速やかに体制を整えたいと思います。
20 復興財源を活用した基金に係る国からの返金要請への対応
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません、復興予算のことでお伺いしたいんですが、国が復興予算の未執行分を自治体のほうに返還を求めるという話が報道されているところですけども、これについて鳥取県のほうに何か具体的に国から既にお話があったのか、それから、もしそういう話があると、影響額は幾らになるのかというのは試算していらっしゃいますでしょうか。
●知事
今週に入りまして、復興庁と財務省だったかと思いますが、共同の通知文書が来ました。これは世上報道されている返還要請というものだと思います。実はそこに具体のこの事業この事業というのを列記されていまして、それとあと返還を求める考え方が書かれています。それによって本県の今の予算を突き合わせてみますと、具体的には緑の産業再生プロジェクト基金というのがありまして、緑プロと言っている基金でありますが、この緑プロ基金の関連で平成26年度事業相当分、これが返還対象になるというふうに判断できようかと思います。そのほかにも若干ございますけども、そのほかの若干のものも加えて、そうですね、規模的には18億〔円〕ぐらいになろうかと思います。この18億〔円〕ぐらいのものにつきましては、今後、各省庁から具体的に算定した上で、どうも私たちのほうにこれだけ返す必要があるという通知が来るようであります。ですから、我々のほうの想定計算をしますと、まあ18億〔円〕ぐらいの影響かなというふうに思います。
結論から申し上げれば、気持ちよく返還したいと思います。したがいまして、もしそういうことで具体のものが示されれば、早ければ9月補正予算にも計上して返還をすることにいたしたいと思います。と申しますのも、これは国のほうの事業のつくり方の問題でありまして、国のほうでこういう事業に充てていいよ、そういう資金だよということで私どものほうに張りつけてきて、それを国のほうの考え方に従って誠実に執行してきたわけであります。今回、それを返せと言っていますけども、これは考えてみれば国のほうが事業執行する権限がありまして、その国のほうでの考え方の変更ということだろうと思います。もともと国のほうの問題でありますので、それには気持ちよく従う必要があると思いますし、特に被災地復興を本旨とすべきだという大きな議論がありますが、それに我々としてもいささかも反対するものではございませんので、そういう意味で、気持ちよく返還する手続を進めることにしたいと思います。
ただ、それはそれとして、今回の一連の動きというのはいささか割り切れないところも現場にはあります。と申しますのも、国のほうでこういうことに使いなさいということで事業をつくりました。恐らくその前段もあるはずなんですね。それは各政党間でのやりとりがあったりしたと思いますし、それから各省庁間の間でも、復興予算のほうの項目で処理すれば予算がとれると。ですから、そちらのほうの位置づけで、各都道府県や各市町村に資金を割り当てるというようなことを往々にしてやったんじゃないかと思うんですよね。ですから、その部分はむしろそれで後、混乱の渦中に置かされたのは我々のほうでありますので、国として責任ある対応を今後もしていただく必要があると思います。
例えばさっきの緑プロ基金の話であれば、例えば作業道をやるとか、それから木材を製造する、その加工場の推進策とか、そういうのも入っているわけですね。それは震災復興云々にかかわらず、とっくにやるべき話でありまして、ですから国としてそれをやろうとしたけれども、そのときに復興予算という財源があったのでこちらを使ったと。で、ひょっとすると財務省がそっちを使わせたのかもしれませんし、よくわかりませんが、恐らくは国の中の内部事情の問題でありまして、これ政策目的を達するためには、やはり後始末も責任を持ってやっていただく必要も本来あるんじゃないかと思うんですね。今回、26年度の緑プロ基金の返還ということになりますと、これ民間の加工場整備の計画があるものが影響を受けてしまうとか、それから山の荒廃を防止して、まさに〔第64回全国〕植樹祭の趣旨を生かしていこうとして必要とされるような事業に影響するということでありまして、単純にこれは返還対象になったから終わりよというものでもないんですね。ですから、その後始末どうするのというのが、返還請求、まだ来てないからちょっと言えないですけど、返還請求が来たら、我々としてもそこはしかるべく対応を求めていく必要があるかなと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それは少なくとも平成26年に予定している、この基金で予定している同額なものを別の形で林野庁等に、国に措置するように求めていくということでしょうか。
●知事
そうですね、そこは厳密に同額とかいうことではないかもしれませんけれども、ただ、国のほうの、要はいわば政策ミスのところですから、その政策ミスのツケが現場に行かないように、そのことは最低限求めていきたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
例えば考え方の変更があったと、それで、それを受けとめて気持ちよく返還したいということだったんですけれども、考え方の変更というのは、国は当初は被災地だけの配分ということではなくて、全国で、この緑プロの関係だと木材が不足しているので全国に森林整備をしてどんどん木材搬出量をふやそうということだったと。それで被災地を助けようということだったと思うんですけども、考え方の変更というのは、もう被災地に限定して予算を投じるべきだというふうに考え方が変わったと知事が受けとめられたということでしょうか。
●知事
そうですね。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それは何か、文書にもそういうふうに書いてあった……。
●知事
文書は、多分お示ししてもいいでしょう、公文書だと思いますので、別途お示しをさせていただきたいと思います。
要は返還を求めるという対象について事務的に書かれたような文書でありまして、自分たちは考え方を変更したのでという書き方ではないです。ただ、それは彼らが、国のほうがどう言おうが実態はそうですから、もともと国会での論議もあり、それでいろんな事業もやっぱり必要だということになって、その復興予算を使ってやろうということになったわけですよね。さらに言えば、各省庁も予算どりをするときに、その復興予算の資金のほうで充当しながらやった、そういうこともあったわけです。それを我々のほうにも、これはこういう考え方で使ってくれということで通知をしてきたわけで、私たちはそれに一個も背いてないんですよね。ただ、ここに来て返せというのはやっぱり、従来の自分たちの考え方が間違っていましたよと、だから協力して返してくださいということなんでしょうから、それは考え方が変わったということだろうと思います。
○時事通信 小出秀 記者
すみません、今月の10日に退任される藤井副知事についてなんですが、知事が就任後、6年間にわたって一緒に県政を運営されてきたわけですけれども、藤井副知事に対する評価と、あと今後、今、県政、県が抱える課題に対して、新しく就任される林副知事に求めたいことの2点を、すみませんが、お願いします。
●知事
非常に展開の早い6年間の県政を私自身も精力的に進めてきたところでありまして、どうしても県庁組織との間できしみを生じがちだと思います。その辺を非常によくマネージ〔取りまとめ〕していただけたというふうに感謝をいたしております。
また、この間、いろんな突発事件が起こったり、なかなか難しい課題が生じたりということがございました。例えば米子-ソウル便の運休という騒ぎもあったりしたわけでありますし、その後も実は一進一退でありまして、搭乗率の問題が常に山陰の交通政策の重要課題になってしまっております。これもなかなかコントロールは難しいことでありますが、藤井〔喜臣〕副知事には率先してその解決に当たってくださいました。
さらに、庁内のほうで、私どものほうでは例えば鳥取県型の構造改革を進めようということで、行財政の要は筋肉質、体質をつくり上げようということを片方でやるわけでありますが、片方でさまざまな仕事のスリム化を進めると、カイゼン運動なんかを始めました。これにつきましても、超過勤務ベースで44%だったと思うが、4割以上削減するということもできるぐらい、片方で業務の効率化という、なかなかどこの県庁も進めがたいところを実践的にやる中心役を果たしていただけたと思います。
いろいろと功績、イベント等も含めてございますけれども、藤井〔喜臣〕副知事が今まで一生懸命取り組んできたからこそ支えられた部分、これを後任の林〔昭男〕副知事、さらには県庁職員みんなで守り育てていただきたいと思います。
米子-ソウル便について言えば、今、2カ月連続で50%を切るという危機的状況が来ておりまして、つい昨日〔7月4日〕も庁内のほうに申し上げましたが、改めて体制をつくらなければならないんではないかということで申し上げたばかりでありますが、いなくなって突然がたがたになるということにならないようにしなければいけないと思います。
林〔昭男〕新副知事には、私自身、任命する際の視点として持ちましたのは、今、県西部で総合事務所長をしてもらっていますけれども、西部のさまざまな企業さんだとか団体とか、あるいは住民のNPO等、いろんな組織がございます。そうしたところで非常に評価が高いということが一つの視点でございました。
私は、新しい鳥取県政のスタイルとしてパートナー県政を軸に置いていきたいと考えております。従来型の役所体質ではなくて、県民の皆様と協働で意思決定をし、政策を実行していく、そういう体制をつくらなければならないと考えております。その辺は従来の役所の感性と違うところがあるんですね。私も一生懸命6年間やってきていますけれども、ほっとくとすぐに以前の県庁体質に戻ろうとするベクトル〔方向性〕が働きます。ですから感性としてそういうパートナー県政を進められる人、その意味で林〔昭男〕さんを指名させていただいたわけであります。
また、直前には〔第64回全国〕植樹祭が大成功というような評価を各方面からいただいたこともございましたし、また、今回は香港便がチャーターフライトで入ってくることになりましたけれども、そうした動きのきっかけとなるような〔第13回〕国際マンガサミット〔鳥取大会〕の推進役としての役割も果たしていただいたわけでありまして、そんなような意味で、林〔昭男〕さんに期待を申し上げたいと思います。
○共同通信 千野真稔 記者
それでは、各社よろしいでしょうか。
では、終わりたいと思います。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。