防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2013年12月25日)

平成25年12月25日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約50分) ※MPEG4形式

  

1 今年をふりかえり 

 

1-(1) とっとりグリーンウェイブ 

●知事

 皆さん、おはようございます。
 今年最後の記者会見ということになりました。今年一年、県民の皆様、記者クラブの皆様に大変に御指導、そして御支援を賜りましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。また、明くる新しい年に向けまして全力を振り絞ってやって参る覚悟でございます。
 今年は、グリーンウェイブの年でございました。緑、そして花と、そうした自然豊かな鳥取県のすばらしさを世の中に訴える契機となったと思います。5月26日に〔第64回〕全国植樹祭が開かれ、天皇・皇后両陛下をお迎えし、私ども鳥取県をつぶさにごらんいただきました。県民の皆様と喜びを分かち合いながら木を植えることの大切さ、自然を守り育てることのすばらしさを知りました。会場のほうには、米子のサテライト〔会場〕も含めまして1万人のお客様がやってきたわけでありますし、5万人を超える美鳥〔みどり〕の大使が生まれました。さらに〔第30回〕全国都市緑化とっとりフェア、また鳥取の自慢であります山陰海岸ジオパークをエリアとしました山陰海岸国立公園、この〔国立公園指定〕50周年の記念行事、さらにはエコツーリズム国際大会〔2013in鳥取〕など、緑、花、自然にかかわる行事がめじろ押しでございました。この間も県民の皆様の絶大な御支援をいただきました。11月に入りまして東北のほうに出かけていき、子供たちとともに東北の震災の森の復興に当たりました。この鳥取でまいた種は、確実に復興であるとか、この国の力につながっていくだろうというふうに思います。このグリーンウェイブは、また新年も引き続いて、我々として運動を続けていかなければならないと念じているところでございます。




1-(2) 空の大交流時代と鳥取空港のリモート化 

●知事

 また、大交流時代が訪れる幕を開いた年となったと思います。まずは飛行機のほうでいきますと、香港のほうからEGLツアーズがチャーターフライトを飛ばしました。夏休みの期間中に、実に22のツアーを組みましてこちらのほうにやってきたわけでありますが、3,200人を超える大規模な香港からの観光客が初めて山陰の地を踏んだわけであります。さらに、鳥取空港の〔東京便の〕増便が決まりました。これは新年度からになりますが、5便化をするということで、コンテストに採択をされたわけであります。ともに選ばれた〔島根県の〕石見空港ともどもに、これを永続的になるように山陰一丸努力をしていかなければならない課題だと思います。

 米子鬼太郎空港は、非常に湧いた年でございました。先ほどのEGLツアーズもございましたが、さらに全日空〔東京便〕が6便化をされまして、今年度いっぱい続くことになっておりますし、あわせてスカイマークが就航することになりました。12月20日に白い機体が鳥取の米子鬼太郎空港に舞いおりてきたわけであります。これは神戸便でありましたが、続いて成田便もやってきました。さらに茨城空港へ接続便がございますので、一挙に3つのデスティネーション〔目的地〕が山陰からはふえたことになります。さらに、新しい年には別の方面、北へ、南へ、羽田へと飛んでいくことが確実でございまして、期待が膨らむところでございます。

 これに向けまして、私ども米子鬼太郎空港の駐車場の拡張をいたしました。この連休で一番利用客が多かったのは12月22日でございました。752台の駐車がございました。我々のほうで急遽整備をして、その都合で951台のキャパシティー〔収容台数〕までふやしておりました。これがあったので、足りないということには辛うじてなりませんでした。もし従来の駐車場だけですと、不足ということになっていたところでありました。これは、まだまだ今後も航空需要は膨らんでいく可能性がございます。これからも動向を見ながら対策を考えていくのかなと思っております。

 あわせて、鳥取空港のほうでございますけれども、これにつきましては、安全、あるいは増便の可能性の観点で従来我々としてはどうかなということを強く申し上げておりましたのは、リモート化〔伊丹空港からの遠隔操作による飛行機の運航〕をするという構想でございました。これにつきましては、まず国土交通省のほうで管制塔を壊してしまうという計画は、これは中止にすると明言をされておられます。また、あわせて増便のほうでありますけれども、先ほど申し上げましたように、4便のままであるので、これはリモート化は差し支えないということを最初は言っていたわけですね。そういう観点で〔山形県の〕庄内空港と鳥取空港を選定したということでありましたが、現実には5便化を国土交通省のほうがのんだ格好で、今回、増枠の配分をしたわけでございます。したがいまして、そこの懸念は解消したのではないかなと思います。

 あと、昨日〔12月24日〕、私自身も搭乗いたしましたけれども、東京からこちら、鳥取に来る便、私は最終便に乗りましたが、ちょっと雪が心配された天候でございましたけれども、予定よりも早く着いたわけであります。これはRNAV〔飛行機の自蔵航法装置による航法システム〕という新しい航法が導入をされたわけであります。この国土交通省との折衝の中で、いわばGPS〔衛星による位置測定システム〕機能を活用しまして、自分の力で飛行機がおりてくる。それによって視界を確保する。従来とは違いまして、岩美〔町〕、福部〔町〕のほうから入りまして、真っすぐ〔鳥取〕砂丘の上から鳥取空港のほうへとこういうふうにおりてくるという、そういうコースであります。近道でありますし、視界の確保ができるコースでありました。これにより就航率が冬期、向上するという見込みでありまして、現在4便、鳥取便が飛んでいますが、そのうちの3便はこのRNAVという新しい航法で飛ぶことになっております。これは機材の運用の関係で決まってくる話でございます。これによりまして就航率も向上したということもございます。したがいまして、今、庄内空港のほうでもまだ議論が続いておりまして、そちらのほうの様子も見たいとは思いますが、越年はいたしますものの、このリモート化については受け入れる方向性を視野に、今後検討したいと思います。

 ただ、まだ人員上の手当てでありますとか経費の問題でありますとか、それからこれは事実上、国から県のほうへその管制にかかわる仕事がおりてくることになりますが、そのための研修等の人材養成、この辺の十分な協議がまだ調っておりません。懸念は解消されつつあると認識をしておりまして、リモート化受け入れの方向で考えをまとめてまいりたいと思いますが、なお、残る問題点について精力的に国と協議をしてまいりたいと考えております。




1-(3) 鳥取県手話言語条例 

●知事

 また、今年の大きな話題となりましたのは、〔鳥取県〕手話言語条例の制定であったと思います。これは、県民の皆様広く御意見をいただきましたし、全国のろう者の皆様を中心として、関係者の方々から非常に熱心な御提案をいただきました。昨日〔12月24日〕も埼玉県で手話言語条例の制定を検討するためのシンポジウムが、これは民間主導で開催されました。私自身も出席をいたしまして、上田〔清司〕埼玉県知事、それから自民党の清水〔誠一〕代議士、さらに民主党の枝野〔幸男〕議員、公明党の輿水〔恵一〕代議士、こうしたメンバー等でシンポジウムを行ったわけでございます。こういうような試みが各地でも開かれています。

 昨日も羽田空港でばったり別の県の知事さんとお会いしましたけれども、うちの県でも手話言語条例をつくるべきじゃないかと言われていますと、そうしたら鳥取の方からいろいろ情報提供させていただいて協力しますと、こんなようなやりとりをしたんですが、そういうふうに各地に輪が広がってきているわけであります。一番ちっちゃな鳥取県ではありますけれども、このように大きな全国的な波を起こすことができたのではないかと思います。

 昨日は、ICT〔情報通信技術〕による手話通訳がこの県庁でも始まりましたし、17名のモニターの方も加わっていただきましてスタートをいたしました。これも使いやすいという手応えもあるんですけども、いろいろと課題もあるかもしれません。実証実験としてモデル的にやってみたいと考えております。そういう中で、さらにいいシステムを目指していきたいと思います。

 また、10月の〔条例〕制定以後、各種の予算に基づきまして、例えば小学校・中学校向けの教材をつくるとか、それから各地で手話教室を行うとか、県庁等の行政機関窓口の手話の研修を強めるとか、いろいろと対策を講じてきたところでございます。新しい年は〔第14回全国〕障がい者芸術・文化祭〔とっとり大会〕が開催をされるわけでありまして、今回のこの経験を次の大きな花につなげていきたいと考えております。



1-(4) 県内の経済・雇用状勢 

●知事

 また、経済、雇用の面でもいろいろと動きがございました。大きな事業所がなくなるということの片方で、企業進出等も相次いだわけであります。1,200名を超える企業誘致等の雇用創造実績をつくることができましたけれども、確かに有効求人倍率は0.9〔倍〕台まで上がってまいりました。ただ、まだこれで十分だとは思いません。特に、後ほどお話し申し上げますが、今後の予算編成等がございますので、そういう中でさらなる対策を考えなければいけないと思います。

 こういうような新しい動きの中ではありますが、ここ数日、株価の高値更新が続いておりまして、昨日〔12月24日〕も最高値1万6,000円台に達しておりますし、また円レートも104円ぐらいにまで下がってきておりまして、円高の是正が図られつつあるわけであります。アベノミクスというふうに言われますが、その目指しているもののある程度の面はあらわれてきたと思いますけども、地方でそれがどういうふうに形にできるか、さらに今後の経済の変動にどういうふうに耐え得るか、その辺は今後とも注視をしなければならないだろうというふうに思います。



1-(5) 子育て支援とパートナー県政 

●知事

 また、子育て同盟をつくるなど、子供たちの対策も進められたと思います。こういうようなことで我々も陳情活動をしておりましたけれども、このたび国のほうでこういう子育て〔施策〕を県でやれるような子供の基金をつくることになりました。県レベルでは最高4,000万円までこの基金で支援を受けられるということが発表されたわけでございまして、我々としてもこれを活用しながら今後につなげてまいりたいと思います。子育て条例も作成中でございまして、この辺も今後の焦点になろうかと思います。

 あわせて、〔鳥取〕県民参画基本条例、こういうパートナー県政の進捗も図られました。こういうことなどを、マニフェストに書かれた実績をつくることも一定程度進んだのではないかという手応えも持っております。いずれにいたしましても、これから明くる年に向けまして予算編成作業など、重要な事項に当たってまいりたいと思います。ぜひとも多くの皆様の引き続きの御指導と御支援を賜りたいと思います。



2 政府予算案と地方財政対策の本県への影響等 

●知事

 昨日〔12月24日〕、国のほうで当初予算案が発表されました。95兆8,800億円という予算でございまして、最高の規模ということになります。これは消費税等、新しい動きがあるわけでありますが、当然といえば当然なのかもしれませんけれども、いい面もあらわれてきていますが、我々として心配な面も残っているというところかなと思います。

 地方財政対策についてでございますが、これは懸案でございました〔地方交付税の〕別枠加算とか歳出特別枠と言われるものがありました。これについて、一部は繰りかえになったような感じがいたしますが、3,800億〔円〕、枠が縮小されるということになりました。そういうことの影響もあって、16兆1,400億〔円〕という交付税の予算ということになります。地方自治体で使うベースでいきますと16兆9,000億〔円〕となりますが、これはやや減った格好になります。さはさりながら、片方で税収のほうがふえております。これが37兆9,000億〔円〕ですか、さらに臨時財政対策債、これは逆に減らされておりまして、我々が借金で肩がわりするのはどうかなと思っていましたが、そういう意味では6兆〔円〕を切った水準ということでございまして、一定の評価はできるのかなと思います。一般財源の確保ベースでいきますと、対前年を上回るということになります。

 じゃあ、これが果たして鳥取県の財政にどう影響するかが心配されるところでありまして、これはこれからよく分析してみなきゃいけないというのが率直なところであります。臨時財政対策債が減少して借金体質から改善しようということは評価できますが、〔地方〕交付税の総額が結果として、地方側もかなり押し戻した感じで評価すべき点もありますが、結果としては減額になっているという事実もございまして、この辺がどういうふうに反映されてくるかだと思います。また、これは来年度ではないですが、法人課税のほうで地方法人課税の見直しがございました。これが果たして鳥取県にどれほど作用してくるのか、これも見きわめなければなりません。

 来年度の予算編成の、若干見積もりの一端を申し上げれば、社会保障関係で40億(円)、負担増になります。それから消費税が上がりますので、当然ながら歳出もその分は5%が8%に上がった分だけ引き上げなければなりません。これが20億(円)ほどございます。さらに臨財債〔臨時財政対策債〕の償還分、これもふえまして25億円の歳出増圧力ということになります。これらを合計しますと85億円の歳出増圧力があります。どうもこれはちょっと精査してみなきゃいけませんが、結局今回の地方財政対策等ででき上がってくる増収効果と、まあほぼ同程度か、欠けるか、少し上回るか、非常に微妙な状況です。したがいまして、今回の予算編成はうれしさも中ぐらいなりというぐらいかなという感じもいたします。いずれにいたしましても、消費税が引き上げられるとともに地方消費税という安定的な税収が今後地方団体に確保されるということは、長期的には大きな意味はあると思いますので、我々としても、この変革をサポートすべき立場かなというふうに思います。本来であれば交付税の税率引き上げなど、抜本的措置が講じられるべきところではありますけれども、今回、そこまで行かなかったところに課題が残っていると思います。



3 個別テーマ別の政府予算案の状況 

●知事

 また、個別の予算でいいますと、若干残念なところも幾つかあります。例えば少人数学級の編成です。これについては、鳥取県は先行的にというか、鳥取県独自の対策として小・中学校、全学年で少人数学級に踏み切りました。当時は国もいずれ財政措置をするよという約束があったわけでありますが、今回の予算はこれに逆行しております。少人数学級のサポートがなくなってきているということでございまして、従来は加配で2年生等の措置があったりしていましたが、これもなくなったり、小学校3年生以降に膨らむというのも、要求段階ではありましたが、でき上がりではちょっと今見えません。したがいまして、その辺に我々としては残念さが残ります。ただ、少人数学級等、教育のサポートはしっかりやりたいと思います。国も土曜日授業の充実でありますとか、鳥取県が新年度目指したい方向性も幸い出てきておりますので、その辺は取り込みながら予算づくりをしたいなというふうに思います。

 また、不妊治療につきましても、43歳という年齢制限を導入し、さらに単年で10回というところから6回ないし3回と、年齢に応じてでございますが、大幅に回数制限を強化しているということであります。鳥取県は年齢制限や単年の回数制限を撤廃して、むしろ少子化対策を進めようとしてきております。いろいろと科学的知見のお話もございますけれども、ただ、そこは御本人たちが当然身銭を伴って負担されるわけでありますから、判断されればいい分野かなというふうに思います。この辺も国が、いろいろと理屈はついていますけれども、切り込んできている面があって、その辺はどうかなというところがあります。



4 消費税増税と国及び鳥取県の取組 

●知事

 あと、消費税でございますが、消費税につきましては、これ増税でございますので、過去の悪い思い出をよみがえらせてはいけません。過去、消費税を上げますと景気が停滞をした、さらに減速から後退へということもあったわけでありまして、同じことを繰り返さないような対策が求められます。今回、国として低所得者対策、1万円の簡易な給付でありますとか、それから児童手当支給世帯に対する1万円の支給等、一定の措置が盛り込まれていますし、産業成長戦略や公共投資等にも配慮があったと思います。その辺は一定の評価をしたいと思いますが、投資でいえば6兆円にのせるということになりました。これは地方の直轄負担金の繰りかえがありますので割り引かなきゃいけませんけれども、それでも道路事業等が前年よりも伸びております。ミッシングリンク〔高規格道路の未整備区間〕の解消事業も伸びが、通常の道路よりも見込まれるのではないかと分析をしているところでございます。こんなようなことで、当県としてもこの公共投資と消費税の増税による景気減速対策、これを組み合わせてミッシングリンクの接続を初めとした県内の投資の一定程度の確保、これに向かう体制はある程度できたかなという感じはいたします。

 融資であるとか、新ものづくり補助金といいますが、新しいものづくりの補助金、この辺も従来よりも配慮しようという姿勢もあります。新ものづくり補助金は、これは鳥取県など中国地方が要望していたのを受けて、国のほうで今回、大分使いやすい補助金に生まれ変わらせて産業振興を図ろうというものでありまして、これは評価できるかなというふうに思います。ただ、片方で、信用保証100%保証等の制限であるとか、かつてのリーマンショック時代からもとへ戻そうという動きが一部入っていまして、これが経済、産業、雇用にどういう影響を及ぼすか、この辺は注目をしなければいけないと考えております。

 こういうような消費税対策でございますが、我々としてもいろんな疑問があろうかと思います。住民の皆様に、もちろん税金のことそのものもありますし、それから事業者の方、特に中小企業が鳥取県は多いですが、〔消費税の〕転嫁が十分円滑にできるだろうかと。できなければ結局収益が減速をしてしまうということになりまして、景気を、逆のほうに針を戻してしまうことになります。そういう対策であるとか、また融資だとか、いろいろなことがございます。困ったときには、先ほどの困り事対策として低所得者対策や子供の手当増額等があります。こうしたことなどをいろいろと相談したり受け付けたりする窓口を整備する必要がありますが、きょう、この後、消費増税対策の本部を、これは民間の皆様と協調しながら立ち上げることにいたしております。商工会議所や商工会連合会、あるいは税務署、財務事務所、そうした国の関係部署、いろいろ入りまして、国、地方、民間、力を合わせてやっていこうというようなことで窓口をつくらせていただきたいと思います。

 また、年末も今年は相談窓口をこういう経済・雇用関係でつくりたいと考えておりまして、これも関係部署と協調していきます。〔12月〕27日に〔鳥取商工会議所で、国と合同で「中小企業・小規模事業者のためのワンストップ年末特別相談会」〕を開催し、〔12月〕28日からということになりますが、〔年末相談窓口を〕東部は、鳥取市役所〔駅南庁舎〕のほうにつくりまして、中部、西部は県の総合事務所のほうにつくらせていただきたいと思います。こちらのほうも御活用いただければというふうに考えております。

 そんなような国の今回の当初予算、これを今後よく分析をしながら、県としての新年度予算編成、さらに先の5兆5,000億〔円〕の補正予算も踏まえながら、今年度の補正予算、同時並行で今後編成作業を進めてまいりたいというふうに考えております。



5 島根原発の安全対策の取組 

●知事

 国のほうに要望活動に行ってまいりました。昨日〔12月24日〕、島根県と松江市から回答が出され、きょう、中国電力が国のほうに適合性申請を提出されるという運びになりました。国のほうにも要望をして、経済産業省や、あるいは原子力規制委員会のほうへ参ってその趣旨を訴えましたけれども、ぜひとも〔原子力〕規制委員会におかれては慎重に審査を厳正に厳しくやっていただきたいというふうに思います。断層、宍道断層を初めとした断層構造の問題でありますとか、それからフィルターベント〔放射性物質を含む蒸気をタンクへ送る設備〕をはじめとしたシビアアクシデント〔重大事故〕対策、こうした対策がきちんと講じられているのか、その安全性等は大丈夫なのか等々がございます。また、これは国のほうにも申し上げましたけれども、まだ十分規制基準なんかに入っていないんですが、対策をとるべきだと我々が考えておりますのは汚染水対策。これは国が基準をつくるべきでありますし、会社としても対策を講じてもらう必要があるのではないかと思います。こうしたことなど、しっかりとした安全対策というのを、まずは規制委員会のほうで審査をし、それから会社のほうでも整えてもらう必要があると思います。

 あわせて、周辺地域に対する説明が今までいかにも不足をしてきたわけであります。立地の自治体には十分きめ細かい説明がなされてきたと思いますが、周辺地域は十分な情報を持たずに今日まで来て、震災後、鳥取県として安全協定を結んで初めてかじが切られてきたという状況であります。ですから、中国電力として丁寧な説明を、住民説明会も含めて地元で精力的にやるべきだというふうに考えております。

 また、立地〔自治体〕と同等に取り扱う、これも周辺地域の切なる願いであります。被害が及ぶとなりますと一様に及ぶわけでありまして、県境や市町村境で変わるわけではありません。したがいまして、その現実に鑑みれば、立地〔自治体〕だ周辺〔自治体〕だということではなくて、立地と同等に取り扱う、そういうことを中国電力としては行うべきであります。その前提としての〔安全〕協定改定ももちろんのことであります。こんなようなことを中国電力には、この機会に改めて求めたいというふうに思います。いずれにいたしましても、安全が第一義であろうかと思います。住民の視点、地域の視点に立ちまして、この原子力発電所の再稼働の課題につきまして、鳥取県としても対処して参りたいと考えております。



6 新年に向け 

●知事

 今年は長目の年末年始のお休みということになります。9日間、場合によってはとれるということになろうかと思います。事業所によっては違いもありましょうし、私もそうではないんですが、ぜひたっぷりと御家族、あるいは御友人、地域の方々とすばらしい年の瀬、年の明けをお迎えいただきたいというふうに思います。正月早々、1月4日には青山剛昌先生もお見えになって、テーマソングを歌った女性も来られて、にぎやかなイベントが1月4日にあります。いろいろ年末年始も各地で行事も開かれております。御体調に御注意をなさりながら、輝かしい新春をお迎えになりますようお祈りを申し上げたいと思います。
 私のほうからは以上です。


○産経新聞 坂下芳樹 記者

 質問をどうぞ。



7 鳥取空港のリモート化 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 鳥取空港のリモート化のことでお伺いしたいんですけど、懸念が解消されたということで受け入れの方向性を示されたんですが、懸念の一つが、4便化が5便化になるかということだったと思うんですが、もう一つ、安全性の担保という点ではどのように評価されているんでしょうか。


●知事

 これについて、先ほど申しましたけれども、RNAV〔飛行機の自蔵航法装置による航法システム〕という新しい航法を、国〔土〕交〔通〕省として認めまして、この12月から運用が始まっております。私も実際搭乗してみましたけれども、こういうふうに飛んでくれればありがたいなというようなことでありまして、これは評価できるんではないかなというふうに思います。

 先ほど申しましたけれども、さらに細部を詰めなければなりません。その意味で、山形〔県〕の庄内空港、こちらのほうの議論も横にらみで注視する必要があると思います。それから、我々のほうでじゃあ新しいシステムの中でどういうふうに安全に運航される体制が整えられるか。今度は国だけでなくて県という部分が入ってくるんですね。この県のほうもかかわって管制を行う、管制に協力するということでありますが、そのためにはどういう例えば人員が必要なのか、あるいは研修が必要なのか、この辺はまだ協議が続いておりまして、その辺も見きわめて最終的には判断を申し上げる必要があるかなと思います。ただ、幾つか大きな懸念が晴れてきているのもまた事実でございまして、リモート化〔伊丹空港からの遠隔操作による飛行機の運航〕という国の政策に、我々としても理解し得る環境になりつつあるということです。



8 中国電力との面談の経緯 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません、原発の関係ですけども、きょう中国電力の社長が来られて知事とお話をなさるんですけども、この社長というのは鳥取県さんのほうの希望ちゅうか、要請でしょうか。


●知事

 年末に中国電力の社長さんが各地を回られるという慣例があります。その機会にお話をしたいというふうにこちらから申し入れまして、このたび〔苅田知英〕社長に県庁のほうへおいでいただくということになりました。



9 鳥取空港リモート化構想の枠組みと方針決定 

○産経新聞 坂下芳樹 記者

 先ほどのリモート化構想ですけども、大枠でいって今後どのようなスキームで体制を整えていきたいというお考えですか。


●知事

 我々が国〔土〕交〔通〕省にこれまでも懸念を申し上げておりますのは、実はこれ情報提供するということなんですね。管制は伊丹〔空港〕で行うわけです。今でも事実上そういう体制だという説明をするんです、国土交通省は。ただ、こちらにも実はそれを補助する者が鳥取空港にいるわけですね。それが空港の状況だとか〔について〕情報提供を行う。それでパイロットがおりてくると、こんなようなことなんですね。そこのところを、こちらの人員を国としては廃止するということなわけですね、部隊を。だから管制塔も潰してしまえということだったんですが、ただ、気象条件等によって、本当に管制塔なしで全部回るのかどうかとか、その辺は不安もあるということを大分訴えましたら、管制塔は残すことに今なったわけです。

 それからあと、例えば滑走路の状況だとか、そういうものを伊丹〔空港〕のほうに報告をすると。それを県のほうが肩がわりをすることになるわけですね。国土交通省は人員増は県で必要ないと言っているんですが、果たしてそれで回るかどうかというのは、我々は懸念がありまして、よそもやっているよという話をするんですけども、事実、隠岐〔空港〕とか、よそにもそういうリモート化の空港は確かにあるんですけども、それがまた現実に増えてきているんですが、我々として安全を考えた場合にどういう体制が必要なのか、これはやっぱり国ともよく協議をしなきゃいけないと思います。経費の負担がどうなるか、この辺も折衝の中に入れさせていただいております。

 ただ、いずれにせよ安全におりてこれるのが第一義でありますので、その安全に空港が運用される、そこの確信を得るためにそういう細部の今、議論をさせていただいているところでございます。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 すみません、今の点で、時期としてはいつごろまでに結論をという……。


●知事

 まだ山形庄内空港のほうの議論が大分続いていまして、庄内空港のほうは、ちょっとあちらの事情もあって、これまでの空港運用上、問題があったと言われていることもございまして、これを検証しなきゃいけないということを国〔土〕交〔通〕省と山形県の間で大分議論をしております。我々としては、当然もうこのタイミングですから、越年をしながら協議を国と続けたいと思いますが、それは協議がまとまったら容認を最終的にはいたしたいと思います。



10 子育て支援に係る基金の活用 

○共同通信 千野真稔 記者

 少子化対策についてなんですけれども、子育て同盟のサミットのときに、対策突破基金ということで国へ要望してて、今回、国のほうで交付金という形で自治体から事業を募集して、それに対して判断をしてお金を出すという形なんですけれども、鳥取県のほうではどのような事業を打ち出していきたいのかというのと、その辺の意気込みについてお願いします。


●知事

 あれは我々、危機対策突破基金として国のほうでつくるべきだと。それは何となれば今、少子化対策、子育て対策がこれからの日本の鍵になるんじゃないかと思うからです。それを子育て同盟としてその設置を訴えかけ、我々の中核メンバーであります鈴木〔英敬〕三重県知事や尾崎〔正直〕高知県知事が先頭に立ちまして、今回、国との折衝に当たられました。その結果として、額は正直十分でないんですけれども、まだ課題があるかなとは思うんですが、ただ、県として最高4,000万円まで使える財源を出すということは、これは評価したいと思います。

 私たち鳥取県としては、今、子育て王国とっとり条例(仮称)をつくっていますので、その議論も眺めて、手を挙げていこうということを考えております。いろいろと今、我々でも新年度に向けて議論をしているんですが、例えば放課後児童クラブが小学校6年生まで可能なように、これは市町村の共同事業になりますけれども、そうした環境整備をやるでありますとか、それから今回、幼稚園の第3子が無料化という話が出ましたけれども、保育園等の扱いにつきまして保育料、これをどうするか。今、中山間地の移住対策として、そういう保育料を思い切って無料にしてしまうという自治体があってもいいじゃないかと、それを県としてもサポートしましょうと。これで今、意欲のあるまちと協議をしております。こんなようなことをいろいろ今、種をつくっておりまして、対策自体は一貫して、子供が生まれてから子育てに至るまで一貫した流れの中で提案してくれということなので、そういう子供のライフステージに応じた対策を取りまとめてパッケージにして、国に対して提案をしていきたいと思います。



11 島根原発運転再開に向けた民意の反映 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません、またちょっと原発の話に戻してすみません。2号機のことですけども、今後、また安全審査が終わった後に鳥取県として恐らく意見を言うタイミングが来ると思うんですけども、そのときに鳥取県側としての意見をまとめるに当たって、今度は住民の意向なり意見なりをしっかり吸い上げるということがより大事になってくると思っておるんですけども、この住民の意見を吸い上げる手法としてお考えになっておられるところがございましたら伺えますか。


●知事

 そういう意味で、先ほど申しましたけれども、まずは中国電力において住民に対する説明会をやってもらいたいと思います。これを改めて申し入れなければいかんなあというふうに思います。そこでいろんな議論が出てくるでしょう。そうしたものも踏まえながら、最終的には市は市議会、県は県議会がありますので、この議会との対話の中で成案をそれぞれまとめて、さらに鳥取県として、可能であれば一つの意見に仕上げていくということになろうかと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 県として県民と直接話すっちゅうですか、意見を聞くような方法をとられるというようなお考えは今のところございますか。


●知事

 これは、そもそも事業者は中国電力ですから、基本的に中国電力との関係なんだと思います。県としても、ただ意見を提出する権限は持っていますので、それについて県民の皆様から寄せられる御意見も当然踏まえながら県議会と対話をして、最終的に我々としての考えをまとめていくということだと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 議会と対話してっちゅうのは、議会がやっぱり県民の代表だっちゅうことなので、そういう意味で、議会を通じて県民の思いを把握するっちゅうようなお考えと理解したらいいでしょうか。


●知事

 そうですね。そこは当然ながら皆さん、現場で非常に厳しい議論がありますので、そういうものを踏まえて議会人として行動されているわけであります。県民代表としての地位は重いものがあると思いますので、民主主義のルールにのっとって県議会との協議の中で意見をまとめていくことに最終的にはなろうかと思います。ただ、その前段階として、県民の皆様の御意見がいろいろと出てくる、そのチャネル〔経路〕をつくらなきゃいけません。その意味で、まずはそういう住民説明会といったようなことを精力的に中国電力として実行してもらう必要があると思います。


○産経新聞 坂下芳樹 記者

 よろしいでしょうか。



12 参議院議員選挙定数訴訟判決に受けて 

○読売新聞 加藤あかね 記者

 すみません、今のって、1票の格差の関係ですか。1票の格差の関係……。


●知事

 1票の格差。今もらったところで、ちょっと……。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 ついでながら、違憲状態ということで、無効の請求は棄却したという判決が出てますけれども、最高裁〔判所〕の判決の流れにも沿うようなものではないかとは思いますが、今来たところで大変恐縮なんですけれども、もし知事の見解を述べていただけるようでしたら。


●知事

 これは棄却ですね。
 今回の、これは広島高〔等〕裁〔判所〕松江支部の判決で、ただいまちょっと速報が入りました。これは今の相次いで行われています1票の格差訴訟の大勢に一致する判決でございました。広島高〔等〕裁〔判所〕の岡山支部がちょっと変わった判決でありまして、選挙無効を判示しましたけれども、それ以外は全て一定の判決になっています。今回もそれを踏襲していると思います。投票価値の平等につきましては違憲状態でありますが、それを合理的な期間内に是正しなければ、そういう法律を出さなければ国会の立法裁量の逸脱であって、それは違法な選挙と、違憲だということになるわけでありますが、投票価値は違憲状態ではあるけれども、ただ、9カ月しか、前の最高裁〔判所〕判決からいとまがなかったこと等を考慮しまして、今回の広島高〔等〕裁〔判所〕松江支部の判決は、請求は棄却をすると、選挙は無効ではないということに判示をいたしております。妥当なものではないかというふうに受けとめたいと思います。

 今後、ただ、この判決が一連のものが続いていって、最高裁〔判所〕の判決がこれから出されることになろうかと思います。そうした司法の判断を受けて立法府が動き出すタイミングがやってこようかと思います。参議院の議員の選挙につきましては、都道府県の単位が重要な役割をこれまでも果たしてきました。これは戦後の民主主義の基本的な制度設計だったと思います。ですから、デモクラシー〔民主主義〕の単位として都道府県が果たしている価値、これを十分考慮をしながら慎重に民主主義の土俵である選挙制度、選挙区割りや定数配分について国会において与野党間で議論をしていただきたいというふうに思います。いたずらに人口の平等だけで議論するのはいかがかなと思います。先ほど申しましたように、都道府県というデモクラシーの単位、これは県議会等のデモクラシーの単位がありまして、長年、日本の中で、統治機構の中で住民の国政への参画のチャネル〔経路〕を開いてきた、そういう単位であります。この単位を重視しようというのは、それは一つの考え方ではないかなと思いますから、その辺は十分に今後も配慮していただけるとありがたいかなというふうに思います。いずれにせよ、これは国民の投票権の行使という最も重い国民の権利にかかわることでありますので、慎重に国会で議論をしていただければありがたいと思います。


○産経新聞 坂下芳樹 記者

 よろしゅうございますでしょうか。
 では、これで終わります。

●知事

 どうもありがとうございました。


  

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