●知事
皆さん、おはようございます。
今、国会での論戦も始まりました。安倍〔晋三内閣〕総理〔大臣〕から、これからの経済財政運営等についての話が出ています。また、昨日〔1月29日〕といいますか、そういうタイミングになりますけれども、〔バラク〕オバマ〔アメリカ合衆国〕大統領が、日本時間できのうになりますけども、一般教書演説を行ったわけであります。ことしの政策的な方向性が見え始めたところではないかなと思います。
安倍〔晋三内閣〕総理〔大臣〕は、経済につきまして、これから回復の軌道に乗せていくと、そういうことを明言をされておられます。ただ、今、貿易の赤字が出てきたわけでありますが、昨日の国会の論戦の中では、これについては一時的なものであると、こういうような見通しを述べられておられました。
オバマ大統領は、TPP〔環太平洋パートナーシップ協定〕にも触れられまして、こうしたヨーロッパやアジア太平洋地域での貿易の協定が雇用を増進する効果を生むと、そういうような認識を示して、これからこのような交渉を前進をさせようという意欲を示されたわけであります。
こういうように国政あるいは世界の情勢が動いてくる中で、我々としても、来年度に向けて、ことし、方向性を示していく意味で当初予算編成等の作業に本格的に入らさせていただきました。
安倍総理は、そういうように強気の発言をおっしゃっておられますが、やはり経済や雇用については地域地域でまだまだ見通しのつかない状況もございます。今、相次いで経済界の会合に出ていますけども、企業さんによっては非常に好調であったりします。きのうは情報産業の関係者の会に出ましたが、会社によって若干違いはありますけれども、消費税が上がることでシステム改修のニーズがあったり、あるいはビッグデータ等の動きが出てきたり、かなり忙しくなってきているというふうなことのお話がありました。また、公共投資関係では、求人もままならないほどになってきていると、そんなような愚痴も聞かれるぐらい回復傾向も出てきていたりします。ただ、なかなか小売関係など、安倍総理が言うようには改善してないがなあと、こういう声もあるのも事実であります。したがいまして、政府が今、消費増税も考えながら打ち出している経済対策、雇用対策、これを速やかに鳥取県としても実施していく必要があります。そういう意味で、非常に今、予算編成の厳しさはあるんですけども、意欲を持って取り組まなければならないと考えております。
そういうことで、まず明日〔1月31日〕に経済・雇用関係の緊急対策の会議を開催をさせていただきたいと思います。経済界や、また労働界、また庁内関係者、県庁の中ですね、こうした方々に集まっていただきまして、どういう対策が必要なのか、これの意見交換をさせていただきたいと思います。
そういうことを踏まえて、まずは2段階になろうと思いますが、1段階目としては、2月に臨時〔県〕議会を招集させていただくように調整をすることといたします。これについては、今見積もってみますと、大体130億〔円〕オーダーぐらいの予算規模になりそうであります。それから、あと当初予算を編成して、その中でも消費増税対策も含めた経済対策、雇用対策を意欲的に盛り込んでいきたいと思います。
●知事
そこでちょっとややこしいのは、予算編成の難しさとの兼ね合いであります。予算総額の規模的には地方財政計画が2%増ぐらいになっていまして、私どもも意欲的に組んでいきますと大体2%増ぐらい。そうすると3,300億円台の後半ということになりそうです。今詳細を詰めているところであります。それを財政規模として確保しようと思いますと、今、消費増税が一部出てきますけども、ただ、残念ながら〔地方〕交付税のほうが、臨時財政対策債を含めて、交付税的な一般財源が非常に厳しい状況があります。片方で消費増税の結果として直接県支出がふえたりしますし、社会保障の増、これが消費増税とセットになっていますから、この辺も見込まなければならない。ですから財源不足が逆に生じるというのが鳥取県の今の予算編成でございます。
したがいまして、今年度の当初予算、また昨年度も同様の手法を使いましたけれども、繰越金をつくりまして、それを新年度当初〔予算〕に充用させてもらうと、そういうやりくり型を一つは考える。それから、これはもう5年ぶりぐらいになるかと思いますが、土地開発基金を取り崩して、これを20億〔円〕規模で取り崩す。土地開発基金については、早急に使うめどもないもんですから、これをむしろ財源に使わさせていただこうということでございます。こうしたようなやりくりをいろいろとさせていただいて、先ほど申し上げました対前年〔比〕2%増ぐらいの予算規模を確保できないか、最終的な調整をさせていただいているところでございます。
この中にいろいろと予算組みをさせていただくわけでありますけれども、先ほど申しました経済・雇用対策以外にもいろんなテーマがあります。「共に生きる」という障がい者関係のことでありますとか、また女性や若者の参画といったような事柄、スポーツ関係等々、さまざまなフロンティア〔新しい取組〕が新年度に見えます。これに対して、気持ちとしては意欲的な予算編成ということで最終的に取りまとめをさせていただこうと思います。その結果として、移住2,000人や雇用1万人といった3年前の選挙でお約束したことの実現を図らさせていただこうと、こういうようなことでの予算編成をさせていただいております。
●知事
危機管理関係では、今、一つの喫緊の課題としてはインフルエンザ、さらには新型インフルエンザ、こういう対策がございます。新型インフルエンザにつきましては、この後、意見交換を鳥取大学の景山〔誠二〕先生などとも交えながらさせていただき、新型インフルエンザ対策の演習ですね、訓練を、これは全庁的に行わさせていただこうと思います。と申しますのも、今、中国のほうで〔鳥インフルエンザA〕H7N9〔型〕の流行が続いています。これはなかなかピークを過ぎていく感じにまだなっておりません。さらに、日本でも一部で報道されましたけれども、人から人への感染があったんではないかと、こういう報道も出ております。
私どもはWHO〔世界保健機構〕、また厚生労働省の情報をウオッチ〔注視〕いたしておりますが、今のところは限定的な感染ではないか、つまりパンデミック〔世界的大流行〕につながるような感染とは言えないのではないかという見方が主流でございまして、冷静に対処する必要があると考えている段階でありますけども、そうした状況を意見交換をし、さらに演習、訓練に入らさせていただこうということであります。やはりこれからどういうふうに、特に渡り鳥の季節でもありますし、鳥インフルエンザ等の関係や新型インフルエンザが起こるかわかりません。その備えをする必要がございます。そういう鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ対策というのがあろうかと思います。
また、県内ではインフルエンザの注意報を発令させていただきました。昨週といいますか、1月26日までの1週間で〔定点あたりの患者数〕11.52〔人〕というオーダーになりました。これは注意報レベルということになりました。特に東部、それから西部で流行が強く起こっています。中部はどちらかというと、それに比べるとまだ穏やかでありますが、いずれにせよ、全県的に平均しますと11.52〔人〕というレベルになります。
また、感染性の胃腸炎、これにつきましても10.4〔人〕を超える平均オーダーになっていまして、こちらは中部がむしろ数値が高いわけでございますが、そういうように、県内もいろんなインフルエンザや感染性の胃腸炎がございますので、くれぐれも県民の皆様には手洗い、うがい等々、励行していただきまして、御注意を願いたいと考えております。
また、これは初めてになりますが、徳島県の国民保護の訓練に私も参加をさせていただく。カウンターパート制度をひいておりますので、いざというときは助け合うということにいたしております。テレビ会議を通じて徳島の訓練に参加をさせていただくということになります。
●知事
また、つい先般、原子力規制委員会のほうの審議が始まりまして、その中から質問項目といいますか、課題が提示をされました。それが中国電力側に伝えられたところでございます。それを拝見をさせていただきますと、私どもで規制委員会側に要望いたしましたこと、ある程度反映されながら審議がなされるのかなという感じがいたします。例えば〔島根県〕宍道断層がどういう状況にあるのか、その前後のつながりだとか、宍道断層の危険性だとか、この辺は注意深く慎重に検討してもらいたいと、これを国のほうに申し上げたわけでありますが、私どものそういう要請に応えるかのような宍道断層についての質問項目、課題が中国電力側に提示をされたりしておりまして、我々の問題意識も踏まえながらの審議が始まったのかなあと思います。
ただ、汚染水の流出問題につきましては、これは規制委員会のほうの新規制基準にそもそも入ってないもんですから、我々は新規制基準に入れてくれと、それに対する対策を望むと中国電力等に申し上げていますし、国にも申し上げているわけであります。この辺については言及がない。これは新規制基準に入ってないからだろうと思いますが、こうしたことは別途、中国電力側もきちんと考えてもらわなければならないことだと思います。
こんなような動きもございましたので、改めて、これは事務ベースになりますが、住民へのきめ細かな説明であるとか、それからもちろん県や米子、境港両市に対する説明というのを求めているところでございます。まだまだ始まったばっかりでありますから、これから慎重な審議、検討がなされると思いますが、時間をかけてじっくりと、国としての役割をまずは果たしてもらう必要があると考えております。
●知事
新年度も大きな私どもの予算のテーマになろうと考えておりますのは、福祉や医療の関係でございます。コミュニケーション支援、これは新年度の予算の中でも大きなテーマとして出させていただこうと考えております。例えば聴覚障がい者の相談センターなど、そういう支援センター。これを東部、中部、西部で設ける、こういうことで私ども考えさせていただいていまして、精力的に関係団体とも調整をさせていただきました。中部、西部は現在、同様の機能を果たしておられるところで、さらにグレードアップしてやっていくことで対応願いたいと思っておりますが、東部は今までございません。〔鳥取〕市の文化センターに間借りをしながら、このセンターを始めることにいたしてはどうかということです。
また、手話通訳者のさらなるレベルアップを図るための、そういう人員派遣であるとか、また手話通訳者が確保できやすいようにするための、いわば処遇改善のようなことであるとか、さまざま聴覚障がい者の対策を考えさせていただこうと思っております。ただ、これはそのほかの障がいにもコミュニケーション障がいがあるわけでありまして、そのコミュニケーションの支援をしなければならないと思います。
この週末、西部のほうにございます〔社会福祉法人鳥取県〕ライトハウス、視覚障がい者のための施設でありますが、こちらを訪ねさせていただきたいと思っております。先般、その代表の皆様とも御相談をさせていただきましたけれども、こうした関係では、やはり一定の施策が必要であろうと。この点字図書館の人員の強化が急務であろうと思いますので、その予算も計上させていただくこととします。そういうようなことなど、さまざまな視覚障がい者の対策もあろうかと思います。
例えば音声に変換するようなソフト等の、いわば介助機器といいますか、支援機器がありますけども、そうしたものの活用とか、盲ろう者関係でも点字が、ぶつぶつで表現をされてくるような、そういうICT〔情報通信〕機器、これを配置するだとか、そうした先端機器も活用しながらの支援も盛り込まさせていただこうと考えております。
また、こうしたコミュニケーション支援をやっていくためにどういう方策がいいのか、その調査研究の事業も総合的に行うことといたしたいと思っておりまして、その関係経費等も計上対象かなと考えております。こういうような形で福祉関係、コミュニケーション支援をさせていただきたいなと思います。これから今度、中四国の障がい者テニスの大会も誘致をするというようなこともございますし、〔第14回全国〕障がい者芸術・文化祭〔とっとり大会2014〕もございます。こうしたさまざまな事業の成功や応援を図ってまいりたいと思います。
また、こういう福祉や医療の点で先端的な取り組みもいろいろとあるわけでございまして、例えば認知症の判定を行う、タッチパネル方式での判定を行うような、そういう簡易なソフトや機器、さらに認知症の予防のトレーニングにも使えないだろうかと、そうした意欲的なデバイス〔端末〕が開発をされ、ソフトも開発をされました。これ、また実際にデモンストレーションをこのたびされようというふうにお伺いをいたしておりますけども、県内のいろんな技術ですね、鳥取大学の先生や、それから県内の事業者がコラボ〔連携〕をして、こういうことができてきております。こういう認知症の対策も、先端機器も入れながらやったり、また地域での体操を、簡単にできるような体操を、ちょっとした機器をつけてやる。こういう実践活動も琴浦町等でなされたりしていまして、こうした取り組みを支援して広げていく、高齢者対策、あるいは医療の対策といった面で取り組みをしてはどうかと思います。
また、昨日はSTAPという新しい細胞の、iPS細胞と同様の多機能細胞の開発につきまして重大な発表がなされて、30歳の若手〔研究者〕の発表があって、非常に世界中が驚いた、非常に感動したということになりましたが、県内でも同様に、医療の最先端を切った研究がなされていまして、これが産業と結びつき始めております。こうした医工連携も我々としても新年度、取り組むテーマかなと思っておりまして、そうした関係予算も新年度の中で計上してまいりたいと考えているところでございます。こういうようなさまざまな政策的な取り組み、こういうものを私どもでも及ぼしていきたいなと思います。
あわせて、おもてなし、海外からの誘客を含めて、おもてなしも重要なテーマかなと思います。これについては、昨日、台湾からことし初めてのチャーターフライトをお迎えをし、地元としても歓迎を申し上げたばかりでございます。また、香港のほうに派遣をした職員から、昨日かな、報告が入ってまいりましたけれども、EGLツアーズという昨年夏に大型のツアーをつくったところが、この3月25日以降、3回にわたって春のツアーを派遣することで最終準備に入るということになりました。こういうように、新年度に向けてもまだ勢いが続きますので、我々としてもそういうおもてなしを強めていきたいなと思います。
例えばWi-Fiの〔無線〕ルーターを海外からの団体旅行の皆さんに貸し出しをする。そうすると、バスの中も含めて、海外の方がインターネットでモバイル〔携帯端末〕でアクセスすることが可能になってくると、こういうことは一つのサービスではないかと思います。
また、水木しげるロードや、あるいは〔鳥取〕砂丘で外国人の方も案内を、インターネットから受けられることなどを視野に入れますと、Wi-Fi環境を整えていく、そういうことも必要だと思います。観光地等でのこういう無線のインターネット環境を整える、そうしたことも我々流のおもてなしかなと思います。
また、先般、政府のほうで年末に出されたことで、非常に有効性が高いかなと思っておりますことがございます。赤澤〔亮正〕国土交通部会長からも御紹介がありまして、観光庁長官とも先般お話をする機会をいただけましたが、消費税の免税を外国人の方に行うと。今8%に消費税を上げようということになりますけれども、その8%を免税をすると。それも日用雑貨というものも入れて、幅広い免税対象をつくる。そういうお店を認証してはどうだろうかと、こういう構想が出てきました。我々としても、それを地域として取得をしていく、お店として取得をしていく、そういう取り組みをやるのもおもてなしではないかと思います。こういうことも予算上、計上させていただいて、それぞれのお店の取り組みを応援をしてはどうかと考えております。さまざまございますけども、こういうようないろんなことを進めてまいりたいと思います。
●知事
これから春に向けて、まだいろいろと行事が続いたり、元気の出るような動きもあろうかと思います。ソチオリンピックには、来週始まりますが、倉吉〔市にお住い〕の方のお孫さんですね、町田〔樹〕選手がフィギュア〔スケート〕の男子〔シングル〕で登場するということになっておりますし、楽しみな演技が続く、日本の方々に対する、そういうスポーツを通じたメッセージが届くんではないかと期待をいたしたいと思います。
また、米子ではガイナックスシアターが2月1日にお披露目、オープンということになります。早速この劇場を使ってイベントをしたいと予約が次々に入っているようでございまして、ポップカルチャーを初めとした鳥取の新しい顔ができるのではないかと期待をいたしております。
昨日はNHKのBS放送におきまして「ちょっとは、ダラズに。」という、鳥取に移住をするシングルマザーの親子の物語がオンエアをされました。鳥取県西部の温かくて、そして率直で人懐っこい、そういう人情の伝わってくる、そういうようなドラマでありまして、地域の魅力も発信できたのではないかなというふうに思います。これからそうした意味で移住・定住も、森昌子さんに〔とっとりふるさと〕大使になってもらいましたけども、そうした応援もいただきながら進めていこうと考えているところでございます。関係予算も当初予算の中でも計上をさせていただいております。
私のほうからは以上です。
○日本海新聞 井上昌之 記者
それでは、質問のある社からよろしくお願いいたします。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、外国人の免税の関係なんですけども、もう少し具体と、店というのは具体にどこを考えておられるのかとかいう、導入時期とか、詳細をもう少し具体に教えてほしいんですが。
●知事
これは、国のほうの予算編成の中でそういう考え方が打ち出されました。ビジット・ジャパン〔訪日旅行促進活動〕、今〔訪日外国旅行者数は〕1,000万人を超えるということになりましたが、ビジット・ジャパン〔訪日旅行促進活動〕をさらに応援していこうと、そういう意味で免税店と言われるお店が空港等にもございます。鳥取県内にも米子鬼太郎空港や、それから〔一般国道〕431〔号線〕の沿道や、また大型のショッピングセンターでこういう免税の認証を受けているところもあるわけでありますけども、まだ、数が多くないわけですね。外国の方がまちを歩きながら気軽に免税を受けられる、そういう環境をつくるというアイデアなんです。
非常に私どもも今、クルーズ船が例えばやってくるわけですね。そうすると、実態はどうかというと、境港のまちに出ていってショッピングをなさったりします。もちろんそのほかの米子だとか倉吉だとか鳥取だとか、いろんなところにも外国人の方がお見えになるわけでありますが、残念ながら、そういう免税環境は今ないわけです。従来の免税とは違って、そういう新しい仕組みを活用して免税店舗を一気にふやしていくということは考えられてもいいのではないかなと思います。
ただ、今、年明けの今の段階でも、そのスキーム〔枠組み〕の詳細は国からまだ示されていません。どうもイメージとしてはビジット・ジャパン〔訪日旅行促進活動〕を促進する、そういう店舗であり、免税が受けられますよという、そういうマークを掲げてお客様には認識してもらうと。このお店がその対象になりますよということを、これを国のほうでも認定をすると、こういう仕組みのようです。ただ、新しい話でありますので、いろいろとハードルがございますし、お店の考え方もそれぞれにあろうかと思います。ですから、多分年度が明けて実際には動き出すと思うんですけども、我々としても速やかに、そういうお店がそういう認証を受けられるように、その応援のスキーム〔枠組み〕を我々としてもつくってまいりたいなと思っております。
○読売新聞 加藤あかね 記者
そこに予算措置というのはどの程度入ってくるんですか。
●知事
これは事務費的なものですね、促進措置という段階かなというふうに思います。これはほかにも、例えばクレジットカードを使えるお店がまだ鳥取県内は残念ながら都会地ほど多くない。その促進事業だとか、そういうものとあわせまして、外国のお客様か立ち寄りやすい環境づくりを、そうした予算をつくっていきたいと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
それ、どれくらいの規模を予定されているんでしょうか。
●知事
これは、結局最終的にはお店の御判断になりますので、御協賛いただけるお店が加わってくるということだと思います。ただ、町なかのショップでも認証を受けられるというスキーム〔枠組み〕になっていますので、その辺をよくPRをしてまいりたいと思います。
○朝日新聞 山﨑聡 記者
最後のお話の流れの中で、県内でも最先端の研究がなされているというお話があったんですが、何か具体的に頭に思い描いておられる研究はございますか。
●知事
例えば大腸の内視鏡がございますけども、それはいろいろと難しさもあるわけです。それは患者さんにとって痛みがあったり、また、これはあってはならないことでありますけど、医療事故として突き刺してしまうせん孔というようなこともあります。そういう危険性をなくすために、先端にシャクトリムシのように風船を膨らませながら、前に動力をつけて進んでいくと。後ろから押し込むと、どうしても事故が起こる可能性がありますが、前から引っ張っていくような形にして安全性を高める。また、それを、風船を膨らますような形で患者さんに負担のないような形にする。また、今までの内視鏡ですと、結局前しか見えないんですが、後ろ側も見えるように、そういうカメラを搭載をする。これは結局どういうことかと、医療の現場で必要とされていることを素直にロボット化しようということですね。こんなことを今始めておりまして、そうした医工連携と言われるものを応援をしていきたいということです。
さらに発展させていけば、民間の企業さんに、要は大学のほうでいえば、大学はそういう最先端の技術なりを持っていますし、また臨床の場でもあるわけですね。実際に患者さんとの中で役に立つものができるかどうか、そういうケースを積み重ねていくわけであります。ただ、ロボットをつくる技術は残念ながらないですよね。ですから、そのロボットをつくる技術なりアイデアを持ったところとコラボ〔連携〕をした、そういう新しい医工連携の基盤づくり、こういう応援もあってもいいと思います。この辺を医工連携の一つのターゲットに考えております。
そのほかにも、これはiPS細胞とかSTAP〔細胞〕と結びつく技術にもなり得るわけでありますが、遺伝子工学が鳥取大学の場合、世界の最先端を切っている一つの研究フィールド〔領域〕になっていまして、この技術を使って創薬であるとか、それから健康食品も含めた効果の実証であるとか、そういういわば社会的、経済的サービスにも結びついてくる、その辺の今、ブリッジをかけようとしています。こうしたことなども応援の対象になろうかと思います。
先般、倉吉のほうに誘致の話がまとまってきた歯科技工関係の医療機器メーカーがありますけども、これを皮切りにして、我々としてはそのような医工連携、あるいは先端技術を活用した医学の新しいフィールド〔領域〕を創薬等に結びつけていく、そういうことを産業シーズ〔新しく提供する新技術・材料・サービス〕として新年度のテーマにもしてみたいと思っております。
○NHK 林久美子 記者
すみません、EGLツアーズのことでお伺いしたいんですけれども、3月25日以降3回ということでしたけども、期間と、改めて何人規模ぐらいになるのかという見通しが、もしわかる範囲であれば。あと、今回、その調整がまとまった経緯、どのようなことで向こうからお話があったのか、お願いします。
●知事
これは、我々としてはかねてから夏だけでなくて、別のシーズンもやっていただきたいということで折衝をしてまいりました。その中で、なかなかちょっと飛行機の手当て等の問題があるわけですね。それで現段階でできそうな時期として3月25日以降3回ぐらいというのが浮上してきたところでございます。これは最終的な調整を今、精力的にツアー会社のほうでもされていると思います。今の詳細な状況につきましては、後ほど担当部局のほうから御報告を申し上げます。
○NHK 林久美子 記者
前回は、移動の時間とか、課題として残った点などもあると思うんですけども、その3月までに解決していきたい点を知事としてどのようにお考えなのかというのと、今回、春ということで旅行のテーマとしてどのようなものを想定されていますか。
●知事
ちょうど桜の季節に入ってこようかと思います。これは日本らしさのシンボルでありまして、その辺を狙ってのツアー造成ではないかなと私どもは見ております。また、今までの反省点もいろいろあろうかと思いますが、よかった点もございまして、先方、香港の皆さんと我々と経験を共有しましたので、前回よりは改善を図ってまいれると思います。
ただ、今回は割と小規模でありますが、本体は夏に、もっと大規模にやっていこうということであります。我々としては、気持ちは夏休みだけでなくて、通年型でやっぱり香港からお客さんを呼び込めるんではないかと思っておりまして、いわばテストケースとして今回、春のツアーをお願いをしてきたわけであります。
○NHK 林久美子 記者
誘致が決まったことについて、知事としてもお喜びの気持ちがあると思いますが。
●知事
これで国際リゾートを目指す鳥取県として、新しい香港というターゲットを確実なものにしていくステップになると思います。夏休みで昨シーズン試しましたけど、それ以外のシーズンでも実証的なツアーが組めれば、我々としてもありがたいわけです。心を込めて地域としておもてなしをしたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、予算編成の関係なんですけれども、きょうの話の中で土地開発基金を20億程度取り崩して編成するというお話があったわけなんですが、これは基金自体をいわば解消するような形になるのか、それともそこから20億を引き出すというか、そういう形にするのかという点を教えてください。
●知事
いろいろと内部で今議論したんですが、土地開発基金というのはもともと地価が高騰していった時代のものでございまして、早目に土地を押さえて買っておく、そのためのお金でございます。ただ、現状、そういう時代的使命を失いかけているんじゃないかなと思うんですね。だから全廃ということも考えられるんですが、ただ、何かのときの備えということもありますので、6億〔円〕ぐらい残して、残りは全部取り崩すということにさせていただきたいと思っております。特段これで例えば公共事業の執行が立ち行かなくなるとか、そういう影響はありませんので、現状からいえばですね、問題ないというふうに考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、財政調整型基金ではない類いの基金だと思うんですけども、これを取り崩す場合は議会の承認が必要になってくると思うんですが、これは3月議会で提案されるということでよろしいですか。
●知事
これはそうですね、このたびの2月から3月の〔県〕議会で当初予算の一部として提案をさせていただきたいと思います。〔県〕議会の整々粛々とした御判断を仰ぎたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
わかりました。あと、もう1点お聞きしたいんですが、予算編成で財源不足が懸念されるというお話の中で、昨年度、本年度と使われた手法ですね、繰越金を使うという手法と、先ほどおっしゃった土地開発基金の取り崩し、それから財政調整型基金の活用というのも当然必要になってくると思うんですが、その規模というのはどれくらいになりそうか、今のところの見通しを教えてください。
●知事
これは、まだ最終的にちょっと数字がつくれていないところでありますが、私は、今回の当初予算編成は財政誘導目標という、県民の皆様に鳥取県の財政の健全化をお約束をしました。その財政誘導目標を実現する形にしたいと思います。と申しますのも、この当初予算編成が実質上、最後の当初予算編成に私の任期でなるものですから、このタイミングでその形、方向づけをしたいと思っております。
3つのお約束事項があったんですが、一つは実質的な借金の残高です。これが前の1期目から2期目にかけて3,600億円余りございました。それを今回の当初予算編成で3,200億円台、大体400億円引き下げた形で皆様に御提示を申し上げたいと思います。これで1つ目のハードルはクリアされます。
それで、2つ目のハードルが今おっしゃった点なんですが、2月補正〔予算〕のほうですね、財源更正のほうで基金を戻した上で、90億〔円〕ほど戻そうと思います。それで、でも足りないもんですから、当初予算で取り崩さなければなりません。ただ、取り崩した後の姿を大体360億円ぐらいのオーダー。お約束した貯金の額は片山〔善博前〕知事から引き継いだときの300億〔円〕であります。300億〔円〕を60億〔円〕程度上回る形でお見せをしたいと思います。
また、プライマリーバランス〔基礎的財政収支〕、これについても大体80から90億円ぐらいの黒字で当初予算を編成したいと思います。今これ最終調整中でありますが、財政健全化のための3つのお約束、これを全て今回の当初予算で果たさせていただきたいと考えております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、重ねてですけども、財政調整型基金の取り崩しは、今回の当初予算では全くしないということで……。
●知事
いや、します。した上で、大体360億円ぐらい確保したいなということですね、当初予算段階で。そうすれば、1期目から2期目にかけて持っていた基金も確保できるということになりますので、そのぐらいは確保、ちょっと欲張りかもしれませんけども、300億円がお約束している、そういう基金残高でありますが、それにもう少し積んで、財政の健全化にこの4年間も努めましたよと、その成果を出させていただこうと思っています。ただ、当然ちょっと当初予算が足り苦しいので、一旦2月補正〔予算〕の中で剰余金を出して、それを財政調整基金に積み戻しますけれども、申しわけないですが、もう一回当初予算でそれを取り崩させていただくという形をとらざるを得ないと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、関連してですけども、本年度の当初予算編成のときに、財政調整型基金、たしか90億円ぐらい崩して編成するという内容だったと思うんですけども、それが丸々使わずに残せたということなんでしょうか。
●知事
それをだから戻そうと。要は不要不急の事業を無理に執行しないことなどでその辺の手当てをしようと。ちょっと正直、当初予算編成が足り苦しいもんですから、その辺を活用させていただこうということです。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、細かいことですが、先ほど来おっしゃっておられる2月補正というのは通常の2月補正のことだろうと思いますが、一つ、その御確認と、もう一つ、その90億ぐらい剰余金が2013年度出るというのは、めどがある程度あるんですか。
●知事
そこを今、最終精査していますけども、可能な範囲に入ってきたと思います。ですから、今もお話がございましたけれども、25年度当初予算で崩した分を〔2月補正予算で〕また積み戻すと。それで新年度、26年度予算の編成に備えると、そういう形をとりたいと思います。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
その90億の剰余金が出るというのは、特別これだという一つの大きな理由があってというのでなくて、いろいろ細かいものが積み重なってかもしれませんけど、何かございますでしょうか。
●知事
いや、おっしゃるとおりです。細かいものが積み重なって。〔25〕年度当初で組んだ予算がありますけども、ただ、全てが順調に執行できるわけではありませんので、我々としては、他県は使い切り予算をやりますけども、我々は無理に使い切ることは逆に無駄遣い、弊害があると考えておりまして、そういう使い切りはしないでねと、これを今、庁内に徹底をしているわけです。そういうことで生まれる剰余を活用させていただくと。大切に活用させていただいて、それが財政の健全化、来年のプライマリーバランス〔基礎的財政収支〕黒字化の中での編成につなげていくということです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
全体的に、今回が知事にとって最終的な本格的な予算ということになると思うんですけれどもね、前任の知事から引き継がれてから7年間になると思うんですが、その結果、当初、県民に約束した3つのことがさっきありまして、それが順調に達成できるって話だったんですけれども、この結果をどういうふうに考えられますか。できるということを。
●知事
その3つのお約束というのは、財政健全化に向けた財政誘導指標でありますが、これは実現できたと思います。いろいろ精査をしましたけれども、もう達成可能なレンジ〔範囲〕に入ったと。なかなかこれ、正直、他県では難しいことを我々の県はやっているんですが、財政当局はもちろんですけど、県庁内の各部局にも協力してもらって選択と集中をやってきているわけです。その中でこういう財政の健全化を達成できたということは、大変に私としても県民の皆様にお返しができたかなというふうに思います。前〔知事〕の片山〔善博〕さんの時代は、毎年100億円ずつ貯金を取り崩すという赤字財政の時代でありましたけども、私が引き継いだ後は一貫して黒字化を逆に展開をしてまいりました。そういう意味で、基金を減らさない、貯金は減らさない、借金はふやさない、それから黒字の予算を組みますと、これを達成したということでありまして、2期目の財政面での答えは出せるかなと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
その借金がないというのは、臨時財政債、臨財債も含めての借金がないという意味でよろしいんですか。
●知事
今の運用は、臨時財政対策債を一般財源として国全体が運用しています。それで100%、後年度、〔地方〕交付税で返ってくるということでございます。ですから、これは一般財源として扱っております。ただ、片方で、私たちは臨〔時〕財〔政対策〕債はいずれ〔地方〕交付税で返ってくるとはいっても、借金は借金でありまして、外形的には借金が膨れることになります。特に私どものような小さな財政規模の団体は、例えば外国の人から見て、こういう借金があるというのは大変ではないかと、その財政運営に対する安定感を失うことになると思いますので、なるべくなら現ナマ、〔地方〕交付税で、後年度、借金を交付税措置することで入れてくるような一般財源じゃなくて、現ナマの〔地方〕交付税で出してくださいというふうにお願いをしています。
新年度予算は、〔地方〕交付税は若干ふえます。臨〔時〕財〔政対策〕債はぐっと減るということになります。ですから、我々が求めていることの内容ではあるんですが、痛しかゆしでありまして、この臨〔時〕財〔政対策〕債と〔地方〕交付税の合計は、今年度当初よりもぐっと減るもんですから、非常に財政としては予算が組みにくかったということです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
結局総額が減るということになるわけですよね、予算総額が。その中でもあえて黒字を求めていくということになると思うんですが、そうなると、施策の執行上、痛苦しいところが出てくるのかなと思ったりするんですが、そのあたりはどうなんでしょう。
●知事
そこがだから、前の県政と私とちょっと断層があるんですね。私は二兎を追おうと。つまり福祉だとか、あるいは基盤整備だとか、そうしたいろんな財政需要があります。それは積極的にやっていきますと。また、財政の健全化も進めますと。一見矛盾するこの二兎を、2頭のウサギを追っているわけでありまして、それをやっているんですね。それはだから、何か非常に我々としても工夫しているところなんです。一つは行政のスリム化だとか無駄を排するということを精力的にやっているんですね。例えば前の片山県政のときは、〔職員〕定数はどんどんふえていったと。今、職員定数は抑制ぎみであります。それも数値目標を示して抑制をしてきておりまして、今期は3%〔の削減〕ですか、抑制をしますということにいたしております。こうしたことなどのいわば行政組織の改革を片方でやっておりますし、また残業手当がなくてもいいように仕事自体の効率化をする。また不要不急の仕事は整理をして、その分、意欲的に別の事業に充てていくと。だから、何か手品のように見えますけども、非常に地道なこういう努力をした結果として、積極型の予算でありながら財政の健全化を同時に達成するということを、この7年間やってきているわけです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
先ほど最初に言いましたけども、最後の本格的予算と言ったんですけれども、最後ということは、言っていいのかどうかというのはちょっと疑問なところがございまして、というのは……。
●知事
いや、今期最後。
○山陰中央新報 太田満明 記者
今期最後。だから、今期最後と言っちゃいますと、次はないのかよという……。
●知事
それ以上でも以下でもありません。
○山陰中央新報 太田満明 記者
知事の施策というのは、県内だけじゃなくて、海外にまで手を出してといいますか、前回もありましたけど、タイとか北東アジアとか、いろんなところまで手を出していっとられると思うんですけれどもね、最後というおっしゃられ方をしますと、次期は、そのあたりのことはどうなるんでしょうかという不安ないし疑問なりというものが残ってくるんですが、ちょっと言いづらいことを言うんですが、来期はないんでしょうかという質問はどうなんでしょうか。
●知事
私は、いわば県民の道具であると思っています。ですから、県民の皆様の御意思に従って、自分としては身を処していく存在だというふうに思います。したがいまして、まだ自分としては、これからいろんな方々の御意見を聞いて判断をしていくということにいたしたいと思います。
自分は、別に自分のために選挙に出ているわけでもありません。また、自分のために県政の仕事をさせていただいているわけではなくて、県民のために選挙に出て、県民の皆様のために仕事をすると、そういうふうに自己規制をさせていただいております。その辺がちょっと、ほかの政治家とちょっと違うかもしれません。だから、ニュータイプかもしれませんが、私自身はそういうメンタリティー〔心理状態〕でありまして、謙虚にこれからも考えてまいりたいと思います。ただ、任されている以上は、今の県政を一生懸命務めさせていただきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
わかりました。大分宿題も残っていくように思いますので、その辺のこともよろしくお願いしたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
すみません、知事と教育委員会との関係についてちょっと質問させていただきます。
この間の教育協働会議の席上、知事のほうから土曜日授業の来年度の実施に関して、県教委のほうに、市教委に対して強く指導をしてほしいという旨言われましたけれども、これについてその後、県教委のほうからその回答なりはあったんでしょうか。
●知事
今、予算編成作業を進めていまして、その中で教育長を初め教育部局と精力的に個々重点的な議論をしております。
結論から申しますと、〔土曜日授業について〕重点校を1校、それから東、中、西での試行的実施の3校、これを県立の高校レベルで予算化をするということにいたします。当然県教〔育〕委〔員会〕として、それは指導してくださいということを申し上げました。県教〔育〕委〔員会〕としても、そういうことで予算をもらったら努力すると、そういうふうに教育長サイドも言っていますので、これはそういうことで進めさせていただきたいと思います。
また、先般、5、6程度というようなお話もあった説明ではありましたけども、市町村の教育委員会のほうにも改めて指導していただいて、首長ともよく話し合っていただいて、土曜日授業、試行的な実施も含めてもっと広げてくれということを申し上げています。予算上は、これは私のほうから先方と調整をさせていただきましたけれども、19の市町村がありますが、その過半数の10の市町村で土曜日授業の試行的実施も含めて行うように予算は計上させてもらいたいと思います。これはもちろん新年度、ずっと4月から3月までありますので、市町村教〔育〕委〔員会〕に対する指導や、もちろん支援が必要ですので、県教〔育〕委〔員会〕からの。そうしたことを県教〔育〕委〔員会〕サイドでも行うということを約束してもらいました。そういうわけで、先般、教育協働会議で民間有識者の委員から相次いで土曜日授業の県教〔育〕委〔員会〕の取り組みが甘いと、そういう指摘が各委員から相次いだことを県教〔育〕委〔員会〕側も重く受けとめて、方向転換をしつつあると思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
先ほど言われました19の市町村のうち10の市町村の予算枠をとって県教委を支援するということなんですけど、この10という数はどこから出てきたんでしょうか。何か県教委のほうから出てきたんでしょうか、それとも知事側から。
●知事
これは、言い出しっぺはこっちかもしれませんが、要はこの間、取り組みが余りにも限定的過ぎて、土曜日授業を本気でやっているとは思えないと、民間の有識者の〔教育〕協働会議の委員がおっしゃいました。それを踏まえれば、やはり過半数の市町村で実施を試行してみて、それの成果をみんなで見て広げていくというきっかけになるようにするのが筋道かなあと思いました。したがいまして、10というのは、いわばそういう一つの概数でありますけども、厳密に足し上げて10にしたということではありませんが、19の市町村のうちの半分で土曜日授業の試行実施も含めた姿が見えるということを期待しております。
○山陰放送 秦卓史 記者
じゃあ、そうすると、その10という数自体、知事のほうから出されたということですけれども、この土曜日授業を進めてほしいという民意なんですけども、これについては、知事はどの場で確認をされたんでしょうか。アンケートなんでしょうか、それとも委員の方の意見なんでしょうか。
●知事
実はいろんなところでこの土曜日授業、私は前から申し上げているもんですから、あちこちでいろんな方から、むしろ今度やれやれという非常に強いお話をいただきます。会合によっては、土曜日授業、賛成かってみんなで手を挙げて聞いて、もうほとんどみんなが手を挙げるというようなことも目の当たりにしたこともあります。だから、これが実は世間の感覚ではないかと思います。
もちろん土曜日授業のやり方にはいろんなものがありまして、この間も民間有識者の皆様の御意見がございましたけれども、工夫ができるだろうと。例えば学校をあけておいて、そこにOBの教員の方が来て授業をやるとか、あるいは地域の人たちが出ていって宿題を解く、国語の補習をすると。今、なかなか共働き家庭等もあって、家で宿題を見れる子と見れない子で差がつき始めているんではないか。そういうのを土曜日授業で、これはだから別に学校の先生でなくてもいいわけですよね。地域の皆様も手伝ってやっていくとか。
それから、大きなイベント等の体験を子供たちにしてもらう。あるいは社会人の方のお話を聞いて、生きていく上での知識や意欲を身につけてもらう。そういうタイプの授業といいますか、土曜日授業もあるだろうと。だから、従来の厳密な、学校の先生が朝から昼まで4時間区切って教えるというものだけでないだろうということです。また、回数も毎週毎週やるというものでもないだろうと思います。実は文〔部〕科〔学〕省は、年間10〔回〕以上という一つの基準を持って土曜日授業の話をしておられますが、先ほど申しましたように、試行的実施ということであれば、そういう10回にこだわらず、まずはやってみると。それに地域も協力したり、あるいはOB教員を使うというやり方もあったり、あるいはもちろん現役のその学校の教師がやるというやり方もあったり、いろいろあると思いますが、それはそれぞれ工夫してもらって、何回かでもやってみると。そういう試行実施を呼びかけるのが現実的ではないかなと思います。ですから、この間、ああいうちょっとかなり激しいやりとりが民間有識者の委員と教育委員会サイド、また私も同様のことを申し上げましたが、そういう中で一つの妥協の方向性が出たのかなと思っております。だから可能な範囲でやってみる、それを新年度、実施してみてはどうかなと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
まだ実施に踏み切れない市町村の教育長の中には、アンケートもやっていないし、そのいわゆる民意がわからないという言い方をされて、早期の実施にはまだ踏み切れないという方もおられるんですけども、それについてはどのようにお感じでしょうか。
●知事
それはアンケートやりますよ、こちらで。だから、それで目が開けるんであれば、目を開いていただきたいと思います。やってみればわかりますけども、学校が怠けているということを言っているわけではないんですよね。もっともっと子供たちのために地域を挙げてできることがあるんじゃないか、その一つとして土曜日授業という選択肢を持ってもいいんじゃないかということです。
皆さんおっしゃっていますが、全校それをとにかくのべつ幕なしやれということまでは言ってないんですけども、学校の先生方も真面目なもんですから、別に悪意があるわけじゃないですよ。新しいローテーションを組むとしたらどういうことをしたらいいかとか、いろいろと、いわばそこまで深く考えんでもいいことに考えが行ってしまう。ただ、地域が協力することでいろんな解決策があると思うんですね。だから、そこをもう一歩踏み込んで考えていただければありがたいと思います。アンケートが必要だというなら、それはこちらでとらさせていただきます。
○山陰放送 秦卓史 記者
先日の行政懇談会の中でも、知事のほうから教育委員会の制度についてはいずれ大きく変わるというような、だろうというような発言があったり、教育委員会のあり方について、知事はたびたび大胆な発言をされているように思うんですけれども、国の中教審の答申も出ました。そこにあるように、首長が直接この教育行政に意見を反映していくという制度については、やはり賛成の立場ということでしょうか。
●知事
それは賛成です。それは、これは別に今のこの土曜日授業の話で言ってるわけじゃないですが、既に教育委員会制度は歴史的使命を果たしたんじゃないかなと思うんですね。戦後、民主主義を導入するために公選制の教育委員会制度というのが設計されました。ただ、その後、それが実相に合わないということから公選制が廃止をされたわけです。そうすると、民意の届かない教育委員会ができてしまったんですね。これが長く中央集権の道具として文部科学省が、教育長の任命は文部科学省ということで、逆に中央集権型の教育を進める、そういう教育の道具になってきたと思います。最近はもうデモクラシー〔民主主義〕が成熟してきましたので、良識的に教育について地域でちゃんと話し合って答えを出せる、そういう成熟度が市民レベルで生まれてきているわけでありますから、地域にそういう教育の決定権を返すべきではないかと思います。
ですから、今、安倍〔晋三内閣〕総理〔大臣〕がおっしゃったわけでありますけども、これは質問戦に答えておっしゃっていますが、この教育委員会制度の改革を進めるとおっしゃいまして、来週にも与党で教育委員会制度の改革の議論が正式に始まることになります。公明党と自〔由〕民〔主〕党さんでは、若干意見の隔たりはあるんですが、これからの議論も注目をさせていただきたいと思います。やはり民意なり地域の保護者や、あるいは住民の皆様の声がストレートにやっぱり教育に反映されるようにすることは民主主義の根幹にかかわることだと思いますので、今の改革の方向性については肯定的に考えております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
ほか、ございませんでしょうか。
それでは、記者会見を終わります。ありがとうございました。
●知事
はい、どうもありがとうございました。