防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2014年2月7日)

平成26年2月7日(金)午前11時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約78分) ※MPEG4形式

  

1 ソチ五輪開幕 

●知事

 皆様、おはようございます。
 いよいよこれからソチオリンピックが開幕をすることになります。日本の選手の大活躍を期待したいと思いますし、鳥取県でもゆかりの町田〔樹〕選手が男子フィギュア〔スケート〕に登場することになります。きょう、この後、パラリンピックのほうになりますが、谷口彰選手、これはアルペンで、チェアのスキーで登場します。先般、結団式も行われましたけれども、2月10日(月)にお会いをし、励ますということにさせていただきたいと思います。

 スポーツを通じて世界中が一つになる、そういうオリンピックの大切な時期であります。ぜひともこれから鳥取県としても、東京オリンピックもいずれ、2020年にやってきますし、さらにその翌年にはワールドマスターズゲームズもやってきます。スポーツを通じて地域を興していく、そういう光がこのソチオリンピックの期間で生まれてこないかなというふうに期待をいたしております。

 実は女子プロゴルフでも〔倉吉市出身の〕永田あおい選手が活躍をしておりまして、今度のシーズンではフルで、レギュラーで出場することになります。本日、永田選手が県庁に姿を見せることになっております。チュウブに所属をしていまして、いよいよ沖縄のダイキンのオープンからスタートをするということになりますが、今シーズンの活躍に御期待を申し上げたいと思います。



2 臨時議会と補正予算 

●知事

 そういうようなスポーツ関係の予算も含めて、当初予算の編成をさせていただきますし、きょう10時から議会で運営委員会が開かれまして、来週12日に臨時議会をまずは招集をするということが決まりました。臨時議会の経済・雇用対策からまいりますと、総額で131億円の対策を考えることになります。そのうち約20億円のところは、これからの企業の成長を支えていくと、そういう事業になりますし、また、そのほかにも女性の参画であるとか、あるいは80億ぐらい、これは公共投資も含めた防災、安全の対策、こういうようなことを盛り込んでおりまして、総額で131億円、提案をすることになります。

 昨日〔2月6日〕、国のほうで補正予算が成立をしました。それとあわせてさまざまな県独自の対策も入れて、今回させていただくことになります。県独自の対策としては、これはあんまり大きな額ではありませんが、このたび冷凍食品で農薬を混入するという、これはあってはならないことでありますが、そういう事件もありました。したがいまして、フードプロテクト事業、そういう食品を製造している会社は県内にもございまして、あの問題は結局いろんなところに犯人が出入りをしたということからあったわけであります。したがいまして、そういう犯人が動くというのが今回の農薬混入につながったわけでありまして、監視カメラであるとか、そういうセキュリティー対策、これを食品加工産業が行う場合に、それを助成をするというのも、これはこのたびの事件の反省も踏まえて、緊急に補正予算の中で盛り込まさせていただきたいと思っております。

 また、さまざま国のほうの事業も取り込んでやっていくことになりますが、できるだけ早く効果を出すことが大切だと思いまして、あえて臨時議会の招集ということにさせていただきました。



3 平成26年度当初予算案 

●知事

 また、当初予算の編成もほぼまとまってまいりまして、今、最終的な調整をいたしているところでございますが、総額で3,379億円余り、3,380億円でありますが、79、80億円といったところでございまして、これは平成12年度以来の伸びであります対前年で2.3%の当初予算の伸びということになります。これは、原因としては消費税が上がるということで、経済対策、雇用対策をしっかりとこの時期に打たなければならないということが一つにはありましたし、また、県の独自の政策として、子育てであるとか障がい者対策であるとか、そうしたところに積極的に予算を計上いたしました。その結果として伸びが大きかったということになります。消費増税での冷え込みということも懸念材料としてあるもんですから、公共投資も伸ばさせていただいておりまして、5.3%増という伸び率になります。これも久しぶりの増ということになります。そういうように、積極型で予算編成をさせていただく片方で、財源のほうは先般来申し上げておりますようなやりくりをさせていただき、我々として予算額を確保したということになりました。

 「共に生きる」ということを新年度の予算のテーマとさせていただきたいと思います。今、このふるさと鳥取、ここで希望を持って生きていく、それを応援するのが県政の最大の課題であろうかと思います。そのためには、幾つかのパスウエー〔経路〕といいますか、方策、ジャンルというものがあろうかと思います。

 「障がいを知り、共に生きる」ということ。これは先般、〔鳥取県〕手話言語条例が導入をされまして、全国から注目を集めている上に、〔第14回全国〕障がい者芸術・文化祭〔とっとり大会〕がございます。障がい者関連の施策で11億円レベルでの政策を用意をさせていただきました。このたび手話につきましては学校の子供たちのための教材パンフレットを作成いたしましたが、そういうことを皮切りにして、積極的に障がい者対策をやっていこうということであります。手話の環境づくり、これはもちろんのことといたしまして、重度心身障がい者向けにも他県にない施策の導入を図ろうと考えております。

 例えば東部、中部、西部で医療、例えば病院の病床を活用し、そこに福祉サービス、介護サービスというものを組み合わせることによりまして、鳥取県独自の重度心身障がい児・者の受け入れを考えようではないか。これ、こうしたことであるとか、例えば昼間のデイサービス、デイケアの居場所づくりであるとか、重度心身障がい児・者につきましては、なかなか住みにくい、生きにくいところがあります。「共に生きる」という観点からすれば、重点的な分野ではないかなというふうに考えまして、こちらのほうも新規施策を積極的に計上させていただきました。

 〔第14回全国〕障がい者芸術・文化祭〔とっとり大会〕につきましては、ぜひ成功させようというふうに考えておりまして、関係者とも知恵を寄せ集めてまいりました。それをパッケージにしまして、〔当初〕予算の中でも提案をさせていただくことにいたしました。これは、観客数を競うというものではむしろないんだと思います。参加する障がい者の皆様、また、このイベントを通して障がいを知る、そういう機会になるものですから、健常者の方々にも楽しんでいただける。それでその後の共生社会の基盤をつくっていく、そちらが真の目的だろうというふうに思っております。ですから、派手さのあるイベントではないかもしれませんが、真心を込めて全国、あるいは海外の方もお迎えをして、鳥取らしい障がい者芸術・文化祭を進めてまいりたいと考えております。

 また、2番目には活力あるふるさとに生きるというテーマがあろうかと思います。これは、やっぱり産業だとか雇用について、消費税がアップすることはあっても、それを乗り越えていくということがなければなりません。試算によれば、消費増税で1兆円から2兆円のGDP〔国内総生産〕が失われるのではないか、こういうような試算も国全体では出されているわけでありまして、それを乗り越えていく施策も片方で必要であります。

 また、県の中で積極的な企業誘致や中小企業振興、あるいは農林水産業対策を組んでいくことが大切だろうというふうに思います。中小企業対策でいえば、信用保証についての制度の充実であるとか、また融資制度、これもニューマネーと言われるような、企業さんが挑戦をする、そういう資金づくりをする。それも20年といったような超長期のものを今後用意していこうじゃないかと。もちろん消費税対策、資金繰りが一時的に厳しいこともありますので、そうしたことに対する融資制度なども制度融資として設ける。さまざまな形で企業の応援をすることをやっていこうと思います。

 特に女性が起業する、そういうことも、鳥取県は女性の就業率も高いところでありますし、やはり女性の能力を生かすということも必要でありますので、そういう女性の起業に焦点を当てた、そんなことも展開していきたいと思っております。

 農林水産業については、里山資本主義ということもありまして、CLT〔直交集成板〕、これを応援していこうじゃないかということなど、林業対策もあります。

 また、農業では、農地を、これは我々のほうでいうと担い手育成機構を媒介として集積をし、それでここから2020年までの間に農地の集積率5割を目指していこうと、それに向けた展開を図りたいということであります。そのためには、現場の職員体制を充実をしたり、それから農地を放される方に対する助成制度であるとか、そういう促進策も打って、強い農業をつくっていく必要があります。また、ハウスのコストを下げる取り組みを応援するとか、いろんな形で競争力を育てていくことにいたしたいと考えております。

 漁業のほうでは、つくる漁業、育てる漁業も重要でありまして、井戸海水を活用した養殖の支援等々、そうしたことなどを図りながら雇用を促進をしていきたいと思います。そのためには人材育成を基金も活用しながら進めていくことといたしております。

 このように、活力あること、ふるさとで生きていく、これをフィールドとして政策形成していきたいと思います。

 また、そういうこととあわせて、安心社会に生きる、このことも重要でございます。子育て王国のための条例をこのたび制定しようと提案をさせていただきますが、条例だけでなくて、その中身の施策も考えていこうということであります。こういう子育て支援関係で19億円の事業を計上することにいたしました。

 さまざまなものが含まれております。例えば使い勝手が悪いという評判もございました男性の育児休業・休暇の取得、この支援措置を使いやすくするために、時間休でもいいわけでありまして、時間休、あるいは一日休でもいいですが、合計2日以上、それを取得した場合には10万円、中小企業さんには助成をしますよという形にいたしまして、男性が育児休業をする文化を鳥取県から起こしていけないだろうかということも含んでおります。

 また、放課後児童クラブでありますとか、保育料の中山間地における支援措置でありますとか、そうしたことなどをさまざまに組まさせていただきまして、合計で19億円、子育て関係の予算を用意をさせていただいております。また、健康なうちに長寿を楽しんでいただく健康マイレージ事業、あるいはがん対策であるとか、そうした健康づくりの対策も進めることにいたしております。〔県立〕中央病院につきましては、基本的な計画を策定して、その次のステップへ進めるように、これからかじを切っていこうと考えてございます。また、認知症の予防するような体操だとか機器整備等も含めた応援などなど、長寿社会に向けた支援措置ということも考えようといたしております。

 そうしたことなどとあわせまして、防災対策、これも安心の社会に生きるための必須アイテムだと思います。原子力安全関係の所要の体制整備を図ることはもとよりでございまして、衛生環境研究所の、それに隣接をして原子力環境センターを周辺地域として初めて設置をする、それを目指した予算も準備をしようと考えております。これは国と十分今後折衝していかなければなりませんが、粘り強く、その実現を図っていくことといたしております。こうしたことなど、安心して生きていける、そういう社会づくりを目指す、これも私どものテーマと考えているところでございます。

 また、大交流時代を生きる、これは新しいフェーズ〔段階〕に入った鳥取県のネットワーク、それを生かすことであります。飛行機もそうでありますし、高速道路もそうでありますし、海もそうでありますし、いろいろと大動脈が結ばれてくる。これを促進することとあわせて、それを観光面で使いこなしていく、また産業面で生かしていく、こうしたことを図っていく必要がございます。Wi-Fiの〔無線〕ルーターを貸し出しして、これを観光客の皆様の情報収集に役立てていただくとか、水木しげるロードや〔鳥取〕砂丘等での環境を整えまして、外国人、あるいは障がい者もアクセスしやすい、そういう観光地にするとか、免税店だとか、そうしたいろんな環境整備をしまして、大交流時代の果実を地域の中にもたらしてまいりたいと考えております。

 そういう意味では、〔島根県の〕隠岐のジオパークと、それから山陰海岸のジオパークを結ぶ、そういうルートも重要になってきますので、大型のクルーズ船、これを走らせること、さらには隠岐汽船と共同しながらその調査研究体制づくりを検討するということなども我々として、ぜひ取り組んでみたいというところでございます。いろんな形で大交流時代の果実は生まれてくると思いますが、まだまだそれを生かせる体制ができていないわけでありまして、当初予算の中でも重点的なテーマとさせていただきたいと思います。

 あわせて、〔とっとり〕グリーンウェイブが昨年の大きな政策として鳥取県、展開をさせていただいたわけであります。自然とともに生きる、これも鳥取の生きる大きなジャンルになろうかと思います。その鳥取で生きる、自然とともに生きるというグリーンウェイブの後継の政策も展開をさせていただきたい。エコツーリズムの積極的な展開、例えばサイクリングロードを、これを弓ヶ浜に設置をする、それに向けて5,000万円規模の事業を投入して、いずれその整備を図っていこうということであります。そういうように、事業化に向けてハード面も含めた着手を図ってまいりたいと思います。

 また、自然エネルギーの展開に向けまして、温泉を利用して、〔米子市の〕皆生温泉や湯梨浜町でバイオマスによる発電であるとか、温泉熱利用であるとか、鳥取は中国地方の中でも温泉が多いところでございますので、そうしたものを生かした新しい再生可能エネルギーの活用、こういうことも図ってまいりたいと思います。メタンハイドレート〔メタンを主成分とする化石燃料〕の調査もいよいよ国でことしは行われる手はずになっています。それを後方支援する意味で、鳥取県としての研究事業ということも展開をしていきたい。これは今、関係の先生の御協力もいただいてやっている、その研究会を新年度も継続していったり、それから住民の皆様の理解を深める、その取り組みを後方支援としてやっていくことになろうかと思いますが、本体の調査がいよいよ新年度に行われる運びとなりますので、メタンハイドレートという新しいエネルギー、それにも我々として目を向けてまいりたいと思います。

 こうしたことなどをいろいろと入れ込んでいきますと、当初予算、昨年度よりも2.3%増という、平成12年度以来の伸びということになるものでございます。詳細につきまして、今、最終的な調整を行っております。



4 スポーツ振興監の設置 

●知事

 そのいろんな目玉の中でございますスポーツ関係、さっきのソチオリンピックとの関係でいえば、誘致活動を強めていく必要があったり、人材育成を図る必要があります。組織的にはスポーツ振興監というポストをつくることにしようと思います。振興監の「かん」は監事の監ですね。監事というのはオーディタリー、監査の「監」でありますが、そのスポーツ振興監を設けまして、スポーツ推進体制を教育委員会から移管をしまして、学校体育を教育委員会に残した以外はこちらに持ってきて、障がい者スポーツも基本的には統合していくということで、新しいポストをつくって体制をとりたいと思います。

 予算的にも、具体的には例えばセーリング競技、これは夏季オリンピック、夏のオリンピックの話なんですが、セーリング競技に向けたキャンプ地に我々は手を挙げて、昨年末から運動しておりますが、そのための一つの条件整備として、境港のマリーナに大型の格納庫、これは帆を立てたまま、マストを立てたまま収容できる、そういう特殊な格納庫、これがやっぱりオリンピック競技、オリンピック級の選手のキャンプ地としては必要でありますので、それの整備を行うことも入れたいというふうに考えております。こんなようなことを初めとして、組織的な対応も新年度に向けて今年度よりも強化してまいりたいと思います。



5 株式会社広電の進出 

●知事

 産業振興の一つとして、積極的な企業誘致展開を図っているところでございますが、懸案でありましたのは東部の〔鳥取〕三洋の跡地の活用であります。鳥取市が取得したところ以外で1.8ヘクタールの用地がございまして、そこに前の倉庫だと思いますが、建物も建った状態のところがあります。ここについて、かねて地域としていろんな協力を申し出ながら誘致活動を展開しておりました、その流れの中で株式会社広電さん、そちらが株式会社ライフオンという子会社を通じまして1.8ヘクタールの土地と建物を取得をして、そこに進出をする運びとなりました。2月17日にそのための調印式を行いたいということで、今、最終的な調整に入りました。

 この株式会社広電さんは、電気カーペット、あるいは電気毛布、電気あんかといったような、そういう熱ですね、電熱の家庭用の電気製品、これを製造している中堅大手でございまして、そちらがこちらのほうに御進出をいただくという運びになりました。そのきっかけとなりましたのは、例えばリスク分散とか鳥取県の誘致政策等もあるわけでありますが、電気製品をつくる人材が、いわば余剰感があるわけですね。そこで100人規模の雇用を今目指そうということなんですが、当座は30人とか、そういう規模から始めると思いますが、100人規模といったようなことを目指す、そのための人材確保という意味でも、鳥取は三洋人材がいらっしゃいますので、それを生かすことができる。あるいは地元の企業さんも、そういう電子機器関係、三洋のいわば企業ピラミッドの中にいた企業が多いですから、そうしたところで活用できるんじゃないか。いろんなことがありまして、今回、1.8ヘクタールについてはめどが立ったということになりました。

 まだそのほか源吉兆庵さん以外のところ、まだ十分体制がとれておりません。けれども、我々としても新年度の予算の中で、これからの予算の中で旧鳥取農高の校舎を企業活用しやすい環境づくりを計上したり、その誘致に向けた努力を重ねてまいりたいと思います。



6 医工連携の支援 

●知事

 また、鳥取大学が例えば医工連携等をしたり、それからダヴィンチ〔内視鏡手術支援ロボット〕を活用しまして先端的な医療をしています。こういうときに保険診療によらない、いわゆる混合診療といったような、そういう形態の導入も含めた特区申請をしたいということでございまして、鳥取県としてもこれを応援をしていくことにいたしました。これは今月、今後、ヒアリング等に国のほうの手続も進んでいくわけでありまして、我々としてもそういうアプリケーション、申請をさせていただくことといたしました。こういうような医工連携も新年度の重要事業と考えておりまして、国際的な活躍されている方々も招くようなグレードの高いシンポジウムを新年度、用意をさせていただこうと、今、〔当初〕予算に計上させていただいたところでございます。



7 オレイン55和牛の饗宴2014 

●知事

 「食のみやこ鳥取」を推進していくという意味で、新年度、フードバレーを目指そうということにいたしたいと思いますが、「食のみやこ鳥取」の中で、やはり最近消費が拡大傾向に戻ってきた牛肉は重要でございまして、この牛肉について、鳥取和牛オレイン55をキャンペーンをすることにいたしました。2月9日、もとはといえば2011年の2月9日がいい肉の日だということで、この日をオレイン55のPRの開始の日としてやったわけでありますが、それから3年がたちまして、2月9日に関西で、他の志をともにする県と一緒にPRをしようということにいたしました。オレイン和牛の、いわばフェスティバル、祭典を大阪のホテルで、大分県の広瀬〔勝貞〕知事、それから長野県、また今回、石川県も加わって、門上〔武司〕さんという方にも、いわば識者ですね、有識者、コメンテーター、評論家的な方でありますが、そうした方にも加わっていただいたり、大学の先生に入っていただいたりしてイベントをさせていただくことにいたしております。また、同時に西宮阪急、西宮の阪急ガーデンにおきまして、こちらでもその販売促進のPRイベントをやることにいたしております。



8 「バレンタイントレイン」イベント(恋山形駅) 

●知事

 また、これからさまざまなイベント等もあるわけでありますが、いよいよ2月14日がバレンタインデーということになります。〔智頭急行の〕恋山形〔駅〕がピンクの駅として、今急にここに来て注目をされるようになってきました。2月11日にバレンタインの特別列車を智頭駅から恋山形〔駅〕に走らせて、それで恋の成就を願うと、そんなようなイベントもさせていただくことにいたしております。寒いシーズンではありますが、オリンピックと同じように、雪にも恵まれた鳥取のリゾートもございます。多くの方に楽しんでいただけることを願いたいというふうに思います。
 私のほうからは以上です。


○山陰放送 秦卓史 記者

 それでは、質問のある方はお願いいたします。



9 スポーツ振興監の担当領域等 

○NHK 植田治男 記者

 よろしいですか。中で出てきましたスポーツ振興監なんですけれども、この振興監の具体的な仕事としては、どういうことをイメージすればいいのか教えていただけますでしょうか。


●知事

 少年、ジュニアレベルから生涯スポーツといったように、いろんな形でスポーツというものは私たちのライフステージに必要であろうと思います。今までは教育委員会の中にあったわけでありますが、今はそういうスポーツを楽しみながら、例えば観光をするとか、もちろん地域づくりに結びつけていくとか、先ほど申しました弓ヶ浜にサイクリングロードをつくろうとかいうこともございますけども、そういういろいろと地域とスポーツのかかわりというのは、もっと強化していかなければならないと思います。学校教育の分野から、むしろ一般行政、まちづくり、それから安心や健康づくり、活力づくり、そうしたところに政策としても結びつけやすいように、知事部局の文化観光局の中にスポーツ振興監を設置しまして、そこに部隊をつけて展開をしようということにいたしたいと思います。

 ただ、障がい者スポーツ等もありますので、福祉部局とブリッジをさせるとか、それから学校体育との関係で教育委員会とブリッジをさせるとか、そういういわばマトリックス的な要素も含めながら組織をつくってみたいと考えております。


○NHK 植田治男 記者

 では、基本的には人材育成を軸にしながら、例えば地域づくりとか、そういった多方面に、スポーツに関連する多方面にいろいろやっていただくと、そういうイメージで考えたらいいんですか。


●知事

 そうですね、平常時はそうかもしれません。ただ、特命的には、今、東京オリンピック2020が控えております。それに向けてどんどん全国的にもスポーツ熱が高まると思います。特にキャンプ地誘致であるとか、それから有望選手の育成であるとか、こういうところは今の緊急の課題としてあろうかと思います。また、エコツーリズムにあわせてスポーツツーリズムが昨年の〔とっとり〕グリーンウェイブの中で登場してきてクローズアップ〔注目〕されてきました。こうしたことも重点的に取り組んでいただきたいと思っております。ですから、単なる人づくりだけでなくて、鳥取県の力を根本から強くしていくために、地域としての魅力を根本から増していくためにスポーツを基軸として取り組んでもらう、そんな部局を想定しております。


○山陰放送 秦卓史 記者

 すみません、その設置に当たっては、教育委員会に今あるそれらを受け持つ部署は、それを、設置に関しては人的な交流もしていくんでしょうか、それとも完全に吸収をしていくようなイメージでしょうか。


●知事

 人材的にも移管を考えます。また、実は学校保健体育関係がありますので、そちらの人材は教育委員会に残るということになります。


○山陰放送 秦卓史 記者

 教育委員会の側の社会体育部門が移るというようなイメージなんでしょうか。


●知事

 そうですね、地域スポーツだとか、そういう人たちはこちらに来られる、知事部局のほうに来られることを想定しています。


○山陰放送 秦卓史 記者

 そうしますと、教育委員会との関連でいいますと、以前、かなり以前ですけれども、出雲市の西尾市長が教育改革をやられるときに、教育委員会の社会体育部門を市長側に持ってくるような改革の構想を打ち出されたこともありましたけれども、知事としてはそういうような、教育委員会にある部署を取り込むことで、より行政を効率的に動かしていこうという意図なんでしょうか。


●知事

 結局選手強化一つとってもそうなわけでありますが、例えば財政的裏づけが必要であったり、あるいはいろんな人材を投入したりして支えていかなければなりません。そういう意味では、知事部局にいたほうが、そこは教育行政全体の中で、学校教育の中でフィルターを通してそこの人材育成を図るよりも手っ取り早いことが多いのではないかと思います。

 また、先ほども申しましたように、今回こういうふうに組織改正に踏み切る一つの要因は、東京オリンピック〔2020〕が決まって、これからスポーツと地域との関係が変わると思うんです。やはりスポーツを軸にして地域を活性化していく、それぞれの人の人生を彩り豊かですばらしいものにしていく。そういう意味では、学校の中で体を鍛えるということよりも飛び出していかなきゃいけないと思います。それからほかの観光関係者とか、それから誘致であれば国際的に交渉したりする、そういうネゴシエーター〔交渉人〕の存在であるとか、もっと自由度を高く、人材をまとめてチームを組んでやっていかなければならないと思います。ですから、従来とはちょっとステージ〔局面〕が変わると思うんですね、この東京オリンピック〔2020〕という要素が入ってきたことで。また、我々はエコツーリズムを去年、〔とっとり〕グリーンウェイブでやりまして、そのスポーツツーリズムも志向性が高まってきた。こんなようなことでいきますと、我々としては、ちょっとここで展開を変えて、学校の校舎の中から外へ出てきてもらって、むしろ町なかの公民館に来てもらう、そんなようなイメージでありますが、いろんな人が協力しながらスポーツを盛り上げていくと、そういうスタイルに展開したいということであります。その意味では、西尾〔理弘元〕市長と似ているかもしれませんね。ただ、西尾〔理弘元〕市長は、もっと教育委員会自体のことに踏み込んでいたと思います。


○山陰放送 秦卓史 記者

 知事は、そこまでは踏み込まないということ。


●知事

 私は、持論としては教育委員会制度はもう、繰り返し申し上げておりますが、かなり時代として劣化してきていると、時代とともに。それは社会的使命が薄れてきているということだと思っています。戦後は民主主義を注入する材料として教育委員会というものの存在は大きかったと思いますが、教育委員会の公選制が失われて、むしろ中央集権化や、あるいはいわば閉鎖社会としての教育委員会というものにつながりやすい面があると思いますね。だから、私は今、政府・与党が検討しています教育委員会改革の方向性におおむね賛成をしております。



10 株式会社広電進出に関する経緯等 

○読売新聞 加藤あかね 記者

 すみません、三洋の跡地なんですけれども、県としても雇用問題にも発展する重要な問題ではあったと思いますけれども、この進出企業がほぼ決まっているということに対する知事の受けとめと、そういった誘致につながった、何か決定的な理由とかあれば教えていただきたいです。


●知事

 これは、〔鳥取〕三洋が抜けたという穴を素直に補い得るならこんなやり方かなあという展開であります。つまり同じ電気、家電の範疇の中でそれをやってみようという企業さんが出てきたということであります。ただ、ジャンルは限られてはいますし、雇用もそれは鳥取三洋の時代に比べると必ずしも大きいとは言えませんけれども、ただ、三洋の抜けた穴を埋めるには、いい挑戦ではないかなというふうに評価しております。これを受けとめていただいた株式会社広電さんや〔株式会社〕ライフオンに感謝し、期待をし、応援をしたいというふうに思っております。

 まだ、ただ全体の中の今、源吉兆庵さんと、それからその反対側のほうになるんですが、今回のライフオンさんの1.8ヘクタールが決まっただけでありまして、その真ん中の大きなところが抜けたまんまでありまして、そこにまだ鳥取高〔等〕農〔業学校〕の旧校舎があったりしております。ですから、道半ばでございまして、これからもあそこの用地を生かして雇用の場につなげていくように全力で努力をしてまいりたいと思います。


○読売新聞 加藤あかね 記者

 たしか鳥取農高の校舎の関係で、当初にも予算盛られていると思うんですけども、企業が、何か進出企業があることを念頭にその整備をさらに進めるような文言もあったと思うんですが、それは交渉中のところがさらにその真ん中のところもあるという認識なんでしょうか。


●知事

 全部というとかなり大きいので、やっぱり幾つか、それは話し合いの中である程度切り分けをしながらということになるかもしれません。〔鳥取〕高〔等〕農〔業学校〕のあとにつきましては、これは今交渉中の企業さんもおられて、確かに使い方としてはそういう使い方が必要かなあということを前提にすれば、我々としても一定の整備をして、受け皿づくりに協力をする必要があるかなと、そういうふうな趣旨で予算化をさせていただいております。

 ただ、もちろん仮にその話がポシャっちゃっても、やるべきことはやらなきゃいけないもんですから、つまり企業用に使える土台をつくらなきゃいけませんので、そのことは変わらないと思っております。ただ、いずれにいたしましても、まだまだ三洋の跡地問題が解決をしたわけではないわけであります。これは今回の広電さんのところは鳥取市の持っている土地ではありませんけども、それ以外のところは鳥取市有地でございますので、鳥取市がある程度リーダーシップをとって考えられる面も多かろうと思いますが、今後もよく話し合って誘致を進めてまいりたいと思います。


○NHK 植田治男 記者

 すみません、広電さんの件なんですけども、100人規模の雇用というふうに、目指していくということですが、向こうのほうからは、とりあえずどの程度の規模の雇用をという話が出ているんでしょうか。


●知事

 30人ぐらいで出発するんじゃないかなと思います。もしあれでしたらこの後、ちょっと詳細の話を担当部局のほうからさせていただきます。


○NHK 植田治男 記者

 その30人というのは、技術職もしくは事務方、その辺の話も……。


●知事

 全部ひっくるめてだと思いますが。結構本格的な技術者も当然ながらかかわっていくことになると思います。そういう意味では、三洋がなくなりましたけども、三洋と見えない線でつながっている、そういう展開ではないかなと思っております。



11 原子力環境センター(仮称)の概要 

○中国新聞 川崎崇史 記者

 よろしいですか。
 先ほど原子力の安全に絡んで、新しいセンターを周辺地域として初めてつくりたいというお話がありましたけれども、具体的な構想であれ、形というのを教えていただけますか。


●知事

 モニタリング〔放射線量の測定〕ですね、今、島根原〔子力〕発〔電所〕でいいますと、島根県が原子力環境センターですかね、そういうモニタリング〔放射線量の測定〕の基地を持っておられます。ここに例えば今、こんなような物質がこんなように飛散している状況があるよとか、放射線の測定データだとか、そういうものを可搬型だとか固定型のモニタリング〔放射線量の測定〕装置と連動させて監視をしたりしておられます。それを我々としても鳥取県のほうのいわばモニタリング〔放射線量の測定〕のヘッドクオーター〔本部〕、これをつくろうということであります。

 ただ、隣に私どもの場合、衛生環境研究所がございまして、これと組み合わせて機能を果たしていけばいいのかなというふうに思っております。結局原子力災害というものを想定して、完全に機器を当県が持っているわけではございませんので測定機器が足らないんですね。原子力災害を想定した測定機器、これを強化をして入れていかなきゃなりません。少なくともそういうコア〔核〕になる測定機材、こういうものを入れて、その入れ物としての建物、これは最低限、センター機能として必要だろうと思います。それにソフト面での電子的なデータ、モニター盤だとか、そういうものを組み合わせてセンター機能を果たすということになろうかと思います。

 ただ、今までも国と折衝しているんですけども、こういうことを周辺地域で手がけているところはございませんで、だから鳥取県の取り組みはちょっと先鋭的に走っているわけでありまして、今後も国とよく折衝しながら実現をしたいと思っています。



12 積極型予算編成を行ったねらい 

○読売新聞 加藤あかね 記者

 すみません、当初予算の全体的なところなんですけれども、消費税増税の関係で、全体的には出入りを考えると、収入に比べれば支出のほうが多くなるという現状があると思うんですけれども、それを土地開発基金とかの取り崩しでやりくりするということなんですが、昨年度、わずかではありながら前年比増という予算を組まれて、昨年じゃない、今年度ですね、ごめんなさい。来年度、さらにまた2.3%増という予算を組まれると。雇用とかもいろいろ考えて組まれるということではあるんですけれども、基本的に財政状況がそんなに豊かではないという状況の中で、あえて増額予算を組もうとする知事の思惑というか、強い意思というものをもう少し具体的に教えていただきたいんですけれども。


●知事

 多分今、日本はテークオフ〔飛躍〕するかどうかというタイミングだと思うんですね。日本全体の産業構造や社会構造を変える予兆が今生まれてきていると。アベノミクスがそうだったと思います。我々地域の中にとっても、「障がいを知り、共に生きる」というあいサポート運動が一定の成熟度が出てきて、これを基軸として展開をするタイミングに入ったとか、また、人口減少が言われる中で、少子化対策、子育て対策、こうしたところにやはり時代を変えていく鍵があると考えております。これは我々、そういう問題意識で仲間と子育て同盟を組んだりしたんですけども、そういうようなことを考えますと、今は積極的に打って出る時期だろうと。変えるために、例えば企業もみずからの業態を変える、大交流時代に入って商圏を拡大すべきなんです。例えば〔兵庫県の〕但馬だとか岡山〔県〕の北部だとか、また出雲のほうからずうっと大栄のところまで高速道路が一本で今つながったわけですよね。こういうことは今までないわけでありまして、もっと山陰中央圏域の緊密度は高まる。じゃあ、それに対応して、例えば企業の業態を転換するとか、それから新しい商品開発をするとか、流通のサービスを改めていくとか、いろんな産業テーマがあるわけでありますけども、残念ながら鳥取県、なかなか企業の基盤も十分でないところがありまして、今、変わらなければならないけど変わり切れてない、そういう事業の後押しをする、そういうタイミングだろうと分析をしているんですね。そういうようなことをいろいろと挑戦的にやっていくと、平成12年度以来の伸びということになります。

 ただ、ここで財政状況を悪化させる引き金を引くつもりはなくて、そこを確保しながら、余力でやれる範囲でやろうということで予算を組んでいるわけでございまして、現実にも、今はちょっと集計中でありますが、将来に向けた実質的な借金の額は平成22年度末で、私の前の任期のときですね、3年前の、選挙前の平成20年度末から大体500億〔円〕ぐらい、今回の当初予算で減らすことができると考えていますし、また、当時の基金残高を確保する、そういう水準が設定可能だということであります。そういうようなことを片方で確保しながら、もう片方でやりくりをして、当面ちょっとここをしのげばいいようなこともあるわけです。

 例えば消費税が増税をしてくる。このいわばフリクション〔摩擦〕は、基本的にはいっときのものだろうと思います。それから消費税が満額入ってきてない。ですから地方財政全体としては、今はちょっとシュリンク〔縮小〕せざるを得ない時期なんだと思うんですね。また、国のほうは法人関係税で富裕団体である大都市から地方のほうに財源移転をする、そういうスキーム〔枠組み〕を考えているんですが、これがまだ動いてませんから。こういうのが動き始めると、もっと手元がやりやすくなると思うんですね。ですから、じゃあ今、一時的にしのぐような、そういう財政措置も考えようということで、土地開発基金20億〔円〕の取り崩しや、それから繰越金の活用と、こういういわば裏わざ的な要素も組み合わせたわけであります。そういういろいろ財源確保の工夫をしながら、片方で積極的な展開をすると。いわば二兎を追う政策をあえてとるべきだと判断しました。



13 大阪市長の辞職等への所感 

○朝日新聞 山﨑聡 記者

 よろしいですか。大阪市の橋下市長が、都構想の実現のために出直し選という選択をとられましたけれども、これをどういうふうに見ておられるのかということが1点と、一方で、大阪府の松井知事は選挙しなくてもいいという考え方のようですけれども、これについての御感想もお願いします。


●知事

 私は、以前も申し上げたと思いますが、いわば小泉郵政選挙以来、選挙が若干ショー化している部分、見せ物になっている、劇場型の選挙がふえているように思うんですね。その象徴がシングルイシュー〔争点を一つに絞る〕選挙でありまして、このシングルイシュー選挙というのは、なじむ選挙となじまない選挙とあると思うんですね。特に地方の首長選挙はシングルイシュー選挙に本来なりにくい。それは、オンリーワン〔ただ一人〕でありますから、その地域の行政者としては。その執行者としてオンリーワンである首長の選挙でありますので、いろんな局面といいますか、住民の課題、地域の課題があるわけですね。それを問うために選挙をするわけだと思うんです。ですから、ややそういう意味では違和感があったり、また残任期が限られていますから、果たして選挙という手段が適当なのかなというような感想は持ちます。そういう意味で、松井〔一郎大阪府〕知事は、むしろ選挙ということを辞退をされたんではないかなと。特に今が予算編成時期であったり、重要な市民生活、府民生活にかかわるでしょうから、そこを判断されたのかなあというふうに横から見ているところであります。

 これは実は、ただ、淵源は地方自治制度の欠陥部分なんですね。それは直接民主主義と間接民主主義と2つが交錯をしながら進むべきであるんです。任期を通じて、いい政治をやりなさいと。その政治をやって評価されれば、また再選されるということがあるかもしれない、だめならあなたは落選しますよと、これでいわば割り切って今の地方自治の民主制度というのはつくられているわけですね。ただ、その任期中に大きな想定外の事態が起こったり、要は住民の議論を二分するようなテーマが生まれたりするわけです。これは非常に首長としてやりにくいところがあるんですね。また、これは議員もそうだと思います。それが悪くすると単なる政治策動に利用される。自分の権力を確保するために闘争を仕掛けるとかいうときに、そういう二分されたテーマがむしろ便乗されて利用されるということが起こり得るわけであります。

 それが典型的に起こったのは、鹿児島の阿久根市の市長と議会の対立であったり、また名古屋の、今はもうみんな忘れてますけど減税問題があったりしたんですね。本来は直接民主制度のツールがあれば、そこを問えると思うんです。もし同じ事態が今鳥取県で起きたら、私は住民投票に付すると思います。そのために〔鳥取〕県民参画基本条例をつくって、間接民主主義の補完制度としての直接民主主義的な手法、これを活用するというチャネル〔手段〕をこしらえたわけであります。ただ、残念ながらこれは鳥取県にしか今ないんですね。大阪〔市〕にはないんで、そういうことでいろいろ思い余ってああいうことに出られたのかなあと思いますが、ただ、もし選挙になったら、選挙になった以上は都構想だけが争点ではないと思います。いろんな争点について真摯に住民の皆さんと議論をして審判を仰ぐ、これが地方自治の王道ではないかなと思います。



14 鳥取市長選に関して 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 すみません、今のお話に関連してですけども、鳥取市長選挙の今の状況について、御感想をお持ちでしたら伺ってもいいですか。


●知事

 関連してるんですか。


○記者

 いや、何か市の首長選、地方の首長選にシングルイシューはなじまんという話や、私だったら住民投票に付すと思うっていうことなんかも、鳥取市長選の今の状況に至るいろんな経緯を考えると、ちょっといろいろと関連してくるところもあるかなと思いますので、詳しくは申しませんけども。


●知事

 今、鳥取市長選挙については、具体的に今、住民の皆様がそれぞれ応援団をつくって有力3候補の間で議論を闘わされておりまして、広域団体の私、首長として物を申し上げる立場ではないだろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、いろんな、例えば教育問題であるとか市庁舎問題であるとか、いろんなテーマがありましょうから、議論を十分闘わせながら、住民の皆様に選挙の争点を明らかにしていただいて、厳粛に審判を仰ぐ、これを地方自治の王道に沿ってやっていただければと思います。



15 県立博物館のあり方検討の進め方 

○日本海新聞 北尾雄一 記者

 すみません、新年度予算の中で、県立博物館のあり方の検討費が計上されようとされてると思うんですが、中身を見ますと、1年かけて現状の分析と課題の整理ということで、ややちょっと11月議会の教育長や知事の答弁に比べると、ちょっとゆっくりしてるんじゃないかなという印象を持ったんですが、知事としては来年度、教育委員会のこれは所管ではあるんですけども、知事も精力的に協議するとおっしゃってたんですが、どこまで結論を出すというか、どこまで1年間で議論を進めようと思ってらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。


●知事

 これは、博物館は教育委員会のマター〔管理〕になっていますので、教育委員会のほうが予算をつくられて、私のほうではそれをサポートするという立場でございます。ですから、具体的な執行方針は教育委員会のほうにお聞きいただくほうがいいのかなと思います。若干これをめぐっていろいろ議論もしましたので、イメージについてお話を申し上げますと、11月〔県〕議会は博物館のあり方を見直すという議論でありまして、美術館をつくるとかつくらないとか、そういう議論でやりとりをしているわけではございません。これは答弁を見ていただいても、やりとりを見ていただいてもおわかりをいただけようかなというふうに思います。

 ただ、ちょっと従来とは断面ができたことは間違いないと私は思っています。それは、今までここはタブーだったと思うんですね。それを、タブーを破って博物館を見直すということは美術館につながるようなところがあるんですが、ここの議論は封印をしていたところに封印を解いたものであろうかと思います。その意味で、これは新年度の予算ですから、新年度、さまざまな知見を集めて議論をしていただくがいいと思います。教育委員会の中で議論をされると、要はあそこは歴史系と自然系と美術系が共存しているわけですね。ですから、どれがそこから出ていくかという選択肢になるわけです。ひょっとすると自然系が出ていくべきではないかとか、そういうようなことで、必ずしもこれ美術館をつくるという議論で本来博物館関係者が見ているわけではないんですね。ですから、教育委員会の中でも、まずはどういう今、状況に置かれてて、どういう機能が今後新しい体制に求められるのか、それとあわせて、じゃあ箱をどうするのか、この辺を順番に議論していかないと、ちょっと整理がつかないと思います。ですから、手順を踏んで、これから議論をしていくわけでありまして、今回の予算、いろいろちょっと御意見が出てるとは思うんですが、さいを投げる予算であることは間違いないと思います。

 この美術館の話というのは、もう15年も前のことでありまして、結局つくらないつくるで大騒動になって終わってきた感があるんですが、以前のような議論は余り繰り返すべきではないのかなと思うんですね。だから本当に鳥取県にとって、あるいは県民にとってどういう芸術文化の育成環境だとか、それを鑑賞できる環境だとか、そういう情操教育、心を豊かにするものが必要なのか、それをやはりもう一度一から、さらから議論すべきだと思います。どこにつくるかでいわば綱引きをしたり、また景観がいいからどこにつくらなきゃいけないとか、以前はいろいろそういうことがあったわけでありまして、そういうような、単純に美術館をつくるつくらん、どこにつくるというだけの議論というのは、県民にとりましては非常に高い買い物でありますから、それは慎重に考えるべき事柄ではないかなというふうに思います。

 ただ、この課題については、封印を解くというゴーサインを出したからこそ、今回、博物館についてのあり方の検討経費というのを入れたわけでございまして、これをもとに教育委員会のほうで十分議論をしてもらいたいと思います。当然その議論には知事部局も協力をして、なるべくいい結論が出るように、我々としてもかかわっていきたいと思っています。


○日本海新聞 北尾雄一 記者

 1点だけ、すみません、その結論を出す時期はどうでしょうか。収蔵庫の問題とか、かなり喫緊な課題だと思うんですけど、なるべくこれは急いだほうがいいんじゃないかなというところの御意見もよく聞くんですけども、どうでしょうか。


●知事

 ただそれが1カ月2カ月を争うということでもないと思います。御想像いただければ、例えば100億〔円〕だとか、場合によっては200億〔円〕だとか、かなり大きなお金がかかる話でございまして、仮に美術館ということになればですよ。そういうようなことをやるのであれば、それ相当に時間をかけて慎重に議論をするというのが県民の皆様の視点に立って誠実に議論をすべき立場ではないかなと思います。何か収蔵庫がいっぱいになりそうだからということで、とにかく一日でも一月でも早く決めなきゃいけないというほど、それほど破滅的な状況で今あるわけではございませんので、ここを今やりくりしながらやっているんですけども、これから将来のことを考えると、やはり転換点でしょうなというのが今の議論ではないかと思います。まずは現状の博物館の分析から始めていただいて、自然系、歴史系、それから美術系があるわけでありますが、どういうような対策をとるのがいいのか、それを考える必要があると思います。

 さらに、今、教育委員会の中で議論をしようということになっていますが、いずれはさらに野に出て住民の皆様の御意見を幅広く聞く、そういうこともこれから積極的にやっていかなければならないテーマだと思っております。



16 ふるさと納税の使途に関する見直し 

○山陰放送 秦卓史 記者

 すみません、ふるさと納税についてお聞きします。先月の会見の中で、知事は特に使い道についてですけども、制度的な見直しが必要であるというふうなことをおっしゃったと思います。これについては、来年度はどのようにお考えでしょうか。


●知事

 これは、条例改正を今考えておりまして、今の使途は、基本的には未来の子供たちのための基金でありまして、この本筋を一切変えるつもりはないんです。その中で使わせていただくということになるんですが、例えば今年度でいえば、3億円というような額になった場合に、寄附額が。それが図書館の子供の本だけで3億円となりますと、また図書館を建てなきゃいけないほどに本が買えちゃうわけですよね。ですから、ちょっと今、実情に合わなくなってきておりますので、寄附された方も御納得いただけるような、そういう、それに準じた使途を若干ふやさせていただいて、それで、それに準じたものの範囲で使わさせていただきますと、そういう制度変更をさせていただこうと思っております。いずれにいたしましても、子供たちの未来のために寄せられた大切なお金でありますので、その範囲内での執行ということには変わりません。



○山陰放送 秦卓史 記者

 鳥取県に非常に多くの金額が集まりましたけれども、総務省のほうからも記念品目当ての寄附が加熱しているのではないかと、良識ある制度の活用を求めるというような見解も出てますけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。


●知事

 これは、もともと我々も、何といいますか、これいろんな思いが交錯しているんですけども、自治体によっては、もらった寄附を全額お返しするぐらいの記念品を出すとか、あるいはそれを超えてまでお返しをするだとか、そういう自治体もあるんですが、我々は節度を持って、大体せいぜい4分の1ぐらいをめどにお返しをしようかということにいたしております。ただ、今、これは実態の話でありますけども、そのお返しの額の刻みがちょっと大き目になっているところがありまして、そうすると、下限のところに張りついてたくさん寄附が来ているという状況があります。ですから、それを刻み細かくして、1万円、2万円、3万円、4万円と、そういうように段階に応じてお礼といいますか、記念品想定の目安をつくる、こういうようにもっときめ細かいことにして、節度ある運用という趣旨をきちんと出していこうというふうに、これ当初予算の中で変えさせていただきます。ですから、従来からそういう方針でやっていたんですけども、我々としてもそこは襟を正してやってまいろうというふうに思っております。


○山陰放送 秦卓史 記者

 多少やり過ぎだったと思ったということですか。


●知事

 いや、そういうことではなくて、それは、自治体によっては全額返すだとか、それからもらった額を超えて出すぐらいのところもありましたけれども、我々はそういう運用ではありません。むしろ、だから実態はどうだったかといいますと、いろんなメニューですね、記念品のメニューはありましたけども、それが急増したのはクレジットカード決済を導入した後です。ですから、それでどうこうということでは多分なくて、いろんな要素、特に寄附者の目線に合わせて私どものほうでサービスを、要はなかなか寄附しにくい、何か書類を書かなきゃいけないとか、そういうことでなくて、すぐにでも即決性をもって寄附していただけるように我々としておもてなしの環境を整えたこと、そちらのほうがむしろ今回の展開はきいているんじゃないかなと思います。ですから、そこでちょっと記念品の額が大き過ぎたということではないだろうと思います。



17 株式会社ナノオプトニクス・エナジーの動向 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 すみません、よろしいでしょうか。ちょっと前の話になって恐縮なんですが、米子のナノオプトニクス・エナジーさんが我が社の取材に対して、電気自動車製造から撤退というか、断念するというようなことを述べられたと聞いているんですけれども、このことについての知事の受けとめと、それから同社に対して、今後どのような事業展開を願っておられるのか、知事の希望というか、お考えをお聞かせください。


●知事

 それ、報道としてそういうこともありますが、我々として、実は自動車製造から撤退をしたということは、話は聞いておりません。これ、今も御指摘がありましたので改めて担当部長から確認をさせてみようかなと思いますが、むしろそこに至る手前のところで徐々にステップアップしていかなきゃいけない。その作戦を練り直しているということかなと受けとめております。ベンチャー企業でございますので、デス・バレー〔死の谷〕と言われるぐらい苦しい時期がございます。そういうものを乗り越えて、今、努力をして発展を導こうとされていますので、我々としては企業側のそうした努力を側面的に応援をしていこうというふうに思います。

 ただ、同じ報道の中で、使う面積が減る、その場合にはその部分は手放すんだというような報道がございました。その真偽のほどはちょっとわかりませんけれども、仮にそうであれば、その分は補助金は返還させていただくということで、それは厳正におつき合いをさせていただきたいというふうに思っております。

 実は、現状を申し上げますと、ナノオプトニクス・エナジーさんには旧JT工場の取得に関するもの以外には補助金らしい補助金はあんまり出ていません。結局出来高払いで我々のほうは支援することにしております。工場については、買ったということは出来高でありますので、いわば。それに対する支援をさせていただきましたが、仮にその中のかなりの部分を手放すということであれば、その分は補助金返還というのが筋道だと思っております。節度を持ってそういうおつき合いもさせていただきたいと思っておりますが、片方で、ベンチャー企業としての努力をされている段階だと思いますので、その辺は我々としても中・長期的に見守ってまいりたいと思っております。



18 ジオパークを結ぶクルーズ船の運行 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 わかりました。
 あと、すみません、続けてで申しわけないんですけども、きょうの予算のお話の中で、隠岐汽船とのタイアップの話も出てきたと思うんですけども、以前も議会でやりとりがあったと記憶してるんですが、隠岐と鳥取港をクルーズ船というか、隠岐汽船の定期船でつないではどうかというような御提案もあったように記憶してるんですけども、これと関係してくるようなお話になるんでしょうか。


●知事

 まずはいろいろ試験をしてみる、2つのジオパーク〔山陰海岸ジオパーク、隠岐ジオパーク〕が、世界認定〔のジオパーク〕があるわけでありますから、それをつないでみようということで我々としても努力してみたいなと思います。

 ただ、急に定期船化するということになりますと、船繰りとしてなかなか困難が大きいと思います。ただ、どういう将来に向けた可能性があるのか、それを探る意味でも、また2つのジオパークをめぐる、そういうルートをやってみるというトライアルの意味でも、私はそういう連携事業を考えてもいいんじゃないかなと。それで調査段階的な話になろうかと思いますが、計上させていただこうということにいたしました。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 わかりました。


○山陰放送 秦卓史 記者

 ほか、ありますでしょうか。
 じゃあ、これで会見を終わります。ありがとうございました。


●知事

 ありがとうございました。



  

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