○日本海新聞 北尾雄一 記者
それでは、知事、お願いします。
●知事
皆様、こんにちは。
県議会も終わりまして、私ども鳥取県も平成25年度、終了を迎えようとしております。この1年間にわたりまして、県民の皆様、記者クラブの皆様の御支援と御協力をいただき、一つずつ成果を出すことができたのではないかというふうに思います。例えばグリーンウェイブを起こそうということで取り組んでまいったわけでありますけれども、〔第64回〕全国植樹祭、5月25、26日と、これも成功裏のうちに開催をされまして、年末には天皇陛下のほうからも御製〔和歌〕が2首示されるなど、大変に関係者も喜びに沸いた一年を象徴したと思いました。
そういう中で、〔第30回〕全国都市緑化フェアでありますとか、〔山陰海岸〕国立公園の〔公園指定〕50周年記念式典でありますとか、さらにエコツーリズム国際大会〔2013inとっとり〕でありますとか、これから新しい時代を開いていく上で、鳥取県は自然環境とともに生きていくということが重要な契機になりますが、これに対して大きな自信を県民の皆様も持っていただいたのではないかというふうに思います。
また、障がい者とともに生きるというような観点でも、〔鳥取県〕手話言語条例の制定に象徴されますように、全国から鳥取県の温かい心による地域のきずなが評価されるこの平成25年度であったのではないかなというふうに思います。
また、雇用面でも前進がございました。1年前から比べますと0.2のベースで有効求人倍率が上がりまして、0.97まで現在回復してきているところでございます。そういうような中ではありますけれども、厳しさもなお残りながらの年度末という状況かと思います。
また、子育てといった観点でも、重要な改革が幾つか遂げられました。先般の県議会で成立しました子育て王国条例、これもまだ全国でこうした条例は数少ないわけでありますけれども、鳥取県として、子供を産み育てやすい、また男女が出会って家庭を築きやすい、そうした環境づくりをみんなでやっていこうということが、いわば子育ての憲法として、このたび子育て王国条例が制定をされたわけであります。
夏には、子育て同盟のサミットが鳥取県で開催をされました。10人の知事が集って、お互いの知見を交換をしたり、国に対して働きかけたりということをやってきたわけであります。こうしたことなど、いろいろと成果も出てきたわけでございます。
あと、大交流時代、これが大きく開かれてきた平成25年度だったと総括できようかと思います。昨年度末に私どもの鳥取自動車道が開通をしたわけでありますけれども、それにつなぐように山陰道の一部区間でありますとか、またこのたびは駟馳山バイパスが開通をしたり、大きく前進をしたわけでございます。また香港からのチャーター便も飛来をしまして、3,000人以上のお客様が次々に訪れ、活気を呈したわけでありますし、海外からの豪華クルーズ客船、これもめじろ押しとなった年度でありました。
この大交流時代の一つのシンボルになったのは、航空便の国内便、長年の懸案でありましたけれども、これが大きく改善をされたことであります。まずは全日空の米子便が6便化されました。これにあわせてスカイマークが年末から乗り入れをし、成田便、また神戸便、神戸経由茨城便が誕生したわけであります。これに加えること今週末、30日には全日空の5便化が鳥取空港で実現をするということになりました。このお祝いの式典をやろうと関係者と話し合っておりますが、鳥取空港に入る5便目の機体に対しまして歓迎の放水を行ったりしまして、地元の熱意を表現をさせていただきたいと思います。
さらに、スカイマークも4月1日に就航が加わるわけでありまして、沖縄便と新千歳便、さらには羽田便が就航するということになります。一挙に空の便が拡充をされることになりました。今までなかなか行きにくい山陰が、近い、飛びやすい山陰に変わったということでございまして、こうした大交流時代も今年度の収穫ではなかったかと思います。
こうしたことを新しい年度に引き継いでいかなければならない、それが今回の議会のテーマでありました。3,379億5,900万円にも上る当初予算が編成をされ、可決、成立したところであります。また子育て王国条例だとか、危機管理の条例であるとか、主要な条例等も制定をされたわけでございます。
そういう中で、ともに生きる、自然とともに生きる、あるいは障がい者とともに生きる、またみんなで一緒に、活力を持って産業の振興や雇用を起こしていく、あるいは子供たち、未来の世代を育てたり、高齢者の方々とともに生きていく、そういう未来型の新しい地域づくりを新年度にやろうではないか、そういう思いが今回の議会の中でも語られたところでございました。我々としても、ぜひともその果実を生み出すべく、これからはこの執行に当たる新年度に向けてまいりたいと思います。それに向けた体制づくりも組織編成として4月から改めさせていただくことにいたしております。
そういう中で、今年度と来年度には大きな断層が走ります。それは消費税の引き上げというモーメント〔契機〕であります。これは、プラスに作用する面としては、社会保障負担を将来的にも持続可能にしていこうと、そういう意味で国民全体で負担を分かち合うという趣旨がありますから、少子高齢化時代の基礎となるべき部分がある。さらには地方公共団体も含めまして、長い意味での財源になる。これは今、大きな借金を抱えている日本という大きな国家財政の負担、これを方向転換をしていくという意味にも当然なるわけでございます。
ただ、片方で、税が引き上がるということは、いわばコストがふえますので、社会生活の上で国民の皆さんに対しては負担がかかることは間違いないですし、また、企業側にとりましても経済の変動要因、マイナス要因になるものでございます。それを解消すべく、今回の補正予算、2月の補正予算、それから当初予算でも経済・雇用対策を重点的に計上したわけであります。さらに監視体制を強めていこうと、中小企業者にとりましての不安感、そういうものを解消していこうなどなどがございまして、我々としても3月31日から4月1日、この間に走る断層面を乗り越える対策をしっかりやらなければならないと思います。
来週の3月31日にそういう観点から関係者の方と協議をする消費税引き上げの対策会議を招集をさせていただくことにしました。商工団体でございますとか、あるいは税理士さん等の税関係者、また国の関係官署の皆さん、こうした方々などを交えまして、みんなでこの断層面を乗り越えていく、そういう対策を打とうではないか、こういう話し合いをしようと考えております。
県のほう、あるいは国のほうでも用意をしたいろいろな対策がございます。これをPRをし、周知をして、ソフトランディング〔悪影響を最小限に抑える形で移行させる〕を図っていく。例えば今回の予算の中でも計上させていただいたとっとり住まいる事業という事業がございます。これは木造住宅を建てる際に95万円の助成までいけるという大型の支援措置であります。実は各県はこの手のものは撤退モードなんですが、本県はむしろ消費税が増税をするということで、消費が冷え込んだことにならないように、ソフトランディングの措置として、この際は拡充を時限的にさせていただくことにいたしました。こんなようなことなどなど、いろんな対策を打っております。融資対策であるとか、あるいは窓口対策であるとか、この辺をPRし、体制を確認をしていくことが大事であります。
また、中小企業の皆様が価格転嫁ができないということで、それで不利益をこうむるということにならないように、監視体制を国のほうでもGメンを用いますし、我々も建設関係を中心として、県のほうの監視分野があります。こうしたところを徹底してやっていこうということがあろうかと思います。こんなような諸般にわたる対策を打った上での年度明けを迎えたいと考えております。
また、こういう時期であるからこそ、消費者行政、その対策もこれから鳥取県として持続可能に踏み出してまいりたいと思います。この消費者行政の分野では、私どもは全国とは違った動きが若干ありまして、市町村とのパートナーシップでやろうと。市町村のほうに窓口をある程度移譲しているわけであります。これによりまして、今、相談件数はふえてきております。
また、行政機関だけでなくて、民間のノウハウも活用しなければいけません。NPO法人とタッグを組みまして、そういう相談ネットワークを充実をしようというふうに、こちらのほうも支援措置を組まさせていただきました。
あるいは高等教育機関と連携をしまして、経済、法律相談の消費者のための講座を設けるなど、鳥取県独自の取り組みをこれまでもしてまいりました。今回、消費税が引き上げられることで、逆に言えば便乗値上げのような、そういう逆の意味の心配も消費者サイド、県民サイドにはあろうかと思います。したがいまして、私どものほうの価格モニターをしっかりとこの際やっていく必要があろうかと思います。
また、あわせて消費者行政の観点でいえば、悪徳商法対策、これも後を絶たないわけでありますし、例の虚偽表示、さまざまなにせの問題が出てきました。そういう対策であるとか、消費者教育であるとか、こうした各般にわたる消費者行政も、この後、新年度、消費税の引き上げなど環境の変化がある中で、県としても今まで以上に踏み出して対策を考えていこうということにさせていただきたいと思っております。
また、あわせまして経済・雇用対策をしっかりやっていかなければなりません。本日〔27日〕はこれから関西方面でのこうした経済成長戦略を話し合う会議に行きますし、明日〔28日〕は岡山県におきまして中国地方としての経済成長戦略を取りまとめる、そういう会議に出席をすることにいたしております。
中国地方のほうは私が座長をさせていただいておりまして、中国地方の経済界の方、あるいは有識者の方、また中国5県の知事もそろいます。初めて山口の村岡〔嗣政〕知事も中国5県の知事の会議に顔を出すという機会にもなります。この会議の中で今後の戦略を話し合うことになりますが、先端的なものづくり産業、これを中国地方の強みとして伸ばしていこう。あるいは観光産業、これもまだまだインバウンド〔海外からの誘客〕観光などは中国地方は九州だとか近畿や関東に比べておくれて、劣っております。こうしたことのてこ入れをやっていく必要があるのではないだろうか。また農林水産業、これも中山間地や平野部、また豊かな海、こうした資源があるわけでありまして、里山資本主義という言葉のふるさとでもある中国地方で、そういう農林水産業を生かした産業振興というのもテーマになろうかなという話し合いをしてきました。また基礎産業、伝統産業、これらも中国地方の中でも根づいたものがありますし、産業の牽引役も担っていただいております。こうした分野など、中小企業の振興やアジアとの連係プレー、あるいは技術開発、さらにはインフラストラクチャー〔公共施設〕の整備、こうしたさまざまな政策を総合的に講じながら、中国地方としても県境を越えてタッグを組んで連携をして、経済成長を図り、雇用の確保をしていこうじゃないか、こんなような取りまとめを明日〔28日〕することにいたしておるところでございます。
また、鳥取県内でも、先ほど申しましたように雇用が戻りつつあるということでございますが、平成25年におきましては47件の企業誘致や拡張案件が成立をしました。県内外の企業の活力が伸びたわけでありまして、1,900名の新たな雇用創造がこの47件ででき上がったところであります。
また、今、年度末に向かって、ちょっと年度末をまたいでということになりますが、進行案件も幾つか出てきております。先般来報道があるイーウェルもその一つでございまして、300名規模とか、大きな雇用につながる話もございますが、マックスサポートという県内企業がございます。このマックスサポートさんが160名規模で米子の駅前に拠点をつくりまして、これでコールセンターや事務のアウトソーシング、そうした事業を展開しようと、業容の抜本的拡大をされる、こういうことも見えてきまして、来月〔4月〕、調印式が内定をいたしました。また、そのほかにも先般、東京で技術開発のお披露目がありましたが、テムザック技術研究所さんが立地をするわけでございますけれども、その調印式も来月、新年度早々にやることが内定をいたしました。これも研究者を雇用してやっていこうということでありまして、産業のシーズ〔技術サービス〕として期待される面が大きいんではないかなというふうに思います。
さらに、東京と香川県に拠点のございますカトーレック株式会社さんもこのたび鳥取県への進出が内定をいたしました。これにつきましては、鳥取県、三洋の技術と人材がいるわけであります。このカトーレックさんは、そうした電子デバイスであるとか、先端的なデバイスですね、であるとか住宅機器だとか、そうしたものの研究開発、設計開発等をやる業容でございまして、そうした意味で鳥取県のほうの津ノ井のほうに入って事業所を設けようかということになりました。
また、富士基礎機械株式会社という会社さんがございまして、こちらは大阪のすぐ近くにある兵庫県の尼崎が拠点でありますけども、ドリルのジョイント部分といいますか、そうした製造業でございます。その従来外注でやっていたものを内製化〔自社で行うこと〕して生産しようと。その拠点に倉吉市の空き工場を活用することで、このたび話が内定をいたしました。
こんなように、鳥取県内でもまだ我々の企業誘致や地元企業の拡張の動き、当面続いているところでございまして、この勢いを新年度に持ち込んでまいりたいと考えております。
危機管理、あるいは防災についてでありますが、昨日〔26日〕、この防災の地域防災計画、それから広域避難計画を最終的に県の防災会議で取りまとめを行いました。一部文言の修正がありまして、今、その最終確定をいたしますが、これについては近々に取りまとめることがかないました。その中では、原子力防災が大きな柱になったと今回は思います。それで従来のバスだとか自家用車の避難だけでなくて、列車とか、あるいは船だとか飛行機だとかも補助的に用いて避難をしようとか、それから20時間以内に避難が始まったら終えてしまおうとか、そういう基本的な方向性について合意がなされたわけでございます。
境港のほうでも、そこは境港市役所がひょっとすると丸ごと逃げなきゃいけないということになりますので、県庁の講堂を使用したいというお話がございまして、この方針も昨日〔26日〕の県防災会議に諮らさせていただき、了承をとりました。それによりまして、これは新年度になってからでありますが、国の制度も活用しながら、例えば電気だとか通信環境、インターネット環境だとか、そうした諸整備を行う必要があろうかと思います。境港市役所の1割強の広さしか、ちょっと講堂はございませんので、恐らくコアな部分、窓口業務等を想定されているんじゃないかと思いますが、詳しい状況について市当局とも話し合って、今後、そうした点を詰めてまいりたいと考えております。
そんなようなことがございますが、あわせて原子力防災の観点で通信環境、情報共有化を進めなければなりません。今までは島根県、あるいは国の独占的な情報管理でありましたけれども、これを共有化してくれと国にも申し入れをし、それから島根県の溝口知事にも御了解をいただいてネットワーク整備を進めてまいりました。その危機管理に対処するセンターを、これを3月31日に設定をさせていただきたいということになりました。これによりまして、島根県が持っている、あるいは国の、島根のオフサイトセンターにある、そういうモニタリング情報ですね、SPEEDI〔緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク〕だとか、そういうような、シミュレーション情報などいろいろありますが、そういうものをこの鳥取県庁でも共有をすると、そういう通信環境をつくります。さらに、この通信環境、情報共有化を米子市や境港市、西部総合事務所にもつなげていく、こういうネットワークを今年度、完成をするという運びになりました。これも今後の大きな武器になろうかと思います。
今、国の原子力規制委員会で審査が鋭意続けられています。その中で、国の規制委員会のほうの問題意識も中国電力側に提示をされたところです。我々としては要望していた幾つかのポイントがありました。例えば断層の調査をきちんとやってくれとか、それからフィルターつきベントの安全性の問題だとか、あるいは汚染水の流出対策だとか、そうしたことをいろいろと国に対してこれまで申し上げてきておりますが、その方向性をある程度くみ上げながら、今、規制委員会でも審議をしようという状況が出てきたかなと思います。全部が全部ではないですけれども、かなりの部分において取り込んでいただいていると思います。
その一つのポイントとして地震の断層のことがありますが、今回、〔原子力〕規制委員会のほうで示された中では、宍道断層のエンドがどこまで行っているか。それから鳥取県の西部沖の断層、これとのつながり関係、この辺について中国電力側は従来の資料で説明をしていましたけれども、検証が必要だと、こういうように言っています。そのほかにも、こうした断層の調査については慎重に進めようという観点から、中国電力側に問題意識が提示をされて、質問がなされています。今後、それに対する反論といいますか、申し立てが今度、中国電力側から出てくるんではないかなと思います。
したがいまして、県のほうの原子力安全対策の専門家会議にそういう地震の専門家を加える必要がございます。4月1日から地震の大家でいらっしゃいます鳥取大学の名誉教授の西田良平先生にも委員に加わっていただいて、そうした観点でも鳥取県独自で中国電力に対する調査をやっていくということにいたしたいと考えております。こうしたことなどをいろいろと通じまして、安全・安心をなお一層前進をさせてまいりたいと思います。
子育て王国条例がこのたび制定をされました。また、教育も含めて、そういう子供たちの健やかな成長、発達を願う、そうした取り組みがいろいろと前向きに進んできているところでありまして、これを市町村、関係者と連携して進めていきたいという気持ちでございます。ただ、国のほうで今、この子育て関係についての施策が議論されていますけれども、我々としても心配なこともありますので、今後、仲間の知事とも連携して協議をして、国に対してアピールすべきことは夏場が焦点になろうかと思いますから、これから盛り上げて、さまざまな攻勢を加えていかなきゃいけないなというふうに考えておるところでございます。
例えば財源が圧縮をされるということがありますよね。子育て支援の一連の国の対策の財源が足らないわけでありまして、それを圧縮をしていくという方向性が見えてきているわけでありますが、これは一体どうやってやるのか。その辺には疑問もありますし、中央側の懸念もあります。そういうようなことなど、いろいろと問題点もありますので、今後はそうした展開を強めていく必要があるかなと思います。
先般、埼玉のほうで残念な事故がございました。川崎のほうで預かったお子さんが不幸にしてお亡くなりになってしまったということであります。ベビーシッターの実態について、県としても速やかに実は調査をさせていただきました。サイトに載っている3件のベビーシッターの表示がございましたけれども、これはサイト運営者に確認しましたところ、いずれも使われていないベビーシッターであるということでありまして、県内での実態は今のところ把握はされておりません。どちらかというと、保育の待機児童ゼロで来ておりますので、もちろんこれ、年度途中でまた待機児童が発生してしまうとか、まだまだ上を見なきゃいけないんですけども、そうしたようなことであるわけでありますが、他の地域よりは充実しているということがあるのかもしれません。ただ、この辺はやはり市町村ともよく今後対策を練っていかなきゃならないと思います。
一つは、ファミリー・サポート・センターというのがありまして、これは19市町村中17の市町村で整備をされていまして、全国でも指折りの設置率になっています。こうしたところがお互いにお子様を預かるというネットワークにもなりまして、こうしたことを活用していくのも一つの手かもしれません。
こういうようないろんな、さまざま子育ての問題は鳥取県内、子育て王国とみずから称してはいてもたくさんあるわけでございまして、その子育ての推進会議を立ち上げなければなりません。条例に基づく会議でございますが、公募を4月早々から始めさせていただき、公募の委員と有識者の委員で構成をして、4月中のスタートを目指してまいりたいと思います。また鳥取県としても、県庁として取り組む必要がありますので、プロジェクトチームを起こしてやっていく必要があると思います。この辺も4月早々にちょっと新しいメンバーで話し合いをする必要があるかなと思っております。
あわせまして、教育については昨日〔26日〕、教育についての協約〔鳥取県の子どもたちの未来のための教育に関する協約〕が締結をされました。土曜日授業を初めとした学力の向上対策でありますとか、それからいじめ・不登校防止、さらには特別支援教育、それからスポーツ、文化、芸術といった領域、こうしたそれぞれにつきまして具体的目標を持った協約を結ぶことができました。今鋭意やっておりますけれども、県の施策の中から市町村の反応も出てきています。例えば中山間地の子育てのため、保育料無料化に賛同して実施される団体であるとか、それから土曜日授業をやろうという団体であるとか、順次顔が見えてきました。ぜひとも一致結束して子育て王国の実現を図ってまいりたいと考えております。
また、私どもとしても、今後いろいろと施策を展開していくわけでありますが、この年は、糸賀一雄先生の生誕100年の年でもございます。今週末は滋賀県のほうでイベントが開かれます。それに私も出席をさせていただき、糸賀先生の生誕地として連帯を訴えたいと思います。こうした子供たちの、障がいを持つ子供たちを中心とした支援活動、この輪を県内外に広げていかなければなりません。鳥取県としても4月12日や11月1日に糸賀一雄先生の関連イベントをやりまして、滋賀県の皆さんもお呼びをして展開をしようとしておりますが、こんなようなことを今後、また芸術・文化祭も含めて展開をしていくということになろうかなと思います。
また、スポーツ関係でありますが、このたび〔鳥取県立〕布勢〔総合〕運動公園、これはコカ・コーラウエストスポーツパークというふうに呼んでおります。そのスポンサーシップですね、このネーミングライツ〔施設命名権〕も更新が決まりまして、このたびコカ・コーラウエストさんから1,000万〔円〕の支援をいただくということが固まりました。このすばらしい会場におきまして、先週は、マラソン大会が開かれたわけでございますが、これは非常に練度の高いスタジアムでありまして、今後もスポーツの活用が図られようかなというところであります。
また、境港では昨日〔26日〕、関係者がお見えになりましたけれども、セーリングについてJOC〔日本オリンピック委員会〕の強化施設としての認定が下されまして、これも動き出すということになろうかと思います。新年度、こういうスポーツ関係の充実を図ってまいりたいなと考えております。
そうした折も折、昨日はソチのオリンピックが、興奮がまだ続いているのか、あるいはオリンピックが終わってもスポーツが終わらないということであるのか、〔フィギュアスケートの〕町田樹選手が見事な銀盤の舞を披露していただきまして、98.21というポイントで堂々の今、首位、ショートプログラム首位となりました。フリーの演技が楽しみであります。ぜひともそうした、私どもとして取り組むべき、子供たち、あるいは地域の皆様の健康づくり、こうした観点でスポーツ振興も実が上がればなあというふうに思わせる年度末となりました。これまでいろんな方々からいただいた御支援と御協力に改めて感謝を申し上げまして、新年度も誠心誠意県政に取り組むことをお誓い申し上げたいと思います。
私のほうからは以上です。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それでは、質問のある社はお願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、企業進出であったり、地元企業の事業拡大のお話、幾つか出ましたけども、それぞれについてどういう点で期待しておられるかというのをコメントいただいてもよろしいですか。
●知事
もし必要なら、また詳細は後ほど、ちょっと今、どこまで具体化しているかということもあるもんで、その進度のぐあいによりまして、後ほど担当のほうからも御説明を申し上げたいと思います。
今回の、まず〔株式会社〕マックスサポートさんでありますが、これは県内企業と言っていい企業さんだと思います。こちらは非常に幅広い、人数としてもインパクトのある雇用になりますので、そういう意味で山陰の、特に事務系の求人に対する不足感を補うものになるんではないかなというふうに期待をいたしております。地元の色の濃い企業さんでありますので、そういう意味で、鳥取のビジネスモデルとして発展していただきたいという思いでございます。
また、〔株式会社〕テムザック技術研究所さんは、医工連携のシンボルだと思います。これは鳥取大学の研究に非常に密接にこれまでもかかわってこられました。ただ、学問の府というのはものづくりまでつながらない面があります。アイデアだとか、それからその効果の検証だとか、そういう面では大学は力を発揮するわけでありますが、ただ、じゃあ具体的にどういうような装置をつくって、人の役に立つ機械になるか、それが患者さんの負担が和らぐとか治療が向上するとか、そういうことにつながるかとなりますと、やはりもうワンステップ必要なわけです。その辺の段差を埋めてくれる存在としてテムザック技術研究所が活躍してくれることを期待したいと思います。
また、あわせて、人材をこれからこうした分野で育成していかなければなりません。鳥取県は残念ながら医療関係のビジネスが今まで成立していないんですね。そういう意味で、こうした医療に関連する企業人材というものを育てていく必要がありますが、今回のテムザックの研究所は、福岡のほうからこれまでやっているような優秀な技術者が来るわけでありますけれども、それと一緒になって研究開発を行う技術スタッフ、研究員を雇用することに、今、相談をしております。こういうようなことが将来的な山陰における産業シーズに発展してくれる、あるいは技術シーズに発展してくれる、これを期待したいというふうに考えております。
カトーレック〔株式会社〕さんは、これは〔鳥取〕三洋〔電機〕がいなくなってというか、ちょっと企業の業態が変わりまして大幅に雇用が収縮しました。その意味で、地域のそうした電子機器、あるいはデバイス開発等に対する技術だとか人材を生かしてもらえる存在にならないだろうかという期待を持っております。この業域ではそれ相当のシェアを持つというか、成長力のある企業さんだというふうに見ておりまして、そういう意味では我々としても御期待を申し上げたいと思います。雇用規模自体は6名とか、そういうようなことになろうかと思いますけども、研究開発型でありますのでそういうことになろうかと思いますが、問題はそこからさらにつながって外縁部の機器産業への関連が出てきたり、いろんな波及効果を期待したいなと思っております。
富士基礎機械株式会社さんは、これはそうした産業、部品産業として、これもそれ相応の存在感のある会社でございまして、今回、実はこれ、ちょっと懸案になっているような空き工場をそのまま使ってくれるという案件でありまして、その意味では、地元で雇用面等であいた穴を埋めていただけると思いますし、従来、その会社さんとしてつくっていなかったものをここでつくろうということでありますので、そういう意味で、私どもとしても製造業の新しい芽として発展することを御期待を申し上げたいと思います。
こんなようなさまざまなものにあわせて、〔株式会社〕イーウェルが先般来報道されていますが、これは雇用力も高いということや、これは全国でも大手と言っていいようなこのジャンルの企業でございますので、そうした意味での末永い鳥取での人材活用を期待したいと思っております。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
すみません、先ほども言及されましたが、空路が充実するということがあって、30日と1日という、やっぱり新しい新規の就航便が飛びますが、入ってくる人がふえる期待がある分、鳥取でどう過ごしてもらうかというところが非常にポイントになってくると思うんですけども、その点に関して、鳥取だけのコンテンツで賄えないんだったら山陰全体ですとか、あるいは岡山ですとか兵庫ですとか、そういう連携の部分に関して、この先どういう方針で臨まれるかということをちょっと聞きたいんですけども。
●知事
従来は、やっぱり山陰両県の間に見えない壁があったと思います。ただ、私が就任して、隣でも同時に溝口〔善兵衛島根県〕知事が誕生されまして、マインドを切りかえようということでやってまいりました。それで、いろいろと観光面での連携も深めてきたんですが、今年度からは山陰観光協議会として、両県一体となったプロモーションをやる体制が整ってきた一年となりました。それは私も呼びかけていたんですが、もう大交流の観光になるだろうと。山陰丸ごと周遊観光の時代に入るわけです。と申しますのも、道路でいいますと出雲の出雲大社のあたりから一気に鳥取県中部の東伯、大栄まで、全部高速道路が100キロ余り、東西につながれるわけですね。さらにこの先、石見方面であるとか、鳥取県でいうと鳥取市に向けて、この山陰道も延びてきます。さらにいえば〔兵庫県の〕但馬もそうでありまして、この間の駟馳山バイパスの開通は、山陰海岸最大のボトルネック〔あい路〕が解消されることを意味しておりまして、これによって但馬と因幡の一体化が実現をするということにもなります。
こうやって鳥取と島根、あるいは鳥取と兵庫、この連続性のある観光地として周遊してもらうという構想を持って、今動いております。そのプロモーションのやり方も、インターネットサイトで共通の例えばペイバックシステム〔払い戻し方式〕を入れたりして、ボーナスポイントみたいにして差し上げるようなことをやりながら、そうやって振興を図ってきましたら、現実にも今、周遊型の観光が明らかにふえています。我々もアンケート調査をとったりしていますし、それから島根側の松江〔工業〕高〔等〕専〔門学校〕が先般調査をされましたけれども、それでも周遊性が非常に増していて、例えば島根県で出雲大社の観光をするけれども、鳥取側の宿泊客も伸びていると、このようなことも出てきています。だから我々はそういう意味で、従来よりも見方を変えて、広域的に取り組んでいかないと、この航空便の増便、あるいは新規路線就航というのを支え切れないだろうと思います。パイ〔総量〕をふやしていく、これが最大の戦略であろうかと思いますし、幸いにも今、両県のいろんな動きもありまして、パイは今、広がり始めているというところであります。これに便利さが加わることで、加速度的に相乗効果が生まれてくれば、いい方向へ展開をしていくということになるんではないかなと思います。
この週末の〔3月〕30日の我々の鳥取空港5便化でありますけども、同じ日にあちらの石見空港も島根県で2便に増便をされます。いわばそうした意味でタッグを組んでやっていく環境というのはだんだんと整ってきているのではないかと思っております。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
すみません、関連してですが、先ほどインバウンドの話をされていましたが、タイの旅行会社の表敬訪問を受けたりとか、成果を出しつつあるというとこだと思うんですが、この先、より海外でのプロモーション、あるいは外国人客誘致というところでなされたいところ、例えば境港は成田とつながりましたけども、免税の施設が充実してないですとか、いろいろ問題点はあると思うんですが、知事がお考えになるこの先の方針というか、そこをお聞かせください。
●知事
まず、幾つかのポイントがあると思いますが、外国とのパイプでありますけれども、従来、鳥取県、山陰は韓国のお客さんが圧倒的に多いです。これは米子-ソウル便があったこともございますし、またここ数年はDBSクルーズフェリーのお客さんが堅調でありまして、こうした船で入ってくるお客さんが多くおられました。現に大山周辺で韓国人の姿が多いですし、鳥取県内の宿泊件数も伸びてきています。
ただ、問題はもっともっとバリエーション〔変化〕をつくんなきゃいけないということですね。今、クールジャパンと言われ、日本に対する興味が世界中でも広がっている中で、ビジット・ジャパン・キャンペーン〔外国人旅行者の訪日促進活動〕を展開したところ〔外国人旅行者が〕1,000万に到達いたしました。2020年には東京オリンピックが開かれるわけでありますが、それのときには2,000万人規模にしようと国全体で動いているわけです。これは決して絵そらごとでもないと思うんですね。ただ、それが東京だとか、あるいは大阪、京都、神戸のところにとどまってしまうんではなくて、この山陰、あるいは中国地方のほうに動いてくる、そういう流動人口をつくらなければなりません。その辺がこれからのテーマになろうかと思います。
そうすると、定期便が無理であれば、チャーター便でこちらに引っ張ってくるというのが考えられます。それは重点的には香港、台湾、こうしたところを今考えておりまして、特に香港につきましては、昨年〔平成25年〕も大勢のお客さんが来て、みんながびっくりしたんですけども、それでもうれしかったのは、満足度が非常に高かった、90%以上の人が満足という旅になりまして、リピーターが生まれてくる可能性が十分あるということです。今までは温泉だとか食べ物の魅力についての認識、我々もまだ地域イメージとして薄かったかもしれませんが、評価されているわけであります。JA系の果物販売店ですね、必ずお土産を買って帰るというパターンでチャーターフライトが行われました。これを新年度〔平成26年度〕もぜひもう一回やりましょうと、今、働きかけをしております。難しいのは機材繰りなんでして、観光業者も向こうはやりたいということで合意してくれているんですが、今、その飛行機をどうやって確保するかで、これまでいろいろと行ったり来たりしているというわけでありますが、ぜひ夏場には実現したいと。
それから、タイにつきましても、昨日〔3月26日の訪問〕は、あれは華僑系なんですね、華僑系の旅行エージェント〔代理店〕でいらっしゃいまして、11月にお客さんを連れてくることを明言をされ、それ以外にもやりたいという意欲で帰られたので、まだ今、このかいわいを見ておられますけれども、結果が出ることを期待しております。
あと、あわせてタイの旅行業者会の会長を初めタイの旅行業者グループですね、一団となってこちらにやってこられまして、チャーターフライトの実現であるとか、関西イン・関西アウト等での鳥取県周遊型観光とか、そうしたことを今計画をしておりまして、これは随時、恐らく新年度に入るとぼつぼつ始まって、秋ぐらいにかなりまとまったチャーターというようなことも、チャーター便によるまとまった観光客の流入ということもあるんじゃないかなと思いますが、そうしたことを今模索をして、やりとりを始めております。
また、ロシアも今、非常に微妙な情勢ではありますけれども、極東ロシアで認知度は東京に次いで高い鳥取というところを生かして、そうした観光誘客を図るなど、幾つかバリエーション〔変化〕を持って、韓国だけでない、広がりを持った誘客を具体的にやろうということをしているところであります。
また、外国人の方にとっての周遊の快適性が大事でありまして、おっしゃるような免税店の問題があります。これについては今、観光庁と話をしております。これは観光庁がサポートをして、免税店を町なかにもつくったりできる制度を新年度に創設しようと。これまでは制度の詳細が決まってなくて、これから国税当局なんかと話し合ってやるんだと思いますが、既にやることは予算上決まっておりまして、必ずやるというところです。これに鳥取県として地域の事業者さんと手を挙げに行こうと、今、その説明を事業者サイドにさせていただいたり、我々としてもその体制づくりを今急がせているところであります。こういうようなことで、いろいろと免税のメリットを受けられるお店をふやす、これはやっぱり山陰は少ないですから、その辺は大切なポイントにもなるかなあと思います。
また、クレジットカードを使える環境、この点の充実だとか、あるいはWi-Fiを活用した観光、これも新年度予算に入れまして、Wi-Fiを使える水木しげるロードだとか、あるいは〔鳥取〕砂丘だとか、そうした観光スポットをつくっていこうと、この辺も予算上で措置をして、新年度の事業にさせていただきました。こういうようなことをいろいろとカスタマーサイド〔顧客側〕で考えて、我々としても本気で外国の滞在客が来ていただけるような、そういう地域づくりを目指したいと思っております。
12 JR西日本とセブン-イレブンの業務提携への期待
○日本海テレビ 小谷憲司 記者
知事、すみません、JR西日本さんとセブン-イレブンさんが業務提携されまして、駅のキヨスクとかをセブン-イレブンにしようかという話が出ているようなんですが、まだ鳥取に来るとは限ってはいないんですが、セブン-イレブンがない鳥取県としては、知事、期待はどうでしょうか。
●知事
その話はちょっと報道で、〔インター〕ネットの報道で見ただけでして、特にちょっとまだ分析できていません。セブン-イレブンさんは鳥取が嫌いというわけではなくて、いろんな事情があって今まだ入ってきてもらってない。その背景にある商社さんの方々ともこれまでもざっくばらんな意見交換はしたこともございます。ネックになるのは物流のリードタイム〔発注から納品までの時間〕があるようです。ですから今回、その駅ナカをコンビニに変えるという構想がそれを解消できるのかどうかというのは、ちょっとわからないですね。ですから、推移を見守りたいというふうに思います。でも、セブン-イレブンがなくてもいい気分になれる県なので、ぜひ遊びに来ていただきたいと思っております。
13 鳥取空港羽田便の5便化を受けての地域連携の動き
○日本海新聞 井上昌之 記者
すみません、空の便の話に戻るんですけども、鳥取空港から5便化が実現するんですが、やはりかなりの旅客数が確保できないと、また減便もあり得るというお話もあるんですけども、このたび駟馳山バイパスも開通したことですし、但馬方面からのお客さんをどう取り込んでいくかというのが課題になってくると思うんですが、このあたりで兵庫県さんと何か連携して行動をとられるということはあるんでしょうか。
●知事
これはやっぱり山陰海岸ジオパークという一体性のある事業をやっていますので、これは今後も連帯してやっていくということになろうかと思います。その皮切りとして、今までの一つタブーを破る展開を今回入れさせていただきました。残念ながら3月30日には間に合わないんですけれども、4月に入りましたら、今のゆめぐりエクスプレスというバス便があります。これは湯村温泉のお客様にとりまして鳥取方面にアクセスする、そういうバスであります。これを鳥取空港に1日に3便延伸をすると。それで今回、5便化になった鳥取空港のお客さんが湯村温泉に泊まりやすくする、そういうダイヤの改善を、ルートの改善をしようということになりました。
こんなこともあって、私どもの今回の5便化の式典には隣の新温泉町、あるいは香美町の町長さんがやってこられるということになりまして、鳥取空港の今までこういういろんなセレモニーの中では、但馬の方が、首長さんが顔を出すというのは初めてのことじゃないかと思います。駟馳山バイパスがつながりまして、これからそのルートとして、えっちらおっちら大阪、神戸から北へ上がってやってくるというルートではなくて、鳥取空港からすっきり東京へ飛ぶ、そういうルートが現実的に浮上してきているだろうと思います。我々としても、地域全体にもメリットがあることなので、鳥取県だ、兵庫県だということではなくて、山陰圏域全体の発展のベースとして鳥取空港が活用できるように、鳥取県なりの支援もしていきたいと考えております。
○中国新聞 川崎崇史 記者
その前の空の便に関連しまして、既存の定期便の中にアシアナ航空があって、なかなか利用が低迷が続いていると思うんです。これについては何らかの対策というのを知事、お考えなんでしょうか。
●知事
アシアナ対策は、これは今、これも徹底的に今実はやっております。ちょっとスカイマークとかの今、陰に隠れて、ちょっと文字になっていないのかもしれませんけれども、今うまくきいているのはテレビショッピング、このキャンペーンをやっていまして、向こうのお客様がこちらにお泊まりになる。それを進めるために韓国のケーブルテレビを活用したショッピングをやっていまして、割と県中部の温泉等でお泊まりが堅調にきております。そういうこともあって50%を超える搭乗率に回復をするというふうに戻ってきてはおりますが、問題はこれ米子鬼太郎空港だけでなくて、全国的に韓国のフライトについては搭乗率の厳しさが出てきておりまして、鳥取県、山陰も例外ではないもんですから、これは何とか打破すべく、エアライン〔航空会社〕とも協調して対策をしっかりやっていこうと、こういう合意をしております。中には大韓航空が静岡便であるとか、一部整理を始めていまして、これから日韓路線、両国間の関係の冷え込みということもあって難しさも出ている状況も反映されて、エアラインのほうの動きもなしとはしないと思います。ですから、我々としても、この辺も重点的な課題として取り組んでいく必要があるタイミングだとにらんでおります。
15 子育て王国とっとり条例制定による具体的取組内容
○読売新聞 加藤あかね 記者
すみません、ベビーシッターの問題の件も先ほど言われてましたけれども、子育ての関係で推進会議を立ち上げるということですけれども、具体にPTもされるということですが、どんなことを新年度から子育てに関係してするのか。条例をただ単につくったから推進会議をするということだけなのか、もっと踏み込んで子育てに対して取り組もうということなのか、その辺のお考えをお聞かせください。
●知事
今回、条例はちょっと異例な条例のスタイルになっています。後ろのほうに具体的な政策が書き込んでありまして、例えば子育てをみんなでやる分野だとか、それから課題を抱えている子供たちへのアプローチだとか、そうしたジャンルに即した個別具体の保育料支援だとか保育園の加配充実だとか、そういうことを全部含めて項目を打ってあります。それを今度、PDCAサイクルで回していくと。条例に書かれている政策自体も予算的な裏づけをつくって出していますけども、これをPDCAサイクルをつくって回していくというシステムの中に子育て王国の会議を位置づけておりまして、ここに子育て当事者の方とか有識者とか市町村関係者なんかも入っていただいて、鳥取県の子育て支援策を年々歳々レベルアップしていこうと、こういうことにさせていただいております。
今回の予算の中でも、代表的なことでいえば、先ほど申し上げた中山間地の〔保育料の〕無料化ですね、これは全国でも初めての支援策でありまして、若桜町、それから日南町、江府町といったところでその取り組みがスタートをすることが決まってきております。そのほかにもいろいろと支援措置を活用してやっていこうという動きも出てきております。また、国のほうは平成27年度からということになっていますが、放課後児童クラブ、これを小学校6年生まで拡充できるように、ハード、ソフト両面での対策を今回、予算の中で入れさせていただきました。こういうことなどなど、多様な施策を今回、条例とあわせて上程をさせていただき、可決を見たところでありまして、この辺を具体的に関係者とも点検をしながら、年々、だんだんと子育てのレベルを上げていこうということにいたしております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません、先日の常任委員会で国土交通省中国地方整備局から天神川と、それから国道53号の一部などに関して権限と事務の移譲が打診されているという御説明があったんですが、これについて知事は、今後、受け入れに向けてはどのような課題があるというふうに思ってらっしゃいますか。
●知事
私たちは、地方団体全体の総意として、地方分権は推進しなければならないと思っています。地域の課題は地域の住民が参画をして決定をする。それに伴う執行はやはり地域で行うと。もちろんそれには国としてのサポート、財政的な裏打ちがなければならない、単なる負担の押しつけではいけない、こういう基本戦略のもとに、これまでも話し合いをしてまいりました。
ただ、個別具体の話になりますと、やっぱり地域の皆様の考え方とか、いろいろと踏まえて動かなければならないと思います。今回は、国土交通省側からアイデアとしての打診が来ているわけでございまして、我々としてもそれに対して検討するということになります。天神川の移譲につきましては、これも〔地方〕分権の議論からすれば、私は県として引き受けることは検討しなければならない課題だと思いますが、当然ながら鳥取県であると同時に倉吉市であり三朝町であり北栄町でありと、そういう地域と表裏一体であります。市町村側の御意見も聞きながら、これ方向性を決めるということになっていまして、それは地方自治でありますから、それは当然だと思いますが、その市町村のほうはかなり否定的な御意見を持っておられます。それを、じゃあ無視して一気呵成に進めるかということになりますと、私は河川の管理は住民の皆さんと一緒にやっていかなきゃいけませんので、市町村の意向も尊重しなきゃいけないだろうと、こういうように考えておりますので、これも地域の意向を踏まえながら、最終的な方向性を国土交通省と協議する必要があると思っております。
国道53号線については、これはちょっと国土交通省と今、問題点の整理をしているんですけれども、これが移譲対象のカテゴリーに入るのかどうかということを、ちょっとここはまだ事務的な整理が必要だと思っています。これは、実はここに鳥取県庁があるわけですね。鳥取県庁にこの〔国道〕53号が来ているんですけども、国道の制度というのはこれ、県庁とかに結ばなきゃいけないんですよ。これちょっと変なことなんですけども、国全体がそうなっていまして、この県庁に行く道というのは昔の参勤交代のイメージかもしれませんが、これが国道だという仕切りがありまして、53号がとれてしまいますと、ここは県庁でないのかということにもなるので、これはちょっと多分事務的な整理、もう一度ちょっとカテゴリー〔区分〕に即して、今回国土交通省さんが提示されているものが国全体の方針とちゃんと一致しているのかどうかを、ちょっと確認しなきゃいけないと、こんなやりとりがございます。
また、あと実は追加的に、駟馳山バイパスが開通しましたので、3月22日に。その駟馳山バイパスの、今度は側道になる旧国道9号の扱いが出てきました。これは地元の市町村とも相談をして、移譲を受けるかどうかというのを考えなければならないと思っております。私は、これについては財源の確保についての十分な保障なりなんなりを確認しながらだと思いますが、県としてそういう〔地方〕分権の大義に基づいて移譲を受けるべきものは受ける必要があるんではないかというふうに考えております。この駟馳山バイパスの側道部分の国道9号については、今、目立って鳥取市、岩美町からの大きな反対の意見はまだ寄せられていないところでありまして、その辺のちょっと状況をにらみながら対応策を考えたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
側道にしても河川にしても、資機材とか人材、それから財源が同時に移譲されないと、なかなか引き受けるということにはならないと思うんですが、ただ、引き受けることによるメリットみたいなのも何かお考えでしょうか。あと、それからやっぱりそれに向けての条件というのは、あとどういうことがあると思われますか。
●知事
メリットでいえば、〔地方〕分権の大義のお話でありますが、やっぱり地域の住民が地域のことは定めるべきだと。例えばこの道路を単なる道路だけでなくて、にぎわいの道として活用したい。そうなればやっぱり管理権が必要ですよね。河川敷も同様だと思います。そういうようなことで、やはり分権の大義としては、地域の住民の意思に基づいて、それぞれの営造物、公の、公共施設を、公共物を管理することができるということがあります。
また、管理をするほうからいいますと、人材だとか、それからお金の面でも共通して発注する、例えば除雪にしても、現在の国管理の国道とそうでない県道と一括して面的に発注するとかいうことが可能になりますから、ある程度コスト削減につながる可能性もあろうかと思います。ただ、それは財源の裏打ちがなければいけませんので、その辺は慎重に、おっしゃるように、見なければいけないところだと思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
すみません、工場進出についてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、きょう上げられました企業のうち、三洋跡地がまだ残っている……。
●知事
三洋跡地はないです。
○山陰放送 秦卓史 記者
じゃないですか。
●知事
ええ。
○山陰放送 秦卓史 記者
現在、鳥取市の竹内市長が、その土地に進出する企業を誘致する活動として、親会社のあるインドのほうに任期ぎりぎり、最後になって訪問されて、その活動をされているということですけれども、知事はその点についてはどのあたりまで情報を持っておられるんでしょうか。その感触などもお聞かせください。
●知事
鳥取市は鳥取市の思いで動いておられるので、私としてコメント、まだすべき段階でもないと思いますし、申し上げるべきことはございません。ただ、同じ案件について申し上げれば、私自身もその会社幹部には面談をこれまでもさせてきていただいていますし、私どもとしてのいろんなプランもお示しをさせていただいております。鳥取市は鳥取市のいろんな事情や思惑があって動いておられると思いますが、我々は冷静に、いろんな企業誘致案件ありますけども、その中の一つのポイントとして捉えまして、誠実に対応させていただいております。
○山陰放送 秦卓史 記者
やはり親会社のあるインドまで行くことは必要だというふうに思われますでしょうか。
●知事
そういうことを私のほうで別にコメントすべき、まだ段階でもなくて、と申しますのは、まだ成立するかどうか、確実な段階でもございません。ただ、日本にある企業とは人間関係もつくり、今までもアプローチはさせていただいております。まだいろいろコメントすると誘致先の企業に対する影響等もありますので、私のほうでまだ申し上げるべきタイミングではないのかなと思います。ただ、一般論として申し上げれば、ポイントとなる誘致企業の一つでもあり、これまでもアプローチを県なりにもさせていただいてきておりまして、私どもとしては誠実に今後も交渉に当たってまいりたいと思います。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
ちなみに、ちょっと前に鳥取県に訪ねてきておった会社かなと思っておるんですけれども。
●知事
ノーコメントです。ちょっと、やっぱりさっきも申しましたように、ある程度折衝が固まったものはね、迷惑はかかりませんので、やっぱり県民の皆様にお伝えしたいし、しなければいけないと、それは我々の説明責任だと思いますが、ちょっとまだ折衝中の案件については、いろいろと先方に御迷惑がかかったり、交渉の成否にも影響するので、ちょっとコメントしにくい段階であると御理解いただきたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
そのほかございますでしょうか。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
じゃあちょっと。
また空路の話に戻ってしまって申しわけないんですが、今回、羽田がかなり国際化するというのが一つのポイントでもありまして、北米便ですとか欧州便がふえるということになってます。そういう、つまり羽田から入って鳥取に来られる外国人の方というのも考えられるわけですけれども、そういった地域、先ほどちょっと名前が上がらなかったので、そういったところへの、先ほどはすみません、ロシアですとかタイですとか、具体的な地域名としてプロモーションをこういうところにやっていきたいという話が出ましたけれども、北米ですとか、あるいは欧州、そういったところへの鳥取の知名度アップですとかいうとこで、何か策を考えている、あるいはこうしたいということがあればお聞かせください。
●知事
今、新年度事業には北米だとかヨーロッパについては上げてはおりませんけれども、例えば私ども、わかりやすく他地域と差別化して発信するアイテムとして、まんが王国ということを取り上げさせていただいております。これはインターネット上も発信をしております。このたびはパリで開かれるアニメの祭典にも鳥取県として出展していこうというように新年度、させていただいておりまして、いろいろと機会を捉えて我々もプロモーションをかけていきたいと思います。
何年か前には出雲大社も絡めて鬼太郎だとかをめぐるようなツアーをアメリカから誘致をしようとして、エアライン〔航空会社〕と組んでやりかけたこともあるんですが、残念ながらちょっと成立までは至らなかったですね。またフランスからもそうした同様の観点での事業を組んだこともあるんですけども、これも別ルートで入ってこられるようなことになりまして、結局ツアーまでは造成でき切れなかったということがあります。今は比較的知名度も上がってきて、アクセスとしても利便性も高いアジア地域が当面のターゲット、中心的ターゲットかなと思っておりまして、そちらのほうの事業をある程度確保しながら、だんだんと手を広げてまいりたいと考えております。
ただ、今おっしゃるように、羽田〔空港〕が国際化するというのは、日本全体に対して強烈なインパクトがあると思います。私も先般、欧州のほうに行きましてワールド・マスターズ・ゲームズの関係での誘致活動を関西を代表してやってきましたが、そのとき非常に驚かされたのは、これは全日空さんの便だったですけれども、ドイツやヨーロッパのお客さんが物すごく多かったですね。それは日本のエアラインを使ってみたいという、クオリティー〔質〕が高いということだと思います、サービスの。そういうことで、非常に活用の余地の十分ある路線がたくさんあると。それが経由便で入ってきますとプラス5,000円とか、そうしたレートでチケットを売りますので、通常、東京でワンタッチしておりてやってくるのとは違った、いわば値ごろ感も出てくるわけです。そんな意味で、そういうプロモーションとして、おっしゃるような北米向けだとかいうことは、今後、羽田〔空港〕の国際化が進展していけば見えてくる課題だろうというふうに思います。県でも以前、ニューヨークでキャンペーンをやったり、海外展開、北米もやったことがございまして、今後もその状況を見て検討すべき課題かなと思っております。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
ありがとうございました。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
そのほかありますでしょうか。
では、終わります。ありがとうございました。