鳥取県が5年に1度行っている「県民健康栄養調査」のデータから見ると、平成22年の歩数で、成人男性6,627歩、成人女性5,473歩となっており、男女とも全国平均より少なく、鳥取県民は、あまり歩いていない状況にあると言えます。
また、鳥取県が目標としている、成人男性8,000歩、成人女性7,000歩には1,500歩ほど足りず、目標値と大きな開きがあります。
鳥取県民の日常生活には、マイカーが定着し、歩く機会が減っていることが原因にあると考えられます。普段の生活の中で歩く機会が減っている以上、意識的に歩く機会を増やしていくことがとても大切です。
1 生活習慣病の予防
現代人の肥満は、食べすぎとともに、運動不足が大きく関わっています。
運動不足などにより、肥満となり内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞から悪玉因子の分泌が増え、逆に善玉因子の分泌は減少していきます。そして、高血糖や脂質異常、高血圧へと繋がり、更に、生活習慣を改善することなく、これらをそのまま放置しておくと、動脈硬化が進行し、糖尿病合併症や脳卒中、心疾患といった生命に関わるような生活習慣病への発症と繋がっていきます。(右図参照:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」学習教材より改変)
よって、運動するということは、生活習慣病へと繋がる第一歩である肥満を食い止めることになります。実際、身体活動・運動の量が多い人は、不活発な人と比較して糖尿病や循環器疾患などの生活習慣病の発症リスクが低いことが実証されています。
2 糖尿病の予防・改善
肥満になると、1で説明したとおり、インスリンの働きを邪魔したりする悪玉因子が増加し、逆に、インスリンの効きを助ける善玉因子(アディポネクチン)は減少します。そして、高血糖が慢性化し、糖尿病へと繋がっていきます。
しかし、運動により、内臓脂肪を減らせば、逆に、アディポネクチンが増加し、インスリンの働きが改善されるので、糖尿病の予防や改善に繋がります。
3 脂質異常症の予防・改善
運動量が増加すると血中の中性脂肪が減り、善玉コレステロール値は高くなり、脂質異常症の予防や改善に繋がります。
善玉コレステロールは、細胞から余分なコレステロールを回収したり、動脈硬化を予防したり、改善したりする効果があります。
4 高血圧症の予防・改善
普通、運動すると、血液循環がよくなって、血流量も増すので、運動をしている最中には血圧が上がっています。
しかしながら、一般的には運動習慣のない人の血圧のほうが、運動習慣のある人に比べて高くなっています。
運動を継続して行うと、長期的には、運動による降圧の効果が得られ、高血圧の人は収縮期も拡張期も血圧が下がり 、高血圧症の予防や改善に繋がります。
5 がんの予防
がんの最大の原因は喫煙ですが、その他にもがんの発症には様々な生活習慣が起因していると言われています。
特に、運動習慣と関係するがんは、大腸がんと乳がんで、これらのがんは、定期的な運動習慣を持つことで、罹患するリスクを下げることができるとされています。
6 運動器機能の維持
筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器の障害のために、移動能力の低下をきたして、要介護になっていたり、要介護になる危険の高い状態を「ロコモティブシンドローム」といいます。
適切な運動習慣を持つことで、このロコモティブシンドロームが予防でき、高齢になっても運動器機能が維持できることで、豊かな老後生活に繋がります。
※その他にも、認知症予防や、便秘予防、ストレス解消などの効果も!