防災・危機管理情報


平成25年12月27日(金)午後4時から

県庁講堂

 皆さま、こんにちは。
 本日、平成25年の年を締めくくることとなりました。皆さまにおかれましては、この一年のさまざまな仕事の上での思い出や、あるいは地域の人たち、ご家族との交わりの思い出が頭をよぎるのではないだろうかと思います。明日からしばらく、今回は長目の休みになります。じっくりと地域の人たちやご家族と、体と心を癒やしていただければというふうに思います。

 この平成25年という年、随分流れの速い年だったように私には思えます。これまで数年間、あるいは何十年とかかってやってきた、その仕事の積み上げが実りを結んだ、そんなような年でありましたし、また、経済や政治の激動、そういうものにもまれ続けた一年でもあったかと思います。

 去年の今ごろは政権交代がありまして、自民党、公明党による新しい連立政権が発足をしたところでございました。今年一年はアベノミクスという、そういう経済のムーブメントに、我々も中に入ったわけであります。確かに金融の拡大であるとか、財政のさらなる投資であるとか、また成長戦略、こうしたものが実を結び始めていまして、今もアメリカの好景気である、あるいは鳥取県も含めて日本全体での経済の改善、なかんずく株価が1万6,000円台になってくるとか、さらに円高が是正をされてくるとか、大きな動きが起きた年でありました。そんなように経済、社会の激変の年でありました。

 片方で、企業ピラミッドに象徴されるような鳥取県の産業構造が変わり始めておりまして、新しい産業の息吹を私たち自身でつくっていかなければならない、そういう年でありました。長年にわたり鳥取は取り残されている、遠いところだというふうに言われ続けてきましたが、それが空や陸で急に各地と結びつけられる、そういう兆しが見えた年でありました。

 鳥取はいいとこだよというふうに言います。特に自然がいい。そういうふうに言われるわけであります。だからスタバはなくても砂場があるんだとか、ばかな話を言って全国の方からも注目を受けたことがありましたけれども、そういうように自然が売り物というものを前面に出してグリーンウェイブを起こす、そんなこともございました。

 鳥取はいいところだよ。人間が優しいし、まちがすてきです。そんなような言葉どおりに福祉の面でも新しい手話言語条例を初めとした動きが起こったり、子育ての絆が結ばれまして、全国の人たちと一緒にそういう子育て環境の取り組みの最先端を切って歩けるようになってきた年でもありました。

 ただ、片方で経済の実相からいえば、必ずしもアベノミクスが功を奏したわけではなくて、影の部分もあります。企業ごと、地域ごとにはさまざまな、いろんな陰りもあったところでございまして、そういうものがまだら模様で進みながらも、何とか支え合ってきた一年だったように思います。

 先ほどは、表彰を受けられた各取り組みがございました。その取り組みによりまして、ただいま皆さまの前で表彰が輝かしく行われたわけであります。グリーンウェイブ、これは天皇皇后両陛下をお迎えをして全国植樹祭が開かれました。全国各地の皆さまも大変にそれを評価をしてくれました。両陛下におかれましても、あの大山を仰ぐ会場の方にお越しになりまして、素晴らしいなということを最初おっしゃっておられました。

 一つ残念だったのは、木を植えようと思ったんですけれども、その時にかちんこちんに、誰が固めたか、これは犯人捜しをしていないんですけれども、しっかり固め倒して、家でも建てようかという土台ほどのこんもりした山になりまして、なかなか壊れなくて苦労されたんですが、後で両陛下ともお話をしたんですが、本当にそれを楽しまれながら植樹をされておられまして、多くの方々がこれに加わり、さらに子どもたちが東北まで出かけていって、鳥取の緑を分け合おうということにもなったわけです。

 全国都市緑化フェアも開催されました。また、鳥取砂丘や、あるいは浦富海岸を含む国立公園が50周年という節目になりまして、それによって多くのイベントも開催をされましたし、また、あわせてエコツーリズム国際大会が開かれるなど、グリーンウェイブが鳥取から沸き起こった年でございました。

 ただいま、天皇陛下の方にお願いを申し上げておりました御製が調ったということで、手元のほうに下賜されたところでございます。謹んで拝読をさせていただきたいと思います。

 御製「大山の 遠くそびゆる会場に 人らと集ひて 苗植えにけり」

 ただいま天皇陛下の方から御製ですね、全国植樹祭を記念しての御歌が届けられたところでございます。

 このように、天皇陛下におかれましても鳥取県における植樹、その素晴らしさをこの年の記念に御下賜くだされたところでありまして、私どもも謹んでこれを受けとめ、グリーンウェイブを新年以降も続けていく誓いを立て合いたいと思います。

 話の途中になりましたが、そうしたグリーンウェイブがございましたし、手話言語条例の制定もございました。これもたくさんの意見が寄せられました。我々が驚きましたのは、議論を重ねる過程におきまして、だんだんと県議会を初めとして理解者が増えてきたところであります。さらに、終わってみますと多くの地方から、各地から、この手話言語条例に続きたいというところが生まれました。こういうような私たち自身の発想による、地方だからできるような福祉の改革ののろしを上げることができました。来年は、全国障がい者芸術・文化祭であります。この意味で、今日も表彰の対象となったところでございました。

 また、大交流時代をつないでいく幕開けにもなりました。高速道路ネットワーク、まずは3月に鳥取自動車道が開通をし、それから倉吉の西インターチェンジまで、倉吉からの1区間が完成をしました。そして、つい先だっては12月の14日、21日と鳥取西道路の第1期区間の一部と、また赤碕、中山のところから名和のインターチェンジまでの8.6キロメートルも開通をしました。これにより103.6キロメートルもの長大な高速道路が山陰の海岸に沿いまして、出雲から、大栄の入口まで来たわけであります。このように陸のネットワークが完成をし、多くのお客様がやってくるようになりました。今まで経験したことのないことであります。また、これも、この事業に当たりましては発掘の大事業がございまして、教育委員会の方の表彰ということで、埋蔵文化財センターのことになりました。

 空の方からは、香港からチャーターフライトがやってきました。これもスタッフが苦労してチャーターの話をまとめ、その後、プロジェクトチームを組んで大成功させました。実に3,200人以上の香港からのお客様がやってきまして、猫娘や、あるいは鬼太郎たちと写真を撮って喜んで帰られ、うれしいことに、アスパルにおきまして、その当時の農産物を買い込んで飛行機に乗り込んでいかれるのは、時代が変わったなあというふうに感じさせる一瞬でもございました。

 さらに、スカイマークの就航、鳥取空港での5便化のコンテストの勝利、また米子でも6便化が継続している。どんどんと空が開かれていったわけであります。これも今回の表彰対象になりました。

 併せてクルーズ客船がやってくる。17回にわたり1万人を超える人がやってきたのは新記録でありました。新年にもこの動きがさらに加速されてくるのではないか、そういうように期待をしているところでございます。

 こういうようなことの陰に、災害の多い年でもありました。今、私たちも、まだ復旧作業が続いているところでもございますが、西部を中心とした大災害があり、三朝では車がすとんと陥没した穴に落ちてしまい、お怪我をなさった方もいらっしゃいました。そういう集中豪雨型の災害、これに対しまして迅速な活動を県民の皆さまとともに職員に貢献していただきまして、今回、これも表彰対象ということになりました。東日本大震災への職員の支援、さらには災害のボランティアとして県職員も出かけていった山口等の災害、そうしたことも思い返せば数多くあった年でありました。

 また、いろいろと新機軸も生まれました。私どもも何せお金がないわけでありますが、そういう財政の一助になればとふるさと寄附を重点的に行ってきました。この秋からはクレジットカードで即決済ができる、そういうふるさと寄附のシステムが整いました。そのころから急激にふるさと寄附の額が伸びてきております。全国でも報道されるぐらいの勢いでございまして、鳥取県のみならず、米子市、境港市、琴浦町などもユニークなふるさと寄附で非常にマスコミでも取り上げられるようになりました。これは地域のイメージアップにもなりましたし、財政的にも支援になったわけでございます。こうしたことも表彰対象ということになりました。

 また、サバの陸上養殖、海水の井戸を使おうという斬新な発想によりまして、大手の水産会社も驚嘆をするような実績を上げています。これは新年度の水産関係の事業にも結びついていきました。地道な研究の成果、それから粘り強い発掘等の適地調査、こんなことが実を結んだことでもございました。

 職員の中には、PTAの活動、NPOの活動、あるいは青い鳥のステージをつくる、いろいろと活躍をされましたし、海上保安庁でのご経験等のこともあったりしまして、通りかかって倒れた人がいたときに助けた、そんな職員もおりました。このようにいろいろと地域の中にあって、あるいは職務の過程において模範的な実践をされた方もいらっしゃったわけであります。職場を挙げて取り組んだ改善の試み、人権教育課を初めとして金賞、銀賞、銅賞、今日も対象になりましたけれども、高校生の奨学金のさまざまなシステム的な改革を行いまして、いろいろ超過勤務の縮減等に取り組まれた、こんなようなこともありました。

 皆さんは、鳥取県庁を変えつつあると私は思います。その意味で、私の方から県民を代表して感謝を申し上げたいと思います。ぜひこの今年の結実をこれからの心の糧にしていただきまして、さらなる発展を新年に期していただきたいというふうに思います。今年、私たちが取り組んだグリーンウェイブでありますけれども、自然豊かな鳥取から生まれた運動でありました。

 「もえよ 木の芽のうすみどり」、こういうような歌の一節があります。私たちは、芽を吹かせる時がやってきたと思います。それを皆さまのお力で来年、さらに大きな木に、背丈のごとく伸ばしていただきたいというふうに思います。

 仕事を離れて、今年は1月の6日の仕事始めまで、皆さまとはしばしのお別れということになります。今まで職場で独占したような形であったかもしれません。ご家族のもとで、ぜひ素晴らしいお正月を迎えていただきたいと思います。

 残念ながら健康を崩す方も職員の中にはいらっしゃいます。休めるときには休み、そして地域の皆さまと温かい絆を結んでいただきたいと思います。それが皆さんの人生の花になるというふうに思います。皆さまに新しい年、よき年がめぐってくるように心からお祈りを申し上げ、鳥取県の発展をお祈りいたしまして、私からの御礼とさせていただきます。どうぞよいお年を。


  

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