1、我が国経済は、実質GDPが4四半期連続でプラス成長となるなど、着実に上向いている。しかしながら景気回復の実感は、中小企業・小規模事業者や地域経済には十分浸透しておらず、また、4月の消費税率及び地方消費税率の引上げを控えて、先行きは予断を許さない状況にある。政府においては約5.5兆円の経済対策補正予算及び、過去最大となる約96兆円の当初予算を一体的に編成し、経済成長・デフレ脱却と社会保障の充実を鮮明に打ち出している。
本県としても、国政や経済の動きに対して機敏に対応し、県民生活や地域の活力に結びつけていくべく、経済対策補正予算と平成26年度当初予算をあわせ、一体として機動的な財政運営を実現することで、切れ目なく有効な対策を講じる必要がある。
2、一方、地方財政計画においては、地方税収の伸びを想定しつつ、臨時財政対策債を含めた「実質的な地方交付税総額」の大幅削減がなされ、公債費や社会保障関係経費などの義務的経費が増加する中、予算編成には大きな制約を伴ったが、さらなる行財政改革を断行するとともに、財源確保策として、当面取り崩す予定のない土地開発基金を20億円繰り入れるとともに、平成25年度予算の徹底した節減に努めることで、次年度の財源として繰越金20億円を活用することとした。
さらに、これらの工夫によってもなお不足する財源については、財政調整型基金の取り崩しを行うことで財源捻出を図り、以下の5つの柱立てのもとに、前年度比2.3%増となる積極型予算として、平成26年度当初予算案を編成した。
3、第一に、『障がいを知り、ともに生きる』をテーマに、手話言語条例発祥の本県が障がい者施策の開拓者として、障がい者へのコミュニケーション支援や就労支援、芸術・文化・スポーツ振興とともに、全国でも先駆的な重度障がい児者への生活支援等の強化に取り組むこととした。
第二に、『活力あるふるさとに生きる』では、喫緊の課題である景気の冷え込み防止策、雇用創造一万人達成に向けた中小企業の成長力底上げ、国の農政転換を踏まえた農林水産業対策や移住2,000人を着実に達成するための取組を実施する。
第三に、『安心の社会に生きる』では、子育て王国とっとりをさらに深化させるため、中山間地域における保育料無償化等の支援や放課後児童クラブの拡充、土曜授業への取り組みを進める。また、社会を支える女性と若者の活躍を後押しするとともに、健康長寿社会への取組、原子力安全対策や防災・減災対策を強化する。
第四に、『大交流時代を生きる』では、スカイマークの新規就航や全日空の増便など航空便の充実、山陰道など高速道路ネットワークの整備、大型クルーズ客船の寄港大幅増などを背景に、陸・海・空に渡る交流の強化、スポーツツーリズムやエコツーリズムの振興、おもてなし溢れる観光地づくりを進める。
第五に、『自然とともに生きる』では、本県の財産である緑豊かな自然と環境を最大限に活かした「とっとりグリーンウェイブ」や再生可能エネルギーに係る取組をさらに進めることとした。
4,なお、これまでの7年間、未来への積極的な投資と財政健全化の二兎を追う慎重な財政運営に努めた結果、平成26年度当初予算編成後の姿として、「未来づくり財政誘導目標」の達成を確実なものとした。