平成26年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨
これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
今議会に提案いたしました議案は、
予算関係 32 件
条例関係 25 件
その他の案件 21 件 の合計78件であります。
最初に、議案第1号 平成26年度鳥取県一般会計予算についてであります。
平成26年度の本県の財政見通しでは、地方消費税収入が増えるものの、いわゆる「実質的な地方交付税」が削減され、公債費や社会保障関係費が増加するという厳しい見通しにあります。他方、「ともに生きる」鳥取県づくりや経済・雇用の振興など、県民の皆様に安心と豊かさを実感していただく予算を積極的に編成する必要があり、県民目線で行財政改革を進めるとともに、「事業棚卸し」結果等も踏まえ最小の経費で最大の効果をあげられるよう事業全般にわたって内容を厳しく精査いたしました。その結果、平成12年度以来最大となる前年度比2.3%増の予算となりましたが、同時に財政健全化を進め、4年の任期を締めくくる来年度に未来づくり財政誘導目標を達成する目途をつけることができました。
それでは、平成26年度当初予算案の概要につきまして、順次御説明申し上げます。
まず、第一に「障がいを知り、ともに生きる」についてであります。
いよいよ、7月12日から11月3日にかけて開催することとなります「第14回全国障がい者芸術・文化祭(あいサポート・アートとっとりフェスタ)」を鳥取県発の「あいサポート運動」の精神に基づき、障がいの有無にかかわらず、あらゆる人が交流し、ともに創作する大会とし、多彩な展示やイベントを展開することといたしました。
また、「鳥取県手話言語条例」の理念を発展させ、総合的に障がい者のコミュニケーションを支援するため、手話通訳者の養成、「聴覚障がい者センター」の設置や、手話教育充実など、手話等を使いやすい環境整備を加速するとともに、点字図書館の人員強化をはじめ、点字情報提供の拡充や「視覚障がい者向けパソコンリサイクル事業」、点字ディスプレイ購入など、視覚障がい者・盲ろう者等の情報アクセス・コミュニケーション支援に取り組みます。
また、重度障がい児者については、日中支援や短期入所、ケアホームでの生活体験を受け入れる社会福祉法人を支援するほか、医療機関での短期入所利用支援を行い、地域で安心して暮らしていただけるための先進的施策を講ずることといたしました。
さらに、障がい者の就労支援につきましては、事業所のギフトビジネス参入を新たに支援するほか、コーディネーター配置による農福連携を強化するとともに、障がい者自らの起業や障がい者を雇用する起業を支援することとし、特別支援学校独自の技能検定制度創設や就労サポーターの増員など、就労支援を促進することといたします。
第二は、「活力あるふるさとに生きる」についてであります。
先週12日臨時議会において議員各位の御賛同をいただきました131億円の補正予算と併せ「14か月予算」として、強力かつ機動的に県内の雇用・経済対策に取り組むことといたしました。
まず、消費税率引上げによる経済減速を回避するため、住宅の新築・改修を支援する最高95万円の「とっとり住まいる支援事業」を創設するほか、中小企業の円滑な資金調達や商業・サービス事業者の消費喚起や商圏拡大、中小・小規模事業者の設備投資、女性の創業環境整備などを強力に支援することといたしました。
また、医工連携やウェアラブルデバイスなどの先端産業分野への進出、
「鳥取県版フードバレー」に向けた食品関連産業基盤強化を進めるほか、アジアとのビジネス連携推進や、岡山県との首都圏アンテナショップ・ビジネスセンター共同開設など、国内外へ打って出る展開を推し進めるものであります。
次に、食のみやこ鳥取県を支える農林水産業につきましては、グローバル化や国の農政転換に対応し、鳥取県農業農村担い手育成機構を通じた農地集積を後押しし、飼料用米利用拡大、共同乾燥調製施設改修等を進めてまいります。また、路網整備等の森林整備、新素材CLTの開発・販路開拓等を支援し、県産材の利用拡大や林業・木材産業の活性化を図ります。さらに、県産魚ファストフィッシュの生産やクロマグロ船上処理に取り組むとともに、井戸海水試掘調査など陸上養殖の推進、消費者ニーズ・大量水揚げ・観光に対応できる境漁港の再整備に取り組むものであります。
併せて、4年間で移住者2,000人達成に向けたIJU施策の展開や、アーティストリゾート推進、唱歌「ふるさと」100周年記念事業を実施するとともに、「とっとり県民活動活性化センター」と連携したパートナー県政の積極展開を図るものであります。
第三に「安心の社会に生きる」についてであります。
少子高齢化が鳥取県の喫緊の課題となっていることを踏まえ、全国で初めて中山間地域の保育料減免を支援することに踏み切ります。さらに、
放課後児童クラブで小学校6年生まで受け入れる体制づくりを行うとともに、「森のようちえん」に対する全国唯一の支援制度創設、男性の育児休暇取得支援を行うことといたしました。
次に、過半数の市町村や東・中・西部の県立高校において試行も含めた土曜授業等を実施する予算を確保しましたほか、小中学校授業改革、英語漬けモデル校などの英語授業体制整備、ICTを活用した教育など、学力向上に向けた取組を強力に進めます。
また、健康長寿社会の実現に向け健康マイレージによる地域や企業の健康づくりを促すほか、元気高齢者を活用した介護予防やタブレット端末を活用した認知症予防対策、歯と口腔の健康づくりなどに取り組むとともに、性暴力被害後の支援体制検討を進めます。
さらに、原子力環境センター、中央病院、八橋警察署等の整備を推進するとともに、地震被害想定の見直しや県版国土強靱化地域計画に基づくインフラ整備に取り組むほか、民間建築物の耐震診断・耐震改修を支援するなど、安心の地域づくりを進めます。
第四に「大交流時代を生きる」についてであります。
スカイマーク就航や全日空増便など、鳥取の空は大きく開かれ、3月22日の山陰近畿自動車道駟馳山バイパス完成、境港の拠点港機能強化や外航クルーズなど、陸・海も含め本格的な大交流時代を迎えました。
国内外の観光客を積極的に取り込むため、Wi-Fi環境整備や免税ショップの拡充、二次交通支援など、おもてなし環境を整えることが急務であります。
さらに、スポーツについて、教育委員会から知事部局に移管し、観光・福祉分野等との一体的な取組、スポーツコンベンションの強化に向けた体制を構築することとし、「スポーツリゾート」構築やスポーツに親しむライフスタイルの推進を図るとともに、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、境港公共マリーナ整備や選手の発掘・育成、競技力向上に取り組みます。また、まんがによる地域おこしなどの魅力づくりを進め、海外からの観光客誘致に積極的に取り組みます。
第五に「自然とともに生きる」についてであります。
「とっとりグリーンウェイブ」をさらに推進するため、山陰海岸世界ジオパーク再審査突破に向け万全を期すほか、「ともに育てる身近な緑づくり事業」によるナチュラルガーデンの普及や、木と森の学校の開催を通じた「木育」に取り組むとともに、森林資源を活用して地域を豊かにする「里山資本主義」の展開を図ります。
また、「鳥取県バイシクルタウン構想実現化プロジェクト」を進めるほか、大山隠岐国立公園編入を念頭に三徳山の遊歩道整備を進め、響きの森のリニューアルを行います。
さらに、米子ソーラーパークでのエコツアー受入促進や環境学習を充実するとともに、太陽光をはじめ、木質バイオマス、温泉活用、風力・小水力発電など、再生可能エネルギーへの転換を進め、さらに新たな燃料と期待を集めるメタンハイドレートの鳥取県沖調査を後押します。
以上の事業を精査しました結果、平成26年度当初予算案の総額は3,379億5,900万円となるものであります。
また、議案第21号 平成25年度鳥取県一般会計補正予算につきましては、不用額の精査等をいたしました結果、77億5千万円余を減額することとし、補正後の平成25年度予算総額は、3,582億9千万円余となるものであります。
次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。
議案第33号 子育て王国とっとり条例の設定につきましては、子育て環境日本一を目指し、女性が安心して子どもを産み、誰もが誇りと喜びを感じながら子どもを育て、子どもの成長を愛情を持って支える地域社会を実現することを目的に、県、市町村の責務や、保護者、子育て支援団体、県民、事業主の役割を明らかにし、豊かな自然や住民同士の強いきずなを生かして、子育てを地域全体で支える子育て王国とっとりを築き上げようとするものであります。
議案第77号 鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の一部改正につきましては、東日本大震災等の経験を踏まえ、自助・共助の取組を県民運動として推進するとともに、災害・危機に関するBCP等のソフト対策を強化しようとするものであります。
議案第78号 鳥取県税条例の一部改正につきましては、平成26年度税制改正に係る地方税法等の一部改正に伴い、法人関係税の見直し、自動車取得税の税率引下げや環境負荷の小さい自動車の自動車税の税率特例措置を重点化・強化しようとするものであります。
以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。