○毎日新聞 高嶋将之 記者
それでは、平井知事よろしくお願いします。
●知事
韓国におきまして重大な船舶事故が発生しました。現在、懸命の救助が続けられておりまして、その成果が出ることを願いたいと思います。ご家族など大変心配があるようであります。心からお見舞いを申し上げたいと思います。日本において、実は同様にDBSクルーズフェリーが航路を持っておりまして、境港の方に向けて航路がございますが、今のところ韓国の船舶当局や海軍当局から特段の指示が出ているということではないと伺いました。ただ、やはり学生の団体のキャンセルなど、そうした影響がこの航路にも生まれ始めているということでございまして、今後、こうした事故の後の動向につきましても関心をもって当たる必要があるかなと思います。いずれにいたしましても、安全は全てに優先するものでありまして、この辺については世界中の関係者にぜひとも高い意識を持っていただきたいというふうに考えております。
●知事
危機管理については、さまざまな課題が本県についてもございます。鳥インフルエンザの対策でございますが、昨日〔16日〕までに熊本において防疫上の対策が一応1つの目途がついたということになりました。私どもも情報は取りながら現在、対応に当たっているところでございます。県内には83の養鶏農場がございまして、現在、この度、対策本部をやったあと、順次、今ローラーで見ているところでございまして、今週中にはすべての農場の詳細調査が完了すると思います。現在、動きながら個別の農場につきまして、指導も含めてやっております。例えば今回の鳥インフルエンザの発生につきましては、まだ原因はよく分かっておりませんが、報道によってはこう、囲いのところの防護が十分でなかったために患畜、病気の鳥が入ったんではないだろうかと、このような推測がなされたりもしているんですが、そういう意味で、こういう切れ目があるところを、これ、補修しなさいとか、対策を取りましょうとか、そうした緊急指導も含めて現在回っているところでございます。
また、米子水鳥公園を初めとして県内の野鳥のパトロールも進めてきております。今のところ、住民の皆さまからの通報等あまり目立った動きはございませんで、今、今週中を目途に一通り安全対策を完了しようとしているところでございます。ただ、これにつきましては5月ごろまで鳥インフルエンザの、蔓延地と関連のある渡り鳥のシーズンがまだ続きますので、そういう意味で緊張感を持って今後も当たっていく必要があると考えております。
●知事
先般は広島の尾道〔市〕ですか、それからこの度は川崎〔市〕におきまして樹木の倒木によります甚大な事故が発生をしました。こういうものが相次いで起こっております。昨日〔16日〕緊急に関係の県庁の部局を招集しまして、話し合いをさせていただき、指示もさせていただきましたが、だいたい県で今管理している土地の中に6万1,000本強の樹木がございます。もちろん、例えば大山青年の家のように広大な敷地の中にたくさん自然の木が立っているところもございます。だから、対策が必要なところ、必要でないところそれは自ずからあるわけではありますけども、緊急パトロール点検を行って、これも今週を目途に全体をざっと見るように指示をさせていただきました。それでもし、必要な対策があれば道路の維持補修であるとか、それから指定管理の対象になっている施設であればその施設側と折衝をさせていただいたりして、早急な措置を講ずることを確認させていただきました。同じような事故は県内でも発生しないようにということで対策を取らせていただいたところであります。本県の場合は、積雪地帯でありまして、どうしても雪の重み等で倒木があることは、これはやむを得ない部分もありますけれども、今回の川崎〔市〕のケース等で言われておりますのは、手入れの問題があったんではないかというような指摘も報道でなされているところでございまして、我々としてもしっかりとした対策を取っていく必要があると思います。鳥取県の場合は例えば、街路樹であれば剪定の管理等々、きちんとした対策はこれまでも年々講じてきておりますので、どんな状況があるかどうかはちょっとこれ、パトロールしてみなきゃ分かりませんけれども、大きなことにはならないんではないかなというふうには思っております。ただ、注意すべき事象が発生しましたので、きちんとした対応を取りたいと考えております。
●知事
原子力安全につきましては、昨日〔16日〕東京の方で原子力規制委員会によりますヒアリングとやり取り、意見交換が中国電力側となされました。焦点は、原発の敷地直下に断層があるかどうかということでありまして、中国電力側からはそれに対してそういうものは考えられないという趣旨での説明が改めてなされ、また、〔原子力〕規制委員会の方からも、それについて証拠の提出とか、追加の資料の提出等、改めてのやり取りがあったようであります。いずれにいたしましても、今、こうして原子力規制委員会による審査が続いておりまして、当面、鹿児島の原子力発電所が先行しながらということになろうかと思いますが、この審査が追々続いていくだろうと思います。今年度がそういう意味で大きな節目になろうかと思いますので、早速、来週の22日に県庁の原子力安全対策プロジェクトチームを招集をさせていただきまして、中国電力の説明も交えて県庁全体でも取り組みを進めることにいたしたいと思います。
これにつきましては、米子市や境港市など、関係先も入っておりまして、情報を共有しながらこの原子力規制委員会での審査の内容を精査してまいりたいと思います。専門家の委員会と並行してこうしたことをやっていく必要があります。また、原子力安全対策の訓練でありますとか、さまざまな対策を取らなければなりません。装備でありますとか、そうしたことについても、庁内プロジェクトチームで話し合ってまいりたいと考えております。
●知事
そうしたこととも関連しますが、国に対する要望等を、新年度早々から行っております。早速14日に林〔芳正〕農林水産大臣の方に参りまして、鳥インフルエンザ対策、万全を期して封じ込めてもらいたいということでありますとか、オーストラリアのEPA〔経済連携協定〕対策では、これ、農家に対する施策が必要ですし、TPP〔環太平洋経済連携協定〕の慎重対応が必要だなどの申し入れをさせていただきました。
林〔芳正〕大臣からは、私の方からの提案を受けまして、マルキンと称されているような価格保障の制度の拡充も含めて検討してみたいということがございました。大臣の方の説明としては、セイフティガードもつけてありますので、輸入量が今以上に広がることになれば、元の38.5%の関税税率に戻る仕掛けになっているので、輸入の急増等はあまりないような交渉になっていますよというような話があったりしておりますが、私の方からは農家の方の不安もあるし、中長期的には価格に対する影響もあって、かなりいろんな慎重な対応が必要ではないかということを申し上げたところであります。大臣は、これから条約の締結さらに批准という、順次プロセスを追っていかなければなりませんので、今すぐということでなくて、1年かかってやるような話なので、その間に対策を十分取っていきましょうと、このような趣旨のお話でありました。
国土交通省の太田〔昭宏〕大臣の方からは、当方で求めておりましたハイウェイの接続、それから境港の港湾整備、いずれも前向きなお話がございました。総務省の新藤〔義孝〕大臣とは、今財政制度等の審議会がございまして、これでかなり強烈な地方財源減らしの中身が出ております。2兆2,000億円削れるんではないかということでありまして、これは暴論であるとはっきり私の方から申し上げました。大臣の方からも地方の一般財源、これを削減する、そのための策動にならないように自分も動いていくというようなお話がございました。
●知事
財源確保につきましては、私どもの方でもしっかりとした対策を取る必要がございまして、自らの財源かん養が必要であります。その一環として、本県ではふるさと寄附の活用を図ろうとしてきまして、例えば昨年11月にクレジットカードによります簡易な決済方法を導入をするなどしまして、全国でも話題のサイトとなってきました。テレビ等で取り上げられたこともありまして、急速に寄附額が伸びたわけでありますが、昨年度1年度で締めた格好では、全体で3億3,600万円の寄附が集まりました。2万件以上の寄附を集めてそうした額になったわけでありますが、3億3,600万円は一昨年度の7.9倍、790%ですね、7.9倍というかなりの急激な伸びでございました。
我々、本年度から少しやり方を変えさせていただいております。節度を持った記念品という、そういう指摘もございまして、我々は元々、一部自治体であるようにもらった寄附全部、記念品で返すというようなそういうものでは全然なくて、制限してやっていたんですが、それをさらに厳密にしまして、7段階の記念品段階にさせていただいたり、県内での寄附者につきましては〔記念品は〕ご遠慮いただくと、記念品は贈らせていただきませんよという案内を4月からはさせていただくなど、変更点を付けさせていただきました。代りにやはりこうやって熱がこもってきましたので、県内の事業者さんの方でも関心が高まってまいりまして、そういう記念品のレインジ〔幅〕、種類を大幅に増えるということになりましたし、これ、我々の方でも話し合わせていただいて、障がい者団体が作られる製品も、この度人気の製品もいろいろ出てきておりますので、障がい者団体の、そうしたものもふるさと寄附の記念品の中に加えさせていただくという対応を取らせていただきました。我々もこのように自らの財源関与の措置を取らせていただこうとしているところであります。
●知事
また、本日〔17日〕はこれから東京の方にまいりまして、土屋品子厚生労働副大臣と面談をさせていただき、厚生労働関係での申し入れをさせていただこうとしております。その1つに原子力安全対策もございますし、それと併せてお泊まりデイサービス、これもやはり国として必要な措置をとるべきだとこれを申し入れをさせていただこうと思っております。前回の2月の定例県議会でもこの問題が取り上げられました。それに先立って新聞でも報道がなされました。本県にもそうしたデイサービスのお泊まりという実態があるという指摘がございまして、現在、詳細なアンケート調査を全施設に向けてやっておりまして、今、集計、とりまとめの最終段階に入ってきております。その中では、事業者によるんですけども、事業者によってはかなりお泊まりデイというかたちで受け入れている事業者さんもありまして、これはやはり実態として何らかの措置が必要ではないかと思います。ですから、国としても、現在、その国の制度の狭間にありまして、規制のないところであって、我々も法的に指導が、きちんとした対応が取れない部分でありますので、国としての対策を求めたいと思います。
また、併せて我々の方でもガイドラインの設定を国の規制に先駆けてやる必要があるだろうと考えました。これは十分これから精査をして、実態調査をさらに進めていく必要があると思います。これから立ち入ってその実情なども調査をしながら、どういう対策が必要なのか、施設基準等を独自に設けたり、届出等の内容を考えたり、いろんな対策が必要になろうかと思いますが、鳥取県独自のガイドラインも視野に今後検討させていただきたいと思います。いずれにせよ、本来は国で、全国的な問題でありますので、措置されるべきことでありますから、今日〔17日〕、その申し入れにいきたいと思います。
8 2020東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組への支援
●知事
また、内閣府の平田〔竹男〕参与にも面談をお願いをしておりますが、これはパラリンピック、それからオリンピック、そうしたご担当の部局になります。鳥取県としてパラリンピックのナショナルセンターと関連した地方の機関、サイトとして活用してもらいたいとか、それから、スポーツ人材の育成の我々の独自の取組みをご説明申し上げて、国全体の強化選手の枠組みとよく連携を深めながら人材づくりをやっていくとか、そうしたことなどをいろいろと話し合ったり、お願いをしてまいろうと考えているところでございます。
●知事
こうしたことと関連しまして、さまざま福祉の課題がございますが、本県で、子育て王国条例ができました。また、子育て同盟で関係県と一緒に動いているところでありますが、本日〔17日〕、このあと上京した際に森まさこ少子化担当大臣に子育て同盟全体として10件の申し入れをしようではないか。それで、いろいろ子育て施策や子育ての現状につきまして、大臣と意見交換をしようということになりました。
具体的には、例えば、少子化対策の交付金が作られたんですけども、これをもっと拡充してもらう必要があったり、使いやすくする必要があるのではないかという問題意識とか、これから、子ども・子育て新制度が発足をする運びになるんですが、それに向けて大幅な財源不足があると、これも報道が始まっておりまして、こうしたことで、例えば、量の充実や質の充実がありますが、質の充実が欠けてしまう等々、大きな影響が出ないように、これはやはり国として責任持ってやってもらう必要があるだろうと思います。現在、消費税が引き上げられたということになりました。ですから、政府全体としても社会保障に応分の力を従来以上に発揮しなければなりません。特に子ども・子育て対策は先進諸国の中で日本は極めて財政投資が遅れている分野でございまして、きちんとウエイトをもって対応する必要があるのではないかと思います。その辺、国の方の対策を求めたいということから、本日〔17日〕は7人の知事が集結しまして、7人で大臣と直接面談に動くことになりました。
●知事
また、教育関係でも土曜日授業、今、教育委員会の方でも精力的に動いていただいていますし、私も首長の方に呼びかけもしてまいりましたが、高校レベルで6校、それから市町村レベルでも9の市町村が既に名乗りを上げるという格好になりまして、学力向上だとか、体力、あるいは社会力、そうしたものを育成していく地域ぐるみの取組みが前に進んでいるところでございます。これから、山本〔仁志〕新教育長の体制と呼応しながらやってまいりたいと思います。国において、教育についての新しい制度スキーム〔枠組み〕が委員会審議、開始をしました。歓迎すべきことだと思います。完全なベストではないかもしれませんが、現状において考え得る、セカンドベスト〔次善〕的ないい案になっているんではないかと思います。ただ、与野党で若干そのスタンスの違いもあるようであります。野党側、民主党や維新の会の方はもっとラディカル〔急進的〕な教育委員会改革を求めておられます。私はそれでもいいと思うんですが、一番困るのは、そういう意見の対立の中で、結局なそうとしていた地域の住民の皆さんや地域が参加をし、デモクラシーのシステムの中で子どもたちの成長を支えていく、そういう改革が頓挫することになってはいけないと思います。
ですから、十分与野党でも話し合いをしていただいて、本来考えている方向性は一緒だと思いますので、地方の現場の声をよく聞き、最終的な制度改革に結び付けていただきたいと思います。今の政府案、審議が始まった案につきましては、鳥取県で既に導入した、他県とは違ったシステムがほぼそっくりそのまま盛り込まれておりまして、我々としては政府が我々のやり方を追認してくれたというふうに思っているところでございます。いずれにいたしましても、実り多い議論になることを願います。
11 障がい者の暮らしやすい鳥取プロジェクトチームの立ち上げ
●知事
障がい者福祉につきましては、障がい者が生活しやすい、暮らしやすい地域、鳥取県を生み出すプロジェクトを来週の22日にスタートをすることにいたしました。本年はそうした意味で障がいを知り、共に生きるを重要な基本方針としてさまざまな施策を集中的に展開していく、そういう年にいたしたいと考えておりまして、そういう意味で、この議論が進展をし、実行できるような県庁のエンジンをかけることにさせていただいたところでございます。このようなことで、福祉の施策を取り急ぎ進めていく必要があるだろうと思います。
●知事
大交流時代の到来につきましては、空港の利用も活性化をし、鳥取空港33万人、また、米子〔鬼太郎〕空港61万人という幅の広い取組みが進み始めました。そこで、この際ですね、一気にいろんなキャンペーンをしかけていく必要があります。明日〔18日〕から鳥取においでよプレゼントキャンペーンを開始をすることにいたしました。これは鳥取県の観光地を訪ねていただきまして、抽選でプレゼントが当たるというようなことであります。また、具体的に旅行商品が造成をされなければなりませんし、お客さまに近くて便利になった鳥取や山陰に来ていただく、そういうことを展開する必要があります。来週の21日に東京の方で首都圏のキャンペーンをまず始めさせていただこうとしております。浜松町でのイベントでありますとか、それから大手の旅行会社を巡りながらのキャラバンでありますとか、そうしたことを来週実施をしていこうということにいたしているとことでございます。
こんなようなことを通じまして展開を強めてまいりたいと考えております。
●知事
そういう観光も含めて産業振興を図っていかなければなりません。そうした意味から、我々として企業誘致を相次いで進めてまいりましたが、この度〔(株)〕テムザックの米子における〔(株)テムザック技術〕研究所の進出につきまして明日〔18日〕調印式を行うことになりました。これは医工連携のロボット開発の研究企業でございます。また、その他にも部品メーカーにつきまして、倉吉での進出、これを来週調印式をするなど、そうした企業誘致等々も、今ある動きを強めてまいりたいと考えているところでございます。それから産業面とかで心配なのは消費税の動向でございまして、物価については引き続き第2回の緊急調査をこの度行いましたが、前回よりも値上げ、値下げの幅が狭まっておりまして、やや落ち着きムードに入っているのかなという状況の物価動向でございますが、あと商工業者の対策が重要であります。
本県の場合は中小企業が多いわけでございまして、そうした中小企業の動向が、経済の鍵を握るわけであります。そうした企業さんを回りながら、今調査をさせていただいたところでありまして、14日から入っているところでありますが、今のところ、集まって来た状況ではだいたい半分ぐらいの企業さんは消費税引き上げに伴ってあまり影響はないと、深刻な経常の影響はないというお答えが来ております。4分の1くらいの企業さんでは売り上げが減ったというお話が来ております。現に国全体でも自動車の売り上げが前月比で20%減っているとか、それから家電の売り上げとか、いろいろと世上、ニュース報道等もあるところでございまして、本県においても4分1くらいの企業さんで売り上げが減ったと、そういうご報告がありました。また適正な価格への転嫁が行われて、これが経営への影響を回避する1つの方策でありますけども、それにつきましてはおおよそ8割の企業で転嫁ができているというお話でございました。これからもこうした企業の動向や景気の動向を睨みながら、我々としても対策を講じてまいりたいと思います。
機動的に打つべき対策があれば次の議会も含めて対処してまいりたいと考えております。
14 メタンハイドレート等の新エネルギー研究への期待
●知事
そうした産業活動を支えていくべきなのはエネルギーでありますが、メタンハイドレート〔メタンを主成分とする化石燃料〕の調査がいよいよこの山陰沖でも開始しました。その途中ですね、境港の方に降りたたれます明治大学の松本〔良 特任〕教授とお会いをすることにさせていただきました。20日にいろいろと意見交換をさせていただきたいと考えております。その後はいよいよ隠岐の島の東側の海域の音波探査が始まるわけでありまして、鳥取県沖のメタンハイドレートに資源エネルギー庁による調査が始まるわけでありまして、歓迎すべき段階に入ったなと思います。今、岡山大学の方で新しい研究成果が出てまいりました。これはスーパーコンピュータを活用してシミュレーション〔模擬実験〕をした結果として、メタンハイドレートというのは直ぐにこうメタンガスへ変わってしまうわけでありまして、それが海底からの掘削の難しさになるわけでありますけども、そのメタンハイドレートが壊れてメタンガスになっていくそのメカニズムをシミュレーション解析をした研究成果がこの度発表をされたところでございます。こんなようなことを、いろいろこれから積み重ねていただいて政府としても、日本の大きなエネルギー供給源となり得るメタンハイドレート。ただ埋まっているだけではなくて、使えるエネルギーになるように最大限の努力をしていただきたいと考えているところございます。
●知事
この週末には、私、〔大阪の〕あべのハルカスの方にまいりまして、ハイヒールモモコさん等と一緒にキャンペーンをすることにいたしております。鳥取の観光の魅力、あるいは物産の魅力、こうしたことを訴えかけていきたいと思います。また、開山1300年を迎える三徳山におきましては、この度御幸行列が行われることになります。観光地いよいよ春の連休を控える時期でございまして、多くのお客さまに来ていただきたいというふうに考えているところでございます。日差しもすっかり初夏を思わせるモードになってまいりました。県民の皆さまにおかれましても素晴らしい春をお過ごしいただきますようお願いを申しあげたいと思います。私の方からは以上です。
16 ナノオプトニクス・エナジー社の現状等への認識
○毎日新聞 高嶋将之 記者
それでは各社から質問お願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません、ナノオプトニクス・エナジーのことですけども、改めてのお訊ねになるかもしれませんけども、ナノ社の現状と今後の事業の展望について、知事どのような認識を持っていらっしゃるか伺ってもよろしいですか。
●知事
ナノ社は今もいろいろなかたちで、例えば、販路をつけるパートナー会社の確立等々ですね、動いておられまして、業態が当初想定していたものから確かに変わりつつあるとは思いますけれども、ベンチャー企業でございますので、売上げを立てていかなければいけませんから、そうした意味で、いろいろとご尽力、ご努力があるかなというふうに思います。ただ、そういう中でJTの工場は極めて大きなものでありまして、大きさの規模から言うと〔鳥取〕三洋のこの間、撤退されて更地にしたところよりも大きいわけですね、だから非常に大きなところでありますが、それを全部使いこなせるような状況でもないだろうと思います。その意味でナノ社において、今回イーウェルを入れるということになりまして、イーウェルの方に土地を渡すというご決断をされました。イーウェルさんも業態拡張の意味で、この米子での進出というものを積極的な成長のポイントと捉えておられまして、全国展開している企業でありますから、大きなこれからの雇用力にもつながろうかと思います。
そういう意味で今回のマッチングは、いろいろ紆余曲折はありましたけども、1つ、我々としても受け止める必要がある、受け止めるべきことかなと思っております。ナノ社はそうしたことを含めて現在いろいろと経営努力をされているところでありまして、私共としても県内に進出した1企業として適切な距離感で今後も我々としても対応すべきは対応してまいりたいと思います。今回のイーウェルの土地の売却にあたりまして、我々もナノ社側ときちんと話をさせていただいておりますが、分譲にあたっての土地代金に相当する部分の補助金については返還をいただくというようなことで、これは、先方もこれは了解をしておると思います。これについても、適切に、そうした補助金のあり方についても対処してまいりたいと思っております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
ちょっとざっくりした聞き方で恐縮ですが、鳥取県さんとしては補助金を出されておる企業ですので、今後はなんとかこうやって頑張っていってもらえるもんだというふうに見ていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
●知事
ええ。もちろん企業でありますから、栄枯盛衰はどんな大企業でも、中小企業でもあるもんでありますので、その辺は経済原則として我々も冷静に見ていかなければいけないことはいろいろあるでしょう。ただ、現在ベンチャー企業でいらっしゃいますナノオプトニクス・エナジーさんも、前向きに今雇用もほぼ継続をして、今年度越えましたし、努力をされておられるところだと受け止めております。私共としても今後ぜひ、発展してもらえるんであれば発展していただいて、地域を支える企業になっていただければなというふうに思っております。
17 EVを使ったカーシェアリング等の取組への影響
○中国新聞 川崎崇史 記者
すみません、関連してよろしいですか。ナノ社につきましては、鳥取県の西部の国からの特区の認定の中に米子市の小型タウンモビリティ、EVを使ったそのカーシェーリングというのがあったと思うんですけれども、それについての影響というのは考えられるでしょうか。
●知事
特区自体はですね、東日本大震災の後、全国的にそういう環境が取り沙汰をされまして、ガソリン車から電気自動車という1つのムーブメントがありました。当時想定していた程に電気自動車にシフトしていませんで、ハイブリッドやプラグインハイブリッド、あるいは低燃費車の方にマーケットの大勢は行っているんですけども、当時そのナノオプトニクス社の開発する車もいずれはそこに取り込みながら、テスト試乗ができるかなと期待はしておりましたが、現実には今市場で供給されておりませんので、他社製のものを活用しながら、この特区を進めるということになります。あれは地域の中で電気自動車を使って、環境に優しいかたちで、お年寄りも含めて移動できる、そういうモデルを作ろうというものでありまして、その特区自体には特段の支障は起きておりません。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません、1票の格差に関して参院選の関係なんですけれども、今、選挙制度協議会でしたか、鳥取、島根の合区の案も出ているということなんですけれども、その参院選に関する1票の格差について、今の考え方、合区案に関して知事としてどんなご意見を持っておられるのかというのを伺わせていただけますか。
●知事
はい。これは、報道は始まっているんですが、来週その選挙制度についての脇〔雅史 選挙制度協議会〕座長が何らかそういう提案をするんではないかという取り沙汰で今報道されていると思います。ただ具体的な今、絵柄が目の前に見えているわけではないので、その辺なかなかちょっとコメントしにくいところもございます。ただ、一般論で申し上げれば、今最高裁の判決が、従来の判例を必ずしも踏襲していないですね、それで、これはほんとに今後どう考えるのかなというような思いがあります。繰り返してこの記者会見の場でも申し上げておりますが、参議院の選挙制度は戦後、従来の貴族院的、そういう言わば任命制のところから、民主的に選出をされる院として再発足したわけです。その際におそらくはそのアメリカの考え方もある程度入れながらだったと思うんですけども、都道府県代表である地方区というのが作られ、これは150人、また全国区、これが全国1区の選挙で、要は大選挙区単記制になりますけども、そういう選挙制度が導入をされた。これの組み合わせの下に参議院というものが選ばれる、参議院議員が選ばれる仕組みになったわけです。
ですから、その後の昭和の時代になりますけども、繰り返し最高裁〔判所〕の大法廷含めた判決が出ておりますが、まずそうした選挙制度の設定自体は、これは憲法に基づきまして立法府に裁量が委ねられている、立法裁量であると。それで、その立法裁量ということになりますと、この立法裁量の行使、裁量権の行使が、これが違憲なものかどうか、法律に反するものかどうかというのを最高裁が審査をするという法律論になります。それで、その際、繰り返し言われていますのは、都道府県代表としての議員を選出をすることは合理性があるというふうに言っていました。また、全国区という別の選挙制度もありまして、これは全国1区でありますから、1票の価値どうのこうのという議論は本来起きない制度になるわけです。この組み合わせの下にありまして、ですから現実の判決でいきますと、例えば5倍とか、そういう程度では投票価値の格差は違憲状態ではないというのが従来の立場だったんです。それが6倍ぐらいになりまして違憲状態になると、違憲状態であってさらにそれを是正する合理的期間が経過していれば、これは憲法の認める状態でなくなって、全体としての公〔職〕選〔挙〕法の選挙区規定が違憲であるということになるという法律判断も出ました。
ただ、そのときは6倍とかそういうような大きな投票価値の格差のときであります。従いまして、この5倍ぐらいが目安かなということで、いろいろ各党間の議論もあって、今回、投票価値をそういう意味で是正をしていく、そういう公職選挙法の改正もなされたわけですよね。ところがそうした中で最高裁〔判所〕の方で投票価値の平等という観点から、新たな制度設計を求める、そういう判決が出たわけでありまして、これは一種の判例変更があると思います。ただ、現実論として考えれば、都道府県は、私はそのデモクラシーの重要な単位であろうかと思います。日本人の意識として古くは幕藩体制まで遡るだろうと思いますが、結局1つのエリアがありますね、そこに意思決定の単位がある。それで、それがそれぞれの地域発展の単位になって、それが集合したかたちで日本という国家が古くからこう成立をしてきているわけです。その藩という、藩の区域というものはある程度区域にしながら、都道府県が再設定をされて府県制が施行されると、明治維新の体制が出来上がったわけであります。それで、そこに府県会が、県会、府会が置かれまして、市町村や郡と合わせた地方制度ができるわけであります。戦後になりましても、この大きな枠組みは変わらないわけですね。それで、私たちの普通の意識でも、県には県議会があって、もう地域のことはこの県議会とあるいはその執行機関が協議をしながら民主的にデモクラシーの仕組みとして運営をしていくと。これも県というのが1つのデモクラシーの参加の単位であり、決定の単位であるわけです。それで、これが国会の意思決定とある程度こうリンクをさせていく。それで、この都道府県単位での意思決定や住民の意思、有権者の意思というものが包摂をされてまとめられて、国の意思決定である国会の議決に結びつくように国会議員を選ぶ、これは極めて合理的な制度だと思うんですね。
だから、都道府県単位のそうした住民代表を選ぶ仕組みをはなからこう否定していいものかどうかというのは、やはりこれは慎重な議論が必要なんだろうというふうに思います。単なる数合わせ的にいくつかのちっちゃな県をまとめてしまえばそれでいいというものではないんですね。小さくともそれは意思決定の単位として機能している現状があるわけですから、その現実の政治的秩序、これを考えれば、都道府県単位というものをどういうふうに基礎としながら、参議院の選挙制度を組んでいくかという観点での議論があってもいいんではないかなというふうに思います。
ただ、これ現実には、現在の有権解釈の最高府である最高裁判所の判断もこれありでございますから、それを完全に無視さることもできないんでありましょう。従いまして、今から各党間でどういう脇座長の案が示されるのかまだ分かりませんけれども、これから慎重に、これは議論していただきたいというふうに思います。およそあってはならないのは、単なる切り捨て論、とりあえず違憲判断を免れたいがために、一部の地域の政治システム、民主的な参加のシステムを壊してまでやることはいかがかなというふうに思いますので、非常に慎重で精細な議論が必要ではないかなと思っております。
○読売新聞 加藤あかね 記者
その場合は、鳥取だけではなくて、島根も今そういった、まだもちろん正式に発表されたわけでもありませんけれども、他県との連携であったり、今日も国をも行かれますけれども、国に対してのアクション何か起こされるというお考えもあるんでしょうか。
●知事
これは1つのそれぞれの節度として、国の問題は国の問題でありますし、特に政治が絡む問題でありますから、これはやっぱり国政の場で議論されるべきなのだと思います。ただ、私どもその鳥取県民のそうした事情を酌むむことなく、一方的な議論がなされることについては警戒せざるを得ないと思います。ただ我々としてこれについて決定権に預かる立場でもありませんので、我々の方の県民の意思を酌んだ国会議員の皆さまのそういう議論っていうものが、正式なチャネル〔経路〕になるんではないかというふうに思います。
19 お泊まりデイサービスに関するガイドライン策定と課題等
○日本海新聞 井上昌之 記者
よろしいでしょうか。今日お泊まりデイサービスのお話がありましたけども、以前報道もあったところなんですが、例えば、多くの利用者のかたを雑魚寝をさせてちょっとプライバシーの配慮に足らないような運営をされておられるような施設があったりですとか、全国的にそういう問題も指摘されているようなんですが、今日知事がおっしゃったガイドラインの設定を独自でやろうということなんですけども、これいつまでに作られるのかっていうようなスケジュールと、あとその県内でそういった実際に問題のある施設が出てきているような実態を把握しておられるかどうか、その最終的な今とりまとめをしておられるというお話でしたけども、その点を聞かせてください。
●知事
後者の方から申しますと、現在まだとりまとめ中でありまして、また取りまとまり次第ですね、公表を申し上げるということになろうかと思います。ただ、これはアンケート調査でありまして、どれほど要は、何人お泊めしたことがあるという事実をそのまま報告してもらっておりまして、世上報道されているのが、いわゆる雑魚寝とか、そういう言葉を付して報道されていますが、果たしてそういう劣悪な状況であったかどうかというのは、またそれとは別のことになります。ですから、今後、立入調査等も含めて、今回の結果に基づく追調査をしていく必要がありまして、そういう中で、状況を把握してまいりたいと思います。それで、ガイドラインにつきましては、さはさりながらも現実として、デイサービスに泊めている実態が県内にもあることは確認されましたので、適切な処遇がなされるように関心を持つ必要があります。できるだけ早く鳥取県なりのやり方を考えてみたいと思いますが、もともと議会で提起された課題でもありましたので、6月県議会で何らか我々の方からスケジュールなり、案を示させていただきまして、それで議論をさせていただき、早ければ夏とか秋とか、そうしたところから、県独自のガイドラインを選考して進めるということにさせていただきたいかなと思います。
ただ、これはそのあくまでもガイドラインになってしまうんですね。本来介護保険法であるとか、そうした法律の中で規定してあるべき話なんだろうと思うんですが、そういう法的な根拠がない以上は、我々も指導という範囲内に止まってしまわざるを得ないものでありまして、強制力のあるところまでは、今現状ではやり得ないところです。ですから、これは政府の方で法的対処も含めて考えていただく必要があるんじゃないかなと問題提起をしたいと思っております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
分かりました。今何人をお泊めしたかとかそういった聞き取りのとりまとめ中ということですが、それを終えた後に立入調査をして、その上でガイドラインを作るという流れになりそうですか。
●知事
ええ。そこは同時並行で進めてまいりたいと思います。実は立入調査につきましては、報道があった後、指示をしまして現実に中に入って、我々も状況を見させていただいております。そこは劣悪とか、そういうような状況とかなかなか判断が分かれるところだと思いますが、いずれにせよ、その命やあるいは生活の質、クオリティ・オブ・ライフに関わるところでございますので、何らかのやっぱりスタンダート、基準作りも必要ではないかなと、今のところ受け止めております。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません、関連で。そもそも知事、議会でもありましたけれども、お泊まりデイ自体に対して、県内でもそういったお泊まりをされている事業者があるということですが、そのお泊まりデイ自体のあり方、もしくはそういった法の隙間みたいなところがあると思うんですけれども、そういった実態が県内でもあること自体に対してのお考えを伺わせてもらえますか。
●知事
これはやはり介護保険制度全体の1つの盲点だったんではないかなと思います。本来、ショートステイサービス、あるいは特別養護老人ホーム等、宿泊と言いますか、滞在する制度があり、デイサービスという日中の預かりがある。ただ、そのデイサービスをやりながら例えば旅館業法に基づいて旅館として泊めるということがあったとしても、法的には問題がないということになってしまうわけですね。現に県内での事業者さんも旅館業法の届出を出してやっておられるところもございます。だから、そういう意味で法律制度の隙間があったんだと思うんですね。それで、それの背景には、おそらく厚生労働省の方で、ショートステイだとか、あるいはデイサービスになりますと報酬単価が異なりますし、当然ながら施設基準の問題が出てきて、施設基準によってはそのサービス事業者と政府の方も、厚生労働省も話し合いしないと制度が変えられないとか、いろいろあるんだと思います。
ただ、そういう硬直的な中に現実問題として、本来はショートステイとか、あるいは収容施設である特別養護老人ホームのような、そういう施設を作るべきなのかもしれませんけども、予算がないとかそういう理由で国全体が絞っているわけですね、片方で。そこに、狭間に、どうしようもないので、もう。お年寄りの気持ちからしたら、確かに特養に入るほど重くはないかもしれないけど、泊まって翌日もデイサービスを受けた方が楽でいいという人たちもいるわけでありまして、そこのところの制度的狭間が起きることを防ぎきれなかったということがあろうかと思います。だから、法的な規制のアプローチと、それから国として責任を持って実態に応じた予算枠の確保等のそういう対策と両方が求められるのではないかなと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
それはもう、ガイドラインを作られるということは、簡単に言えば好ましくない、良くないという認識があるからガイドラインを作ろうという発想なのか、どうなんでしょうか。
●知事
ですから、ガイドラインというふうに申し上げているんですが、法律上規制し得ないところがあります。ただ、そのまま放置をしておいて、もし報道されているような劣悪と称されるようなものになるのであれば、それは看過できないだろうと。ですから、指導として、こういうような基準設定の下にやるときはやってくださいねというのがガイドラインです。やるかやらないかという意味でのガイドラインというのは、ちょっと法的には作り得ないところでありまして、やるというのであれば、まず行政側に認知をしてもらいなさいと、届出をしなさい。それから、その際には職員をこうした基準で配置をすべきです、そういうものを設定するのがガイドラインでございまして、良いか悪いか、悪いので止めなさいという意味でのガイドラインというのも作れない。ですから、それが悪いというのであれば、やっぱり厚生労働省の方で責任持って、法律をもって禁じてもらう必要があると思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
ただ、そうすると、ある意味、良い悪いではないにしても、存在自体を県として認めるということは是認することにもなると思うんですけども、そのこと自体についてはどうでしょうか。
●知事
それがその一定の必要性の基に発生をして、そしたらそれが適正化されるべきものであるというのであれば適正化していくということだと思うんですね。その意味で県としての指導としてガイドラインを設けるというのが現在のぎりぎりの我々ができるところかなと。本来であれば国として、良い悪いを決着させるならさせてもらって、それで良いであればそれだけの予算を確保してちゃんとその設備ができるような支援措置も国で組んだり、あるいはショートステイや特養とそうした方で収容するのが本来だということであればそちらの方を措置して、こっちのお泊りデイを禁止するということをやるのが本当だと思います。ただ、そういう意味でまず国としてもはっきりした方針を示して作業にかかってもらう必要があるんではないかなと思います。それで、我々は現場ですので、ただ現場で処遇されているお年寄りにとって、好ましくない状況が発生するのを指くわえて見てるっていうのもいかがかなと思いますので、現場でできる指導を、体制を整えていくということです。
○読売新聞 加藤あかね 記者
それじゃあ、今日も国要望されるということですけれども、国要望の結果によってはそのガイドラインの内容も変えるという認識の前提の基だということでよろしいんでしょうか。
●知事
国は何か考えなきゃいけないと思うんですけどね。それで、我々はその国の方が、態度がはっきりしないもんですから、言わばちょっと業を煮やしてということかもしれませんが、先行してまずやれることを先行して始めようということです。もちろん今後事態がどういうふうに発展するかっていうのは分かりませんで、事態の推移によっては、鳥取県として独自の法的措置等を講ずる可能性もないわけではないですけども、ただまずはこれ全国問題ですので、やはり厚生労働省が第1番目の手を打つべき存在だと思います。
○NHK 植田治男 記者
すみません、子育て同盟についてなんですけれども、今月でちょうど2年目を迎えた。それでこの1年間でのサミットとか、国への提言などをやってこられたと思うんですけれども、この1年の活動を通して知事が感じられた同盟の課題というのと、この2年目は具体的にどのような活動を展望されているのか、そのあたりをちょっとお伺いしたいんですけど。
●知事
今まで子育て同盟で先進的にイニシアチブ〔首唱〕政策をやろうと、それぞれ情報交換をしまして現実にも例えばうちの県で言えば、高知県のやっている施策で保育の現場に親御さんが入ってもらって体験してもらうことで子育てを学んだり、そういうスキルを上げてもらうというような事業があるんですけど、これを本県でも導入をしたりですね、それから婚活事業をお互いに学びあってレベルを高めていったり、いろいろと現場レベルで政策改善につながっていることは出てきたと思っております。また、今日〔17日〕の大臣の方の問題関心はそこにあると思うんですが、新しい交付金制度を作られたんですね。それで、この交付金制度を作られたこと自体は子育て同盟の、昨年大臣や総理のところに要望に行ったことともつながっていまして、そういう意味で政策上の果実も生まれてきていると思います。これから、ただもう次の1年ということを考えますとこれから消費税の引き上げがどうなるか、これまず、秋以降の課題になります。それと併せて子ども子育て施策がどうなるか、その財源がどうなるか言わば正念場にこの夏、秋とかかってくるわけですね。
ですからこの時期にやっぱり我々としても、きちんとした国のそういう財政フレーム〔制度〕を変えさせる、子育てやそうした男女共同参画だとかそうした社会システムの変革をもたらすような国のその財政フレームっていうものを新たに引き出すことが必要だと思います。ですから、この1年は我々にとりましても正念場的な時期になるんではないかなと思います。ただ、我々は任意の子育て同盟という知事の連合体でありますから、全国知事会ともタイアップしていかなきゃいけません。全国知事会というツール、パイプを通じて、国に働きかけるっていうこともぜひともやっていきたいと思いますので、夏に全国知事会が開催をされるときに、子育て同盟からも、そうした提言アピールを行ってまいりたいと思いますし、私たち自身も今日〔17日〕もそうでありますが、今後に向けたアピール活動を強めてまいりたいと思います。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
すいません、関連で1つお願いします。最近国の方で配偶者控除の廃止が俎上に上っています。これに関して子育て同盟の所属の知事であり、子育て大国の知事としてどう評価されるかっていうのをお聞かせください。
●知事
これは非常にデリケートな問題だろうと思います。理論的には、今言われていますような壁があって、パートで止まってしまうとかですね、年末になりますと自分で雇われることを忌避してしまうとか。そういうような弊害があるということも言われますけども、片方で税制上配偶者控除がなんで存在するかと言えば、その収入を上げている人だけで税額を決められるかどうかってことがあるわけですね。家族を養っている状態をどういうふうに評価し得るんだろうかと、例えば子どもの扶養控除もありますし、配偶者の控除もある、老親の控除もある。その辺はそうした実は税制の体系の中にあるわけですよね。ただ、その税制の体系の中にあってやはりその配偶者について、何らその評価をしないでいいのか。全く切り離した格好にして税額を決めていいのかというと、私は必ずしもそうじゃないだろうと思います。ですから、いずれ何て言いますか、程度問題で配偶者控除をどういう制度設計にするのがいいのかなということでないかなと思うんですね。
例えば従来、以前で言えば配偶者特別控除っていうのもありましたけども、これも制度改正がなされてこう段階的に階段状の仕組みに変わったりしておりますが、単に、オールオアナッシング〔あるかなしか〕で配偶者控除をする、しないということで税制上が正しいかどうかと言うと、それは本当はデリケートな課題が眠っているんではないかなと思っております。また、片方で大切なのは、税の方で対策を打つのとそれからそれ以外の歳出を含めた政策、規制も含めて、こちらで対策を打つのとその組合せだと思うんですね、だからそこは税の控除だけで全てが解決するっていうのは、これも幻想だと思うんですね。ですからやはりトータルで子育てのあり方、女性の社会参画というのを論じていかないと正しい方向に向かわないんではないかなと思います。ただ、今日本もM字カーブを解消しなければならないという大きな問題意識で議論が動きだしたことは、私は長いその議論の上では評価すべきタイミングではあろうかと思うんですね。この際、よく国民的議論をしていただいて、これ控除のあり方も俎上に上げていただいて結論を出していただければいいんではないかなと思っております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
ふるさと納税の関係ですけども、本年度3億3,600万円ということで全国1位になったわけなんですけども、本年度からやり方を変えてちょっと節度ある方法に改めるということなんですが、確かに今、全国的にお礼の品が過熱していまして、米俵をあげたりとか、何か牛だったか豚だったか1頭あげたりとか、そういう報道もあるところなんですけども、何か県の方にちょっとやりすぎだというような声が届いていたんでしょうか、そういうことを受けてということじゃないんでしょうか。
●知事
いや、これは自主的に、直接のその県民の声とかこういうことよりは、報道でのいろんな議論があったりそれから政府の方からも節度ある取組みをという通知がありました。私どもは、もともとちょっと例えば牛1頭あげるとか、ああいういろんな団体がありますけども、そういうところは違いまして、寄附額の範囲内、しかもだいたい3割とかそういうようなところを目安にしながら2割・3割ぐらい切っていましたんで、ですからもともとは節度ある取組みをしている団体だったと思うんですが、実態を見てみますと、ただこう段階を少し大きめになりすぎたかなというのはあるんですね。例えば、1万円から何万円までこういう品を用意しますよというと、納税者の方の心理からして全部1万円できてしまうと。それで、我々普通はレインジの中間位を念頭に置いて制度設計をするんですけども、現実はその下目にくるもんですから、そうすると少し出の方が想定より大きくなっている面がありまして、そういう意味で階段を7段階に細かくして、それで記念品を再セットするということにいたしたりしております。ですから、従来の節度を持ってという方針は変えてないんですけども、きめ細かく、そういう方向性が実現できるように、アジャスト、調整させていただいたということです。
23 県選出参議院議員がいなくなる場合の影響や懸念
○NHK 林久美子 記者
1票の格差の関係で教えていただきたいんですけれども、その参議院の選挙制度の改革が、このまま合区案でということになって、都道府県、鳥取県選出の参議院議員がいなくなってしまった場合というのは、公共工事とか、経済対策とか国と連動した県の施策も多いと思うんですけれども、具体的な影響として懸念されることというのはどのようなことが。
●知事
範囲が広がって、それで直ちに我々が有権者でなくなるということでもありませんから、だから、それでもう鳥取県が存亡をかけてしまうぐらいの甚大な影響ということではないかもしれません。ただ、問題はですね、現実の政治過程を言いますと、県議会というものがあり、私自身も県単位で選出されるものでありますが、ここで話し合いながら、それを選出される住民の有権者の皆さまと議論をする。こうして意思決定ができるわけですね。例えばこういう政策が必要ですよと。政策の中には、全国を通じた介護保険のような問題もあるでしょうけれども、例えば高速道路を整備する必要があるとか、鳥取県の場合ですね、こうした特殊事情があると、例えば電機産業が急速に厳しくなっている中で、この辺の対策を求められるとか、そうした県独自のやっぱり課題というのは、どうしてもあるわけですね。それを自分たちで問題意識を持ったときに、それが国に伝わり易いかどうかということになりますと、伝わりにくくなるだろうと思います。だから、従来はこの単位、政治的意思決定、デモクラシーの単位と選挙区とを一致させていたわけですね。そうすれば、そこの中で代表者、国民代表である参議院議員と鳥取県との、県民との距離はある程度近く持ちながら、政治参加ができたわけであります。
しかし、ここが切れてしまいますと、それは現実の政治過程としては難しくなりえると。特に今、和歌山県とか先鋭に反応している向きがありますけども、人口規模が違って、それを合区をしたような場合に、そのときには、自分のところでどうせ出ないということになりますと、だんだんとここの国政の政治決定から遠ざけられてしまうというような危険性を感じる、そういう地域も少なからずあるだろうと思います。鳥取県もやはり仮に島根県と合区をすれば、そこでは意思決定のチャンスというのが、意思決定を反映されるチャンスは狭まってしまうだろうと。だから、やはり一気通貫で、1つの柱のように選挙区とそれから政治的民主主議の単位と、これを一致させておくというのは、制度合理性は非常に高くあるだろうと思います。こうしたことを念頭に置きながら、終戦直後、参議院議員選挙の制度を作るときに、やはり都道府県単位の選挙制度をこしらえておこうと、それで、参議院の選挙制度ができました。衆議院の選挙区も県という単位を跨いで、選挙区を設定することを認めていません。これもやはりそうしたデモクラシーの単位ということを考えてのことであります。そういうふうに、我が国の選挙制度自体はそうなっていますし、また他国においても、そうした重要な単位を、選挙区の単位と違えるということは、あんまりある話ではありません。
従いまして、単に最高裁の判決が出て大変だということで、とりあえず数合わせで、ここをつなげてしまえば、次の選挙が終わった後も意見判決が出なくて安心だなというのも、ちょっと短絡的な議論ではないかなと思います。いろいろと難しい要素がありますので、十分議論してもらうことが必要だと思いますが、そういう選挙制度の基本をわきまえて議論をしていただければと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
すいません、13日に鳥取市長選で、深澤新市長が選ばれましたが、知事は当選後、深澤市長にあわれたんでしょうか。
●知事
深澤〔義彦〕市長は、登庁後初めて、初登庁された後ですね、3時ごろですか、こちらをわざわざ訪ねてくださいました。そのときに深澤新市長と親しくお話をさせていただきました。私の方から申し上げたのは、新市長は十分市役所の中のこと、あるいは議会のこともみな含めてやっておられますし、また現場を見て選挙運動もされたわけでありますから、ぜひ改めるべきことは改めて、そういう市政をされたらどうでしょうかというお話をさせていただきました。新市長もいろいろと感じるところがあったみたいで、従来どおりの市政というものではないような、そういうニュアンスを滲ませておられました。それで、私の方からも申し上げましたし、新市長も賛成をされていましたけれども、県都でありますし、これから大切な時期に入ってきますから課題を共有して、それで共に解決をしていくような、そういう県市の幹部会議を早々にやってはどうだろうかということを話し合いまして、いずれそうなると思います。ちょっとまだ向こうがアイデアを持ちかえられた後ですから、これから議論があろうかと思います。
考えてみますと、深澤市政が今から走り始めて、この4年間の間に、鳥取西道路が開通をします、1つの例で言えば。それで、それは鳥取市を素通りさせていいということでは多分ないです。特に鳥取県全体でとっても鳥取砂丘にお客さんが来てここで留まってもらうのでなければ、鳥取県が空洞化してしまう可能性があるわけですよね。ですから、戦略的にそういう観光だとか、仕掛けを作っていかなければなりません。そういう意味で深澤市長おっしゃっていましたが、高速道路も温泉を思わせるような、そういう観光地を思わせるような、そういうインターチェンジ名だとか、共に働きかけたいというお話をおっしゃっていまして、私もそのとおりだというふうに申し上げました。また、深澤新市長は、中山間地対策、鳥取市も広うございますので、そういう新市街地と言われるような、そういう地域を広く抱えておられます。そうしたところの対策を重点的にやられるというお気持ちなんだと思いますが、そういう中山間地対策は、ノウハウはむしろ県の方に、今現状あるのは実情でありますので、県ともよく話し合いをさせてもらって、中山間地対策も実は上げたいと、こんなようなお話もおっしゃっていました。いろいろと県都であります鳥取市についての課題、市や県に跨るものもありますので、十分意思疎通を図って課題解決に協力をしてまいりたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
前市長のときには、例えば保育料であるとか、学校の土曜日授業の問題であるとか、県と鳥取市、意見が合わないことも比較的多かったと思うんですけれども、改めるべきことというのは、具体的にどういった部分というふうにお考えなのでしょうか。
●知事
それは抽象論で申し上げました。一般論として、私自身もそうでありますけども、深澤さんも話してみて、タイプが似ているかなと思いました。あんまり政治家然としているよりは、実務家タイプでございまして、むしろその熟知をしているが故に、もう市政のいろんな課題の中で、これは方向転換すべきだというのも実は見えていると思います。私も就任した当初、やっぱり産業政策が決定的に鳥取県政欠けると当時思いまして、そこは180度転換をしていきましたし、それから当時、実は決まりかけていた、前の知事の際には、そういう方向性でありましたけれども、医療費の関係で、特別医療費の制度の見直しというのがありまして、県は撤退するというような感じのことですね、福祉とかから、それでそういうものは見直しをして、弊害が出ないように即時に改めるというようなことにしたり、子育てのこともそうなんですけども、当時は子育て応援パスポートというのはやらないと当時議会で繰り返し答弁もなされ、方針も出ていたようでありますが、私はマニフェストに書いて、即座それを10月から実行して島根県と相乗りもしたりしました。事程左様でありまして、やはり市民が求めているものがなんなのか、それをやはり冷静に見て、選挙は選挙として、就任してしまった以上は責任ある立場でありますから、全市的立場で改革すべきは改革してもらう必要があるだろうということであります。
○毎日新聞 高嶋将之 記者
他に質問はございますでしょうか。では、以上で終わりにさせていただきたいと思います。
●知事
どうもありがとうございました。