○山陰中央新報 桝井映志 記者
それでは知事、お願いします。
●知事
皆さん、おはようございます。5月も後半に入りまして、すっかり初夏の兆しになってまいりました。こうなりますと、気候も変動をしてくるわけであります。本日、熱中症についての対策の協議会を開催をしまして、これからの暑いシーズンに備えることになろうかと思います。今年は、今日[21日]から9月いっぱいまで熱中症の対策の強化の月間としてさまざまな情報提供だとか、対策を打っていこうと考えております。具体的には、従来35℃以上で警報を出すという取組みだったんですけども、実態に応じまして30℃を超えてくると警報を出して35℃以上は特別警報のようなかたちで注意喚起のレベルをアップしたり、特には砂丘で結構観光客のかたが吊り上げられて救助をされるというのが少なからずあります。従いまして、その注意喚起のための啓発対策、そうしたことも駐車場でのチラシ配布等やっていくことになろうかなと思います。今日は関係機関と話し合いをしまして、早速に取り掛かっていこうということにいたしたいと思います。
また、雨が心配な季節にも入ってくるわけでございます。そういう意味で今週末、水防訓練を日曜日に実施をすることにいたしておりまして、関係機関と共同して県民の皆さまの安全安心を確保してまいりたいと思います。
●知事
国会等でもいろいろと動きが出てまいりました。難病対策について法律が今回、今日[21日]、恐らく成立をするという運びとなりました。今までの負担の体系が変わるわけでありますが、大切なのは対象疾患の幅が非常に広がることでございます。そういう300疾患とか、そういう広がりが出ることで、今まで救済されなかった難病患者が救済されることを願っているところでございます。今日[21日]成立するかどうかというのは、それは国会を開いてみなければということだろうと思いますが、仮に成立をすることになれば今後、厚生労働省の方で対象疾患を特定をしていく、そういう新しい検討組織を立ち上げて、具体的な疾患を決めていくということになります。
本県ではポルフィリン症につきまして難病対策、指定してもらいたいとこれまで取組んできたところでございます。また、西部の患者さんを中心とした署名活動も実施をされて、鳥取県もこのポルフィリン症の難病疾患指定の1つの核として今まで動いてきたわけであります。もう一息のところまで来るわけでございまして、この法律が仮に成立をすれば、難病疾患の指定に向けて最終ステージの運動をやっていきたい、国への働きかけをしてまいりたいと考えているところでございます。
●知事
また、TPP[環太平洋経済連携協定]につきましても、今、風雲急を告げると言いますか、事態が変わりつつあります。昨日[20日]までシンガポールの方で甘利[明 経済財政政策担当]大臣が出られまして、各国とバイ、二国間協議を行ったり、関係国の間での意見調整が行われたようでございます。甘利大臣からは、今までとは違って霧が晴れてきた、そういう表現がございました。7月の主席交渉官による会議に向けて、今度はアメリカの方で担当者レベルの協議を行うとか、具体的な日程に入ってくるわけであります。大臣の方は霧が晴れるわけかもしれませんが、情報が別に開示されているわけでもございませんし、現場を抱えている我々としては、むしろ視界が悪くなってくるわけでございまして、いろいろと私共も注意深く見守る必要もありますし、対策の方も急ぐ必要があるかなと考えているところであります。
今、私もこれから作業の中に加わっていくことになりますが、6月議会に向けて補正予算を検討していくことになります。畜産関係はTPP交渉の1つの焦点になろうかと思います。これから十分、関係部局と詰めてまいりたいと思いますが、例えば安くなるお肉ですね、牛肉が安くなる。その安くなると懸念をされる牛肉につきまして、これ、和牛ならまだ競争力があるのではないか。従いまして、受精卵を乳牛に与えて、それを産子として子どもを産ませると。そうなりますと、乳も取れるし和牛もできるということになるわけであります。これは、言うは易しで結構技術力だとか難しさもあるんですが、これまでも研究開発と言いますか、実用的な運用を続けてまいりまして、こういうことを拡充をするのも1つの方策かもしれません。まだ国の方がこれからどう動いてくるか注目をしているわけでありますが、鳥取県としても6月補正予算の段階以降、こうしたTPPの動きを睨んだ施策を強化をしていく必要があろうかなと考えております。
●知事
そういうことなど6月補正の中で予算組みをこれから検討することになろうかと思います。公共投資関係でだいたい60億[円]は下らないかなと、そういう補正規模が見込まれるわけでございます。これ、背景は昨日[20日]、国土交通省と折衝をさせていただきましたが、今年度の公共事業の国の積極的な動きが引き出せたことによるものでございます。昨日[20日]の協議の中で国土交通省といくつか方向性について一致点があったかなと思います。1つは山陰近畿自動車道について接続をする、山陰道とそれから鳥取道、この3線接続に向けてぜひ前向きに進めてもらいたいと。我々の方からは計画段階評価に入る調査をお願いしたいということを申し上げたんですが、向こうとしてもいろいろと難しい事情もある。特に市街地に絡んでくるわけでございまして、地元調整が欠かせないということになります。
ですから、そうした意味で、我々としても地元も協議機関を作って、国と県と市の協議機関でこうした推進方策を今後、話し合ったり、調整をしていきましょうというようなことをご提案申し上げましたところ、先方も応じてきたということになります。来週の月曜日に初めて新しい深澤[義彦]鳥取市長と我々、県市の幹部、そうしたところで話し合いが持たれるスケジュールとなりました。その中でも市側にもご提案申し上げて、こうした方向性を1つのテコに、今後の推進につなげてまいりたいと思います。
また、港については境港の竹内岸壁の整備、シンポジウム等のそうした意識醸成を進める必要があると。国側はまだ慎重なところがございまして、今後、需要が確保されるかどうかが焦点ですと、昨日[20日]もはっきりとおっしゃっていまして、そうしたことは当然我々の方でもやっていきますが、概算要求以降の重要なステージにこの竹内の岸壁が入ってこられるかどうかの1つの正念場に今シーズン入ってくると思いますので、ぜひ盛り上げをやっていきたいと思います。国[土]交[通]省側も協力するということで、昨日[20日]お話がありましたので、そうした地元での声を上げていく、そうした取組みを進めてまいりたいと考えております。
その他にも山陰道の鳥取西道路一括供用に向けて努力してほしいということを前向きに捉えていただきましたし、今後の道筋が出来てきているかなというふうに思います。こういうようなことで、6月補正にも影響が出てくるだろうということです。
●知事
その他にも昨日[20日]、経済雇用対策、雇用1万人の会議を開催をしまして、企業さんやあるいは学校関係者等々と意見交換をさせていただきました。その結果を受けて、設備投資、これ昨日[20日]も金融機関のかたが赤字企業の割合が減ってきて設備投資意欲が出てきているというお話がございました。私共も消費税の前後で景気が冷え込むことにならないように、またアベノミクスの3本の矢が十分届いていないというお話もありますので、設備投資を積極的に応援する事業を今年度始めたところでありますが、これが、枠が足らないほどに今、人気が出てきている。
さらには、食品加工業の監視体制の強化でありますとか、それから商圏拡大の取組みでありますとか、こうした新年度の新規性のある施策を今、進め始めているところでありますが、これらを5億円ほど枠増をしていくということを1つは考える必要があるかなと思っております。その他にも、先般、明治大学の学長にもお会いをいたしましたし、鳥取大学でも松原[雄平教授]先生など関係の先生がたも前向きでいらっしゃいます。メタンハイドレート、先般、経済産業省資源エネルギー庁長官に京都府知事や新潟県知事と連れ立って要請活動に行ってまいりましたが、国の方にメタンハイドレートの日本海側での開発を働き掛ける一方で、地元でできることをどんどんやっていく、これでエネルギーの局面を変えていくことが大切だろうと思います。そんな意味で、私共の方でそうした取組みをやっていきたいと思っております。
数百万レベルかと思いますけれども、そういう体制整備を速やかに図れるように。特にこの秋以降、環境影響評価といった段階に研究も入ってくる見込みが出始めましたので、そうなりますと、地元も協力していく必要があるだろうということになろうかと思います。そんなようなことだとか、その他にも先程申しましたTPP、あるいは霜の害、この霜の害も所要額を6月[補正予算]計上していく必要があります。ただ、収穫時期が見えるのはこの秋になりますから、9月補正[予算]以降の追加対応の必要性も今後当然考えながら、急がれることをやっていくということかなと思います。今のところ、4億[円]を超える被害規模というように被害額が膨らんできておりますので、緊急性のあるものを先般の予備費に続いて6月[補正予算]でも計上していくということになろうかなと思います。
●知事
このようなことと併せて、今回の6月議会で、条例として青少年健全育成条例の改正案を上程をしたいと考えております。実は連休の時期、今月、県民の参画電子アンケートをさせていただきました。そうしますと、5割、6割という過半数の規模でこうした青少年健全育成条例の改正について肯定的ご意見をいただき、そういうことも考えてもいいという趣旨のものも含めると8割がた賛成の状況があるなと判断をいたしました。内容は、それはフィルタリングソフトで今までも対応してきておりましたけれども、ゲームだとか、それから、音楽プレーヤーだとか、それがインターネットとつながりまして、そうしたものについてペアレンタルコントロール[情報通信機器の利用を親が監視して制限する取組]、こうしたソフトを活用して、青少年が不健全な情報にアクセスできないように地域ぐるみで取り組んでいこうということであります。
我々の方でも関係者からもいろいろとご意見を聞いたりしてきておりますが、タブレット端末も、これも同様にそうした対象とすべきではないかというご意見もございまして、タブレット端末、それからゲーム機器、音楽プレーヤー、こうしたところを念頭にペアレンタルコントロール[情報通信機器の利用を親が監視して制限する取組]を実施していただくと、それは保護者のかたに呼びかける条例でありますが、併せて電器屋さんなどそうしたところでも、こうしたソフトについて説明義務を課すると、その説明義務を果たさないということになれば、最終的には県の方からの勧告も入れて、一定程度のその実効性を確保していくと、こういう条例で提案に向かってはどうかなと考えております。もちろんパブリックコメント、最終段階のものもやった上で、ということになろうかと思いますが、異論があまりないようであれば、こうした青少年健全育成条例の改正を行うことといたしたいと思います。
●知事
こういうような子育ての環境づくり、鳥取県は子育て王国として条例を作らせていただきました。その条例の中で子育て王国としての施策を年々再々バージョンアップしていくためにPDCAサイクルを回していく、当事者である子育て世代のかたも入っていただく会議を立ち上げてということになりました。この会議も早速に立ち上げることとなりました。ここで、国の方の子ども・子育て支援制度の新しいプログラムが始まることも視野に、いろんな提言活動を行っていただくことを期待したいと思います。
●知事
併せて国の方で昨日[20日]、衆議院の方での通過がございました教育委員会制度もターニングポイントを迎えることとなります。これに関連して、昨日は教育協働会議を鳥取県で開いたわけでございます。これは国の方のスキーム[枠組み]、新しいスキームを先取りしたかたちでございまして、こうしたかたちが国の方でも採用されて全国で実施をされるというのは我々としても心強いところでありまして、これからまた参議院の審議もございますが、歓迎をしたいというふうに思います。もちろん、これがベストかどうかというと、まだまだ改善点はあるかもしれませんが、我々もやってみて思います。従来よりは随分風通しがよくなった感じがいたします。
昨日[20日]も有識者委員のかたがおっしゃっておられましたが、自分らの教育現場に接する思いから、これ、PTAのかたとか学校でのボランティアだとか、そうした本当の意味のレイマン[専門知識のない人]が入っているわけでありますけれども、こういうかたがたからすると若干の疎外感があったんだと思います。昨日の会議の中でも自分らの保護者なり何なりの思いが速やかに土曜日授業などの予算措置につながって大変にうれしいと、そういうような手ごたえを昨日も語っておられました。今までにない教育改革が鳥取県から始まり、これが他地域へ今度は普及していくというのは、我々としても歓迎すべきことかなと思います。
昨日[20日]は教育委員会側と協議をその場でもさせていただき、土曜日授業等につきまして、今の10市町村では足りない、更に高校の方も、今、7校まで広がっておりますので、予算枠が足りなくなりましたので、これも6月補正の中で検討しようではないかと、こういうことになったところでございます。今後とも機動的に現場の声を教育行政に注入できるように、うちの教育委員会も協力的でありますので、こうした体制を推進をしていって全国のモデルを目指してまいりたいと考えております。
●知事
これは一種の分権の実を与えるための改革といってもいいと思いますが、長くそういう分権の一つの課題として言われておりましたのが、道路の国からの権限移譲ということでございました。
具体的な協議を国交省とさせていただいておりますが、この度1つ話がまとまることとなりました。それは先般、開通をしました駟馳山バイパスがございます。これと並行して走るのが国道9号でございます。この国道9号が7.8km平行区間がございますが、これを国から鳥取県の方に移譲を受けるということで合意する運びとなりました。焦点の財源のことがありましたけども、我々も弾いてみましたが、交付税の措置が今回これに伴って増える額を見込みますと、十分当方としてメリットがあると、そういう意味で我々も地方分権の実を果たしていく、その責任を、負担を担おうではないかと、こういうように考えたところであります。ただ1つ、我々も条件を出しまして、如来橋等々改修箇所がまだございます。それで、これらが決着をする28年度末での移譲ということで協定を結ばせていただくという方針でございまして、国土交通省側もこれを飲んでもらった格好になりました。そんなわけで、分権について1つ進めさせていただくということになったところであります。
●知事
昨日[20日]も産業雇用について話し合いをいたしたところでありますが、企業誘致の方も進みつつございまして、来週ですか、近々、パイオニア精工さん、これはこれからが期待される部品産業でございますけども、ライツアドバンステクノロジーの跡地に進出をされることでの調印式の運びが整いました。また、米子の方でミネラルウォーター工場の進出、これも決着をしまして、来週の月曜日にパイオニア精工の方の調印を、更に火曜日にそのミネラルウォーター関係、このように順次、今も展開が進みつつあるところでございます。
●知事
こういうようなことなどありますけども、片方で雇用の環境づくりをしていかなければならない。
そうした意味で、6月補正[予算]の中で女性が就業していくことを考えて支えていかなければならない。昨日[20日]も女性のそうした就業環境等々について新しい県全体での組織の関係機関等立ち上げていこうという方針が了承されましたが、そういうことと併せて、兼ねて言われていましたのは、県の方の職業訓練機関があります。その職業訓練機関の方に女性のかたが入られるということになりますと、お子さまを抱えておられると入所できない、事実上、もちろん保育所を探していけばいいんですが、なかなかそれが難しいという状況がございました。そこで、そういう託児について助成制度を鳥取県として創設をしてみようではないかと、こういうことでございます。これも6月補正[予算]の中で盛り込ませていただければというふうに考えているところでございます。
●知事
また昨日[20日]、障がい者の当事者団体とお話し合いをさせていただきました。いろいろ要望がございまして、すぐにでもかかれるものはどんどん進めてまいりたいと思います。そういう中で1つ切実だなと、昨日[20日]も、いつ災害が起こるか分からないからというようなお話もございましたが、そういう中で車いすのかたの仮設トイレ、これは避難所に設置をする、そういうことが当然想定されるわけでありますが、これが非常に数が足りない。昨日[20日]のお話では、先般車いすテニスを山陰で初めて米子でやったんですけども、中四国大会を、そのときにそういう問題が生じたというお話がございました。実は普段からこうした車いす用の仮設トイレが不足をしている状況がございまして、国全体での受給はタイトだということがございます。
そこで6月補正[予算]で、これも対応すべきかなと思います。我々もこれから[第14回全国]障がい者芸術・文化祭[とっとり大会]などがございますし、当然ながら障がい者のかたが出られるイベントというのはたくさんありますので、そういうイベントでの使用も平時はやっていくことを念頭に、障がい者用の仮設トイレについてリースを、リース業者に買ってもらうと、その購入の助成をしていくようなかたちで数を確保していくと、そういう事業を6月補正[予算]の中で早速検討してみたいというふうに考えているところでございます。こんなように障がい者のかたがたと共に生きていける地域づくりを今年大切な年となろうかと思いますので、我々としても積極的に展開をしてまいりたいと考えております。
●知事
これから私は関西広域連合と近畿知事会の方[開催地]に、深夜入りまして向こうで明日[22日]あるわけであります。こう広域的な枠組みを積極的にしていかなければなりませんが、関西広域連合のような仕組みが、今中国地方の中にはない。中国地方では知事会を来週、ブロック知事会を開くことにしておりまして、山口県の山口市湯田温泉で実施をすることになります。ここで5県が寄り合いまして、今後のこういう広域連携の方針などを話し合っていくスケジュールとなりました。具体的には広域連携していく分野というものを中国[地方]知事会として設定をして、担当の知事がいて、積極的に進めていくというようなかたちで広域連携を加速度的に前進させようということであります。
例えば産業だとか、観光だとか、防災だとか、それから医療、衛生、中山間地対策、さらには農業大学校のような機関の共同利用であるとか、さらには例のスギ花粉ですね、スギ花粉対策に広域で取組むであるとか、こうしたいろんなテーマを我々で話し合いまして見えてきました。協働組織の立上げを知事会の中の部門としてやっていく。こういう方式で進めることについて具体的に合意していきたい。それが来週の中国[地方]知事会ということになろうかと思います。全国的には、関西広域連合が広域連合というかたちでやっておられるわけでございますけども、私もその一員として入っているわけでありますが、中国地方としても、広域連合という[地方]自治法上の組織を直接作ることではないけれども、ほぼそれと同等の機能を実質的に果たしていけるように広域連携をして、県境があるがゆえに、例えば防災がレベルが確保されないとか、それから医療、これは例えばドクターヘリ、特にドクターヘリの負担問題がこれから出てくるわけですよね。そうしたことなど、こうした話し合いだとか、調整だとか、それから共同行動のシステムを具体的に作ろうということになります。
全国的にもたぶん関西に次ぐような取組みになってくるのではないかなと期待をいたしております。例えば、観光で言えば、ビジット・ジャパンキャンペーンを国全体でやり、2020年までには[訪日外国人観光客]2,000万人規模まで膨らまそうということにしています。しかし、中国地方は残念ながら全国的にも外国人の訪問が極めて少ないレベルでございます。それは地理的なもんだろうかと言うと、関西だとか九州はそこそこお客さんが来ているわけですね。残念ながら中国や四国地方はなぜかあまり来ていない。やっぱり共同でプロモーションしていかなきゃならないではないかなということです。今まで経済界等が中心となってそうしたプロモーションの汗を掻いてきていだきましたけれども、私たち[中国地方]知事会の方も積極的にこれにコミット[関与]していく、そういう時代ではないかなと思います。経済界と合同で観光キャンペーンに海外へ出かけて行く。こうしたことなども今後は展開できるようになるのではないか。この辺をまた来週、ぜひ話し合ってみたいと考えているところでございます。
●知事
障がい者のスポーツについては、聴覚[バレーボール]の方で大きな大会での優勝があったり、また[陸上競技の]強化選手に野田[昭和]選手が指定されるというような動きがございました。これからますますそうした活動も活発になるのではないかなと期待できますが、[第14回全国]芸術・文化祭[とっとり大会]の方もボランティアの数が400人まで増えてきました。目標500人においておりましたけども、それも今見え初めているというようなことでございまして、そうした兆しも出始めたかなと思います。これからいろいろと精力的に取組んでまいる1年といたしたいと思っております。
●知事
そういう中でなかなかままならないのが拉致問題でございました。これが来週、ストックホルムにおきまして日朝協議が行われる運びとなりました。国の方では、報道によりますと例えば再調査をしろというような具体的な要求をするのだと、これちょっと政府の方からは確たる話はこちらもらえていないので分かりませんが、そういう動きが、これからひょっとすると26、27、28ぐらいでの話し合いの中でなんらか出てくるのではないかと期待をいたしております。もし動きがあれば、我々も速やかに行動を起こしてまいりたいなと考えているところでございます。私の方からは以上です。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
それでは各社質問がありましたらどうぞ。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すみません。TPPの関係で最初触れられた畜産の関係の対策のことをもう少し伺ってもよろしいですか。
●知事
はい。これは先程も申しましたように、とりあえずシンガポールでの協議が終わって、これは各国のちょっとコメントを見ていてもかなりこう突っ込んだ話し合いがあったのかなというふうに思わせるものがあります。ですから我々としても今後の事態を想定をしながら、強い農業に向けて、国の政策を当然ながら求めていかなければいけませんし、これはやるからにはそういうもんとセットですよというふうに国に対して要求をしてきております。ですから、それはそれでやっていくわけでありますが、私共も特に懸念される分野について、やはり競争力を強化していく体制づくり、これ一朝一夕ではできないんですね。ですから、そういうことを進めていかなければいけないと思います。特に今TPP[環太平洋経済連携協定]関係で考えるべきは畜産関係なのかなと報道を見ていると思われるわけであります。
そこで、これはまだ十分に詰めていませんけども、先程も申しましたように、例えば、受精卵移植を乳牛に行うことを促進をする、それによって競争力がこれから低下してくるのではないかと懸念されている乳用牛の肉牛ですね、こういうことではなくてその和牛をもう少し生産を増やしていくようなかたちで酪農家の皆さんも所得の道が確保される、そういう方策を模索していくと言いますか、強化していく、そんなことも1つ視野に入れるのかなと思います。
恐らく抜本的対策は国が打つべきであります。例えば、豚なども、これ元々牛と違いましてクライテリア[判断基準]がアメリカと日本で結構衛生基準等が似ているわけですよね。ですから、関税いかんによってはどっとこう入ってくると。それで、それがどうなるか非常に心配なわけでありますが、当然ながら関税が、輸入量が増えれば関税が増えますからその分を当然ながらはき出してもらって畜産対策に充てることなど考えられるべきであります。こうした大がかりなことをやっぱり国が当然ながらやっていただかなければならない、これは強く今後求めていく局面が出てくると思います。ただ、我々の方でも現場サイドで、自分たちの足腰を強くしていく、そうした方策をこれからよく睨んでやっていかなければならないんではないかなというふうに考えているところでありまして、先程申しましたような施策を6月議会までに緊急に練り上げてまいりたいと思います。
17 中国地方知事会における広域連携の取組について
○日本経済新聞 舩越純一 記者
はい、すみません。中国5県の協働組織のお話で1つ訊かせてください。知事会の中の一組織として立ち上げるということですけども、最終的に目指されるものは関西広域連合のような自治法上の組織となるのかはこれから話し合う前に伺うのもなんですが、着地点というところはどこに設定するのかというのを訊きたいです。
●知事
これは、実は今までの議論の長い流れがあります。中国知事会では地方分権の姿をよくよく議論してきました。道州制についてのレポートをまとめたこともありますし、分権で推進していかなければならない方策をまとめたこともございますし、また、広域連携として取組んでいこうと話し合ってきた分野もございます。そういうときに民主党政権ができまして、地方分権の1つの帰結として、広域連合ができればその広域連合に分権の受け皿を考えますよと、こういう議論がなされた時期があったわけであります。そのときに我々としても広域連合の創設も視野に入れながら、まずは研究してみようと、それで、そうやって話し合いを始めたところ、広域連合というのはそもそもは例えば国の権限を受ける受け皿という意味ではないですね、これは県境を越えて共同で行政事務を執行する、そういう母体であります。ですから、当然ながらいろいろと話し合っていけば、確かに広域連合を作ることもできるような共同でやるべき仕事がありますねと、例えば観光だとか、医療だとか、防災だとか。
防災で言えば私どもは原発サイトが島根原発あるわけですね。それで、今、[茨城県]東海村が急遽問題になってきましたけども、東海村も巨大な人口を抱えていますが、私どもの島根サイトはそれに次ぐような人口規模のサイトなわけです。当然それを逃がすということになりますと島根県1県ではできない、鳥取県も逃げなきゃならない人が出る。それは広域対応をするしかないんですね。だから、私どもとしては広島、岡山、山口といった中国5県のレベルでこの問題を対処していかなきゃならない。こういうことをいろいろと議論していきますと、やっぱり県境をまたいで共同執行していかなきゃいけませんねというのが1つの結論になったんですね。漠然とした結論。それで、広域連合を作る玉があると。それで広域連合ができればその分権の受け皿の資格も出るというようなストーリーを描いていたんですが、その後政権が変わりまして、分権の受け皿としての特定広域連合という考え方を、今の自[民党]公[明党]政権は取らないんですね。
それがだんだんとはっきりしてきていたものですから、その分権の受け皿のために広域連合を作るというのはいかがなものかというご意見がこの5県の中で強くなりまして、広域連合の創設は見送ってもいいんではないかと、引き続き検討と言うんですけども、引き続き検討する課題として当面は先送りすると。ただ話し合ってきた中で、我々が見えてきた広域連携、関西広域連合がやっているような広域連携、これは我々としても取組むべきだと。これはそれぞれ5県が行政の執行責任者としての良心で考えればやはり協働組織的なものを作ったらいいんではないかと。そのときに知事さんの中にはできるだけ簡便にやって、要はお金をかけて屋上屋を重ねるというのはいかがというご意見でありまして、そういう意味で簡便な組織としては今ある中国知事会という組織がありますから、中国知事会の部門として、その傘下の部門としてそういう広域連合の、広域連合的な事務局を個別分野ごとに事実上作ってしまって、それぞれの担当県が責任者になって取組めばいいんではないかと。
こういう中国地方型の広域連携システムを作ろうということです。これは正直随分時間がかかりまして、今までどういう枠組みでやるだということを話し合ってきて、それを首長部レベルでも繰り返し、繰り返し何度となくやりましたし、それで、それをまた受けて事務局レベルでも調整をさせていただき、今その8部門考えるんですけども、その8部門の粗々の取組み方針というのがまとまってきました。ですから、これをこの山口の中国地方知事会で議題に上げて、そうした部門による広域連携をスタートさせようと、そういう合意を今回しようというふうに考えているわけです。もちろんこれは上げてみて、皆さんで議題に供して、また改めてのご議論があるかもしれませんが、今までそういう経緯でやってきておりますので、こうして1つの決着をみたということかなと思います。
ですから、今の段階が今までの長い道程の中の1つの帰結でありまして、ここから先については白紙というか、まずは広域連携の実をこれから上げていくという段階に入るかなと思います。もし将来ですね、法人格を持つ広域連合が議会のコントロールのもとに、つまり広域連合議会のコントロールのもとに必要だと、そういうことになればこの枠組みは広域連合にも移行し得る枠組みではありますが、そこの手前のところで広域事務をスタートさせようということです。
○中国新聞 川崎崇史 記者
すいません。関連してですが、これまでそういった議論を、これまでも知事会でお話をされて、8分野それぞれ分担の県を作った上で調査を進められたと思うんですが、具体的な来週の知事会を経て、果たしてどんなふうにいつ頃スタートするのかというお話になると思うんですけど、知事的には、知事とされては具体的にはその活動というのか、運用というのはいつ頃スタートできればいいのかと。
●知事
これはもう即刻スタートするんじゃないかと思いますけどね、ちょっと話し合ってみないと分かりませんが、異論がなければ、じゃ、こういうことで発足をさせましょうとするんじゃないでしょうか。例えば、観光キャンペーンであれば、海外へ出掛けていって経済団体と合同のキャンペーンを張るとか、そんなことは今年度も実施可能だと思いますし、また防災面で言えば共同訓練だとか、それから原子力安全対策での広域的な避難の枠組みづくり、こういうものも支障なくスタートできるんではないかなと思います。今まで我々5県で話し合ってきたことを実行していくわけでありますから、できるだけ速やかに実施をしていけばいいんではないかなと思います。
○中国新聞 川崎崇史 記者
予算的なものについては、各県、広域連合などに近い議会とかない場合は、各県の持寄りでということになっていくんでしょうかね。
●知事
これ、財源的にはこれ法人格がない組織でありますから、当然ながら各県がそれぞれの持寄りでやっていくということだと思います。ただ、事業によっては今後ある程度予算が必要な事業になれば、例えば、分担金方式で事業実施をしていくということはあるかもしれません。ただ、今年度はちょっとその仕組みはできないと思いますので、持寄り方式でやっていくということではないかなと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
関西広域と比べて議会のチェックという仕組みがないわけですけども、そこはその予算を持寄ったりする際に各県でそれぞれの議会で承認、議決を受けるというか、そういうお考え。
●知事
そうですね、そこが要は、痛し痒しのところでありまして、関西広域連合もそうでありますが、それぞれの親元があるわけですね、それで、もちろん議会で選出された広域連合議員もいるわけでありますけども、やっぱり親元もあると。それで、関西広域連合の場合、独立した法人格になっていますから、そこで決めてしまえば親元の自治体とは異なる行動を起こすことも理論的には可能なんですね。それはだから機動的で良いところもありますけども、逆に言えば、それぞれの地域のデモクラシーとの関係で整合性があるかなという議論は残るわけであります。ただ、今、関西広域連合で、そういう意味でコンセンサス[合意形成]方式というふうにしておりまして、これはこの仕事は参加しませんよと言えば、参加しない、各県が参加しないことができると、そこを留保しながらお付き合いをしているということなんですね。それで、私ども今、中国地方の方で作ろうとしているのは、むしろ、各県のコントロールが非常に効く仕組みだと思います。それで、わしはやらんでと言えば、それだけで入らんことが当然ながら法的にもできるわけでありまして、別にそんな申し合わせ、コンセンサスの申し合わせがなくてもできちゃうわけでありまして、それは各地域の個性を大事にする色彩は強まりますけども、逆に言えば、広域連携としては、パワーは関西広域連合よりは法的には劣ることになります。
ただ、取捨選択と言いますか、利害得失の中でいろいろみんなで判断をした結果として、そういう広域連合という自治体を作るのではなくて、今ある県を、5県をベースに持ち寄って協働で仕事をすると、そういう枠組みの方が各県の実態に合うんではないかと、そういうご意見が強かったものですから、こういう方式を選択をしたということです。
○NHK 林久美子 記者
すいません。その関連でなんですけれども、8分野とおっしゃった中で、その鳥取県が事務局をする可能性がある、もしくは知事の希望でどのような分野を鳥取県が担当したいのかというのがあればというのが1つと、あと、中国5県ということで広島、山陽都会があって、鳥取県どっちかと言うと地方になると思うんですけれども、その位置付けとして鳥取県のメリットというのが、一番どのような期待されるんですか。
●知事
鳥取県として、今担当を申し出ているのは防災部局、それから観光部局であります。これはまた5県で話し合って決めていくことになろうかなと思います。メリットとしては、先程の原子力安全対策で言えば、山陰だけでは始末がつかないものがありますので、山陽側と一体としたものを防災、私の方で担当しますけども、原子力防災も含めて実効性のある枠組みがこれでできるのではないかということになります。また、例えば産業振興ということであれば商談会的なことをやって、鳥取県よりも広島だとか、島根だとか先行して動いている航空産業なんかありますね。例えば航空産業の関連産業ですね、これをこうした中国地方で立地するために、我々で言えば、熱処理等の特殊技能を持った事業者があったりします。そうした技術や人材とですね、そういう国全体で今動いている航空産業の動きをマッチングをさせる、こんなような場を5県でセットをする。例えばそういうようなことが今後できるようになれば、今まで1県では魅力はなかった、アピール力がなかったことが、初めてこう聞いてもらえるようになると、世界を相手に聞いてもらえるようになるということがあるのではないのかなと思います。
また、観光ということで言えば、これは我々の方でも広域的に動かなければならないですね。特に海外からがそうであります。国内はあれでピンポイントで行って帰ってというのがありますけども、特に海外の場合は広域的に動きます。そのときになぜか中国地方に滞留しないということなんですね。例えば、今交渉中でだいたい方向性が見えてきたので、EGLツアーズの香港ツアーがございます。このEGLの香港からのツアーは、今、あちら袁[文英]社長と我々サイドと話し合いを重ねた結果、昨日[20日]までの段階でありますけども、7月12日~8月の中下旬ぐらいまでに来ると。だいたい2,700人レベルぐらいの規模で、155人乗りの飛行機が18往復ですかね、そういうことでやってくるということになってきまして、これ、ただ、そのEGLツアーズの方で非常に機材繰り、苦労されたんですね。それで、結局チャイナエアラインを使うということであります。
それで、今回のツアーは米子に入りまして、それで広島から出るという、そういうツアーで組むということになりました。ですから、中国地方を言わば巡りながら、これは香港なんですけど、台湾の飛行機会社を使ってダイレクトフライトで米子に入り、ダイレクトフライトで広島から香港へ行くと、帰ると、そういう流れを延々とこれ夏休み中やるということになりました。当然ながら、こちらに着かれて最初に[ゲゲゲの]鬼太郎の妖怪列車に乗っていただいたり、おもてなしをし、例えばアスパル[JA鳥取西部が運営する特産品の店]ですね、今、境港の商店街の中にもアスパルありますので、そうしたところで試食をしてもらって、お土産物、買う物を決めてもらって、それを広島経由で帰られますが鳥取の産品を持って帰ってもらうとかですね、こんなようなことになってこようかと思うんですね。
こういうような事程左様でありまして、例えば台湾で言えば、今、鳥取県に来ているお客さんはエバー航空で岡山に入っているお客さん、もちろん関[西]空[港]とかもありますけども、そういうお客さんが来たもんですから今急速に台湾のお客さんが増えている。それで鳥取県の米子鬼太郎空港に米子ソウル便が来ますし、あと、DBSクルーズ[フェリー]が境港に入る。ただ、そのお客さんたちは、正直に申し上げて島根と鳥取と半分半分ですよね、とっても1県だけという問題にはならない。これが旅の現実だと思います。そうした、そういうふうにしますと、もっとこのエリアで5県、この中国地方というエリアを外国にパッケージで売り込んでいくことで、初めてそれぞれの県に外国のお客さんがやってくることになろうかと思います。EGLツアーズのこともそうでありますが、そうしたことを我々としては今後プロモーションとしては増やしていく必要があるのかなと思っております。
18 学校給食用牛乳の供給に関する国要望結果について
○共同通信 江森林太郎 記者
すみません。共同通信の江森と言います。給食牛乳の関係なんですけれども、要望活動を先週になされて、それの所感と、あと今後の協議をなさるということなんですけれども、見通しについて教えてください。
●知事
はい。これは、まだ協議は始まったばかりでありまして、ちょっとどういうふうになるかっていうのは、まだ想像がつきませんが、先般小里[泰弘 農林水産大臣]政務官の方へ訪ねまして、農林水産省で話を聞いていただきました。当初ですね、話した感触を正直に申し上げれば、当初は我々が今まで聞いておったような事務局ベースのお話をおしゃっていましたけれども、そのあとじっくり話をするにつれて、鳥取県は特殊な事情があるということは政務官に伝わったと思います。そういう感触は持ちました。それで、結論としては、今日で全部決めるわけにならんでしょうから、ちょっと時間をかけて協議をさせてくださいということにして、それで小里政務官も了解をされて、真摯に話し合いましょうということになりました。実は今日[21日]もですけど、農林水産省に担当者を派遣をして話し合いをしているわけでございまして、事程左様にこれから幾度となく折衝していくことになろうかと思います。
話した感触からすれば、鳥取県はそういう特殊な事情があって、しかも小里政務官もそうですけども、畜産に理解がある関係者のかたがたからすれば、地元の牛乳を飲んで子どもたちを育てたいという、これ素朴な要求ですね、これは地産地消ということでもそうですし、それから地元の農家のやりがいということでもそうでありますし、それが、価格が何かつり上がるようなことになるかどうかというところ、これちゃんと抑制をして適正な価格で公明正大にやるというような仕組みさえあれば、それはうなずけないこともないかなという感じは持ちました。ただ、今の農林[水産]省の制度はそうなっていませんので、とにかく入札をしなきゃいけないということになっておりますから、それで鳥取県の場合は全国でここだけですが1社体制であると。だから、他県に呼びかけないと入札が成立しない。それで、今回のような事態になったというわけでありますが、これは農林省の今の制度ではそう設計されていますので、向こうの事務がたの反応がそうであり、当初の小里政務官の反応がそうであったように、これはもうやむを得ないと。
だから、パスチャライズ[低温殺菌]牛乳で随意契約やる現行の制度を便法的に使って何とか始末してくれと言いたげな感じだったわけです。ただ、そこは話し合いましょうということになりました。結論的には、鳥取県の考えているような方向性で最終的には対処できるんではないかなと期待をしております。それで、仮に農林省の方で制度的に鳥取県のやり方、鳥取県の実状に制度的には付き合えないというふうに最終的に判断をされたとしたら、鳥取県としては離脱をするということを視野に入れざるを得ない。この基本方針で今後も交渉をしてまいりたいと思います。
○朝日新聞 吉田海将 記者
すみません。牛乳の関連なんですけども、入札で今回明治が応札してきたということなんですが、鳥取県としてはその平成15年ぐらいから毎年呼びかけはしてきたと思うんですね、明治の方に。それで、今回初めて明治が入札してきた背景、意図だったり背景っていうところで何かあれば一言いただきたいんですけども。
●知事
そこはちょっと先方に聞いていただくしかない。
○朝日新聞 吉田海将 記者
はい。
●知事
私どもではちょっと分からないところですが、我々、小里政務官は、いや、そんなことは関係ないんだよと、この間も一生懸命強調されていましたんですけど、我々からすると今のTPP[環太平洋経済連携協定]だとかEPA[経済連携協定]、それと現場ではダブって見えるところもあるわけですよね。これから牛乳が戦国時代に入るかもしれないわけです。乳製品が大量に日本に入ってきて、生乳がだぶつき気味になると。そうなったときに価格競争で地域を越えて入ってくる。牛乳は、本来鮮度のものでありますから、地域性が強い産品ではあろうかと思うんですけども、今回はその県境を乗り越えて送り込んでいっても多少、だから、安くやってもしょうがないということで先方さんが判断をされたわけですね。それはもう経済原則ですから、その明治さんが悪いとかいうことは全然なくて、それは経済原則に従ってされたんですから、それはそれで我々も当然是認するわけでありますが、ただ、こういうことが常態化をしてくると、私どものような1県で頑張って、普段から他のメーカーさんよりも高めの値段をつけて売っている牛乳なんですね。
それは美味しいからというプレミア[付加価値]もついてやっているわけでありますが、こういうところがたちまちやられてしまうんではないかという、そういう危機感がこれは少なからず関係者にあると思います。だからこそ、今回声を上げざるを得ないかなというふうに当方も判断したわけであります。ただ、小里政務官はTPP、EPAとはそういうことはならないようにするからということをこれ盛んに強調されておられまして、時節がら、それは農林省も何らかの畜産関係対策を打つのかなあというふうに聞こえました。ただ、いずれにせよ、これから非常に不透明な霧が晴れたと大臣おっしゃいますけども、こっちとすれば霧が濃くなったような状況でありますので、不透明な状況でありますからこの問題も地域の目線で我々は解決していきたいと思っております。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません。出ていたらもうすでに出ていたら恐縮なんですが、水の工場ミネラルウォーターの工場というものの概要ってどんなものなんでしょうか。特にあそこ大山の山麓の水ということで大手の医療メーカーもたくさん出ているところでもありますし。
●知事
じゃ、これ詳細また追って出させていただきます。関西の企業さんが最近そのミネラル[ウォーター]の方に出られて奈良県の水なんかも生産をしているような企業さんです。こちらが来られまして私どもの方で販売をされると、製造をされるということで大山が適したというふうに選んでいただいたわけです。当然雇用も発生をしますし、私どもとしてもルールどおり支援をさせていただきたいと考えております。これから私どもとしては、こうした地産地消型のいろんな産品をいろんなかたちでルートを作って売っていければいいかなと思っておりまして、アンテナショップにつきましても、この度岡山[県]と共同で東京で作ることになりました。
岡山[県]のアンテナ、岡山[県]と共同のアンテナショップは幸い稲田屋さんという地元の企業が厳正な、かなり競争が激しかったんですけども、そんなくぐりぬけて受託業者と決まりました。そうしたところで、こういういろんな水であるだとか、あるいは農業製品であるだとか、また伝統的な産業のものもありましょう、こうしたことを今後販売していく体制を取っていきたいと思います。今回のメーカーの進出も、背景にはそういう鳥取県の自然ブランド、自然が豊かというブランド力、これに遡航して入って来られたと考えておりまして、我々としてもルールどおり支援措置を講じていきたいと思います。
○読売新聞 加藤あかね 記者
別件でもう1件、6月補正なんですけども、総額としてはどれぐらいの規模を検討されて。
●知事
まだ私、実は見てないですが、だいたい感覚的に言って80億[円]は軽く余ってくると思いますね。60億[円]を上回る規模で公共投資の補正[予算]があって、それ以外考えますと20億[円]は超えてくるだろうと、80億[円]を超えてどこまでまだ上がるかなという感じですね。まだちょっと集計しておりませんのでまた改めて精査をしてご報告をしたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
すいません。冒頭、今日の冒頭におっしゃいました熱中症対策についてお聞きしますが、特別35度以上特別警報というふうにするということですが、夏の暑い時期35度以上を予想される日というのは結構連日だったりします。それで現在でも昨年までも熱中症の警報の、熱中症警報の週間などもありました。そういういろんなお知らせが県民に届くわけですけれども、この今回の特別警報もそういう埋没していくような危険性はないんでしょうか。この警報を出すことによって、さらに何かこういうアクションを起こすというようなことをお考えなんでしょうか。
●知事
もちろんそこは周知を強める基準として特別警報というのは考えております。実は最初週ごとにやったんですね。それで、そうしたらそれこそ今、[山陰放送]秦[卓史記者]さんおっしゃるように出しっぱなしでありまして、週ですから毎週、毎週そんな気温になりますよと。それで、だからなんか警報の効果が分かんなくなっちゃったんですね。それで、日ごとにその気温の上昇ぐあいを見て出しましょうということに改めたんですが、ただ、もちろん[鳥取]砂丘を抱えているという特性もありますけども、お年寄りのかたが自分の畑へ入られて、それで気がつかないうちに熱中症で倒れてしまうということはこれまでもありましたから、やはり注意喚起という意味で30度から上で、一定程度お知らせをさせていただいて、さらに35度を超えてくるという深刻な状況であれば、特別警報というかたちでこう段階づけて、分かりやすいかたちで住民の皆さんにもあるいは観光客の皆さまにも知っていただこうと、こういうことであります。
当然ながら特別警報が出たらそれに応じたPR活動などもセットになります。あと、今おっしゃったように週ごとに警戒を要する週だとかそういうのも、これも別のかたちで情報提供させていただくと、いろんなかたちで、できるだけ住民の皆さんに届くように工夫していこうじゃないかということです。具体策今日もいろいろ関係者で話し合って、今シーズンを乗り切りたいと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
この取組み、熱中症に関しては4年ぐらい前から積極的に県で取組んでいると思うんですけれども、最初の2年、3年は全国でも搬送者数が1位、2位という統計でした。それで、昨年は10位以下、14位あたりだったでしょうか、になったと思います。何かこういうことが効果があったんじゃないかというのは、知事、実感ございますでしょうか。
●知事
やっぱり熱中症について報道を通じて意識がだんだん高まってきたことがあると思います。これは根拠のあるようなないようなことでありますが、山陰は雪が降りますから熱中症という頭があんまりなかったと思います。それですから、ただそういう漠然としたそういう思いで、気温はちょっと高いけども、よう日が照っとるけども、天気もええし畑へ出ようかと、こういうことで出られたお年寄りが倒れてしまうとか、それから夏場、我々その観光客、大切な存在ですから、[鳥取]砂丘等でシャットアウトするわけにはいかんわけでありますけども、そういうときにやっぱり水の1本ぐらい持って砂丘に上がってもらう、そういう意識付けとしては、メディアを通じた周知が功を奏し始めているのかなというふうに思います。それで、そんな意味では我々としても情報提供を従来よりもきめ細かくさせていただいて、二段階の警報に組み替えることなどを通じて、なお一層住民や観光客の皆さまに警戒していただきたいという思いが届くようにしたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
すいません。もう1点。ポルフィリン症のことについて、知事、最終、難病疾患については、最終ステージの運動を今こうやるんだと、それで国への働きかけをするというふうに言われましたけども、具体的にはどういった行動をさらに起こされるんでしょうか。
●知事
これは今までそういう難病疾患の法律改正をやって、ポルフィリン症を入れてくれということを働きかけていました。それで現実に法律がいよいよ成立をすることになるんですが、ポルフィリン症とは書いてないんです。ただ、疾患の対象を増やしますよということが、この法律の書き方に入っていまして、それを具体化するために、病名を特定していくんですね。それが、これは官僚サイドと言いますか、政府の中のサイドで、厚生労働省で第3者的に行います。だから、これからは今度は最後にそこに名前を書いてもらうんですね、ポルフィリン症という、その運動になりますので、速やかに要請活動を厚生労働省に対して行っていきたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
すいません。8月11日を山の日として祝日にするという法案が近く成立する見通しのようなんです。鳥取県でもグリーンウェーブを推進してきたり、中国地方最高峰の大山という山がありますが、この8月11日、山の日になることについて知事の所見を伺えませんでしょうか。
●知事
はい。自然を大切にしようと、自然を夏の暑いとき、お盆の時期に楽しもう、それはこういう森林率が74%という、そういう鳥取県としては歓迎すべきことであります。これを機会に、グリーンウェーブが広がることを期待を申し上げたいと思います。また、こういう山の日ができたことで、山に上がるエチケット、心構え、そういうことも併せてPRする機会にもなればなと思います。先般も大山の本来入ってはいけない縦走路に岡山[県]のパーティーが入られて、釣り上げて救出をするという、そういうことがございました。また、えっと思われるかもしれません、[鳥取市鹿野町の]鷲峰山、ごくごく身近な山でありますけども、そちらで踏み迷ってしまわれて、下りられなくなった女性のかたがいらっしゃったりします。山は美しい存在であり、そして人間と切っても切れないものであろうかとは思いますけども、ただ自然という大きい力を持った存在の一部でありまして、また極限的状況も生まれやすいわけであります。ですからエチケットとして山に入ることの大切さ、そういうことを呼び掛ける機会にもなるかなと思います。また、緑の豊かさ、これを訴える意味でも、鳥取県としてもこれ山の日を活用させていただければというふうに思います。何らかのキャンペーン活動を、もし成立をすれば考えていきたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
ありがとうございました、はい。
○時事通信 平野実季 記者
すいません。鳥取県で行っている教育協働会議というのが、国が今行おうとすることを先取りしたようなもので、実際こうやってみて手ごたえがあるといった一方で、先程ちょっと改善点もあるかもしれないという話だったんですけども、そういう先進的な取組みを今やってみて、初めて見えることもあるかと思うんですが、もし具体的に、そういった改善点で事業を考えていることがあったらお願いします。
●知事
教育について改革を行うというのは、結構なぜかイシュー[論争]になるんですね。それはおそらく教育というのは1つの村社会のようなことになっていて、それで、そこに外から声が入ることにまだ慣れてないという面があるんじゃないかなと思うんです。これは別に村の中の人たちが悪いということではなくて、そういうもんだという伝統ができてきたんだと思うんですね。それで、その1つの防波堤的に働いてきたのが教育委員会制度だったのかなと思うんです。ただ、だんだんと住民の意識も変わってきて、学校の先生のハイアラーキー[階層]の中で教育をやってもらえばいいという思いだけでなくて、やっぱり学力向上頑張ってもらいたいとか、ボール投げが成積悪いけん何か考えてもらいたいとか、それから地域で社会教育としてやっぱりボランティア活動だとか、地域との関わりを増やしてもらいたいとか、いろんなニーズが出てくるようになって、デモクラシーが成熟してきますから、地域との関わり合いが増えてきてこざるを得ない、それが良い方向性として、推奨されるべきという今時代になってきているんだと思うんです。
以前はその教育は政治から独立しなきゃいけない、それは戦争への道を歩ませてはいけないというような、そういうどっちかって言ったらイデオロギー的な観点が非常に強くあって、それに支えられながら、そういう村社会が形成されてきた面があるかと思いますけども、時代は変わってきて、皆さん良識を持って教育を語れるわけでありますから、それをむしろ前向きに捉えてやっていっていただきたいということであります。ですから、そういう意味では、私共やっている教育協働会議や今回、法案審議が最終局面を迎える総合教育会議、こうした場というのは今までにはない仕掛けを与えるわけでございまして、要は外からの意見が入る場になるわけですね。我々やってみて、昨日[20日]も皆さん参加者おっしゃっておられましたのは、典型的な土曜日授業の議論だったと思います。これは有識者の皆さんが、皆さんこぞって土曜日授業をなんで鳥取県やらないんだという、そういう論調でいったわけですね。それは背景があるんです。例えばPTAで話をする、土曜日授業を鳥取県もやるべきではないかと、なんでやらんだと、こういう意見が強いですよとか、そういうことを入れるんですね。なかなか教育のサイドとしては、中で要は教育の当事者、学校の先生たちがお互いに話し合って結論が出るわけがないんですよね。やらんで済むもんなら、別にやらんでもいいというわけですから。
だけどそれをやっぱりやるべきだというふうに動かすには、相当なエネルギーがいったわけでありまして、教育協働会議があって有識者の意見がそこに出てきて、それでようやっと教育委員会も腹をくくったという流れだったと思います。できるだけ限定的、縮小的にというようなことが、今10の市町村に広がるぐらいまできたのは、そういう民間の良識ある声が教育委員会に入るシステムができたからだと思います。ですからきちんと運用をすれば、今、国全体で入れようとしている総合教育会議は一定の役割を果たすことができるだろうと思います。ただ、これが完全な100%、デモクラテッィク[民主的]なシステムになるかというと、今もってその教育長という存在が、新法成立後も教育委員長と教育長を束ねたかたちで存在することになりまして、最終的執行権はここにあります。それで、この人は選挙で選ばれる、デモクラテッィク[民主的]な代表ではありません。従いまして、100%その住民の意見を聞かんでも、理論的にはですよ、理論的には住民の意見を100%聞かんでも、仮に無視してでも、教育はそのまま動いていくというシステムでありますから、完全な制度かというと改善の余地はあるのではないかなというふうに思います。
ただ、これは非常に国全体で、大がかりな法改正を伴うことでありますから、まだまだ議論が必要だろうと思います。まずは、こういう鳥取型の教育改革というのをやって、それでまた利害得失をいろいろ検証してもらって、だんだんと教育のレベルを上げていく、そういう改革の端緒になればいいなと期待しております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
各社その他ありますか。じゃ、特になければこれで終わります。知事ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。