○日本海テレビ 高井和代 記者
それでは、定例会見を始めます。よろしくお願いします。
●知事
皆さま、おはようございます。この度、朗報が1つ山陰に入ったわけでございます。高円宮家の典子さまが、私どもの山陰、出雲市の出雲大社の神職をされておられます千家国麿さんとご成婚なさるというような発表がなされたわけであります。非常に私どもとしても晴れやかな気持ちでこの知らせに接することとなりました。心からこの度のご婚儀を寿ぎ、弥栄をお祈りを申し上げたいと思います。冬晴れの雲なき空にそびえ立つ雪の大山いともさやけきと、高円宮妃久子さまが昨年ですか、考えてみますと私どもの大山を歌い上げて、年初の歌会始で披露されたのが思い起こされるわけでございまして、度重ねて山陰の方を訪れになり、鳥取県の大山だとかそうした地域にも親しまれながら高円宮家と千家家の間の交流がなされ、この度のご婚儀に結びついたものだということであろうかと思います。そういう意味で、等しくこの喜びを県民の皆さま、山陰の皆さまと分かち合いたいというふうに考えております。心よりのお祝いをまずもって申し上げる次第でございます。
昨日〔28日〕の中国地方知事会でもこの話題で持ちきりでありまして、溝口〔善兵衛 島根県〕知事やあるいは五百川〔純寿 島根県議会〕議長はもとよりとして中国地方の皆でこういうことを話し合ったところでございます。考えてみますと、神代の世界にさかのぼってみれば、山陰、鳥取県を含む中国地方というのは、日本の1つの中心であったわけですね、吉備の国もそうでありましたでしょうし、また出雲や因幡、こうした地域も1つの勢力を持っていたわけでございます。今、日本という国が急速に中央集権化し、また一点集中があり、その片方でブラックホール、極点社会と言われるようになり、消滅自治体という皮肉が生まれている。こんなことを思いますと、中国地方としても元気を出していかなければならない、そんなようなことを強く思わせるニュースだったかなと思います。
●知事
昨日〔28日〕の中国地方知事会では、さまざまなことを話し合いましたけれども、大きなこととしては、我々として広域連携に力強く踏み出していこうというようなことで、合意が生まれました。具体的な目標も定めて行動を起こす、そうした日となったと思います。例えば、防災で言えば、合同の防災訓練を行う、また片方で原子力災害に向けまして、岡山県、広島県と島根県の間の協定もこの日、結ばれましたけれども、原子力安全対策につきましては島根県が幹事県になりまして5県を取りまとめて動いていくということになるわけでありますが、例えばこういうような防災体制を早速に起動させるということにもなりました。
また、観光についてはインバウンド〔外国人誘致〕のキャンペーンをやらなければならない。これは、経済界の山下〔隆〕中〔国〕経〔済〕連〔合会〕会長を初め、藤縄〔匡伸 鳥取商工会議所〕会頭など地域の経済界の皆さまとも話し合いましたけれども、中国地方知事会としても広域観光をやろうということになりました。昨日〔28日〕の経済界との話し合いによりまして、従来やっておりました中国地域におきます観光推進協議会、これと中国地方知事会の広域観光の部会、これを融合して一体的に運営をしていくという方向性で一致をしたわけであります。具体的には、今後、台湾あるいは東南アジア等々でプロモーションを次々とやっていくことになると思いますが、経済界のプロモーションと併せて中国地方知事会としても部会で参加をしていくということが想定されることになりました。早ければ7月の台湾キャンペーンからこうしたことをスタートさせて、部会としてこれに参加をしていくということになろうかと思います。
また、昨日〔28日〕の中国地方知事会では、これから国に対してやってもらわなければならないこと、地方分権のことであるとか、またオスプレイ〔米軍の最新鋭輸送機〕等もあります米軍の基地のこと等々も話し合われたわけでございまして、いくつかのアピールの採択がございました。分権については、提案募集方式というのをやっておりまして、地域の課題としていること、権限委譲、これを国から求めてくる、そういう提案を募集をする今、期間に入ってくるわけであります。来月に向けまして、中国地方5県でもこの提案募集のアイデアを取りまとめをして、それぞれの県でも提案募集出せますけれども、中国5県でまとまって中国地方知事会として提案募集に応じていくと、そういう分権の推進の受け皿、分権の具体的なリード役として中国地方知事会も役割を果たそうということも、昨日〔28日〕合意をされたわけであります。
こういうようなことなどに加えまして、米軍の飛行ルートがあるわけですね、その演習によりまして騒音被害等があるわけであります。今も広島県の北広島とか、それから島根県の浜田におきまして、そういう騒音の測定をやっているわけであります。私どもとしても中国地方全体の問題だというふうに昨日〔28日〕は話し合ったわけでございまして、その騒音を測定する機器の設置を求める等、国に対して要求をしていこうと、そういうような提言も昨日〔28日〕なされたわけであります。鳥取県としても、これやはり若桜町だとか日南町だとかそうした騒音被害が言われるところもございまして、そうした町とも話し合いをしながら地元の意向があれば国に対して機器の設置を求めていく、そういうこともこうしたアピール行動と併せて我々も考えていかなければいけないかなと思っているところであります。
また、TPP〔環太平洋経済連携協定〕が交渉の佳境に入ってきているわけであります。そういう農業対策につきましても話し合いがなされました。結果として国に対して十分な農業対策、農業政策を現場主義、現場に沿ったかたちで求めていく。それから、TPP〔環太平洋経済連携協定〕の交渉に当たりましては、基本的な利益を損なうことがないように慎重にやってもらう必要がある、こんなようなことをアピールとして盛り込むこととなりました。1つの焦点になりましたのは、規制改革会議で農業改革が言われるわけでありますが、そこでJA〔全国農業協同組合〕の改革、農業委員会の改革等が盛り込まれたわけであります。これにつきまして中国5県の知事同士で話し合いをいたしましたけれども、規制改革会議の今の提言の方向性に100%反対をするとかそういうことではないですが、例えばJA〔全国農業協同組合〕の中央会が役割を果たしてないと言わんばかりの、そういうくだりもあるわけでございますが、現場感覚として果たしてそうかなと、やはり現場の実情というものをよくよく見ながら慎重にこうした改革案については検討してもらう必要があると、こうした方向性を我々としても話し合いまして、アピールの中に盛り込ませていただいたわけであります。
こういうようなことを昨日〔28日〕、中国地方知事会として議論をさせていただいたところであります。
●知事
今、予算編成作業も佳境に入ってまいりました。まだ完全にフィックス〔確定〕はしておりませんけれども、最終的な予算編成の段階に入ってまいったところでございます。総額で言いますと、今ざっと見積もって87億〔円〕ベースくらいの6月補正の予算になろうかなと思います。そのうち、公共投資関係の補正予算は63億〔円〕ベースくらいに今、積み上がってまいりました。いろんな予算が入っておりまして、先週もその一端を話させていただきましたけれども、その他のことで言えば、大交流時代が今、やってきております。それに相応しい体裁をいろいろと作っていかなければなりません。例えば米子鬼太郎空港でありますけども、これについては7,000万円弱かけまして、種々検討作業や駐車場整備に当たる必要があるというふうに判断をしております。具体的には今、駐車場の収容力としては1,131台という、これが定数的な駐車場のキャパシティなんです。実際はもう少し誘導員も誘導して詰め合せて駐車していただくということをゴールデンウィークもやりましたけれども、これに200台、まずは足すという、そういうことで考えようと、その拡張をすると同時に、さらに例えば調整池である池を埋め立てる等々、我々としてもできる駐車場整備まだあるんじゃないかと、この辺も検討を進めようと。また、緊急避難的にどうしても収容しきれない場合に200台ほどはバックアップで旧の県道敷がありますから、県道の敷地がありますので、道路敷の方に活用してすぐに駐車スペースに転用できるところもあるんではないか、そこに誘導したりして緊急の場合は備えようと、このような駐車場対策をまずは計上させていただこうと思います。
併せて、今、駐機スペースが足らなくなってきたわけですね。それで、そのエプロン〔駐機スペース〕と言われるところを、これを拡張する必要があるんではないか。それは、ただ、これ、いろいろ安全性のこともありますし、敷地の利用可能性のことも含めて慎重な検討も必要でありまして、そのための検討予算等も用意する必要があると、そういうのを積み上げていきますと7,000万円近い予算になるかなということが1つございます。また、港の方でも境港については、いろいろカリビアン・クルーズ社と先般、折衝したわけでありますが、その世界の港を歩く責任者のかたと話をさせていただいた中から、17万t級の船の入港の可能性の打診があったわけです。具体的にはクァンタム・オブ・ザ・シーズという船があります。
これは、世界でも非常に指折りの大きな船になりますが、17万t級の船が果たして入港できるかどうかというところのきちんとした調査をしなければなりません。我々は可能とみているわけでありまして、ただ、そのためには、例えば航路を新設をする等して、もう少し利用度を、利用の利便性を高めるというような細工と言いますか、工事が必要となってくるのかなと思いますが、そうしたことをやっていく必要があるのではないかと。また、RORO〔車両甲板を持つ貨物船〕船等、境港の貨物の利用をもっと上げていくために、そうした荷主さんに対する助成制度を充実をするとか、そうした大交流時代を睨んだ予算組みも必要かなというふうに考えております。
また、観光も、こうして観光の需要をかきだすそういういいチャンスが巡ってきているわけでありますが、まだまだ沖縄とか札幌のような新しい新規の就航先等での観光事業が開拓をされきれていないということもあります。もちろん首都圏でANAも増便をしておりますし、そうしたことに対応することも必要かなと。鳥取の方から、ようこそ・ようこそ鳥取観光推進のキャンペーンをやろうと、これも2,000万円用意をして追加で補正をし、搭乗率の向上に結び付けていけないだろうかと、こういうふうに考えております。具体的には、例えば、岡野〔雅行 ガイナーレ鳥取〕GMですね、そうした鳥取県ゆかりの著名人いろいろといらっしゃいますけども、そうしたかたのご協力いただけるかたにお願いをして、鳥取県から観光の動画を発信をしていくということをやってみる。あるいは、要はカニバックキャンペーンとか、鳥取はカニの産地でありまして、そのカニを活用して9月~2月までそうした旅をしていただくかたに抽選で毎月毎月カニが当たりますと、そういうことでリピーターになっていただく、カニバックキャンペーンであるとか、そんなようなことを考えてみたらどうかなということでございます。
こうした観光等々もございますし、そのほかのさまざまな施策も含めて87億〔円〕ほど、今、予算が積み上がってまいりました。今から最終的な調整をさせていただいて、6月の議会に向かってまいりたいと思います。
●知事
そうした予算とも関連しながら、いろいろと施策を打ち出していく必要があることがございます。1つは、認知症の高齢者が行方不明になるという、今、急速に報道され始めた事象があります。これは〔平成〕24年度から警察がそういう行方不明者の統計を取る中で、認知症のかたの高齢者の行方不明者がカウントできるようになりましたら、全国で1万人いたという、そういうショッキングな事実から、報道上、問題視され、課題視されているところであります。私どもも、鳥取県として警察だとか、それから市町村や関係者に状況を調べさせていただきました。そうしましたところ、10名前後、〔平成〕24、25、26〔年度〕とやはり行方不明のかたがいらっしゃいまして、今年度も8名行方不明になられたということでありました。大抵は初動でしっかりと探して見つけるわけでありますが、残念ながら〔平成〕24年度と今年度、まだお一人ずつ判明していないかたもいらっしゃいます。これは、報道でも出ていますけども、警察のそういう行方不明者の捜索のネットワークがございまして、そういうものを活用して今も捜査中ということでございますが、これを警察だけの話かなというふうに思うわけであります。
従いまして、我々で言えば、例えば中山間地見守り協定をやって、高齢者を皆で見守ろうというような活動をやっているわけでありますが、認知症の高齢者がいなくなった、あるいはいなくなる可能性がある認知症の高齢者を皆で見守る。これは地域としても取組んでいくのがよいのではないかということで、この6月補正で予算も用意をしながらやっていこうということになりました。具体的には市町村だとか、それから地域のいろんな関係者のかたがたいらっしゃいます。そうしたかたがたでそういう認知症の高齢者が行方不明にならないように、あるいは万が一のときは皆で一丸となって助けられるように、そういうモデル的な事業をやっていこうではないかと、そういうモデル的な事業に対しまして1市町村30万円の助成を県としてもさせていただいて、合計10市町村300万円の補正予算を計上してはどうかいうことです。
例えば、いろんなアイデアが今では可能なこともあるわけですね、もちろんチラシだとか、それから情報共有をして認知症のかたの情報を皆で持っておいて、それで皆で見守るということがあったり、いなくなられたときの捜索をやったりということは当然あります。それで、あるいはGPS〔衛星測位システム〕の発信器、これを買って、それをその該当者のかたにいわば貸し与えるようなかたちで持っていただいて、それで、認知症がゆえにどっか行ってしまうといった場合に居場所が判明するというようなことをやってみるとか、あるいは家を出るときのマット、センサーがついていてそこを踏み越えていくとセンサーが作動すると、そんなような認知症のかたを念頭に置いた、そういうセンサーマットのようなもの、このようないろんな現代でございますので、そういう技術の製品もあるわけですね。そうしたものを、例えば使うことなどもあると思います。こうしたいろいろなメニューを示しまして、モデル事業をセッティングさせていただき、市町村で行方不明になる認知症の高齢者対策ということを地域として取組んでいただくと、そういうような事業立てを考えているところでございます。
併せて、これからこうした問題に対処していくために、県だとか市町村、それに警察が大事でありますのでそうした関係者での対策の協議会をセットさせていただいて、今後に備えていくと。いざというときはそうした協議会、対策会議を通じまして、速やかに捜索活動に入っていく、こういうような独自の鳥取県としての体制づくりをしてみてはどうかと考えているところでございます。
●知事
産業振興の方で、来週、企業の進出の動き、拡張の動きということがございます。1つは6月2日に丸美屋さん、マルコフーズさん、マルコフーズさんは丸美屋さんの子会社でございますが、境港でふりかけの工場を増設をしていくということでございます。その調印式をすることになります。まずは混ぜ込みわかめという、そういう商品を製造しながら、ということで6億円の投資をしていくという事業スキーム〔枠組み〕も、今、組まれています。お馴染のふりかけ、それもいずれ体制が整ってくれば展開をしていこうというような目論見の下に事業拡張をするということになりました。来週調印式をしてまた意見交換もできるかと思いますが、我々としては西日本の拠点として活動していただきたいという気持ちでございます。
また、バイオマス発電等木質のチップの活用が高まって来ております。そういうことを睨んで、兼ねての話し合いが実りまして山陰丸和林業さんが東部の方でそのチップ製造工場を造られるということになりました。雇用自体は3名、さらには移入で1、2名プラスということですが、これは問題はですね、その裏に東部の森林組合の皆さんがあるわけでありまして、要はその森林のチップ材ですね、これを伐採してそれで集積をしていということが背景にあるわけでありますから、地域に対するインパクトとしては大きなものがあります。年間3万tベースでというかなり大掛かりなチップ製造工場ということになりまして、これは県内外の発電等の利用に販売をしていくという計画でございます。こうしたようなことを通じながら我々としても産業の活力を作り上げてまいりたいと思います。
その片方で労働市場というものを正常化させていかなければなりません。国の方でも女性の活用ということがございますが、女性の仕事プラザを鳥取県としてモデル事業で東部、中部、西部でそれぞれに開設をしようということとなりました。これも来週ですね、その開所式をすることにいたしております。女性のかたの就職の斡旋は元よりといたしまして、例えば企業さん向けに、産休育休の代替のかたを斡旋をするとか、そういうようにトータルで女性の働く場所の確保、女性のワーク・ライフ・バランスの確保、これを保障していけるようなそういうモデル的な施設をセットしようということでございます。また、高校生の就職活動が始まりますけども、それを控えて我々としても経済界に来週、就業の就労促進を訴えかけをして歩くキャンペーンも展開をしていきたいと思います。
●知事
水産関係では予算の中で境港の市場の整備に向けた基本計画、これを計上させていただこうと考えております。衛生処理だとか、あるいは沿岸で捕れた魚の競りとかですね、そうしたことを積極的に効率よく推進できるように体制を立て直そうということでありまして、1号2号上屋のあたりを中心にして今回基本計画を作っていこうと、基本設計をやっていこうと、こんなようなことでございます。また、いよいよイワガキが6月1日に解禁をされるわけでございますが、我々としても、県としても検査をしましたがノロウイスル等そうした問題もなく今年も出荷できるということになります。県としても最近その着床場所に向けまして整備を進めてきたところでありまして、こうした水産振興を進めてまいりたいと思います。
大変に喜ばしいのは、湖山池のワイズユース〔賢明な利用〕が進むことでございます。これにつきまして来週の2日にいよいよ湖山池漁協さんがやっておられますけども、シジミが久方ぶりに復活をするということになります。これは平成20年ですかね、私が就任した後になりますけども、その県も係わりながら、シジミの放流だとか、着床場所の研究だとか、そうしたことを進めてまいりましたが、水質が改善をされてきたことが作用しまして、いよいよこうしたシジミが戻ってくることになりました。湖山池も今のところ2,800mg/ℓの塩分濃度でございまして、目標とした2,000~5,000というレンジ〔幅〕に入っておりまして、今年はフナの遡上の異常なども見られず、むしろ我々の方で対策で敷いた人口水草等も機能しておるようでありまして、順調な今状況が見られているところであります。このようなことで、湖の恵みが戻ってくるのは喜ばしいことだと思います。
●知事
また、湖の賑わいを取り戻すということで、遊覧船を復活させる。これにつきましては山陰松島遊覧さんが手を挙げて乗り出すことになられまして、市の方の事業の半分の2分の1、150万円を県の方でも助成をしていこうということで応援をすることにいたしました。今これからまだいろいろと県も当然ながら河川管理者でありますし、折衝がありますが、10月以降の就航を目指そうということでありまして、このようにして湖山池のワイズユース〔賢明な利用〕が広がってくるというのは1つの良い方向性が出てきたかなというふうに思います。
8 「子育て同盟サミットinながの」の開催と子育て支援策
●知事
それで、この週末5月31日に長野県で子育て同盟サミットが開催をされます。折しも森まさこ〔少子化対策担当〕大臣が来年の4月1日から子ども子育て支援制度をスタートをさせると宣言をされたばかりでございます。我々として、それに向けて例えば量の確保、質の確保と言われますが、十分な財源が得られているかどうか、それから交付金等ですね、使いやすい現場主義の財源などの応援制度、こうしたことを国に対してアピールをしていく必要があろうかなと思います。また、先般の消滅自治体極点社会という日本創生会議の議論を踏まえまして、危機感を持って子育てに取組んでいくと。今回山口県の村岡〔嗣政〕知事も加えて11県が加わった子育て同盟として話し合いをし、行動を、イニシアチブ〔先導〕を起こしていくということにさせていただこうと今皆で盛り上がっているところでございます。
また、この度の予算の中で、土曜日授業につきまして、土曜日授業等に取組む市町村がだんだんと増えてきまして10に達したことから15の市町村ぐらいを目安にして補正予算を組むことにさせていただこうとか、また、県の方の人材育成のセンターに女性が入所される場合の保育料の助成だとか、そういうさまざまな子育て支援対策、県としても今回6月補正〔予算〕でも考えていきたいと思います。
●知事
障がい者福祉につきましても、今、虐待が施設で発生をしたという問題が起きました。松の聖母〔学園〕に対して、あるいはそれ以外の20の施設に対して、緊急の調査に今入っているところでございます。こうした調査を今後も拡大をしていくことになろうかと思いますが、適正化を県としても検証し、確保してまいりたいというふうに考えております。
また、障がい者のグループホームのスプリンクラーの設置が今金銭的に難しくなっておりまして、これを支援することでグループホームの設置促進を図っていただこうと。また、バリアフリー化、これも民間の施設のバリアフリー化の助成制度を充実をする、さらには県の施設の、例えば今度、盲学校や聾学校など〔第14回全国障がい者〕芸術・文化祭〔とっとり大会〕でやってこられる相当なアクセスもありますが、そうしたところの重点的なバリアフリー化の整備であるとか、また、おもてなしですね、障がい者のおもてなし事業、こうした事業を積極的に6月補正〔予算〕でも計上をしてまいることにいたしたいと思っております。
●知事
原子力安全関係で、先般苅田〔知英 中国電力〕社長の発言が報道されまして、我々としても非常に気になるもんでありますから、早速中国電力を呼んで考え方を聞きましたが、我々周辺県ではありますけども、立地と同等に扱っていくという、改めての表明がございました。この原子力安全については避難計画を作っているわけでありますが、この度島根県と共同でやっておりました避難のシミュレーションがまとまりました。また、明日〔30日〕だったと思いますが、両県の会議の中で詳細を検証し、最終的に固めていくという作業かなと思いますが、ざっとしたところで避難を始めて21時間45分で避難可能というシミュレーション、これ段階的に避難した場合でありますが、そういうものがまとまってきております。鳥取県の中では弓浜半島の中の避難ということで言いますと、11時間、12時間というレベルで段階的避難であれば避難ができる。すなわち20時間で弓浜半島の中を避難させましょうという、今計画を作っていますが、それを裏づけることができる、そういうシミュレーションになったところでございます。我々としても、なお謙虚な気持ちで引き続き地元のご意見を承りながら、避難計画のバージョンアップを今後も必要に応じてさせていただきたいというふうにございます。
今、原子力規制委員会の人事の問題など、報道の中では〔原発の〕再稼働を念頭に置いた異動ではないか等々の憶測の向きもありますけれども、けしてそういうことではなく、これは福島原発の事故を踏まえて、地震の断層の調査など、今の原子力規制委員会の厳格な審査姿勢っていうものを変えることなくこれからもやっていただきたいというふうに考えているところでございます。
●知事
明日〔30日〕ですね、東京の方に上京しまして先般申し上げた難病対策で陳情、要請活動をさせていただくことにしようということを考えているところでございまして、当事者の患者のかた、あるいはそれを応援する会のかたと一緒に厚生労働省を訪ねることにさせていただきました。また、拉致問題で、ストックホルムで26、27、28〔日〕と協議がなされました。残念ながら合意には至っていないわけでありますが継続協議ということになりました。非常に重要な段階であろうかと思いますので、これにつきましても拉致被害の対策の内閣府の方に要請活動をさせていただくことにしようと考えているところでございます。
●知事
これから私どもとしても夏に向けてさまざまなイベントが増えてくる時期となってまいりました。そういうスポーツなどにも、特にセーリング等ですね、いいシーズンになりますが、セーリングにつきましては施設改修を6月補正の予算に計上したり、また倉吉の自転車競技場、また鳥取のクレー射撃場等々ですね、そちら施設整備にも予算を振り向けてスポーツ振興を図っていこうというふうに思っているところであります。
モーターバイクの愛好家がこの週末に集まりまして、6月1日にはBMWに乗ったライダーが集結をします。これは非常にそういうロードを走るのにはいいところだという認識が高まってきているんだと思うんですね。北海道のように信号がなくて走れるところというのはそんなにないそうです。そういう意味でダイナミックなレジャーを楽しむ、そういうスポットとして鳥取県が、山陰が浮上してくることをこれからの季節、願いたいと思います。そういう中で〔鳥取城北高校出身の〕逸ノ城さん、イチンノロブさんが〔大相撲〕十両優勝を果たしたのは大変に朗報であろうかなというふうに思います。これからも、ぜひそうしたスポーツ、レジャーのふるさととして鳥取県、向上を図ってまいりたいと思います。私の方からは以上でございます。
○日本海テレビ 高井和代 記者
質問があるかたお願いします。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
すいません。境港のクルーズ船のことで教えてやってくださいませ。17万t級というか、かなり大きな話だと思うんですけども、その話が実現する見通しをどのように考えておられるかということと、そのようなことが、境港、そういう船が来るということの意味というんですか、期待のコメントをもう少しいただけたらと思っているんですけど。
●知事
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社とは、先般、県西部でお会いをしまして親しく意見交換をいたしましたが、大変に港としては合格点、気に入っていただけました。それで、今でもボイジャー・オブ・ザ・シーズなどの船を入れる計画をされているわけでありますが、一層もっと大きな船を入れてもいいというお話がございまして、非常に向こうとしても関心を寄せています。これは将来計画、これからの計画でありますから変更があるのかもしれませんが、向こうとしてはクァンタム・オブ・ザ・シーズという、さらにボイジャー・オブ・ザ・シーズのクラスの上をいく大きさの船の就航を考えたいというお話がございました。我々としてもそういう意味でその実現の可能性を調査しなければなりませんので、今回、急遽6月補正予算に組ませていただこうというものであります。諸条件がクリアされるのではないかと期待をいたしておりますが、そうしたデータを示しながら、これからそうした大型、さらに大型の船の誘致にも弾みがつくことを願っているところであります。それ相応の手応えもありますので、条件が整えば入港ということも今後期待できると思っております。
○山陰中央新報 桝井映志 記者
それとすいません、ちょっと別の話になりますけども、改めてになりますけど、今回の6月補正予算に込めた知事の思いというんですか、評価というんですか、そこのところをもう少し伺ってもいいですか。
●知事
先週も申し上げましたけれども、消費税後の経済動向というのは1つ気になります。それで、実は我々としても相談窓口を開いたり、アンケート調査をしてまいりました。相談は104件、100件を上回る相談がありましたが、最近はもうすっかり落着いてきております。また、アンケート調査をして企業の方の動き、受止めを調査をいたしましたが、5割弱の企業さんは、影響はなかったということでありました。ただ、3割の企業さんが売上げが減少した、2割の企業さんが収益が減少したということでありました。従いまして、もちろん波のある話でありますから、自然に回復するのかもしれませんけれども、我々としてもやっぱり景気を底上げしていく、冷え込ませない、また、新しい成長戦略として上を目指して行ってもらう、そういう県内企業の後押しが重要だと思います。そんな意味で設備投資だとか、それから商圏拡大に向けた企業の動きを後押しをする予算を当初よりも拡充をする等、こういう景気冷え込み対策ということを、消費税後の景気の動向に注視をした経済雇用対策を展開をするということにさせていただきました。
また、大交流時代が動きだして、例えば飛行機が現実に飛び始めましたけれども、まだまだお客さんに乗ってもらうには認知度が不足をしているとか、そういう意味で観光のテコ入れであるとか、それから空港の利便性の向上であるとか、そうした大交流時代関連のことが1つの大きなことになろうかと思います。また、福祉関係でも先程申し上げました障がい者福祉、それから子ども関係、そうしたことも今年は〔第14回全国障がい者〕芸術・文化祭〔とっとり大会〕を睨んで段々盛り上がってきておりますし、医療関係者の生の声を聞きますと、やるべきことは徐々にはっきりと見えてきておりますので、そういうものに対応してサポートをしていく、こんなようなことが大事でありますし、人口の今後の推移についての日本創生会議の動きなど見れば、子育て対策や女性の働き場所、こうしたことも補正予算としても重要なテーマかなというふうに考えたところであります。その他、例えば、米子東〔高校〕の耐震補修とかね、それから皆生養護〔学校〕の高等部の建設であるとか、そうした所要の整備費、あるいは公共投資も含めて今回予算を策定をさせていただくところであります。
○読売新聞 加藤あかね 記者
すいません。認知症の高齢者の関係なんですけども、今日の新聞紙面で盛岡のかたが京都で見つかったりというようなこともあるということなんですけれども、鳥取県の場合として、数は少ないんですけれども、この認知症の高齢者の対策として課題に思われていること、それで、さらにこのご近所の応援団結成という新事業ということですけれども、それに関しては鳥取県が持っている、どんな組織であったり、英知であったり、使えばこういった課題を少しでも解決できるのかという、その期待であったり、その必要性であったり、というところをもう少しお考えを聞かせていただけますか。
●知事
はい。先程話しましたように〔平成〕24年度から統計が動き始めてですね、毎年のように、認知症で行方不明になられたという事件は起こっています。それは鳥取県も当然高齢者のかたもおられ、認知症のかたもおられますので、全国1万人ですから、そういうことで言えば、当然ながらある程度の数はいらっしゃるわけです。問題はセーフティネットだと思うんですね、徘徊行動を起こされるのは、これはそういう、言わば病気と言いますか、特性でありますので、致し方ないわけでありますが、その地域でしっかりと見守るセーフティネットを張ること、これが一番重要なことだと思うんですね。それで、現実の今の状況を申しますと〔平成〕24、25、26〔年度〕と統計を取り始めて、残念ながらお二人だけまだ見つかっていないということを申し上げます。それ以外は全部見つかっているわけですね。
それで、見つかってない2ケースは、いずれも県内の都市部です。どちらかと言うと田舎と言いますか、コミュニティがしっかりしているところでは、例えば、有線放送と言いますか、そういうもので、何処どこのおじいちゃんが今ちょっと出かけて帰って来ません、探してください、見たことぱっと流すわけですね。それでこう、初動で発見して皆で見つけてしまうと、そういうのがざらにあるわけです。だから、コミュニティが機能していれば解決できる面は多いのかなと思うんですね。だから、都市部は、例えば無線放送とか使って流すとか、有線流すとかそういうところに、それ、ちょっとできていないんですね。それはいろんな課題もあるんでしょうから、良いの悪いのということはないんでしょうけども、ただ、そうした地域に応じたやはり対策をコミュニティの中で作っていくことが解決につながるのではないかなと思います。鳥取県では中山間地域見守り協定とかやって、中山間地域に入っていく企業さんに協力をしていただいて、具合の悪い高齢者を発見をする等で成果を上げてきました。そういう発生の延長でありますけども、地域の絆を活かした対策というのをモデル事業として組んでみてはどうだろうかということであります。
○日本海テレビ 高井和代 記者
質問はないですか。
○読売新聞 加藤あかね 記者
もう1つ、すいません。女性のお仕事プラザでしたっけ、あれ、他府県でもしているところがあると思うんですけども、鳥取県で必要と思われる要素であったり、具体的にその女性が仕事を探すというところで、配慮しなければならない点もしくは配慮する点でもいいんですけれども、どんな点でされるのか教えてください。
●知事
これも必要でしたらまた詳細担当課の方から構想をお話を申し上げたいと思います。今まだ最終策定に向かっている段階で、詰めているところが多々あります。当然働く女性を念頭において相談しやすい環境づくり、それが施設としては必要だと思います。また、鳥取県女性の就労率が高いです。そういうことで、女性の参画が進んでいるわけでございますが、そうすると、育休代替、産休代替ということも発生をするわけですね。そうしたことに対する、言わばセーフティネットを張っていく、そんな意味でも我々の方でやれることもあるんじゃないか。そうしたことなどを、よその県でも当然いろんな事例はありますけども、本県の現場で聞こえてきた声に即してモデル事業を組ませていただきました。もちろん、これ、まず初っ端でありますから、これから改善すべき点だとか、他地域でこういういい事例があるなと、うちも取入れてみようかとか、そういうことを今後入れながら発展させていきたいと。まず第1段階として、ファーストステップとして投入させていただきたいと思っております。
17 島根原発に係る避難時間シミュレーションについて
○山陰放送 秦卓史 記者
原発事故の避難シミュレーションについてお聞きします。先程シミュレーションで21時間45分というシミュレーションが出たと。それから、弓浜半島の方でも11時間~12時間で完了すると。この時間が出たわけですけども、知事としてはこの時間はおおむね、住民が安全を確保する時間としては比較的いいものであると、短いものであるというふうにお考えなんでしょうか。
●知事
これ、時間自体は、これはもう本当に機械的なシミュレーションでありまして、それをやってみたという結果でございますから、1つのツールであります。ですから、それは我々として避難計画作りの重要な参考資料にするというものでございます。それで、私ども実は、当初、避難計画組んでいたときに、地元からもっと早く避難しないと、被ばくのことも気になるので、ということがありました。それで、そうした声を入れて、片方でシミュレーション作業をしながらなんですけども、おおむね20時間で避難できるように4つのゾーンを組みまして、5時間、5時間、5時間、5時間で避難完了という計画を作ったわけです。当然、実は並行してやっているシミュレーションも念頭に置きながらだったわけでありますが、今回今、明日〔30日〕ですか、ファイナライズ、最終調整しますけども、最終的にそれ、検証して諒となれば、これが今回、弓浜半島の中では十分20時間の中でありますので、実行可能な計画という指標にはなると思います。
ただ、これはもちろん前提があって、段階的避難、一斉に避難するともっと遅れるわけでありますから、段階的にこう、段取り良くこう避難をしていくということで、トータルでの避難時間を短くすることができるということが分かったわけでありまして、そういうことから、住民の皆さまにも、そういう段階避難へのご協力をいただけるということが前提になろうかと思います。住民の皆さまも合理的に考えれば、その5時間、5時間、5時間、5時間で、ゾーニングで避難した方が、みんなが早く非難できると、自分も早く非難できるということになりますから、ご理解いただける材料も1つできたのかなというふうに思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
先程これに関しては今後もバージョンアップの可能性というふうにおっしゃいましたけれども、やはりこれを短縮していくような取組みを県としてされていくということなんでしょうか。
●知事
ですから、避難計画は今、島根県と鳥取県と共同しながら、先程申しましたようなものを作り、それでその材料としてシミュレーションをやったわけでありますが、避難計画はもちろん、そこに住んでおられるかたがたの利益のために作るものですから、それで、その住民の皆さまのご意向を入れて、今後修正を図っていくべきものだろうと、そういう意味でバージョンアップをしていくということを申し上げたわけです。とにかくもっともっと短縮したらいいじゃないかというご意見がでれば、どこまで可能かというのを我々も検証しなきゃいけませんけれども、今の、少なくとも今作ってある避難計画は、シミュレーションデータとの範囲内にありますので、実行可能だっていうことが今回見えてきたというところであります。
○山陰放送 秦卓史 記者
すみません、もう1点別件で、難病対策について要請を明日行われると思うんですけれども、ポルフィリン症の患者の会は4月にも署名を厚労省の方に持っていっています。そのときには、政務官が対応されたと思うんですけれども、知事の方の要請は、さらに副大臣とか、大臣級の要請になるんでしょうか。
●知事
今回ですね、急遽法律の成立を受けてやることになりましたので、実際には、事務レベルで受けていただくと、ちょっと政務三役さんが国会の都合で今回は対応できない、それ以上の多分理由はないと思います。厚生労働省として要請を受けるということで了解されていますので、要請させていただくことになります。局長さんだと思いますが、今調整中です。それで、これにはポルフィリン症の当事者でいらっしゃいます池谷鉄平さんも参加をされますし、それから支援する、応援する会というグループも参加をされるということになります。私は鉄平さんの関係者のかたからメールをいただきましたけれども、非常にこれ大事なことなので要請するというのはありがたいと、そういう意味ですね、非常に期待をされています。ただ、そのメールの中でも、今まで一生懸命こう署名を集めて運動してきたけれども、なかなか結果に結びついてないもどかしさも書いておられました。そのとおりだと思うんですね。それで、今法律ができまして、これから300症例にこの難病が拡充をされるということに期待されますけども、その中にほんとにポルフィリン症が入るかどうかというのは、これからの作業になりますので、もうひと踏ん張りだと思いますね。ここを患者の皆さんや運動をされているかたがたと心を1つに勝ち取っていきたいと思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
その300症例に広がるということで、そこにポルフィリン症を入れてほしいという要請なんですが、県の方としては、さまざまな疾病に対する対策を取られている立場で言いますと、例えばこの300に広がるという中には、既存の難病が難病ではなく、この枠から外れていくものもあるんではないかというふうなことも言われております。それから、その難病指定を目指す患者の会、さまざまな病気についてあります。その中でポルフィリン症をこう県として推すこの意義、意味ですね。そのあたりの理由を教えていただけますでしょうか。
●知事
やはりこれは関係の患者さんが世の中に認知されていないということで悔しさもあり、それから事の発端は警察の事象だったですけども、非常に心、何て言いますか、過大な不快感を与えるような対応があったという、いわば人権に関わる問題だとして県議会で本県では議論になりました。そういう発端がございまして、鳥取県としてもポルフィリン症の認定を求めてまいりました。ですから、これから仕上げですので、ぜひ成し遂げていきたいということを考えております。もちろんこれは、これから6月県議会で議員の皆さまとも議論しますが、制度改正要求の中に引き続き位置づけていって、改めて要請活動を今後も展開していく方向を出していきたいと思います。
それで、あと難病の関係ですね、これはいろんな患者さんがいらっしゃって、負担の問題もあります。今回、難病指定が拡大をされればその負担の面で大幅な緩和が目指されるかたもいらっしゃいますので、そういうふうなその難病指定の合理化と言いますか、適正化、これは今までも鳥取県として全体の制度についての要請をしてまいりました。もちろんこの旗を降ろすわけじゃありませんので、そうした意味での要請活動は続けてまいりますが、特にその県議会でも議論があり、県としてもテーマに掲げてきたポルフィリン症の難病指定、それについては特に患者の皆さまもいらっしゃいますので、そうしたかたがたと一緒に厚生労働省に改めて訴えかけるタイミングだというふうに判断したものであります。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません。東部のチップ製造工場の立地のことでお伺いしたいんですが、以前東部でもバイオマス発電所の建設を目指して誘致を進めておられまして、それはちょっと実らなかったということで、それに変わると言いますか、施設として期待が高まると思うんですけども、これができることによってその資材の活用とか、その間伐の促進ですね、そのあたりへの効果があると思いますが、知事としてそのあたり森林整備への期待と言いますか、役割、この工場の役割はどういうふうに位置付けておられるでしょうか。それから操業開始の年と立地場所も細かいことですけど、教えていただけたらありがたいです。
●知事
そうしたらちょっと詳細等ですね、今お話しできる範囲のことは担当課の方から後程ご提供申し上げたいと思います。この山陰丸和林業さんの立地でありますが、私も先程申しましたように森林全体に与える効果が非常に期待できるということであります。結局間伐等をしますとチップ材など端材が出てくるわけであります。この道筋が決まってくるとそういう切り出しの促進につながってくるわけでございます。それでこれが今まで今もお話しにございましたバイオマス発電所の立地ということで東部と西部とそれぞれに大きな塊を作ってやっていこうということを模索をしたわけでありますが、残念ながら発電所を経営する企業さんの方のいろんなこう思惑や考え方がありまして変遷をしてきております。
従いまして、ストレートに東部でそういう木質バイオマスチップを活用した発電所ということにならない状況になってきておりますが、それに代わるものとして受け皿ができることになります。この山陰丸和さんが仲介になって別の発電所等へこのチップ材を送り出して活用していくということで、実質上発電所が出来るのと大きく変わらないような木の流通プロセスが出来上がると期待しております。これによって森林整備が進み、また森で働く若いかたがた等の雇用が促進をされるというふうに我々期待しておりましてチップ材の工場自体のこともこれありですけども、その周辺に与える波及効果ですね、これは大きいと思います。従いまして、この度6月5日に調印式という場面では、これは森林組合の関係のかたも調印に加わっていただいて、そういう木材の提供も加えたそういう変則的ではありますが、立地の協定にしようというふうに考えております。
20 規制改革会議による農業協同組合の見直し意見等について
○時事通信 平野実季 記者
2つあるんですけど、1つは農業委員会、JAの中央会の改革についてで、その中央としては役割を果たしていないというような見方もあるけども、その現場、知事としては現場の実情をよくよく見ながら改革してほしいということで、どういった点に知事としてはその中央の認識と現場の認識の違いがあるかっていうところをもう少し具体的に教えていただけたらなというのが。はい。
●知事
はい。JA〔全国農業協同組合〕改革については、この度、規制改革会議でパッケージでさまざまなことが出されています。1~10まですべておかしいというものでもないのかも知れません。問題意識としては、例えば組合員と準組合員が居て、そういう現実のJA〔全国農業協同組合〕の姿をどういうふうに考えるかということがあったりしますし、それからそのJA〔全国農業協同組合〕のやっている仕事として、例えば信用関係の事業、金融関係の事業だとか、それから営農指導とか、それから販売だとかいろんなものがありますよね。こういうものを今混然としているわけですよね。それでそういうものを整理をすると言いますか、強化をする、合理化をするという観点なんだろうと思います。ですから、問題意識として全否定するつもりもないですし、これをきっかけに十分な議論をしていただける1つの契機かなあとは思うんです。
ただ、どちらかと言うとJA〔全国農業協同組合〕という組織を壊すことに力点が置かれすぎているのではないかなという印象もあります。例えば、今現実に単位農協さんで、系統農協さんでやっておられるようなそういう営農指導などは本来財源が出ません。そういうものを裏打ちをするのは、例えば信用事業だとか、そうした別事業であったりします。それで単純にその信用系を国一律の1つの会社組織で株式会社化してしまうということになりますと、言わばその地域で皆で肩を寄せ合ってせっかく作り上げたお金の塊、資金を全部その営利企業である株式会社の1つの銀行の利益にしてしまって東京へ吸い上げてしまう。そうすると、地方のいろんな農業対策、現場に密着した対策について資金が回らなくなってしまうというようなこともあり得るんではないかなと思うんですね。だから、何らかこう農業を強くするために改革が必要だということは理解できないではないと思いますし、全否定するものでもありませんが、個別具体のどういう対策を考えるか、制度改革を考えるか、これやっぱり現場の声だとか実情をよく見ていただいて慎重に検討していただくべきものではないかなあというふうに考えております。中央会も、たぶん東京にいると分かりにくいじゃないかと思います。しかし、現場で見ていただければ、要は県内のいくつかのこの農協組織の潤滑油のようになって、コーディネートして1つの農政と言いますか、農業者へ向けたサービス、これを企画立案しているそういう機能が出来てきているわけですよね。
ですから、そういう意味で過大な組織が必要だとは思いませんけども、一定程度そういう調整役があってもいいのかもしれません。それを例えば県の農林部でやればいいということなのかもしれませんが、やっぱり行政とそれから農業者の協働組織とではよって立つところが違いますので、単純にそういうのをあっちへ持っていけばいい、こっちへ持っていけばいいということにもならないんじゃないかなと思います。従いまして、そういう意味で、十分現場の声を聞いて、地に足のついた改革を慎重にやっていただきたいという趣旨でございます。
21 拉致問題の早期解決に向けた国への要請活動について
○山陰中央テレビ 末次勝 記者
すいません。拉致問題の件なんですけども、明日というかたちで、具体的にはどういうふうに早期解決に向けてというかたちで。
●知事
これは早速うちの職員も〔米子市出身の拉致被害者松本京子さんの兄の〕松本孟さんとお話をさせていただきましたが、やはり被害者家族としては期待をつないでいるという状況です。今26、27、28〔日〕でいろんな議論がなされたと報道がされていまして真相はよく分かりませんが、再調査を要求する、あるいは向こうは朝鮮総連ビルのことを提示する。こうしたいろんなバトルがあったんだと思います。それで、かつて再調査を約束したときのような状況にはなっていないわけでありますが、継続して議論をしましょうという別れ方になっていますので、松本〔孟〕さんの言い方を借りれば、最悪の自体は回避されていると、つまり全部ご破算になってしまうということですね。ですからこれからまた望みをつないで交渉していくということになりますが、政府としてこれはどっかで政治決断をしなきゃいけない時期がくると思うんですね。それで、担当者同士、事務レベル同士での折衝で済むのかどうか、いずれは国対国、そのトップ同士での解決、模索ということもなければ事は前に進まないのかもしれません。過去の拉致被害者対策が、そうした北朝鮮の実情というものをあぶり出してきたように思います。
従いまして、政府に対して、そういう被害者家族の声を届けさせていただき、ぜひこの機会に、解決に向けて踏み出していただきたいと、きちんとした折衝を毅然として行ってもらいたいと、これを改めて申し入れる必要があるかなと判断をいたしております。まだまだ交渉過程でありますから、これで決着するとかいうことでもありませんので、まずは事務的にも話をお届けをさせていただきたいということであります。
22 原発事故に伴う避難時の鳥取・島根両県の協力体制について
○山陰中央新報 太田満明 記者
すいません。1つ教えていただけませんか。ずっと気になっているんですけれども、原発の避難計画の問題です。境港のかたがたっていうのは、確か避難する前に、何分間か自宅待機の時間があると思うんですけれどもね、その期間というのは、島根半島のかたが避難する時間だろうと思うんですよ。そうしますと島根県のかたが避難するときに、これは例えば島根県のかた、職員が、何か自宅待機している境港の市民に対して、何か対応するとか、あるいは島根県のかたが避難するときに島根県の職員が誘導するとか、その辺の関わり方というのは何かあるんでしょうか。あるいは境水道で鳥取県側とバトンタッチするという具体的な問題をお伺いしたいなと思っているんですが。
●知事
これは今両県で話し合いながら我々は避難計画を作ってきておりまして、これは他所の地域とは全く異なるところです。昨日〔28日〕も中国地方知事会で率直な意見交換をさせていただきましたけれども、溝口知事ご自身もそういう意味で、中国地方は非常に全国的にも進んでいると、それは溝口〔善兵衛 島根県〕知事としては感謝の気持ちも込めておっしゃっておられたと思います。現実には、さっきのシミュレーションでありますけども、21時間45分というのは、近い方から順番に逃げていくということを認めた場合であります。そうするといっぺんに出て渋滞を引き起こすよりは、早く逃げられると。ですから全体の利益になるわけですね、それは全体の利益であると同時に、もちろんそこに住まわれているかたがたの個別の利益にもなるわけです。そういう意味で極力避難時間を短くする意味ではストーリーが、我々が想定していたものとシミュレーションの結果は合致をしてきているんではないかなと思いますが、もちろんシミュレーションですから、評価はそれぞれのかたがしていただけたらいい話だと思います。
当然ながら役割分担を煮詰めていく必要がございます。我々としては、そのPAZ予防的措置準備区域〕のかた、近いかたが逃げていくときは、我々の方は、それは国の方針なんですけども、我々UPZ〔緊急時防護措置準備区域〕が避難し始めるのは国が指示を出してからになりまして、その前にPAZ〔予防的措置準備区域〕を逃がすわけであります。それで、この近いかたがたが逃げる間は我々はそこを我々の弓ヶ浜を、弓浜半島を通過していくのを見守らせていただくと、それを例えば県警であれば交通整理だとかですね、そうしたかたちで協力をしていきますし、また我々の方での30km出たあたりで、どっかでスクリーニングポイント〔汚染検査所〕を作ってやっていくと、それは鳥取県の方でも協力をしながらやっていくと、それは当然ながらそうした役割分担を両県間でもやっていく必要があるんではないかなと思います。
昨日〔28日〕、岡山、広島と島根との間で協定が結ばれましたけれども、それは溝口〔善兵衛 島根県知事〕さんとちょっと昨日も相談しましたが、一種のアンブレラ協定だと言うわけですね。具体的にはその避難のことは十分決まってはいないんですけども、全体としてそれを、支援をしていくということで、立地〔自治体〕と周辺〔自治体〕の岡山、広島が合意をしたということでありますが、おそらくその問題の背景には、問題意識の背景には、例えば、避難して逃げてこられるときに、スクリーニングポイント〔汚染検査所〕はあって、それで除染されたかたち、その放射能を被ばくしていないかたちで流入してくると、そうでないと、ちょっと避難所の設営ができないとかいろいろあるんだと思います。その能力は鳥取県持っているんですけど、岡山、広島は持ってないわけですよね、ですから、その意味で島根県側もそこのところは避難した向こう側のことも考えて、島根も当然ながら力を割きながら、円滑な避難をさせていくということでの協力関係です。それで、我々のところは周辺〔自治体〕ではありながら、国と交渉して全国でいち早く装備を今整えつつありますので、一定の能力は備わっているわけでありますから、そういう協定は、結ぶことなく、むしろ鳥取県側も島根県の避難者に対して、一定程度協力をさせていただく能力もあるし、それをやるべきだろうと考えております。それを睨んだ避難計画を策定してきているというようにご理解をいただけたらいいんじゃないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
分かりました。特別にだから島根半島とか、大根島のかたがたが、弓浜半島を通るときに対して、ことに対して、鳥取県と島根県の間で特段な協定とかそういうものは必要ないということでよろしいんでしょうか。
●知事
それは両県で一緒になって、今避難計画作っていますので、それを話し合う、そうしたことを話し合う原子力安全の対策会議を、明日〔30日〕がまさにそれなんですけども、それもすでに設置をしております。従いまして、この両県間では、特段そういう岡山、広島のように協定を結ばずとも、そうしたことをやっていき、鳥取側の資材や人材も活用して島根の避難者もお支えをしようという目論見でございます。
○山陰中央新報 太田満明 記者
分かりました。
○日本海テレビ 高井和代 記者
では、よろしいでしょうか。では、これで終了します。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。