「景気基準日付」とは、景気の拡張・後退局面の転換点を示す日付のことです。転換点には景気の「山」と「谷」があり、谷から山までが拡張局面、山から谷までが後退局面とされます。また、谷から山を経てまた谷へと至る景気の動きが「循環」と呼ばれます。景気基準日付の設定は、主に景気動向指数にもとづいて行われます。
国の景気基準日付の設定は内閣府経済社会総合研究所によって行われており、昭和26年6月を最初の循環の山として、現在までに第14循環までが確定、第15循環が暫定設定されています。本県については、国の第6循環から第14循環に対応する景気基準日付まで設定してきました。【表1】
本県の景気基準日付は、基本的に内閣府経済社会総合研究所による設定方法を準用し、次のように設定しています。
- 鳥取県景気動向指数(CI・DI)の一致指数を構成する8つの指標について、それぞれの値の動きに応じ、個別の転換点(山・谷)を設定します。この指標ごとの転換点は、「ブライ・ボッシャン法」という統計的手法によって判定します。
- 各指標について、谷から山に至る期間をすべて拡張(+)、山から谷に至る期間をすべて後退(-)として、月ごとに全8指標のうち拡張を示す指標の割合(+の指標の割合)を求めます。この割合を「ヒストリカルDI」といいます。
- ヒストリカルDIが50%ラインを上から下に切る直前の月を景気の山、下から上に切る直前の月を景気の谷として、景気基準日付の候補を決めます。
- 候補をもとに、さらにCI一致指数などを参照して景気の量的変化の程度や各局面の長さについて検討し、総合的に判断して景気基準日付を設定します。
前回の景気基準日付(平成18年5月が山、21年3月が谷)以降について、本県のヒストリカルDIの推移を見ると、平成23年5月から50%を下回り、その後、24年9月から上回っています。したがって、それぞれの直前の月である平成23年4月が景気の山、24年8月が谷の候補となります。【図1、表2】
注)シャドー部分は、景気の後退局面(以下、同じ)。
この候補にもとづく各局面について、本県のCI一致指数(平成22年=100)の推移を見ると、後退局面の下降率がやや低いものの、過去の循環と同程度以上の量的変化となっています。また、各局面の長さについても、循環を構成する充分な期間となっています(注)。【図2、表3、4】
局面転換のタイミングに関しては、今回は国と比べて山候補が1年も早くなっています。これは、平成22年春頃から製造業において県内主要企業の再編・撤退が進み、大規模な離職者も出たため、生産面・雇用面の指標が低下し、全国的動向よりも早く景気の後退局面を迎えたものと見られます。
以上を総合的に判断すると、平成23年4月を景気の山、24年8月を谷として設定してよいと考えられます。ただし、今後、景気動向指数の採用指標の入れ替えなどを行った場合、ヒストリカルDIの値も変化する可能性がありますので、今回の設定はあくまで暫定的なものとします。