今年、平成27年は、最も重要な統計である国勢調査が行われます。
日本で最初の国勢調査実施は今から95年前、大正9年のことでした。とは言え、それまで人口統計がなかったわけではなく、明治初めの戸籍をベースに年々の生死・移動の届出を加除することで算出されていました。
しかし、この方法による人口統計の精度は高くありませんでした。特に大きな問題は、転出の届出漏れが多く、移動前の住所地で人口が過大傾向になったことです。
鳥取県のデータを見てみましょう。
グラフのとおり、明治・大正期の現住人口統計は明らかな増加基調でしたが、大正7年には大幅減に転じます。これは実勢の反映だけでなく、届出の不備を整理しようとして生じた統計上の断層という面もあったと考えられます。
ただ、この下方修正も不充分だったようで、大正9年国勢調査の県人口は、同年の現住人口統計より約1万3千人少ない結果となりました。調査の時期や対象に違いがあるため単純比較はできませんが、それだけ精度の向上した人口が国勢調査により得られるようになったのです。
今も昔も、正確な人口統計は行政施策の基礎であるのみならず、貴重な歴史の記録となります。本年10月1日の調査実施にあたっては御協力をお願いします。
本ページは、平成27年2月12日付「日本海新聞」掲載の同題コラム(鳥取県地域振興部統計課執筆)からの再録です。