米川は鳥取県西部を流れる一級河川「日野川」から取水している農業用水路ですが、日野川は度々渇水を起こすなど流況が不安定で慢性的な水不足に悩まされており、国営中海土地改良事業により新たに造成された217haの干拓地は、水利権を取得することが困難でした。
この対策として、米川の水を無駄なく利用できるよう、国営事業で水路断面の拡大や水路・樋口の漏水解消をし、県営事業で米子空港下の暗渠や支線水路の漏水解消等の改修整備を実施することにより、必要水量を確保することとしました。
しかし施設の整備は進められたものの、米川は上流優先の水利用であったことから、安定して農業用水を弓浜半島下流域や干拓地へ送水することができませんでした。
米川の水を安定して送水するには、米川用水路の約350ヶ所の樋口において適時適切に取水する新たな水利慣行の定着が不可欠でした。
そこで米川土地改良区では水路パトロールにより、過大な取水となっている樋口の開度調整を行うなどの取り組みを行っており、鳥取県では、この取り組みを支援するため、適正な取水量の調整が容易になるよう、米川の水深(流況)に対応した各樋口の開度表を作成すると共に、米川の起点から終点に至るまでの流量や消費水量の調査を実施して、取水調整の効果検証や課題の把握および対応案の策定などを行いました。
現在では、農家の皆様、米川土地改良区等、関係者の連携により、米川の水が有効活用(適時適正取水)され、安定送水につながっています。
米川
水利調整状況(流量観測)
米川支線水路 調査状況