平成28年1月4日(月)午前9時45分から
県庁講堂
職員の皆さまにおかれましては、この新春、輝かしくご家族、地域の皆さまとともに、お迎えになられたことと思います。今年はあまり雪もなく大変に晴れ渡るといいますか、天気が少し暖かいくらいの年の初めになりました。今日もいい天気になっているわけでございまして、ぜひ、こういう穏やかな、そして未来に向かって夢が持てる、そんな1年に職員の皆さまにはしていただきたいと思います。皆さまご自身の暮らしやあるいは身の回りのこともそうでありますし、また鳥取県政につきましても応分の力をいただけなければなりません。この年は地方創生、元気づくり展開の年であります。我々が昨年英知を結集して、市町村、各種団体そして住民の皆さま、企業の皆さまなどなど多くの方々のご意見をいただきました。これを基にして作りました元気づくりが本当に実現するのかどうか、これが試されるのが今年だと思っています。昨年はロケットスタートをしようじゃないかと皆さまに申し上げました。それに向けましてロケットが発射台に乗っかったのが去年1年間だと思います。そして今年はそれがリフトオフをしていく。いよいよ種子島の発射台から噴煙を上げて空に向かって天空高く昇って行くそのときであります。
このリフトオフには大切な条件があります。それは今までやってきたこと、惰性として慣性としてやってきたこと、その世界から離れなければなりません。リフトオフには多くのエネルギーを必要といたします。そんな意味で皆さまには存分にお働きをいただき、県民の皆さまを、そして鳥取県を高みへ高みへと運んで行くその打ち上げの年にしていただきたいと思います。これが上手くいきますと、いずれは大気圏に出ていきまして、軌道へと乗っていく、それが地方創生、元気づくりが目指すところであります。
鳥取県は小さな県、人口最小県というふうに言われますが、私たちがやってきたこと、これまでの積み上げの成果も少しずつ表れているようにも見えます。例えば、昨年末明らかになりました、人口統計、国勢調査を見ますと、57万3,000人が10月に暮らしていたというデータになっています。これは、5年前の調査から比べますと、2.55%の減ではありますが、あの日本創成会議が作りましたそのデータは、3.65%減でありましたから、これよりは良くなっているというわけであります。ですからこの成果を、ぜひこれから良いところをどんどん伸ばしていく。そしてこの度考えた、まとめ上げた、市町村とともに作り上げたことを、それぞれの地域で行っていく、これが大切であります。それができるかどうか、それは職員の皆さまがいろんなところに耳を傾けていただきまして、市町村であれ、あるいは住民の皆さんであれ、企業であれ、あるいは環境関係者等々いろんな方々と話し合いを始めて、そして「やろうぜ」と声を挙げていただくことであります。リフトアップをしていくためには、実際に動くがなければモーションがなければいけません。それが今年の大切な大切な課題になってくると思います。
職員の皆さまは全国に先導してこの作業をやってきたわけでありまして、自信を持って取り組んでいただきたいと思います。それぞれにいろんな課題があろうかと思います。例えば地方創生ということでいいますと、新しい市町村とのパートナーシップを築いていくことが大切でありますし、自らの財政の規律も正していかなければなりません。年末の地方財政対策では十分な一般財源が得られたというふうに言っていますが、それは大都会の世界のことであります。すなわち地方税は確かに伸びるでしょう。しかし、鳥取県はそうかというとそうはならない、これが残念ながら法人課税などの総量が低い鳥取県の現実であります。ですから、よほど工夫していろんな事業をやっていかなければなりません。また、市町村とのパートナーシップを築いていくことも大切でございます。そういう中からさまざまな動きを起こしていかなければなりません。元気づくりを進めていくためには、少子化対策も1つ、これも保育料の無償化に続きまして、4月からは新しく、高校生まで小児医療費の助成制度が始まることになります。これに留まる事はないと思っています。ですから、市町村とよく話し合いもしながら、次のステップとして少子化対策どんな手を打つべきか、これを現場のお父さんお母さんたち、あるいは子どもたちの状況をみて考えていかなければなりません。
特に考えなければならないのは低所得者対策もあろうかと思います。貧困の連鎖ということを断ち切っていかなければなりません。鳥取県は全国でも先駆けて、低所得者対策の計画をまとめ上げました。しかしこれは、とりあえずまとめたという格好だと思っています。ですから、これをバージョンアップをしていくために、子育ての王国の会議の方で諮って議論をしていただく必要があります。具体的に未来塾というような、そういう事業を展開をして、少子化対策あるいは教育対策として進めていかなければなりません。年末には相談窓口を作りました。そこにいらっしゃった、相談に来られた方は、実は一昨年と去年の年末と比べてもあんまり変わってないんですね。景気が良くなった良くなったと言っていますが、困っている人たちの数があまり変わっていないのかも知れません。そのことを県庁の中にいると忘れてしまいがちでありますけども、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
また、交通につきましても、飛躍を遂げていかなくてはなりません。いよいよ私たちは香港定期便にチャレンジをしたいと思います。そのための環境づくりを進めて、今月中にその方向性を勝ち取っていきたいと思います。正念場にさしかかってきました。それだけではなくて、チャーターフライトも含めて夢を実現していかなければなりません。また、大海原も開かれています。去年の倍、倍以上のお客様を得たい。4万人、5万人というオーダーで、その乗降客をクルーズ船でゲットしていく。それに向けては環境づくり、バスの整備であるとか、おもてなしであるとか、そうしたことが必要になってくるわけであります。観光こそ、私たちの次世代のキーワードになると思っています。すばらしい自然があり、スポーツや文化の魅力がある。そんな意味で、私たちはこの年、取り組んでいかなければなりません。
昨年のジャマイカ来県によります成果をものにしなければいけない、そんな意味で、ウエストモアランド県との姉妹友好締結をしたいと思っております。これがステップになりまして、東京オリンピックの年にまたジャマイカがやってくるなど、スポーツリゾート、また自然のリゾートとして、ジャマイカのビーチと共通した私たちの魅力を世界へ訴えかけていきたいというふうに思っております。また、文化につきましては、BeSeToの芸術祭が、演劇祭が開かれることになります。これは3年に1度日本に回ってくるわけでありますが、今までは東京でやっていたものを、この鳥取でやるんだ、関係者が燃えています。これを鳥取県としても支えていきたいと思っております。全県的にその演劇のすばらしさが、一流の演劇が見られる、そんな年回りになると思います。スポーツにおきましては、障がい者のスポーツもあり日本パラ陸上が4月29日から5月1日にかけて開催をされることになります。それに向けて急ピッチで布勢の公園も整備をしていかなければなりません。また、WTC、ワールドトレイズカンファレンスがいよいよ開催をされます。世界へ向けて鳥取のウォーキングのすばらしさ、これを伝えていく年になると考えております。いろんなテーマがありますけれども、そんな意味で外に打って出ていかなければなりません。そのための交通結節を造っていく必要があります。今年度中に岩美インターチェンジまでの開通を目指して、今、岩美インターチェンジから浦富インターチェンジ間の開通を目指して動いていきます。
また、あわせまして、山陰全体でいえば八鹿・氷ノ山から日高まで、東の方では繋がってくることになります。こうして、アクセスをどんどんと良くしていくこと、防災対策も含めてやっていかなければなりません。心配な河川の点検、これを新年度中に終える、これは必須アイテムであります。そして国土強靭化計画が本格稼働する、この年に、いろんな危険箇所をなくしていかなければなりません。イエローゾーン、レッドゾーンと言われるものがあります。イエローゾーンは大体終わりましたけれども、レッドゾーンがまだ残っています。これがこの年の課題になろうかと考えております。
また、障がい者福祉、高齢者福祉等々で鳥取県は進んでいかなければなりません。高齢化の先進県である以上、CCRCの受け入れ母体として適性があるはずであります。このCCRC事業は、今年いよいよ採択というときを迎えてくるのだと思います。それに向けて私たちは動いていかなければなりません。また、障がい者につきましては、障がい者の芸術文化を世界へ広めていく、リオデジャネイロオリンピックのこの年、パラリンピックのこの年に、そうした意味で私たちは世界に向けて障がい者芸術文化の祭典を組織していく必要があります。県を越えた県境を越えた連携を進めていかなければいけないと考えております。
県民の皆さまの安全安心を図っていくという意味では、原子力防災もいよいよ正念場の年であります。恐らくは廃炉に向けた動きが1号機で本格化すると思います。これについて、鳥取県としてどういう意見を言っていくか、さらに高浜原発が再稼動しようとしています。これに向けまして、私たちも島根原発2号機のことを考えなければいけません。それを考える前提として、原子力環境センターをオープンさせるなど、原子力安全対策を飛躍的に進めていかなければなりません。
また、それと裏腹に、環境エネルギーについての試みを進展させる必要があります。私たちはいち早く太陽光発電に取り組んできました。また、企業局も含めまして小水力発電の再整備に取り組み始めています。次世代を見ますと、次は水素ということになろうかと思います。この水素エネルギーについては、日本海側でまだ実証実験に取り組んでいるところはありません。私は皆さんと一緒になりまして、企業と一緒になりまして、この試みに挑戦をすべきときではないかと考えております。そんな意味で水素エネルギーに向けては、鳥取県はそのファーストステップの年にしていきたいと思います。また、安全安心を勝ち取っていく意味で、中央病院の建設に向けていよいよ動き出す、これがこの年ということにもなろうかと思います。
こうしたいろいろな事業をしていく前提としまして、やはり若い人たちも含めて生業の場所、所得を稼ぐ場所が必要であります。鳥取は自然に恵まれています。農林水産業にはいいところであります。またそのおいしいものを売り込んでいく、それに向けても梨をはじめとして、鳥取には先進的なノウハウも今までありました。これを活かすべきときであります。
一方で今日始まります国会におきまして、TPPの議論が本格化するということになります。現場は震えています。その震えに対して、私たちはしっかりとした財産を作る必要があります。それが生産力であり、海外も含めた販路であります。またもう1つは人材であろうかと思います。そうした財産を作っていくことで農林水産業の強みを発揮していかなければなりません。これは商工業を初めとしたサービス産業等も含めました様々なサラリー所得の、給与所得者にも言えることであります。この年には、今まで誘致をしてきたことで航空機産業や自動車部品の産業、それから医療機器産業、この工場が今年オープンすることになります。今までなかった産業の地平が広がろうとしています。大切な年になるのもこの産業界だと思っています。また、あわせまして源吉兆庵をはじめとした食品加工、こういうお菓子も含めた食品系は鳥取県の強みの産業分野でありました。国際認証を取るなどしてこうした分野でも強みを伸ばしていかなければならないと考えております。
その前提としては、雇用を繋げていくことも必要であります。今、鳥取県は1.21まで有効求人倍率が上がりました。それで、中小企業では人材不足感が出てきています。その人材不足感を打ち破っていくための施策を県の産業界が期待しているところでありまして、新年度に向けましてそうした予算措置も考えていく必要があります。また、国の事業も活用しながら、この1月6日には産業の戦略人材のマネージャーを任命をしようと思います。このマネージャーによりまして新規産業を開いていく、経営力のアップを図っていく、そして、有為な人材、サービスや観光なども含めまして引き込んでいく、そういう最初の着火点にしていきたいと思います。私たちはこういうふうに新しい地平に向けて乗り出してきたわけであります。そのための人材を作っていく意味で、未来人材の基金が動き始めて奨学金制度ができました。それを新年度は拡充をしていく必要があります。非常に評判がいいからであります。また、子どもたちの教育でも、小中学校の連携であるとか、そうしたことなども含めまして新しい事業にチャレンジをし、ICTの活用など新技術も投入をしていく必要があるかと思います。
こういうようにして、新しい地平を有為な人材とともに切り開いていく、それを今年始める必要があります。皆さまこそ、そのムーブメントを底辺で担っていくべき、そういう人材であります。この人材バンクである鳥取県庁が動くことで世の中が変わります。鳥取県が良くなります。そして、地方創生が見えてくるわけであります。今日はワールドトレイルズカンファレンス、中部のキャラクターもこの会場にやってきたそうでありまして、そんな中部に実は1,300年前に赴任した人がいました。それは山上憶良でございます。716年、その年に倉吉にある今の県庁、国府にやってきたわけでございます。
瓜(うり)食(は)めば 子ども思ほゆ 栗(くり)食めば まして偲(しぬ)はゆ 何処(いづく)より 来(きた)りしものそ 眼交(まなかひ)に もとな懸りて 安眠(やすい)し寝(な)さぬ
銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及(し)かめやも
当時、山上憶良が夢見ていた、温め続けていたそういう家族の絆があり、そして、地域の絆があり、自然の中で暮らしていく、ゆったりとした自分なりの時を過ごしていく、その鳥取型の地方創生、元気づくり、ぜひ今年展開していきたいと思います。皆さまのご協力を心からお願いを申し上げたいと思います。しかしながら、ワークライフバランスがその前提になります。それぞれの職場で、職員の職場の環境、つつがなく過ごせるように皆さまも汗をかいていただきたいと思います。そして、ご家族とともにこの1年、健康を大切にしてお過ごしをいただきたいと思います。皆さまとともに鳥取県がこの年、輝かしく発展することを願い、皆さまのご健勝を願い、私からのメッセージといたします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。