●知事
皆さま、おはようございます。だいたいひと月が経とうという時になりました。あの10月21日の大地震から時が経過をしてまいりました。これまで県民の皆さま、市町村、そして関係団体、いろんなかたがたと力を合わせて災害の対策に追われるようなひと月であったかというふうに思います。この間さまざまなかたにもお世話になりましたことに感謝を申し上げたいと思いますし、まだまだ道半ばでございまして、多くのかたがたのご支援とご協力を仰ぎながら1日も早く平常の暮らしを取り戻せるように全力を挙げていかなければならないと考えております。11月21日にちょうどひと月という節目になるわけでありますが、その時に鳥取県として災害復興本部を立ち上げることにしようと思います。この鳥取県中部地震復興本部におきまして、今までのマイナスを何とか止めようとする、そういう災害の応急対応からそれをゼロ、さらにはプラスへというふうに変えていく局面の転換を図っていくような、復興対策に向かわなければならないと考えております。今まで応急復旧を道路等でやってきたり、また、家屋について被害状況の調査を進めてきたり、そうした災害対応を精力的に進めてまいりました。これまでの、従来の大規模災害に比べますと、これまでの進展は比較的早く展開できていると思います。
その背景には各方面から多大なご協力をいただいたことでございます。昨日[11月17日]は関西広域連合議会に出席をさせていただきましたが、関西広域連合議会で衆議一決して鳥取県の風評被害防止等政府の対策を求める緊急決議をしていただきました。また、その前の日[11月16日]には中国地方知事会におきまして、こうした風評被害のみならず災害復旧にかかる財源の手当てであるとか、また、各方面にわたる被害対策、それを求める緊急アピールを中国地方知事会としてしていただき、経済界とともにございました中国地域発展推進会議におきましても、こうした風評被害を打開するための鳥取を応援しようという、そういうアピールをまとめていただいたところでございます。現実にも発災以来、初日から始まって次々に各方面からの応援にも来ていただきまして、比較的早く対策を進めることができたと思っております。
ただ、現状におきましていろいろとその課題は大きくのしかかっているわけであります。例えば、その風評被害で言いますと、11月15日の段階で2万8,967[件]のキャンセルがあったと集計をされました。2万9,000[件]近い数となりました。これだけでなくて、例えばエアソウルで言いますと43.9%という搭乗率でございまして、予想していた、すなわちエアソウル導入前には8割ほどの予約率があったものでありますから、それが急激なキャンセルに見舞われているというような壁にもぶち当たっているところであります。バスあるいは旅館、そうしたところで従来にはない閑古鳥が鳴くような状態がきておりました。
今、私どもで10月25日に緊急の補正予算を専決というかたちでまとめまして、また、市町村でも三朝町が特別対策を打つなど次々に策を繰り出しております。私自身もキャラバンに向かいましたけれども、大手の旅行会社、さらには今、JRの方でも京阪神地区で、中吊広告で鳥取の応援をしていただいていたり、また、全日[本]空[輸株式会社]さんにも特別の料金割引などもお願いしたいというふうに働きかけておりまして、先方としても、今、真剣に検討していただけているという状況になってきていたり、いろいろと応援してくださる向きも増えてきたと思います。そういうような効果もありまして、三朝町ではクーポンを出しましたが、即日なくなるぐらいな人気でございましたし、鳥取県としてもバスツアーの造成をしようということで、特別なバス支援を始めたところでありますが、宿泊関係では600台、日帰り関係では500台、合計1,100台のお申し込みが来るという大変な盛況になってきております。もちろんバスツアーというのは催行人員がまとまらないと発車しないわけでありまして、経験則からすると1,100[台]そのままこちらに入ってくるというよりはその何割掛けというようなかたちでたぶん実現するということかと思いますが、そういうような申し込みもいただいているところになってまいりました。
キャンセルは止まってきた状況ではありますけども、新しい予約にまだ十分向いてきていないと、少なくとも地震からあとの穴が開いたマイナスの状況は埋め合わせるということに至っておりません。政府の方には我々も繰り返し働きかけをしてきておりますが、先の15日の谷合[正明]参議院議員の[安倍晋三内閣]総理[大臣]に対する質問に答えまして、総理の方からは鳥取応援プログラムというのを考えてみたいという言葉が出てきております。私どもも、今、事務的にいろいろと調整、要請活動を進めて、私自身も行っておりますけども、そういう中で具体化してくるのではないかなというふうに思います。例えばこのことで言えば、来週以降そうした政府も含めたいろんな応援がいずれは出てくると思いますし、年末とは言わず、多分1月、2月、3月、普通ですと閑散期の時にもお客様を呼び込むような、そういう復興へ向けた、むしろ前向きな動きを作り出していければというふうに考えております。厳しいところで言いますと、住宅がそうでございまして、昨日現在では1万3,088棟の家屋被害があるということになりました。たぶん数字は今調査に従って増えてきておりますので、家屋被害調査が進むと数字が変わってくるだろうと思います。
この被害対策については、昨日[11月17日]、一昨日[11月16日]中国知事会や関西の知事さんたちにも直接お願いもさせていただきまして、おそらく[11月]28日以降くらいになると思うんですが、今度は二次の住家被害[認定]調査が始まると思います。それに向けて、また他県からの応援も仰ぎながら、二次の家屋被害調査、これに向かわれるそういう世帯に対する対策としてやっていきたいと思います。ただ、私ども住宅については住宅再建に向けた改修、一部損壊につきましても県独自の助成制度を作らせていただきました。これが、熊本等々展開が違うところでありまして早めにこういうような対策を打ち出していることなどで、一次の審査が妥当と考えられる方が多ければ、二次審査の方に向かわれるかたは熊本ほどには増えないのかもしれません。ただ、いずれにせよ、これからちょっとまだ見込みにくいところでございまして、役場の方も貴重な、人員ということになりまして多くの人手をなかなか割きにくい状況でありますので、県外からの応援も引き続き求めていく必要があるかなというふうに考えております。
こうしたこととあわせて災害復旧の歩みということで言いますと、応急復旧はとりあえず済ませて、今、簡易の災害復旧に向けた申請を国に向けても始めることになりました。国[土]交[通]省も1,500万[円]までそうした簡易型の復旧ということを認めるように方針を改めましたので、市町村含めて、私どもとしても対処しやすい状況にはなっていると思います。さらに来月[12月]の上旬には、国土交通省で言えば本査定と言いますが、本格的な災害復旧に向けた査定を従来の災害よりも前倒しをして、来月[12月]上旬には行うということになってきております。そうしますと、市町村にそのための必要な人材を送り込むことも含めまして、我々としてできるだけ早く雪が降る前にも片付けられるところは片付けていきたいというふうに考えております。
商工関係につきましては、これは地震の直接の揺れで被害が出ました。それで、その被害によりましてこれを直さなければなかなか操業が完全にはやれないということなど、そういう事業への影響があると言っておられる会社さんが少なからずいらっしゃいます。それで、私ども商工団体と一緒に1,100社ほど調査を進めておりますけども、180社が何らかのかたちでサポートを必要としていると。例えば無利子融資であるとか、それから補助制度であるとか、そういう回答状況になってきております。また、風評被害的なことが手伝いまして売り上げが立たない、立ちにくいという状況で、そうした意味でも経営面での対策も必要ではないかということです。すでに無利子無保証によります融資制度を適応しておりますが、これを採択された事業者さんも出てきております。
また、今週から経営革新制度の復旧復興枠というものを設けまして、最高200万円まで県費を助成をする、そういう制度も動かし始めたところでございます。こういうことなど通じて、一つ一つの会社ごとにこれやっていかなければならないことでありますが、柔軟に諸制度を適用して復興への道筋をつけていかなければならない状況だと考えております。こういう中で、非常に頑張っておられるかたがたがIターン、Uターンの方々にも出てきています。例えば湯梨浜[町]の松崎地区であるとか、倉吉[市]の明倫地区であるとかそういうところで移住されてきた若いかたがたが、なかなか若者が少なくなってきている中で、被災者対応、避難所お世話等々されているというような話もございます。こういう鳥取らしい絆というものが生きた中で私たちは暮らしているんだ。そういうポジティブな情報もこれから発信をして移住対策や観光等風評被害を払拭するように進めていけないだろうかというふうに考えているところでございます。
農業についてでございますけれども、1つは落下した梨については一通り販売を終えました。それで、樹上に残った梨については特別価格での販売も始めたわけでございます。ぜひそうした展開を今後図って少しでも落下被害の損失の穴埋めになればというふうに考えております。また、この度の被災によりまして共同の選果場が被災をするなどして、共同利用施設にたいへんな影響が出てきております。この共同利用施設について、私どもの方でもできるだけこう受益者である農業者の負担を減らすべきではないだろうか。そのための措置を検討してまいりました。それで、国の方では災害復旧で10分の2の国助成ということになります。ただ、これでは十分でありません。先般、[山本有二]農林[水産]大臣ともご相談させていただきましたけれども、生産力を増強するための他の補助制度を使って、5割程度の国助成は可能であるということでご相談もできたわけでありますが、いろいろと市町とも相談をさせていただきまして、特別のやり方として10分の2の国の補助の制度の上に10の7の部分は、これは県と地元自治体とで折半をして負担をしようではないだろうか。それで残り1割になりますが、残りの1割が農業者負担というふうに、小さい負担で復旧に臨めるように、特別の対策を組ませていただこうと思います。
それで、この10分の7の部分につきましては、県と地元とで自治体独自の災害復旧対策のスキームを活用して、10分の8の負担のところを10分の1に縮める、そういう対策を取らせていただこうというふうに考えております。こういうことなど、今回これから予算の計上をするわけでございますが、11月[定例県]議会、来週開会する議会に関連の予算を上程をしたいと思います。それで、先ほど申しました住宅の支援でございますが、一部損壊も含めた支援ということでございまして、取りあえず専決で予算のスキームは作らせていただきましたけれども、現状の被害状況を考慮しまして、12億[円]上積みをして17億[円]の枠で今年度[平成28年度]やってみようと思います。おそらく修理にかさむところの世帯などは、来年度[平成29年度]というような対応もあろうかと思います。ですから今年度[平成28年度]の計上額としては17億[円]の計上で臨みたい、臨めるのではないかと積算をしておるところでございます。
また、商工業につきましても厳しい被害がございます。それで、当初私どもで西部地震の時のような無利子融資での対応を考えておりましたが、私自身も避難所に参りましたりしますと、お年寄りのお店の経営者が手を握り締めて、もう一度だけやってみたいというようなお話がきます。とてもそのお歳で借金をするということにはならないわけでありまして、小さなお店であれば私どもの経営革新の制度を活用してできるかな、そんな意味で柔軟な流用枠を作らせていただいてやろうということになってきたわけであります。ただ、そうすると枠が足らなくなりますので、この枠として3億円さらに経営革新の枠に乗せさせていただいて、全体のプールの中で、従来の経営革新制度を活用されるかたもいらっしゃるでしょうし、新枠を使われるかたもいらっしゃると思います。それで、そういう意味で3億円の増枠を11月議会に提案をしたいと思います。
この2つにつきましては、予算がないと執行がしにくいということになりますので、現場の方が委縮しないように、議会側の方にあえて予算を分けて提出をさせていただき、先議をお願いをしたいと思います。先議にご同意いただければ、これについて12月の早い段階、11月中にこの部分を動かすことができるようになります。また、その他にも先ほどの農林関係のこと等々いろいろと対策がございます。未来中心については既存の予算枠を活用して直していくことになります。これまで関係方面とも話し合いを重ねておりまして、また[11月]24日に話し合いの場を持つことにいたしておりますが、県の直営の組織でございますよりん彩という男女共同参画センターがございます。それで、このよりん彩につきましては、状況が比較的いい状況でございます。これは消防当局の検査等をする必要がございまして、その検査が了となれば早ければ11月29日に倉吉未来中心での窓口再開をしたいと思います。
これで倉吉未来中心の再興に向けて、まず1歩を踏み出すことになるのではないかなと思います。できれば[鳥取二十世紀]梨記念館「なしっこ館」については12月の半ばぐらいにお客様を迎え入れて、年末年始の繁忙期に対応できたらいいなというふうに考えておりますし、また、予約等年内はキャンセルをしている小ホールや研修室等につきましても、年明けまた再開をするということを目指せないかなと思っております。それに向けた応急的な対策、防塵対策、遮蔽対策等もした上で進めていければと思います。なしっこ館につきましては検証の結果、フルーツパーラーのところを通って出入り口を設定するということで、今、調整をしているところでございます。こういうことなどと併せて、今回予算として通常の予算組みも計上させていただきたいと思います。
例えばハウスによって農業のさらなる活力を作っていこうと、スイカであるとか、そうした作物がございますが、そちらの方を1億[円]強増額をして計上するということでありますとか、その他の生産増強対策ですね、農業関係でまた1億[円]強ぐらいというふうに考えております。また、畜産のクラスター事業、これについても1億[円]強増額をしようと、こうした通常の対策、予算も今回計上をさせていただこうとしております。
2 鳥取県薬物濫用防止条例の一部改正に係る検討状況
●知事
今次の議会には我々の方からいくつか条例も提出させていただきます。そのうちの1つは大麻関係で、私どもで今回起訴されて拘留されているという事案が県内で発生をしました。これについては地元の智頭町が、いわば町おこしの1つのチャレンジとして、その当事者の人の話を実現しようと走りまわって、そうした環境づくりをしていったことでありますけども、結果的に裏切られた格好になってしまったということでありました。それで、とりあえず[鳥取]県の薬物[の]濫用[の]防止[に関する]条例の計画上、位置づけまして、県内での対策、初動は取らせていただきましたが、1つの恒久的な、恒久的と言いますか、1つの法的な根拠づけも必要な部分もあるかと思います。
実は県民の皆さまの県政参画電子アンケートをさせていただきまして、それが昨日[11月17日]締め切られたところでございます。その結果として、大麻やケシの県内での栽培については、これは認めないということを条例に盛り込むことについて賛成とされるかたが過半数の6割でいらっしゃいました。反対というかたは13%程度でございました。ですから、圧倒的な多数のかたがそう望んでおられるということでありました。その背景として、その県民の皆さまの心理的背景を探る質問もございまして、「大麻の栽培を県内で認めるということで、そういうことに我々として望んでいない、興味を持つような人が流入してくるというふうなことに恐れを感じますか」という質問もあったんですが、これについては8割のかたが、そういう大麻の栽培を認めるということでそういう事案を誘発しかねないのではないかと、そういう心配を持っておられるという結果になりました。今回の事件が県民の意識にも大きく作用したのではないかなというふうに判断をいたしました。そこで、この度条例を提出をさせていただくことにいたします。
中身としては県の権限がございますが、県の権能としてこの大麻等の栽培に関わるところについては認めないという、そういうことをはっきり書こうというものであります。具体的には大麻取締法の関係で、県が大麻の栽培の許可を与えることになっています。前々回[平成28年10月19日の定例会見]申し上げましたように、それは割と白地で県の方に委任をしているようなかたちになっています。それで、私どもは、これはまちづくり限定だということで五重の縛りをかけて、他のものはできないように細工をした上で、条件をつけた上で許可をした。しかし、結果として今回の検挙になったということでございまして、我々の経験からはなかなかもう防ぎようがないということであります。そこで、この大麻の栽培は許可しないというふうに条例上明記をする。さらに、ケシについても、ケシの栽培許可は国の方にございます。その際、県が進達をして意見を付すことになります。それで、その進達して意見を付す際に栽培は認めないことを求めるということを条文上、書かせていただこうかと思います。
また、併せて、麻薬取締との関係で麻薬原料植物の栽培というものもございます。この麻薬原料植物を栽培をすることについて、さらに、こうした麻薬研究の資格というものを県で許可をするという制度もあるわけでありますが、これについても栽培前提のものでございまして、これも許可しないというふうに条例に書く、この3つを県に対する条例上の縛りとして課してもらうと。これにより鳥取県内は、他の地域とは違った、国の方では大麻取締法だとか、麻薬[及び向精神薬]取締法だとか、そういうものがございますけれども、そうしたこととは違った運用がなされる、つまり栽培が認められない、そういう地域となるということになります。こうしたことを薬物乱用防止条例の改正案として上程をさせていただきたいと思います。
3 歴史的公文書の保存・活用に関する条例の検討状況
●知事
それから、歴史的公文書につきましても、これも全国で例がないことでございますが、歴史的公文書の保存、活用についての条例[鳥取県における歴史資料として重要な公文書等の保存等に関する条例]を上程をいたしたいと思います。これについては、繰り返し今までも検討状況をご説明してまいりましたところでございますが、県の公文書館をそのセンターとして位置づけまして、歴史的公文書の保存や活用等につきまして、アドバイスを行ったり、時に調整を行うということにしようということであります。それで、県はもちろんのこと市町村や県民の皆さまにも歴史的公文書についての保存、またその開示と言いますか、利用につきましてもご配慮いただく、協力いただくということを条例の中で書かせていただくわけであります。それで、緊急時には一時避難ということも受け入れるわけでありますが、市町村の方は十分歴史的公文書の保存や管理ができるように、それをアドバイスをしていく、そういうような条例でございます。
●知事
こうしたことと併せてもう1つ条例改正を大きなものでは考えておりますが、これは、訪問看護は今一般的になり始めているわけです。病院の中、病院に通うということでなくて訪問看護でそういう健康を管理をする、ケアをするということが、今、進められてきているわけでありますが、[鳥取県]特別医療費助成制度がございます。それで、これの対象の訪問看護が認められておりませんでした。それで、この訪問看護について、やはり特別医療支援の対象にして県と市町村で折半をして支援していくということにしようではないかと考えております。これ、今日[10月18日]に至るまで市町村とも意見調整をしてまいりましたが、市町村側も同意をされましたので、今次の条例改正として提案をさせていただき、[平成29年]4月からの適用をしていきたいと思います。市町村側は県の条例成立を見て[平成29年]2月にそれぞれの議会と相談をするという運びになるかと期待をしておりまして、その意味で[平成28年]12月の議会の審議に供する必要があると考えております。
●知事
ロシア沿海地方との交流が25周年を迎えました。これは、私ども日本海を挟む隣人でございまして、四半世紀にわたる交流というものは、これからも継承発展させていかなければなりません。なかんずく今日、安倍[晋三 内閣]総理[大臣]は[ドナルド・]トランプ氏と会談をされましたが、12月には[ウラジーミル・]プーチン[ロシア連邦]大統領と会談をするという予定になっております。日露の関係も変わるところでありまして、ロシア沿海地方との友好の絆を深める必要があります。この度、両者の話し合いに基づきまして、ミクルシェフスキー[・ウラジーミル]沿海地方知事が来県をされることとなりました。短時間での滞在ということになりますけれども、それぐらい時間を割いて、労力を割いて鳥取に来られるということになります。具体的には[11月]24日の夜入って、25日にはまた出るという日程でございますが、25日の県議会で、ミクルシェフスキー知事が議会で演説をされること、それから、記念植樹を行うことなど、25周年の交流記念行事を行いたいと思います。
これに先駆けましてロシアから文化交流団等もやってきております。コバリョフ[・イリヤ]副知事や知事夫人の[ミクルシェフスカヤ・]イリーナさんもお見えになるわけでございますが、そうした要人のかたがた、芸能団のかたがたなどで、バードハットで交流記念行事[友好交流記念式典]をやるなど、両地域の友好を深めるきっかけにできればというふうに考えております。
●知事
これから11月の県議会が開催をされますが、例えばあいサポート条例「障がい者が暮らしやすい地域づくり基本条例(仮称)」でありますとか、それから中山間地の振興条例[鳥取県みんなで取り組む中山間振興条例]でありますとか、あいサポート条例は新設でありますし、中山間地の中山間地域振興条例は改定時期を迎えているわけであります。両者とも2月議会以降の上程ということにはなりますが、今次の議会においてもその骨格というか、素案的なものをお見せをしながら、県議会の方のご意見も取り入れてまいりたいと思います。
その際、今回の鳥取県中部地震の教訓も活かさなければならないと思います。中山間地、お年寄りが多い地域でございますが、そうしたところでも安心して暮せるような地域にしていかなきゃいけないわけでありますし、障がい者のかたの、今回、対策がどうであったか。これから、総括検証も順を追って、まずは事態が落ち着いてくる中でしていくことになると思いますが、そういうところで見えてきたあいサポート運動との絡み、障がいを知り共に生きる社会づくりとの関連、コミュニケーションの問題などを取り入れながらあいサポート条例っていうもの考えていきたいと思います。そうしたことなども含めて、来週議会の開会以降県民の代表者と志を共に鳥取県中部地震からの復興、そして地域の発展を目指してまいりたいと思います。私からは以上です。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
各社質問をお願いします。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
災害復興本部のことでお伺いしたいですけど、これ、具体的に例えばどれぐらいの頻度で会合を開いて、それからどういうことをやっていくのかっていうのを少し、これまでとどう変わっていくのか見えてこないんですが。
●知事
今までは災害復旧対策、災害対策本部でございました。ここでは例えば被害状況情報を共有して、今こういう家屋の被害、あるいは避難者が今で言うと20名強おられるとか、そういうことを、日々共有をしながら、必要な対策を進めていくわけです。例えば物資が必要であるとか、それから人材が足りないとか、そうした不具合を調整しながら、だんだんとこの復旧の進度を上げていくことであります。いわば災害で受けたダメージを、それを何とか止めようというマイナスに歯止めをかけるというところが1つの中心であります。しかし、現地の方に入ればお分かりいただけると思いますが、もっと前を向いて仕事をしていかなけれはならないことがたくさんあります。それで、今もう余震も大分治まってきて、実は避難所の方もたぶん倉吉市以外は終息にこの週末ぐらいなってくるんではないかと思われます。そういうように、だんだんと落ち着きを取り戻す中で、じゃあもう一度出直していくにはどうしたらいいんだろうか、こちらに焦点が移ってくると思います。
ですから、農業の課題であるとか、産業の課題であるとか、また、住宅を直すにも具体的に今度罹災証明が出てき始めまして今700通以上出たところでありますが、その罹災証明に基づきながら住宅の支援も一部受けながらそれぞれ皆さんが頑張って工夫をして家を直されるというところにいくわけであります。そうしたことで、それが円滑に進むように地域ぐるみでサポートをしていかなければならないと思います。例えば明後日の日曜日[11月20日]から、県の方でよろず相談窓口、総合相談窓口を中部の総合事務所の中に開設をしようと考えております。走りながらではありますけれども、住民のニーズに答えるような、そういういろんなカウンセリングをしたり、それから具体の施策がいろいろ出てきましたので、こういうことを組み合わせてどうですか、やってみましょうというようなことであるとか、また、専門家のかたにも入っていただいてということもあろうかと思います。
11月24日には県と士業の皆さま、さまざまな専門家のかたがた士業の皆さまと一緒の協定がございまして、その協定に基づいて11月24日には倉吉のエキパルで合同相談会をやることになります。こうしたことなどで次のステップ、地震から逃れるところから地震から立ち直るところ、そちらの方をやっていければというのが災害復興本部を設ける趣旨になります。それで具体的には、従来は危機管理部局が中心で言わば危機管理の専門家が言わば総合調整をしながら進めていきました。これからは、言わばその元気づくりの方に重点がいくべきではないかと思います。そこで、本部長は災害対策本部と同じように平井あるいは副本部長が副知事といったようなそういう体制になると思いますが、事務局長は森川[泰敬]元気づくり推進局長を充てまして、ここに総合調整をしてもらおうと思います。
それで、戦略的に復興への道筋を描きながらやっていくということになろうかと思います。住宅については、今、住宅対策の支援本部ができていまして、これを中心に対策に取り組んでもらうことになると思いますし、それから商工団体と言わばコーディネートしながら、個々のお店の再開を目指そうという方々への対策を進めるとか、また、それから学校の方では給食等々まだまだ課題もあるわけでありまして、そうしたことへの子供たちの対策であるとか、いろんな政策課題の固まりがあると思います。観光も少し息の長い取り組みにならざるを得ないと思うんですね。既にお客さまが減ってしまって収入に穴が開いてしまったところはどうしても残るわけでありまして、じゃ、年明けからどうやって反転攻勢かけていくのか、年末年始からですね、その辺を目指してまた戦略的に動いていかなければなりません。
ですから、各部局の横断型でそこに元気づくりの推進局が言わば事務局をしながら、戦略的に向かっていこうと、そのための体制をまず来週[11月20日の週]早々に設けたいという趣旨であります。いつまでということはちょっとまだ周期は決めておりませんが、当分の間こういう体制を作ってまいりたいと思っております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
災害対策本部はそのまま置きつつ、それも作るのかということと、それからこれも災害対策本部で市町村とテレビ会議で結んで生の現場の声を挙げてもらうことで速やかな対策に繋がってきた側面があると思うんですが、こういった体制は復興という場面でも市町村長さんですとか、そういったかたがたと繋いで、生のご意見をいただいたりということなんかも想定されていらっしゃるんでしょうか。
●知事
当然そうしたことでやっていきたいと思います。ですから、[11月]21日はちょっとまだ今、急に言い始めた話で事務局がばたばたしていますけども、おそらく災害対策本部の会議と災害復興本部の会議ですね、中部地震復興本部の会議と両方続けて開くような会議になると思います。それで、テレビ会議形式で市町村等も結びながら、これまでのちょうど1月でありまして災害対策的なことでまだやらなきゃいけないこと当然ありますので、その状況をお互いに確認共有して対策を話し合い、さらに、災害復興に向けた方策や方向性を話し合う。それで、県庁の中に[担当の]事務局を設置する、そんな道筋で今、準備を始めているところです。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
すみません、住宅被害のことで質問なんですが、震災から1ヵ月が経って1万3,000棟という数字が出てきたんですけど、当所の想定と地震発生当所の想定と比べて、これが多いのか少ないのかというのを単純にどのように思っていらっしゃるのかということと、それから罹災証明の発行について、知事は2、3週間で頑張ってやるんだっていう話をされていらっしゃったかと思うんですが、確かに一次調査は県の支援も受けて非常に進んできたとは思うんですけれども、発行というところでいうと、まだ湯梨浜町さんだけだったりとか、少しこう相差があるのかなと思うんですが、この辺はどのように分析をされていらっしゃいますでしょうか
●知事
まず、被害家屋だとか被害状況についてでありますけども、これ、ちょっと微妙な問題が入っているかもしれません。というのは、我々は現場に出て行っていますので、現に私も政府の大臣なんかに申し上げたんですけど、我々は小さな自治体ですから、被害状況の数を確認する人が割けるような自治体ではないんですね。ただ、やるべきことはむしろスピーディーにやろうと、そっちが住民の皆さまのために被災者の皆さまのためになると。それで対策の方を統計よりは優先して進めてまいりました。ただ、現場に出てみれば分かるわけですよね、とにかくいっぱいあると、それで当初から石田[耕太郎 倉吉]市長とか、首長さんたちと話し合った感じで我々は、これ1万棟ぐらいいくなというふうに思いながら対策を進めていました。だからこそ、3万3,000[枚]のブルーシートを集めたりしているわけであります。ですから、それがはけるくらいいくわけでありますから、それだけ規模の大きな災害だったと思います。確かに今、おっしゃるように、当初の数字の出方からすると、被害家屋が200棟とか、300棟だとか、そういうように数字が出ていた時期もありますけれども、今ようやっと罹災証明に向けて家屋調査が進んで、これで数字が修正されて積み上がってきているという段階であります。
私もちょっとその数字のギャップについては、正直国の方のパーセプションギャップ[認識のずれ]が大きすぎたもんですから、政府の方はどうもその数字だけで仕事をする人たちがいっぱいいるもんで、その意味でちょっと数字の訂正を早めにしなきゃいけないかなと思って、部局内で相談した時期もあるんですけども、職員からすれば当然ながらそれよりも大事なことはいっぱいあるということもありますし、また、効率的なやり方を進めるのであれば、罹災証明をする時に家屋調査が入りますので、その家屋調査の段階で全壊、半壊、一部損壊というのを確定して、いわば統計数字を作った方が1回で済みますからそれでいいんじゃないかというような意見がありまして、私もそれでいいというふうにその時思いました。ですから、ちょっと数字上のものと我々が対策の時に念頭に置いていた1万棟規模の災害ということとはずれは当初からありながら対策を進めていたということはご理解をいただければと思います。
罹災証明は市町村が発行するものでありまして、罹災証明の出方が市町村ごとで違ったりいろいろすることは、それはある意味制度上やむを得ないところがあります。今、罹災証明が出ているのは、いわば湯梨浜町と、あともう1つ琴浦町が出始めていまして両方で760[件]ぐらいですかね、今800[件]に向かうぐらいに行ってきているわけでございます。ただ、北栄町のように全部固めた上で全部出そうというように、そういう方針で最初から臨まれているところは全部固めた上でないと出てこないという町もありまして、それが我々県の立場で否定できるかというと否定できるものでもないということもありますし、倉吉[市]の場合は、最初に家屋調査、被害調査を出してもらって、その後で罹災証明の申請書を郵送するというかたちで今それが返ってきているという段階でございます。それぞれの市町村の規模だとか、それから災害対策の考え方に応じて取られているところがありまして、若干そこで差があるのは、これは地方自治なんでやむを得ないところがあるのかなと思います。それで、我々でできることはその罹災証明の前提となる家屋調査、これが速やかに終わること、これができないと罹災証明に進めませんので、それで私どもとしては2、3週間で一次調査が終えられるぐらい頑張ろうと。それで11月に入りましてねじを巻いたわけであります。
今、一次調査については恐らく大方けりがついてきて、残っているのは、今、倉吉[市]なんですけども、それで、倉吉[市]についても今日中に他県からの応援が止まるんですね、それでその後どうするかということを倉吉[市]とも今日まで相談もしてきているんですが、当面一次調査については、自分たちで対応すると。それで、それプラス非木造住宅だとか、コンクリートだとかそういう建物などは県職員の方が有利な面があったりしますし、それから他の市町村の応援等もありまして、それで一次調査を片付けようかというのが今倉吉[市]の状況でございまして、目途が、今、震災ひと月を来週迎えるところで大体立ち始めているということでありまして、11月の頭に2、3週間でできるだけ決着しましょうといった、その目論見どおりに最終的にはなりかけているかなというふうに判断をしております。
この一次調査に基づく罹災証明を申請する人は、今、一次調査が終われば出せるわけですね、それであえて二次調査を選ばれるとなりますと、そうするとその二次調査の後でないと出なくなりますから、二次判定を望まれるかたはその選択に従って発行時期が遅れてくるということになります。いずれにせよ、早めにその二次調査も二次判定もできるようにしなきゃいけませんので、昨日、一昨日と中国地方や近畿の知事さんたちにもお願いをしてきたところです。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
今後その罹災証明の発行が進めば、本格的な住宅の修繕に入っていくかと思うんですけども、例えば修繕するにも業者が不足しているとか、またこう新たな課題というのも出てくると思うんですけれども、民間のことなんで県がどこまで関われるかというのは難しいところもあるかもしれませんが、どのような、例えばこういったところへの支援というのは考えられるんでしょうか。
●知事
この度、日曜日[11月20日]に総合相談窓口つくりますが、そこでもそういうご相談も受けることにしようと言っています。実は、大半は今回の場合、瓦屋根のことが多いのかなと思います。それで、その瓦であると瓦工業の組合の皆さんとも実は発災直後から話し合いをしてきておりまして、できるだけ早く対策が進むように組合の方でも何とか配慮をしてもらいたいということを申し上げています。それで、今、市町村にもその話し合いの結果を周知をして、罹災証明発行と同時に今、たぶんチラシなどを配っていると思うんですが、県内の瓦屋さんの方で組合がございまして、そちらの方に申し込まれるのも当然受け付けるわけでありますが、多少こう出張代がついて高くなりますけども、早めにできる県外の事業者をあっせんするということであれば、その瓦の組合の方で他の県の組合とも協議をされまして、それで、その他の県の組合の方からやってもらうということのあっせんをするということになっております。
こういうことで、できるだけ早く皆さんがいい具合に家を直せるようにしようと。これ、業者の方も協力したいというお話でございます。ただ、これから多分ワーッと数が増えてくるでしょうから、その状況を見て、また関係の事業者とも話し合いをしていかなきゃいけないなと思います。実はブルーシート張る時も大変でして、建設業者の組合等ともいろいろと何度も何度も話し合いを重ねながら、できるだけ早く張ろうということで現状ここまできたわけでございまして、これから先の本格的な住宅復旧はさらにそうしたいろんな試行錯誤が必要ではないかと思っています。
○中国新聞 川崎崇史 記者
関連してよろしいですか。瓦については県中部でおよそ40人ぐらいのかたぐらいしかちょっと対応できないというふうに組合から聞いていまして、県外からその瓦の職人さんである、左官さんを呼ぶ場合は、やはり宿泊費等を含めると県内の業者さんに依頼するよりも倍近い金額をちょっと見込まないといけないと。そうするとやはり人的な問題、金額的な問題で瓦の復旧工事が進まずにやはり雪をブルーシートのまま迎えるというかたが多いというふうに見込まれるんですね、そういった中で県として何かしらの支援策なりというのを今後検討されるお考えはありますか。
●知事
そこを見込んだ上で一部損壊30万[円]以内ですとか、そうした支援というものを今回[住宅支援で]入れているわけでございます。そのことと含めて瓦工業さんとも話をしたんですけど、倍とはおっしゃってなかったですけど、私には、ただ、ある程度単価は高くなりますよというようなお話をされていました。やっかいなのは、ちょっとこの機に便乗する悪徳商法でございまして、それはもう桁が違って高くなりますが、ある意味リーズナブルな線に収まってくれば、県の支援金さらには町も例えば我々5万円出すところ、さらに5万、10万と出すと、北栄町等々独自の支援策を乗せてくださっているところもございますので、そうしたことがそういういわば対策の1つの答えなのかなというふうに思っています。県内業者に出す時だけ、何か補助金を上乗せするというのは、それはまたちょっと別の意味のハレーションの可能性もありますので、やはり1つの復旧対策の支援というかたちでやり、あとはそこを選択されながら県外の業者でもいいとされるか、県内の業者である程度リーズナブルな値段を優先されるか、その辺はご選択いただくということになるのかなというふうに思っています。
○読売新聞 岡田浩幸 記者
知事、先ほど災害復旧のお話で簡易型の災害復旧で1,500万円までの簡易型復旧のそういう申請をしていくというお話をされたんですけど、ここ具体的に教えてもらってもいいですか。
●知事
本来であれば国の職員、国[土]交[通]省の公務員がやって来て、それで災害現場で、これ災害復旧していいかどうかということを査定をするんですね、それが財源と大きく絡むものですから、それを受けないとできないということでありますが、1,500万[円]までであれば、写真を付けてそれを送ることで災害の工事にかかれるということの許可を得たということです。そういう特別な運用を今回、確か熊本の時もしたと思うんですけど、そういう特別な運用を今回国交省の方で認めてもらったというところでありまして、石井[啓一 国土交通]大臣の方から配慮してもらいました。
○NHK 吉村美智子 記者
すみません。一次調査では独自の調査票を作成して市町村で統一をされたと思うんですが、二次調査も早い調査を進めるために、例えば独自の調査票を作成するだとか、そういうような対策など考えていますでしょうか。
●知事
これは、実はですね、一次調査、二次調査というので、何か一部党派で誤解しているところもあるんですけども、一次調査というのは概算調査なんですね。壁にこうクラックが入っていますよとか瓦が落ちていますよということで、中の状態も含めて推測をするわけです。この程度だと、この程度外観で壊れているのであれば、中も含めて例えば損害率が2割とかそういうように見るわけです。それで、そういう意味で、もともといわば概数のやり方なんですが、それもパターン化をしてできるだけ早くということでやらないと、さっきちょっとご質問の2週間、3週間で終わらせようというのはちょっと神技だったもんですから、それは難しかろうということで、これを見ればすぐに判断できますよということをやりました。それで、二次調査につきましても当然ながらそういう工夫はできるのであれば考えていきたいと思うんですが、かなり細かく二次調査の方は室内の状況等々、点数化をしていくということになります。
それで、一次調査、熊本だとかほかの地震の例を見ますと、一次調査よりもむしろ損害率が低くなるケースがむしろ多いかもしれません、少なからずあるんですね。だから、一次調査は概算でありまして、二次調査はいわば精査をするというやり方で同じものを見るわけでありますから。それで二次調査になると上行く[より被害があるように判定する]ように誤解を与えるような扇動をしているところもあるんですけど、それはちょっと嘘でありまして、一次調査と二次調査でいくとむしろ二次調査で精細に中を見ると、中はそんなに壊れてなければそこのところは評価がむしろ下がってしまうことになります。それで、そこはかなり厳密な点数化をしてやっていますので、一次調査ですと正直10軒以上1日に見るということでやれるような体制を組むわけでありますが、二次調査ですと湯梨浜とかいろいろ話を聞いてみると、1日2軒、3軒、4軒、4軒はいかんかなと、こんなような感じなんですね。大体2時間ぐらいかかってしまうと。ですから、それはどうしてもそういう精細な調査なもんですから難しいところでありまして、二次判断のところが、いわばそういう厳密な調査になっているからこそ一次で省略できた部分もありますので、二次をそんなに簡略化できるかというと、ちょっと一次ほどには簡略化できないかもしれません。ただ、工夫はまた皆さんと話し合ってみたいと思います。
○NHK 木庭尚文 記者
よろしいですか、地震から1カ月経ちまして住宅の復興の、復旧の支援メニューなど素早く出された点も多々あったと思いますけども、あえて1カ月経ったところで、こういう災害が次に起きた時のための今回の課題というところを挙げるとすると、どういうところがありますでしょうか。
●知事
今、復興対策に切り替えながら落ち着いてきたところで最終的なそういう反省点、改善点というものを考えていかなければならないと思いますが、今回のことで言えば、やっぱりちょっと想定とは外れたことが起きたわけですね、それで1つは、例えば倉吉の市役所が使えなかった。それで、その時に行こうと思った災害対策本部も通信機能がうまくなかった。これは、結果はそうだったということでありまして、その後市長と直接話をしてすぐに災害復旧本部の機能は県の中で確保できましたんで、実質的な機能低下ではなかったんですけども、そういうようなことがあったわけでありますから、やはりいざという時のヘッドクオーター[本部機能]等々ですね、その辺は初動で、今回はある意味カバーできましたけれども、初動で大事な部分でありますから、そういう一番大切なキーポイントのところは重点的にやっぱり検証する必要があるのかなということは感じました。
あと、今回[倉吉]未来中心の屋根が、天井が落ちたわけでございます。実はあそこも耐震の対策は取っていたわけです。しかし、耐震対策は実は最近こう、猫の目のように変わってきていまして、[平成]26年[の建築基準法の一部改正前の安全基準]前の対策はできていたんですね、その後[改正後の安全基準]のところというところでまだ追いついてなかったところがございました。ただ、それでも一応の安全性ということになっていたんですが、だからこそ大ホールの屋根が落ちていませんよね、あれはだからそういう意味で対策は取れているので、落ちてないんですけど、入り口の天井のところについて、ああいうふうにやっぱり弱い部分が残ってしまったということであります。それで、これについては今回、11月議会にも関連予算を計上させていただいて、2億5,000万[円]ですね、県のそういう天井等の非構造部分ですね、天井とか、そうしたものを重点的に、要は今[平成]26年[改正前の安全基準]対策までとかできているんですけど、だから[平成]26年以後[の安全基準]のところの部分ですね。そこのところに対応していないところを中心に緊急点検しようと、それでその時に、今回地震があって、現実こういうことになりましたから、何らか対策を取らなきゃいけないと思っています。
それで、これはやり方によってはかなりの規模になってしまうんですね。ただ、それをある程度その構造等に応じて、効率的に効果的に対策が打てるように、そこの調査も含めて2億5,000万[円]というふうにさせていただいていまして、来年度以降、そこで考えた対策に基づいて手を打っていこうということであります。事程左様に、本来であれば耐震対策をしていたはずだけれども、それでもやはり今回被害が出ているという現実に則した見直しはやはり必要かなと思います。あと、今回私どものところで事前に用意していた災害対応に則って、福祉避難所が設置をされて、実際に福祉避難所等が機能したんですけども、ただ、まだ周知が十分ではなかったんではないかというふうに現場で指摘はされているとか、それから障がい者の皆さん、特にコミュニケーションに障がいのあるかたがたへの情報伝達に、やはり改善の余地があるのではないかと、こういうことも今回ございまして、個人情報保護との関係で非常に難しい部分はあるんですけど、そうした対策が、なお前に進めなきゃいけないところがあるというふうに思っています。ですから、今回あいサポート条例等も[検討に]入れるなかで、そういう恒久的な障がい者だとか、福祉的ケアが必要な方たちへの対策、この辺も深堀りをしていかなければいけないんではないかなと思っています。
○山陰中央テレビ 山下桃 記者
すいません。観光面の復旧に向けて、総理から鳥取応援プログラムですか、というのが出ているという話がありましたが、そういった政府の動きが分かっていないなかで、三朝町が独自のいわゆる復興割に取り組まれたということもありますが、率直に知事としてはどのように、政府が動いたということについてどのように感じていらっしゃいますか。
●知事
徐々にではありますけども、政府も腹を固めてくださっているんだなというふうに期待をしたいと思います。当初、同じような質問に対して、[安倍晋三 内閣]総理[大臣]は答弁されていたのは、正確な情報を発信しますという言葉だけでした。私が直接官邸でお会いした時はできることはやりますという表現はされていましたけども、そのあと国会での答弁はそうなっていましたが、そのあと、今回の谷合[正明 参議院]議員の時、鳥取応援プログラムという言葉が出てまいりまして、これには我々としても要は答弁を変更したんですよね、これ明らかに。役所が持たせていますので、答弁を。ですから、その鳥取応援プログラムなるものがこれから出てくるということに期待したいと思います。それで、時期は早ければ早いほど我々はいいんですけれども、観光の実情から言いますと、11月12月のかき入れどきで、どちらかというと発信力も我々として持ちやすい時でありますが、1月2月ぐらいになってきますと、今度はただでさえ閑散期になるわけでありまして、そうした時期でもいいから何らかテコ入れをしていただけるとありがたいと思います。それも国内、それから海外からの誘客も含めてやっていただいて、なんとかあの時はああいう酷い災害にあって、お客さんもいなくなったけれども、これならまだやっていけるなと、頑張ろうというふうになれる、そういう観光地としての活気を何とか今年度いっぱいで取り戻せればと思っています。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
すみません。山陰新幹線について聞かせてください。この前、国交省が北陸新幹線の延伸の3ルートの費用対効果の試算等を出されて、山陰新幹線につながる可能性の高い舞鶴ルートが1を割り込む結果と出ました。京都の山田知事のお話とかを聞いていますと、その新しい国土軸を造ると、山陰にも伸ばせると、太平洋側と比べて利益が低いっていうのは今の現状で試算したもので、この先の未来を考えてないっていうような話があったんですが、鳥取としての、知事としての今のところ劣勢の状況を巻き返す策として、今考えていることをまず教えていただきたい。
●知事
これ自体は北陸新幹線ですから、ちょっと我々がいわば圏域外からものを言う立場ではないかなと思います。ただ、山田[啓二 京都府]知事ともこれまでも話をいろいろしてきていますけども、山田知事としては山陰新幹線へつなげられるんではないかという期待も込めてこの舞鶴ルートにかなり熱心に思いを寄せておられます。それで、これについては、まだ、言わばその数字が出たところ、今、費用対効果の数字が出たところでありまして、最終的にどういう決定をルートとしてするのか、これはそれとはまた実は次元の違う問題であります。ですから、今後ちょっと年内に決着できないかもしれませんが、予定よりも延びて、年明けになるかもしれませんけれども、その検討委員会[与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム「特陸新幹線『敦賀・大阪間』整備検討委員会」]の議論を我々としては見守っていきたいなと思います。
これはその委員長の西田[昌司]国会議員[参議院議員]も、舞鶴ルートの主たる主張者でございまして、これからどのようにその委員会をさばいていくのか、この辺もあろうかと思います。また、いずれにせよ、新幹線というのはかなり中長期的な問題でありまして、我々として大切なのは山陰にそうした高速鉄道が走る可能性というのをやっぱり将来として持っておかなきゃいけない。今、例えば山陰新幹線を決定するという段階では当然ないわけでありまして、ただ、その火を消してはならないという方がたぶん一番大事なポイントだと思ってます。それで、中国知事会で実は私の方で提案をさせていただいて、地方創生に資するようなインフラストラクチャー[基盤]等々の提言をし、共同アピールに盛り込んでもらったんですが、そのなかに、山陰新幹線を念頭に鉄道の高速化ということも入れさせていただきました。それで、議長を務めていた溝口[善兵衛]島根県知事もそういう議論が重要であると席上でもおっしゃっておりまして、この山陰側の1つの思いとして、こういう高速鉄道というのは今後もいろんなチャネルで政府に働きかけていく必要があると思います。
あと、もう1つは現実的に今やれるところも同時並行で探していかなきゃいけないということですね。できるだけ早く速達性のある鉄道サービスを提供してもらうという意味で、現状の因美線等々どうするのか、この辺も北陸新幹線を巡る議論の推移も横睨みしながら検討を始める必要があるのかなと思っています。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
その有力な案の1つとしてなっています小浜ルートというのがありまして、先ほど北陸新幹線の話だからというふうにお話をされましたけども、京大の藤井先生なんかは小浜ルートあっても山陰にもって来た方がいいんじゃないかというような提言をされたりもするんですが、そこは知事はどう考えておられますか。
●知事
もともと、実は山陰新幹線と北陸新幹線と両方作るというのが新幹線の基本計画でございます。ですから、どこをどう通うろうが、それは山陰ということも国家としては念頭において、かつて新幹線の計画を作っているわけです。それで小浜ルートの時、かつての小浜ルートは亀岡市付近を通って大阪に入るというルートでありました。それで、それとその時の山陰新幹線は記述としては鳥取市付近を通って松江の方に至るというそういう書き方でございまして、実はこれドッキングして走らせるという構想ではもともとないんですよね。ですから、それはそれとして我々としてはやはり山陰という課題もあるんだということは、今後も申し上げるんだろうと思っています。
それで、藤井[聡]先生は非常に新幹線の地域開発に与える影響にポジティブに考えておられるかたでいらっしゃいまして、やはり新幹線が通ったところのみ指定都市が出来ることなど実例を上げながら、その効果をおっしゃっておられ、我々も共鳴している学者でいらっしゃいますけども、私も福井県におりましたが小浜ルートであっても別にいろんなかたちで、山陰の方につなげることは当然使いようによってはできると思いますし、そういういろんな選択肢も考えながら、現実的に最終的にはどっかにこう線を引くというところにもっていきたいと思います。
ただ、いずれにせよ、中長期的な課題に山陰の方は北陸と違ってなると思うんですね。北陸は今々つなげる話ですから、今決めなきゃいけませんけど、山陰の方はその次の言わば時代の課題になりますので今、山陰新幹線はやはり必要だということであるとか、それから現実可能性のあるルート設定も可能ではないかというような議論の火は絶やさないようにしなきゃいけないと思っています。
○山陰中央新報 斎藤敦 記者
よろしいですか。山陰中央新報の斎藤です。風評被害は、いわゆる中部の観光業者さんだけでなく、東部あるいは西部の業者さんも被害を受けておられます。今もバスの向上性ということで先見的な対策を取っておられますけども、そういった被害を受けなかったところの業者さんへの風評被害対策を念頭に入れて、何かもう一押し何かされるような考えというのはございませんでしょうか。
●知事
実は今、我々の方でとっている風評被害対策はすべて全県的対応で政策としては提示させていただき、バスもそうでありますし、それから例えば融資の問題なんかも含めて対策は全県的に取らせていただいています。それで、総理を初め政府の要路の皆さまにも申し上げているのは、中部だけでなくて、東部や西部もですよということで申し上げてきておりまして、もし鳥取応援プログラムというのが組まれるのであればそれは当然我々の主張の筋を受け入れてくださるのであれば、東部から西部まで含めた対策になると理解をいたしております。ぜひ、その辺がこれからちょっとどういう展開になるかまだ予想がつかないんですけども、我々としては政府の方に全県的対策を引き続き求めていきたいと思います。
もし政府のプログラムがはっきりすれば、議会への追加提案等も含めて予算対応が必要であれば考えていきたいと思いますし、その際に仮に中部だけ特化したことであれば、それを補正するような一定の対策を取るかもしれませんけども、総理自身は谷合先生の、谷合参議院議員の質問に対してお答えになる中には、鳥取砂丘という言葉も出されているんですね。ですから、おそらく役所の方で何から原稿を持たしているんだと思いますけれども、中部の白壁土蔵群以外に鳥取砂丘という言葉も持ち出されて答弁されていますから、全県的に対策になればと願っております。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
他に質問がありますか。では会見終わります。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。