●知事
皆さま、おはようございます。昨日[2月9日]から雪が続いております。まず県内では西[部]の方から降雪が始まりまして、今、その雪雲が東部の方にかかってきているところでございます。県といたしましては、夕べ[鳥取県]災害対策本部を設置いたしまして即応体制を強化させていただきました。今までのところ、いろいろと交通の障害なども生じてきているところであります。目立った人的被害、家屋被害等々今のところ報告はまだ来てはおりませんけれども、交通につきましては米子自動車道が夕べ遅くに完全閉鎖をされまして、それで今、通行ができない状況であります。大分西の方が先に降り始めた格好もございました。そのあと、四十曲峠でスタック車両が出たこともございましたが、これは現在では解消しているところであります。[国道]482号が本来、米子道の代替道路であろうかと思いますが、こちらについては岡山[県]側4.1kmで内海峠のところが通行止めになり、今、除雪作業をしているところでございます。そちらの方では、今、[国道]313号を迂回路としてご案内をいたしているところであります。
その他県道におきまして大山と大山[口]停車場を結ぶ路線[一般県道 大山口停車場大山線]、これも雪深いところが一部通行止めになるなど、通行の障害も生じているところであります。昨日[2月9日]からいろいろと関係機関と意思疎通を図りながらやっております。今回は午前0時の段階で国土交通省と私ども鳥取県との間で相互にリエゾン(情報連絡員)を派遣するという体制をとらせていただきました。また、仮に鳥取自動車道が封鎖をされるということになっても、単刀直入に大型車両を[国道]373[号]を通すということではないということでございまして、この通行についてそうした適切な案内をするということでございまして、[国道]373[号]への滞留を除去していくということでございます。
また、県の方でも車両の増強とか、人員の配置を行っておりまして、今までのところは流れている状況が東部の方ではございますが、まだこれから降っておりますし、夜にも、またまとまった雪雲が来る可能性もございます。気象台の方では、今日[2月10日]、そして、明日[2月11日]いっぱい警報を発令し続けるという見込みも示されておられます。1mを超える積雪が多いところでは今朝から明日[2月11日]の朝にかけてあるのではないだろうか、その後の24時間でも40cmないし60cmの多いところでの積雪もあるのではないかと、こういう予報になっております。現在のところ、大山、それから智頭[町]で53cmとか、大山でも100数十センチですか、積雪がございますけれども、今後も降雪が見込まれるところでありまして、県民の皆さまにはくれぐれもこうした状況についてご理解をいただき、適切に対処していただきたいというふうに思います。
また、いろんな情報のネットワークを張らせていただいて、今回はヤフー(Yahoo!防災速報)による大雪警報の情報提供なども始めたところでございますけれども、いろいろとそうした各種情報にご注意をいただければありがたいと思います。ちなみに農業被害がこの間の雪、1月23[日]、24[日]の雪で、今までのところ[ビニール]ハウス被害で298棟という状況で上がってきておりました。また、今回この週末・週明けにかけてこの雪が続きますと、また新たな被害も懸念をされるところでございます。これに対する対策を県としてもまたJA等でも呼びかけているところでございますけれども、また来週になりまして、その被害の状況等も確認をしながら対応していかなければいけないと考えております。
●知事
[ドナルド・]トランプ政権が発足をして、今、安倍[晋三 内閣]総理[大臣]、昭恵夫人がアメリカに向かわれ、これに財務大臣等も随行され、アメリカ政府と日本政府の本格的な交渉が始まることになります。これに私ども地方側としても注目をしていかなければならないと思います。具体的な首脳会談は日本時間では明日[2月11日]未明というようになろうかと思いますが、巷間伝えられているところでは、安全保障の課題あるいは経済、貿易の課題などについて意見交換がなされるのではないかと思われます。TPPについてトランプ政権が終止符をその就任直後に打たれたところであります。このTPP[環太平洋連携協定]に代わって2国間協議をというようにアメリカ政府は方針をだしているところでありますが、この2国間協議も中身がどうなるか、我々は改めて注目しなければならないと思います。
特にアメリカ国内での世論をみておりますと、牛肉や豚肉について関心が高いようでありまして、これについて交渉がなされますと、私ども今一生懸命和牛のブランド化をしようと努力をしております。また、白バラ牛乳でブランド化がなされている大山乳業協同組合さんも白バラ品質を保とうという新たな戦略を立てているなど、私どもなりに努力をしているところであります。こうした努力が水泡に帰さぬようにこうした交渉については慎重に対応していただく必要があるのではないかなと思います。また、県内経済でも、自動車部品産業など固唾を飲んで今の行方を見守っているところであります。先週申し上げましたが、こうした経済激減対策につきましては、あらかじめ当初予算の中でも所要額を計上させていただくことといたしておりますし、今年度[平成28年度]の対応もさせていただきたいと思います。今後こうした国際動向に注視してまいりたいと思います。
●知事
そういう中、[平成29年度]当初予算を編成をいたしまして、その規模が固まりました。3,494億2,600万円という数字になります。その内、公共事業505億円となります。今年度[平成28年度]よりも伸ばす格好になりますが、ただ、一般事業の方でやはりやりくりが必要でございまして非常に難しい予算編成となりました。[地方]交付税については1,370億円を見込んでいるところでございます。これは1%程度今年度[平成28年度]よりも減額の予算というかたちになります。そういうときに財政調整基金を崩しまして113億円財源補填をさせていただくことといたしましたし、92億円規模で不要不急の事務の整理など、事業の見直しで財源を捻出をするかたちとなりました。こういう努力をいたしましたが、それでもなお財政調整基金については、年度当初の当初予算ベースの段階では277億円と300億円を切る水準になります。これは一時的にはそういうことも災害もございましたのでやむを得ないかなと思っておりますが、今後また財政努力をして任期満了までには、また300億[円]の大台にのせる県民との約束を果たしてまいりたいと思います。
その他の財政誘導指標につきましては、黒字のプライマリーバランス(基礎的財政収支)これが11億円確保できる見通しとなりました。国がプライマリーバランスで苦労しているところでありますが、本県ではこれまでの行財政改革努力と今回のいろいろなやりくりによりまして、黒字のプライマリーバランスは連続して確保することができました。これは県民の皆さまとの約束事項でございまして、今年度[平成28年度]また来年度[平成29年度]とこの黒字プライマリーを確保したいと思います。借金の残高は、これは減少し続けております。ただ、来年度[平成29年度]は公債費がこれがピークを向かえることになるなど、借金の負担の重石は取れていない状況ではありますが、残高自体は減少傾向を続けております。このような予算編成をさせていただいたところであります。
その中にさまざま、先週も申し上げましたが、事業を組ませていただきました。そういう中、県立美術館につきましてはPFI(公共施設の整備・運営について施設の所有権を公共機関に残したまま運営を民間事業者が行うもの)の調査事業やあるいは具体的な計画を練る予算を計上しようと、今、教育委員会と話し合いを続けてきたところでありまして、所要額の計上をいたしたわけであります。本日[2月10日]そのための検討委員会が開催をされることになります。この検討委員会の検討で、ラフスケッチ(概略図]が美術館についてできるのではないかなと考えております。教育委員会の方から議会までには、この美術館についての構想を執行部側に示したいというふうに聞いておりまして、今日[2月10日]が1つの山場になるかなと思います。今日[2月10日]の委員会の資料は私もまだ詳細に見ておりませんけれども、今朝いただきまして、アンケート結果は昨日、夕べ見せしてもらいました。
結果としてアンケートの集計がアンケート対象者の半分を超えることになりました。50%超えたということでございます。また、いろいろ県内で注目をされていた選択肢が立地場所の選択肢でございましたが、これについては28.5%のかたが倉吉[市営]ラグビー場のところ、[倉吉]未来中心の隣の敷地というふうにお答えになられ、また、それから25%台で北栄町の[旧鳥取県]運転免許試験場跡地で、それで3番目に同じ25%台で鳥取市役所跡地、さらに18%程度で[鳥取]砂丘というような立地の回答があったということであります。この回答状況も指標とされながら、今日話し合いが持たれるのだと思います。いずれにいたしましても、ここまでの審議経過、調査・検討の経過を見ておりますと、県民の意見も十分に聞きながら、独善に走らずに検討を進めておられると受け止めておりまして、いずれ教育委員会の方の考え方がまとまったら私ども執行部としてもそれを誠実に受け止めていくべきものかなというふうに考えているところでございます。
また、この度の[2月定例県]議会のときにまた議論をしなきゃいけないかなと。これ、パブリックコメントに出していくことになるわけでありますが、12月議会で大分議論が白熱をしましたツキノワグマ対策でございます。これについては一定の考え方を取りまとめて、第1種の特定鳥獣[保護]計画をまとめなければなりません。実は兵庫県であるとか、それから岡山県であるとか、また、熊でありますと京都も、これは生存、言わば生態系のグループ、個体群としては厳密には別なんですけれども、隣の個体群になりますが、京都であるとか、そうしたところの状況もいろいろとお伺いをしながら、今、事務ベースでまとめてきております。それで、その過程で市町村長さん、首長さんの考え方であるとか、地元の集落のかた、狩猟関係者、また自然保護の関係者、いろんなかたがたに入っていただいて、今、取りまとめを進めてまいったところでございます。
それについて、1つの考え方としては当面は400頭程度を目標とすると。今600頭を超えた生体がいるんではないかというふうに観測をされていますが、個体群としては東中国、兵庫[県]や岡山[県]とまたがるわけでありまして、兵庫[県]が今800個体を目標に狩猟を解禁したわけですね。そういう状況やあるいは岡山[県]も狩猟解禁をされました。そういうように周りのところでこの個体群に対して1つの抑制をしようという状況でありまして、全体としての個体群の総数がある程度確保すれば持続可能なかたちで群れが残ることになります。そういう意味で、鳥取県のシェアとしては、当面はということでありますが、当面は400[頭]程度を1つの目安として対策をしていこうというものであります。そういうふうに周りで広がってきた狩猟の解禁のことであるとか、また400頭が絶対かということもございます。それで、その400頭の個体のことだとか、あるいは狩猟のことにつきましては、計画はいったんここで定めさせていただきますが、状況を見て検討していくという、そういう方針も計画の中に盛り込んではどうかと考えております。
その管理の仕方でありますけれども、人の生活ゾーンとそれから熊の生息ゾーンとゾーンを分けまして、ゾーンによって管理をしてはどうだろうかということです。それで、人の生活ゾーンのところは集落だとか、田畑がございます。それと、あと、周辺の200mの範囲内、ここのところは人の生活ゾーンとしまして、例えば錯誤捕獲と言いますが、誤って罠にかかったとか、そういうような場合、従来は放獣、放つ、また山に放つということをしていましたが、個体数を管理目標も定めるということ、それから現に人体に対する危害が今シーズン多く発生したこと、また、地元の集落等で案の策定過程でいろんなご意見をいただきましたので、そうしたことを踏まえて、これは殺処分という対象にするというように方針を転換していきたいということであります。その熊の生息ゾーンについては、また適切な個体数管理と言いますか、従来のようなやり方で対応していくということにしてはどうかというものであります。
[2月定例県]議会が始まりますと、そちらの方にまた常任委員会等も開かれるでしょうから、そうしたところでこうした県の方針、12月議会だいぶ議論がございましたので、ご説明を申し上げながらパブリックコメントに付させていただいて、できれば[平成28]年度内というようなかたちで取りまとめをしていければというふうに考えているところであります。
●知事
観光等でやはり海外との交流が盛んになる方向だと思いますが、いよいよ平昌(ピョンチャン)におきまして[2018平昌冬季オリンピック・パラリンピック]1年前のプレイベントが始まりました。本県からも代表団が行きまして、このイベントに参加をし、鳥取県の魅力についてもアピールをしたり、また、パフォーマンスをしたりということをしているところであります。この関係でエアソウルでありますが、今日のエアソウル便はソウルを予定どおり飛ぶということになりました。ですから、こちらでまだ着陸を試みられるはずだと思います。そのエアソウルが今までのこの2月の状況では92%という、これ空前の予約率になってきておりまして、韓国人の観光客数も1月当たり、また1月を上回るかもしれないという状況でございます。
こういうことで、今、定着をしてきた鳥取や山陰の魅力、これをまた、こうした平昌オリンピックを通じて平和だとか、国際親善の気運が高まると思いますが、そうした中で情報発信を韓国の方でもやっていければと思います。また、昨日[2月9日]はベトナムの旅行会社がお見えになりまして、この春に、まずは旅行商品を造成をするということが決まりました。具体的には鳥取砂丘のところにあります砂の美術館であるとか、[とっとり]花回廊とか、また、コナンの青山剛昌ふるさと館がベトナムでも人気だということでありまして、そうしたところを入れながらやっていこうという方向でございます。また、秋にはチャーター便を相互で飛ばす。ベトナムとの相互チャーターは初めてのことになりますが、それを目指してはどうかということであります。また、来週の13、14日はマレーシアのファムトリップのかた[マレーシア訪日旅行最大手の「アップルバケーション」]、こちらの方にお越しいただきまして、そうしたマレーシアからの誘客についても先鞭をつけていこうということであります。こういうようなかたちでインバウンド観光、これ、春節は終わるわけでありますけども、これから中国等に限らず、東南アジア、欧米も含めた観光の輪が広がるように促進をしてまいりたいと考えております。
また、海外とはスポーツの交流、オリンピック・パラリンピックの交流ということがあると思いますし、それに伴いまして日本のスポーツリゾートとか、あるいは競技会場としての国際的なステータスが上がると思います。こういうタイミングを捉えて、今、私どもの方でクライミングの壁の整備を倉吉で行うなど、当初予算にも盛り込ませていただいたわけであります。大きな大会をやる値打ちも出てくるんではないかと思われます。実は、予定としては今日[2月10日]、日本クライミング協会のトップのかた[日本山岳協会 八木原囶明会長]に要請活動をしようと。具体的には平成30年、2018年のクライミングのアジア大会(クライミングアジア選手権大会)、これを鳥取でやっていただくことはできないだろうか、こんな要請もしていこうと思います。もちろんうまくいくかどうか分かりませんが、片方で競技環境を整備しながら大きな大会の誘致、これも進めていくというものであります。この2018年は世界大会がすでにオーストリアのインスブルックで開催されることが決まっております。その世界大会への道として、アジアの登竜門、これがアジア大会という、アジア選手権ということになるわけでありまして、これに向けて要望を、今日[2月10日]、行わせていただこうというものでございます。
●知事
福祉関係では、アメニティーフォーラム[21]が明日[2月11日]、滋賀[県]で開催される予定でございますし、また、実行員会を開いていよいよまた来年[平成29年度]に向けまして[全国高校生]手話パフォーマンス甲子園、この準備にかかってはどうかと思います。一応手話パフォーマンス甲子園も鳥取、米子、倉吉と県内的には一巡をしたんでありますけれども、よく関係者の方からご意見も伺っておりますが、やはりこういう若者たちが手話に関心を持ってもらう、そういう機会づくりが大切ではないだろうかと、こういう声が強うございまして、鳥取県としても全日本ろうあ連盟、あるいは日本財団などのご支援やご協力も仰ぎながら、新年度も開催を目指していきたいと思います。そうした準備に取りかかるべく、この度手話パフォーマンス甲子園の実行委員会も来週、開催とさせていただくところでございます。
本日[2月10日]は、ちょっと天候の具合がございますが、女性の社会参画、働く場ということで[とっとり女性活躍]フォーラムを予定をさせていただいております。いろんなかたちで、これから活き活きと皆さんが活躍されればと思います。
●知事
震災の関係につきましては、今のところ商工関係の融資や補助制度がかなり活況を呈しておりまして、補助では2億4,000万[円]くらいですかね、かなり多くなってきました。予算枠は3億[円]ございまして、まだ予算の範囲内でありますが、仮に予算に差し支えるようなことがあっても流用で対処できる範囲内だと思います。また、融資については、70億[円]を超えるレベルにもなってまいりました。これについても現計予算を工夫をしながら対策を十分に取らせていただきたいと思います。新年度[平成29年度]の予算、冒頭申し上げましたように、3,494億2,600万[円]という予算規模になります。その大きな道筋は、復興ということであり、震災あるいは雪の害というのもございました。こういうものからも立ち上がっていく、そういう力強い地域を形成していくための予算であります。
また、併せてそれを単なる復興リストレーション(復旧)だけでなくて、ハピネスを作る復興、そういう意味で子供たちに夢を与えるための在宅保育支援、これも14くらいの市町村に広がりそうでございますし、また、その他、女性の働く場の確保やあるいは健康づくり、また、地域の農林水産業や商工振興など、意欲的に予算編成もさせていただいたところであります。来る2月県議会にこの予算を提出を申し上げご審議を仰ぎ、鳥取県の今後の発展の道筋を作ってまいりたいと思います。私の方からは以上です。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
県立美術館のアンケート調査結果についてお伺いしたいんですが、今日まさに委員会で立地場所について、このアンケート結果を踏まえて議論があると思うんですが、知事はこの結果を教育委員会、その前の検討委員会、教育委員会はどう受け止めるべきだと思われますでしょうか。
●知事
それはまさに検討委員会、教育委員会のご判断でありますので、今日[2月10日]、ご審議がなされるわけでありますから、私が指示をする立場ではないと思います。ただ、今までの議会での教育長のご発言だとか、博物館長のご発言等々いろいろと伺っておりますと、こうしたアンケート調査を行うというのは県民の皆さまのご意向を確認する、これが立案の中で重要であるという認識のもとに進められているところでありまして、このアンケート調査を行うにあたりましても、議会といろいろと調整をし、当初の案が修正をされて2回に分けて必要性の有無、そして2回目には立地場所を含めた全体像、こうしたアンケートになりました。こういう過程を、拝見をいたしておりますので、その結果というのは一定の重い意味はあるだろうと思います。もちろん鳥取県政自体、[鳥取]県民参画基本条例というのを我が県の憲法のようなかたちで制定をしておりまして、もちろん二元代表制で議会の議論というものが、これが最終的な決定権を持つわけでありますけども、ただ、県政運営に当たりまして、県民の意向を都度に任期の途中でも確認をする、そのための手段としてアンケート等も取り入れるということになってきたわけでございまして、鳥取県独自のデモクラシーの姿があると思います。
ですから、今後まずは検討委員会、そして教育委員会、お取りまとめがあろうかと思います。それを私どもいただいて、もちろん精査はするんですけども、従来のこの検討状況も伺っておりましたので、基本的にはそれを尊重するかたちで来たる[2月定例県]議会の方に関係の予算とともに考え方を提出していくということになると思います。そういう意味で1つの注目を集めたアンケート結果が出たということは今後の美術館の議論にも重い意味が出てくるかなと思っております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
それから、倉吉のラグビー場を選んだかたが多かったわけですが、この要因みたいなことは、知事はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
●知事
それはちょっと分かりません。私もちょっと資料しか見せてもらってなくて、あまり分析までは聞けてないんですが、多分、今日[2月10日]、検討委員会で委員の皆さまがそれぞれお考え方を述べられて分析もされるんだと思いますが、特徴的だったのは、中部のかたが比較的、倉吉の案を可としたアンケートでありました。西部のかたはどちらかというと北栄の選択肢が多かったと思われます。東部のかたは当然ながら東部の2つの方でございましたが、市役所跡の方が多かったということだと思います。こういうようなことでありまして、ちょっと要因まではよく分からないところがありますが、いろんな意味で交通アクセスとか、県内での広く使いやすいところという意味で、そういう選択肢を選ばれた傾向はあるのかなと思います。アクセス等も重要項目として挙げておられたかたが多かったところでございますので。ただ、私はこれ、アンケートが出たからこれで全てということでも、多分ないと思うんですね。
それで、今日、ちょっと多分いろんな議論をされるんでありましょうけれども、ただ交通アクセスということで必ずしもラグビー場がベストかどうかということは当然あると思いますし、そうであれば、じゃあ、交通の便をどうするか、そうしたことも今後考えていかなければいけないということもありましょう。また、もちろん県内各地から見にいく子供たちなどのバス等の足の手配、そんなこともあろうかと思います。また、数字の上では28.5%、25.4%、25.1ですかね、そういうふうに若干倉吉案が少し頭1つか2つ出たかたちでアンケートが終えになりましたけれども、ただ、他の案がよいとされるかたもおられたわけであります。ですから取りまとめられるにあたっては、そうした全体に波及するようなそういう考え方も併せて教育委員会、検討委員会のサイドでもご議論があってもいいのかなと思いますし、例えば、博物館が東部にあるわけですね。それで、仮にですよ、仮に、倉吉のラグビー場というように決めたときにも、一切東部では美術展覧会ができないかということになると、それはそれでまた何のための美術館ということにもなりかねないと思うんですね。ですから、もし倉吉ということであれば、今の博物館をどう活用していくのか、それは大きなオルタナティブ(代表的)な選択肢になるのではないかなと思います。
これは1つの例でありますけども、そうした全県的な意味での美術振興、文化芸術振興のための施設でありますので、何かピンポイントの施設をつくることだけが目的にならないように、それは私ども執行部の方でも教育委員会側と協議をするときに注目をしてまいりたいと思っております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
今後、2月議会が始まりますが、知事はそこまでにこの県教委が仮に1箇所に絞り込んだ場合、その案を尊重して知事としても判断するということでしょうか。
●知事
県教委が今この美術館の中身については当然ながら決定権がありますので、今それでお考えをいただければと思います。それで、私どもは執行部として、それを補佐する立場でありますので、そういう案が仮に何らかまとめられれば、それは重く受け止めて議会への提案をしていきたいということであります。まだちょっと今日の資料、どんなのが配られているのも詳細に今まだ見てない、今朝もらったばっかりで見てないですけども、これからよくご議論いただいて、その内容は基本的には尊重していくと従来から申し上げている立場で臨みたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
議会内では今回のアンケートは住民投票ではないので、参考にすべきだけどそれが絶対的な決定権持つものではないんじゃないかというご意見をお持ちのかたもいるようですが、これについては意見もある中で、どう最終的に合意形成を図っていかれますか。
●知事
だから、そういう、私もね、どっかピンポイントだけの議論にすると、こんな小さな鳥取県ですら治まらないということになりかねないわけですね。ですから、ピンポイントな議論じゃなくて県全体の議論、大所高所の議論というのが大事ではないかなと思います。20年前に結局絞り込む過程で、あまり世論が省みられなかったということで、結局その案がなくなってしまったという経緯があります。同じ轍は踏むまいと丁寧に民意の状況も確認をしたり、また客観的ないろんなデータも踏まえながら検討委員会、教育委員会で今ご判断されようとしているわけです。そのこと、その内容自体が審議の内容、そこで議論されたことなどが今後説明責任を教育委員会側が果たしていく上で大切になってくるだろうと思います。それで、私自身は先ほども申しましたように、基本的な決定権は向こうにある話ではありますが、県民の長年の夢でありますのでその実現に向けて協力していく立場であると思っております。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
よろしいでしょうか。子どもの貧困対策についてなんですけれども、県の元気づくり総合戦略の中で貧困対策としての居場所の数を31年度までに15カ所作るというふうに県で定めていらっしゃると思うんです。それについてなんですけれども、県の担当課ですとか、鳥取市に聞いてみますと、もうすでに10カ所超えるくらいあると。それで新年度に向けて鳥取市内や南部町でまた新たに出来で、ほとんど15カ所に近づいてくるという状況だというふうに聞いております。それで、この状況を受けて計画の方は、例えば上方修正したりというようなお考えなどはあるんでしょうか。
●知事
ちょっと私もそのデータ、今、直近のデータ持ってないんですが、当然ながらフォローアップをして必要に応じて目標修正をしていくと考えております。居場所づくりで今回も、アウトリーチ型の支援を行うとか、それから子ども食堂のようなそういうもののネットワークを形成していくとか、所要の予算措置も組ませていただいておりまして、それが目標達成に寄与すればありがたいことだと思います。これについては全庁的な議論、それから市町村とのご相談等も含めてしながら目標の再設定も、もしクリアできるんであれば考えていくということになると思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
今ネットワーク化の話が出ましたけれども、運営にあたってはやはり一番課題となるのが食材の確保であったりということ、それからスタッフの確保ですね、この2点に尽きると思います。それで特に食材については公費から出していくっていうことは難しい部分があるかと思うんですけれども、そこをカバーするためにネットワーク化で活動を強化していくということだと思うんですが、その継続的に活動を続けていくため、一過性に終わらないためにも県としてどのようなことができるというふうにお考えでしょうか。
●知事
ノウハウのことであるとか、初動のいろんなファイナンスのことなども当然あると思います。従いまして、今回倉吉において震災で被災して上手く立ち上がれなかったところを、FAAVO(ファーボ)という資金調達の仕組みをご紹介申し上げたり、いろんなかたちでサポートをしながら実現にこぎつけたというような経験もさせていただきました。基本的には全国で行われている子供食堂はボランタリーに食材等持ち寄ってやっている形態でありまして、それを基本的には各施設も踏襲されておられますので、そこがどうということではないのかもしれません。また、基本的には地域に身近な施設ですから、市町村の関わり方も大切だと思っています。ですから、県で例えば広域的な知恵の共有とか、あるいは食材調達などでそういう共通化ができるどうかってこともあるかもしれません。地域によってはお寺で集めておられるお供え物、これを活用してそうした居場所で、子どもたちに差し上げるという活動も始まっていまして、いろいろとできること、ネットワーク化によって解決できるものもあるのではないかと思います。これ、ちょっと運用の問題になってくるかと思いますので、関係者ともよく一体的に協調させていただきながら、実を上げていければと思っております。
○時事通信 滝野瀬雅史 記者
韓国との関係で長嶺駐在大使が一時帰国してから1カ月経つ中で、鳥取県で今、エアソウルの予約率が空前の数字を誇っているという話がありましたが、何かこう鳥取県して動けるようなこと、どういうふうな受け止めをしているかっていうのがあれば伺いたいです。
●知事
[長嶺安政 駐韓]大使の召還につきましては、これ国と国の非常に大きな課題の中で召還をされたところであります。また今後の展開についても自民党の[二階俊博]幹事長の発言であるとか、さまざまなご意見がこれについても出されているところでありますが、基本は外交の問題でありますので、国レベルでご議論、解決していただくことだと思います。それで、これは私自身の1つのポリシーなのかもしれませんが、国と国の外交の1つの前提として地域対地域、人対人というレベルでの交流があると思います。それで、この交流促進というのはかりに何らかの紛争があったとしても、グローバル社会の中で大きな役割を果たすと思っています。今の姉妹都市運動もアメリカで始まったわけでありますけども、その最初の縁組がセントポール市と長崎の間で結ばれた姉妹締結だった。これは、しかも真珠湾攻撃の日に締結したんですね。それでこれだけ申し上げると非常に大きな意味を感じていただけるのかなと思いますけども、そういうように国と国だけでも解決できない課題がいろいろあって、地域と地域を結ぶことで世界の平和だとか、国際社会での解決力の強化、こういうものにもつながっていくというふうに思っております。
そんな意味で、我々地域にできることは、先ほどエアソウルの観光経済交流の促進ということもございましたし、それから、今、平昌で行われておりますプレオリンピック、そちらの方に県の方でも参画をさせいただく。それからまた崔文洵(チェ・ムンスン)江原道知事も今私ども調整をしておりまして4月におそらく来られると思います。それで、そのときに北東アジア地方政府同士でそうしたスポーツ交流だとか、オリンピックの成功に向けた平和的なメッセージを出すことを、今、お互い相談しているところであります。我々レベルでもできることはいろいろとあるのではないかなと考えておりまして、そうした活動を今後も続けてまいりたいと思います。
○朝日新聞 柳川迅 記者
他、質問ありませんか。ないようでしたら終わります。
●知事
はい。どうもありがとうございました。