防災・危機管理情報


平成29年1月4日(水)午前9時45分から

県庁講堂

皆さま、明けましておめでとうございます。本年もご家族や地域の皆さまと共に輝かしい新春をそれぞれお迎えになられたことと心からお喜びを申し上げたいと思います。皆さまの力を地域が今必要としております。ぜひ全力を尽くして皆さま仕事をやりとげていただき、そして地域に恵みが受けられるそんな1年にしていただきますようお願いを申し上げたいと思います。先ほど来、ちょっと舞台の袖でトリピーがはりきっていまして、たぶん酉年だから出てくるんだろうなと思っておりますけれども、今年は申年が終わりまして酉年になりました。「とっトリ年」であります。「我が鳥取県庁がとっトリ年を堅調にする」そういう年にならなければいけません。去りました申年の方、いろんな課題が残されました。1番大きいのは10月21日の鳥取県中部地震でございました。これをしっかりと、初動においては乗り越えつつありますが、まだ僅かひとつ皆さまでぜひ力をあわせて地域の声に寄り添いながら、復興を果たしていただければと思います。

 

この復興元年でありますが、単なる初めの年であってはいけないと思っております。復興をというのは発想をゼロにするわけでありますが、ゼロをさらにプラスにするような福を興す「福興」でなければいけません。この地震被災というものをむしろ経験として糧としていかなければなりません。力をあわせて乗り越えていくほどに、その力をあわせた先のさらなるまちづくりや地域づくりがあるのではないかと思います。それができれば、今回の被災を本当の意味で乗り越えることができる。ですから、一歩前への復興を皆さまにお願いを申し上げたいと思います。現状を申し上げますと、まだ災害の査定が終わったばかり、まだ文部科学省とかこれから査定が入るところもございます。そうやって復旧工事を進めていかなければなりません。ぜひ、この辺に目処をつけていただきたいと思います。土木関係でいえば道路ですとか河川ですとかございます。願わくば、できる限り梅雨入り前の災害シーズン前にある程度の目処をつけながら、遅くとも秋年内には仕上げていただくことが大切だと思います。

 

また、農林関係でも梨の収穫が始まる秋の前に選果場をやり直さなければなりません。それ以外にも個人のいろいろな営農施設があったり、農地があったり、そういう災害復旧がございます。こういう関係をやはりこの年のうちにしっかりと仕上げていただくことが必要だと思います。例年ですと過年災とかいいまして、災害復旧が持ち越されるのが通常のペースかもしれません。しかし、かなり先回りをして応急復旧などを仕上げてきましたし、災害査定を取り込んでくることができました。この勢いをかって通常よりも早くこの復興元年のうちに土木系の工事を終え、復旧を果たしていく、それが一つの復興だと思います。

 

また、大切なのはここから先は我々行政だけではないということです。地域と力をあわせた復興を目指す、これが正しい姿ではないかと思います。神戸の震災ときも真野という地区が注目をされました。それは被災されながら災害時におきましても皆で力をあわせて消火活動などをやる、そしてその後もまちづくりに立ち上がる、そういうことがございました。

 

実は防災だとか、まちづくりだとか地域の振興というのは全部同じテーブルの上に乗り得るものなんです。1番大切なのはコミュニティや地域の力であろうかと思います。鳥取の災害、この度の中部地震を見ましても、この辺で一定の成果が出た面がございました。ただ、まだ十分ではないと思います。ですから、もっと防災士という資格のかたを増やしていくとか、それからいろんな団体との連携を進める。特に社会福祉や介護福祉等々、今回、福祉避難所の設置において課題のあったところもございました。こういうところを急いで絆を結ばなければなりません。また、地域における復興活動は行政がやるものだけではないと思います。今、地域の中に入りますと、自分も何かせないけん、こういう思いの方々が多いです。そういう方々が自らの市民活動、県民としての復興活動に従事をする。それを県行政としても広い意味でサポートをしていく、これが必要な支援になるのではないかと思います。

 

高齢者の皆さまが一旦被災をして、避難所に集まりました。今それぞれ家に帰っておられます。しかし、その後のフォローアップが大切であります。そうしたところでやはり地域との連帯が必要なわけでありまして、小さな拠点をもっともっと増やしていくとか、そうしたいろんな取り組みがこうしたとっとり型の復興を支えることになるのではないかと思います。つまり、従来行政だけでやってきた復興が昨年までだったと思います。その復旧復興活動が今度は住民や地域と連帯をした復旧復興活動へとさらにバージョンアップをしていく、これが年明けからの作業になると思います。観光についても、いよいよ「とっとりで待っとりますキャンペーン」が1月10日から始まることになります。準備は少しずつ整ってきておりまして、あとは成果を現実に上げることであります。住宅の修繕が最大の課題であろうかと思います。正直申しあげまして、何年もかかることになりかねない、そうなりかねないのは、職人さんの数の状況等があるわけでありますが、しかし、できるだけ地域で連帯をして、企業の皆さま、団体の皆さまのお力も出していただいて、これをやりとげなければならないと思います。

 

そんな意味で官民一体となった復興会議を近々立ち上げる必要があると思います。これをいろんな団体に呼びかけまして、地域と一丸となった復興を進めていく、そういう年を進めてまいりたいと思います。そういうなか、幾つもの課題があります。1つはこれで移住対策や産業活性化など地方創生がやってきたことに陰りが出てはいけません。従いまして、そういう意味で移住対策等も進めていく、産業振興も進めていくことが大切でありますし、これも復興の道筋の上にあるわけであります。移住につきましては、年末うれしいニュースが飛び込みました。鳥取市が宝島社の住みたい田舎でナンバーワンに輝きました。去年1位だった岩美町も10位に入りまして、さらに被災地である倉吉市が42位にランクインしているということであります。鳥取はいまだ求められているところであります。その移住の受け皿、これは住みやすさにもつながるわけでありまして、そうした環境を整えていくアピールも必要であります。

 

また、農業につきまして生産力を高めていく、販売力を高めて海外へ展開していく、この海外販売戦略は、この度出てきた統計でも日本は全世界でかなり後れを取っています。しかし、我々が実際売り込みに行きますと競争力があるなというのは感じるところであります。ですから、まだまだやりきれてないところがある。国内においてもそうであります。そうしてブランド力を高めて販売力、それを生産力の強化へとつなげていく。今年は全共という和牛のオリンピックが開かれる年にもなります。勝負の年ということになろうかと思います。水産につきましても、境港の市場が、整備が本格化しつつございます。年末には大変残念な事故がございました。大福丸の乗組員の皆さまの御霊に対し心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、1日も早く、その縁がご家族の下に帰ることを願ってやみません。この主力であるカニ漁でこういう事故が起きました。繰り返してはなりません。従いまして、国の方にも呼びかけをさせていただきましたが、国への呼びかけだけでなくて、私たちも汗をかいてこうした船の新増設、さらには安全対策としてのライフジャケット、こうしたことに踏み込んでいかなければなりません。こうして農林水産業のいわば煌めく未来というものを引き寄せる必要があります。また、中小企業振興においては、既に1,500件もの経営革新がエントリーされるに至りました。今、新増設に向けた県外からの誘致も今年は相次いで各所で工場がオープンをしたり、本社機能の移転が行われることになります。こういう余勢を駆って、さらに前へ進んでいかなければなりません。そういうなかでロシア、韓国、我々が兼ねて友誼を結びDBS航路が結ばれているところ、大きな動きが出てくる年です。韓国については平昌(ピョンチャン)オリンピック、東海岸におけるオリンピック大会が年明けすぐ平成30年にあります。ですから、今年はそのための仕込みをする時期になります。また、ロシアについては安倍総理とプーチン大統領が会談をしまして、我々が既にやってきたような経済交流や文化交流などをテコ入れをしようということになりました。いよいよ風が吹き始めたということだと思います。そんな意味でこうしたことも新年度に向けてしっかりとしたアイディアを練り直し、戦略を持って臨んでいかなければならない分野になると思います。

 

いよいよ4月から介護の大きな改革がなされます。介護予防、また生活支援、これについて地域と一体化をしてやろうということが4月全市町村で始まることになります。包括ケアといわれる、こういう仕組みを全県的に進めていく必要がございます。また、健康づくりについてもモデル事業をしっかりと進めることによりまして、こうした点でも全国のリーディング役を果たせるのではないかと思います。現に北栄町等々、そうしたことに乗り出しているところがございます。

 

また、エネルギーを初めとした環境先進県づくり、これも鳥取県の得意分野でございます。そういうなかで3月にはメタンハイドレートの国際会議をやる運びとなりました。国の予算も新年度についてきております。さらにバイオマス発電など課題を達成しつつある項目も出てきました。パリ協定後の日本、この環境先進県として鳥取県も旗を高く挙げなければいけないだろうと思います。また、病院の建設でございますとか、年末に小鹿で発電が戻った企業局の振興でございますとか、いろいろな課題が見えてきている1年になります。ぜひ力を合わせて進めていただければと思います。子どもたちの未来は地域の未来であります。教育の改革も進めていき、子どもたちの健やかな成長を後押しをしていかなければなりません。不登校になりがちな子どもたち、あるいは課題を抱えた子どもたち、こうした子どもたちに対して低所得者対策も踏まえたかたちでアウトリーチ型の支援(注)をぜひ今年は進めていければと思います。併せて美術館の建設問題もいよいよ佳境に計画段階入ってくる年となります。県民の意見をまとめながら、積年の課題にも一つの道筋をつけなければなりません。このように覚悟を持って今年は進めるべき年ということになろうかと思いますが、ただ、財政状況は災害もあり、また、交付税も若干絞られている感もございまして、厳しさもあるなかであります。

 

年末、会計局の方が金賞を取ったカイゼン大賞がございました。いろいろと手元でできること、様々なカイゼン運動があろうかと思います。また、お互いを認め合う、県民とも認め合うような、そういう鳥取らしい県庁の気風というものも育てていく、そういうなかで行財政の改革も進んでいくと思います。こういうことと併せて、片方で財政改革を進めながら、やるべき課題にもしっかりと予算も作っていかなければなりません。非常に舵取りの難しい年ということにはなろうかと思いますけれども、皆さまのお力を持って、ぜひそれを成し遂げていかなければいけないと思います。この度、被災にあたりまして、その地で長く暮らし長寿を全うされた長谷川富三郎さんという方がいらっしゃいます。民芸運動の大家でもいらっしゃいます。その方がおっしゃられておられた「土語」といわれます土の言葉という意味でありますけれども、版画をつけて言葉を書かれました。そのなかに「今こそ全力」という言葉があります。今年はそういう意味で鳥取県政の大きな、大きな試練でもあり、これを乗り越えることの果実の大きな年でもあります。「今こそ全力」、皆さまにしっかりと今年の県政、後押しをしていただきますようお願いを申し上げます。皆さまとご家族にとりまして素晴らしい1年となりますこと、そして鳥取県のますますの発展をお祈りを申し上げまして年頭の言葉といたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(注)アウトリーチ型の支援:援助が必要な状況にもかかわらず、自発的に申し出ることが難しい人々に対して、公共機関などが積極的に働きかけて支援の実現を目指すこと。

  

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