●知事
皆さま、おはようございます。このたび[大関]照ノ富士[関]が残念ながら敗れましたけれども、[横綱]稀勢の里[関]もあっぱれでございまして、そういう意味で歴史のモーメントを開いたかなというようには思います。本県力士の活躍も目立つ中、私どもも震災復興、そして幸福を作る道筋を作るために立ち上がらなければならないなと今場所を見て思った次第でございます。この3月をもちまして、平成28年度が終わることになりますが、私が3期目の県政を預からせていただいて半分ということになります。実は平成27年の選挙の際に、70のチャレンジ(政策)項目を作らせていただきました。このうち64の項目におきまして道筋がついたり、既に達成したということになってまいりました。だいたい91%ぐらい、9割を超えるぐらいまで進度は出てきたのかなと思っておりますが、そういう中で、まだまだでききれていないことも多くございます。例えば、地方創生の関係などではいろいろと進展もあったのは事実でありまして、たぶん今年度[平成28年度]も2,000人を超える移住者という数字になってくるのではないかなと思われます。
また、このたびふるさと納税の企業版につきまして、政府の方で鳥取県の提案をしておりました、とっとり未来創造[型]起業支援という事業が、言わばベンチャー支援、そういう起業を支援していくというそういう事業が採択がされることになりまして、新しい企業とのタイアップした連携事業も進むのかなと思います。また、企業誘致の関係や産業創造の関係でも、例えば今週末3月31日には共和薬品工業[株式会社]さんが進出をしたり、4月1日にはダイキン[工業株式会社]さんが研修機関を拡充をする、これが実は地方創生の国の政府機関移転、雇用のための技術人材を育てるプロジェクトの政府機関移転と連動しておりまして、職業[能力]開発総合大学校のうちの先端的な産業技術、その育成の拠点ということにもなるところでありますが、4月1日に地鎮祭をやるというようなことになってまいりました。いろいろとそういうことが起こる中ではございますが、なお引き締めて折り返し後の県政運営に全力を挙げてまいりたいと考えております。
●知事
このたび2月[定例]県議会が終了をいたしました。いくつか大きなテーマがあったところでございます。1つは在宅育児について、県内でも新しい先導的な保育を応援しようと、これはこれまで保育[料]の無償化を本県としては進めてきましたが、施設保育と平行して在宅で子育てをされる世帯に対する応援事業をやろうと、全国でも初めての取組みとなるものでございました。いろいろと議論はございましたが、採択をしていただいたわけでございます。今、市町村の状況を、集計しておりますけれども、今のところ13の町でそうした対応が取れることになりました。日吉津村は、これはサービス料軽減等のことになりますけども、それ以外は現金支給ということになります。今なお検討中というところは、これは4市とそれから江府町さんでございまして、これらを除くところでは4月からこの県の事業の支援を受けた在宅育児支援がスタートをする、あるいは従来からやっているものを、拡充をするということになりそうでございます。これによりまして13[町]の現金支給プラス日吉津村のサービス料軽減といった形態がスタートをする見込みとなりました。
また、大きな議論がございました[鳥取]県立美術館についてでありますが、先般、[山本仁志]教育長が鳥取市で説明をし、[鳥取市議会]全員協議会でさまざまな意見が出たということとなったところでありますが、これにつきましてはしっかりと関係の自治体に説明責任を果たしていく必要があると思います。また、前の県政のときのいろいろと県と市とのやり取りがあって、積み残してこざるを得なかった課題がございます。こうしたことにも道筋をつけることについて真摯に取り組んでまいりたいと思います。このたび、4つの附帯意見が出されたわけでございますが、その中には現行の県立博物館に一定程度江戸時代の絵師たちの絵を展示をするとか、そうした項目も盛り込まれているところです。そうしますと県立博物館の検討にも影響してくるわけでございます。県立博物館については、実は、これ法律に基づく条例設置の協議会(鳥取県立博物館協議会)がございまして、この協議会で運営方法、こうした課題について議論をするということにされております。ここで一義的には今後の議論を進めていくことになるのかなという制度でございますけども、今回こうしたことで博物館の機能が改まることにもなります。今までも協議会や博物館の事務的な検討も進んできたわけでありますが、今般、美術館の設置と絡みまして、博物館のあり方にも影響することになりました。
従いまして、例えば鳥取市内の美術関係者やあるいは地域の関係者のかたにも、この博物館をどういうふうに、今後県立美術館と要は役割分担をしながらやっていくのかという課題の議論にも加わっていただく方がいいのではないだろうか、そんな意味で協議会の委員の見直しもする必要があるんじゃないかと先般教育委員会側にも申し上げたところでございます。また今後は、地域のさまざまな関係者にも、これ教育委員会が主体になるとは思いますが、説明を公の場でもやっていくことを考えなければならないと思います。いずれにいたしましても議会がようやっと閉じたわけでございまして、今後の軌道修正、新しい美術館建設に向けたさまざまな活動を進めていかなければなりません。
片方で検討委員会が基本計画を練るために進むわけでございます。美術館建設自体は長丁場の議論になりますので、今後、先般の基本構想を起点、スタートとして、そこから議論を進めていく、さらに県民の皆さまのご意見を仰ぎながら中身を詰めていく、また、関連した事業を進めていく、こういう展開を考えなければならないと思っております。
また、安全対策につきましてもさまざまな議論がございました。[議員]全員協議会でもご議論いただきました、KC-46Aという[空中]給油[輸送]機の配備のことについてであります。これにつきましては全員協議会終わった後、内部でも協議をし、さらに防衛省側ともやりとりを進めておりましたけれども、このたびその中身もようやく整いましたので、明日[3月29日]にでも回答をしたいと思います。これは全員協議会でお諮りした内容がそのままでございますけれども、いろいろと向こう側ともやりとりをしながら、防衛省側の方でもこれを尊重するということで動く手筈となりました。具体的にはまだ実機が配備されておりませんので、実機配備段階の前に十分な期間を持って、改めて鳥取県側に協議をし、同意を得るということを1つ釘を刺した上で安全を第一義として考えること、安全対策でございますとか、また、空港周辺に対する地域振興対策、それから基地の性格等に変更を生じないことなど、このような条件を付けて回答をするという運びとなりました。明日[3月29日]防衛省側に正式に通告をさせていただきたいと思います。
また、原子力安全対策についてでございますけれども、これ議会でもご議論いただき、新年度[平成29年度]からは原子力の原子力環境センターが12名の職員も置いて設置をされることなど定まったところでございますが、いろいろと情勢を伺っておりますと、明日[3月29日]、原子力規制委員会が開催をされて、廃炉ですね、島根原[子力]発[電所]の1号機廃炉についてかかるのではないかということになりました。ここでの審議がどうなるかということでありますが、廃炉についての中国電力の提出した計画に原子力規制委員会が了承を与えるということも予想される状況になってまいりました。これにつきましては、ちょっとまたどういうことになるのか、明日[3月29日]を待たなければならないところでありますが、これはかねて県議会や境港、米子両市とも協議を進めてきたところでございます。それに基づきまして、改めてまた中国電力から、この国の方の原子力規制委員会の審査が終わった後は、改めて説明を県側にすることと、県や市側にすること、この辺を求めておりました。従いまして、もし明日[3月29日]動きが出れば今後そうしたステップに進んでいくことになるのかなと思います。具体的には、まずは中国電力あるいは原子力規制庁の考え方を聞かなければなりません。そして、以前の一次回答でこの廃炉課題については留保しておりましたように、原子力の専門家、私どもは原子力安全の顧問がいます。こうしたところでしっかりと専門的な知見で審査について我々の方でも議論をし、内容が了とできるかどうか、それを見定める必要があります。
また、中国電力等から地元の市やあるいは住民の皆さまにも説明責任を果たしていただく必要がございます。議会側とも協議をした上で、最終的にこの廃炉について我々として意見を出すということが今後想定をされることになります。いくつか私どもの方で申し入れをしてきたポイントもあるわけでありまして、中で発生した廃棄物につきましては、使用済みのものにつきましては全量を撤去をするということでありますとか、また、系統除染と言いますが、今、機械の中で行っているもの、それを除染をしていく、それについて地域に影響を与えないような、そういう完全な措置を取ってもらうことなどが、いろいろとこれまでも議論してきたことであります。こうしたさまざまなポイントについて、仮に規制委員会側で審査が動いた場合には、私どもの方でも検討をしていく必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
●知事
また、[鳥取県]中部地震の対策等々いろいろと議論がございました。そうしたことを踏まえて、今、関係者も含めて今後に活かす対策づくりを急いでいるところであります。そういうことと併せて復興活動を進めていくことになりますが、4月から県の方で組織改正をして、中部地震復興本部事務局を中部総合事務所に設置をすることになります。また、民間中心のさまざまな、例えば、風評被害対策だとか、地域をもう一度元気にしていく活動なども含めた復興活動、これを支援する[震災復興活動支援]センターを倉吉市内に設置をすることとなります。こういうことなども含めて本格的に復興を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
また、組織改正の中では大山[開山]1300年祭の本部長として西部総合事務所長を任命をするなど体制を整えていったり、また、県立ハローワーク設置に向けた準備を進める、そんな組織対応も取っていくことになるわけでございます。
●知事
こうしたことなどと併せて、4月に年度が切り替わりまして心機一転新しい庁風を形成していかなければなりません。実は、平成28年度は特殊な年で、震災や雪害が続きました。それによりまして一部で報道もございましたけれども、超過勤務が増えた状況がございました。これが41万7千時間ですかね、それぐらいだったと思いますが、かつては57万とか、要は5、60万ぐらいの水準だったものをだいぶん今、予算制度や決算制度などを見直をして、ドラスチックに超過勤務は減らしてきたところでありますが、4万5千時間ぐらい昨年度[平成27年度]よりも今年度[平成28年度]が増える見込みになっております。実はこのうちの3万5千時間ぐらいは、これは災害対応でございまして、今回の中部地震や雪害に関連するものでございました。
しかしながら、新年度[平成29年度]スタートをするにあたりまして、こういう勤務体制の一層の効率化、そして、きちんとライフワークバランスが取れるような職場づくり、そうした働き改革を進めるべきではないかと考えております。従いまして、4月以降、新しい働き方改革のプロジェクトチームを、県庁の働き方改革ですけど、それを庁内組織としてPTを作らせていただきまして、できるだけこうしたことが起こらないようにする。特に政府の方でも、今、働き方改革で民間の企業さんに100時間というキャップをはめようということに、これは[日本労働組合総]連合[会]と日[本]経[済団体]連[合会]の合意も踏まえて100時間未満というキャップが、今、生まれようとしているところでございます。たいぶ以前の県庁ですと200時間を超えるぐらいの超過勤務の職員もおられたわけでありますが、今はそういう時代ではなくなってきているんですが、ただ今年度[平成28年度]は100時間を超える職員もある程度見られた結果となりました。これはたぶん私どもの場合は、大きな自治体とは違いまして、1つ1つの組織が小さいです。ですから、たぶんポイントになるのは組織の壁を越えた応援体制、特に災害対応なんかはそうなわけであります。今回も災害対応で全庁的な動員もしながらやったわけでありますが、通常はそういうときに、例えばそのシフト制を敷きまして出ていったら今度は休むということで、過度な個人の負担にならないようにということを考えるわけでありまして、今回も発災の当初からそうしたシフトに気をつけるようにということを危機管理局長だとか、総務部長にも申し上げて、そうした対応も組んではいたんですけども、ただ、特に発災直後とか、急に雪が変わってしまったとか、そういうときにどうしても対応できないということがございました。
ですから、あらかじめそうしたマニュアル的に、我々のような小さな組織ではお互いの応援があっていいんだという、そういう庁風文化を作っていくことで、1人の人に集中してしまうことがないような対応も、災害時にも取り得るのではないかと思います。また、さらなる業務改革、改善運動も進めていくことで月100時間未満という目標も国全体では今定められようとしているところでございますので、それを先取りして鳥取県庁の中でもそうした体制が取れるように改善を進めてまいれればと考えているところでございます。
●知事
このたび日本財団さんとタイアップをしながら、例えば障がい者福祉であるとか、小さな拠点づくりを進めてまいりました。例えば、3月30日には[岩美町]網代の方で漁[業]協[同組合]さん等とタイアップをしながら漁村カフェを作る、あるいはそれに加えて水産加工場を[岩美町]大岩[地区]で造るとか、また、配送車を手配をするとか、こうした事業を進めているんですが、そのカフェのオープンがございます。また、例えばフェリースという障がい者団体がフルーツを使った、そういうジェラートのお店(スイーツショップ「チャオ!ジェラート」)を立ち上げる、これによって賃金3倍増を目指す我が県のこうした障がい者の対策、これを後押しをしてもらおうということもございますが、こうしたことも30日の日に今考えているところでございます。こうしたことなど、いろいろときめの細かい障がい者福祉対策や地域おこしを進めていければと思います。
そういう中、観光というのも大きな素材になりますが、いよいよ4月の3日の日には[トワイライトエクスプレス]瑞風がこの鳥取県内でお披露目ということになります。今その瑞風が走ることを想定しながら、イタリアン風のカフェの、レストランの設置など、準備もかなり進んできたところでございます。鉄道の旅につきましては智頭急行もこのたび新型車両を投入することになりました。カラオケの設備だとか、ちょっと中身しょうしゃに作り込んだそういう特別列車をこのたび整備をすることになりました。今現在は雛祭りの列車を走らせるなど、そういうイベントも今やっているところでございますが、鳥(とり)鉄、鉄道の旅を今後新年度[平成29年度]に向けて仕込んでいくことだと思っております。
また、4月4日にはカレドニアン・スカイが境港に寄港することになります。昨日[3月27日]は境港管理組合[議会]が開催をされまして、新しい[外港]竹内南地区に誕生する旅客ターミナルのイメージ図が披露されたところでございました。海の時代が今、明らかに鳥取県にもやってきて、山陰に新しい波が寄せてきているところでございます。このたび、今いろいろと動きも出てきておりまして、1つにはカボタージュ(他国業者の船舶が国内運航ができない状態)という規制がかかっていることもございまして、韓国、中国絡みの船について、さらに私どものところの方に打診が来るという状況もございまして、今、打診が来ているだけでも63回の寄港ということで、6、7万人ぐらいの規模になると思われます。これちょっと蓋を開けてみなければ分かりませんが、そういう海の旅という点でも、いい風が吹き始めているのかもしれません。厳しいのは鳥取県中部地震に始まりました風評被害対策、さらには雪害対策がございました。こうしたことに対応して、とっとりで待っとりますキャンペーンというのを私どもで展開をしたところでございます。このたびも関西の旅行業者等にお会いをしてお礼を申し上げたり、愛知の方にも出かけたりしたところでございますが、送客の方はかなりの規模に上ってきまして、大体キャンセルに対応するぐらい、3万7千[泊]ぐらいの宿泊が新たにとっとりで待っとりますキャンペーンで直接旅行商品として販売されました。さらに合計しますと6万5千[泊]ですかね、ぐらいの規模になるわけでございまして、今年度[平成28年度]後半で震災対策等でやられた対策については、観光客を取り戻す効果は一応見られたかなと思います。
問題はこの後、リバウンドが起きないかということでありまして、新年度[平成29年度]に向けて、また戦略を練り直していかなければならないと思います。とっトリ年ということでありますので、先ほどの鳥鉄であるとか、海の旅、あるいは温泉、いろいろと鳥取に来ていただく素材というものを、アピールをしまして、そうしたリバウンド対策に努めてまいりたいと思います。
年度末ということではございますが、いよいよ春もやってくることになります。今日[3月28日]は地域振興のシンポジウムをここ鳥取市で関西広域連合のタイアップのもと、行うことになりました。初めてこのタイプの地方創生のフォーラムをするわけでございまして、関西各地からもお集まりいただきながら、有識者のご講演やシンポジウムを聞きながら進めることとなります。明日[3月29日]は地方分権につきまして憲法問題、この憲法問題は合区問題にも絡む部分もあるわけでありますが、この憲法問題について有識者のお話も聞きながら、全国知事会の地方分権委員会で主催をして、研究会を明日[3月29日]、東京で開催をすることになります。
また、この季節、いよいよ桜の便りも期待される季節となってきましたけれども、子どもたちの成長の節目のタイミングということにもなります。相次いで用瀬での流し雛、さらには中部地震で被災をした白壁土蔵群においても流し雛が4月2日に行われることとなります。県民の皆さまにおかれましては、良き春をお迎えをいただきますようお祈りを申し上げる次第でございます。私の方からは以上です。
○朝日新聞 柳川迅 記者
各社、質問をお願いします。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
よろしいでしょうか。在宅育児制度のことについてお伺いしたいんですけれども、先ほど知事の方からも説明がございましたが、13町村ということになりますかね。
●知事
13町村ですね。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
市部はまだということですね。
●知事
13町が無償で、それで日吉津村がサービス料の引き下げ、要は現金支給ではない、別のやり方での在宅保育支援、
○日本海新聞 今岡浩明 記者
全部で、
●知事
14[町村]で、それでちょっと出来てないところが4市と江府町。ただ、やらないというわけじゃなくて、例えば米子市でしたら、今[市長]選挙(4月16日投票日)でありますし、その他のところも、倉吉市さんなんかはちょっと震災対策で手が取られているということもおありなんだと思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
やはり人口規模から考えると、市部が加わることが事業として効果が出る、一番出ることになると思うんですけれども、その市部の対応が遅れていることについて、どのように受け止めていらっしゃるかということをお伺いします。
●知事
ええ。これについては地方自治でありますから、それぞれの自治体の考え方で、じゃあ、どういう在宅[育児]支援をするのか、それは執行部と議会が議論をしながら、住民のご意見を忖度をして中身を決めていくということであります。これはそれぞれの工夫があっていいところでありまして、そこに時間がかかっているということであります。別に在宅育児支援、うちはやらないという意味で4市1町が考えておられるわけではないわけでございまして、ただちょっと、もう少し時間をかけて、どういうやり方がいいのか検討したいということだと伺っています。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
併せてお伺いしたいんですけども、在宅育児制度によって子育ての仕方が多様になるということを県庁でも常々アピールしておられましたが、一方で、それについては子どもを預ける保育所の方の職員を、何て言うんでしょう、順当に回す、要はその乳児には手がかかるということで、そこの人のやりくりをスムーズにするという側面もあるかと思うんですけれども、そこのところについて、やはり市部でこの取り組みが進まないことには、県内で保育士の確保っていうのが未だうまく進まないという問題が残るかと思うんですけれども、そのあたりについてはどのように今後。
●知事
これはまた車の両輪でやっていくことだと思うんですね、今おっしゃったように現象面として、私どもでは保育料の無償化など子育て環境の整備に圧倒的に全国よりも先駆けて進めているんですね、それで、最近の現象としては保育園に預ける、少子化傾向にはありながら、全体としては。保育園の需要が高まってきているわけでございまして、現場の市町村としては、その辺、要は住民の皆様、素直な選択というものを応援するっていう意味でも在宅育児の支援ということも併せてやるべきだというご議論は以前からありまして、そういう効果は結果的には出てくるのかなというふうには思います。ただ、大切なのは選択肢を確保するということでございまして、例えばネウボラ(妊娠、出産から就学前までの子育て支援拠点)でありますとか、保育園での1つのキーステーションとしたそうした子育て支援センターでありますとか、そういう機能をしっかりと強化をしていく必要があって、県単独のネウボラ事業も、このたび予算の中に盛り込ませていただいているわけであります。
保育士不足ということは、これはいろんな要因で起こってきていまして、たぶんおっしゃるのは南部町で、急に退職者が出たというお話がありましたが、関係者のお話を伺いますと、新設の企業保育所ができる関係で人材がいっぺんに移ったというようなこともあったんではないかということでありまして、時々こういう言わば需給のフリクション(摩擦)っていうのは起こり得ることだと思います。だからこそ、今年度[平成28年度]からかな、例えば[鳥取県]社[会福祉]協[議会]の方で保育士を経験した人が再就職するそのリクルートを支援するセンター(保育士・保育所支援センター)を作ったり、また保育人材の育成支援、これは本県で言えば倉吉[市]にあります鳥取短期大学に対する特別の奨学金制度ですとか、これももっと使いやすいように拡充を今、検討をしようとしておりますけども、いろいろと手を尽くして、そういう保育[士確保]対策を進めなければいけないと思います。国の方で昨日[3月27日]、新年度[平成29年度]予算が成立をしました。97兆4,500億[円]という過去最高のものになりました。これによる1つの目玉が福祉や介護人材の処遇改善を初めとしたそうした福祉人材の育成対策であります。それで、これ国の予算が今回投入されることになりますけども、それによる言わば給料等の処遇の改善が現実に進むように、これ新しい予算も成立しましたので、私どもの方で呼びかけをしていかなければならないと考えております。その辺の対策も新年度[平成29年度]しっかり組んでいきたいと思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
保育士不足に関しては、小規模の施設も今、市部中心に増えているかと思うんですけれども、それによってさらに保育士の人材の確保が厳しくなっているという話も聞くんですけれども、そのあたりについての現状受け止め方と、それから今後の対応について何かお考えでしょうか。
●知事
これは若干痛し痒しのところがありまして、国の方がそうした小規模の保育施設、最近のことで言えば、企業がやる保育施設に、雇用保険のお金を投入をしてそれで支援するという国の制度ができまして、ただ、この背景には大都市部で顕著な、今待機児童ゼロということの対策は、[鳥取県においては]ウエイトはものすごい小さいわけですね。現実に今、だいたい解消されていますから。ただ、都市部は、そこは解消されていないものですから、大都市部では、まずはその受け皿を、そのものを増やさなきゃいけないということでこういう保育所対策を進めてるわけです。これは我々にとっても悪いことではなくて、米子市等で、どうしても年度中途で、結局0歳児を中心に預けられないというケースが生まれると。4月1日の時点では、待機児童ゼロをずっと継続しているんですけども、こんなような状況を解消していく意味でも、そういう受け皿を作ることは意義があると思います。ただ、それが急にできるもんですから、今回のケースで言えば引っこ抜かれてしまったというのが実態と言われています。
こういうことはままあり得ることでありまして、いたしかたないところもあるんですけども、それ以前の問題としてやはり保育士の絶対数、これを確保しなければいけないということだと思います。その意味で、既にご家庭に入られていて、保育の経験もあるんだけれども、もう1回やってもいいじゃないかというような方であるとか、そうした人材の発掘、それから新しい将来の仕事として保育士を選ぶ学生の応援だとか、そうしたところを進めなければいけないと思います。私どもでも新年度[平成29年度]予算の中で、保育士あるいは幼稚園について、このたび都会から帰ってきて、こちらで就業される場合には、奨学金の免除がある未来人材育成基金の対象事業ということに拡充をさせていただきました。これも全国でもあまり例がないことでありますが、いろんな手立てを通じて、やっぱり絶対数を増やしていくのが本当の出口ではないかなと思っています。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
すみません、関連して基本的なことで申し訳ないんですが、現金支給13町ということ事態に、現物とかサービス利用とか選べる中で現金給付が13町になったということへの率直な受け止めと、それからなぜこういうふうになったかという分析をお願いします。
●知事
実は、もともとはそういう現金支給による在宅育児支援を行っている町が出てきまして、市町村長と県との会議の中で、我々の方では実は3人目の保育料無償化だとか、第2子の保育料無償化拡充だとか、そうしたことをやってきたわけでありますが、それをやるのと同時にそういう声がまた上がってきたのも事実です。ですから、現場が先行していまして、現場としては現金支給というのを現場の知恵で考えられてスタートをされ、これ実際、お父さんお母さんたちに評判もいい子育て支援というような評価も与えられつつございます。それで、これを1つの軸として保育のあり方検討会というのを、有識者入っていただき、市町村にも参加していただいて進めてきました。その過程では、この現金支給以外の現物やサービス給付、そうしたことでの対応もあるじゃないかと、そちらも認めるべきだという声が、これ他の現場からも上がってきまして、それでそういう選択制の言わばメニュー方式の在宅育児支援制度を今回1億円程度県予算に計上したわけであります。
ただ、蓋を開けてみると、今もおっしゃったように、結局サービス給付か、あるいは現物給付かということも考えておられた町も現金給付の方に最終的には制度選択をされた例が多かったところでございます。我々としてもちょっと事前に想定していたものとは違った内容になっていまして、その辺は我々としては、担当としては少し驚いている面もあるんですけども、ただ、多分いろいろと中でも議論されているんですね。現場としてもそういうやり方が一番お父さんお母さん、ご家庭の支援になるんではないだろうかと、そういう結果でのご選択だと思います。私は、これは市町村が子育て支援の中心主体でございますので、市町村のそうした考え方を尊重して制度運営したいと思っておりまして、これはこれで是とさせていただくべきものだと思っています。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
すみません。それで、あり方研究会の中でも、ただ単に現金を配るだけだと世帯が孤立化をしないだろうかというような懸念が出ていたんですけども、それについては今後どのようにそれを防ぐようなことをお考えでしょうか。
●知事
ですから、それは在宅支援の約1億円の事業とはまた別に、これセットで議会にもこのたび予算提案しましたが、例えば鳥取型のネウボラ事業であるとか、そうした子育て支援の、別の、孤立化を招かないような対策も同時に投入しています。これはこの現金給付とはまた別のセット事業(とっとり版ネウボラ推進事業)で行わせていただいております。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
すみません、話戻りますけども、残る4市1町についても、この事業の利用というのは、知事としては望まれるというお考えでよろしいんでしょうか。
●知事
もちろん地方自治でありますので、これ、あくまでも県補助事業ですから、これに乗るかどうかというのは、市町村長さんで責任もってご判断をいただくべきものだと理解をいたしております。ただ、現実にはいろんな保育のあり方を、支援をする地域の枠組みというのは大事ではないかと思っていますし、たぶん首長さんもこういう子育て支援が充実しているというのが移住を呼び込んできたり、若いかたがたの定着につながっているという手応えはそれぞれに感じておられるところだと思っております。従いまして、いずれちょっと時期的なギャップは解消されて、それぞれのご選択による在宅育児支援がスタートをすることを期待しております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すいません。3期目の中間地点、折り返し、まもなく迎えられようとしているんですが、先程、70の鳥取元気プロジェクトチャレンジ70の項目、公約について64項目で道筋がついたとおっしゃいました。改めてこの、前倒しでかなり実現図ってこられたと思うんですけども、改めてどのような気持ちで向かわれたことがこういう結果に結びついたかという自己評価、受け止めと、それから、6項目が逆にいうと、まだ未達成ということだと思うんですが、これ、具体的にどういうものがあるかということも含めて、どう今後、2年間に向けてねじを巻いていくか、決意を教えてください。
●知事
その具体の項目の整理は何でしたらちょっと事務的にも整理しているものがございますので、後ほどご提供申し上げたいと思いますが、例えば移住政策を積極的に進めること、また、雇用創造を進める、例えば農業のブランド化、和牛であるとかあるいは蟹のブランド化とか、そういうことにある程度価格面だとかで効果も現れてきている、その辺の手応えは感じられるようになってきたかなと思っております。ただ、他方で今回[鳥取県]中部地震もありまして、達成できていない項目の1つは財政の問題なんですけども、財政健全化目標で県民の皆さまとお約束をしている財政誘導目標、300億円の基金については黄色信号というかたちに今回なったと受け止めておりまして、こうした項目などまだ実現しかねているところがございます。
また、いろんな情勢は一進一退でありまして、例えば子育て施策が奏効して実は出生率も上がってきましたけれども、ただ、これも上がったり下がったりの波の中で動いておりまして、やはりこういう今回こうした在宅育児支援というのを打ち出すわけでありますが、いろいろなかたちでやはり政策的な強化を行っていかないと正直鳥取県はそんなに基礎条件のいい地域ではないと自分では思っていまして、やはり大都市部などとも地域間競争をしながら、この地域を支えていく意味ではいろいろとまだ挑戦すべき課題は大きいというふうに思っております。
○日本経済新聞 舩越純一 記者
関連してなんですが、3期目の半ばを過ぎたというところで、聞くには早い部分もあるんですが、例えば次の後継者を含めて新たに副知事を呼ばれたりですとか、そういったことを、今、お考えになっているかどうかというのを言える範囲でお願いします。
●知事
はい。念頭にありませんということであります。冒頭申し上げましたとおり、ようやっと半分でございますので、もう半分お預かりした大切な県民の付託に答えるべく全力を挙げていくと、そういうことでございます。まだ、その後のことについて考えるにはまだ至っておりません。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
すみません。残業の話なんですけども、今年度については地震やら雪やらの対応でかなり時間数が増えたということで、受け止めとしては仕方がないなという面が大きいのかどうなのかということと、それから、そうは言っても4万5千時間増えたうちの3万5千時間が災害対応だということだったんですが、残りの1万についてはどのように分析をしておられて、その辺については今後どのように改善していくというお考えでしょうか。
●知事
そういう意味で、先程も申しましたけれども、4月から県庁働き方改革プロジェクトチームを作っていきたいと思っています。ベースはちょっと他県とだいぶちょっと様子が違うところがございまして、さっき申しましたが、50万[時間]台軽く越えるぐらいの基調で超過勤務全体あったわけですね。それが今40万[時間]台や30万[時間]台に落ちてきています。ですから、ベースとしては例えば予算査定のやり方であるとか、それから議会対策のやり方だとか、その辺は、かなり特徴的に鳥取県は改善を進めてきまして、ベースはかなり下がっていると、私の就任したころから比べますと。その中で要は10万[時間]、20万[時間]下がったうちで、今、4万5,000[時間]戻ったというのが今回なんですけども、そのうちの3万5千[時間]が災害対応だということでございました。ただ、ちょっと懸念しておりますのは、実はかなりいい調子で下がってきたんです。それがここ数年少し底を打ったようなかたちで若干戻り始めているようなこともあるんです。それで、結局私もこれ、一種の県庁という職場の文化だと思うんです。要はできるだけ余計な仕事はちょっとやめて、それでちゃんとしっかり県民の役に立つ仕事に集中して時間内に切り上げましょうと。それから、お互いにそれを職員同士も支え合ったり、所属同士でも支えあうと、そういう文化ができればおのずから変わってき得るところも十分あると思うんですね。それがちょっと役所というのは面白いものでして、人事異動を繰り返していますとだんだん元に戻ってくるところがございます。ですから、もう1回ねじの巻き直しが必要かと思いますし、時代のテーマとして働き方改革が昨日[3月27日]も[国]予算が成立をし、国の方でも国策としてクローズアップされてくることになります。ですから、我々としてもそういう時代的な感覚を先取りしていく意味で新年度[平成29年度]から、県庁働き方改革プロジェクトチームを作ってみたいと思います。
それで、その先駆けとして4月に早速またちょっと今回人事異動しました。その人事異動に基づく幹部会を招集するわけであります。それで、今回係長以上が、30%以上が女性になったり、30.6%とか、課長が20.5%だとか、そういう女性の進出なども目立ってきているわけです。それで、これは同時に働き方改革を進めなきゃいけない職場に変わり始めていることでもあるんですね。それで、私どもおそらく両面においてその30.6[%]も20.5[%]も全国トップの可能性があるくらい、最先端いっていまして、他所がやってないようなことも、やっぱりやっていかなきゃいけないと思うんです。それで、そういう意味で、年度頭の幹部会でもこういうように職場改革進めてくれという、そういう方針を示したいと思います。先ほど申しましたように、残念ながら鳥取県は全国で一番小さな県庁ですから、1つ1つ所属が小さいもんで、それで、何か繁忙期を迎えると、一気に超過勤務を含めて負担が盛り上げってしまうと。それで、やっぱりその小さな組織であれば、今度は所属同士での融通し合いだとか、アメーバ的に支え合うようなことがないといけないわけですね、特に災害時など。災害時だから、3万5千時間増えてもしょうがないと言って開き直っていいのだろうかと私は思っていまして、むしろ災害時であれば、こういうようにやろうよということを事前にみんなである程度了解し、取り決めをし、それを職場文化とするようなことになれば、災害対応はいい仕事をするし、職員もしっかりと集中して出来るようなゆとりもあるというのが望ましいわけでして、ちょっとハードルは高いわけでありますけども、その辺を目指して行くべきではないかなと思っております。
4万5千[時間]のうちの1万[時間]のちょっと内訳は、これは分析してみないとよく分からないところがありますが、例えば、そのうちの2,500時間は参議院議員選挙なんですね。これちょっと皆さん不思議に思われるかもしれませんが、これも役所文化でありまして、国の方の選挙費用がそういう超過勤務に100%出るっていうのがあるんですね。そういうようなことで、これがちょっと季節的に盛り上がるんですね。それで、こういうのはやむを得ないのかもしれませんけれども、やらんで済むなら、やらんで済むでもいいのかもしれませんが、ただ選挙は特別だということなのかなとも思ったりします。
ですから、それぞれの課題に応じて、どうすればこれがなくなるかということを調べるべきだと思うんですね。あと、ポイントになるのは、100時間未満という月の基準をどう作り上げていくかだと思います。それで、これに向けては、私どもとして、実はこれ、うちの場合は完全にタイムカードで管理していますから、他所の県庁と違いまして、どの職員かっていうのは分かるわけですね。その職員や所属の課題をほどいてあげればいいわけであります。それで、今までも実はそういうアプローチをして50万[時間]台軽く超えていたような、そういう超過勤務の体制を40万[時間]切るような時間数まで下げてきていたわけでありますけども、それをもう一度、ここ、ねじの巻き直しをして徹底していくと。それで、そこで、組織的な課題だとか、仕事のやり方の課題が見えてくると思いますので、その辺も解決をしていくことによって、国の方針に先駆けた、月100時間未満というものを実現していきたいなと考えております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
今のご希望の100時間未満というキャップですけども、これあくまで、今目指そうとしているのは、繁忙期の特例ということでありまして、年720時間。これすらも過労死レベルと言われて、その労使間でかなり交渉があったところなんですけども、先駆けているのであれば、より高い目標を設定することもあってもいいんじゃないかなと思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。
●知事
ええ、おっしゃるとおりでありまして、働き方改革のあるべき姿というのを鳥取県から実現していくと、それを目指したプロジェクトチームを考えるべきだと思っております。その意味で今、人事担当部局の方に指示を出しているところでございまして、新年度[平成29年度]にそれが立ち上がるというふうに期待をいたしております。実は、鳥取県結構まじめにやっていまして、100時間とか、過労死レベルとかということになりますと、専門の医療的ケアというのもちゃんと受けたりするようにしております。ですから、今までも結構まじめにこうした課題には取り組んできたところでありますが、今回ちょっと期せずして災害が重なりまして、問題が従来ちょっと沈静化したものが顕在化したかなと思っていまして、この辺ちょっと改めてメスを入れていきたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
ご希望がその地方公務員にも当てはめられるか、地方公務員法の改正にもつながるかどうか、まだこれから分からないとこもありますけども、これは法律いかんに関わらず、県としては踏み出して個人の上限目標を設定すると、いうことでよろしいでしょうか。
●知事
おっしゃるように、今、法的規制があるわけではありません。また、ちょっとこれ閣議決定後どうなるかってことありますけども、国の方で労基法だとか、これたぶん2年くらいかかるんじゃないですかね、法律には。ですから、まだ時間的いとまはあるわけでございますけども、それが地方公務員法に適用されるのかどうかはちょっとまだ分かりませんが、いずれにいたしましても、先取りをしながら、やはり今、世の中で見えてきた新しい目標に職場としてもチャレンジをしていくということだと思っています。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
すみません。働き方改革について関連して伺いたいんですが、また、今週末プレミアムフライデーが2回目やってまいりますけども、こちらについて、県庁は大分率先してやっておられるようで、なかなか民間で進まない中、お店などに行ってのんびりしておられる人は役所の職員ばっかりだというような見方もあったようなんですけれども、ただ、そうは言っても、当然その国全体の考え方の中で県庁としては当然進めていかれると思うんですけれども、それと併せて民間レベルに普及させていくような手立てですね、県内で、うーん、どうしたらいいのかというお考えというのはあるんでしょうか。
●知事
これは県庁というか、今、経済産業省が音頭を取って始めたところでございまして、我々鳥取県という職場でもそれに賛同していきましょうというところでございます。ですから、今週[3月26日の週]ですと金曜日[3月31日]ですけど、金曜日の3時以降ですね、できるだけ会議だとか、いろいろと仕事の束縛は入れないと、それで、また当然ながら休暇の取得促進などしやすい環境を作ろうと。それで、現実にも2月にございましたけれども、家族合わせて、東京と鳥取で別れているご家族が奈良で落ち合ったりだとか、それから職場によっては早めの退庁が実現をして、今もおっしゃいましたけれども、本来これ経済産業省どっちかというと、これで街中が潤えばという意味でありまして、それで、現実にも街中に出て行って、言わば賑わいに一役買わせていただこうということを率先した職場や職員もいたのも事実でございます。
今、経済界の方が、むしろこれ、この雰囲気をさらに盛り上げるのは、むしろ経済産業省が主導している経済界の方であるべきなんだと思うんですが、今お店であるとか、それから旅館さんであるとか、プレミアムフライデー向けの特別のクーポンを出したり、割引の営業をされたりしているところもございまして、私どもとしても、そうしたことの周知ということはやっていってもいいかなと思っております。ただ、これ強制できるものでもないと思いますし、私ども県庁の中でもそうなんですけども、非常に経済産業省やれと言っていますけど、そんな簡単じゃないよというような思いも実は私自身も感じないとこでもないわけでございまして、こういうような取り組みをやっていますというご紹介をすることから、県としても協力していくのかなということだと思っています。ただ、いずれにいたしましても県庁職場はそれに賛同して、そうしたプレミアムフライデーの趣旨に沿った活動を職員がして、ライフワークバランスの確保ができる1つのモデルになるように努めてまいりたいと思っています。
○時事通信 滝野瀬雅史 記者
すみません。総務省の方でふるさと納税の返礼品に関して上限を実はその3割程度に設定するように要請するといった方針が出ている、方針固めたっていうことが出ているんですけれども、鳥取県でもふるさと納税を活用している中で平井知事の受け止め等お聞かせください。
●知事
私は歓迎します。私自身もそうした趣旨を申し上げておりましたし、実は全国知事会でも、これ何度も議論していまして、知事会の決議の中でもそうした返礼品競争等の不適正な、不適切な競争はないように政府としても取り組むべきではないかということを申し入れをしてたぐらいでありまして、私は歓迎をしたいと思います。実は、鳥取県は30%は当たり前のように切っていまして、むしろ我々がパイオニア的にこんなことで地方創生につなげるやり方というのを模索をしてきたわけでありますが、ちょっと自治体によっては過熱気味になっていて、金券であるとか、それからかなりの割合での返礼であるとか、そうした状況が出てきて、ちょっと制度の趣旨が変わってきてしまっているのかなと思われるところがございました。そういう意味で、今3割とかいう数字も含めて政府の方で議論されていると報道で承っておりますけども、私は歓迎したいと思います。私自身、事業構想大学大学院の設置した研究会(ふるさと納税・地方創生研究会)に呼ばれて鳥取県のやり方、これ非常に特殊なやり方でありまして、私どもだいたい2割、2割5分ぐらいの返礼水準であります。それで、ただ、これ結局参加する企業さんも自分でも努力をしていい商品を出すと、要はプロモーション料になるわけですね。全国にネットなどを通じて出ていくわけであります。それで、またこういうふるさと納税をされるかたがたというのは、どちらかというと、いい顧客になり得る層でもあるわけです。それで、その顧客創造という意味でも役に立つところがありますので、企業側もそれに載せてふるさと納税をする、ふるさと納税に協力してその商品を提供する、それで、さらには鳥取県の場合、鳥取銀行さんがタイアップをして故郷(ふるさと)[とっとり]応援定期というのを作られて、これも鳥取銀行さんが[PRを]載せるというやり方なんですね。言わば地域を挙げて、こういうふるさと納税のツールを単なる寄付金だけでなくて、産業振興だとか、地域のPRにつなげていこうと、それで、そんな取り組みが広がってきているわけでございます。
それで、ですから私どものところはむしろモデル的な事業だというふうに事業構想大学大学院の研究会の方でもご評価をいただいたところでありまして、こうした同じ土俵で、本来ふるさと納税というものを運用するのがよろしいのではないかなというふうに思っています。ふるさと納税自体は寄付金というチャリティーの文化、いろんなかたがたがパブリックな公的なサービスに貢献していくとそういう言わば1つのカルチャー、文化を欧米のように作ろうというものでありまして、また税金をかけて育てた子どもたちが結局、都会で納税をするだけになってしまっているというような現実の税制だとか、そうした意味でふるさと納税とういう制度は開設をされました。私自身もあのころはそうした制度の創設を主張して仲間の知事と運動した方でございまして、その趣旨は、私は間違っていないと思うんですね。ですから、その適正な運用がこれでまた進むのであれば私は歓迎すべきことだと思っています。
○時事通信 滝野瀬雅史 記者
3割という数字に関しても適性だというふうに。
●知事
そうですね、3割というもの歓迎すべきことだと思いますし、鳥取県は既にその基準は満たしています。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
すみません、朝日新聞の柏樹と申します。今、県条例(鳥取県産業廃棄物処理施設設置促進条例)に基づいて進んでいます米子の産廃処分場問題について伺いたいんですが、改めましてこの計画の浮上から20年以上が経過していると思うんですが、これだけの期間が経っていることをどう受け止めておられるのかということと、その原因というのはどこのあるのかということをちょっとお聞かせください。
●知事
ちょっと事実関係としては20年も経ってないもんで、たぶん12年、13年、12年ぐらい、
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
淀江に関して。
●知事
[米子市]淀江[町における産業廃棄物処分場設置]に関してね。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
淀江に関して、青谷から始まって、青谷から始まったという、
●知事
[鳥取市]青谷[町]からね、はい、はい、はい。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
この処分場の問題ですね、はい。
●知事
青谷からだと20年ぐらいなるかもしれませんね。その青谷から始まって、結局これ非常に難しい問題でありまして、廃棄物は必ず人間が文明社会として1つの生活を作り上げていく上では切っても切れないものであります。考えてみれば大森貝塚に始まって人類の歴史は廃棄物を生む歴史だと言ってもいいわけですね。特に産業活動が活発化してくると、その産業活動の前例として産業廃棄物を適正に処分するということが必要になります。まして、このたびようやく問題が解決したと言われています香川県の豊島のようなケースを見ますと、野放図にしておいていいわけでは決してないわけでありまして、どこかに適正な、適正な処分場を設置をしなければならないわけでありまして、廃棄物処分法の中でも実はそういう責務が地域に義務付けられているところでもあります。
それで、また産業廃棄物につきまして、今は鳥取県内に処分場がない関係で県外に持って行っていますけれども、ただ県外の処分場の方でそうした搬入を拒否する都道府県もだんだんと多くなってきていまして、それで産業活動の命脈を絶たれてしまうということにもなり兼ねないものであります。従いまして、これは何かやはり知恵を出しながら、地域の中でその産業廃棄物処分場というものを設置をしていかなければならない、そういう1つの言わば宿命と言いますか、我々として解決しなければならない課題を抱えながら生活し、産業活動を行っているということです。また、産業廃棄物処分場に搬入されるのは別に工場のものだけでなくて、医療廃棄物など入るわけですね。それで、そうすると健康づくり等にも関わってくるし、日常の生活にも関わってくるわけです。この辺についていろいろとやはりしっかりとご理解もいただきながら、そうした産業廃棄物処分場の設置を県内のどこかで考えなければならない、それを議論してきたところであります。
ただ、さっき青谷の話がございましたけれども、青谷であるとか、倉吉[市]であるとか構想が生まれるたびに結局実現できずにきました。そういう中で、鳥取県では実はさっき条例のお話がございましたけども、条例を作りましてその廃棄物処分場の周辺のところに対して、言わば地域振興事業ができるようなそういう基金を、産業廃棄物処分税などを財源として設置をしたところでございます。またその廃棄物処分について処分場の設置について法律でも手続きが定められていますが、それに付加して、これは作る、作らないということでなくて、作る計画について適正なデュープロセス、適正な手続きを作りましょうという趣旨での手続き条例というものも県独自で作ってきました。それで、こういうような中で、今、淀江の産業廃棄物処分場についての議論が今なされているところでございます。原因としては、なかなか最終的な地元との協力体制に至らなかったというところがこれまであったんではないかなと思っておりまして、現在、[鳥取]環境[管理]事業センターの方で真摯に今説明責務を果たすべく活動をされているところでございます。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
そうしますと、原因、長期化の原因としてはやはりその法的な裏づけがない中で交渉をせざるを得なかったという、その手続き的なお話なのか、それかまたは交渉にあたった県側の何か姿勢になにかしらの原因があったのか、どういうふうにお考えでしょうか。
●知事
これはやはり地元との協力体制、ご理解ということにつきるんではないかなと思っています。それで、これまで[鳥取市]青谷[町]の小沢見であるとか、それから倉吉[市]の構想があったり、岩美[町]の構想があったりしてきましたけれども、結局そこのところでしっかりとした議論、説明というものが十分尽くされていない面もあったんではないかと思います。それで、過去のそうしたさまざまな経験から本県ではそうはいっても地元にもやはり一定の感謝と言いますか、きちんと地元にも引き受けていただく際には貢献しようじゃないかと、そんな意味で地域振興の基金も設けられてきたという経緯もあると思います。このように道具立てが過去完全ではなかったところもございますので、状況は今変わってきているのかもしれません。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
すみません。あと1点。この20年というのはやはり1つの管理型処分場を作るにはかなり長期化しているなというふうな認識をお持ちなのかどうかというところ。
●知事
これは私が就任した12年前、10年前もそうなんですけども、結構産業界など結構危機感を持っているかたがたが多いんですよね。それで、つまりぱっとこう産業廃棄物処分場を持ち込むなとハサミで切られてしまいますとあっという間に県民の雇用が失われるということになってしまいます。ですから、そういう状態のままでいいのかという議論は根強くありますし、その辺に対する答えを出さなければならないという現実が片方にあると。ただ片方で、ただ最後はどこかの場所で造るということになりますので、じゃ、それが安全なものが本当に造れるのかどうかということの精査であるとか、地元のかたがたのご理解やご協力が最終的には得られるのかどうかとか、いろいろとそういう組み合わせの中で議論していかなければならないわけであります。それで、非常に難しい課題も地元では感じておられるところも当然出てくるわけでありまして、それに対して、いや、安全対策はこうですよとか、それから地域振興策としてこういうものを考えていきましょうとか、いろんな議論をしていかないとやはり解けないんではないかなと思います。各地はそういう努力を他の都道府県はしてきたわけでございまして、本県の場合はちょっとそこら辺の十分な努力がなされてこなかった面があるのではないかなと思います。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
それはセンターというより、県がということでよろしいんですか、その努力という点からしたら。
●知事
これはちょっとそもそも県、センターの前に、実は淀江の場合で言えば事業者がありました。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
環境プラント。
●知事
ええ、それからその前の青谷等々の場合はセンターというような組織もございました。結局、事業者はそちらなんですね。ちょっとややこしいのは、県庁には2つの顔がどうしてもありまして、1つはさっき申しましたように、廃棄物処分法に基づいてどこかで産業廃棄物をきちんと処分する場所を作るという責務があるのと、もう1つは許認可権者として、安全対策が十分行われているか等々を管理監督していく立場とありまして、この両者があるんですね。この辺がちょっとやっかいなところであります。従いまして、一時的なその説明責任はどうしても事業者の方になってしまうわけでありますが、もしステージが進んできて地域振興対策ということになってくると、これ事業者だけでも解決できない課題もありましょうから、そうすると地域の行政も関わっていくという局面もあるかもしれません。
○朝日新聞 柏樹利弘 記者
ありがとうございます。
○朝日新聞 柳川迅 記者
他は質問ないでしょうか。では終わります。
●知事
はい。どうもありがとうございました。