●知事
皆さま、おはようございます。このたび、九州北部におきまして大変な豪雨災害がありました。また、新潟[県]の方でもやはり堤防が決壊をする大きな被害が出ているところでございます。九州につきましては、私どもも当初から職員災害応援隊を派遣させていただき、昨日[7月18日]は[鳥取県]ボランティア[隊]の皆さまが北九州の方へ向かいました。現在、福岡県朝倉市、そして大分県日田市におきまして活動をされているところであります。既に亡くなられた数、判明しただけでも30名を超えている非常に厳しい水害となっております。心よりご冥福をお祈りを申し上げたいと思いますし、被害に遭われたかたがたの一日も早い生活再建が実現できるようお見舞いを申し上げ、我々としても応援をしてまいりたいと思います。
今回の災害につきまして、いろんなことが報道をされております。私どもも既に災害の応援隊が職員としてまいりまして、現地の状況も見てまいりましたし、福岡県の災害対策本部の方に見舞金を届けさせていただいたり、調査活動もさせていただきました。いくつかポイントが出てきているというふうに思います。1つは流木の問題、それからもう1つはため池の問題、こうしたことが急浮上してきたように思います。また、避難先の小学校が孤立をしてしまった、そういう避難所のあり方、これもやはり今回の災害の中で問われているように思います。これからいろいろと分析も進むのでありましょうけれども、本県としても、こうした今回の北九州におけます豪雨災害を受けまして、対策を取る必要があるのではないか、こういうことで、今、関係部局に指示をしているところでございます。
具体的には、今回は流木が流れ込みまして、それが住家地区に被害を与えたり、また、川を事実上、橋に引っかかるかたちでせき止めるようなことになりまして、それが越水の原因になったりということがありました。本県におきましても平成19年に集中豪雨が相次いでございました。それで、琴浦町の中村地区それからまた若桜[町]の屋堂羅川、そうしたところでやはり橋に、流木が引っかかって、それが越水しまして、地域に土砂災害を呼び込んだ原因となったり、それからやはり鉄砲水のようなかたちで出てきた関係で破壊力を増したという過去の例もございます。そこで今回の災害に鑑みまして、こうした点の再点検をする必要があるのではないかなと思います。また、合わせてため池につきましても、日本は各地にため池がございまして、本県も例外ではありません。今回のケースでは流木がため池の中に入り込んで、それが悪影響を与えたということがあったり、洪水吐(こうずいばき)[ダムや貯水池の安全確保のための放流設備]と言われます水がはけるところありますけど、ここに物がたまってしまう、流木もそうでありますが、それで水の出口を失ってしまいまして、本来はため池は水があふれる前に水を少しずつ放出をする機能がついているわけでありますけども、これが働かなかった、それが原因で大規模な土砂災害につながってしまったということがございました。
それで、9月補正でこういう流木の動きがどういうふうになるだろうか、それが例えば避難場所であるとか、それから重要な交通ポイントであるとか、また、河川、ため池、こういうところにどういう影響を与えるのか、この流木の状況につきまして、シミュレーションを9月補正で実施してはどうかなというふうに指示をして庁内で、今、調整を急いでいるところでございます。具体的にはかなり多くの箇所になると思いますが、簡易なシミュレーション方式もございますので、危険度がどれぐらいあるか、要は危険箇所、トラブルポイントというのがどこに生じてくるのかというのを見る必要があるのかなと思います。報道されているところによりますと、今回も鉄道が、橋脚が流されたという被害がございましたけども、これも流木の動きなどをシミュレーションして、あそこは流失の可能性があるというふうに事前に指摘をされていたということもございました。
まずは危険箇所がどこにあるのか、そうしたら、それに対する重点的な対応というのを今後どういうふうに図っていくのか、その出発点になるわけでありまして、今回の災害を踏まえてそうした流木による被害の発生、可能性につきましてのシミュレーションを、県内のおそらく100カ所とかそういうオーダーになると思いますが、県内各地における災害危険箇所、トラブルポイントの洗い出しに着手させていただきたいと思います。その後どうするかというわけでありますが、例えば砂防堰堤がございますけども、砂防の堰堤で流木が流れないようにするための仕掛けをつける、そういう工事もあり得ます。それから、ため池であればため池のなかにいろんなものを、流木だとかいろんなものが流れ込んでそれが堤防に影響しないようにネットでそこにくっつくのを事前に止める、そういう工法であるとか、それから洪水吐のところの補修であるとか、いろいろと考えられることがあろうかと思います。
ちなみに、今回[智頭町]市瀬のところの土砂が流れ出して[国道53号線の]トンネルを塞ぐ格好になっていることにつきまして、今復旧を国交省と一緒になりまして急いでいるところでありますが、これについては今、上の方の砂防ダムのポケットと言われるところ、これをかき出していくことができれば一定の土砂や流入物を止めることができますので、それで交通再開に向けて、今、頑張っているところでございますが、いろんな対策工事というのが今回の雨を通じて今後見えてくるのではないかなというふうに考えております。明日、国の方に参りますけども、その際に磯崎[陽輔農林水産]副大臣の方にこうした今回の災害に鑑みた、ため池対策、これ、全国的にもたぶん制度的な担保も必要なのではないかと思います。今のところ有効な手立てにあたるような国の事業があるわけではないようでございまして、そういう制度設計も国に求めていきたいと思いますし、県としても可能なこと、これは1つ1つ時間をかけてやる必要があると思いますけども、それに向かっていく必要があると思います。
まずは9月補正でこういう流木の動き、災害に影響を及ぼす可能性についてのシミュレーションを全県的に行いたいと思います。それから避難場所につきまして、孤立するということがございました。実は本県でも防災危機管理条例を先般改正するなど、[鳥取県]中部地震を踏まえまして、災害対策の強化を急いでいるところであります。これにつきましては、防災対策の研究会を県と市町村で行って避難場所の適正[化]について協議し始めたいと思います。具体的には今月末[7月末]か来月[8月]に入る頃に、会議の場をまずは設けて対策をとっていくのかなと思っているところでございます。今回、福岡で孤立したケースは本来の避難所指定がないような小学校に住民のかたが集まっておられた、結局そこが土砂で埋まってしまったというようなことでございまして、出られなくなってしまったとそういうケースでございます。実は、今、防災危機管理条例改正後も非常に厳しい洪水を想定して、例えば倉吉市で今、避難所の見直しを始めたところでございます。こうしたことを全県的にも行う必要があるのだろうと思います。これについては倉吉[市]さんの場合ですと、危険なところの避難所をやめるというようなことをやりかけておられまして、県の方としても、緊急にまず第一時的に集結するような場所、そういう場所として提供できるところがないかどうか洗い出しをしようということを、今、しているところでございます。
こんなような作業をそれぞれの市町村でも進めていって避難場所が孤立するということにならないような対策を考える必要があります。地震のときはそれでよくても大規模洪水のときはできない、そこは別の避難の仕方をしなきゃいけないということがあり得るわけでございまして、その対策、戦略を考えなければなりませんし、住民の皆さまにもそれに従って避難行動をしていただく必要があり、周知徹底を図ることも大切であります。こういう避難のあり方につきましては、これから県政だよりであるとか、新聞広告等の広報手段も含めまして、今回の災害の教訓を踏まえたPR活動も行ってまいりたいと思います。
●知事
この度、宍道断層につきまして長さの見直しがなされるということになりました。私どもは兼ねてからこの宍道断層の長さがこれで十分なのかどうか、きちんと検証してほしいと、これは中国電力にも[原子力]規制委員会の方にも申し上げていたところでありまして、そうしたことを踏まえた見直しではないかと受け止めております。ただ、こうしたことが果たして妥当なものになるのかどうか、これから国がまた検証すると思うんですね。今度は伴[信彦]委員が島根原発サイトを視察に行かれるということでありますが、その後またこうした地震活動についての結論も規制委員会の方で出されるんではないかなと思います。その出てきた結論を検証しなければなりません。そこで私どもの方でも西田[良平]委員に加えまして、香川敬生委員を任命しようと、これは県の原子力防災顧問に任命しようというふうに考えているところでございまして、早ければ今日[7月19日]あるいは明日[7月20日]、近いうちにこの香川先生にも入っていただいて、いずれ国の方で、出てきます結論を検証する作業の中核にあたっていただければなというふうに思います。
いずれにしても安全が図られることが原子力発電所の前提条件でございまして、今日も職員の方でシミュレーション訓練を実施しているところでございます。また、豪雪につきましては除雪の人材育成が必要でありまして、その人材育成に向けまして、昨日、今日、明日[7月18日~20日]とその対策を関係者のかたがたにご説明していく、そういう会議も持っているところでございます。
●知事
この度、ヨーロッパ[EU]とのEPA[経済連携協定]が整う見通しとなりました。直ちに私どもも対策会議を招集しまして、分析を進めていたところでありますが、広範にわたりまして、これが影響し得るということが見えてきたように思います。いい方向の話としては、経済界は比較的前向きにこれを受け止めているようでありまして、意向を調べさせていただきましたけれども、そういうご意見が多かったです。例えば部品の輸出であるとか、あるいはお酒の輸出であるとか、いろいろとこれから県内経済にも影響し得るものがいい方向であるんではないかというご意見が出ています。そういう方向で言えば、これ、例えばこの秋ですね、サロン・デュ・サケというイベントがフランスで開かれます。お酒の国際的な物産展でございますけども、こちらの方に県内の酒造メーカーやそれに関連する事業者が出展をされること、これを今、応援をしようというふうに、今、具体化しつつあるところであります。
例えばこんなような販路拡大や戦略転換の応援、これを県の施策としてもやってまいりたいと思います。明日[7月20日]、経済産業省の方も訪ねまして、大串[正樹経済産業大臣]政務官の方にこういうEPAにつきましての前向きな動き、この応援ということをお願いしていこうかなと思います。ただ、片方で農林水産業の方にどういう影響があるかということであります。今回、お米等はあんまり問題になっていないようでありますけども、例えばソフトチーズ、これについては16年かけて、また牛についても16年、これ肉牛ですね、16年かけて、豚については10年かけてこういう関税についての見直しが行われることになりました。それから、本県で言えば梨だとか、あるいはブロッコリーといったような果実、野菜類、これについては基本的に即時撤廃という内容であることが私どもの調査で判明をしました。
梨であれば3%とか、ネギか、ネギが3%、梨は4%ですかね。数パーセントではあるんですけども、そうしたことでの撤廃があります。日本への輸入量というのは、現在はそんなに大きくはないので心配がTPPほどはないのかもしれませんけれども、ただ、私どもとして、これは中長期的にどう影響を与えるかということに注意する必要があります。とりわけ牛や豚といった家畜の関係、これについてはソフト系のチーズが、解禁ということになってきますと、生乳が使われる行き先を失って生乳市場の方に出てきて、それが国内の乳価を圧迫し、押し下げるのではないか。こういうことも言われるわけであります。
従いまして、あとまた肉用牛についてもそうでありますし、豚も影響があるだろうと。そこで明日[7月20日]ですけども、石原[伸晃経済財政政策担当大臣]、このEPAの担当大臣、それから磯崎農林水産副大臣の方に対策が必要であるということ、それで、農家等が心配しているということを強く申し上げていく必要があるだろうと思います。これは地方六団体やそれから農業団体と一緒になりまして、こうした要請活動を明日[7月20日]、行ってまいりたいと思います。そうした農業団体等のいろんなご意見を聞きますと、やはり牛や豚についてのマルキン[経営安定対策]と言われるんですが、価格安定制度のようなものですかね、価格保証、要は損失保証制度のようなもの。このマルキン制度の9割補填というのをやっぱり国として実行してもらうということを強く求める必要があるんじゃないだろうか。これが1つ考えられるところであります。
また、県としても何をやるべきかということを、また9月補正に向けて、まずは国に要求をしながらも考えていく必要があると思います。そういうマルキンと言われる保障制度の運用を県としても農家向けに支援をしていくとか、それから乳用牛の母牛、メス牛、これの導入の助成であるとか、こうした県独自の対策というのも、これから9月議会に向けて検討していく必要があるかなと考えております。いずれにいたしましても、このEPA、片方で歓迎している向きも県内にあるんですけども、農林水産業を犠牲にしてこうしたことが前に進んではいけないわけでありまして、その辺につきまして強く国の方に求めてまいりたいと思います。
●知事
現在、国の方も予算編成作業が進んでまいりました。麻生[太郎財務]大臣の方で概算要求基準の案が示されたり、経済財政諮問会議の方の考えかたが出てきてたり、というところであります。例えば、2020年度に8兆円余りの赤字がプライマリーバランス[基礎的財政収支]で残るんではないんだろうか、そうなると政府の公約に黄色信号が点るということになりますが、そういう試算が出てきたり、また、新年度[平成30年度]の予算要求に向けまして人という人材に着目をして4兆円の特別枠を考える、こうした構想が示されるといったことなどがございます。いよいよ予算につきまして、国の動きがこれから急ピッチで進んでいくと思われます。
明日[7月20日]は、まず国会議員のかたがたに要請活動をさせていただき、例えば、参議院の合区問題であるとか、そうしたことも含めて要請活動をさせていただいた上で、各省庁を回って道路であるとか、港湾であるとか、また航空路線であるとか、そうしたインフラストラクチャーにかかわること、また、地方財政対策につきましても原田[憲治総務]副大臣の方に交付税を初めとした一般財源総額の確保、これは今の国の動きでは地方は基金を積んで余していると、そういうちょっととんでもない議論が出てきておりまして、鳥取県はそんな状況にもないのに、一般財源を削られては太刀打ちいかないわけでありまして、そういうことでのアピールをしていかなければならないだろうと思います。それから、防災や安全対策、各般にわたります国への予算要求も絡めた要請活動を、明日、展開をしてまいりたいと思います。
●知事
地域の方でも、これからの動きを作って、地方創生を初めとした地域の元気を作っていかなければなりません。この週末[7月23日]は若者によります地方創生の会議[とっとり創生若者円卓会議]を、また今年度[平成29年度]も動かしていくことになります。メンバーも入れ替えまして、またフレッシュな議論をし、例えば子育てであるとか、移住であるだとか、そうした提言をもらおうとしています。また、子育て関係で不妊治療をテーマにする学会[日本受精着床学会]が米子[市]の方で今週末[7月20日から21日まで]開催をされます。私も出席させていただき、全国のかたも含めまして鳥取の子育て王国についてアピールをさせていただこうと考えております。
こういうようなことの中で、星取県を標榜させていただき、要は自然の豊かなところということで観光アピールをしたり、環境推進活動というのを活発化させていこうと、今、動いているわけであります。これにつきましては景観条例という従来の景観規制の条例[鳥取県景観形成条例]などもあるわけでありますし、あるいは鳥取砂丘の条例[日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例]などもありまして、先例に当たるようなものもあると考えておりまして、そうしたことを頭におきながら罰則も含めて条例で規制をしたり、あるいは特別区域というものを設定をして振興策を図ったり、こんなことをこれから議論を具体化していく必要があると思います。9月議会まで2カ月でありまして、この間にまとまれば条例案を提出をしていくことになりますが、早速さじアストロパークでお客さまが満杯になるなど、いい効果も表れていると思われます。
●知事
観光につきまして、特にインバウンド[海外からの誘客]の観光を図っていかなければなりませんが、コスタセレーナ[号]が明後日[7月21日]、境港に初入港することになりました。これはコスタ・クルーズ社が運用している船のなかで初めて上海からダイレクトで境港に入るものであります。境港から上海にダイレクトで帰るわけでありまして、今までにないタイプのクルーズ船でございます。今のところ2,500人ぐらいお客さまが乗って来られるのではないかというふうに言われておりますけれども、ぜひ、しっかりと、こうした海外のインバウンドを引き込んでいく対策を進めていきたいと思います。
実は、この度、新規にNTTドコモとタイアップをいたしまして、今、テスト導入をしておりますのが、外国人向けの通訳ガイドを受けられるシステムであります。これは海外からも使えるわけでありまして、インターネットを通じてテレビ電話やメールで、私ども県内におられます通訳案内士のかたを呼びだしてサービスを受けるというものです。通訳案内士のかたも在宅で対応するわけでございまして、働き方としても新しいものもあるのではないかなと思っています。まだ他県でもこれと全く同じようなものがまだ導入されているわけではなく、テスト的にNTTドコモさんとタイアップをして、この度県内で今運用が始まったところであります。秋にかけまして7月14日から運用しておりまして、多くの外国人のかたにもこれで興味を持っていただければありがたいなと考えているところでございます。こうしたことなど私どもとしても、地域の魅力を国内外にアピールをしてまいりたいと思います。明日の国への要請活動のなかでも、これから恐らく始まります鳥取空港5便の枠確保、これ競争的な枠ということになってくると思いますが、そうしたことでの便数確保であるとか、それから海外とのチャーター便の応援であるとか、そうしたことを今後も訴えかけをしてまいりたいと考えております。
福祉の方では来週、知的の当事者のかたがたが中心になった交流会[ふれんず大会]が開かれるなど、鳥取県でもあいサポート条例を受けていろんな取り組みが前進をしているようになってきたと思います。そういうなか、鳥取県はあいサポート運動を始めたところということで、押切もえさんが新しい児童書[わたしから わらうよ]を出されまして、このなかで若桜町を舞台に障がい者のかたと出会う、そういう子どもの姿を夏休みのタイミングで問い直すようなそういう絵本を出されました。私から笑いかけてあげるんだと、そういう心のバリアを取ろうというものでありまして、私どもとしてもこうしたあいサポート運動を進めていくいい1つの発信になるかなというふうにも期待をいたしているところでございます。
●知事
いよいよ夏休みも始まりました。子どもたちの歓声もあふれる季節になってきたわけであります。早速今週末22日にはさじアストロパークでも、また大山の方でも伯耆町で桝水のお祭り[フェスティバル・ディア・マスミズ~桝水地蔵尊祭~]と併せて、あるいは、柄木[孝志]さんという写真家のかたが主催をされます星のイベント[大山星空で遊ぶツアー]、そういうものも[7月]22日に予定をされていますし、三朝でも22[日]、23[日]とツアー[スターウォッチング]が組まれたり、23日[ほか]砂丘ヨガ[星空のもとで砂丘ヨガ]があったり、星のイベントもこれから本格化してくるというこということになります。23日から8月いっぱい地震からの復興も進み始めております三朝のフェスティバル[三朝温泉夏まつり2017]が開幕をすることとなりました。
また、併せましてこの週末は境港、世界妖怪会議が始まり、ブロンズ像が一堂に会しているわけでありますが、この境港におきましてジャズフェスティバル[境港妖怪ジャズフェスティバル]が開催をされることになります。いろんなかたちで多くの方々に鳥取に来ていただき、あるいは帰ってきていただき、賑やかなふるさとになることを願っていおります。ただ、熱中症も全国各地で症例の報告が相次いでおります。ぜひ、ご体調に気をつけて県民の皆さまにはよい夏をお迎えいただければと思います。私の方からは以上です。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
各社質問があればお願いします。
○NHK 木庭尚文 記者
流木のシミュレーションの件なんですけれども、そのシミュレーションというのは県でもう既に何かそういうソフトみたいなのがあって、それに当てはめるだけなのか、それからそのものを予算措置して買ってくというところになるんですか。
●知事
これ、多分委託的なことになると思います。今、方法については詰めているところでありますが、恐らく1千万、2千万というようなオーダーで、1億にはいかないと思いますが、やはりそれなりに、全県でありますから、お金もかけてやることになります。ただ、今回の災害[九州北部における豪雨災害]の状況、我々も報告を向こうに行った人たちから受けておりますけども、やはりうちと似ているんですよね、真砂土の地盤のところで流木が土砂と一緒に流れ落ちる、あるいは多分地域によっては切り捨て間伐のこともあったかもしれません。そういうものがやはり動いていきますと、例えば橋に引っ掛かるとボトルネックになってしまう。それが被害を一気に拡大させる要因にもなるわけであります。これは決して福岡や大分だけのことではなくて、全国どこでもあり得る災害のタイプということではないかと思います。現に私たちも[琴浦町]南中村谷川とか、それから[若桜町]屋堂羅川で同じことを、平成19年にも相次いで経験をしたこともございます。その危険性というものが今回もクローズアップされてきました。今まではその流木を踏まえたシミュレーションまでやってなくて、例えば山の斜面の状況等での危険性の判断などに留まっていたわけでありますが、そういうことと併せてそういう流木が係わったときに、どういう被害の拡大があり得るのか、どの辺が注意すべき地域になるのか、それをまずあぶり出していく必要があるということです。ですから、県でそういうソフトがあるわけではございませんで、その辺は簡易なシミュレーション手法があるようだとわかってきましたので、そういうまずは簡便な手法でラフスケッチとしてどの辺が注意すべきポイントかというのを洗い出してみたい。それは予算が必要になりますので、9月議会で議会とも議論させていただいて実行させていただければと思っています。
○NHK 木庭尚文 記者
それは、最終的にはハザードマップだとか、そういうとこにも反映させていくということになるんでしょうか。
●知事
そうですね、ハザードマップとメルクマール[指標]、国のメルクマールと合う、合わないということがありますけども、ただ、ここはそういう危険のあることだということが判明したら、例えばその上流部において下に落ちてくる前に流木を止める、そういう砂防の工事に流木止めを付加していく、そういうことで下まで流れてくる前に止めてしまう、そういう対策工事の指標にもなると思いますし、ダムや、例えば今回も島根県でもだいぶんダムの中に木が入り込んでいます。あれ実は私どもも[南部町の]行者谷林道のとこで豪雨があったとき、やはり賀祥ダムなどで、いろんな物が入り込みました。ああいうことはあり得るわけでありますし、それが今回福岡等のケースでは、小さなため池で起こってしまった。それが結局ため池を脆くしてしまう原因にもなるわけですね。そうしたら、それの対策工事ということをやはり考える必要があるのではないだろうか。これ実は国の制度がないところなんですけども、国に制度要求をしつつも県でやれることはないだろうかを考えていく、その出発点としてやはり危険箇所がどこなのかということはやっぱり洗い出しておく必要があるのではないかということであります。今のレッドゾーン[土砂災害特別警戒区域]、イエローゾーン[土砂災害警戒区域]を改定するということではございませんけども、ただ、それとオーバーラップして、危険性というのをトラブルポイントとして把握しておくということであります。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
関連してですけれども、全県的に調べられた100カ所程度という規模感でということで言われたんですが、100カ所というのは河川なのか、それとも何か集落単位なのか、どういう単位をイメージすればいいでしょうか。
●知事
ちょっと100というのはまだちょっとラフな話で、100というふうに決めたわけでもなくてこれから洗い出しをするんですけども、だから1カ所とか、10カ所とかいうことではなくて、100カ所といったそういうオーダーで網羅的に全県をということであります。これはある程度経験上、地図上でも分かり得るところでありまして、こうしたところが河川に影響し得るポイントとして考えられないかとか、あるいは避難場所だとか、交通のポイントなどを一気に襲撃してしまう可能性がないかとか、それを、だから下流側といいますか、ふもと側の状況とあわせて考えていくというような洗い出しになります。もちろんその中にため池もそういう対策ポイントとして考えて、ここはため池の影響をちょっと見ておいた方がいいポイントだというところもシミュレーションしていくとか、そんなことで全県的にやっていきたいということであります。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
県管理の河川の流域で行うということでしょうか。それとも国管理の河川も含めて全県的にやると。
●知事
そうですね、それは別にどこの管理ということではないと思います。例えば国管理の河川の上流部において、橋が架かっていると。それで、そこそこ川幅があるようにも思えるんですけども、今回の福岡の豪雨、あれは500年600年に1度というような豪雨災害だと言われています。あれほどの雨が降った場合には、ここでもこう流木が流れてきて、やはりこの橋に影響を与える、そういういうところが想定されなくもないです。ですから、その直轄ポイントだからといって、それ、対象にしないというものではありません。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
橋の強度とかそういうことも含めて、その最大流れ出る流量とかそのあたりをシミュレーションしていくというイメージでしょうか。
●知事
実は、その福岡のケースで巷間報道されたところでは、山の中の流木、この状況の動き、これをシミュレーションするんだと思います。それが、もし流れてしまったら、そうするとここに溜まる、それで溜まるここに集結したところに、ここに、これが橋に影響し得ると、こういうタイプのシミュレーションだと思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
すみません、関連して、流木について間伐という話もちらっと出ましたけれども、今回報道などを見るとやはり細い木、比較的細い木が多かったように思うんですけども、そもそも山の手入れが行き届いてないということが原因にあるんじゃなかと感じます。これについて県内で改めて森林整備あるいはその間伐材の利用等ですね、考えられるようなことはあるんでしょうか。
●知事
これは、実はEPAの話がありまして、EUとのEPAのなかで集成材とかになるんですけども、これも関税撤廃対象に入ってくるんですね。それで、それが県内業者にも影響し得ると見ております。それで、国の方にもこの林の対策をこの機会に求める必要があると考えておりまして、明日[7月20日][国要望]もそういうEPA対策で行こうとしております。こんななかに、当然ながらそれは山の健全な管理にも係ることでありまして、普段からのそうした手入れがあればこそ、そういう、今、おっしゃるような切捨て間伐による被害の防止にもなるはずであります。[兵庫県]佐用[町]でも大規模な土砂災害がございました。あれはそういう林地に切り捨てられていた間伐材が影響したんではないかと分析をされています。決して私ども他人事ではございませんで、そうした間伐材の持ち出し支援等も本県では充実をしているところでございまして、今後もそうした健全な森林管理、これを重点的に考えていきたいと思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
それじゃ続けてすみません。インバウンド対策で、外国人向けの通訳ガイドのシステムのご説明ありましたが、今回2回目ということで聞いております。前回がちょうど折り悪く地震、鳥取中部地震が重なったということなんですけども、利用が極端に少なかったということだそうですが、前回を反省に今回使ってもらうためにPRですとか、外国人のかたにどのように使用を進めていかれるのか県としてどういうふうに考えておられるのか聞かせてください。
●知事
これ、前回ちょっといろんな不幸も重なったとこであるんですけども、前回と比べて今回、いわば反省も活かしながらバージョンアップをしております。1つのバージョンアップは、前は県内での問い合わせに限られていました。県内に来た観光客ということでありましたけれども、今回は全世界でありまして、昨日はベトナムの旅行社のかた、こちら[県庁]に常駐するようになりましたけれども、これから、じゃあ鳥取に行こうかと考えている人、そのかたがたも対象にして普段から私ども情報発信のなかにこういうサービスがありますよということを入れていって、インターネットでありますので、別に地域限定ということよりもそうした世界を対象にやった方がいいのではないか、こういうように1点は改善させていただきました。
また、あともう1点は、メール機能も使ってということでありまして、どうしても通信費の課題があるわけであります。メールですとその辺あまり心配も少ないわけでありますし、また、問い合わせを受けた通訳案内士のかたの方でも、いわば営業時間の外であればまた営業時間が始まったとこでメールをお返しをするというようなことで利便性も確保しやすいということもございます。こういうことで、去年[平成28年度]よりは使いやすいシステムにして、その汎用性というものをNTTと一緒に調査して、テストしていきたいということであります。今、各地に向けまして観光パンフレットとか、我々のサイトとか、それからトリップアドバイザーを初めとした世界的なサイトでのページづくりということも、今、やっているんですけども、そういうなかに今回の通訳案内士を活用しました多言語対応、これを入れてアピールをして利用を促進してまいりたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
避難所の孤立対策について伺いたいんですけど、先ほど市町村に対して危険な場所がないか、洗い出す作業をお願いしていくというような趣旨でご発言されたと思うんですが、防災危機管理条例の方で市町村に支え愛避難所の設置っていうのを促してきめ細かな身近な場所での安心した避難っていうのを条例上位置づけたわけですが、一方で今度はそこが安全かどうかという点検も促すということですけど、市町村にとってかなりこれ負担だったり、労力のいる作業だと思うんですけど、これ市町村にどう、このあたりを促進していくのかということと、何か県としての予算面、人員面などでの支援みたいなことは考えていらっしゃるんでしょうか。
●知事
今回は、実は別の流れがありまして、具体的には円山川[兵庫県]が氾濫した雨[平成16年、台風23号による水害]がございました。あれが1000年に1度の雨と言われています。そういうレアな確率ではありますけども、同じ山陰で起こったマクシマム[最大級]の水害、それを念頭におきまして、今、市町村とここまでもう本当にこういう厳しい災害のとき浸水しますよというそういうマップを今共有しております。それで、そうしますとそのなかに入っているところは何か対策を考えなきゃいけないことになります。ですから、避難所の設置を考えるときに、そのマップも見ていただきながら再点検してもらうということでありまして、これはもう既に材料もございますし、あとは応用問題になってきているだろうと思っています。ですから、これを、今度防災[対策]研究会、県と市町村で設置をしているわけでありますが、そのなかで今回の水害も共通認識として、深刻な被害のときはこういう避難体制を取りましょうと。それをお互いに話し合っていく、それで市町村の方に洗い出しをしていただく、県の方でも例えば県のサイト[側]で提供できるところがないかどうか、その洗い出しをするというようなことで突合せをしていってできるだけ早く、いざというときの戦略を整えてまいりたいということであります。従いまして、その作業自体はあんまり予算はかからないと思っております。支え愛避難所につきましては、これは支え愛避難所として活用しようというとき、これがもし浸水マップがかかっていれば地震のときはここでいいかもしれませんけど、こう大規模災害のときは、ここは使わないであっちへ逃げましょうねということを周知してもらう。それとあわせて、ただそうは言っても支え愛避難所を活用できるので活用したいというときには、例えば簡単なグッズとか、それの支援措置は[平成29年]6月の県議会で議論したときに計上させていただきましたので、それを市町村の方と一緒に協力をしまして、その集落の方で活用していただくと、こういう今スキームを取っております。今回こういう防災の研究会を早速、今回の水害も踏まえて開催をするなかで、そうした手法を話し合っていきたいと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
今日1票の格差訴訟の関係で上告審弁論が開かれるということですが、年内にもこの最高裁が同一判断示される見通しになっていますが、このことが合区解消議論に与える影響についてどういうふうに認識しておられるのかということ改めてお聞きしたいのと、それから、明日、国会、六団体として国会議員に対して要望もされるということですけど、非常になかなか2019年までの合区解消が難しいといいますか、課題が多いと言われていますが、改めてこの時期にどういうふうに地方として、地元として声を挙げていこうとされているのかお聞かせください。
●知事
明日[7月20日]は、朝にはなりますけども、鳥取県の4国会議員にも出席していただけることになりました。それで六団体として痛切な声を、お届けを申し上げたいと思います。今、鳥取県、こないだの選挙では参議院で唯一代表を選出できなかった県となりました。我々が恐れていたことが現実のものとなったわけであります。もちろん山陰両県での代表ということはありますが、住所地ということでありますとその地元の国会議員がいないという具体的にはそういう状況になっているということであります。これはやはり国政への足がかりを地域全体が失うということに等しいものがあると思います。やはり戦後、民主主義を作るなかで参議院が地域代表とそれから全国代表で組織をされてきたその代表の考え方、デモクラシーのあり方というものを我々としては取り戻す必要があるのではないだろうか、これ強く訴えかけたいと思います。
もちろん憲法で改正をして所定の規定が入ることが1つあり得ると思いますし、憲法以前に、今とりあえずできることをやっていただくということもあると思います。その辺を、あとは国会の方で料理をしていただくような話になると思いますので、我々してもその国会の動きというのを強く求めたいという趣旨であります。1票の格差の訴訟がどうなるかはちょっとまだ予断を許しません。口頭弁論が開かれたからということではありますけども、実は高裁判断が分かれています。それで、高裁判断が分かれているときに最高裁が判決を出すにあたりまして、口頭弁論というものを考えることは、あんまり不思議なことではございませんので、あんまり一喜一憂することではないのかなというふうに思います。高裁判断は、多くの判決は現状是認のものであります。また、一部の判決は意見というものが含まれています。ただ、いずれにいたしましても合区が前提となった上での最高裁判断ということでありまして、我々が問い直したいのはその前提の方の合区の是非の方でございます。こちらが今回明確な争点になっているわけではありませんので、立法論として司法とはまた別に国会で考えていただく必要があるのではないかなと思っております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
合区から1年が経過しましたが、先ほどおっしゃったように、唯一住所地がある国会議員がいない県になりました。それで、改めてこの間、県民の思いはどういうところにあるというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
●知事
やはりこれはいろんなアンケート調査も出ていますけども、鳥取県内では解消すべきという意見が圧倒的に多くございます。それはやはり自分たちも同じ税金を払っているのに、代表において差別されているんではないかという意識があると思います。衆議院と参議院と我が国は二院政でありまして、二院政であればそれぞれが工夫をして代表原理を組むことによりまして、トータルで国民の多様な意思を国会に反映させることができるのだと思います。そういうなかに地域の多様性という我が国が幕藩体制以来培ってきたそういう社会風土があるわけでありまして、それを代表原理に反映させるというのは当然あり得ると思います。特に都道府県制度は、これは明治の府県政以来100年の長きにわたりまして発展をしてきた制度でありまして、この区域を前提として意見集約、意思決定のシステムが出来あがってきています。それで国と地域の係りもやはり都道府県単位の媒介を通して行われている現実があります。ですから、我々としてやはりこれは政治の基本として求めていかなければならない、それが県民の意識に深く根ざしているのだというふうに考えております。
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
ほかになければ終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。