防災・危機管理情報


 平成30年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 今議会に提案いたしました議案は、
  予算関係   31件
  条例関係   39件
  その他の案件 22件 の 合計 92 件であります。

 最初に、議案第1号 平成30年度鳥取県一般会計予算についてであります。

 これまで約10年にわたる思い切った産業・雇用対策により、本県は有効求人倍率が1.70倍と全国11位に上昇し、正社員の有効求人倍率も1.13倍と過去最高を記録するに至りました。しかしながら、最近は米国発の株式市場の変調が世界に広がり円高傾向も見え不透明感が漂う中、TPP11や日欧EPA発効の影響、少子高齢化の進行や人口流出などの課題が地域社会に迫っています。
 一方、平成30年度の本県財政見通しは、税収増を遥かに上回る規模で、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税が50億円以上大幅に削減される見通しという、近年にない厳しい環境にあります。
 このような情勢の中で、平成30年度当初予算を組むこととなりましたが、徹底した事業の見直しや財源確保に取り組み、財政の健全性を確保しつつ、鳥取県中部地震後へのふるさとづくりや、県民の安心と地域の活力に向けて全力を傾けるという、困難な予算編成に果敢に挑むこととなりました。その結果、先の臨時議会でご可決いただいた補正予算と併せた14か月予算では今年度比1.8%増の積極的な予算を実現すると同時に、「財政誘導目標」である「平成30年度末基金残高300億円以上」「実質的な借入金残高3,000億円以下」については、当初予算段階でそれぞれ309億円、2,973億円になるとともに、「プライマリーバランス黒字」も3億円確保することとなり、財源が厳しい中にありながらも、「財政誘導目標」を達成して健全財政を維持しながら任期を全うする道筋をつけました。

 それでは、平成30年度当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、「震災後へのふるさとづくり」についてであります。
 鳥取県中部地震から1年余り、県民一丸となって着実に復興へと歩みを進めてきましたが、復興の総仕上げを図り、福を興す「福興」へ、震災後へのふるさとづくりへと、前進していかなければいけません。そのために、一人一人の被災者に寄り添った生活復興支援体制を構築するとともに、まちなかの賑わい再生や災害に強い地域づくり活動、住宅修繕に取り組むボランティア団体などを支援します。あわせて、商店街等の空き地・空き店舗での事業開始支援資金を創設し、観光客の落ち込みに対応しバスツアーを造成します。
 また、中山間地域の活性化に取り組む「小さな拠点」形成に向け、サテライトキャンパス創設への挑戦や移動販売車導入などを支援するとともに、市町村と連携した移住定住対策を展開するなど、地方創生による住みたいふるさとづくりを進めます。
 更に、河川改修や治山・砂防事業など県民を災害から守る基盤整備を着実に進めるとともに、熊本地震等の教訓を踏まえ、災害時の広域応援受入拠点や救援物資中継・配分拠点を整備し、ため池、河川、砂防の流域一体となった総合的な流木対策を検討するなど、安全・安心の基盤づくりを推進します。
 
  第二に、「活力あふれる産業と働き方改革」についてであります。
 県内中小企業の挑戦を応援する経営革新支援について、働き方改革対策も加えるなどの拡充を行うほか、新たな経済成長を創造するため、企業立地補助金の対象に環境、ヘルスケア、観光、農林水産業などを追加するとともに、先端技術分野支援のためのファンドを新設し、経済のグローバル化の波に乗って海外需要を獲得する企業等を支援することとしています。
 併せて、働き方改革に取り組む企業を支援するため、県庁内に「とっとり働き方改革支援センター」を設置し相談や専門家派遣、セミナー開催、モデルプラン作成支援を実施するとともに、育児・介護のための職場環境を整えるファミボスを支援し、学校にアシスタントや部活動指導員を配置して教員の負担軽減を行います。更に、職業能力開発総合大学校の一部機能移転や、県立ハローワークの全県展開、大学生等を対象とした長期有償型インターンシップ導入を進め、働き方の改革と企業の人材確保を図ります。
 また、生産額764億円まで急上昇した農業生産額をさらに1千億円へ引き上げていくため、鳥取県全体を白ネギの一大産地とする戦略事業を開始するほか、新甘泉・輝太郎・鳥取芝・野菜などの生産拡大を図り、JA・地元と協調して園芸産地に後継人材を導入する事業を開始します。更にJAの「農業人材紹介センター」開設を応援するとともに、次世代種雄牛造成や県産材木質空間モデル施設を支援し、TPP11・日欧EPA等に対応した強い農林水産業づくりを進めます。
 今年は、大山圏域の市町村・民間団体等と一体となって「大山開山1300年祭」を展開するとともに、「山の日」記念全国大会を開催し、魅力あふれる大山の自然・歴史・文化を国内外へ強力にアピールしていきます。また、鳥取砂丘コナン空港の「空の駅」化と鳥取港とのツインポート化、米子空港ターミナルビルの拡張整備を進めるほか、観光列車等を活用した「鳥鉄の旅」や農家民泊を推進し、東アジア地方政府観光フォーラムの総会開催、シンガポール観光客の新規開拓へと歩みを進め、大交流新時代を開いてまいります。

 第三に、「安心・安全な地域社会」についてであります。
 医療の中核を担う県立中央病院の新病院完成や、県独自のドクターヘリ就航により、命と健康を守るふるさとづくりへステージを上げるとともに、鳥取県版健康マイレージ事業を全県展開し、がん死亡率改善に向けた専門医の育成、がん医療設備支援へ踏み込みます。
 また、中途失聴者手話学習会や障がい者と地域住民との交流サロンを支援するとともに、精神障がい者を支える仕組みづくり、作業所共同受注体制の構築、障がいの特性に応じた障がい者スポーツ鳥取モデル構築など、あいサポート社会の醸成を図ります。
 更に、障がい児を受け入れる障がい福祉サービス事業所へ看護師を配置するほか、医療的ケアに当たる放課後子ども教室を開設するとともに、保育所の正職員配置促進、望まない妊娠等に悩む女性のための相談窓口設置、「えんトリー」の県中部拠点開設など、「子育て王国」を更に発展させます。
 併せて、シニア人材にも介護助手として活躍していただく事業や、中部療育園の移転整備、若者オンラインカウンセリング開設など、安心の地域社会づくりを進めます。
 県民と地域の安全を築く基盤整備の着実な進捗を図るため、県内の高速道路や港湾整備を進めるほか、米子駅南北自由通路整備を支援するなど、インフラも整えてまいります。

 第四に、「人と地域の未来を拓く」についてであります。
 子どもたちの成長を地域全体で支えるため、学力調査で明らかになった課題を各地域が解決する支援策を講じるとともに、大学新入試の英語試験対策、小学生英語指導力強化、家庭での英語学習促進を図るほか、私立学校校舎等の耐震化、県立高校のトイレ洋式化を進めます。
 また、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、鳥取をスポーツの聖地としてアピールする卓球の「ワールドカデットチャレンジ大会」、「クライミングアジア選手権」を開催し、平成31年度「セーリングレーザー級世界選手権」のため境港公共マリーナ施設を整備します。
 併せて、舞台芸術の聖地づくりや工芸・アート村への支援、収蔵品デジタル画像化による県内美術館ネットワークづくりなどを実施します。
 更に、豊かな自然との共生に向け、星空保全条例に基づき、環境教育活動や光害防止対策、星空を活用した地域振興策を進め、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークの再認定に向けた強化策を講じ、全国みどりの愛護の集いの開催準備や大山の登山道・トイレ等の整備、ごみゼロ社会実現に向けた食品ロス削減の取組支援などを行います。
 また、若者広聴レンジャーによる政策提言制度を創設するほか、西部の福祉保健局庁舎の民間活力による整備や県営発電所のコンセッションについて検討を進め、県民とともに歩むパートナー県政を確立します。

 以上の諸事業を計上しました結果、平成30年度当初予算案の総額は3,386億3千7百万円となるものであります。

 また、議案第22号 平成29年度鳥取県一般会計補正予算(第6号)につきましては、新年度からの国保県単位化に伴い国保財政安定化基金への積立を行うほか、除雪経費増額等の会計整理を行った結果、差引54億1千2百万円を減額することとし、補正後の平成29年度予算総額は3,777億9百万円となるものであります。

 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。

 議案第34号 鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の一部改正につきましては、中部地震復興の実情に鑑み、新たに被災者に寄り添った生活復興支援を行うため、県・市町村等が連携し、それぞれのケースに即し住宅、就労、健康などについて総合的にサポートする組織をつくることとしたものであります。

 議案第36号 特定地域等の振興を促進するための県税の課税の特例に関する条例の一部改正につきましては、企業立地促進や雇用機会拡大のため、不動産取得税の不均一課税の適用期限を5年間延長しようとするものであります。

 議案第82号 公共施設等運営権の設定につきましては、鳥取砂丘コナン空港の運営効率化、利用促進、賑わい創出に資するため、民間活力を導入することとし、運営権を設定しようとするものです。

 議案第84号 鳥取県と鳥取市との間における保健所業務等に関する事務の委託に関する規約を定める協議につきましては、従来の県東部の保健所と同様に、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町の区域の保健所業務等も鳥取市が一体的に運営するようにするため、その委託を行うものであります。

 議案第88号 鳥取県税条例等の一部改正につきましては、平成30年度の地方税法改正に伴い、不動産取得税の特例措置の適用期限を平成32年度末まで延長するなどの措置を講じるものです。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  

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