1 国補正予算への対応および平成30年度当初予算編成状況
●知事
皆さま、おはようございます。只今、県庁全体でも予算編成作業の中に入り始めました。まだ十分私も話を聞いているところではございませんけれども、[平成30年度]当初予算そして[平成29年度]補正予算、これを合わせて、今、編成作業に入っています。特に今年度[平成29年度]の場合には、国におきまして来週1月22日から通常国会が始まるところでございまして、その中で、冒頭から補正予算を国も審議することになってきております。こうしたこともありまして、本県としてもこうした普通の年の予算編成に加えまして、前倒しをした2月補正予算というのをもう一つ組んでいく、通常の当初予算とそれから年度の最終でとりまとめをする2月の補正予算、それに合わせまして国の方の補正予算を念頭に置いたもう一つの補正予算、これを組む必要があるということで、今、作業をしているところでございます。
こういう中、いろんな諸情勢も明らかになってきています。例えば、EPA[経済連携協定]のEU[欧州連合]の協定のこと、それからTPP11[米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定]のこともございます。これについては鳥取県で要請したことに応えて農林[水産]省の方が影響額の試算を私どもの方に提示をされたり、さらに対策につきまして説明会ということを開いたところでございます。そうした情報を総合してみますと、私どもの方でもこのTPP11でだいたい11億[円]ぐらいから15億8,000万[円]ぐらいの影響があるのではないだろうか。また、EUのEPAの方でも7億9,000万[円]ぐらいから15億7,000万[円]ぐらい、そうした影響があるのではないだろうか、これはかつてのTPP[環太平洋パートナーシップ協定]の試算をした前のときと比べますと、あのときは13億[円]からさらに上に行っていまして、それよりはややレベルはそれぞれ低いことにはなるわけでありますが、ただそれでも影響があるということが見えてきています。今回の我々の方でもそうやって試算をしてみますと、これは国の方での試算のやり方、スライドした場合でありますけども、それでもそのぐらいの影響がありそうだということでありまして、やはりしっかりとそうした影響を克服していく対策も必要だということも私ども明らかになってきたところでございます。
そこで、この度、臨時の[県]議会を2月の頭、例えば2月1日にでも召集をさせていただく方向で、今、議会との調整に入り始めたところでございます。かなりそういう意味で急いで作業を進めなければならないことになろうと思います。今、手元でそうしたさまざまな事業を見積もってまいりますと、このようなTPP11やEPA対策につきまして、総額で70億[円]ぐらいの補正予算を、今、集計中でございます。さらに、また防災・減災対策、こうしたことも今回の国の方の補正予算の重点項目に上がっていますが、この防災・減災関係でも90億[円]ぐらいに集計がなされつつあります。これらに、その他の女性の活躍であるとかいろんな諸事業、これらを加えていきますと恐らく160億円台ぐらいには上るのかな、そうした方向で、これから査定作業に入ろうというような状況でございます。そういう意味である程度規模感のある補正予算を、今、来週22日から始まります国会審議と合わせて私どもの方でも用意する必要があるのかなというように考えておるところでございます。
●知事
また、[平成30年度]当初予算編成も、今、精力的に、事務的に始まったところでございまして、私自身も査定作業に来週入っていくということになりますが、かなり厳しい中でもいろいろと工夫をして行政コストの削減などを片方で進めていかなければなりません。本県では電算システムと言いますか、ICT[情報通信技術]を活用しまして電子申請、補助金であるとかそうしたさまざまな申請事務などをネット上でも県民の皆さまや企業等々、関係機関にやっていただける、そういうことで申請の方の手間も省けますし、こちらも様式等も見直しをしたりして簡素化に努めて、仕事の方も行政コストとして削減できる、こんなことを、今、目論んでいるところでございます。それで、今、集計してみますと、今現在で31.2%の行政コスト削減が実現をいたしたところでございまして、これをさらにもう少し積み上げていけるかどうかということになります。
私ども実は、今年度[平成29年度]はこうした規制改革会議というものを鳥取県版で立ち上げまして、住民の皆さま、あるいは企業さんなど民間のご意見も吸収をしながら手続きの合理化を進めようということをやってまいりました。例えば補助金等の交付通知、そんなことも電子化してしまおうということなど、他県でもあまりまだやってないようなことに踏み込んで、今、進めています。その結果、3割を超えるような状況が見えてきまして、当初目標にしていたレベルは達成したということになりました。こういうことですとか、不要不急の事務の整理でありますとか、いろいろと進めることによりまして、何とか、かなり財源は逼迫していますけれども、予算編成作業を進めてまいりまして、財政誘導目標をギリギリになるかとは思いますが、実現を図っていくと、こんなことを、今、目指しているところでございます。
●知事
そういう[平成30年度]当初予算も含めたさまざまな、部内協議をしているなかでも1つ焦点になりますのは、[鳥取県]中部地震からの復興をどういうふうに進めていくかということだと思います。これにつきましては、今、住宅の再建に向けまして支援制度を県独自で設けてきております。本県では全国でも初めてになりますけども、一部損壊も対象にした事業を組もうと、それでこれについては事業の恒久化ということも先般の議会で条例[鳥取県被災者住宅再建等支援条例]制定をしたところでございましたが、こうした事業をどうするか、それからまた、まだ修復がなかなか手がつかないというそうしたご事情に寄り添っていくのにどうしたらいいか、この辺があろうかと思います。これから今日にでも庁内で話し合いもさせていただき、2月に入りまして、地元の中部の市町村、首長さんであるとか、関係者のかたと会議ももって対策を決めていきたいと考えているところでございますが、具体的には、一つ焦点になるのは3月いっぱいで住宅再建支援助成制度[被災者住宅再建等総合支援事業]の方がございますけど、これが申請締め切りということになっています。この取り扱いをどうするかについて、市、町の方にご意見を改めてお聞きすることにしようと思います。
これについては県としては柔軟に対応すべきかなと思います。大分申請も済みまして琴浦町のように100%いったところもあり、終わって卒業していくというところもあるんですが、被災の厳しかった地域では3月いっぱいで終了するかどうかというのは、まだよく分らないところであります。それで、今、市長さんや町長さん等とも話をして状況を調べていただいているところでございますけれども、そうしたなかで我々もこの期限を再延長するかどうか判断をしなければならないところでございまして、市町村のご意見を聞いていく必要があると思っております。それから、なかなか思うように家の修理等が進まない等の課題を抱えているご世帯もございまして、その辺が申請が終わらない理由の1つになっているのかなと思います。
そこでアメリカのハリケーンカトリーナ、平成17年に襲った大災害でありますけども、そのときに[アメリカ合衆国]連邦緊急[事態管理]庁FEMAと言われる組織の方であみだした手法と言われていますが、災害ケースマネジメントというそうしたやりかたを本県としても制度化してはどうだろうかと思います。これは、具体的には関係機関が一緒になりまして、1つ1つのそうした世帯の事情に寄り添って解決策を一緒に考えて提示をしていくということであります。もちろんすべて行政がおんぶに抱っこでできるというものではないわけでありますけども、それぞれの世帯が生活を復興していく、それを支援していくというものでありまして、生活復興支援チームをそうした関係機関と一緒に組織をしながら対処していく、こうしたことで丁寧に寄り添って、今、残された世帯、ご家庭に対しまして我々も具体的に動いていくと、そんなことを市町村や関係機関とこれから話し合って合意ができれば制度化をしてまいりたいと思います。
具体的には県はもちろんでありますけれども、市や町、さらには私どもの方で震災復興[活動]支援センターというのを倉吉で作っております。こうした災害復興支援センター、あるいはそれを今後発展的に改組しながらサポートするようなセンターにしていく、そんなところとも協調させていただくとか、あるいは社[会福祉]協[議会]さんであるとか、いろんな関係団体がございます。そうしたところといわばチームを組んで各世帯の事情を聞き取りをし、それにはこういう解決策があるんではないでしょうかというようなことを話し合う、そういうなかでやっていく。それで、なかには例えば家の直し方についても技術者のご意見が必要だということもあるでしょうし、そんな場合、建築家を、お世話をする、もちろん庁内にも建築家もいますし、また、あるいは法律相談等がやはりいろんな権利関係などで必要だということになれば、そうしたリーガルサポートということも考えていく、こんな意味である程度きめ細かに対応していかないと、ここから先はなかなか前に進みにくいところも出てきていると思います。
そういう意味で災害復興支援チームを組織をして、アメリカでやっていたようなそういう災害ケースマネジメントの手法、こういうものを本県としても制度化して導入をしていくことを検討してみたいなと思います。こんなアイデアも含めて市町村や関係者とこれから2月にかけまして協議をし、具体的にそれぞれの議会なり予算なり、あるいは運用、組織編成なりに活かしていきたいというふうに考えております。
●知事
本日[1月18日]は[県・市町村]行政懇談会を開催しまして、市町村長の皆さんと新年度に向けての話し合いをすることになります。市長会側から提示された議題であります若者の定着・定住ということ、それが1つでありますし、また、大山[開山]1300年祭が今年[平成30年]あり、[第3回]「山の日」[記念全国]大会もあり、さらには全県的に[山陰]デスティネーションキャンペーンなどの大型観光のキャンペーンもあります。こうした観光ということも2つ目のテーマとして話し合うことにいたしております。また、3つ目には新年度[平成30年度]、市町村が保険者であるところから県の広域的な保険に移行する国民健康保険につきましても話し合いを進めていくことになります。国民健康保険は今、我々も新しい制度に向けまして県と市町村といろいろ役割分担をし、それがすべて地方の自由になるわけではなくて、国の方で保険料の計算などに向けた試算の方法が示されるわけでありまして、そういうものを運用していくことになるわけであります。
それで、具体的に計算を置いてみますと、おおむね前年から比べて新年度[平成30年度]、急にこう保険料が上がるということにはならないような、そういう試算にまとまってきております。19[市町村]のうちの17まではむしろ抑制的になると、それで、残り2つのところはそれぞれのやり方で調整もしていくということになるのかもしれませんが、ちょっとそんな現在の見込みの状況などももとに話し合いをすることになろうかなと思います。基本的には現在それぞれやっておられる保険制度でございますので、市町村の現状を今やっているものと新年度[平成30年度]と大きな変動が起きて混乱が起きないこと、そういう円滑な移行というものを基本に話し合ってみたいというふうに考えております。
5 ふるさと知事ネットワーク第11回知事会合の開催
●知事
また、来週は、ふるさと知事ネットワーク[第11回知事会合]が鳥取県で開催をされることになります。これ本当はもっと前にやるはずだったんですが、ちょうど台風が来襲しまして、その台風の被害に備える必要があり、関係の知事さん等とすり合わせをして、急きょ中止をしたものでございます。そのリターンマッチなんですが、この度、実施をすることになりますが、大きなテーマは中部地震がございましたこの鳥取県で行うわけであり、連携、連帯という住民とのネットワークを活用しながらどうやって防災というのを進めていくのか、それについて話し合う、そういう意見交換が1つでありますし、また、急浮上してきました地方創生の1つのアイテムであります大学の活用・連携ということ、この大学の活用・連携もテーマとして話し合いをすることになります。また、視察として[倉吉]白壁土蔵群の被災とそこからの復興の状況を見てもらうなど、集まった関係地域の皆さまにも私どもの経験を共有してもらおうということにいたしております。福井県の西川[一誠]知事、また奈良県の荒井[正吾]知事、さらには青森、山形、三重[県]などの副知事等も集まりまして、島根[県]は溝口[善兵衛知事]さんが来られる予定もあったんですけども、今ご療養ということもございまして、副知事がお見えになるというかたちになりました。ぜひ、全国のそうしたネットワークのなかで、皆さまがたと話し合いをしていければというふうに思います。
●知事
働き方や産業や雇用のこと等でも諸課題あるなかで、私どもで平成29年の9月から12月まで、女性の管理職の状況について企業さんの調査をしておりました。これは女性の活躍を推進するネットワークのなかで調べてきたものでありますが、その2年前の調査から比較をしますと、2年前は5割を切っていた企業さんが5割を超える57%レベルにまでいったんですが、女性の管理職がいるという企業が初めて57%、5割を突破をしました。民間企業さんにおきましても、県の方でも率先垂範して管理職の登用を進めておりますけれども、そうした動きが県内でも広がってきているような状況であります。
7 「鳥取県外国人雇用サポートデスク」の開所および高度外国人採用等セミナーの開催
●知事
ただ、なかなか人手不足感があるわけであり、外国人も高度な人材を活用する、そういう可能性を模索する企業さんも多いのも事実でありまして、来週22日に行政書士会の協力を得まして、そういう外国人の高度人材を採用する、あるいはその雇っていくためのいろいろな相談に乗るサポートデスク[鳥取県外国人雇用サポートデスク]というのを設けさせていただくことになりました。さらに23日、24日には、県内各地におきまして、こういう外国人の高度人材を登用していく、活用していく、そういうセミナー、これ相談会も含めて実施をすることにいたしております。今、県内の経済の活力をもたらそうというときに、人手不足がネックになってその成長を妨げられるという状況も心配をされているわけでありまして、こういうような新しい考え方も、現場のご意見を入れて始めるということになったわけでございます。
●知事
また、海外との関係でも、来週はロシアの実業ロシアという、日本の[一般社団法人日本]経[済]団[体]連[合会]と提携している組織の専務理事のかたがこちらにお見えになることになります。DBSクルーズフェリーという、独自の定期路線を持っている山陰についてぜひ見聞していただきたいと思いますし、今後の経済交流の端緒になればというふうに思います。
また、英語によるYouTubeの情報発信がございますけれども、そういうYouTuber[クリエイター]のかたにも来ていただいて、特に欧米方面への情報発信、今週、来週ですね、そういう取材もしていただいてやっていただくということも予定をしています。こういうような動きが出てきた背景には、海や空でさまざまに交流が広がってきた、そういうつい最近の状況がございますが、この度、ポート・オブ・ザ・イヤー[2017]に境港が選定をされる、栄誉を受けることとなりました。来週その表彰式典が挙行されるということで、東京の方に私も行きまして、境港の状況につきまして全国の皆さまにも報告をさせていただきたいと思います。これは投票等で選ばれる、そういう毎年の賞でありまして、選定されない年もあるんですが、ポート・オブ・ザ・イヤーにこの度選ばれることになりました。2017年のポート・オブ・ザ・イヤーということだと伺っています。
理由は61回にわたりましてクルーズ船が寄港したこと、これが地方の港湾として非常に画期的であったということ。また、保育園児が新しい船が来たときに出迎えに行って、その乗客の皆さんやクルーの皆さんと交流をする、こういう非常に地域を挙げての温かみのあるおもてなしや、子どもたちも港を愛するきっかけづくり、こうしたことが評価をされたり、さらには港と隣接をしまして漁港であるとか、水木しげるロードといったそうしたさまざまな可能性というものを含んでいまして、地域づくりの起点として港というものが存在しているということ、こうしたことなどが評価をされたということであります。私どもとしては、ぜひこの栄誉をバネとしまして、さらに今年もポートセールスに努めてクルーズ客船の特に大型船の誘致、これを展開していきたいと思いますし、中野岸壁について竹内岸壁の整備促進、これはポートターミナルも含めまして進めてまいりたいと考えております。
●知事
[鳥取県]星空保全条例ができまして、今、その普及も始まったところであります。昨日[1月17日]は私どもの方で商工団体、[鳥取県]中小企業団体中央会であるとか、[鳥取県]商工会連合会の方に御説明に上がりましたが、今後そうした各種団体の方に条例内容を説明をすることを考えております。併せまして[1月]21日に初めて広く県民の皆さまにこうした星空保全条例を御理解いただく、そういう県民の皆さま向けのイベントキャラバンも開催をすることになりまして、倉吉未来中心のアトリウムで行うことになります。そこでいわば宇宙飛行士体験的なことをしていただくとか、それから子どもさんに星空を守るそういう大使[とっとり星空応援キッズ]になっていただくとか、さらにはクイズコーナーであるとか、楽しみながらこういう星空に親しんでいただく、そういう県民のスタートを切らせていただければと思います。今回は中部でありますが、西部や東部でもそうした同様のイベントキャラバンを打っていくことになります。
また、本日[1月18日]は、[大山町立]大山小学校におきまして星空教育のまず最初として、授業を行うことになりました。ここで光の害、光害の問題について子どもたちにも理解をしてもらったり、星空を守る行動の先頭に立っていただく、そんなようなことを子どもたちにも呼びかけよう、そうした条例のなかにもある星空環境教育、これも今日[1月18日]、その最初のきっかけをつくるということになりました。1月20日には大山におきまして星空ツアーが実施をされるわけでございまして、いろいろと各種、今後展開をしてまいりたいと思います。
10 とっとり香り米「プリンセスかおり」フェスタおよびレストランフェアの開催
●知事
また、「プリセンスかおり」についてでありますけども、[1月]20日に、[地場産プラザ]わったいなでそのPRをさせていただくことになりました。また、22日の日から県内の6つのレストランや料理屋さんにおきましてプリンセスかおりを使った料理を提供する、そういうフェアを実施をすることになりました。ぜひ、新しい鳥取のお米に県民の皆さまも触れていただければありがたいと思いますし、非常に香ばしい香りがしたり、味わいもコシヒカリよりも旨みがあるというようなデータになっていまして、そういうことをご理解いただければと思います。東京のアンテナショップ[とっとり・おかやま新橋館]でも先日[12月25日]からそうしたフェアを始めているところでございます。また、これからさまざま、私どもとしても仕掛けをしていくことになるわけでありますけども、鳥取の物産展も[日本橋]三越で行うなど、これから展開をしていくわけでありまして、ぜひ、多くのかたがたに、この冬、今年[平成30年]も鳥取県のすばらしい食の魅力、これに触れていただければありがたいなと思います。
11 香川県での鳥インフルエンザ発生に伴う本県の対応
●知事
昨日[1月17日]は東京の大田区の問題が出ましたけれども、その前には[島根県]浜田[市]で鳥インフルエンザが[カンムリ]カイツブリから確認をされました。こういう状況を受けまして、本県としても警戒体制は取っていかなければならないと思います。すでに入り込んでいると考えた方が良いのではないだろうか、そういう意味で6班体制で週2回、各ポイントをパトロールする、そういう体制で当面やっていくことにさせていただきました。
●知事
また、人間の方のインフルエンザ、これについては、ぜひ、手洗い、うがいを励行していただきたいと思いますが、[定点あたりの患者数]32ポイントを、この度超えまして、県下全域に警報が発令をされています。ぜひ健康管理にはご注意をいただければと思います。私の方からは以上です。
13 TPPおよび日EU・EPAによる県内への影響
○毎日新聞 李英浩 記者
ありがとうございます。質問のある社はお願いします。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
TPPの県の影響額の試算ことでお伺いしたいんですが、TPP11で11億~15億8,000万円、EPAでも7.9~15.9億ということでしたが、これはどういった分野での特に影響が懸念されるでしょうか。それで、それを受けまして今度の臨時議会での補正予算では具体的にどういった対策を打ちたいと思われますか。
●知事
具体的な数字や試算は、また後ほど、担当部局から詳細、積算も含めてご説明できようかと思いますので、そちらを見ていただいた方がいいかもしれません。大体TPP11で11億[円]ベースのところから15億8,000万[円]が天井かと思っています。また、EPAの方は15億7,000万[円]が天井かと思いますが、8億弱、7億9,000万[円]レベルからというふうに思っています。これは、実は完全にスライドさせた試算でありまして、私どもこれ、他にやりようがないもんですから、農林[水産]省がこの度提示された試算をそのままスライドさせて計算をしたというものだとご理解いただきたいと思います。従いまして、厳密なことで言えば蟹とか、梨とか、この辺は農林省の試算に入っていませんで、この辺は入っていない格好になっています。そういう意味で影響が多いと見込まれるところは、それは集成材、木材の関係、また、牛それから豚、そういう畜産の関係、その辺が多いですね。あと、マグロ、これも影響額が見込まれています。
国の方の説明では関税が低いことや輸入量がないということで梨であるとか、そうしたところについては影響がないので試算をおいてないということでありまして、蟹もそうだということでありました。いずれにいたしましても、私どもの方でもできる限りの試算をおいて、それで国並びということでのご理解のなかで参考にしていただこうということでありました。それに対する対策としては、例えば集成材の方で言えば、CLT[ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネル]があろうかと思いますけども、うちでは[共同組合]レングスさんがそういうCLTを作っています。集成材の今後の気運になるようなものでありますけども、そのCLTの工場をさらに拡張する、そういうような構想に対してであるとか、そういう木材関係で十数億ぐらいの、レベルの予算になってこようかなと今、見込んでおります。
また、そういう畜産関係ではクラスター事業、これも乳牛それから和牛それぞれ含めて大規模な農場整備、これも国の方の今回の補正による対策3,100億[円]ぐらいの対策を組んでいますけども、それを我々も活用させていただいてやろうと、これも2億、3億[円]ぐらいのベースだったと思います。そうしたことをいろいろと組むのと合わせて、対策としては試算が十分示されてはいないところでありますが、果樹や野菜系につきましても、例えばハウスの整備、低コストハウスの整備であるとか、さらにその他にもそうした生産力増強のパワーアップ事業だとか、そうしたことを計上していく必要があるんではないかなと思っておりまして、試算は試算として我々としては積極的に対策を計上していこうと、こういう方針で、今、おります。それを積み上げていきますと70億レベルぐらいになるのかなという、今、目算を立てているところであります。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
今、本県は農業算出額も非常に、一昨年好調で上り調子にあるわけですけども、この国補正も利用してTPP対策であるんですけど、一層これを、勢いを加速させたいということでしょうか。
●知事
先般私どもの方でも見えてきたことでは、764億円の農業生産がなされていたことが数字の上で分かってきました。これはかつて653億円というレベルだったものから、かなり急速に伸びてきておりまして、低落傾向にあった農業生産が帰ってきている。特に昨年のベースで言いますと、和牛が、これ、全国一の伸び率で3割近い伸び率になっていますし、その他でも野菜、これ、実はスイカだとか、ラッキョウだとかがあるわけでありますけれども、そうしたものなどが伸びてきているということも分かってきております。全般的にそういう伸びがある。それで、これらをやはりもっと上を目指していこうと、実は今まで700億円を回復するのを目標に本県の農政を進めてきたんですが、農業活力増進プランもそういう意味で強化をして、衣替えをする必要があるのではないかということになりました。
実はJA[鳥取中央]の栗原[隆政]組合長さん初め、ご関係の皆さまを交えて話し合いをしたわけでありますが、そこで目標数値を改めようということになりました。ですから、今回のこの補正予算も活用しながらそうした次のステージを目指していきたいと思います。それで、合わせて今年度中に農業活力増進プランも見直し、改定をして衣替えをして一新しようと、それで、具体的には農業生産1千億円達成プランというものに変えようと、農業生産1千億円達成プラン、すなわち、今、760億[円]ぐらいですけども、これをもっと上げようと、それで、具体的には平成30年代半ば、今から5年ぐらいで900億[円]のベースを達成していこうと、さらに10年後頃に向けて1千億[円]を目指していこうと、そういうようにどんどんと農業生産のレベルを上げていこうではないかということをやろうということであります。今までの700億[円]を目指して、人、農業をやる仲間を増やそうとか、それから新品種に取り組んでいこうだとか、そういうことをやってきたものがある程度成果が出てきたわけでありまして、それを今回の補正予算も使って補強をし、プラン自体も見直していく中で、今後、農業生産1千億円という大目標に向かって県下一円取り組んでいこうと、こういう考え方であります。
○NHK 佐々木良介 記者
今日の会見で出た内容ではないんですけども、警察の方から出ました県職員のかたが強制わいせつで逮捕ということになっていますが、県民のかたへのコメント、あとはこの処分等どういうふうにお考えか、お願いします。
●知事
現在、警察の方の取調べが進んでいると思います。誠に残念なことで県民の皆さまにもお詫びを申し上げなければならないと思いますし、綱紀粛正を徹底して、これから改めて呼びかけを行っていきたいと思います。今後、取り調べの状況等も見ていかなければなりませんが、私としては厳正な処分を考えざるを得ないのではないかなと思っておりますし、被害を受けられたかたに対してもフォローアップと言いますか、ケアということも必要なのかもしれません。いずれにいたしましても、今後まだ、今日[1月18日]聞かされたところでありまして、捜査の推移を見守りたいというふうに思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
すみません。話、戻りますが、補正予算の関係ですが、防災・減災も触れられましたが、県内ではどういった事業展開というのが想定されるんでしょうか。
●知事
これはかなり細かい事業はいっぱいございまして、分かりやすいところでいうと、河川の水位計、そういうものの設置を進めるとか、流木対策であるとか、そうしたものは入ってきています。また、防災上、実効性のあるような道路整備であるとか、そうしたことなど各事業項目にわたりまして防災対策事業というものを計上していきたいと思います。総額ではそういうものもろもろ積み上げますと、ハード事業でありますのでちょっと値嵩がいくわけでありますが、90億[円]ぐらいになろうかと思います。
○中国新聞 小畑浩 記者
すみません。生活復興支援チームというお話が出ていますけれども、このチームについてもう少し具体的にお伺いしたいんですが、関係機関、市や町や災害復興支援センターを活動的に改組といったことですけど、どんな関係機関が集まってどのようなプロセスを踏んでいつごろ形にしていくのか、あと、アメリカの政府に学んだというか、参考にしたということですけども、その制度をもう少しどんなものなのか、詳しくお聞きできればと思います。お願いします。
●知事
結局、あの[平成17年に発生したハリケーン]カトリーナ災害のときもそうなんですけど、やっぱり生活を再建をしていくためにはいろんなアプローチが必要になります。アメリカのFEMAというのは災害専門の緊急対策ができる危機管理庁でございまして、このFEMAにおいていろんな政策資源というものを統合してやっていこうというものであります。だから、私どもも、今、実はローラーをかけるように鳥取県独自の住宅再建支援、それから復旧支援ということを進めて、かなりスピード感もって進んできたのは事実であり、ご覧いただくとお分かりいただけるように大分ブルーシートがこの1年でとれてきているわけでございます。ただ、どうしてもそれがここから先になりますと今まではローラーをかけて皆さまも、じゃあ、この支援金も活用し、事業も活用しやっていきましょうといってどんどん進んできたんですけども、ここにくると結構いろんな政策アプローチを含めて考えないと対応できないケースが見えてきているということです。だから、前に進んだためにその辺がクローズアップそれてきたということだと思っています。ですから、単に住宅の復興支援の補助制度があればいいということだけでもなくて、例えば[住宅の]直しかたのアドバイスであるとか、それから生活困窮ということであれば福祉的なアプローチであるとか、それから法律問題が実は係わっているとか、その辺をやはり解いていかなければならないケースが残ってきているという認識です。ですから、これを例えば市の方の住宅担当だとか、福祉保健担当だとか、それで私どもも建築の専門の職員だとか、それからさまざまな支援策、公営住宅も含めてそういうものがありますし、社会福祉協議会には社会福祉協議会の資源もありますし、実は復興支援センターというのはNPOや地域活動を支えるセンターでございまして、そうしたところでの民間のがんばりというものを活用しながらやっていく、今、もう[復興支援隊]縁(えにし)っていうボランティア組織ができていますけど、そうしたところなどの応援などもあり得ようかと思いますけども、そういういろんなかたがたに係わっていただきながら、1つ1つ最終的には解決していかなければならない。
あるいはもういっそ考えかたを変えて別の展開を図るということもあるかもしれませんし、ただ、それは個別の事情に即していかなければいけないですね。ですから、それを丁寧にここから先はやっていく必要があるだろうということであります。まだ市町村とこれから話し合っていかなければなりませんので、今はまだ構想段階とご理解をいただきたいと思います。それで、今日[1月18日]まずは、鳥取県の県庁のなかのいろんな政策資源をどうやって総合していくかということ、あるいは今後の復興の進めかた、これはまちづくりの問題もあると思うんです。それで、例えば商店街の補助制度なども活用しながらまちづくりをやっていくとか、CCRCという手法もありますし、そういうようなことをいろいろと今後どうやって進めていくかまず今日はちょっと庁内でも話をした上で、2月の早めの段階で、市町村長や産業関係、まちづくり関係の皆さんと一緒に今後の進めかたを話し合ってみたい。そのなかでそういう災害ケースマネジメントといった手法、これも議論させていただき、関係者のご理解とご協力が得られということになれば、それを今度制度化していく、スタートしていく、特に新年度に向けては予算対策も必要であれば、予算なども計上していくということになろうかと思います。今、各市町村も県もそういう予算編成などの佳境に入っていますので、ある程度のタイミングで話をすり合わせていきたいと思っています。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません。今の関係でチームを組んで、チームも組んでということで組織していくというような言葉がございましたけども、今、中部総合事務所に復興本部というのがございますが、この組織のなかにそういうチームを作るということなのか、それともある程度慨成したということで、本部は解散してそのチーム形式で市町村とも一緒になってフォローしていくというのか、その組織的な部分でのお考えをお聞かせください。
●知事
例えば病院でいったらチーム医療といいますね、お医者さんや看護師やあるいはリハビリやら、そういうかたがたがいわば1つのチームとなって患者さんと向き合っていく、それと一緒の考えかたのチームでありまして、県庁の組織のチームではありません。むしろそういう関係者のかたがたと垣根を越えて協力していくチームを形成していくということであります。やはり一義的にはどうしても本当に個別のことになりますので市町村が前に出ていただかなければならないことはあると思いますけども、ただ、それだけで解決できないことが多いわけでありまして、私どももパートナーとして一緒に向き合っていこうじゃないかと、そういうことであります。ですから、復興本部の中に何かそうした支援チームを作るということではなくて、バーチャルでもないんですけども、現実に何名かが一人ひとりに係わっていくという、そうしたチームというイメージですね。はい。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
全然話が変わるんですけれども、来週から通常国会が始まって憲法改正をめぐる議論というのが本格化すると思います。それで、そのなかで合区解消の議論についても正念場を迎えることになると思いますけれども、改めてその議論への期待というのをお聞かせください。
●知事
考えてみますと[参議院選挙の]合区が突然我々としては決められてしまった。それで、ああいう時期から比べると大分議論の環境は変わってきているように思います。私ども鳥取県は全国で唯一参議院に代表を送れなかった県となりました。戦後の民主政治におきましてこういう事態は初めてであります。こういうことを痛切に我々訴えてきたんですが、やや理解の輪は広がってきているなと思いますし、憲法改正の議論のなかでも47条の改正、さらには92条など地方自治の章の改正、こうしたことが自民党のなかでは議論として成熟してきていることは歓迎したいと思います。それで、問題は結果が出るかどうかになってくると思います。憲法改正はいろんな議論の項目があると思います。もちろん世情言われているような9条の問題もあれば、それから環境というようなことをどうするかとか、我々が求めている地方自治のことであるとか、また、危機管理体制のことであるとか、いろいろと論点があるのが事実だろうと思います。
そういうなかで、これから国会のなかで各党各会派で意見交換をし、素案というものを取りまとめていくことになろうかと思いますけども、それはまだ正直、現段階ではまだ隔たりもあって、結果は見通せないかなというように思います。今回の民進党と希望の党が、合流が結局解消してしまったというそういう一連の動きを見ても、やっぱり憲法に対する向き合い方、これが議論の1つのポイントであったと伺っております。そんなようなことなどを考えますと、まだ見通せないところではありますけれども、我々としてはぜひ、民主主義の仕組みとしてそれぞれの地域の実情というのがある。それで、それが正しく国会に伝えられ得るそういう制度設計、都道府県がそのパイプ役を果たしてきたという明治以来の伝統があり、これをしっかりとこの国の基本理念として憲法のなかでも考えていただきたい、そういうことは今後も訴えていきたいと思います。
それで、最低限、また来年[平成31年]のことになりますけども、参議院議員選挙が行われる際に、その際には合区が解消されたかたちでの選挙が実施されるように我々としては願うところでございます。しっかりと議論フォローしていきたいと、国会の議論をフォローしていきたいと思いますし、地方団体のなかで志をともにするとこも多いので、そういう皆さんと共に、これ、いずれかの時期に声を挙げていかなければならないだろうと思っております。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
先ほども言われたように、その自民党さんと全国知事会のなかでは憲法に対する考え方とかもほぼ一致しているかなというふうに考えるんですけども、他党とはなかなかまだその辺隔たりもあるかなという感じもするんですけれども、全国知事会として今後自民党さん以外のところへの働きかけっていうのについてはどのようにやっていく考えでしょうか。
●知事
全国知事会としても憲法素案をまとめましたので、これを持って歩きながら、実は各党やあるいは国会の議長さんだとか、そうした方面には働きかけをしてきています。ただ、これ発議権は国会の専権事項でありますので、最終的には国会議員の議論で決まってくるものだと思います。そういう意味で我々としては、これはしっかりと粘り強く働きかけをしていくということになろうかと思いますし、今後の展開としては、こういう憲法議論の促進あるいは合区の解消について地方6団体すり合わせができるところと一緒になって、これ国会に対する働きかけ、国民への訴えかけというような機会をいずれこの通常国会のなかでは考えていかなければならないのかなというふうに思っております。まだ、具体にどういうスケジュールで何をやろうというとこは、まだ知事会として意思決定ができているわけではありません。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
先ほど人手不足の話が出ましたけれども、県庁でも職員採用にあたって少なからぬ内定辞退者が近年出ているというふうに伺います。一方で、県内の市役所レベルですと逆に内定自体少ないということで、ちょっと県庁ですね、県庁のなり手、人気が低下してきているというような印象を受けますが、そのあたりについての受けとめかたはどのように受けとめられるんでしょうか。
●知事
私どもは、充足率ということから言えば募集したところに対して一部の職種、獣医さんだとか、なかなか採用困難職種もあるんですけど、一部の職種を除けば基本的には充足率は得ておりまして、我々組織的には満足している状況でありますし、内定辞退者もありますが、それは過去のトレンドや他県と比べて極めて多いということではないと思っています。ただ、実は私のほうでは人事担当部局に今、指示をして検討してもらっているんですけども、例えば試験科目のあり方とか、それから試験区分だとか、見直しをして今、正直売り手市場的にも言われるところでございまして、そういう労働市場の環境のなかで考えればチャレンジしやすい県、それからやってみたくなるような県、そんな県庁になれるように試験のやりかたも新年度[平成30年度]は修正していこうと、こういうことを今、指示をしているところであります。今日[1月18日]段階まだ、指示に対する答えは返ってきていませんで、ちょっと今後の方向性まではここで申し上げ兼ねるとこでありますけども、試験科目も、例えば理系のようなかたに過度に文系的な専門知識を求める必要が本当にあるのか、むしろもっと人物本位で採用して、その人となりを問うようなところを重視していったほうがいいんじゃないだろうか。本県、割と面接重視型なんですけども、それでもやはり試験科目も合わせて勉強しなきゃいけませんので、そうすると受けたくなる気持ちが削がれる、そんなこともありますから、もっと学生の今の実状に沿ったようなかたちで、試験の設定も見直す必要があるんじゃないだろうか。役所なんでそれはもう法律や経済、当然やってきてよということが全てだろうかということですね、一般教養を問うような場面があるんですけども、そうしたところでの試験のやりかたなど見直しの余地はいろいろとあるんじゃないかなと思っています。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
それに関連してですけども、申し込んでも受験を辞退するという人がかなりな割合でいるということですとか、それから長期的に見ても受験者数、競争率低下傾向にあるということでやはり民間の企業ですね、企業動向、改善に伴う影響もあると思うんですけれども、その辺やはり人材確保という面で非常に長期的に見ると影響が出てくると思うんですけれども、そのあたり県職員、県庁の働きがいというんですかね、そのあたりをどのように、PRしていく必要があると考えていらっしゃいますか。
●知事
鳥取県としても、インターンシップのようなそういうようなかたち等、職場を知ってもらうチャンスというのをこれからも増やしていかなきゃいけないだろうと思っています。地元の大学に通う学生さんだとかいろいろとおられたり、また、都会で頑張っておられるかたでも鳥取県庁の動きというのも知っていただけるような、そういう機会を意識的に作ってまいりたいと思います。正直申し上げると、実はそうした皆さんからも聞こえてはくるんですが、鳥取県は、割と都会地でも頑張っている県庁というふうに受け止めていただいていまして、その辺は我々もアピールしていけばいいのかなと思っております。それをさらに受験につなげていただくような、そういう動機づけがさらに必要でありまして、いろいろと説明会等はもとよりでありますけども、インターンシップ的な機会づくりだとか、工夫をしてまいりたいと思います。これは、募集時期はまた、新年度[平成30年度]に入ってということになりますので、これからちょっと我々、戦略を練ってみたいと思っています。
ちなみに最近の傾向から言えば、どちらかというと県庁の場合どうしても異動があるわけでありまして島根県さんほどではないですけども、割と広範囲の異動もあったりしますので、市町村だとその市町村の外には出ることはないのでそうした方に流れるかたが数名おられたり、それから他県だとか、国だとか、他の官庁に行かれる。あと、そんなに数は多くないんですけど、やっぱり民間企業に行かれるかた、そういう我々としてちょっと傾向は見えてきています。実はこれずっと大体似たようなトレンドは過去からもありまして最近の労働需給環境でそうなったということでも必ずしもないんですけども、ただ、そういうような状況でありまして我々もやはり選んでもらえる、そういう職場になる必要がありますので、働き方改革などしっかりと進めたり、魅力をアピールしてまいりたいと思います。
○日本海新聞 今岡浩明 記者
その異動という点では、すみません。長くなりますけども、いろんな場面、地域に根付いた活動といようこといろいろ展開しておられるわけですけども、例えば東、中、西で地域採用みたいなこともあり得るかなと思うんですが、その辺などについてはどういうふうに考えられますでしょうか。
●知事
それは検討してみたいと思いますが、ただ、これ割と人を育てる考え方っていうのがあって、例えていえば隣の島根県さんなんかもそうなんですけど、あえてやっぱり島しょ部を経験させる、そういうタイミングを作るんですね、それで、やっぱり我々も広域団体なので市町村とやっぱり違った行政目標というのがあったり、いろんな地域の多様性があることは理解をしながら仕事をする必要がありますので、完全に異動をシャットアウトできるどうかというのはやや議論があると思います。ただ、その職種によってとか、個別の事情というものも配慮する必要も当然あります。それで、我々基本的には人事異動でそこは対応していまして、よく見ていただくとちょっと異動がこんなかたちであったなと見えた背景にはご家族の事情が後ろにあったり、その辺は丁寧に人事上配慮をして対処しているということでありまして、完全に大きな不都合というのはないのかなと思っています。
また、広域異動の場合は一応本人に確認をするという手続きも慣習上やっていまして、その辺も配慮をされるそういう結果も出てきておりますので、何か決定的なダメージということではないだろうと思います。ただ、いろいろと需要があればということもあるかもしれませんので、調査はさせていただいて、基本的にはさっきの科目の見直しだとか、それからアピールの仕方だとか、その辺我々も新年度[平成30年度]に向けて改善を図っていきたいと思っています。
○時事通信 滝野瀬雅史 記者
辞退の関係で例えばラスパイレス指数を見たときに、市町村よりも鳥取県の県職員の方が低いとかいう数字も実際あるわけですけれども、給与水準に関して辞退だったり、人手が流れてしまうというのはどの程度影響があるというふうに知事はお考えでしょうか。
●知事
たぶんそこはあんまり影響していないと思いますね。というのは公務員志望の人間というのは、私自身も生い立ちはそうでありますので、給料のために仕事をしているっていうわけではないですし、ラスパイレス指数が若干違ったとしてもそう大きく一生を含めて変わってくるわけではなくて、むしろ仕事の内容、こんな仕事がしたいということで飛び込んでくる職場という特性がありますので、若干製造業だとか、あるいはお店だとか、そうしたところとは応募をされるかたの意識が違うんじゃないかなと思っております。ただ我々も均衡の原則というのもありますし、給与原則のなかでもあまり大きな差が生じないようにということもありますので、その辺はその給与水準の設定等も今後もやっていければというふうに思います。ちなみに本県の給料表自体は、国家公務員の給料表より低いというわけではなくて、むしろ若干高めという状況がありまして、初任給、初任者にとって著しい不利があるという状況ではないと思っています。
○NHK 佐々木良介 記者
すみません。あと1点確認なんですが、地震の関係で住宅再建の支援金3月で申請期限が終わるというもの、今後延長するかどうかを判断をしていかないというお話だったんですが、先ほどおっしゃられていた今後組んでいくチームのほうで相談とか乗って得られる情報とかはその延長するかどうかの判断の参考にされるということですか。
●知事
最終的には若干共通、政治判断的になると思います。市・町のご意見を聞く必要があると思います。先ほど申しましたように、実はもういったん延長しておりますけども、今までの段階でもう申請が終わってしまっている市町村もたくさんあるわけですね。そういうなか、どうしても被災の強かった地域、ここでこのまま全部解消するかなと、それで解消すべくみんな頑張っているんですけども、解消するかなというそういう正直な思いも私はありまして、率直にちょっと市や町の考え方等聞いてみたいと思います。だから、延長するとしても全域的に延長するというものではたぶんなくて、まだ特殊な事情があって、これはやっぱり延ばしていただきたいというご意向のある市町に特例的に考えていくものだと思っています。
○時事通信 滝野瀬雅史 記者
すみません。明日以降なんですけれども、一票格差を巡る裁判が明日から始まって福岡高裁那覇支部を皮切りに3月末まで16件判決が出るわけですけれども、その辺はどのあたりに注目されるんでしょうか。
●知事
今回は定数是正した後のものでございまして、最高裁がどういう判断をするのか、これは投票価値の格差の問題とそれからそれ以外の諸事情の問題等合わせて判断することになりますが、その辺の判決の考え方も含めて注目をしてまいりたいと思います。それで、おそらく今回衆議院は参議院とは違う考え方になるんじゃないかと思うんですけども、衆[議院]と参[議院]のそれぞれの選挙の構成として、理念上の違いというのがもし出てくれば、それは我々合区解消を目指している立場からすれば、そこは有利に今後働き得る論旨も得られるかもしれないと思っております。
今回のものは基本2倍に収まっているなかでありますので、そうした国会の定数是正を行った努力というのはそれ相当に裁判所も評価するんではないかなというふうに思いますし、問題はこの後恒久的に選挙制度を運用していくなかでアダムズ方式が次回以降導入されてきます。そうなるとかなりドラスティックな定数是正の選挙区の再確定をやらなきゃいけないことになります。今回は、それはあれでも限定的なものでありましたけども、次回はもっとドラスティックに選挙区の改定が起こると。それが見込まれるなかで判決がどういうふうにその投票価値の格差の問題とそれから地区町村の単位であるとか諸事情を総合考慮するか、この辺はそうしたアダムズ方式以降を占うことにもなるんではないかなと思っておりまして、注目をいたしております。鳥取県の場合は非常にきれいに2分されていまして、人口としては1区と2区がほぼ同数になっています。それで、私ども基点とした今回の制度設計も2倍以内で制度設計されているわけでありまして、こした考え方が今後も維持されていくのではないかなというふうには期待をしております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
すみません。職員さんの不祥事の関係でちょっと改めてお伺いしたいんですけど、この逮捕された職員のその勤務態度などについては知事は何かお聞きになっているかということと、県としてこの件に関して説明されるおつもりはあるのか、それから先日は酒気帯びによる処分というのもございましたが、少し相次いでいると思うんですけども、そのあたりどう捉えて、どう綱紀粛正を図っていかれるかちょっとお聞かせください。
●知事
今回のケースは今捜査が始まったところでして、その捜査の行方を見守っていかなければなりませんが、先ほど申しましたとおり、誠に残念なことでございまして、綱紀粛正を改めてしっかりと図っていきたいと思います。本件の職員につきましては勤務態度等々で著しい問題があったということでは報告は受けていません。しかし、行為自体は、今、捜査対象となっていることが事実であればこれは許しがたいことでありまして、厳正に我々としても処分も含めて考えなければならないと思います。それで、合わせてこうしたことにつきまして庁内でも改めて綱紀をしっかりと粛正する、県民の信頼を得られる県庁職員としての本分を果たしていく、それを各職場に徹底するために関係の幹部も集めて会議もする必要があると思います。今日[1月18日]もそういうような機会がないわけでもございませんし、また改めて人事担当ベースで、実はそうした会義もございまして、それを召集することを指示していきたいと思います。
○毎日新聞 李英浩 記者
ほかよろしいでしょか。では、これで終わりたいと思います。
●知事
ありがとうございました。