●知事
皆さん、おはようございます。いよいよ6月が始まりました。この6月はいろんな意味で大きな出来事があるかもしれません。まずはロシアの[2018FIFA]ワールドカップ、昌子源選手の見事な[日本]代表獲得、本当に心からお慶びを申し上げたいと思います。鳥取県としては久方ぶりでありまして、12年前のドイツ大会[2006FIFAワールドカップ]、中田浩二選手の活躍がございました。それ以来の県関係者ということになります。昌子選手は私たちの米子北高校の出身でありますが、見事にインターハイ準優勝に導いた立役者でもありました。準優勝といえば最近もワールドクラブカップ[FIFAグランドワールドカップジャパン2016]、一昨年[平成28年]ございましたが、そこで鹿島アントラーズを準優勝に輝いた、そのときも[クリスティアーノ・]ロナウド選手への対応力とか、非常に光るものがありました。
さまざまな大会、鳥取を押し上げることにもお力添えをいただきましたし、さらには私たち日本の国を代表する選手として世界でも活躍をされておられるわけであります。ぜひ、試合で、センターバックになるのかよくわかりませんが、ディフェンスの一員としてチームの中でしっかりと役割を果たしていただき、日本チームの活躍を支えてもらえればなというふうにご期待を申し上げます。ガーナ戦[5月30日の国際親善試合]が少々いろんな不安感を掻き立てるものになりました。今、日本チームについての面もいろいろあると思いますけども、そんなものを吹き飛ばして、ぜひ目覚しい活躍を遂げていただきたいと思います。
●知事
世界情勢は、今、混沌としておりまして、これも6月がビッグモーメント[大事なとき]になるかもしれません。日替わりで大きなニュースが入ってくるわけであります。昨日[5月31日]、日本時間昨日ということになるんでしょう、アメリカの方で、ニューヨークでポンペオ[アメリカ合衆国]国務長官、そして金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮[朝鮮労働党]の副委員長が会談をしたわけであります。その内容の多くは語られていませんけれども、完全な非核化に向けてのこと、また、それに対応しながらアメリカ側の方でどういう協力をしていくのかということなど、突っ込んだ話し合いがあったものというふうにみられています。そうしたさなかで、[ドナルド・]トランプ[アメリカ合衆国]大統領がワシントンのほうに、その金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が金[正恩](キム・ジョンウン)[朝鮮労働党]委員長の手紙を持ってやってくるということでございます。かつてトランプ大統領はこの6月12日を止めにしようということを表明したときに、電話でも、手紙でも話したいことがあればどうぞというふうに言っていたわけでありますが、その文脈の中で捉えますと、そういうことに呼応しながら金正恩(キム・ジョンウン)委員長の書簡がということかもしれないなというふうにも見れるわけであります。
来週、6月7日には日米首脳会談が開催されることが決まりました。それから1週間も経たない6月12日にはシンガポールにおきまして米朝首脳会談が開催をされるという、そういうスケジュールが見え始めています。ぜひ、拉致問題の解決、それからさまざまな安全保障上の問題や恒久的な東アジアの平和に向けまして、この6月が大きなモーメンタム[はずみ]になる、それを願いたいと思うところでございます。
●知事
この6月は本県におきましても6月県議会が開催をされるわけであります。これに向けまして、今、我々も予算編成作業など進めているところであります。さまざまな事業を、今、積み上げてまいりまして、総額ベースで恐らく77億円ぐらいになるんではないか、77億円を超えてくるんではないかなということでございます。そのうちの56億[円]は公共事業関係でございます。例えば北条湯原道路であるとか、そうした公共事業の国の採択などがあったりしまして、主にそうした内容が多いですけども、56億円の公共[事業]補正。さらにその他の事業も加えて77億円ということであります。
例えば[補正予算の]金額が大きいのは[株式会社]ブッシュクローバーズさんという、今、日本一の乳(ちち)というふうに標榜し始めているわけでありますが、大山乳業[農業協同組合]が評判を呼んでいるわけでありますけども、4倍の生産力増強を図ろうと、そういう試みでございまして、その関係で10億円の補正予算を用意する必要があるということであります。また、林業関係でも千代川流域、これが国の方の指定もきまして、日南町とあわせてそういう林業の戦略的な展開、こうしたことで1億円ほど補正をする必要がある。こうした農林業関係がございます。その他にも水産業でも評判のいい機材整備等、そうした支援の枠増などもございます。また、このたび3月でも1万3000人くらいですかね、前年比かなり大きく伸びて外国人の宿泊客が来ています。こうした中でシンガポールなどのお客様が出始めている。そうしたシンガポールを初めとした新規の海外観光市場、海外観光市場新規開拓事業をやろうと、これで2,000万円余りの補正予算を用意をしようと、いろいろとマーケットへのアプローチをするとか、利用促進の措置を図っていこうということであります。
また、モニタリングポストを原子力安全対策として、これ別に[島根原子力発電所]3号機ということではありませんが、一般的な原子力発電所対策、安全対策としてモニタリングポストの整備として6,000万[円]、さらに、このたび地震津波等の想定を引き上げたりしております。また、先の[鳥取県]中部地震の関係で私どもの方で、例えば支え愛マップをつくって障がい者の方、高齢者の方々も含めてみんなで、地域で避難、助け合おうとそうしたことなどを盛り込んでいくわけですね、こうして減災対策を具体的に進めていかなければなりません。こういう震災対策のアクションプラン、減災を進めるためのアクションプラン[鳥取県震災対策アクションプラン]というものを改定していこうと、それでその関係の費用として300万円余りを計上してはどうだろうかということでございます。こうしたことなどさまざまな費用を、今、精査中でありますけども、こうしたものを積み上げていくと77億円ほどの規模になるかなということでございます。
●知事
この予算編成の中でも議論させていただきましたが、鳥取市さんとかねて協議をしておりました鳥取砂丘ビジターセンター、このビジターセンターがいよいよこの秋に開業するということになります。大分建物も出来上がってきておりまして、こういう新しいビジターセンターが出来るなということになってまいりました。それで、このビジターセンターの建設を契機として砂丘を訪れる皆様のワンストップサービスをやろうではないかと、これで鳥取市側とも協議をしてまいりました。それで、これ環境省の財団[一般財団法人自然公園財団]もございまして、お互いの役割分担だとか、共同化ということを、議論をしてきました。その結果として職員7名体制ぐらいで、従来、鳥取市はジオパークセンターというのを持っていました。そして今回環境省が建設するビジターセンターが出来る。さらに県の方では鳥取砂丘事務所、これは条例に基づいて設置をしてきたわけであります。こうしたものを統合して1つの組織体で運営をしていこうと、それで、そのビジターセンター館長は鳥取市から出して、副館長は県の方から出して、それで、お互いに資金を出し合いながら運営していこうと、こういう新体制を組んでワンストップサービスでお客様に対応するということです。実は県側の方で始めていました外国人対応などもこういう中に入れ込んでいきますし、鳥取砂丘事務所にいた砂丘レンジャー、こうした業務をこのビジターセンターと連関させながら今後運営をしていくということになります。
こういうような形で、砂丘を訪れる皆様にとりまして国だ、県だ、市だというのはあんまり関係がないことでありますから、みんなで一緒になってサービスを提供していきましょうということであります。この関係で今年度[平成30年度]分としては県では850万円ほど補正予算を組ませていただき、その新しいビジターセンターの運営事業とさせていただこうと思います。それで、合わせまして鳥取砂丘再生会議というのを従来からやっておりました。これもこのたび改組をして新たなスタートをさせてはどうだろうかということです。それで、鳥取砂丘再生会議ができたころは、例えば除草をしなければいけないんじゃないかとか、まだある意味プリミティブな原初的な段階で砂丘の保全を図ったり、利活用を図ったり、そういうことを議論する場にしようということでございました。
しかし、その後、今では砂丘の利活用が目覚ましく変わってきているわけです。当時から考えますとパラグライダーをやる、そういうことは当たり前になっていますし、サンドボードであるだとか、自転車であるだとか、そうしたいろんなイベントがあったり、また、観光客も当時から比べますと定着し始めてきているわけであり、近くには砂の美術館等々もある、そういうようなことでその利活用と保全との調和的な推進を図っていく、その有識者を交えた場として鳥取砂丘再生会議を鳥取砂丘未来会議という形で新たに再発足させていってはどうだろうかと、これに先ほどのビジターセンター、行政サービスの形と組み合わせてこれから砂丘の観光であるとか、保全につきまして、さらにもう一段上へ進めていこうということであります。ビジターセンターの箱[建物]が誕生するこの機会に砂丘の管理、そして保全、さらには活用、三位一体進めていく体制をつくりたいと思います。
●知事
それで、またPFIですとか、そうした新しい手法を導入してさらなる県政の発展を進めていこうということでございますが、具体的には[県立]美術館についてこのPFI導入をこの6月議会で議論していただこうというふうに思います。これは教育委員会の方で、かねて議論されていまして、このほど我々の方とも予算も含めて調整をさせていただいているところでございます。具体的にはビルドトランスファーオペレイト方式という、BTO方式とも言われていますけども、建てて、それを移管して、その後運営もするという、そういう一連のものを一括して民間の方に委ねていくと、こういう考え方でありまして、バリュー・フォー・マネー、資金的に有利性は16.4%というようにこのたび調査で弾かれたわけであり、これが一番有利な方式だということになりました。
それで、私どもとしても、そうであればそれを知事部局としても応援をしていこうと。それで、まずは議会の方でも予算も含めて議論していただこうということであります。このPFI導入するということになりますと、そういう意味でアドバイザー[PFI事業者選定に係る支援]をやっていく制度的な必要性があったり、いろいろと経費のほうにも準備経費がかかってまいります。そうした準備経費で今年度2,200万円、6月補正[予算案]でも組ませていただいてはどうかということであります。
●知事
[伯耆国]大山[開山]1300年祭、そして山の日、一つ一つ私ども前に進み始めております。この週末は、6月2日、3日、大山におきましてたいまつ行列が2日にあり、3日は山頂祭です。実は6月2日、氷ノ山でもたいまつ行進というのがありまして、3日に山頂祭がございます。これは[福元晶三]宍粟市長さんも来られてされるわけでありますけども、そうした山の行事、いよいよそうした山のシーズンを迎えるわけであります。それで、山の日のイベントとして8月11日でございますけども、瀧本美織さんにそのメインナビゲーターになっていただきまして式典を行うと、セレモニーを行うということになりました。また、女優の壇ふみさんをはじめパネリストとして来ていただきまして、そういうシンポジウムを行うということになりました。
また、大山の宝刀も含めて寄託を受けたりしている東京の国立博物館、あるいは文化庁、そうしたところから安綱の銘が切られている刀であるとか、それから備州長船住兼光の刀、こういう宝刀を出していただいて7月29日から米子[市美術館]において展覧会[「大山山麓の至宝」~「大山」ゆかりの刀を中心に~]を行うということも決まってまいりました。この安綱の刀、これは春日大社さんもこのたびご協力をいただくということは先に決まったところでございまして、全国の皆様、刀剣のファンの皆様にも非常に見応えのあるものになるんではないかなというふうに思っております。
○朝日新聞 横山翼 記者
質問ありましたらどうぞ。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
参議院議員選挙の合区問題についてお伺いしたいんですが、先般、自民党の方から合区解消を断念するような公選法改正案が示されましたけど、率直な受けとめと、今後、地方6団体の一員でもあるわけですけども、どのような声を挙げていかれるおつもりか、お聞かせください。
●知事
私としても、また[全国]知事会としてもなんですけども、やはり憲法を改正して、そして、都道府県が政治的ユニット[組織]、民主主義の我が国の代表のあり方として重要な役割を果たしていることを、確認をしてもらいながら、合区を解消する、それが歩むべき道だろうというふうに考え、そのことを各方面に訴えてまいりました。ただ、いろんな政治情勢等の中で、今国会、憲法の議論に深く入っていくことは難しい状況になってきたわけであります。他方で、今、参議院議員選挙が来年[平成31年]に、あともう1年というところで迫っているわけであります。それで、私どもとしてやはり代表というものを確保していく、そういうことは最低限必要であると、非常に難渋を極めてきた状況でございました。今回は5月30日に自由民主党の参議院議員総会が開催をされて、そこで1つの案が示され、これが一任となりまして、各党間の協議にかけられることとなったわけでありますが、その内容は242名の参議院議員につきまして埼玉選挙区、これ、大阪、神奈川、愛知と、同じようにこれも増員していくと。それで、1人、1人で合計2名定数を増やす。さらに比例区で3年ごとに2名ずつ、4名増やす。そういう定数増を行うとあわせて比例区において拘束名簿式の代表方法というのを入れる。こうした案が示され、それにあわせて自民党の参議院議員総会の中では、選挙区選挙に出せない県の代表となるべき人を比例[区]の方で国会議員にすると、そういう選挙をやるんだと、こういう説明があったということであります。私は直接それを聞いているわけではないんですけども、そうしたことで党内での調整が行われ、一任ということになり、また、公明党もその案に理解を示しているという状況であります。
これ、先ほど申し上げた我々が求めていたものでは必ずしもありません。従いまして、やはりそれぞれの都道府県がそれぞれの単位で代表者を選ぶ選挙を行う、それが都道府県単位でいろんな民意を集約していく仕組みが明治以来確立してきていますので、そうした住民の意思、道筋、民主的なそうした通り道というものを塞ぐことにならないように合区を解消し、それぞれで選挙をするというのが本来あるべき姿であろうかと思います。これは憲法改正も伴うかもしれません。そういう意味で、これについては引き続きやっぱり検討をしていただく必要があるだろうと、そのことは強く思うところであります。ただ、2年前[平成28年の参議院議員選挙]を思い返してみますと、私ども鳥取県は全国で唯一代表がない県になりました。合区された関係4県[鳥取県、島根県、徳島県、高知県]の中ではそれぞれ参議院議員が選ばれているわけです。高知[県]の場合は比例区をとおして選出をされたということになりました。鳥取県は次点になった候補者が1名おられたのみでありまして、結局、選挙区も含めて代表はいないという形になりました。
政治というのは結果でありますし、そういう意味で民主主義が歪んだなと我々は慨嘆したところでございました。あの悲劇を繰り返さないという意味で申し上げれば、今回の措置案というのは1つのプラン[案]として受け止められるのかなと思います。最低限そういう代表を生まないという県ができてしまう、そういう悲劇を繰り返さないためにも、何らかの手立てが必要だということは理解できるのかなと思います。ただ、これは本来我々が求めている姿とは違うものでございまして、それぞれの県で代表を選ぶ選挙が行われる、それがデモクラシー[民主主義]のあり方だと思います。ですから、今の政治情勢の中では来年[平成31年]の選挙でそれをやれというわけにはなりにくいのかもしれませんが、4年後以降も同じようなことが巡ってくるわけでありますし、さらに憲法の論議というのもそのころにはまた先に進んでいるかもしれません。改めてそうした検討をし、合区が固定化されることのないように我々としては願うところであります。
実は、昨日[5月31日]、私自身も徳島県の飯泉[嘉門]知事と一緒に仙台[市]のほうで若手の知事会[日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットinみやぎ]に臨んでおりまして、その合間にこうした考え方の意見交換もさせていただきました。今、全国知事会としてもそういうメッセージを出すべきではないだろうかなということを考えております。また、広島[県]も湯﨑[英彦]知事なども出ていまして中国[地方]知事会としてもこうした考え方を議会と一緒に出したところであります。こうした今回の案が最終決着とは言えませんねと、そういうことは広島[県]の湯﨑知事などとも言葉を交わさせていただいたところでございます。ただ、非常に政治というのは力関係で決まるところもありますし、また、結果に結びつかなければならないということもあるわけであります。そういう意味で今回のこの動き、これ、まだ始まったばかりだと思いますが、参議院議員選挙を睨んだ公職選挙法改正の動きに、私たちとしても注目してまいりたいと思いますし、全国知事会も含めて我々としてご意見申し上げることは申し上げていかなければならないと思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
最終決着ではないけども、今回1つのプランとして容認せざるを得ないというような受け止めという理解でよろしいでしょうか。
●知事
そうですね、本来はそれぞれの選挙区で、それはもう党派を超えた形で代表を誰にするかという選挙を行う、これが住民の皆様に一番わかりやすい形だろうと思います。従いまして、今回の、今、示されている案というのはそれとは違うものでありまして、ひょっとするとこうして合区が固定化されてしまい、本来のあるべきデモクラシーの姿から遠ざかってしまうのではないかという、そういう心配もございます。ですから、検討はまだ続けるべきだろうと思います。ただ、現実問題、また鳥取県だけが代表はいなかったという、2年前のことを繰り返さないという意味では、1つのプランとして考えられるのではないかなと思います。そういう意味で理解できるところも十分にあるだろうと思います。ただ、なかなかちょっと我々が求めているものとは違うので、まだこれで終わりではないですよということは申し上げなければいけないという、非常に複雑なところでございます。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
2年前のあの参議院選挙ではやはり非常に県民の関心の低下ですとか、声が届かないとかいろんな問題が起きたわけですけども、弥縫策(びほうさく)といいながらも1年後もこの合区が続いてしまうわけですけども、知事は今回の案で示された比例で救済すると、それは法律でも明確にするということですけども、そうした代表というのは、これ、厳密に地域の代表と言えるのか、そのあたりはどう受け止められていらっしゃいますか。
●知事
だから、先ほど申しましたように比例[区]で救済するというのは自民党の中のお話として示されているわけです。恐らく法律で、合区対象の県で選挙区の議員候補者が出ない県の人を名簿の上位に登載しなければならないとは書かないでしょう。それは政党が名簿の作成権を持つわけであり、政党がそういうことでそうした選挙区事情といいますか、それぞれの都道府県の事情に配慮した名簿を作成するかどうかは多分法的には保障されないところだと思います。そういう意味でいきますと、これは法律で書くところだけでは処理できなくて、政党の協力、それから配慮というものがあって初めて成立するストーリーであります。でも、もし、これが、選挙区選挙が仮に鳥取県・島根県で復活していれば、それは確実に1人は、どの党派かわかりませんけれども、代表が出るという形でありまして、後者の方がすっきりしているわけであります。
それが地域の代表かどうかという議論はありますけども、これも選挙の実相によるわけです。現に前回の2年前の選挙のときも現実には、例えば高知[県]の候補者、当選しましたけれども、主に票が入っているのはやっぱり地元であり、それにあといろいろ全国の組織を組み合わせた形になっているわけでありますが、全国代表とも言えるし、地域の代表とも言えるわけです。それで、法律的には憲法にちゃんとそういうふうに書いてあるわけでありまして、全国民を代表するのが国会議員でありますから、鳥取県のいわば従属的な国会議員というのは法的にもいない、これ、今の選挙区選挙であって、衆議院もそうです。ですから、そこはどこの地区のといえばあそこの地区だねということはあっても、それが全国代表なのか、地域代表なのかというのは、実は厳密にはそこは、概念はないところです。選挙の実相でそこは、これはおらが先生というふうに考えるかどうかというのは決まってくるということではないかなと思います。
○山陰中央新報 原田准吏 記者
関連してですけれども、今回の自民党の示された案によって、公選法による合区の解消というのは非常に難しいというのが何か浮き彫りになったような気がするんですけども、今後、次の、選挙に向けて、憲法改正によって合区を解消していくということをしていくならば、憲法改正をしていく中でどのようなことが必要になってくると思われますでしょうか。
●知事
今回のこの、今まだ現在進行中でありますから、どういうふうにこれから動いていくのかよくわかりませんが、結局、憲法論議に深く入れなかったわけですね。それで緊急避難的にこうした話になってきているのではないかなと思います。現に、これを言い出している自民党さんは憲法の条文の中に、地方自治、都道府県の役割というものも示しながら、それで憲法の中で都道府県単位で選挙をするんだよということを書く、そういう憲法をつくろうとしていた当事者ですから、やっぱり憲法論議と連動しながらこの合区解消の議論というのは動いてきたわけです。しかし、それが間に合わない。じゃあ、どうするかということでございます。実は理論的には2つあって、公職選挙法をぽんと別表の選挙区を書いてあるところだけ改正してしまって、島根県選挙区、鳥取県選挙区というふうに書いてしまうと、それでも法律は出せるわけです。
ただ、これが違憲になるかどうかっていう議論が解釈論として出てくるということであります。恐らく自民党さんの場合は公明党さんが投票価値の平等というのを強調されていまして、それでこの投票価値の平等との関係からいくとこうした案は取りにくいだろうということで、今回逆に埼玉[県]を増員しながら比例[区]の中で回すことにするという、そういう弥縫策(びほうさく)を考えられたというのが真相ではないかなというふうに思われます。そういうわけでいろんな案は、本来はあって、公職選挙法改正で書いてしまった後は最高裁の判断を待つのだというやり方もあったでしょうけども、今回はそれをとらないということになったのだと受け止めております。
今後の展開としては、やはり我々[全国]知事会としても夏[の全国知事会議]に向けて憲法改正をするんだったらこんな案がありますよという議論を提起していこうと、今、とりまとめをしていまして、地方自治の章を抜本的に強化をすることとあわせ、この参議院選挙のことも憲法上表現していくという方針でおりまして、こういうことをやはり地道にやっていかなければならないのだと思います。こうした議論を丁寧にこれからもしていく中で合区が固定化されないように、真の民主主義が山陰でも取り戻せるように我々としては努力していかなければならないと思います。
○中国新聞 小畑浩 記者
関連ですけども、地方6団体で大きな大会を開かれたりとか、かなり精力的に次の参院選で合区を解消しようと動かれてきた中で、こういう自民党側の案が出てきまして、ちょっと言い方はおかしいかもしれませんが、終戦モードのような雰囲気を知事から感じるんですが、もう今回の参院選、次の参院選での解消っていうのは、もう困難という見方なのかどうかを。
●知事
結局、日切れになってきているということなんですよね、それで、選挙でありますので例えば組織づくり、それから政策づくりなども含めて一定の時間的余裕がないと選挙も国民に対して失礼になります。そういう意味でおおむね1年前というのが今まで目安のように言われていて、現に合区ができてしまったとき、あのときも6月のその国会7月に伸びて決まってきたと、こういう状況でありました。ですから、我々として、こうしたこの6月終了の通常国会が重要な節目ではないかというふうに考え、6団体であえて東京で決起集会を開き、各党を呼んで、実際責任者も出てきて我々の思いは伝えることができたと思います。そのときに自民党の方が言っていたのはあらゆる手段を尽くしてそれで合区を解消するんだというお話をされていました。そのあらゆる手段っていうのはこれだったというのは結果的にそういうことかもしれませんけども、ただ、まだ我々として最終形ではないということは確認しておかなければならないのかなというふうに思います。
もう会期末に、6月に入ってきました。それで現実問題もそろそろ考えなければならないのだと思います。そういう意味で2年前の悲劇を繰り返さないためには、こうした1つの案も考え得るのかなというふうには思いますけれども、ただ、我々が望んでいた案では必ずしもないということであり、やっぱり民主主義のあり方、それから鳥取県、島根県、高知県、徳島県のそれぞれの県民の思いからはまだずれている面があるんではないかというふうに心配もしております。
○中国新聞 小畑浩 記者
確認なんですが、来年7月の合区解消は難しいというご認識。
●知事
もう、だからだんだん難しくなってきたと思いますね。だから、合区解消ではなかったけれども、代表が選ばれる仕組みをつくろうと、これは政党としても汗をかこうということも含めて、今、案が出てきたということではないかなと思います。ただ、それはもう理想を言えば、今からでもやっていただければいいんですけども、ただ、もうあと20日そこらで全て決着できるかというともう難しくなってきたかなという相場感です。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
その辺に関連してさらに質問なんですけれども、今回のあくまでも自民党の案であって、本来選挙制度っていうのは全党がおおかたの同意をして提案するのが本来のことだと思うんですけれども、その1党派の都合が最優先されたような今回の公選法改正案だとは私は受け止めているんですけれども、それが果たして本当にその民主的な手続きを踏むのかどうかっていうのか、その辺の理解はどういうふうにお考えでしょうか。
●知事
これは今後まだ、本当に始まったばかりですから、まずは党内議論をしているところから、これ与党の調整が来て、そして、国会の平場で議論されるんだと思います。実は4月の末に私たち6団体でそろい踏みで各党各会派に我々の考え方を迫りました。そのときも与党のみならず野党も含めて、今、参議院の改革、公[職]選[挙]法問題について膝を交えて我々議論しているんですよということをおっしゃっていました。ですから、そういう議論が進む中で自民党が考え方を示したっていうことでありましょうから、必ずしも手続き的にこれでおかしいというものでは多分ないんだろうと思います。公職選挙法の改正ですけども、今回、国民投票法ですね、改正論議、最終的には与野党が歩み寄って、要は公選法との差分だけを是正するような国民投票法で全会派一致して出すということになる見込みになりましたけども、ああいうような形で政治家の寄付禁止だとかいろんなものを含めて、大方の合意を得て出すパターンが確かに多くあります。
しかし、これまでも歴史振り返ってみますと、例えば選挙区の画定を変えるとか、これは衆議院も参議院も含めて常に政争にさらされる面もありまして、多数の力でそこを可決して実際選挙をするというのも往々にしてございまして、これは法律としても適法であります、合憲でございますし、それはそれで1つのやり方なのかなと思います。今回、自民党の案ということで示されていますが、恐らく相当程度公明党とも調整した上で出してきているんではないかなというふうに拝察をいたしておりまして、この案をまとめ、この案で国会にかけられる可能性というのはかなり強くなっているんじゃないかなと思っています。
○NHK 吉村美智子 記者
鳥取砂丘のジオパークセンターの話でちょっと伺いたいんですが、県と市で合同でということなんですが、あくまで入口、そのワンストップサービスは合同だけれども、それから先の施策の部分などはそれぞれでやっていくということになるんですか。
●知事
そこはちょっといろいろとやり取りしているんですけども、基本は、そこに来てもらえば観光案内だとか、それからいろいろと砂丘の知識だとか得られるようになったり、いろんなアクティビティ、これを支援していけるということにしようということであります。ジオパークセンターという場は廃止になるんですね。鳥取市はジオパークセンター廃止をします。それで、今回のビジターセンターというのが鳥取砂丘に新規にできあがると、それで、これに我々も砂丘事務所という事務所を、廃止をしてここに統合していくと、そういう意味では1つになるんです。ただ、本当に細かいことですけども、例えば私どもですと鳥取砂丘条例をつくっているんですね、日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例というのをつくりまして、そこに一定の取締規定を持っています。それで、この取り締まりっていうのは、要は砂丘の落書きであるとか、この間は花火がありましたけども、ああいうものを現実に、ご案内のように我々の方でレンジャーが出ていきまして、こんな落書きがあると、落書きがある。それで、あれをやった人に注意をして、こういうことはやめてくれと、こういう罰則もありますよっていうような話をし、そういうようなことを現実にやっているんです、これ日々の業務として。
それで、これは県条例に基づく仕事ですから、そのビジターセンターの仕事ということに法的にならないところがございます。ですから、これは県の方である意味管理をしていかざるを得ないというか、そうしないと法律としてはおかしくなってしまうと、だから、県の権限が残る部分があります。また、例えばあそこの駐車場の管理とか、あれも環境省の外郭団体[自然公園財団]がされているんですけど、例えばこの駐車場を鳥取市が自然公園財団に移管するとか、だから、ある程度こうまとまってお客様はそこに来てもらえばいいんですけど、裏でいろんなこの舞台回しをする、そういう事務がございまして、それはそれぞれの元々の権限がございまして、権限関係の中で行使をしていくというのは残ると思います。
○NHK 吉村美智子 記者
今後の、お互いのそのすみ分けっていうところはこれから協議して決めていくということですか。
●知事
大方まとまりました。そのまとまったところをもとにして、この6月議会に県として提出をしていきたいと思いますし、市の方も恐らく同様にされると思います。
○NHK 吉村美智子 記者
サービスとしては変わらないということでよろしいですか。
●知事
サービスとしてはむしろ強化されると思います。例えば外国人向けのサービスとかと、それから従来市のジオパークセンターでやっていたような砂丘の仕組みを説明するようなことだとか、そんなようなことが統合されてきますのでお客様にとっては利便性の向上につながると思います。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
今の関係で、今後秋のオープンに向けて、国ですとか、環境省ですとか、市ですとか、それか自然公園財団ですか、と意思疎通も図る必要があると思うんですが、何か協議体というか、会議みたいなことを設置したりすることまではお考えではないですか。
●知事
まさにそのビジターセンターが調整、そこがいわば寄り合い状態的に、混成部隊になります。それで県からも正職員を派遣しますし、市からも派遣をし、もともと国のセンターでありますからビジターセンター自体は、そこで統合的にやっていくということになると思います。そこに砂丘未来会議というようなものをつくってはどうだろうかと。それで、これが地域の観光関係者とか、その地元の方々だとか入っていただき、またその中には専門家の部会のようなものもつくって保全なんかの知識を注入していただくと、こういうようなことでいろんな方々のご意見なども入れながら調整をしていく、そういう鳥取砂丘未来会議というものを併設してはどうだろかと。これを事務局のビジターセンターと一緒になって運営していくことでよりサービスも向上するし、保全や利活用も前に進めばというふうに考えております。
○中国新聞 小畑浩 記者
別の話なんですけれども、島根原発3号機に関して、先日、米子市・境港市長との協議がありました。それで6月に入ってからまずはそのヒアリングをされるという話もあったと思うんですが、今後の3号機関係のスケジュール調整の状況というのは今どうなっているか、教えていただければと思います。
●知事
今まさにやり取りをしていまして、まずは[米子・境港]両市と我々とで、実はこれ、この原発のことを聞くプロジェクトチーム[原子力安全対策プロジェクトチーム]があります。これ両市と県の共同設置でございます。それで、それを開催しようと、今、来週中にできないかどうかで今まだ調整をしているところでございます。これをまずやることから始めていかないといけないと思うんですね。なかなかちょっとお互いの日程のこともありまして、今、調整しています。
○時事通信社 今泉悠 記者
時事通信の今泉です。昨日衆議院で働き方改革関連法案が通過しました。長時間労働に罰則付きの条件を設けるということを柱にしている法案ですが、いわゆる高プロ、高度プロフェッショナル制度、労働時間規制を外すということから過労死を招くのではないかという声やあとは同一労働同一賃金が果たして可能かという声もあります。知事としてどういった受け止めか、それで特に同一労働同一賃金については中小企業から声が挙がってきていますが、そのあたりについてどういったフォローが考えられるかっていうことをお願いします。
●知事
私どもとして、国の方のちょっと今、議論のことは、今これは国会で最後の裁きに入るわけでありまして衆議院は終わりましたけども、参議院で野党側は廃案を求め、また、与党側は今会期中の成立を目指しているとこういうことであります。今お話がありました同一労働同一賃金の問題とか、それから残業の総量規制の強化などについては多分連合等も含めて大きな異論がないところではないかなと思います。それで対立線がむしろ高度プロフェッショナルのところでありまして、これ維新[日本維新の会]も入り、そこに撤退可能ということにしたということもありまして、その辺を最後よく国会でも議論してもらえばなと思っています。それで、我々はもともとこうしたワーク・ライフ・バランスであるとか、それから働き方の改革を進めようということを本県としてもやってきましたし、それで、国の方でこういう法律の動きもあるのでこの4月には[とっとり]働き方改革支援センターというのをつくりました。それで、これまでに12件ほど相談も寄せられてきておりましてここで、例えばこういうようなことをしてみたらどうだっていうことを専門家の派遣も含めて、今、開始をしているところでございます。
それで、同一労働同一賃金等々のいろいろとこれ経営環境に関わってくることもあると思いますので我々としては当然ながら企業の支援の枠組みの拡充も含めて、柔軟にこれから検討していかなきゃいけないだろうと思っています。まずは経営革新制度という県の中小企業支援で全国でも非常に珍しい支援制度を本県持っております。それで、この経営革新制度の中に働き方改革の対応枠をつくっていましてハードも含めて支援をするスキームを今設けたところでございまして、こうしたものなども活用できるのかなというふうに思っております。まだ法律議論中でありまして、実際に施行されて、それがいきなり施行されませんので猶予期間も含めて今後も動いていくと思いますが、私どもでは経済界あるいは労働界とも緊密に連携して必要な対策は取っていきたいと思っています。
○時事通信社 今泉悠 記者
別件ですが補正が77億円を超えるではないかという見通し、それでそのうち56億円が公共事業と、この補正、何かこれ命名するとしたら何かありますか。
●知事
そうですね、今回は私どものほうで、当初[予算]でちょっと見込むのを差し控えたような国の方の箇所付けなどがございまして、それで56億円の公共事業の補正が出てきているところでございます。特徴あるところではやっぱり安全安心の関係、こうしたところがあるわけでありまして、震災の減災のアクションプランづくりであるとか、あるいはモニタリングポストの整備であるとか、さらに砂防事業、河川事業も含めてハード面での対策を取っていく、こうしたことなど特に急がれるそういう安全安心面などを中心にした補正を行ったということだと思っています。額的に大きかったのはやはり牛乳に対して、非常に鳥取県産牛乳の注目が急上昇していますけども、そういう意味で10億円というかなり大型投資にはなりますが、そうした畜舎の整備、そうしたことなど産業活力にも配慮したということだと思っております。
○日本海新聞 北尾雄一 記者
ちょっと合区のことに戻らしてもらって恐縮なんですけども、これちょっと政党の話で知事に聞くべき話でないのかもしれませんが、前回の合区の選挙で、自民党の候補者が島根県に住所地を置く候補者青木さんを擁立し当選され、青木さんが合区の選出議員となったわけですが、仮にこのまま合区が続くとなれば、今回次の選挙は現職2人がいらっしゃるわけですけども、平井知事は今後政党の中で候補者調整が進むと思うんですが、県民感情といいますか、いろんなことを考えまして選挙区の候補者、選挙区に擁立する候補者というのは鳥取県に住所地を置く候補者が望ましいと思われるかどうか、そこを特にお聞きしたいと。
●知事
ちょっと感覚が違うのかもしれませんが、どちらかというと本来はやっぱり合区を解消してもらいたいと、そういうことになってしまうと思いますね。やっぱり鳥取県民は鳥取県の代表を選ぶ、島根県民は島根県の代表を選ぶ、それがやはり選挙としてはわかりやすいし、選びやすいし、選ばれた後も働きやすい、そういうことになるんではないかなと思います。ですから、どちらの住所地の人がいいかっていう問題ではないような気がいたします。
○朝日新聞 横山翼 記者
他ありませんか。では以上で終わります。