防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2018年8月3日)

平成30年8月3日(金)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約77分) ※MPEG4形式

  

1 島根原子力発電所3号機新規制基準適合性審査申請 

●知事

 おはようございます。昨日[8月2日]、[県]議会の全員協議会、お集まりをいただきまして、県議会側と[島根]原子力発電所3号機[の新規制基準適合性審査申請]につきまして話し合いをさせていただきました。そこで、皆様のコンセンサスも固まってきたと思います。これを受けまして、私どものほうから鳥取県としての意見を中国電力、そして、合わせまして島根県溝口[善兵衛]知事に申し上げたいと思います。具体的には、今、まだ作業中でございますが、昨日[8月2日]ですね、[鳥取県原子力安全対策プロジェクトチーム会議(コアメンバー)]終了後、庁内で私と担当部局でいろいろと作業もさせていただいたところであり、これからまた、米子市、境港市、周辺[自治体]両市とも調整を文言上していくということがございます。それの作業を終えて、月曜日[8月6日]に中国電力とそれから島根県のほうに回答をさせていただきたいと思います。合わせて、月曜日に東京で政府のほうに要請活動も行うということにいたしたいと思います。


 中身につきましては、昨日[8月2日]、ご議論申し上げましたけれども、私どものほうから提案をさせていただいた、今回は最終的な判断は見送るけれども、保留をさせていただくと、ただ、その際、7つの条件と言いますか、項目を持ち出させていただくのと合わせて、さらに今の安全協定[島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定]の改定、これを中国電力のほうに迫っていきたいと、こういうようなお話をさせていただきました。特にご意見が多かったのは原子力安全協定をめぐる問題と、それから避難計画をもっと効果的に実効性を上げていくべきだと、そういうご意見が強く見られました。おおむねこういう方向性なのかなというお話であったかと思います。


 そこで、今、[米子・境港]両市とも協議を最終的に行い始めたところでありますけれども、中国電力側への回答としては、今、私どもとしては、最終判断は見送ると、その上で保留をさせていただきますということを回答として申し上げ、その前提としてこれから最終判断をということになりますけども、それは国のほうの[原子力]規制委員会の審議、それを拝聴させていただく、分析をさせていただく、その結果に基づいて、私どもの[鳥取県]原子力安全顧問のほうで調査をさせていただく、また、議会側とも相談をし、両市と協議をする。そうした上で最終的な回答をしますよということにさせていただき、その前提として7項目、昨日[8月2日]挙げていましたけども、その中で避難計画のところは、特出しをさせていただいて、8項目の申し入れも合わせてすると、そうしたことを前提として我々としては最終的な判断をするんだということで回答をさせていただこうと思います。8項目の1つ目としては避難計画、これが住民の安全に重要であるということから、原因者として中国電力側には物的、人的なもの、あるいは物的なもの、そうした避難計画を実質形作っていく、そうしたことについても協力を求める、これ、原因者としての協力を求めるということをこれを新規に、従来、原子力安全対策の中に入っていましたけれども、特別に持ち出させていただき、項目として要求をさせていただこうと思います。


 また、立地[自治体]と同等に扱っていくという、今までの取り扱いはそのように原子力安全協定発行後、運用されているというふうに我々は見ておりますけども、今後、同等に扱うように中国電力側に求めるということであります。また、2つ目、さらに3つ目のポイントとして、説明責任を中国電力が果たすべきだということでありまして、住民説明会、これを今後も折に触れてやってもらう必要がある。もちろん境港、米子両市や県のほうへの説明ということも行ってもらう。これは[新規制基準適合性]審査がこれから規制委員会で始まりますが、その審査状況等も含めまして、結果のときだけでなくて、その審査状況等も含めまして説明を丁寧にわかりやすくしてもらうということであります。


 さらに汚染水対策、これも実効あるものを求めるということがございます。また、地震、そして津波、火山、こういう天災についての対策を求める。さらに今回[島根原子力発電所]2号機と3号機が2つ申請が上がってきましたので、両方同時にシビアアクシデント[重大事故]を発生した場合も含めて、より幅広いソフト、ハード両面にわたるシビアアクシデント対策、これを検討し、実行するというようなことも求めていこうというものでございます。さらには使用済み核燃料、これの対策につきましても求める。最後に原子力安全文化の醸成、これは中国電力のほうでこれまでも不祥事が発生しています。そうしたことも含めて安全を第一義とした万全の原子力安全対策、これを求めるというものであります。


 以上にわたります8つの項目について、これを前提として私たちとしては最終的な判断をしますよということを回答内容としてはどうかと考えております。それで、あわせまして原子力安全協定の改定、これは特別に別途のまた要求として出させていただき、今、茨城県のほうで新しい協定が結ばれましたけども、そうしたこともあり、原子力安全協定の改定を我々求めているわけですが、いまだ改めるという状況が中国電力側から示されないわけでありまして、我々としては、そこは改められるべきであるということを強く申し入れさせていただきます。その際に、今回、最終回答は留保しているということも申し添えさせていただきまして、この原子力安全協定の改定について我々としては、昨日[8月2日]も県議会で議論がございましたけれども、当然ながら最終判断に影響を及ぼし得るものですよということを我々としても申し入れさせていただきたいと思います。このような形で取りまとめを今日[8月3日]中に、今、米子、境港両市ともさせていただき、文言の細部の調整もさせていただき、さらに国への要望事項、これもコーディネートをした上で週明け、月曜日[8月6日]に回答、要請活動を行いたいと思います。





2 平成30年7月豪雨 

●知事

 今回の西日本豪雨[平成30年7月豪雨]でございますが、昨日[8月2日]は湯﨑[英彦 広島県]知事、伊原木[隆太 岡山県]知事、また中村[時広 愛媛県]知事が切実な思いを国のほうに訴えかけられました。それを受けて1,000億円を超える対策がまとめられたという報道になっています。実は、私自身も発災直後ですね、湯﨑知事や伊原木知事とも相談をしまして、中国地方知事会として国のほうに、非常に大規模な災害なので、特別な措置をお願いしたいということで各省庁回りました。菅[義偉]官房長官のところにも行きました。そのときにも熊本地震のような、ああいう特別な対策が必要だということを申し上げておりました。その意味で今回、国のほうで従来の対応をはるかに超えるような対策が取りまとめられるということになり、今日[8月3日]にも閣議決定されるということでありまして、それにつきましてはいい方向も出てきたかなというふうに考えております。私どもの災害にも跳ね返る部分もあると思いますので、今後よくその政府の対策の分析をさせていただき、我々としてもフォローアップをしてまいりたいと思います。


 先だって8月1日には、JR[西日本]の来島[達夫]社長をお尋ねを申し上げまして、今回の災害につきまして1つには伯備線、8月1日再開をしたということのお礼もありましたが、合わせてその他の線区の問題やあるいは観光の課題につきまして要請を行ったわけでございます。具体的には因美線がまだ智頭から南側が[運行再開]できておりません。また、実は島根県のほうでも木次線ですね、これも開通していないということがございます。出雲横田から南側のほうでございます。そうしたことなどを申し上げたわけでありまして、JRとしては可及的速やかに行いたいということでございました。今まで、またJR側から示されているところでは、因美線については[津山から]美作加茂のとこまでですね、9月の上旬に、そして、さらに[美作加茂から]智頭駅までは9月中に開通させたいという意向が発表されたところでございます。来島社長はできるだけ早く開通させるということでおっしゃっておられまして、この点を申し上げたところに忠実に今、JRも動いているかなと思います。


 また、観光関係では[山陰]デスティネーションキャンペーンが今、始まっていますけども、3カ月[7月1日~9月30日]のうちのひと月間を空費してしまったという状況があります。したがいまして、そうした特別の対策を今後も継続してもらいたいということを申し上げました。来島社長側からお話がございましたのは、今、特別切符を発行してもらっています。これは例えばお子様であれば1,000円で関西方面から山陰全部を周遊できるというものでございまして、もちろん大人と一緒に行かなきゃいけませんので大人の切符と合わせて買っていただくということだと思いますけども、こういうものが9月いっぱいで終わるということになっているわけでありますが、これを延長する措置について検討したいということでございまして、前向きにこうしたデスティネーションキャンペーンの実質的延長措置、これについてお考えが示されました。今後よくこれから調整をしていかなければならないと思います。私ども側でも智頭急行さんとか、そうした課題もございますので、よくここ、調整をさせていただく必要がありますが、そういう意味でデスティネーションキャンペーンについての実質的な延長措置、これを特例的に考えていきたいというお考えは示されたところであります。


 合わせて今、湯﨑知事や伊原木知事などともご相談申し上げているところでありますが、私ども中国地方知事会としてもJRのほうにぜひ特別な対策をお願いしたいということでありまして、これについても申し入れをさせていただいております。これにつきましてもJR側で、JRグループとして今後協議していきたいというようなお話もあり、私どもとしてはその対策をぜひお願いしたいと思います。さらに旅行業界としてJATA会[日本旅行業協会]という旅行業界の団体がございますが、こちらのほうにも中国地方知事会としてお願い、要請活動をさせていただきたいと思います。これも月曜日[8月6日]、私が持ってそのJATA会のほうにお伺いをさせていただくということで伊原木、湯﨑知事とも話し合いをさせていただいたところでございます。


 このような形で、旅行のことで今、非常に広島[県]、岡山[県を]中心に厳しい状況がありますし、もちろん山陰でも打撃を受けたところでございまして、これについての配慮を、そうした旅行関係者のほうに、交通関係者のほうに求めてまいりたいと思います。それで、あわせて、先だって私ども県内の観光事業者、旅館さんですとか、観光施設ですとか、お集まりいただきまして意見交換会、この西日本豪雨についてさせていただきました。そこでさまざま、今後の対策としてのご意見がございました。それで、それに基づいて緊急に今、補正予算も組ませていただいたわけでありまして、それに基づいた観光対策をスタートさせたいと思います。とりあえず、今、走らせていただいているのは、伯備線が再開しましたので、それに合わせて関西方面で大々的にメディアでのPRを始めたり、いろいろキャンペーンを始めているところでありますが、これとあわせてバス事業者に対する助成[県外からのバスツアー造成に対する助成]、これも従来の助成を引き上げて、宿泊を伴うものなら[バス1台当たりの補助額を]6万円まで。さらに日帰りであれば3万円というように、従来よりも引き上げた助成を緊急に発動させていただきたいと思います。また、あわせまして悲鳴が上がりましたのは、県内、実はお土産物の業者がございまして、全国のお土産物業のお土産物屋さん、結構鳥取県内での生産で賄われている物がございます。


 それで、今回、西日本広範に打撃がございまして、そちらのほうで非常に厳しい状況も生まれてきたところであります。それで、旅館さんだったと思いますが、ご提案がありましたのは、実は[鳥取県]観光連盟さんのほうでこのたびクーポン方式の宿泊助成[1万円の割引クーポン]を始めることにするという表明がありまして、それとあわせてお宿に来られた方にお土産買っていただいたり、館内施設の利用などもあると思いますが、そうした買い回りのクーポン券、こうしたものをまた別途県としても用意をさせていただくと、こういうようなことで支援をしてはどうだろうか等々、さまざま緊急措置を組ませていただきたいと思います。


 今後考えてみますと、エアソウル[米子ソウル便]が6便化で戻ってくると。一時期3便化される時期がございますけども、そういうこともあり、海外からのお客様、比較的こうした風評被害対策としては狙い目でありまして、[鳥取県]中部地震のときもコアの観光客層になっていただきました。したがいまして、こうした海外誘客につきましてもスタートさせていただくというように思います。こうして国内外からお客様、鳥取県のほうに、あるいは山陰に周遊していただくと。ここにJRさんとか、JATA会などのご協力が得られれば、今、大分ダメージを受けましたけれども、その回復に向けて動きやすくなるんではないかなというふうに思います。


 そのほか、例えば大口堰(おおぐちぜき)[農業用水を取水するための施設]であれば緊急対策を施し、幸い台風12号が大きな打撃を与えずに通り過ぎたような形になりましたので、今現在、毎秒5トンの送水ができる状態になっております。これで渇水の状況は解消されるということになっております。こんなことなど含めまして、いろいろ対策を今後も応急対策、さらには復旧事業へとつなげていきたいと思います。


 農林災害は24億円ほどとなっていましたけれども、多分、農地災害が膨らみそうだということで、25億円、26億円とまだ数億円と、こう増えてくるんではないかなというふうに見込まれます。いずれにいたしましても万全を期してまいりたいと思います。あわせて来週、岡山の伊原木知事と今後の対策の進め方について協議をさせていただくべく、岡山県庁のほうにお伺いをすることで、一昨日[8月1日]ですかね、伊原木知事ともお話をさせていただきました。その機会に山陽側の被災状況を私ども直接それを視察させていただいたり、また、避難所をお伺いしたりしていきたいと思いますし、実は私どもが[職員応援の調整の]責任者になりまして、人を集めて張り付けている[各県の応援職員の配置の調整をしている]状況がございます。それで、各県にも来ていただいておりますし、当県の職員も多数向こうに行っております。そうした各県から集まった職員の方々も含めて私もお話をさせていただき、ご協力に感謝を申し上げたり、それから今後の復旧、復興活動にどういう対策が必要なのか、これもいろいろと聞き取りもさせていただいたりしたいというふうに思います。大きな災害であり、政府もようやく本格的に動くという姿勢も見えてきたかなと思います。ぜひ我々としても全力を挙げて、県内の復旧はもとより、被災のひどかった厳しい地域に対しましても、私どもも応援をしてまいりたいと思います。





3 青谷上寺地遺跡出土人骨のDNA鑑定 

●知事

 このたび公表されました青谷上寺地遺跡の研究についてでございますが、これにつきましては、国立科学博物館の篠田[謙一]先生、また、国立歴史民族博物館の藤尾[慎一郎]先生とか、そのほかにも国立遺伝研究所などがチームを組みまして、私どもの埋蔵文化財センター、この方、我々のチームと一つのチームになりまして青谷で出土しました人骨47点のサンプル資料を我々のほうから提供し、これ、1月のことでしたけれども、その後、4月ころからミトコンドリアの[DNA]分析等々始まりまして、今、徐々にその研究の方向性、成果につながる状況が見えてきたところであり、このたび、国のほうの[国立遺伝子学]研究所のほうから公表もなされたところでありまして、一部で報道も始まっているところであります。これは日本人のルーツを探る大きなインパクトを持つ研究になってきていると思います。時期としては弥生時代から古墳時代へつながる時期、西暦300年とかそういうようなころですね、それで、倭国大乱がありました。それで、その時期、つまりこの国の成り立ちにかかわる時期でございます。それで、そのころの人骨が大量に出土しているのは、実は青谷においてほかにはありません。九州のほうに甕棺墓(かめかんぼ)に入った人骨等もございますけれども、時代的なものの相違があったり、また、まとまった形でこうして出てくるということはなく、希有の研究材料ということになります。


 そこで立ち現れてくるのが青谷人の姿であります。この青谷人を、分析をすることで日本人の歴史、成り立ち、そのルーツ、こういうものが見えてくるわけですね、それで、これまでも私ども青谷上寺地遺跡の発掘をし、私ども埋蔵文化財センターでも調査をし、鳥取大学の協力なども得ながら分析もしてきた実績もございます。その中で見えてきたのは、単なる今までの農耕民族としての弥生人という教科書的な書き方がありますが、そういう農耕民族では必ずしもないんではないんだろうか、もっとオープンに海外も含めて、拓かれたそういう海洋国家的なそういう要素もあったんではないんだろうか。現に青谷では、今、旬の岩ガキの貝殻などは大量に見つかっているわけですね、ちょうど今ごろ、今から1700年前の人たちが私たちと同じように岩ガキをむさぼっていたと思われます。それで、もちろんそのための漁労、漁業もあったと思いますし、船の絵なんかも出てくるわけですね。


 それで、さらに海外との関係では中国の古銭であるとか、それから船舶の跡であるとか、そうしたものなども大量に見つかってきている。そういう意味で今までの日本の歴史について大きな新しい目を開かせるような、そういう材料というのはもともと青谷にあるわけであります。それが人骨の分析で実証的にも見えてくるものがあると。恐らく私どもは渡来人が来ていたと思われます。例えば結核のカリエスという症状[骨組織の結核菌による侵食]を見せる、そういう骨も出ています。結核はそれまで、もっと後に日本に伝わったと思われていましたけれども、この青谷上寺地遺跡にはその意味で最古の実症例であるというふうに学者は言うようになりました。これも渡来してきた人がいたからこそ、そうした痕跡が出たわけですね。つまり、ある意味混血がいろんな意味で進んだりするような、そういう日本人の成り立ち、そういうものがこの研究の中から出てくるんではないだろうか。それを、芽を開かせるもとになるのが青谷人であるというふうに思います。


 そこで、今こうした共同研究が進んでいまして、先生方と一緒になりながら今進めていますが、我々としても、このたび研究の状況が公表されてきましたので、青谷人プロジェクトを立ち上げさせていただきまして、そういうチームを考えていきたい。それで、具体的には研究成果も恐らく[平成30]年度の中途、[日本人類]学会等での発表もあるかと思いますし、そんなような折に報告会のような形で地元でも実地に見ていただきながらということもあるかなと思いますし、今計画をしておりますのは青谷人フォーラムをやろうと。それで、これは多分[平成30]年度末ぐらいですね、研究成果がまとまってきたときに鳥取市のとりぎん文化会館で青谷人フォーラムをやり、その研究成果を諸先生と一緒に世の中に出していきたいと思います。


 また、来年度[平成31年度]から本格的に着手していこうということで、今、研究会で検討を進めておりますのが青谷の史跡公園であります。その中に当然ながら展示館をつくったりするわけでありますが、そういうときに青谷人コーナーといいますか、青谷人のそういうジャンルを見せるような、そういうコーナーをつくる。さらには青谷人復活プロジェクトをやってみようかなということであります。人骨が出ていますので骨格はわかるわけですね。それで、体の形、背格好などは人骨からある程度再現できます。再現できないのは髪の色とか、髪がちぢり毛であるか、あるいは直毛であるか、あるいは目の色がどんな色をしていたかなというようなことなどでございます。それで、今回この人骨の分析が進みますと、そういう顔の見え方も再現できるようになるんではないだろうか。そうすると西暦300年ころ、この国が始まるころですね、そうしたころにこういう人間が青谷に住んでいた、日本人の源流であるとそういうことを再現してみようではないか、青谷人復活プロジェクト、これを実際に人体のこうモデルをつくりましてやってみよう。こんなようなことなど、青谷人のプロジェクトチームをつくりまして、これからさらに研究を深めたり、それを世の中に発表していく、そういう手立てをつくってまいりたいと思います。





4 伯耆国「大山開山1300年祭」記念式典、第3回「山の日」記念全国大会 

●知事

 このたび、大山が輝く夏を迎えます。いよいよ大山[開山]1300[年]祭がクライマックスにくるわけでありまして、8月9日に[伯耆国「大山開山1300年祭」]記念式典が開催をされます。こちらに秋篠宮家の眞子内親王殿下がご来駕賜ることになり、大変に感謝を申し上げたいと思いますし、県民挙げてご歓迎いたしたく存じます。眞子内親王殿下は中部地震が発生した直後に心を痛められながら、こちらのほう[米子市]にお見えになりまして被災関係の方々にも非常にありがたいお言葉をかけていただきました。また、障がい者の皆様の文化芸術活動、これに対するご理解も示され関係者も奮い立ったところでございます。このたびは大山1300年祭をご覧になるわけであります。具体的には記念式典に出られてお言葉をいただけるというふうにお伺いをいたしております。この記念式典のほうでは「大山への誓い」というようなことを子どもたちも交えて訴えかけてまいりたいと考えておりますし、シンポジウム等で松平[定知]さん(元NHKアナウンサー、京都造形芸術大学教授)とか、松本茜さん(米子市出身のジャズピアニスト)だとかいろいろな方々にお越しをいただくことになっています。


 それで眞子様には米子市美術館で開かれています今の至宝展[大山山麓の至宝~「大山」ゆかりの刀を中心に~]をご覧いただくことになります。ここで「伯耆安綱の刀」、これをご覧いただくわけでありますし、大山寺の宝物もごらんいただきます。その中に実は中部地震のときに私のほうからご説明をいたしておりましたけれども、大山寺で首が折れてしまった、被災して首が折れてしまった[国重要文化財銅造]観世音菩薩立像(どうぞうかんのんぼさつりゅうぞう)がございます。これも修復が終了しまして、それも会場のほうに展示をされています。眞子様におかれましては、こうした中部地震からの復興状況につきましても、私どものほうからもご説明を申し上げご覧いただく機会にもなるのではないかなというふうに思います。


 また、[大山の]大献灯にもご高覧いただくことになりました。大変美しい風物詩となってきたものであり、大山寺一帯の森の様子なども感じていただけるのではないかなと思います。さらに、引き続きまして[第3回]「山の日」[記念]全国大会が開催をされ、[8月]11日がその式典日となります。全国各地から山の関係者がお集まりになりますし、環境省や農林[水産]省の副大臣、あるいは衛藤征士郎さん(公益財団法人日本山岳協会最高顧問)、この方が山の日のトップを務めておられます。こうした方々もお見えになります。会場のほうでは、式典で私どもの[鳥取県]出身の瀧本美織さんがMC[司会者]を務めながら式典を進め、大山にかかわる人たちがいろんな思いを発表されることとなります。みんなで大山賛歌を歌うとそういうことになります。


 さらにシンポジウムも開かれ、壇ふみさんなどお見えになりまして、活発な意見交換もしていただき、山に対する理解を深める機会になろうかと思います。こういう意味でお盆前のところになりますけども、非常に鳥取県そういう意味で注目され、山が輝く季節になるのではないかというふうに思います。このときに東アジアの観光関係者が集りまして9地域からEATOF[東アジア地方政府観光フォーラム]という東アジアの観光関係者の会議にご出席をいただきます。こちらの関係者もこうした山の日の関連行事にも出席をしてもらいながら、これから持続可能な地方の観光資源の開発について議論をすることとなります。





5 産業関係の動き 

●知事

 さらに産業関係ではこのたび[株式会社]清水が新しい工場を旧キンキ製造の第一工場跡地に建設をされる運びとなりまして、来年[平成31年]動かすということになってこようかと思います。ここでは6億円ぐらい投資をされると伺っておりますが、私どももその[企業立地事業補助金を]6,000万[円]くらい、[新規]雇用3人くらい見込んでおられますが、そうしたことも含めて支援をしていこうと考えております。これは都会地で今、旺盛なホテル建設だとか、そうしたいろんな需要が発生しておりまして、型鋼(かたこう)の生産を行っていくということでございます。


 また、[株式会社]米吾さんが経営を岡山[県]の総社[市]の大惣[株式会社]のほうに引き継がれることになりました。これについては雇用移転の助成[労働移動受入奨励金]を、制度を私どもも適用しながら応援をしてまいりたいと思います。また、[株式会社]鳥取大丸もこのたび7月31日に株主総会が開催されまして9日1日から[新体制に]移行するということになりました。新会社のもとで営業を続けていくということであります。これについても私どもも鳥取市とも協力をしながらフォローアップをしてまいりたいというふうに思います。





6 農業関係の動き 

●知事

 いよいよ農業関係でもハウス[二十世紀]梨の出荷が[8月2日に]始まりましたし、さらに明日[8月4日]には[梨の]幸水(こうすい)[の出荷]が始まるということになります。[鳥取]すいかは過去最高のキロ当たり220円を記録しまして、去年[平成29年]並み28億[円]くらいですかね、そういう売り上げの年となりました。



7 鳥取県元気づくり総合戦略改定 

●知事

 こうした農業につきましても我々1,000億[円]を目指しますが、このたび[鳥取県]元気づくり[総合]戦略を改定しまして、[平成]31年度を目標年度として[農業産出額]800億円という新規のKPI[重要な業績を評価する指標]をつけさせていただき、今後展開をしてまいりたいと思います。元気づくり総合戦略はこの8月の間に改定版を、実施をさせていただこうというふうに考えております。



8 個人情報管理監査 

●知事

 現在プライバシーの情報流出などがあった関係で初めて個人情報の適正管理が行われているかどうか、庁内の監査を行わせていただきました。今日[8月3日]まで、庁内の実地調査を行っていますし、書面調査は全庁レベルでさせていただいております。今後ともそうしたこと、公文書[管理]の適正化等も含めましてしっかり行ってまいりたいと思います。



9 スポーツ関係の動き 

●知事

 スポーツにつきましても、いよいよ[全国]高校野球[選手権大会]が始まりますが、順調にいけば8月11日に龍谷大平安高校と私ども鳥取城北高校が激突をすることになります。球児たちの暑い夏、期待をしてまいりたいと思います。また、いよいよアジア大会[第18回アジア競技大会]が始まります。8月18日から開催をされるわけであり、インドネシアの会場のほうで開かれますが、既に本県から[アーチェリー]川中香緒里選手、あるいは[水泳(飛込)]三上[紗也可]選手等々5人のかたが決まっています。中には初めて女子ラグビー[フットボール]で小笹[知美]選手も決まりました。この5人以外にも、例えば、自転車の河端[朋之]選手等々ですね、これから選ばれるかどうか、今、焦点になっている選手もいらっしゃいまして、今後の追加もあるかもしれません。いよいよ始まるアジア大会での活躍を、お祈りを申し上げたいと思います。私のほうからは以上です。



10 島根原子力発電所3号機新規制基準適合性審査申請 

○共同通信社 仲野智揮 記者


 知事ありがとうございました。各社質問のあるかたはお願いします。


○日本海新聞 北尾雄一 記者


 島根原発3号機の事前報告に関してお伺いしたいんですけど、今日改めて避難計画の実効性確保も特出しして、8つの条件をつけて中国電力のほうに回答するという話がありました。この条件についてですけど、昨日もちょっと同じような話で恐縮ですけども、この条件を誠実に中電が仮に履行しない場合、その最終判断で、例えば、可否認めないということもあり得るということかどうか、それを確認させていただきたいのと、それから、安全協定については特別の要求ということで強く求めるということですけども、これをその条件の中には入れなかったのはなぜか。あえて、例えば、条件に付すことで協定改定しないと最終段階で認めないという、強く求めることもできたと思うんですが、そこに入れなかったのはなぜか、その2点を教えてください。


●知事


 昨日 [8月2日] も申し上げましたけども、これ我々のコントロールミスもあったかもしれませんが、条件とか、そういうことは正直、あんまり言葉の問題でありまして、何がこれから始まるかというと、これから長い期間をかけて[新規制基準適合性]審査が規制委員会で行われるわけですね。それで、それが終わった後、我々のほうでもチェックをさせていただき、それで最終回答を出すということになります。これ正直申し上げて大分審査の時間もかかるでしょうし、そもそも審査入りするのがいつになるかっていうのも多分まだ見込めないような状態かなというふうにも思われます。そういうわけで、まだこれから大分たった後で最終判断をするときになります。そのときにはそのときの知事なり議会なり、メンバーも代わっているかもしれませんし、そのときにまた改めて議論をするということで、今回は判断自体を保留しているわけですね。だから、未来へのメッセージとして、こういうようなことは当然ながら中[国]電[力]はやってくれよというようなことを我々として、今、申し入れるべきだろうと。その原子力安全協定[島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定]の部分は、これ、むしろ特出しをして別途これはお渡しをする形で強調したいということでありまして、そこで条件という言葉が使っているかどうか、あんまり正直意味がないじゃないかなと思います。


 表現としても法的な条件っていう言葉は多分当たらないものですから、その8項目につきましても、こうした事項を前提として我々は今後審査をするんですよということで、いわば釘を打つということでありますし、また、原子力安全協定につきましても、昨日の議論[8月2日の全員協議会での議論]のそういう空気を文面の中にも盛り込ませていただき、改めるべきことは改めないっていうことはいかがかというニュアンスも我々としても伝えながら、その上でまだ最終判断については留保していますよということを強く述べておくと、こういうことで別にそこにあまり深い違いはないと思っていただいたほうが正確ではないかなと思います。いずれにいたしましても、またそのときのメンバーで県民の皆さんと対話をしながら、最終決定をしていくということでありましょうから、当然ながらそのときに、今、これだけわあわあ言っていることが解決できているかどうか、それは当然、考慮されてくるというふうに向こうには伝わると思います。


○日本海新聞 北尾雄一 記者


 確認ですけども、協定改定についても中電の対応次第では最終的な判断に当然、県としても影響を及ぼすものだろうと。


●知事


 そのニュアンスは申し入れ文章の中にも書かせていただこうと思っています。


○日本海新聞 北尾雄一 記者


 それと、もう1点ですけど、議会では昨日、この協定改定に関して立地と同じ文言の協定改定を求める意見が何人か見られたところですけども、県の対応方針をよくよく見ていますと、立地と同等の同じ文言という言葉までは踏み込んでいらっしゃらなくて、茨城県での協定の文言修正に対する中電の協力姿勢がないということを指摘されているんですけども、この、どのレベルまで県としては求めていくか、昨日の議会のご意見を聞くとやはり立地と同じ文言という声が強かったように思うんですけど、そのあたりいかがでしょうか。


●知事


 我々は今まで繰り返し立地と同じ協定にしてくれということを言ってきていまして、そのことは、実質は変わりません。環境は最近変わってきていまして、要は、うちが実は最先端走っていたわけです、ある意味。ですから、うちの[原子力安全協定]が実はスタンダードになっていたわけですけども、今回、茨城[での安全協定]というスタンダードも生まれてきているように思います。これが注目されていますから、そういうこともあって改定せよということを我々強く迫ってきているんですけど、いまだ動きがないというような主旨でございまして、協定は立地並みということを求めていくということには変わりないです。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 関連してなんですけれども、原子力規制委員会の新規制基準というのは絶対的な安全性を確保するものではないというふうに言われているんですけれども、稼動の今後の可否判断に向けて、さらにその安全性を検証したり、担保していくためにはどういうふうにしていかれるんですか。


●知事


 それは、昨日[8月2日]も議会側に提出した文書の中でもその主旨を示しているわけでありますけども、新規制基準というのは、これは福島[第一]原[子力]発[電所]の[事故が起こる]前よりは格段に前進した内容になっています。それで、福島原発の事故の状況を踏まえてつくられた規制基準でありまして、結構これ、だからクリアするのに電力会社も四苦八苦しているというようなのが実情でありまして、ハードルはかなり上がっているわけですね。ただ、この新規制基準に適合したからOKだということは、我々は言っていないわけです。それで、昨日[8月2日]の議会側に協議させていただいた文章でも申し上げていますとおり、折に触れてその審査状況を教えてもらう必要があると。それで、また結果が出た後でも、私どものほうの原子力安全顧問なりがまた調査しますよと、そういうことをお断りしているわけでありまして、新規制基準に合格すれば自動的にそれでいいですよということは言っていないわけです。


 そういう我々としてのスタンスで今後も臨んで参りたいと思います。また、地震だとか、津波、火山のところでも触れていますけれども、新しい知見があれば、つまり福島原発の事故の状況、今後またさらに明らかになってきて、これもやらなければいけないというようなことなど、新しい知見があればまたそれに応じた対策も取ってもらわなければいけないというようなことも盛り込んでおりまして、新規制基準イコールゴールということではない体裁にしたいと思っています。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 県としては、共同検証チームでかなり安全性は検証されてきたとは思うんですけれども、それは継続していかれるということなんですが、その審査合格後、それをまた拡充するとか、例えば立地も巻き込んでさらに検証するような体制をつくるとか、そういったようなことというのはお考えでしょうか。


●知事


 立地[自治体]と一緒にやるというのは、何か、返って周辺[自治体]のプライドの問題もあると思うんで、それはちょっとどうかなと思いますが、ただ、いろんなやり方で検証はしていくことに、まだちょっと将来のことなので想像できませんけれども、そのときの一番いいやり方でやっぱり検証していくということになると思います。いずれにいたしましても、今、[島根原子力発電所3号機に係る]共同検証チームで結構、検討を深めてきているところでございまして、知見を高めてきておりますので、そこのチームを継続しながら[米子・境港]両市と県との共同作業は続けて参りたいと思います。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 それともう1つですけれども、今回は関係自治体が、関係自治体全てが申請を認めるという方針になったわけなんですけど、次は稼動の可否というものを判断する段階に入ってくると思うんです。それで、仮に立地と周辺とで判断が分かれた場合とかというのは課題になってくると思うんですけれども、知事は地元同意のあり方というものについてはどのようにお考えでしょうか。


●知事


 ちょっと主旨がちょっと違っていたら申し訳ないですけど、立地と周辺と意見が分かれた場合どうするかは、それは電力会社が最終的には判断するんでしょう。それで、そのときに安全面を取るのか、それとも誰かの意見を基本にするのか、そこはちょっとわかりません。ただ、その状況によっては我々もさらに意見を述べなければいけないこともあるでしょう。これはちょっとそのときの状況になってみないとわかりませんが、当然ながら我々は立地と同等に扱っていただいていると思っていますので、そうであれば当然ながら周辺地域とはいえども、その意見は考慮されなければならないというのが我々の立場です。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 先ほどの立地と周辺とで一緒になって検証されるようなことは周辺プライドもあるのでというようなお言葉もありました・・・。


●知事


 プライドという言葉はよくなかったかもしれませんけど、誤解を招くと思いますよ、悪いけど。つまり、立地と周辺が一緒にやっていて必ずしも利害が完全に一致するわけではないですからね。それが何か一緒に検証しているという姿が果たして住民の皆様の納得が得られるかどうかっていうのはあると思うので、私は、そこはどうかなと思いますけどね。


○山陰中央新報 原田准吏 記者


 でも、それぞれに今後も検証したりとか、それから審査、審査というか、判断の手続きを踏んでいかれて、最終的な部分というのは中電の判断っていうことになるということ。


●知事


 私が中電だったら立ち止まりますね。それは、だって反対が残っているんだったら、そこはやはり尊重するというのであればですよ、立ち止まるはずですけどね。


○日本海新聞 今岡浩明 記者


その原発に関連して、国のほうへも要請活動をされるということでしたが、こちらの内容のほうを詳しくお伺いしたいんですけども。


●知事


 まだ[米子・境港]両市と作業中でありますけども、例えば避難計画づくり、これ、車両の確保だとか、正直できてないんです、国が。それが結局、今、わーわー言われる原因にもなっているわけでありまして、いい加減にもうちゃんとやってくれとか、そういうことでありますけど、そういう避難計画づくりへの協力であるとか、それから電力会社への安全協定改定についての指導であるだとか、それから汚染水対策など、いろいろ我々でも条件というか、その項目として今、突きつけるとこもありますので、そうしたもののフォローアップであるとか、いろいろあると思います。そうしたことを今、要請活動の中に盛り込ませていただこうとしております。


○日本海新聞 北尾雄一 記者


 相手方は規制庁と環境省等になるんですか。


●知事


 内閣府と[原子力]規制庁と資源エネルギー庁であります。


○中国新聞 小畑浩 記者


 関連なんですけれども、ちょっと昨日も少しお伺いしたんですけれども、今回の3号機の事前報告を受けて、その前の概要説明を含めてではあるんですが、共同検証チームをつくるなりして鳥取県なりの検証体制を取って判断をしたということだと思うんですけれども、改めてその結論、今回の結論を出すまでのプロセスというか、総括というか振り返っていただければと思うんですけども。


●知事


 やはり当初5月22日に中電側からこの適合性申請が示されたときは、私どもも少なからず混乱した面があります。それまで私たちとしては初めて島根原子力発電所3号機の[原子]炉の仕組みなどにつきまして実地に見聞をさせていただいたり、いろいろと調査を始めたところでありまして、まだその中途で申請がきたような感じがございまして、私どもとしてはちょっと少なからず混乱したスタートだったなと思います。だからその後6月県議会で結論出すとかいうことではなくて、我々としてはスケジュール感を自然体で持たせていただき、両市で検討していただく、あるいは我々[鳥取県原子力安全]顧問[会議]にかける、その回数も重ねてまいりましたし、共同検証チームも10回ほど会合も重ねたわけであります。


 そういうように話し合う中で、[米子・境港]両市から最終的にはまずは規制委員会の意見を聞いてみようやということになり、今回の動きとなったところであります。まだ正直我々サイドとしては、何かその島根3号機にゴーサイン出す、その階段が1つ上がったという感覚はなくて、まだ我々としては慎重に安全を第一として見ていこうというような気持ちで相変わらずいるというような形であります。今後ですね、まずは厳正な審査を規制委員会のほうでしていただきたいと思いますし、その状況も我々にも開示をしてもらいたいと思います。結構ややこしい複雑なシステムでありますので、そういうものを折に触れて咀嚼をしながら、顧問の先生方も含めて本当に安全に資するものになるかどうかというのは目を皿のようにして見ていきたいと思います。


○NHK 吉村美智子 記者


 原発についてなんですが、段階が1つ上がった感覚はなく、改めてその専門家の検証も必要だっていうような話がありましたが、なぜそういったことが必要だとお考えになるんでしょうか。


●知事


 まだやはり我々は周辺自治体であるわけでありますけども、福島原発事故のときに周辺といえども回復しがたい影響を受けたという事実があります。我々よく言われるのは季節風の関係からすると、鳥取側に影響があるんではないか、その辺の心配の向きはいまだ払拭されているわけではありません。したがいまして本当に安全性が確保されるのかどうか、3号機という炉の特殊性、複雑性もありますので、やはり一から我々としては検証していかなきゃいけない、そういう気持ちであります。


○NHK 吉村美智子 記者


 3号機に限らずなんですけど、先ほど福島事故も挙げられていましたが、そもそもその原発に対して平井知事はどういった姿勢でいらっしゃるんでしょうか。


●知事


 これは東日本大震災のときに申し上げましたけれども、やはり地球全体、世界全体としては緩やかなエネルギー革命というのを起こしていかなきゃいけないんではないだろうか。そういう意味で、我々[東日本大震災の]発災後ですね、自然エネルギー、再生可能エネルギーを、てこ入れをしてきたわけであります。その結果、昨日[8月2日]も議会でも指摘がありましたけれども、再生可能エネルギーで民生[用の]電力、住民の皆さんの市民生活の電力は賄えるほどの出力に県内では上がってきました。こういうことなどをいろんな所でやっていただきながら緩やかなエネルギーシフトっていうのを起こしていくのが本来であろうかと思います。ただ、最終的には、エネルギー施策自体、国が判断する面もありますし、実際に国際情勢だとか、それから経済情勢だとか、いろんな中で決まってくる要素もあるのかなと思います。ただ、私たちとしては安全だけは譲れないというところでありまして、安全を第一義として今後も対峙してまいりたいと思います。

 

○中国新聞 小畑浩 記者


 その関連ですけれども、かねてから島根県側と鳥取県側の違いとして、メリットがないというようなニュアンスを、税金とかその辺ですけれども、メリットがないということをおっしゃっているその面で安全が第一であるというふうなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、今後、審査が進んで安全の確認をするわけですけども、恐らく100%安全と言い切る人は誰もいないと思います。それで、その中でじゃあ、何と天秤にかけて判断するのかとなると、どうしても必要性ということを議論しなければならないじゃないかというふうに考えまして、今回、住民説明会とか議会の議論を見ても、必要性についてどうなのかという議論がとても大きくなっていったというふうに感じるんですが、そのあたりを県として検証したりとか、最終的な可否の判断の材料にしたりとか、そういう考えはありませんでしょうか。


●知事


 最終判断のときに、どういう世論の状況があるか、それから地域の住民の意識があるか等々を、我々も誠実に反映させながら最終判断をしていきたいと思います。今現在は、まずは安全性について審査を受ける、そういうことで今回はどうだろうかというのが[米子・境港]両市の考えであり、昨日の議論[8月2日の全員協議会の議論]であったと思います。


○中国新聞 小畑浩 記者


 また、その必要性ということに関して言うと、また、別の角度の専門的な分析が必要な領域になってくるとは思うんですけれども、現在顧問の先生方にもそのエネルギー施策という分野の方はいらっしゃらないと思うんですが、そのあたりの知見を補強していくための、何か将来的な体制のつくり方とか、考え方はありませんでしょうか。


●知事


 今現在は、今の体制でいいんじゃないかと思います。安全を第一義としてやはり検証するということでありまして、安全だけは、我々は担保をとっていかなきゃいけないと思います。必要性とか、それはつまり要はエネルギー構成の問題でありまして、何年か後にどうなっているかということも多分あるんでしょう。そのときの議論が変わっているとかどうか、ちょっとよくわかりませんが、そのときの状況でまたどういう検討を進めるのが適切なのか、またアプローチもそのときの人たちでまた議論を改めてしてもらうことになるんではないかなと思っています。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者


 ちょっと協定のことにちょっと話戻って恐縮なんですけれども、昨日の全協でも議員の中から意見が出ていましたが、その立地自治体と周辺自治体のやっぱり認識のずれというのは結構その近体から、周辺自治体との協定改定の障害になっているような印象も受けるんですけれども、具体的には松江市長なりと、この問題について今後話し合う予定というのはあるんでしょうか。


●知事


 これはでも、我々は第一義的にはやはり中国電力と今やりとりしていますので、中国電力と話をすべき立場かなと思います。また、国も国でやはり制度的な制度設計を、僕は誤っていると思っていまして、福島原発の事故の教訓を踏まえて、周辺立地であまりリジット[厳格]に考えるべきではないところがあります。現に避難計画の作成とか、30キロ圏内も対象に入ってきていたり、関係自治体として鳥取県も含めた周辺も入ってきたり、法的にはなっているんですけども、ただ、権限関係だとか、それから電力会社との実態的なつき合い方、この辺について旧態依然としたものも残っていたりしまして、やはり制度的な欠陥があるのだろうというふうに思います。したがいまして、本来は国が制度設計として考えるべき分野ではないかなというふうに思います。そういう意味で一義的にはやはり中国電力としっかり議論をして解決するべきものではないかなと思っています。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者


 関連というか、国に対しても制度設計の見直しは願われていると思っていい、いうことになるんですか。


●知事


 そうですね、それで時々ちょっとずつ動くんですね、例えば環境関係の補助金が周辺も対象になるようになったり、ちょっとずつ動くんですけど、なかなか本質的なところでなかなか動いてくれないところがありまして、我々としてはこの辺は精力的に求めてまいりたいと思います。





11 青谷上寺地遺跡出土人骨にかかる今後の展開 

○日本海新聞 北尾雄一 記者


 青谷のプロジェクトのことでお伺いしたいんですけど、これプロジェクトチームを立ち上げてそのフォーラムを開いたりだとか、されるということですけど、何か9月補正等でこのあたりは予算付けをされるのか、もしくは既に当初予算かなにかを活用されるのか教えていただきたいのと、それから人体モデルの復元というのはこれはどういう、パソコン上といいますか、ちょっと私もその分野弱いんですけど、どういった形でされようとしているのか教えていただけますか。



●知事


 これは、9月補正[での予算措置]を考えたいと思います。もちろん既定予算でも研究を進めていますので、そういう既定予算部分もありますけども、一部9月補正、そんな大きな額にはなりませんが9月補正を考えることで、今、検討しています。モデルはちょっと担当者とお話した、やっぱりこう多分実物大のこういう感じだと思うんですけどね。こないだ[鳥取砂丘]コナン空港にできました安室透[のカラーオブジェ]みたいな、もうちょっとリアルだと思いますけど、ああいうような形で青谷人をこういうもんだというふうに見ていただける、それが新しい史跡公園の中にも設置をさせていただいたりすれば青谷人のふるさと、我が日本人のふるさと、ルーツだというものを見ていただけるのではないかなというふうに思います。


 前も脳が出てきた[出土した]とき、DNAがここ[脳]に残っているわけですね、青谷は、実は人間の脳がそのままの形で出土しました。人骨も出ました。そのときにまさにジュラシックパークのように、それをもとにまた復元したらいいじゃないですかとか、いろいろとわーわー言っていたほうですけど、このたび研究が進んできてほんとにそうしたものをリアルに見せられるものができる状況になってきましたので、1700年前にタイムトリップしていただけるようなそういうリアルな模型といいますか、フィギュアを作っていければと思います。



○日本海テレビ 前田俊博 記者


 その関連ですけども、人骨とか東京のほう中心に調査されていると思うんですけども、やっぱり大陸から見ても、青谷、港ですけども、そういうところにやっぱり地政学的なとか、地形的なことの研究も必要かと思うんですが、そのように国の博物館の方とか、視察で改めてそういう面も合せて来られるようなことってありますかね、現地調査。



●知事


 それは今までもされていますし、これからもされると思います。ちょっと私もこの辺はちょっと何とも言いがたいところではあるんですけども、イメージとしては今までの弥生人像が変わってくる、そういうものになるんではないかなと思うんですね。私も子どものころ習いましたように、静岡[県]の登呂遺跡が典型的に出て来まして、その農耕の田んぼの跡だとか、田下駄があったりして、そこにこんな家に住んで、この弥生時代になりますとそれまで縄文時代とは違って、平地に出て来てみんなで集団生活、村をつくるようになりました。皆さんもご記憶だと思いますけど、そんなような教科書の書き方だったと思います。しかし、この青谷人発見以後ですね、これが変わってくる可能性があると。つまり弥生になると、弥生の時期になると海外と舟で行き来をし、そして海の生活、海の漁労もやり、いろんなタイプの人たちが日本の中で交流しながら日本の国、新しい日本に向けてその中でいわば混血が進んだかもしれませんし、そうした意味で今の日本人の原型がこの時代に出来てきたというようなことになるかもしれない。そんな意味で今までの弥生人のイメージと違ってくる、それがこの青谷[上寺地遺跡]という地政学的なことも含めた遺跡の値打ちになってくるんじゃないかなと思うんです。



○日本海テレビ 前田俊博 記者


 全て大陸、もちろん日本海あるんですけども、その辺のそこにたどり着く青谷のおもしろさみたいなものも、鳥取県位置関係みたいなものも興味深いところだと思うんですけども、一言そこをお願いいたします。



●知事


 はい。実は山陰の遺跡、特に私ども青谷上寺地[遺跡]だとか、それから妻木晩田[遺跡]もそうなんですけども、この入り江があった、入り江状の形状があるところにああいう集落が発生をしている。特に青谷などは港の遺構も出ているわけですよね。そういう意味で山陰の弥生時代というのは結構開かれたものであって、単なる村社会とは違って、今でいうと横浜[市]や神戸[市]のようなイメージがあったのかもしれません。ちょっとこれまだ研究がこれから進んでいくと思うんですけども、そういう意味で従来の弥生人の常識を変えていくようなそういう、今、非常に画期的な研究がなされているんじゃないかなというふうに我々は期待しております。ですから、新しいこうした弥生時代を考える上で、青谷上寺地遺跡、ちょうど今から実は史跡公園化しようとしていまして整備をするんですけども、その中でもこういう青谷人といのを1つのターゲットゾーンにして史跡の整備をし、この山陰から日本の国が始まった、あるいは山陰が日本の国の成り立ちで大きな役割を果たした。そういうことがこれから広く認識されるようになればなという夢を描いています。



○日本海テレビ 前田俊博 記者


 特に、妻木晩田のその奥には大山というものがありまして、大陸からちょっとシンボルマークとしてやってきたんじゃないかというような見方もありますけど、そういう面で大山とか知見のおもしろさといいますかね、そういうところはいろいろ興味深いとか思うんですけども。



●知事


 確かに大山というのは1つのシンボリックなところとして、それを目指して海を渡って来た人たちがいたのかなと我々も想像しています。青谷もまさにそういう意味で、渡来系の人たちの存在もあったという我々物証的に発掘を進めてきましたので、そういうものが見えてきていますので従来の弥生時代のイメージが大きく変わればなというふうに思います。今、ちょうど大山1300年祭ということでありますが、そういう意味では鳥取、山陰1700年かけて今日に来ている、そういうシンボリックな時代が当時あったんではないかなと思っています。





12 ハンセン病訴訟への対応 

○山陰中央新報 糸賀淳也 記者


 ちょっと全然別件ですけども、先日のハンセン病の訴訟の判決の件でちょっと幾つか聞かせていただきます。今回の判決を受けて知事は県の主張どおり認められた判決になったというふうにコメント出しておられましたけども、具体的には鳥取県としてはこれまでの裁判の中ではどういう主張をされてきたのか、また改めてその判決の評価をお願いします。



●知事


 主張の詳細とかその辺、改めて担当部局のほうからご説明申し上げたいと思います。こないだも[7月24日の定例知事]記者会見のときですね、申し上げましたけど、個別の案件特有の事情というのも当然ながらあって、訴訟は具体的に行なわれますので、具体のケースを巡って議論されておりますから、我々としてはその訴訟自体は今後も見守っていくということになろうかと思います。ただ、今回こういうような判決ではありますけれども、私どもはハンセン病については先端的に対策を取ってきた県でございます。かつてライ病と言われた時代に隔離政策を取った、それが国全体の方針としてあり、また、忠実な執行者として各都道府県がしたわけでありまして、砂の器という有名な物語もこの辺にかかわるものでございます。このハンセン病については、我々としては里帰り事業であるとか、それから施設におられる方々への訪問事業など、我々もそれぞれの方に寄り添った形の対策を取ってまいりましたし、今後もそれは誠実にやってまいりたいと思います。そういうような決意を改めて今回の訴訟に当たりましてもさせていただいたというところでございます。



○山陰中央新報 糸賀淳也 記者


 それで、知事が判決の当日に出されたコメントについてちょっと気になる点があったので、そのコメントの中でハンセン病患者や家族が国策による苦難を強いられたり、歴史は重く県としても引き続き、国に対して保障制度の適切な運用や名誉回復などを求めていくとともに、患者の皆様が安心して暮らせる社会づくりを進めてまいりたいと、そういうふうにしておられましたけども、最後のその患者の皆様がという部分が、これは患者ではなくて、元患者という言い方が正しいんではないかと思うんですけども、そこは。



●知事


 そこはそうかもしれません。趣旨としてはそういうことでありまして、元患者、今、もう薬で治る時代でございますのでそういう方々の権利保障が従前になされるように我々としても精力的に誠実に対策を取らせていただきたいと思います。この辺においては、私どもは一切従来の方針を曲げるものではなくて、むしろ今回の訴訟も1つの契機とさせていただき、誓いを新たにさせていただきたいと思っています。



○山陰中央新報 糸賀淳也 記者


 ですから、そこの部分はちょっとやっぱり間違えて患者と言ってしまったということでよろしいんでしょうか。



●知事


 そうですね、そこは訂正させていただきます。



○共同通信社 仲野智揮 記者


 ほかにありますでしょうか。では、ないようですので、知事、ありがとうございました。



●知事


 はい。どうもありがとうございました。




  

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