(1)法律の目的
近年、ボランティア活動等の社会貢献活動が注目され社会的期待が高まっていますが、これらの活動を行う団体の多くが法人格を持たない任意団体であり、活動するうえで、資産の管理が個人名義となることや組織として対外的に認知されにくい等様々な不都合が生じています。
この法律は、これらの団体が法人格を取得できるようにすること、並びに運営組織・事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人(NPO法人)の認定制度を設けることにより、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としています。
(2)法律の概要
ア:対象となる団体
この法律に基づいて、特定非営利活動法人になれる団体は、次のような要件を満たすことが必要です。
・特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
・営利を目的としないこと
・社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
・役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
・宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと
・特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦、支持、反対することを目的と しないこと
・暴力団若しくはその構成員の統制下にある団体でないこと
・10人以上の社員を有すること
【特定非営利活動とは】
下記に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものです。
1 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2 社会教育の推進を図る活動
3 まちづくりの推進を図る活動
4 観光の振興を図る活動
5 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7 環境の保全を図る活動
8 災害救援活動
9 地域安全活動
10 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11 国際協力の活動
12 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13 子どもの健全育成を図る活動
14 情報化社会の発展を図る活動
15 科学技術の振興を図る活動
16 経済活動の活性化を図る活動
17 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18 消費者の保護を図る活動
19 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20 鳥取県の地域ならではの資源及び人材を活かし、地域の活力及び魅力を創造する活動
(3)設立の手続き
特定非営利活動法人を設立するためには、法律で定められた書類を添付した申請書を所轄庁に提出し、設立の認証を受けることが必要です。
設立の認証後、登記をすることにより法人として成立することになります。
【申請書の添付書類】
[1]定款
[2]役員名簿(各役員の氏名、住所又は居所及び報酬の有無を記載した名簿)
[3]各役員の就任の承諾と宣誓した書面
[4]各役員の住所又は居所を証する書面
[5]社員のうち10人以上の者の名簿
[6]宗教活動等を主たる目的とする団体等でないことを確認した書面
[7]設立趣旨書
[8]設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
[9]設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
[10]設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
【所轄庁】
その主たる事務所が所在する都道府県の知事(その事務所が1の指定都市の区域内のみに所在する場合は、当該指定都市の長)
(4)法人の管理運営
ア 役員
法人には、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。理事は、法人を代表(※)し、その過半数をもって業務を決定します。役員になれる人については、親族の数の制限など法律で一定の制限が設けられています。
(※)定款をもって、その代表権を制限することができます。
イ 総会
法人は、少なくとも年1回、通常総会を開催しなければなりません。
ウ その他の事業
法人は、特定非営利活動に支障がない範囲で、その他の事業が行えます。この場合、その他の事業に関する会計を特定非営利活動に関する会計から区分しなければなりません。
エ 会計原則
法人は、予算に基づき、また、正規の簿記の原則に従って会計簿を記帳するなど、法律に定められた原則に従い会計処理を行わなければなりません。
オ 情報公開
法人は、毎事業年度の事業報告書、貸借対照表、収支計算書等の書類を、所轄庁に提出するとともに、事業所に備え置いて、利害関係人に閲覧させなければなりません。また、これらの書類は、所轄庁において一般公開されます。
カ 監督
所轄庁は、法令違反等一定の場合に、法人に対して、報告を求めたり、検査を実施し、また、場合によっては、改善措置を求めたり、設立認証を取り消すこともあります。
(5)法人化のメリットと義務
メリット
・団体の名義で不動産や電話等の取得ができる。
・契約その他の取引の主体となることができる。
・個人と団体の資産等の区分が明確となる。
義務
・所轄庁への届出等法に沿った運営が必要となる。
・原則として、課税されることとなる。
・活動状況等を公開しなければならない。
(6)税制上の取扱い
法人は、法人税、法人住民税、法人事業税など様々な納税義務が生じるとともに、税務署等への各種届出が必要となる場合があります。
例えば、法人税については、公益法人等と同様に法人税法に規定された収益事業(特定非営利活動促進法上の収益事業とは異なります。)から生じた所得に対して課税されることとなります。
詳細については、税務署等へご相談ください。