化学物質過敏症は過敏という名が示すように、ごく少量の物質にでも過敏に反応する点ではアレルギー疾患に似ています。最初にある程度の量の物質に曝露されると、アレルギー疾患でいう“感作”と同じような状態となり、二度目に同じ物質に少量でも曝露されると過敏症状を来します。時には最初に曝露された物質と二度目に曝露された物質が異なる場合もあり、これは多種化学物質過敏症と呼ばれます。
化学物質過敏症はこのようなアレルギー疾患様の性格だけでなく、低濃度の化学物質に反復曝露されていると体内に蓄積し慢性的な症状を来すという中毒性疾患に近い性格も兼ね備えています。
化学物質過敏症は未解明の部分が多い疾患ですが、このようにアレルギー性と中毒性の両方に跨る疾患、あるいはアレルギー反応と急性・慢性中毒の症状が複雑に絡み合っている疾患であると考えられています。
(厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班「化学物質過敏症 思いのほか身近な環境問題」パンフレットより引用)
どんな症状が現れるの?
頭痛、全身倦怠感、不眠、便秘、動悸など特徴のない症状が多く、このほかにも様々な症状があるようです。
(主な症状)
〇自律神経障害・・・発汗異常、手足の冷え、頭痛、易疲労性
〇内耳障害・・・めまい、ふらつき、耳鳴り
〇気道障害・・・咽頭痛、口渇
〇循環器障害・・・動悸、不整脈、循環障害
〇免疫障害・・・皮膚炎、喘息、自己免疫異常
〇運動器障害・・・筋力低下、筋肉痛、関節痛、振せん
〇消化器障害・・・下痢、便秘、悪心
〇眼科的障害・・・結膜の刺激症状、調節障害、視力障害
〇精神障害・・・不眠、不安、鬱状態、不定愁訴
どんなものに反応するの?
原則的には、アレルギー疾患同様、その患者さんにとって合わないものがあれば、何でも原因物質になる可能性があります。
○家の中では
洗剤、漂白剤、芳香剤、建材、接着剤、ホルマリン、防ダニグッズ、防菌グッズ、塗料、カビ、シロアリ駆除剤等
○屋外では
排気ガス、殺虫剤、除草剤、大気汚染物質等
○食べ物では
食品添加物、残留農薬、保存料、着色料、甘味料、香料等
3.関連サイト(外部リンク)
厚生労働省「化学物資安全対策サイト」(外部サイト)
環境省「かんたん化学物質ガイド」(外部サイト)
消費者庁「その香り困っている人がいるかも?」(外部サイト)
わたしたちの身近な化学物質について学べるパンフレットです。