1 新型コロナウイルス感染症クラスター対策等条例の検討
●知事
皆様、こんにちは。本日も聴覚障がい者の[かたへの]配慮でマスクを取りながら御説明を申し上げたいと思います。新型コロナの猛威は世界中に広がっており、テドロスWHO[世界保健機関]事務総長はおっしゃいました。"The Most Severe"これまでのエボラ出血熱などと比べましても、もっとも辛辣なそういう疫病感染症になっていると、こういう認識であります。アメリカでもオブライエン大統領補佐官が感染をしたということも発表されまして、トランプ政権のごく身近な人にもその感染が広がっていることが明らかになりました。我が国におきましては、ここ1週間、2週間というのは非常に変化がおきているように思えます。現実にも、昨晩島根県におきまして、出雲市で新たな感染された方が見つかったという報道があり、本県におきましてもやはり同じようにこの7月に入りまして、3人にわたる感染が見られるようになってきました。
こういうような中、特に我々として対策を考えなければならないことがあると思っています。それは熊本[県]ではジャパンマリンユナイデット[株式会社]のクラスターが発生をし、当地の蒲島[郁夫]知事が非常な危機感を表明されたところでありますし、この近くでも広島[県]、さらに岡山[県]でクラスターが見つかったということになってきています。福岡[県]が急増しているのはそうしたクラスターの影響があるところでございます。宮崎[県]のように、従来あまり感染が広がってなかった所でも、クラスターによりまして、一気に感染が拡大してしまうということになります。元を正せば東京[都]におきまして新宿[区]の歌舞伎町を中心としたクラスター、そういうホストクラブなどのお店があった、これになかなか法的に手が打ちづらかったということがあったと思います。
そういう中で感染拡大を許してしまった感がございまして、今や東京は市中感染に広がっていると言われるところでありますし、20代、30代のみならず上の年代の方にもパーセンテージが上がっています。また、件数も増えていますので、当然ながら発生件数も増えてきているということだろうと思います。新型コロナウイルスは従来のインフルエンザとは大きく異なるところがあり、それは10人おうち8人は他人に感染をさせないというふうに分析をされているところであります。そういう意味で感染力は比較的弱いはずなんでありますが、しかし、3密の状態が起き、クラスターが発生しますと、一気に感染が拡大をする。これの繰り返しによりまして、世界中で今なお感染拡大が止まらないという状況になっているわけであります。
本県でもこのクラスター対策は注意をしなければいけません。今、単発的に陽性者が出てきていても、ローラー[作戦]で周りを封じ込めることによって、何とか6人に押さえ込んでいるところでありますけれども、しかし、クラスターが発生しますと一気に5人10人というふうに膨らんできて、中には鹿児島[県]のように100人規模とも言えるようなクラスターにもなることがあります。ですから、このクラスターをどうやって防ぐのか、そしてクラスターが発生したときにこれをいち早く封じ込めるためにはお店あるいは施設について営業ないし使用をやめていただく、また、公表するということが必要でありまして、公表により、これ心当たりがあるという方にはなるべく早めに来ていただくことで、市中感染広がっていくということを防げるということになります。ただ、現状新型インフルエンザに基づく法律でありまして、そういうクラスター対策というところに目がいってないというのが現行法体系の課題なんだろうと思います。新型インフルエンザ[等対策]特別措置法で24条9項によりまして一定の協力要請ができることになり、このたび私も大分分科会で申上げたことを西村[康稔経済再生担当]大臣が受けていただきまして、個別のお店に対する協力要請ということも制度上可能と解釈されるようにはなりました。
ただ、休業の仕組みというのは45条の緊急事態宣言が出た後、そこでまず要請をして、従わない場合に指示をして、そして公表をするとこういうような段取りでありまして、緊急事態宣言が出てない中、この45条の体系というのは使えなくなっているわけであります。国のほうでは、今、急遽、感染症法の16条を援用して公表ができるようにならないか、その場合はガイドラインに応じていないそういうような事情がある、クラスター発生したところについては公表してもよいのではないか、こういう解釈を今、されようとしているところであります。
この辺、今後、どういうふうに運用が変わってくるかということがありますが、ただ、考えてみますと、要は法律のほうで十分対処できていない分野がここにあるということだと思います。法律の改正やあるいは解釈・運用でできる限りのことをやっていただきたい、我々[全国]知事会としても申し上げてきているところでありますが、残念ながら、よい結果にはつながっていない部分があります。考えてみますと、食品衛生法という法律に基づいて食中毒を規制するということがあります。これは食中毒が発生した場合には具体的な危険があるということから、そのお店に対する営業停止を命令したり、また、そのお店の名前を公表するということが実務として行われています。法律もそういう仕掛けでできているわけです。
クラスターもこれと同じように端的に今の事業を停止をしていただいて、公表により関連の方々に対して周知をすることで名乗り出ていただき、PCR検査につなげていく、こういう意味では食中毒のお店に近いのではないだろうか。その仕組がないのであれば、私たち鳥取県として、これは県民の皆様のまず御意見を伺った上で、条例制定で思い切って法律が十分できていないこのクラスター対策の分野に切り込んでいく必要があるのではないかと考えるに至りました。
そういう意味で、結論から申し上げますと、明日[7月29日]から8月の4日まで県民の皆様の御意見を伺う県民参画電子アンケートを実施をさせていただき、県民の皆様の思いをまずは伺ってみたいというふうに思います。それに基づいて[県]議会等とも相談をして、もし仮に県民の皆様が条例制定してもよいのではないかというようなお話であれば、我々としても議会と相談はさせていただいたり、また、鳥取市、保健所設置市などとも協議をさせていただきまして、早急に内容を詰めていき、条例というものを第2波と言われる大きな波が来る前、その前の段階でできるだけ早く本県としてそういうクラスター対策のツール[道具]を手にする必要があるのではないかというふうに思います。
本県は高齢化が進んでおりますし、決して医療資源が大都会のように潤沢ではありません。一気にクラスターが広がってしまいますと、我々の防衛線が破られてしまう危険もあるわけであります。だからこそ病床を増やそう、クラスター等も含めたPCRの検査体制を強化しようとやってまいりました。さらに法的手段ということもこの際、加える必要があるのではないか。他地域におきましてはさまざま新型コロナ対策のそうした条例を作っているところは長野県を皮切りにしてあるようでございますけれども、我々はピンポイントで、このクラスターが発生をしたら営業ないし使用をやめていただく、そのお名前については公表させていただく、この食中毒と同じこと、これに絞ってピンポイントで具体的な危険がここにはあるだろうと、それも差し迫った具体的危険になるだろうと。ですから、そのときについて権利の制限になる部分がありますが、これは公衆衛生、公益の観点から十分に説明できる、そういう法規制ではないかと考えた上で、条例で法律の白地部分でありますので、条例で制定をさせていただくということを検討させていただきたいと思います。それに当たりましては、昨今、いろいろと課題になっています患者さんやあるいは医療従事者、そうした方々の権利の保護、人権の保護ということもありましょう。また、県外ナンバー[車両]に対するなかなか地元としては残念な対応が見られるという、そういう報告も現にございまして、そうしたことで県民の皆様にもそうしたモラルを守っていただくということも含めて、今、緊急に必要なことに絞った条例の制定を検討してみたいと考えております。
具体的には、こちらのほうにございますが、考え方としては新型コロナ、これはインフルエンザと違いましてクラスターが決定的に大事だということです。それから、従来、新型インフルエンザ特措法でそのインフルエンザ対策ということはできているかもしれませんけれども、クラスターが肝であるということに十分対応できていない。この新型コロナのクラスターに絞りまして、緊急に感染拡大の具体的危険、具体的危険というのは、これはクラスターであります。クラスターが発生しますと一気に広がるという特性がこの新型コロナについてはある。そういう具体的な危険、これが健康と命に関わる県民の危険になりますので、これを排除するための法的措置として独自の条例を検討させていただきたいということであります。
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具体的には新型コロナのクラスターが発生をした場合には、その店舗や施設などの名称を公表をする。また、店舗や施設などの営業や使用を停止をする。具体的なこの中身については県民の皆様の御意見を伺ったり、関係者とも早急に協議をさせていただく中で詰めていく話だとは思いますが、イメージとしては保健所が行っている食品衛生法に基づく食中毒対策、それと同じようなことはせめてやってもいいんではないだろうか。それから患者様やその御家族、医療従事者、あるいは県外ナンバー[車両]といった今ちょっと課題になっている所がある方々を県民みんなで応援しましょうと、それで、誹謗中傷に当たるようなそういう言葉は慎みましょう。これが心の傷、あるいは社会復帰に関わってくるわけでありまして、これも緊急性のある課題だろうと思います。
いずれも罰則等を、今このようなにわか作りにどうしてもなりますので、罰則等を付するということは事実上難しいと考えておりますが、考えていただければ現在の新型インフルエンザ対策の特別措置法におきましても罰則等がなくて、最終的な強制手段というところはないのではないかということが課題になってきたわけであります。せめて、でも現行法のレベルぐらいまでこの法律で十分対応できていない所は、鳥取県のいわば意地としてやはり県民の考え方として条例を作るということはあり得るのではないだろうかと思います。
御想像していただければ、現実にクラスターが発生した場合、これを、感染を拡大させないという見地に立ったとき、そのお名前が公表される、それから営業をやめてくださいという要請をする、そうした場合に事実上やはり営業とか、使用というものを継続することはされなくなると思います。それが山陰[地方]の風土の中であればそういうことになるのではないかと思います。ですから、罰則等がなくとも十分な実効性というものは担保できるのではないかというふうに考えているところであります。
2 次の新型コロナウイルス感染の波に備えた病床確保
●知事
それから医療体制や検査体制につきましても、この際、強化をさせていただきたいと考えております。具体的には次の感染の波に備えまして病床を確保しようということで関係の医療機関と協議を進めてまいりました。前回、御説明申し上げましたとおり、本県では国標準の推計よりもさらに上目、厳しめの推計を置いています。例えば入院患者さんは国の標準ですと118人という推計になりますが、厳しめに推移するということで276人を鳥取県はあえて想定しようということにいたしたところであります。それで300床程度を目指してやってまいりましたが、病院の、医療機関の御協力が得られまして313床を確保することができました。また、重症者、これ厳しめの推計ですと40人、国標準ですと17人でありますが、その40人を上回る47床の重症患者用のベッド、これも確保することができました。それで、フェーズを順々に追いながら、病床が4割埋まったときには次のフェーズ[局面]へ行くというやり方をしようと考えていたところであります。
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このフェーズ1として対応していただける病床が152床の見込みとなりました。うち40床は重症者に使えるベッドということになります。152床といいますと国標準の、要は全国大体この試算でやっているんですが、全国的な試算でいう入院患者の118は上回ることになります。私どもは小さな県ですのでどうしても数字が小さくなりますけども、クラスターが発生したとしても鹿児島レベルのものでも152床あれば初動で収まることになります。それから重症患者、厳しめに見た40部分はもう第1段階、フェーズ1で確保するということにいたしたいと思います。それからフェーズを進めていきまして第2段階、フェーズ2では213床、重症者数も4床増やせることができる。そして、フェーズ3では313床で、先ほど申しましたように重症は47床、こういうようなことに今、想定をさせていただきました。
これで病院関係者とも協議が整いまして、この第2波を迎え撃つ医療体制の準備、これを一応は整えることができたと思います。これから具体的にこのフェーズに従って病院のほうで病床の確保をやっていただき、私どものほうでは空床補償と言われるような、そういう病院の応援もさせていただくということであります。
●知事
また、PCR検査につきましても強化を図ろうというふうにいたしているところでございまして、今、PCR検査の手法も増えてきました。PCR検査、鼻咽頭の拭い液、それと唾液も6月以降は可能になった。それから抗原検査、これは機械で測る、定量方式の抗原検査、これは唾液も含めて。また、迅速キット、これは検体を採取して、その場で判定できるような迅速キットでありますが、これの定性と言われるような抗原キット、これでは鼻咽頭拭い液のみでありますが、こういうものを衛生環境研究所や、また、医療機関、また、民間検査機関等々活用しながらやっていこうと。
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具体的には1日ですね、行政レベル、それから医療機関と共同しながらやるところだけで700検体、1日にできるようにしようと。それで現在196検体ありますが、6月の補正予算を活用しまして、民間、民間といいますか、病院のほうに200検体分ですね、入れていただくということになります。さらに抗原検査として現行120検体できる能力のところをさらに120検体以上、増やしていただく。それで大体700検体ぐらいになるということであります。
また、唾液もメリットがある、これですと一般のクリニックでも検査が可能になりますので、これを取り入れていこう、また、さらに抗原検査の迅速キットですね、こういうものが例えば救命救急センターといったような所で、まずは迅速に判断するということが必要な場面などで活用できるんではないか。こういうことを対応していこうということを盛り込んでいきたいと思います。
併せまして、民間の検査機関、これを活用して行政検査と言われます、いわば先ほどクラスター対策だとか、そうしたことなどに充てていくところで1,000件程度、さらに今後、例えば国のほうではベトナムだとか、タイだとか、海外との行き来を順次広げていこうということになります。そういうふうなことに対応して、自費で検査をされるという方もこれから増えてくるでしょう。そういう御利用も大体1,000検体ぐらいは見込めるのではないだろうか。能力的にもこのぐらい民間検査機関で可能だということでありますので、合計しますと1日2,700検体ぐらいの対応が本県としても可能になるのではないかと、こういうことであります。このような形で第2波を迎え撃つ準備、医療提供体制やPCR検査の体制でも進めていこうというように考えているところであります。
4 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者等への経済対策
●知事
そういう中、現在、いろいろと経済社会活動を取り戻すことも進めてきておりまして、企業の応援などもさせていただいておりますが、県の融資、無利子、保証料なしはこのたび1,009億円になりまして、1,000億円を超えてきました。実行ベースで1,000億円を超えてきたわけでありますが、これはリーマンショックのときの4倍の規模であります。空前の規模で今支援をしているということでありますし、また、再生を応援する、企業の再生を応援するそういう補助制度、一律10万円の補助制度を作りましたが、これも6,200件を超えてきました。また、食のみやこの応援の支援金も1,600件を超えてくるなど、各種の助成制度も大分、県の部分は活用していただくということになってきました。そこにGoToトラベル[事業]も始まったところでありますが、感染拡大を防止しながら、こうした社会経済活動を回復をしていくという非常に難しい、今、局面を私たちは歩かされているところであります。
●知事
そういう中、残念ながら湊谷商事さんがこのたび店を閉じられるということになりましたけれども、これ実は昨年のうちから、県も支援に入っていたところでありますが、最終的には新型コロナの状況を受けて廃業されるということを選択されたところでございました。私どもも雇用面などで応援をしていかなければいけないと思っておりますし、また、ダイヤモンド電機さんが本県において120名規模で人員整理を行うという発表もありました。これ地元としても厳しいところではありますけれども、ただ、こうした雇用の支援ということも我々も惜しまずやっていこうと思います。
先般、経済産業省を訪れまして[牧原秀樹]副大臣ともお話をさせていただきましたが、国の制度も活用しながら、こういう再就職に向けた支援を、プラットフォームを作っていこうというように、今、動きだしたところでございます。他方におきまして来週の月曜日にはリバードコーポレーションさんが新工場を開設をされることになります。また、大山[町]のほうでもタグチ工業さんが新しいプラントに向けて準備を整えている。そういう中、今のも景気の足元でありますが、国のほうは一部持ち直しの動きがあるというように判断を変えられたところでございますけれども、本県も自動車部品関係、それから食品の例えば土産物菓子のお店、工場等ですね、やや生産を回復させてきている会社も出てきたところであります。
一様に海外も含めてロックダウン[都市封鎖]の影響があった自動車部品なども、ロックダウンが解除されている国々が出てくることなどに併せまして、生産を再開をするという所も出てきているところでありますが、まだ不安定でして、またいつ停止をするか分からないと、一時帰休を組み合わせながらやられているというような状況が多いのではないかと、我々も今調査をさせていただいているところであります。
●知事
行きつ戻りつということにはなろうかと思いますが、私どもも全面的にそうした経済の支援を行っていければと思いますが、GoToトラベルについてこの4連休、大体皆生[温泉]や三朝[温泉]はほぼ満室、満館状態だったと伺っております。
一方で飛行機便につきましては搭乗率が3割程度に留まっています。そういう意味で全日空さんが米子便、それから鳥取便、両方につきまして[一部]休航を継続するということをこのたび明らかにされましたが、やむを得ない状況なんだろうというふうに思います。私どもでは特に東京での感染拡大が色濃いところでありますので、8月の1日からサーモカメラ、高性能のサーモカメラをそれぞれの空港、2つの空港それぞれに設置をさせていただきまして、飛行機を降りられる皆様全てに体温測定をしていただくという体制に移行しようと考えております。人の行き来、往来は、これは否定できないと国全体の立場でおっしゃっておられるという状況もありますが、他方で感染拡大防止に、来られる方にも協力をしていただくということも重要でありまして、旅館さんやお店で勧められておられますガイドラインと併せまして、こういう空港でのチェックということもさせていただこうと考えております。
●知事
そういう中、今ガイドラインをいろんなお店や観光地で行っていただいておりますけども、今、私どもでそういう所と協議をさせていただいておりまして、近々こうした段階に進もうとしておりますのが、安心観光飲食エリア協定であります。県とそれからその地域、例えば鳥取砂丘であるとかそうした観光地があります。それで観光地のお店皆さん参加をしていただいて、こういうガイドラインに沿って安全安心なお店づくりをしていますよと。安心して観光地を訪れてくださいと。もちろん観光客にも協力していただくということが前提になりますが、そういうこと。また、飲食店の集積したまちでもみんなでやろうというところもあるのではないだろうか。そうしたところで、このいわゆる町ぐるみで対応していただくところには私どもで協定を県と結ばせていただいて、その地元団体のほうで安心観光飲食。エリアと宣言をしてもらうというような新しい事業を始めさせていただこうと考えております。
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8 新型コロナウイルスによる離職者等を対象とした会計年度任用職員採用試験
●知事
また、今、新型コロナの雇用問題にだんだんと進んでくるのではないかという兆候も本県でも見られ始めたと思っています。そういう意味で7月の31日から期間任用の職員採用を鳥取県としても募集を始めたいと思っております。具体的には8月の下旬頃から年度いっぱい働いていただくということを想定しまして、15名程度の募集をかけたいと思っております。ただ、従来このような募集をしてもなかなか応募が必ずしもないんですね。それはやはりフルタイムっていうのは、なかなか難しい方もいらっしゃるもんですから、時間を区切った、あるいは曜日を区切った応募も可能というようにフレキシブル[柔軟性がある]なやり方を募集の条件の中に入れさせていただいて、現実に即したそうした募集をさせていただければと考えているところであります。
9 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会との災害時の応援協定の締結
●知事
また、来週、[一般社団法人]全日本冠婚葬祭互助協会と協定を結ばせていただこうと考えております。これは、例えば新型コロナで仮にお亡くなりになるという方があったとき、その納体袋等の手配も必要になります。こういう納体袋の手配であるとか、また、大規模な災害が起こったときのその遺体の安置や収容、こうしたことに御協力をいただくと。そうした観点で冠婚葬祭の互助会のほうと協定を結ばせていただこうというふうに考えております。
●知事
昨日[7月27日]、米子[市]のほうで検討会議がありました。これは鳥取県と米子市の新体育館整備の検討委員会でありまして、第1回目の会合が開かれたところであります。これから年度いっぱいかけまして私ども鳥取県と米子市と協議の上で基本計画を、策定をしていくことになりますが、それに向けまして各種の競技団体等々、有識者も加わっていただいて、どのようなコンセプト[基本的な考え方]を練り上げていくかということを話し合っていただいているところでございまして、昨日[7月27日]がその皮切りでありました。昨日[7月27日]、提示させていただいた資料では、大体1万~1万1,000平米ぐらいの規模ではないだろうか。これは山陰の中でも松江[市総合体育館]に次ぐぐらいの規模になろうかと思います。
そこに障がい者対応のそういうバリアフリーの体育館ということも、これも併設をしながらやっていく。従来よりも駐車場も広げた使い勝手のいい形に東山[公園]を変えていく。これと併せて[県立米子]産業体育館、県の部分は統合していくというような考え方で今、関係者の議論が始まったところであります。なお、昨日[7月27日]、座長のほうから記者の皆さんにお話があったようでありますけども、事業規模100億円ということには多分ならないと思います。大体、最近の相場感からして松江の体育館は45万円という単価、平米単価でありましたし、このたび建設に取りかかるということであります鳥取市の体育館も66万円、平米単価ということであります。ですから、50万[円]、60万[円]のことでありますので、そうすると大体50億、60億[円]、そういった規模感、事業規模感だと思うんですね。それにPFI[プライベート・ファイナンス・インシアチブ。公共施設等の建設、維持管理運営等を民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して行う方法]を導入すれば運営費などが乗っかってきて、トータルでお幾らということで、PFIをされる、そういう事業者と契約をしていくと、こういうような段取りになろうかと思います。したがいまして、ちょっと100億[円]という規模には到底ならないと思われますので、その点は念のため申し上げたいというふうに思います。
●知事
この木曜日[30日]に[北村誠吾]地方創生担当大臣が鳥取県を視察されることになりました。私どもは新型コロナに関わる地方創生臨時交付金につきましても要請をさせていただきたいと考えておりますし、地方創生で頑張っておられる、コロナの中で頑張っておられる現場を激励したいということでありまして、[鳥取市鹿野町]鹿野とか[八頭町の]大江ノ郷(おうえのさと)とか、あるいは若桜谷、隼(ラボ)や若桜駅など訪れられるという方向で、今、調整をしているところでございます。
●知事
この週末は梅雨もそろそろ明けてくると思われますが、いよいよ星空を眺めていただくということも県民の皆様、考えていただけるんではないかなというふうに思います。そういう意味で、各地でそういう星空のイベントも解禁されるところでありまして、例えば岩美[町]とか、それから[日野町の]日野中学校とか各地でそうしたイベントもあります。いよいよ本県も、割と7月いっぱいは学校を開けている所が多いですが、8月の1日以降、この週末以降、子供たちも楽しみな夏休みになるのではないかなと思います。ぜひ、新型コロナはじめですね、お体には気をつけていただきまして、いい夏の思い出を作っていただければと思います。私からは以上です。
13 新型コロナウイルス感染症クラスター対策等条例の実効性
○山陰中央新報 柴田広大 記者
平井知事、どうもありがとうございました。そうしますと、これから質問にいきますが、社名とお名前を名乗っていただきまして、あと、マイクのスイッチのオンとオフの切り替えもよろしくお願いいたします。
○日本海新聞 濱田匡史 記者
すいません。日本海新聞濱田です。知事、条例についてお伺いしたいんですけども、今回の条例では罰則規定が現実的に難しいということでないんですけども、これまで、緊急事態宣言の下でも、鳥取ではパチンコ店ですとか、島根ではネットカフェなんかが休業要請したにも関わらず従っていただけなかったという例があったと思います。それで、一方で県内ではコロナ関係での立ち寄り先などなんかは、ほぼホテルにしても飲食店にしても人が立ち寄った可能性がある所であれば公表に応じていただいていると思うんですけども、そうすると、この罰則規定がない中での今回のその条例という実効性というのがちょっと揺らぐのではないのかなと思うんです。その辺りはどうお考えですか。
●知事
今回は[新型コロナウイルスの]クラスター[感染対策]にピンポイント絞りたいと思っております。なぜなら一般的な、抽象的なそういう感染するんじゃないかなとか、そういう恐れではなくて具体的に感染が起こって、それも例えば5人だとか、そうした一定の規模で起こっている、そういう所に絞った対策を考えたいということであります。従来、本県では単発で起こっておりまして、公表した所もありますけども、基本的にはこれそのお店との話し合いの中で認めていただいたら[店名の公表を]やっているというのが実状でありまして、相当やはり苦労します。それから当然お店もお店の事情がありまして、立ち寄られただけでどうしてっていうことですよね。しかし、これは[新型コロナウイルスの]クラスター[感染]が発生した場合です。したがいまして、複数の人が一遍に感染をしたそういう場合でありますので、やはりお店のほうとしても対応していただかなきゃいけないんじゃないか。ですから、こうした場合には公表しますよということを予め条例の中で謳っておいて、そうするとクラスターが起きないようにまたお店も当然注意をされるでありましょうし、クラスターが発生した場合には、これは感染拡大防止に協力をしていただくということで公表はさせていただくという扱いを考えれば、これはこれで効果はあるのではないかというふうに思っています。
また、実際に、じゃあ、お店について、あるいは施設について閉めていただきたい、あるいは営業を停止していただきたい、そういうように要請をさせていただくことになったとしてどうなるかということでありますけども、本県では、実は休業要請はパチンコ店しかしておりません。これについてはパチンコ店の場合は正直感染が発生していたわけじゃないんですよね。むしろ周辺の地域がみんなパチンコ店に休業要請をしてしまったと。それで、[令和2年5月の]連休中そのパチンコをやりたいがためにいろいろと県境を越えてやって来る方々がいらっしゃるんではないだろうか。当時の県民世論からしますと、県境を越える往来というものはやめさせてほしいという声が非常に強くて、パチンコ屋さんのほうに県外から来られることはいかがかという御意見が強くありました。
そこで島根県と協議をした上で、たった[令和2年5月2日から同5月6日までの]5日間ではありましたけれども、休業要請の対象としたということでありました。応じていただいたお店もありましたけども、応じていただけなかったお店も最後まで残りました。ただ、これは患者が発生しているわけではないんですよね。それで、休業といっても、休業しなければいけないのかなという疑問はお店側には逆に強かったんだと思います。そういうことで、全国でもパチンコ屋さんで発生したという事例はないんですけども、メディアを含めてパチンコ屋さんに対する警戒感が広がったということもあったんだと思いますが、とにかく休業ということで全国は動いたということがありました。
私たちはこれを目指したいとは思わないんです。それは抽象的に、もしかすると感染するかもしれないという、もしかするとの部分だからです。私たちがここで目指しているのは本当に実際に何人も感染したという場面であります。ここで営業やめてください、使用中止してくださいということを申上げればこれは常識的にはそれに応じられると思いますし、実際にそういう状況下で営業してお客様がお見えになるかというと、そういう期待もなかなかないんではないかと思います。これがいち早くできるかどうかだと思うんですね。クラスターということが分かった時点で、それをすぐに実行できる手立てというものをやはり法的措置として準備をしておかないと、例えば食中毒[発生時の対応]のように、また同じように患者さんが出てしまうということが繰り返されないようにしなければいけないということです。
ですから、具体的な危険があるということですね。私はこれまでやっていた休業要請というのは具体的危険ということは必ずしも立証されないままされていましたので、結局、補償の問題などがクローズアップされたと思うんですが、これについては、そうした意味でどちらかというと、もう既にこんな状態なので閉めてくださいということには強い合理性があるというふうに思っています。ただ、残念ながら国の法律の仕組みの中で、ここに辿り着くには何日もかけなきゃいけないんですね。ですから、これは食中毒並びで当県としては対策を取らせていただきたいということであります。
○日本海新聞 濱田匡史 記者
すいません。知事、関連してです。今のお話ですと、スピード感を持ってやるということでクラスターを封じ込めるというお話は理解しました。それで、もう1点、先ほど休業の話がありました。それで、今まで実際に感染が発生していないパチンコ店などにはなかなかお話しが難しいということだったんですけども、今回、食中毒とちょっと違うかなと思うのが食中毒の場合は、初めからお店が食中毒を出すことはあってはならないという責任の下で営業していると思うんですけども、コロナウイルスに関して言えば、どれだけお店の側が気を使っていても、例えば1人のお客さん、スーパー・スプレッダーと呼ばれるような人が来てしまった場合に、偶然、その場所で5人、6人が感染することがあると思うんです。そうすると、お店側も言ったら被害者みたいな形になると思うんですけど、その場合に店舗の公表とか、あとは使用停止をお願いしないといけない場合に、食中毒とは違って休業の補償みたいなものも必要になってくるのかなと思うんですけど、それはどうですか。
●知事
ケースとしては考えられないこともないと思います。ただ、一般的にはガイドラインを守ってやってくださいと。その守り方の対応があると思うんですね。現実に今、クラスターが起こっている全国の事例いろいろと調べさせていただきますと、やはりそうした、いわば[対策に]隙があったというような、あるいは当初からクラスター対策、念頭においてやっていないというような事例が実は大半というか、ほぼ全てと言っていいんじゃないかと思います。今、鳥取県ではガイドラインもつくり、それから例えばフェイスシールドとか、マスクだとかいろいろと防御体制を組んだり、あるいはアクリル板を立てたり、いろいろと工夫をしている店舗なんかも出てきているところでありまして、そういうような中で営業されていて大規模なクラスターにつながるかどうかというと必ずしもそうではないんではないかと思うんですね。
むしろ、そうではない対策の十分取られていないところで、そうしたクラスターということが起きてしまうんではないかと思います。ただ、全く例外的に外からわざわざウイルスをまき散らしに来たというような故意でやってくるような場合があってのとき、それについては一定程度、そうした意味でいわば被害者としての補償というようなそういう考え方もあるかもしれません。ただ、一般論的には、実は食中毒も補償はしないんですね。それはやはりお店のほうでそこは食中毒起こさないように衛生対策をしっかりとるべきだと、そういうことをお店も協力をしていただきながら進めているので、そういう運用が全国どこでもなされています。
クラスターもつまり単なる立ち寄り店じゃありません。立ち寄り店じゃなくてクラスターが発生したという場合には、それはやはり同じように考えられる部分が実は多いというふうに見ておりまして、一般的にはそういう補償の問題に発展するようなパチンコ屋さんのときのいろんな全国に議論がありましたけども、そういうものとはケースは大分異なるというふうに思っております。ただ、対応によって、それについて何らか手当を考える場合は、例外的にあるかもしれません。
15 他都道府県での条例制定例、条例制定に向けたスケジュール
○山陰放送 日野彰紀 記者
BSSの日野です。関連しまして、こういった条例について他の都道府県で先例があるのかどうなのかという点と、それからスケジュールとしまして、今後県民の電子アンケートを実施した上で、9月議会での成立を目指すということでよろしいのかという点を確認させていただきたいと思います。
●知事
まず、前者[他都道府県での同様の条例制定事例]につきましてはありません。我々は知事会でもこのクラスター対策などもあるので、お店に対する強制力のある休業等々、あるいは公表等も含めてできないかと。国のほうでいろいろと今、解釈をいろいろと考えているというのが現状でありまして、こういう都道府県はないです。ただ、こうした新型コロナ対策の条例は長野県などございますが、長野県の場合は旅館にそういう休業を要請することができるとしたり、また、県独自の対策本部、鳥取県もつくっていましたけども、それに条例の根拠を与えようということをされる、そういう趣旨の条例でありまして、こういうクラスターに的を絞って[店名]公表だとか、[施設等の]使用停止を求めるというようなことの条例はございません。
時期についてですけど、これはまず県民の皆様の意識調査アンケートをやった上で、判断したいというふうに思います。もし、なかなかこれ検討難しいということであれば、それは当然ながら御意見に基づいて条例にするのか、あるいは条例の在り方をどうするのか検討していく時間が必要になってくると思います。こういうような考え方でおおむねいいんではないかということになれば、また[鳥取県]議会側とも相談しなければいけませんが、私はその場合はできるだけ早く条例を成立させる必要があるのではないか。なんとなれば[鳥取県]9月[定例県]議会が終わるのは10月でございますので、その前に大きな[感染の]波が来ているとも限りません。ですから、もしこれで大体県民合意が得られそうだということであれば、8月内にも[条例を成立させる]という可能性は視野に入れたいと思います。
16 県民電子アンケート登録者数、条例による店名公表の対象
○テレビ朝日 後藤龍彦 記者
すいません。テレビ朝日の後藤です。県政の参画電子アンケートなんですけれど、これ今、県内で県民で登録されている数と、それからクラスターなんですけれど、これ店舗施設等ということになっているんですが、これ、例えば会社とか、事業所工場、例えば学校関係、そういったことも何か考えておられるんでしょうか。
●知事
これにつきましては県民参画アンケートの人数ですね、これ最近増やしてきていますけど、実数については後ほどお知らせを申し上げたいと思います。また、今日[7月28日]はこれアイデアでございまして、こうした形で今、国のほうで対策が十分法的にとれていないクラスター対策に絞った、こうした条例がどうだろうかというアイデアをこれから県民の皆様に相談をしたいということであります。そこでいろいろと出てくる意見だとか、あるいは関係者とも話をさせていただいて対象の射程範囲、そうしたところなども当然議論させていただいて最終案にまとめていきたいと思います。典型的には、今お店でのクラスターが宮崎[県]等々各地で発生をしています。そういうようなことなどがございますので、そうしたところなどが中心になるのかと思いますが、そのほかにもいろいろとクラスター発生施設がございますけども、一律にそれ考えるべきなのか、そこはちょっと今後よく最終的には詰めていきたいと思います。大切なのは、特に今、対策が取りにくくなっているクラスターでありまして、それが[東京都]新宿[区の]歌舞伎町[地域]だとか、[東京都豊島区の]池袋[地域]だとか、あるいは大阪のミナミ[大阪市中央区の難波、道頓堀を中心とした繁華街の総称]とか、そうした所で広がったものがどうも市中に蔓延しているというふうに分析をされていますので、そういうような危険性具体的危険が高い所は少なくとも対象にしていく必要があるだろうと考えております。
○読売新聞 滝口憲洋 記者
すいません。読売新聞の滝口です。ちょっとまず確認なんですけど、罰則規定を設けないというのは、このクラスターに対する営業使用の停止にも、誹謗中傷に対しても両方とも設けはしないというお考えですか。
●知事
両方ともです。今の新型インフルエンザ特別措置法も休業させるところ以上に罰則等があるわけではないと。これの適否の問題は今言われていますけども、いずれ国も法的に裁いていくんだと思います。今、当面、[感染]第2波と言われる波が来る前に我々で備えておくことがないだろうかと、こう考えた上での今回のアイデアでありまして、それは国が今、並べているところまでがせいぜいかなというふうに思っております。それから県民の皆様の誹謗中傷等につきましては、もちろん刑事法に問われるようなことはあるかもしれませんが、私たちとしては呼びかけていく趣旨での宣言的な条項だというふうに想定しています。
○読売新聞 滝口憲洋 記者
そうなったときに、この営業停止もしくは施設の使用停止っていうのは、これ県としてはどういう意味合いというか、例えば営業停止命令になるのか、それともあくまで協力を要請するというレベルになるのか、その辺りというのはどういうふうにお考えですか。
●知事
今日[7月28日]の段階ではあえてそこは記しておりません。命令と書いたがいいか、あるいは要請と書いたがいいか。結局罰則はないのでそこは、結果はあまり変わらないのかもしれませんが、ただ、やはり権利の制限に関わる面もございますので、慎重にそうしたワーディングについては、言葉遣いについては考えて最終案にまとめていきたいと思っていますが、今日の段階で申し上げられるのは、つまり営業を続けないでください、それから施設は閉めてください、こういうように申上げることであります。それはなぜかというと継続されると具体的に感染が広がりかねないからであります。ですから、そういう具体的危険を緊急に排除していくということが目的であります。
○読売新聞 滝口憲洋 記者
あともう1点だけ、すいません。クラスターの定義なんですけど、すいません。記憶では厚労省のほうでは同一の場所で5人以上という基準だったかと思うんですけれども、それは5人、その基準で構わないんでしょうか。
●知事
今、想定できるのは厚[生]労[働]省がかつて言っていた、最近あんまり言ってないんですけども、かつて言っていた[同一施設内で]5人以上[の感染者が発生]という基準があろうかと思います。
○共同通信 遠矢直樹 記者
共同通信の遠矢です。条例に関連してなんですが、誹謗中傷に対して特に罰則を設けないということなんですけど、これまでも再三県としては呼びかけて、誹謗中傷しないようにというふうな呼びかけをしている中で、それでもやはり実際患者さんだったりに対してそれが止まってないという現状があると思います。果たして条例に盛り込むことで、それが改善されるのかっていうのは非常に実効性に疑問あるんですが、その辺りどういうふうにお考えでしょうか。
●知事
やはりこれは条例というのは県民の合意であります。[鳥取県]議会と知事[のもとに置かれる]部局とで協議をして条例を定めるわけでありますが、当然ながら民意に基づくものであります。その辺の意識調査もアンケートの中で県民参画基本アンケートで、こういうような条項が必要がどうかということも含めて県民の皆様、まずは考え方を聞いてみたいというふうに思います。こういうような条例で定めたことっていうののアナウンス効果は恐らくあると思いますし、また、正直条例に書けば全て解決するわけではなくて、問題は社会規範、規範意識だろうというふうに思います。
最近我々のほうでもモニタリングをさせていただきまして、ネットサーベイランスを始めております。その効果があったのかどうかよく分かりませんが、今回の6例目等も以前の例と比べますと、大分ネットでの取り上げが穏やかになっているように見えます。つまりやはり何らかの行動を起こして、これはやってはいけないなっていう意識を一人一人の県民の皆様に持っていただくことが大切なのでありまして、そういう行動を起していく、みんなで言わば誓い合うというような意味でこういう条項を設けてはどうかと考えております。
○NHK 石塚和明 記者
すいません。NHKの石塚です。すいません。先ほどとちょっとかぶってしまうところあるんですけど、ちょっと1点確認させていただきたくて、改めてこの補償をするという考えは先ほどのお話の中でもありましたけれども、業種ごとではなくて1つの施設っていうこともあるので、補償という考えは今のところないということでよろしかったでしょうか。
●知事
今まで休業要請に対する補償の議論というのはとにかく感染が発生しているとは限らないし、今後も発生するかどうか分かりませんけど、とりあえず人手[感染者]を出してはいけないので閉めてくださいという意味での休業要請なんですね。ですから、それは営業の自由と関わり合いが非常に強かったと思います。他方、食中毒の場合はこの店で実際に例えばサルモネラ菌が出たとか、O157[腸管出血性大腸菌]が出たと。それで危ない、これ食べたら危ないので、この飲食店は閉めてくださいっていうものであります。それは具体的な危険があるからなんですね。
これ[制定を検討する条例]も同じでありましてクラスターが発生したっていうことは、先ほど冒頭申上げましたように、新型インフルエンザと新型コロナの大きな違いはクラスターで初めて爆発的に広がるということです。ですから、そういう爆発的に広がる可能性があるクラスター[感染が発生している店]を営業していることが具体的に危険であると、そういうことなので食中毒と同じように閉めてくださいというふうに我々サイドとしては申し上げたいと、こういうことであります。
したがいまして、一般論ではそういう意味で補償の対象にはならないと思います。ただ、犯罪被害者の補償的なことはあり得るかもしれません。つまり誰かがわざとこの店を狙ってやってきて、店の営業を妨害しようという目的で感染を広げるということがあるかもしれません。そういうような例外的な場合[に補償を考える]ということはあり得なくはないですけど、一般論として申し上げれば食中毒と同じような扱いになると思っております。
20 イベントでのクラスター発生時における条例に基づく対応、これまでの誹謗中傷事例及び発生要因
○時事通信 今泉悠 記者
すいません。時事通信の今泉です。条例に関連してなんですけれども、ちょっと細かいところで申し訳ないんですが、例えばイベントでクラスターが発生した場合に、そのイベントを開いた会場がこの条例の中で例えば公表されたりとか、停止されるのか、あるいはそのイベントを開いた主催者が名前を公表されたりとか、停止されるのか、会場が悪いのか、主催者が悪いのかというところだと思うんですが、そういうのは区別して判断されるのか、それで、判断されるとしたら誰が判断するのかということと、あと、その誹謗中傷に関連してなんですけれども、知事として今までどういったことがあったというふうに認識されているかということと、なぜこういうことが起こるのか、お考えを教えていただければと思います。
●知事
まず、前者のほう[イベントでクラスター感染が発生したと場合の対応]についてでありますが、これは具体的にまだ条文化していく過程で最終文案を考えていきたいというふうに思いますが、今のイベントのケースでいえば、例えばそのイベントでクラスター発生しました。だから、これはイベントの名称なり、日時等々公表したほうがいい。それはなぜかというと具体的な危険があるからです。ここにおられた方がもしかすると感染しているかもしれない、だから、名のり出てくださいという意味で公表していくという対象には当然なると思います。ただ、[イベント会場の]営業とかいうとそれ1回きりでありますので、じゃあ、[会場の使用]停止ということの意味がどれほどあるかということでありますし、会場の性質にもよりますけど、その会場が果たして具体的危険があるような、そういう、つまり感染の可能性というの、残ったような形になり得るかどうかですね、その辺はやはりその当該状況によって変わってくるんだと思いますが、ある程度はカテゴリーを想定して条文書くときにはそこは注意をすべき所だろうというふうに思います。
後者のほう[過去の誹謗中傷事例の認識と発生の要因]では、これはやはりそうした様々なサイトがあるようなんですが、当方でいろいろと調べさせていただいたところ、やはりそうした患者に対して非難するような、そういう言葉が並ぶような[ウェブ]サイトというのもあるんだそうであります。例えばそういう所で様々な議論がされる中で、結局患者は一番の被害者なんですね、感染したわけでありますから。健康を取り戻すために今、立ち直ろうとしている人たちにとって大変なプレッシャーにもなりますし、また、いずれ社会復帰をしていくときにその妨げにもなり得るわけであります。これは、私はハンセン病の悲劇を繰り返してはならないというのが思いであります。
ハンセン病の悲劇がなぜ起こったかというと、それは実は人々の心の中にある防衛本能もあったと思うんですね。恐ろしい病気というイメージが先行して、実際はハンセン病[は]治せる病気ということになって、くわけでありますし、その他の様々な伝染病と比べてどうかということは当然あったと思うんですけども、しかし、当時の風潮としては、ハンセン病はそうした意味でとにかく隔離をしていかなければいけないというようなことになるわけですね。
同じような状況が実は今日(こんにち)も生まれかけているんだとしたら大変大きな問題だと思うんです。その悲劇を繰り返さないためにも、むしろ、ここにわざと書いてあるんですけども、患者とかその御家族、あるいは医療従事者、あるいは[鳥取]県外[の]ナンバー[車両]に乗った方々等々も含めて応援の気持ちでいこうと。私たちは共にこの病気と闘っている仲間なんだと、そういう思いの中で心を切り替えていただくということを呼びかける、そういう意味の条文であります。誹謗中傷の排除というと、言葉が躍った感じで誹謗中傷ということが全面出ていますけども、気持ちとしてはそちらのほうでございます。
○時事通信 今泉悠 記者
すいません。続けて申し訳ないですが、これ逆にこの誹謗中傷受けた方に対するフォローっていうのはいかがでしょうか。多分、恐らくなんですが、自分が批判されているっていうことは、その患者の耳に届いていると思うんですけれども、退院された後、社会復帰される中で県としてメンタルを支えるっていうような関わり方っていうのはあるんでしょうか。
●知事
現実には、これ、私ども支えていく立場でやっております。それは今の取扱いですけど、退院後2週間は健康観察、そのときにそうしたメンタル面も含めた我々としてのフォローアップをさせていただいております。これはそのほかの事象もそうでして、例えば陰性になって[鳥取]県内に帰って来られる方等々も過去例があったり、あるいはその感染症との関連が言われながら、陰性なのに、帰ってきたけど何かいろいろと様々な言葉を浴びせられかねないというような事情を持った方々などもいらっしゃいまして、実は皆さんには見えてないかもしれませんが、私どものほうでは保健師さんだとか、専門の方も入ってフォローアップをしておりますし、そうした権利を傷つけることがないように、その方の保護に努めているというのが実は実情なんです。
そういう中で、やはりそうした言葉が実際吹き出てくる事例もあるもんですから、私どもとしても憂慮をしているということであります。私どもは、ちょっとこれまた今後条例案について県民の皆様のお考えを聞いた上でということに当然なるんですけども、そういう様々事象が起こっていること、それからこういう条例案のこともあるものですから、8月の6日に[鳥取県]人権尊重の社会づくり協議会を招集することといたしております。そこで様々問題事象があった場合の小委員会もありまして、その小委員会も同じ日に開催をするということで、今こうした問題についても議論をしていただく手はずにしております。
また、7月の30日からは、そうした患者やそれから医療従事者、県外ナンバー応援しましょうと、みんな仲間ですよっていう、そういう呼びかけをテレビコマーシャルで行うことにいたすなど、実は広報活動を強化しようと考えております。そうした方針につきましても、人権尊重の社会づくり推進協議会のほうで御議論いただくことにもいたしております。
○山陰放送 日野彰紀 記者
もう一度、BSSの日野です。週末にも鳥取県内で6例目の感染が確認をされたところです。これ、奇跡的と言っていいのかどうなのか分かりませんが、鳥取県内6例感染が確認された人から、その周りの濃厚接触者や接触者への感染の拡大っていうのは今のところ一例も見られていません。いわばその封じ込めとも言うべきその感染対策について、知事は今、どのようにお考えになっているのか。感染が感染を呼んでいるその都会地との差はどこにあるのかという点をお願いいたします。
●知事
恐らく予防の意識を県民の皆様がやはりきちんと持っていただけているんじゃないかと思います。それはやはり高齢化が進んでいる地域という特性もあるんだと思います。かからない、それから人にうつさない、そうしたことを日頃から心がけていただいているがゆえに、感染の広がりが抑えられてきていると。同じようなことは、他地域でも東北地方とかそれから四国のほうとか、比較的そうした地域が他地域にもあります。あと、多分私どもの地域特性も2番目にはあると思います。それは先ほど申しましたようにクラスター感染が一番爆発的に広がるんですね。こういう機会が鳥取県は比較的少ないのではないかと思います。つまり人混みが都会地ですと例えば列車に乗ってもそうですし、デパート[に]行っても、あるいは繁華街[に]行ってもそうでありますが、こちらは割と人と人との間も、距離もとれるぐらい、割と人混みという状況になりにくい所であります。それからまた自然豊かでございまして、屋内に籠もっているだけでなくて、割と屋外の活動なども行っていただいたりっていう、そういう地域の特性、それがやはり大きく作用しているんじゃないかなと思います。ですから、構造的に大都市部のほうが地方部よりもクラスター感染が主であることが、そういう影響出ているんではないかなと思いますが、比較的地方部は感染が広がりにくい、そういう下地はあるんだろうと思っています。
23 条例で対象とするウイルス、国の同等の対策との調整
○共同通信 遠矢直樹 記者
すいません。共同通信の遠矢です。ちょっと細かいところで恐縮なんですが、条例に関して今回はこの新型コロナのクラスターという所に絞るんでしょか、それともその他の感染症も含めるのかということと、あと、今後国のほうで対策が追いついてきた場合、条例はどうなってしまうのかを教えてくだい。
●知事
これは新型コロナウイルス[感染症]対策のみであります。ピンポイントで具体的な危険があるから今やるということであります。それで一般化するつもりはございません。恐らく一般化しようと思うとかなりその法的に権利制限の部分もありますので整合性を問われる面が強くなると思うんですけども、とにかく今の新型コロナウイルスのクラスター感染で広がる特徴のあるウイルスに対して、最低限クラスターが発生したその場所について公表させていただき、その感染拡大を緊急に防止したり、それから[施設等を]閉めていただいて、これ以上の広がりを作らないそのことだけであります。
その1点であれば、条例化の要件といいますか、法律的な整合性は見出し得るんではないかというふうに思います。ですから、新型コロナ[ウイルス感染症]以外に広げるものではなく、言わば時限立法であるというふうに考えていますし、対象も新型コロナのみであってインフルエンザに適用しようというものではありません。
国のほうの、恐らくちょっと今の国の動き見ていて、例えば[西村康稔経済再生担当]大臣や[菅義偉]官房長官のほうから従来のこうした[全国]知事会の主張にある程度理解を示すような発言も出てきていると思うんですね。ですが、国会を開く見込みは今ないもんですから、我々としては現場で言えば、とにかく法的措置が今ないまま第2波突入していいのかどうかと、そういう現場意識であります。ですから、今、緊急にこれを作っておこうということであります。したがいまして、国のほうの法律ができたり、それから新型コロナが治まってくればこれは失効させていいものだと思います。
○中国新聞 小畑浩 記者
すいません。中国新聞小畑です。条例でちょっと細かいところになるんですが、実務面でこの条例を制定するメリットというのは、これまでは例えば店舗と協議をした上で実名公表、店舗名公表だったのが自動的にできるっていうそういう意味合いでよろしいでしょか。
●知事
瞬時にして公表ができるということで感染拡大を最大限図ることができるだろと思っています。どうしても、これ、やはり従来そういう手続がないんですね。食中毒であれば、これは行政の判断でぽんと公表していましたし、営業停止命令かけれたわけであります。しかし、新型コロナは、今、新型インフルエンザ対策の特別措置法に乗っかっちゃっているもんですから、まずは[新型インフルエンザ等対策特別措置法第]24条で一般的な協力要請をして、さらに[新型インフルエンザ等対策特別措置法第]45条でお願いをし、そして指示をし、公表するということなので最低でも数日、4、5日くらいかかっちゃうじゃないんですかね。それで我々もやってみましたけれども、今の手続きではなかなかそこまでいかないということであります。
また、国のほうで、今回感染症法の[第]16条という手立てをおっしゃっているんですが、これもいろいろと要件がありまして、ガイドラインを守ったかどうかとか、そういうようなことであります。しかし、どちらかというと、もう結果としてクラスターが起こったら直ちに閉めるというようなことにするには、その解釈でも不十分だと思います。ですから、これはもう食中毒[が発生した場合]と同じだよというふうに分かりやすく制度設計したほうがよいのではないかという趣旨であります。
○朝日新聞 矢田文 記者
すいません。条例に関してちょっと細かい点で申し訳ないんですが、この営業停止の期間というのは大体何日くらいを想定しておられるのかというのと、あと、そのクラスターが起きている事例について、全国的にお店側に隙があった場合が多いっていうふうに、先ほど知事も言われていたと思うんですが、お店が再開される場合にそういった隙というか、感染対策がきちんとなされているかっていうのを改めてチェックしたりする体制っていうのは取られるんでしょか。
●知事
それについては条例に書くことと、それから実務でやることと両方あるというふうに思います。まず、営業停止の期間は、これは具体的危険がなくなるまでの期間ということになろうかと思います。食中毒であれば数日とか、1週間だとかそういう期間でありますが、このクラスターについても、そのウイルスの除去というようことでお店が再開できるかどうかというものを見るのだというふうに思います。それは従業員の感染状況だとか、そうしたことも影響し得るのだというふうに思います。いずれにいたしましても長期間にわたって営業をやめてくださいということは多分できないものでありまして、設計としては一定の期間の範囲内で必要な期間の営業停止というような書き方にならざるを得ないのじゃないかなというふうに思います。
つまり、具体的に感染拡大の恐れがあるそうした期間の停止ということでありまして、そのお店に対する言わば懲罰的な閉鎖をお願いするということではないわけであります。それから、そのお店が再開するときの扱いにつきましては、これは行政指導の対象に当然なると思います。ガイドラインを、巡視をしながら、それから感染の恐れがないお店の人員構成であるとか、やり方等々に注意をしていただくということをやはり我々としても指導としては条件づけをしていくということになろかと思いますが、条例の中でそこを書くというよりは行政のプロセスの問題だと思っています。
26 新型コロナウイルス鳥取県内感染6例目患者の県外発生事例との関連
○中国新聞 小畑浩 記者
すいません。中国新聞の小畑です。県内6人目の感染者の方について、接触者関係、今、全て陰性ということで出ているんですけども、県外との関係についての情報交換ですとか、調査、感染ルートにつながるような情報、そういったものは何か今、どのような状態でしょうか。
●知事
それにつきましては私もあの晩[7月25日の]に、分かった晩、分かってすぐに広島県の湯崎[英彦]知事にもお話をさせていただくなど関係地域と各レベルで連絡を取り合っております。現実、実務レベルで、保健所ベースでの情報共有ということは図らせていただいておりますが、これ、鳥取市の保健所のほうに確認していただく必要あるかと思いますが、今のところ我々の所に御報告いただいているところでは、県外での発生事例との関係は今のところ出てきておりません。
○山陰中央新報 柴田広大 記者
山陰中央新報柴田でございます。ちょっと話を変えてしまって大変恐縮なんですけれども、先週の土曜日にALS患者さんが2人の医師に殺されたというショッキングな事件があったのですが、知事は社会保障常任委員長というお立場もあるかと思うんですが、差し障りない範囲でどのように事件を受け止められたかをちょっと伺ってもよろしいでしょうか。
●知事
これは医療倫理というものが本来ありまして、ヒポクラテスの誓いに始まる、お医者さんたちの職業上の規律というのがあると思います。そういう言わば正職としての医師としてはあるまじき行為だったと慙愧(ざんき)の念に耐えないところであります。ある意味事情は難しい所がありまして、ALS[筋萎縮性側索硬化症]患者さん御自身がその安楽死を願ったという御事情があるのかもしれません。しかし、その医師の世界で医業としてその安楽死を認めるには一定の要件があり、その要件を満たしていて初めて今そうした安楽死という選択肢を認めるのが今のルールであります。
このルールを守ることが大切でありまして、ルールを破ったということは言わば生命の尊厳に対する医業としての理解を欠いたものであったというふうに思います。ALS患者さんのその苦悩というのは、私たちは十分フォローしなければいけないと思います。県内にもALS患者さんの会ができまして、それで10年近く前ですかね、私どももずっとサポートさせてきていただいておりますし、ALL LOVE SUPPORT[オール ラブ サポート]という標語も一緒に考えまして県内での啓発活動、これちょっと今年は新型コロナでままならないところがありますが、そうしたことも進めております。大切なのはそういうALS患者さんにも希望を持ってやはり生きていくということの喜びないし意味を感じてもらうことだと思いますし、それに向けてやはり地域でしっかりとしたセーフティネット、応援体制というのを組んでいくことが大切ではないかと思います。
○山陰中央新報 柴田広大 記者
知事、どうもありがとうございました。