防災・危機管理情報


令和3年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 今議会に提案いたしました議案は、
予算関係   33件
条例関係   16件
その他の案件 33件 の 合計 82 件であります。

 最初に、議案第1号 令和3年度鳥取県一般会計予算について御説明申し上げます。

新型コロナウイルスは、世界中で1億人が感染しその勢いが止まらない中、我が国においては昨年末から第3波が猛威を振るい、緊急事態宣言再発令に至りますが、本県も年末年始を中心に5件のクラスターが発生するなど、その波に呑まれました。さらに英国等で報告された変異株の感染例が国内でも次々に確認される一方で、いよいよ我が国でも感染対策の決め手となるワクチン接種が始まり、全国知事会では私がリーダーを務める「ワクチン接種特別対策チーム」が自治体と国との連携強化や先進事例の共有など活動を開始し、本県としても、2月1日、庁内に「新型コロナウイルスワクチン接種推進チーム」を設置するとともに、これまで市町村・医師会とともに「新型コロナウイルスワクチン接種体制協議会」を2回にわたり開催するなど、鳥取県一丸となってワクチン接種を推進しているところです。
 鳥取県では、「命と健康」を守るため、「早期検査・早期入院・早期治療」の「鳥取方式」を一貫して展開しており、議員各位、県民・医療関係者・事業者の皆様、市町村の御協力のもと、人口あたり全国一となる受入病床、検査体制、診療・検査医療機関を確保し、積極的PCR検査やクラスター対策条例の活用等により、全国最少の感染者数にとどめており、心より感謝申し上げますとともに、令和3年度に向けても全力を挙げてまいりますことをお誓い申し上げます。
 他方、新型コロナは地域社会にも甚大な影響を及ぼしているところであり、産業・雇用・社会生活を再び安定させるとともに、コロナ後の新たな時代を切り拓いて安全・安心のふるさと鳥取県を確立しなければなりません。このため、「鳥取県産業振興未来ビジョン」を策定するなど機動的な経済・雇用対策を幾重にも講じながら、県民の皆様の産業・雇用を守り抜くとともに、ひとり親や要配慮者等の孤立を防ぐ対策を実施してまいります。そして、コロナ禍がもたらした社会全体の「パラダイムシフト=価値観の変革」を前向きに捉え、移住定住、二地域居住、副業、ワーケーション、企業分散など大きな「大都市から鳥取県へ」という地方回帰の創出に挑戦してまいります。
 令和3年度の本県財政見通しは、「地方創生実現財政基盤強化知事連盟」の要望等を受け「地域社会再生事業費」など一般財源が確保されたところではありますが、県税収入関連だけでも77億円もの減収となり、新型コロナ対策の歳出増も相まって、非常に厳しい状況となっていると言わざるを得ません。しかしながら、今は、「お金」や「手間」を惜しむよりも「命」を惜しむべき時だと決意し、国の交付金等の有利な財源を極力活用しながら、コロナを乗り越えていくために必要な予算を積極的に計上し、私が就任して以降最大規模となる当初予算案を編成し、1月臨時補正と併せた15か月予算ベースで、7.3%増といたしました。こうした予算を組み、しっかりとした対策を講じて、県民の皆様と心ひとつに、スペイン風邪以来とされるパンデミックの難局を乗り越えてまいる覚悟であります。
 なお、非常に厳しい予算編成環境でありましたが、県民の皆様とのお約束である「財政誘導目標」につきましては、「プライマリーバランス黒字」を達成するとともに、「標準財政規模1割以上の基金」を辛うじて確保するなど、財政の健全性維持に向けた努力を進めております。

 それでは、令和3年度当初予算案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、「新型コロナとたたかう」についてであります。
 新型コロナ感染防止対策を一層強化するため、PCR検査機器や人工呼吸器をはじめ、医療機関の更なる設備整備を支援するとともに、入院病床や診療検査体制の確保、個人防護具等の整備、軽症者等の宿泊療養施設の確保などを進めてまいります。
 また、聴覚障がい者をはじめ障がいのある方へのワクチン接種に向けたサポートをするなど、円滑な接種体制を構築し、保健所組織・機能の拡大強化、保健師などの人材確保を進めるほか、鳥取大学医学部と連携して、公衆衛生医師の確保や、感染症の専門知識をもつ医師の育成を図ります。
 加えて、障がい者施設・高齢者施設における感染発生時のサービス継続、施設職員のPCR検査、児童福祉施設や教育関係施設等の感染防止徹底を一層支援・拡充するとともに、県内事業所のガイドラインに沿った感染防止対策を推進し、安心して利用できる認証店の拡大も進めてまいります。

  第二に、「新型コロナから経済・雇用と暮らしを守る」についてであります。
 コロナ禍で厳しい経営環境にある県内事業者向けの無利子・保証料なしの緊急融資を増枠の上6月末まで延長し、県内中小企業の事業多角化・新展開を応援するとともに、コロナ後を見据えた飲食店の新業態導入やデジタル化を支援します。併せて、新型コロナ対応のBCP策定を支援するとともに、事業者に対する伴走支援や、離職者を雇用した企業支援などを進めることといたします。また、感染状況に応じて機動的かつ強力に観光需要促進策を講じるとともに、小規模事業者のデジタル技術導入、オンライン物産展・宅配ECサービスなどICTを活用した販路開拓等を支援してまいります。
 併せて、園芸産地の後継者確保を図り、ブロッコリー生産強化、和牛振興、スマート農林水産業などを推進するとともに、皆伐再造林支援、全天候型林業技術訓練センター整備、県産品のブランド強化などを展開してまいります。
 また、コロナ禍における県民一人ひとりの暮らしを支えるため、ひとり親相談窓口の開設、要配慮者の住宅支援、ICTを活用した認知症予防、差別と偏見のない社会づくりなどを進めるほか、全国初の自治体「コネクテッドカー」導入、オンライン行政推進等を図ってまいります。

 第三に、「新型コロナを乗り越えて新時代を拓く」についてであります。
 新型コロナの感染を抑えている鳥取県の魅力が全国から再認識されたこの機を逃すことなく、二拠点居住、副業・兼業、プロボノ、長期・定期滞在者等の多様な「人財」を招き入れ、移住促進や関係人口の拡大に取り組むこととし、更に、県外企業の本県への機能移転やリモートオフィス開設を支援するなど、鳥取県への新たな人の流れを創出します。
 また、キャンプやサイクリングなどのアウトドアツーリズムの促進や、広域的な景観形成への支援、弥生人復顔模型を活用した「とっとり弥生の王国」整備、刀や鬼伝説を活かした周遊対策など、観光立県の展開を図ってまいります。
 併せて、2050年CO?排出実質ゼロを目指し、小水力発電など地産エネルギーの導入支援、家庭での省エネ実践キャンペーン、グリーン住宅ポイントと連携した省エネ住宅促進、県産材使用オフィス等の「とっとりカーボンストレージ認証制度」創設など、グリーン社会実現に向けて力強く踏み出します。
 また、「とっとりSDGs伝道師」などSDGs実践活動を深化させるとともに、広域的な共助交通サポート組織支援、路線バスへのキャッシュレス導入実証を進め、保育人材確保、産後ケアの利用促進、国際バカロレア校開設準備、支援員配置や授業づくりなどICT教育確立等を図ってまいります。

 第四に、「安全・安心のふるさとづくり」についてであります。
 鳥取県らしい絆社会の一層の充実に向けて、社会問題化しているヤングケアラー支援に取り組むとともに、犯罪被害者見舞金制度の創設、ひきこもりの方への生活・就労支援強化、視覚障がい者等の読書バリアフリー環境整備、障がい者スポーツの県中西部拠点展開を進めるとともに、アウトドアや地域の体操教室等と組み合わせた健康づくり、「スポーツアンバサダー」制度の創設、「ワールドマスターズゲームズ関西」の準備など、健康・スポーツによる地域づくりを展開します。
 更に、15か月予算により、岩美道路・倉吉関金道路等の地域高規格道路整備、米子道路等の付加車線整備、山陰近畿自動車道「南北線」調査・検討など高速道路ネットワークの整備を進めるほか、鳥取港の岸壁整備をはじめ県民の生活基盤整備を着実に図ってまいります。また、河川の樹木伐採やため池の防災対策、地域住民との協働による「流域治水」対策、全国に先駆けた「鳥取県災害福祉支援センター」設置による災害ケースマネジメントの全県展開など、地域防災力の一層の向上を図ります。

 以上の諸事業を計上しました結果、令和3年度当初予算案の総額は
3,567億5千9百万円余となるものであります。

 次に、議案第22号 令和2年度鳥取県一般会計補正予算(第9号)につきましては、コロナ禍克服に向けた中小企業事業継続のための基金積立など、所要の精査をいたしました結果、差引で17億9千7百万円減額することとし、補正後の令和2年度予算総額は4,158億5千9百万円余となるものであります。

 引き続き、予算関係以外の主な議案につきまして、御説明いたします。

 議案第34号 食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例につきましては、食品衛生法改正に伴い、食品を取り扱う営業の許可基準等について、本県の実情に沿って施設基準や営業許可手数料等を定めようとするものであります。

 議案第37号 鳥取県石綿健康被害防止条例の一部を改正する条例につきましては、大気汚染防止法の改正にあわせて、石綿健康被害の防止を着実に図るため、新たに石綿除去作業結果の県への提出を義務付ける等の見直しを行おうとするものであります。

 議案第79号 鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正する条例につきましては、インターネットによるものも含め、感染症等の病気や国籍、性別、性的指向、障がい、被差別部落出身などを理由とした差別行為を禁止するとともに、人権教育や啓発、相談支援等を実施し、人権が尊重される社会づくりを一層推進しようとするものであります。

 以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

  

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