令和3年5月臨時県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨
これより、本議会に提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
N501Yなど感染力の強い変異株により、新型コロナ「第四波」の猛威に歯止めがかかりません。当初は関西が感染急増の中心でありましたが、今や山陽・九州・中京はじめ全国各地において、新規陽性者や重症者の急増と病床占有率の急上昇にステージを上げ、この度の沖縄県を加え、緊急事態宣言は山陽・関西を含む10都道府県に発令されるに至っています。
本県においても、3月末以降、複数のクラスター発生も含め「第四波」の厳しい影響にさらされ、周りを緊急事態宣言地域に取り囲まれる異常事態を受け、新型コロナ警戒事態宣言を発令し、新型コロナとの闘いが続いています。議員各位、医療関係者、県民の皆様の御協力のもと、慶應義塾大学が発表した感染症対策ランキング全国1位の評価を得た「早期検査・早期入院・早期治療」の「鳥取方式」等を精力的に展開することにより、連日のように新たな感染ルートが県内で判明する中、一進一退ながらも、感染拡大を抑え、今も全国最少の感染者数に踏みとどまっています。
しかしながら、インド株をはじめ新たな変異株も発生しており、全ゲノム解析による変異株検査や、市町村と連携したワクチン接種の推進など、対処すべきウイルスや地域の感染状況に即応し、機動的かつ迅速な感染拡大防止対策を投入していかなければなりません。
また、長引く感染拡大による企業活動の停滞や、緊急事態宣言の延長等による旅行需要の減退、外出自粛の影響などにより、産業・雇用や暮らしに影響が出ており、本県においても、飲食、観光、交通をはじめ、各事業者等に対する早急な支援策の構築が急務となっております。3月18日には、本県が幹事役を務め、34道県の知事が連携して、緊急事態宣言が出ていない地域の事業者にも実効性ある支援策を公平に講じるよう国に要望を行った結果、4月30日に政府は予備費支出を閣議決定し、自治体による事業者支援のため、地方創生臨時交付金特別枠「事業者支援交付金」を創設しました。
以上の情勢を踏まえ、県民の命を守るためのワクチン接種、医療提供体制の強化や一層の感染防止対策、さらには本県の産業・雇用と県民の暮らしをしっかり守るための対策を早急に実施することが急務となったことから、本日ここに臨時議会を招集し、御審議を仰ぐことといたしました。議員各位の格別の御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
それでは、本議会に提案いたしました議案第1号 令和3年度鳥取県一般会計補正予算(第1号)について御説明申し上げます。
はじめに、感染防止とワクチン対策であります。
学校部活動におけるクラスター発生等を踏まえ、学校教育やスポーツ、地域活動等における感染防止対策を徹底するとともに、インド株へ緊急に備えていくため、県衛生環境研究所で全ゲノム解析を実施するとともに、インド株の簡易スクリーニングに着手します。また、県民の皆様に1日でも早くワクチンを接種していただけるよう、県営のワクチン集団接種会場を設置するとともに、潜在保健師の活用等による保健所機能の体制強化、さらには、認知症患者や障がい者などが住み慣れた環境で在宅療養していただけるよう、訪問看護を活用した安心な見守り・看護体制を整備します。
また、飲食店等の感染防止徹底に向け、巡回指導員の増員などにより認証店取得を加速するとともに、飲食店や宿泊事業者の感染防止対策を支援します。
次に、産業・雇用と生活をしっかり守るについてであります。
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対しては、これまで4回にわたる応援金等で、総額30億円規模の支援を行ってきましたが、更なる支援として、売上が3割以上減少した事業者に対して最大50万円の応援金を支給し、飲食・観光・交通関連をはじめとする幅広い事業者の事業継続を支援するほか、無利子・無保証料の県融資を9月末まで延長します。
また、「WeLove山陰キャンペーン」を8月末まで延長し、前売り宿泊券の発行支援を行うとともに、ワーケーションスペース設置など宿泊事業者によるチャレンジを支援してまいります。また、県産品の販路開拓支援、「GoToEatキャンペーン」延長、県内交通事業者支援など、県内産業を支えてまいります。
さらに、雇用調整助成金と連動した教育訓練の支援や相談体制の強化などにより、コロナ禍における雇用を守り抜くとともに、市町村と連携した「生理の貧困」対策をスタートすることとし、併せて女性の「こころ」と「からだ」への理解促進を図ります。
これらの事業費を計上いたしました結果、今回の補正予算の総額は、48億1千万円余となり、補正後の予算額は、3,615億7千万円余となるものであります。
以上、本議会に提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。