●知事
皆様、おはようございます。本日も距離を取りましてマスクを外し、聴覚障がい者の皆様が分かりやすいようにということでさせていただきたいと思います。世界情勢は目まぐるしく変わる、しかも緊張感が高まるという方向にあるようです。今、ドイツにおいてG7サミットが開催をされるということになり、この状況の中でウクライナの中部のショッピングセンターにミサイルが打ち込まれ、多くの方が亡くなったのではないかと心配をされたりもしています。ぜひ、世界でもう一度平和を取り戻す、そういう動きがあればいいなというふうに考えておりますが、本県でもそうした世界平和を願う漫画展を開催をさせていただこうといたしたところであります。
また、現在、自然状況、これが季節の変わり目に入ってきています。恐らく気象状況にもよりますが、今日ぐらいには山陰地方も梅雨明けの可能性は出てきていると思われますが、昨日は各地でいろいろと雷などもございまして、[鳥取]市内の倉田八幡宮でも落雷があったということであり、お見舞いを申し上げたいと思います。熱中症が心配されるところであり、35度が今日、明日、予想されるような状況でもございまして、全国的に酷暑ということになってまいりました。くれぐれも熱中症対策ということも考えながら対策を取っていただければと思います。
●知事
さて、記者会見のもち方につきましては、いろいろと御意見があるというふうにも承ったところでございます。決して一様な御意見ではないと思いますが、私自身は記者会見というのは民主主義の重要な礎であり、この場で丁寧に県民の皆さん、そして記者の皆さんに説明すべきだと考えてやってまいりました。したがいまして、単に日程を説明するということではなくて、荒削りでも政策について皆様にお諮りをし、皆様のいろんな声を踏まえて最終的にそうした実行に移していくと、その足がかりにすべきものだというふうに念じてやってまいりました。
最近は[新型]コロナ[ウイルス]の状況もありまして、なかなか口での説明が難しいこともあり、全国的にはコロナ[禍]に入っていろんなフリップ等を活用する、そういう都道府県の記者会見の状況が一般化してきたものですから、そういう意味で私どものほうでもスクリーン上、投影させていただく、そういう資料を用意させていただきながら進めることといたしました。
しかし、いろいろと御意見があるということなので、私自身の発言の時間や、それから資料につきましては従来よりもかなりカットをさせていただき、皆様のほうでまた記者会見のあり方についても考えていただければというふうに思います。
●知事
そういう中、今日、まずお話を申し上げなければいけないなと思いますのは、6月[21日に閉会した]県議会で県議[会議員]の皆様のいろいろな御意見もいただきましたし、島根県でも重要なターニングポイントとなりました。そういう意味で島根原[子力]発[電所]についてでありますが、島根県の丸山[達也]知事などとも、これまで実はいろんな形で協議を重ねてまいりましたし、中国電力側とも協議をしてまいりました。そういうことの結果として、7月の6日、来週、中国電力、それから私ども山陰両県集まりまして、米子[市内]において原子力防災協力協定、これを締結することとさせていただき、併せて中国電力と私ども鳥取県との間で財源協力協定、これを結ぶということにいたしたいと思います。
これにつきましては丸山知事はじめ、関係者の皆様の御理解をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。いろんな議論が両県議会でもなされました。やはり安全をしっかりと見ていこうということだと思っています。それで、そのためには平時、それから緊急時、それぞれにおいて中国電力、また、私たち地元の自治体、これがしっかり協力することが必要だろうと。平時においては、例えばどういうような対策要員がいるのかとか、資機材の状況はどうなのかとか、平素のモニタリング等もあります。そうした情報をしっかり共有をするということ、また、緊急時においては避難が行われる、そのときにスクリーニングポイントを設けて、そこで放射線の状況を調べて、その次の避難場所へ向かってもらおうということをやります。
それで、こういう避難時の圏域、待機地の検査であるとか、また、実際にどういうふうに[放射性]プルーム(気体状または微粒子状の放射性物質が大気とともに煙のように流れる状態のこと)が流れて放射線の濃いと想定される、そういう地域が予想されるのか、そういうことのためにも緊急時のモニタリングが非常に重要であります。これ、中国電力もされていますが、私ども鳥取県も周辺地域としては突出したモニタリング網を持っております。島根県ももちろんございます。これらを運用しながら共同してそのモニタリングを緊急時にやっていきましょうと、また、例えば福祉車両なども含めた避難用の車両、こういうものを中国電力も協力をして手配をするというようなことなど、こうした防災協力協定というものを新たに結ぼうというふうに考えております。
それから、あと財源協力協定といたしまして、これはかねて先方と話し合っていましたが、中国電力のほうでも応じていただきまして、国の財源措置がないものにつきましては中国電力の責任において一定の継続性を持って財源を措置するというのも、これも協定としてまとめさせていただきたいと思います。これによりまして、単なる口約束ということではなくて、しっかりとお互いの意思というものを確認をし、これで縛られながら、拘束されながら行動するという礎ができると思います。こういうようなことを今、一通り議論が、区切りがついたわけでありますが、肝心なのはこれから先のどういうふうに安全が確保されるかとか、それから、財源もしっかりと、いわば兵站を供給をしながらやっていけるかということでありますので、こうした協定を結ぼうと考えたところであります。
●知事
また、新型コロナにつきましては、昨日、[新たに確認された陽性者が]80[名]を超えるという状況になり、特に西部においては60[名]を超えてきまして、5月の中旬以来の急増であります。しかも、リンクのない新規の陽性者、我々から見てリンクのない、そういう経路不明の陽性者、この水準も急増しました。それにはわけがあると考えております。実は私どものほうでスクリーニング検査だとか、このL452Rというスクリーニング検査だとか、それから全ゲノム調査、これを進めてまいりました。その結果が昨日までにある程度リアルタイムで見えてきたところがあります。
重要なのは[オミクロン株の]BA.4またはBA.5の系統の疑いがあるものが見えてきたと、それで、これについてはL452Rというこういう変異を捕まえることで、どちらかがまだちょっと全ゲノム検査をしないといけませんが、判定はできないものの、BA.2[系統]という従来型のオミクロン株ではないということが分かってきています。これらは南アフリカで最初に見つかったと言われているものでございまして、近隣の県でも、最近も発見をされています。それで、恐らくこういうものが急増を招いている状況が出てきていると、それで、その波が本県西部を中心にかかり始めている、そのさらに昨日、夜遅くまでに分かったところではこのBA.4またはBA.5系統の疑いが県東部でも観測をされたところでございます。ですから、一気にこうした新規の変異株が見られるようになってきたと。あともう1つ、これよりはBA.2の本来に近いものということですが、BA.2.12.1という系統があります。これはアメリカなどでよく見られた系統でございます。それで、こういうふうにこれがやはり今回も観測をされました。
実はこれ、全ゲノム検査をして最終判定をしないとなかなか見えにくいんですが、全ゲノム検査をしたところが6件完了があります。これらは県東部におけるあるクラスターで発生したもの、その相互の感染と見られるものでございました。それで幸いなことに、この6月中旬のものは、早めの対応で止めることができたと思っています。ですから、外には拡大しなかったと思われます。ただ、最近また別の経路によりまして、県外とか国外等がいろいろと入ってくるところがございまして、その疑い例がまだ3件、それは昨日新しく見つかったものが東部でございました。
こういうようなことで、県内全域でやはり変異株に対する警戒をすべきステージに入ったんではないか。今日[新型コロナウイルス感染症]対策本部を開催をしまして、[鳥取大学]景山[誠二]先生にも御意見を頂戴をしながら、変異株による感染急増警戒情報、これの発令を検討させていただきたいと思います。それで、それに併せまして、早めにこれ囲い込んでしまうことが大事なので、保健所の応援体制を強化をする。それから県職員の集団感染等もございましたので、職員の感染対策の強化・徹底をする。それから医療関係者や市町村への警戒を呼びかける。この今日ちょうど、その市町村長や医師会の先生みんな集りますので、今日このことも議題にさせていただき、警戒を呼びかけたいと考えております。
●知事
それで最近の感染事例としてはちょっと特徴が出てきております。相変わらず、この黄色の子どもたちの感染っていうのがあり、これBA.2だと判定をされましたが、学校生活の集団感染がかなり大規模なものが最近起きていたと。それで、それと併せまして、これはBA.4ないしBA.5というものが絡むと思われますが、職場内だとか飲食に絡む感染拡大というものも散見されるようになってきました。それで、この青のところが職場、それからこの赤く見えるところ、この細いところが飲食関係です。それで、これらのが6月の中旬から比べますと3倍ほどに増えてきております。ちょっとそういう意味で、従来のBA.2によるオミクロン株の感染と、ひょっとすると少し癖が違うかもしれない。ですから、そうした意味でもう一度ですね、感染対策の基本を大事にやっていただく必要があるのではないかと思っております。
●知事
そういう意味で、[新型インフルエンザ等対策]特別措置法24条9項に基づきまして、感染防御強化月間を7月いっぱい指定をさせていただくように検討をすることといたしました。職場や飲食、学校生活、友人との会合など、いろんな場面がありますが、感染防止対策の徹底をぜひお願いをしたいということであります。また、[PCR等]無料検査も7月末まで延長させていただきたいと思います。それでエアコンの使用が増えてきますが、換気はぜひエアコンとともにやっていただきたいということ。それから特に人と話すときはマスクをつけることなど、メリハリのあるマスク着用というものを考えていただければというふうに思います。
特に早期発見が重要でありますので、ちょっとおかしいなと思ったら行動を控えていただくことが、非常に重要です。それで御家族でそういう状況があったときも念のため控えていただくということは推奨させていただきたいと思います。
●知事
それから病床確保する必要が今後高まってくると思います。それで政府は新しい新型コロナ対策として、協定を結びなさいということを法律制度としてつくろうとしておりますが、それを先取りして、各病院との病床確保の協定締結を今日させていただきたいと思います。県立の2病院や鳥大、こことはまず先行して実施させていただき、ほかの病院も順次協定を結び、要請して1週間以内に受入れ準備をしていただくこと。それから逆にこう空床を補償して、設備整備も県で支援しますよということ。こういう双方向の協力関係を協定にさせていただきたいと思います。なお、本県の場合、病床の確保は医師会や病院の協力を根気よく丁寧に合意形成していったこともありまして、今までのところ大都市と違いまして、確保計画に基づいて病床受入れが行われていますし、空床補償も行ってきております。それで、受入れ拒否ということは本県では起きていません。そういう意味で念のため、やっぱり協定もきちんと、今後法制度でされるのであれば、先取りしてつくっておこうということであります。
●知事
それから地球温暖化対策、それからSDGsということが重要なテーマになってきます。それで、このたび、トットリボーン!という運動を展開しようと。これは鳥取[県]のCO2削減などを進め、環境先進地などとして再生をさせていく、リボーンしていくと。それで、ちょっとシンボルマークとしてこういうリボンをかたどっていますが、これ実はCO2と書いてございます。それで、そういうマークをこのたびロゴとしても提供させていただきながら、とっとりエコライフパートナーというものを本日から登録制度をスタートさせます。それで、これは環境と健康にやさしく暮らしはたらく、それから再生可能エネルギー、それからスマートムーブ、森林、こうした項目のいずれかを満たせばパートナーとして認証しましょうと、それで、全部満たせばプラチナパートナーとして認証しましょうという制度をスタートをさせていただきたいと思います。
また、月替わりの7月1日からはReNE-STという既存住宅の省エネ改修基準、これを全国に先駆けて策定をさせていただき、例えば全面改修を行って断熱効果などを上げるような場合、最大200万円の支援をしようという制度を来月からスタートをさせていただきたいと思います。それで、また鳥取CLTさんでは県産材を活用した木製の内窓、これをまたこのたび開発をされて販売されるということにもなりました。こういうものも含めて推奨させていただこうと考えております。
また、鳥取県もSDGs未来都市に選定されましたので、とっとりSDGsネットワーク会議、これを来週開催をさせていただきまして、エコライフ構想トットリボーン!を強力に推進をする官民の連携体制をつくりたいと思います。
●知事
また一部報道もございましたけれども、男性用トイレにサニタリーボックス(トイレの個室ごとに設置される小さめのゴミ箱)、これを県施設には全面的に設置させていただくことにいたします。病気などにかかわらず、県民の皆様みんなが使いやすいトイレにしていこうということで、来週いっぱいまでに県立施設での設置を完了させたいと考えております。また、観光施設などにつきましても設置の働きかけを呼びかける、これは福祉のまちづくり条例でも、もともと我々も考えているところでございまして、ぜひ広くこうしたことに、運動に加わっていただけるように協力を呼びかけてまいりたいと思います。
●知事
また、県内進出企業の動きです。[株式会社]源吉兆庵さんが米菓、米の菓子、おせんべいですね、そういうものの販売会社を、本社機能を鳥取市に移転されることとなりました。9月1日に満果惣(まんかそう)という会社が今、鎌倉にあるんですけれども、これを移転をされるということで、先般[岡田憲明]社長様などからお話をいただいております。それで、これにつきましては米菓の生産能力を上げるということも検討されていると伺っておりますが、本県としては本社機能移転の支援措置、2分の1の支援措置を適用したいと考えておりまして、こういう本社機能の移転に伴う人材確保とか、それからまた、設備投資についての優遇支援ということをやっていきたいと思います。
それで、同じようにこの源吉兆庵様ではヨーグルトのフォーシーズンズという新しいブランドを立ち上げられていますが、これについても米子市に本社をこのたび設けていただきました。それで、さらに秋から本県のいろんな素材も使っていこうという方向でございまして、これについても支援を検討していきたいと考えております。
●知事
先ほど申しましたが、7月の1日から国際平和漫画展を開催をし、これには世界漫画家連盟の篠原ユキオ先生にも来ていただきまして、オープニングを飾っていただきたいと思っております。これは世界のヒトコマ漫画、うち4名がウクライナの漫画家でございます。それで、これを県内巡回でやっていこうということです。さらに来週末、7月8日から東京[都]の六本木ヒルズにおきまして「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」、これを開催することとなりました。先生の生誕100年を記念しての行事でございまして、鳥取県も全面的にご協力をさせていただいております。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、実はエントランス部分に水木しげるロードのような、こうブロンズ像、こういうものを設置をした格好になっていまして、プロローグが水木しげるロード、先生の生まれ育ったふるさとですね。生まれてはいないですね、育ったふるさとについて最初のプロローグで扱っていただく、そこに境港[市]の状況が再現されてくるというものでありまして、私どもとしても大変にありがたい企画だと考えております。
●知事
最後に今、大阪[府]で青谷弥生人、青谷上寺朗が出張中でございます。先般その出張での活動状況、私も視察に伺ってまいりました。そしたら何と今週末には吉田[昌弘]さん、グランプリを取られた吉田さんや、あるいは中川[剛]さん、服部[学]さん、春日[連太郎]さん、こうしたそっくりさんの入賞者の皆さんが集まられまして、それで、イベントをするということであります。ぜひ、そうした鳥取の弥生の魅力にも、多くの方々、関西の方々にも触れていただければと思います。
●知事
今、マグロ漁が始まりまして一月余りということになりましたが、漁獲も[昨年度の]1.9倍と増えておりますし、また単価もキロ当たり2,000円、昨シーズンの1,600円をかなり上回っております。そういう意味で、15億円規模の今、水揚げ状況となっております。鳥取もこれから夏を迎えて、スイカあるいはそうしたマグロなどの魚介類、いろいろとにぎやかなシーズンになります。ぜひ全国の皆様にも積極的にアピールをしていきたいと思いますが、感染対策に注意をしながら鳥取のほうもお訪ねをいただければと思います。私からは以上です。
○NHK 杉井浩太 記者
ありがとうございました。それでは各社さん、質問お願いいたします。
○日本海新聞 竹久祐樹 記者
日本海新聞の竹久と申します。原子力防災協力協定の関係でお伺いをいたします。これ、まず知事冒頭御発言がありましたが、場所、米子とお話がありました。具体的に場所がもし決まっていれば教えていただきたいというのと、中身についてなんですが、緊急時の協力で避難退域時検査、緊急時のモニタリングなどを上げられています。それでこれ従来、もし原発事故が発生したときにテントなどを用意して検査をしたりとか、ということが今予定されてると思うんですが、その中電側とのこの連携することでの、この中電側の関与の在り方というのが具体的にどういったものをイメージされているのか、検査やモニタリングにおいてですね、その辺りのイメージをお聞かせいただければと思います。
●知事
これについては、まだ文言は当日まで最後の調整があるかもしれません。ただ、原則として合意をしまして、来週の7月6日の日に米子[市]の国際ファミリープラザ、昔の国際ホテルですかね、あちらのほうで開催をすることとなりました。これについて、待機時の避難については今までも訓練を重ねてまいりました。例えば機材だとか人員において、中国電力さんも御協力いただく訓練もしてきておりまして、この本番といいますか、実際に起こったときにつきましても、そうしたことなどの協力関係を得られるというふうに我々は期待をいたしております。
もちろん協定自体は協力という文言になっていますので、その中身については今後進化させていかなければなりません。よくですね、まずはこれで新しいステージに入っていくことになりますので、そのためのお互い拘束されるような、そういう法的な枠組みというのをきちんとつくった上で、それで真摯な対応というものを中国電力にも強く求めることができるだろうと考えております。その中でこうした待機時の避難なども重要な仕事でありますので、これについての協力も今後具体的に求めてまいりたいと思います。
○読売新聞 藤本幸大 記者
読売新聞の藤本です。原子力防災協力協定の財源協力協定のほうについて伺いたいんですが、具体的にはどういった防災対策について財源の負担をするというのを想定されているのか。また、これ鳥取県のみということですね、中国電力と。島根県ではなくて鳥取県のみということの理由をお聞かせ願いますか。
●知事
これにつきまして、ちょっと全体構造を若干申し上げたほうがいいのかもしれません。原子力安全対策につきましては、電力料金を原資としてそういう電源特会(エネルギー対策特別会計)というものがあり、ある意味十分な財源措置が立地地域に対してはなされています。さらに加えまして、立地地域におきましては県税として核燃料税というものを課税するのが全国の実務になっております。核燃料の装填、これを1つの課税標準とする、さらに最近は漏れてないもんですから、それに準じた課税標準というのを考えまして、核燃料税を課税するというのが全国に広がっております。これは税金でありますので、割と自由度が高く使うことができるんですね。本県は周辺地域でありますので、核燃料税を課税する根拠がありません。
それで、これまで実は隣県の溝口[善兵衛前島根県]知事等とも前から協議もし、それで私はちょっと理論的に難しいんじゃないかなと思ってもいたんですが、ただ、島根県さんも非常に紳士的でありまして、そういう核燃料税を鳥取県側に配分することも検討された経緯もありました。しかし、残念ながら、それは法的に難しいということにやはりなりました。そこで、鳥取県としてはこれまで寄付金を不足財源について中国電力に求めるということを近年ルール化してきたわけでございます。どうしてそういう財源が必要になるかといいますと、例えばモニタリング機材などについては国の交付金で、これは原則100%手当がされます。それで、ただ、そういう機材なんかは割とあるんですけども、人材ですね、これ非常に重要であります。私どもも周辺地域ではありますが、福島[第一]原[子力]発[電所]事故以後、専門人材を、例えば炉の専門家とかそうした方々を雇用し始めています。これは原子力安全対策が必要なければそうした人材を雇用する必要はないわけでございますが、こういうことを本県は重点的にやってきているわけであります。
当然ながら、例えばこういう原子力安全対策の避難訓練だとかいろんな事務がありますので、そういうもののための人材というものも投入をしているわけであります。こういう例えば人件費なんか分かりやすいんですが、この人件費というのは国の交付金・補助金の対象にならないんですね。ですから、丸ごとこういうものが億単位で私たち実は必要になってしまっていると。それで、じゃあ、核燃税というのがあるかというと、島根県さんなんかが核燃税でそれを賄うわけですね。それで、私どもはその財源がないもんですから、寄付金という不安定財源でやっておりましたが、このたびこの島根原発2号炉、これの再稼働に向けた安全対策、これを了とするかどうかの協議におきまして、安全対策は了としながら私どもとしては今後チェックを続けていき、安全性を高めていくという方針に切り替えたわけですね。
この協議の過程で、この財源につきましても先方から恒久化しようと、財源措置というものが持続可能な継続性を持って行おうと。それからこれについては、中国電力としての負担、寄付という任意のものではなくて負担であると。それで、言うように法的にもこれで切り替えることができることになります。これで私たちは根拠を持って中国電力からそういう人件費等に充当する財源を得ることができます。このような実は全体の構造がありまして、立地側とは違ったこういう協定が必要だと判断したところであります。
〇NHK 杉井浩太 記者
NHKの杉井です。今のに関連しての質問です。こちらの資料ですと一定の継続性を持って応分の負担、応分のっていう表現なんですが、これは国の財源措置が行われないものは基本的には全て中電さんに賄ってもらうということなのか、この応分のっていう、この意味はどういったことでしょうか。
●知事
これはちょっとお互いでやり取りの機微がありますが、我々としては当然必要な費用は全額賄うものだと考えておりまして、恐らくそうした方向で運用していただけることになろうかと思います。額をめぐりましてもいろいろとやり取りをさせていただいたわけでありますが、今、見込まれる経費については、真摯に負担していこうという中国電力側の態度であると理解をしておりますので、応分の負担とは書いてありますが、例えば割り勘だとか、そういうことではなく、人件費についての相当額を負担してもらうというふうに我々は運用していきたいと思っております。
〇NHK 杉井浩太 記者
すみません、もう1点。寄付金を受けるときからの議論があったかもしれませんが、お金をもらうことによって中国電力に物が言いづらくなるのではないかという懸念もあるのかなと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
●知事
これにつきましては、今回こうした財源の問題はありますが、これ決して鳥取県にとって得になるものではないんですね。よく全国の皆さんがその原発立地でいろいろと、例えば道路が立派なのができたとか、いろいろおっしゃいます。あるいは公民館だとか、産業施設だとかいろいろなものができると。それで、そういうようなところは、実は電源立地[地域対策]交付金などとか、あるいは核燃料税でできるところです。それで、我々が今得ているのはモニタリングの施設をつくればその経費を国がみる、当たり前なんですよね。それで、ここで言っているのも人件費がこれだけかかるんだから、それは中国電力がみましょうということでありまして、これは我々からすると当然の経費であります。
ですから、追加してこれだけ余裕財源与えますよという仕掛けには実はなっておりませんので、私どもが引け目を感じることはないと思います。逆に今回、安全協定を改定をさせていただきまして、非常にお互いの込み入った協議をさせていただいた成果として、最終的には措置要求権など他の周辺地域にない権限も私ども鳥取県側は得ることになりました。当然、それ、厳粛な責任の重みを痛感しながらということになりますが、これに基づいて権限行使はむしろ強まっておりますので、私どもとしては適正な距離感で中国電力との関係性を構築できるのではないかと思っております。
○山陰中央新報 藤井俊行 記者
山陰中央新報の藤井です。すいません、先ほどの財源協力協定の関係で、これまだ、詳細まだこれからだとは思うんですけども、運用方法について、例えば、毎年、金額については協議するですとか、その辺、県として考えておられることってあるでしょうか。
●知事
これについてちょっとまずはこういう詰めかもしれません。協定をしっかり結んで根拠を持って詳細をさらに詰めていくということになろうかと思います。ただ、今までの下話としては我々のほうでそれ相当のお金かかりますよということを示しながら、この協定締結の協議をさせていただいておりますので、その辺は十分な額についての措置ができるだろうと思っております。それを例えば毎年、この時期に決めるとか、実務はこれからついてくると思いますが、今、7月の段階で組めば、今、この向こうの寄付金が今、尽きかけていまして、それで、これが尽きてしまって人件費の支弁に今年度やりくりがつかないということにはならない、その目途が立ったんではないかと思います。ですから、この協定に基づきまして、速やかに今後、今、寄付金が尽きかけている状況の中で、どういうふうに財源措置を我々としては受けるのか、これは協議を固めてまいりたいと思います。
○日本海新聞 竹久祐樹 記者
日本海新聞の竹久です。コロナに関連してお伺いしますが、知事、先ほど冒頭にもお話ありましたが、米子での、西部県税事務所での職員の方の感染がありました。数としては多いんですが、コロナにかかることは決して悪いことではないので、別にそれに対してどうこう申し上げることはないんですけれども、知事としての受け止め、つまり何が、飲食を伴う会に一部の方が参加されていたというふうな話があるんですけれども、そこに何か気をつけるべき点、気をつけることができていなかった部分があるのか、あと、クラスターにはこれがならないのかどうかも含めてちょっと教えていただければと思うんですが。
●知事
これについてはクラスター認定の対象になります。ただ、そのメカニズムについて今、さらに調査をしているところであります。それで、今日の[鳥取県新型コロナウイルス感染症対策]本部会議までに今、ちょっと庁内には宿題を出しているんですが、職員向けのメッセージをきちんと出させていただきたいと思っております。今、竹久さんのおっしゃったとおり感染症ですからウイルスも生存競争として感染してくるわけなので、それ自体はやむを得ないところがありますが、例えば、お店の使い方だとか、それから、例えば宴席の持ち方だとか、やはり工夫すべきというふうに私どもが日頃呼びかけていることが履行されていたわけでも必ずしもないようです。したがいまして、そうした注意事項を徹底する必要があると思います。
特に今、BA.4ないし5、それからBA.2.12.1、これが本県に入ってきたことはエビデンス[根拠]として明らかになってきましたので、ある意味うつりやすい時期に入ったというふうに考えて、例えば飲食や観光をやめろというわけではないけれども、そのプロセスとして、例えばマスクの会話時の着用とか、それから、一定の距離を取って飲食をするとか、パーティションを活用するだとか、そうしたことは改めて徹底する必要があるだろうと思っています。
それで、今回の西部総合事務所のケースでは飲食の部分もありますが、飲食外の職場で広がったと考えられるケースも実は少なくないです。それで、これ、職場でのかなり広範囲に広がる感染というのは、どうも最近、私も近県の知事さんとも話をするんですが、今の流行の特徴になり始めているかもしれません。ですから、職場の管理の仕方というのも改めて私ども徹底しなければいけないだろうし、今日も本部会議の中でも、その職場についての感染注意について呼びかけをする必要があるだろうと、今、庁内に宿題を出しているところであります。
○山陰放送 日野彰紀 記者
BSSの日野です。関連して伺います。隣県の島根県では今日、感染者の発表が300人を超えて過去最多ということであります。今、新しいその変異株の確認もあったわけですけれども、感染対策については感染防御月間でやるというお話でしたけれども、もう少し踏み込んだ対応、例えば県外往来の自粛を呼びかけるなど、そういったことはお考えにならないでしょうか。
●知事
山陰両県は非常に感染の拡大でも過去ここ2年余り協力してやってきましたし、実は感染の実態として密接に関係をしている部分もございます。したがいまして、島根県のいろいろなお考えも今後もお聞きをしながら、我々のほうでも対策を考えていく必要があるだろうと思っております。今、お話のように、例えば県外往来の問題だとかいろいろありますが、今、政府全体として県外往来自体は、否定はしないというふうにしておられ、今、選挙中(第26回参議院議員通常選挙)ではありますが、今後のこの夏休みについての対策というのも別の意味で出てくるかもしれません。
我々として、例えば観光支援であれば、ステージ3で中止をするということを明確にしておりまして、そのときには躊躇なく止めさせていただくと。それで、これを了解した上で、この支援制度に入ってきていただいてますし、また、飲食支援なども、これもクラスターが発生したら止めていただきますよというようなことなど、やはり一定の制限の中で運用していこうというものであります。やはりオミクロン系のものはなくならせることは難しいかもしれません。
したがいまして、一種の風土病のように根強く残ってしまうところがどうしてもあります。ですから、感染を抑制しながらWithコロナということを賢く県民の皆様、事業者と我々行政のこの保健所調査などと組み合わせてやっていくと。これを当面は模索する必要はあるかなと思っております。ただ、今日の島根県も、私もちょっとショックですけども、急増局面にあることは間違いなく、私どもも昨日の晩ですね、この結果が出てから、今、早急にちょっと今、ねじを庁内でも巻いているところでありますし、今朝も深澤[義彦鳥取]市長とも話をさせていただき、調整についての意見交換をさせていただきました。
全国恐らく動いてくると思います。昨日発表で33の都道府県が対前週より増加しているというのは決して偶然ではないと思っています。ただ、我々はその1つ1つの株の動きを見ていますので、大都市はそこ見えてないかもしれません。我々、まだ見れています。それで見ている感じでは、やっぱりこうだんだん、こう広がっていくわけですよね。それで残念ながら今朝までの段階で、西部で見つかっているものの中には、ちょっと経路が追いにくくなっているものが生じ始めているのも事実です。それで、これがやはり数が増えてきますと、こういう急増で蛇が頭をもたげる、そういう状況になってくるかもしれません。
それで大都市は割と緩慢ですが、感染状況見えてないところほど、やはりそうした実数とはちょっと違った傾向になるかもしれません、数字上は。ですから、やはり全国としてはやはり増えている県は増えていると。見ていただくとお分かりいただけますが、海外もそうなんですね、今、ドイツとか、フランスだとか、ヨーロッパも、この6月に入って、また実は急上昇の局面に入り始めています。それは、同じことは他の地域でもあって、台湾のように下がり始めているところもありますが、確かにこう増え始めているところがあって、そういうところはこのBA.4、BA.5と言われるものが主流になり始めているのかもしれません。
それでアメリカはBA.2.12.1、こちらのほうが主流だということで、[アンソニー]ファウチ[書籍医療顧問]博士も感染をされたということでありますが、かなりの範囲でやっぱり広がっていると。ただアメリカは少しこう横ばい的になり始めていると。ひょっとするとこちらのほうは、かなり警戒すべきものが入っているのかもしれません。ですから、私どもとしてはしっかりとモニターをしながら適切な措置が必要ということになれば、そのときはもう1段踏み込んだ対策を県民の皆様にお願いをする可能性はあると思います。ただ、今日段階では、現在80[人]台でありまして、何とか今、早めにこう、今、ちょっと実は市長さんとも話をしたんですが、こういう新しい株は探索範囲を広げる必要があると。それで鳥取県はこれで過去もBA.1からBA.2に上がったときも連休時期上がりましたのは、あれBA.1からBA.2に上がったときです。それも下にこう下ろしてきました。全国で最も低いレベルにいったのは、多分BA.2をある程度抑えることに成功したからだと思っています。
ですから、早めに抑え込みにかかれば、間に合えばまだいけるかもしれないと。まだそこの段階ではないかと思いますが、その段階を過ぎてくると、さらなる言わば、急増局面ということになるかもしれません。そういう意味で、ぜひ感染急増に警戒をしていただきたいと。もう一度マスクのつけ方だとか、それから飲食の仕方だとか、県民の皆様には十分な警戒をしていただきながら日常生活を送っていただくと。これをお願いしたい、それが現状でございます。
○山陰中央テレビ 松尾直明 記者
TSK山陰中央テレビの松尾です。よろしくお願いします。参院選の合区制度についてでありますが、1票の格差の是正を目的に導入された一方で投票率の低下が起きていて、合区解消を求める声もありますが、この合区制度自体ですね、知事は是非をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
●知事
合区につきましては、これはやはり民主主義の根幹に関わるものがあると思っています。日本の場合は府県制というものが山縣有朋だとか、ああいう明治の方々、元老たちの指導もありまして、まずは、帝国議会の選挙をやる、それと裏腹にそれぞれの府県でも議会を設置をして、民主主義というものを一定程度導入しようとしたわけです。それで、これがさらに戦後しっかりとした民主主義国家として生まれ変わってきた面があるんですけども、実はこの伝統はみんなずっと引き継がれているわけですね。それで、その府県制以来、今の都道府県の体というのは変わっていませんし、その府県制の中で、それぞれの地域の課題というものを議論をして、例えば商工団体の連合会であるとか、PTAの連合会であるとか、全部県単位です。それでJAもそうです。それで、そういうところがグループとして話をまとめて、それを県議会へ持ち込んで議論をする。
それで、当然ながら国政でも国会議員には、うちの県の事情分かってくださいということでやると。それでこれが結局日本型のデモクラシーの土台になってきたわけです。それで、そのユニットが壊れるということは今まで100年余りにわたって、我が国が築いてきたデモクラシーの根幹に関わることではないかと思っております。そういう意味で政治的、社会的、歴史的な一体性のあるところというのは昭和58年の最高裁の大法廷判決でも選挙区とすることに合理性があるというふうに明言をされており、最近の判決でもこの趣旨は確認をされて、都道府県単位の選挙区の合理性というのも判決の中に明記をされています。
であれば、それをもう一度実現すべきであるというふうに考えます。今、実際に選挙戦が行われていますが、やはり帰属意識が曖昧になるわけですよね。それで、選挙といっても縁遠さを感じるというのは民主主義にとりまして有権者と政治家の間に分断が生じる可能性があるわけでありまして、これが投票率の低下につながっていくことになります。早急に是正されるべきだと考えており、選挙後、全国知事会の中でもこのことは議論させていただければと考えております。
○山陰中央テレビ 松尾直明 記者
ありがとうございます。もう1点だけ聞かせてください。異例なスピードで関東甲信越ですね、梅雨明けがありましたが、鳥取県でも間もなく、もう梅雨明けの予報もあります。現時点ですね、渇水など心配されます夏野菜の高騰ももしかしたらあるかもしれませんが、現時点での知事の懸念、またそれに対する対応をお聞かせてください。
●知事
まだこれから水が必要な農地がございますので、そういう意味で水の問題ということはあるかもしれません。また、正直申し上げて、戻り梅雨的な豪雨に対する警戒も怠ってはならないと思っております。今年はラニーニャ[現象]であるということでございまして、猛暑の傾向があると世界的には観測されているとこなんですけども、ただ、その局面の中で、やはり水蒸気が供給をされてきて、この山陰側に豪雨をもたらすことは過去も度々ございましたので、まだ気が抜けないというところだと思っております。今後もそういう水の対策を折に触れて、気象条件見て呼びかけていきたいと思いますし、その水域ごとにその水の管理につきまして機動的に沿線の協力を求めていきたいと思っております。
○山陰中央新報 藤井俊行 記者
山陰中央新報の藤井です。すいません。話が戻って申し訳ないんですけども、コロナの関係で新しい変異株の現段階で分かっているようなところでいいんですけど、どういうルート、系統で入ってきたかっていうのを推察でいいんで教えていただけますでしょうか。
●知事
これは非常にちょっと難しいですが、疫学調査の中でどういう接触のあった方にこういう株が見られたかというところからしますと、本県はもともとない県ですので、基本的には外国との往来だとか、それから県外との往来、それで、先ほど来、島根の話がありますが、島根以外のところでも入っていると思っています。ですから、全国で報道されている以上にこの新しい変異株というのは一定の広がりがあるのかもしれないと、そういうように私どもはちょっと懸念をしているところであります。
ただ、県境に戸は建てられませんし、ボーダーコントロールの水際対策も政府の方針として世界標準にある程度合わせていこうというふうに今、動いていますので、問題は見つかったときにそこを、周りを疫学調査等でこれ以上広がらないようになるべく早く、タイミングよく動いていくことが大切、そのためには無料検査も駆使してやっていくことが大切だと思っています。
それで、また県民の皆様におかれましても、例えば県外と交流するなということは言うつもりはないんですが、ただ、その場合にやはりマスクエチケットであるとか、それから飲食等の会合の持ち方などを注意をしていただきたいと思いますし、県外から入ってきた方につきましても一定期間は、1週間程度は大型の飲食の機会等々をできれば控えていただく、それから無料検査などにも協力はしていただく、こんなことを[新型インフルエンザ等対策特別措置法]24条9項で呼びかけていこうと考えております。
○日本海新聞 濱田匡史 記者
すいません。日本海新聞濱田です。今回、変異株の話なんですけども、今、島根でも増えていて、鳥取でも急増傾向にあるということなんですけど、知事、この今、県がつかんでいる、その背後の関係とかで、この急増がこの変異株自体のその特性によるものなのか、それとも先ほど職場内での感染っていうのも全国的に増えているようですということで、今、暑くなっているのでクーラーを入れているところが多くなって、換気っていうのが一時期に比べて落ちている、そういう環境面の変化によるものなのか、変異株の特性のよるものなのか、どちらが原因だと思われています。
●知事
恐らく専門家の方は分からないとおっしゃるでしょうけど、変異株によるものだと考えるべきだと思います。我々実務でありますので想定されることは、ずばり申し上げたほうがいいと思います。この変異株はかなり感染力が強いと考えたほうがいいと思います。それで、現実にも実は最近のBA.2の傾向ですね、私どもこの状況になる前の6月の頭ぐらいまで、確かにそこで6月中旬にちょっとBA.2.12.1というものが入ったと思われる、そのときはやっぱりかなり確率的には広く広がったように見えました。ただ、当時はまだちょっとまだゲノム解析で分からないところでありますけどね。
ただ、今から考えますと、あの頃の私たちの感覚ではBA.2自体少し感染力が落ちてんのかなと思ったんです。それで家族中全部うつしたり、それから学校の中を染め上げるようにどんどんと広がっていくことは確かにありましたけれども、そうした局所的なところ以外は、割とどっかで感染が止まったと。それは鳥取県の場合は、先回りして疫学調査をしまして無料検査をするから止まっているのかもしれませんが、ただその辺手ごたえは、実は感じていたんですね。それでここまま一定程度レベルを落していけないかということで、かなりレベルダウンすることに成功して多分島根県さんもそうだと思います。
山陰両県は、その辺はセオリーにしたがってやってきたわけでありますが、今そのセオリーの想定を破るような、そういう感染が起きているのではないかと懸念をしているわけでございます。条件の違いは確かにこの暑さということもありますが、恐らくそれ以上にやはりL452Rなどは、これスパイクと言われるこのくっつくところ、これに関わってるところなんですね。それで、そうしたところの構造が変わっている、従来のBA.2よりもそこが変わったことが何を意味するのか、大きな蓋然性として我々現場で見ているとタイプとしてこれにかかった一連のところは、かなりの確率で広がっていると思っています。
それで若干癖が違うかなというふうにも思っていまして、前のBA.2はとにかく子どもたちのところで広がった。今はそれ以外のちょうどこの記者会見場におられるような年齢層の方々で結構広がりやすいのかもしれません。ですから、そういう意味でやっぱり注意のレベルをやっぱり上げたほうがいいと、その意味で私どもとしては変異株による感染急増ということに警戒していただきたい、そういう呼びかけを今日から始めたいと考えております。それで、今、濱田さんがおっしゃった重要な点はこの密閉性ですね、ぜひクーラーをかけていても窓を開けることを考えていただきたいと思います。ずっと開けろということではありませんが、やはり風通しということを意識的につくっていただくと。それで、実はこの対策はエアロゾル感染に対する対策です。距離を取って話しましょうとかいうのはマスクとの関係ですね、それで、こういうのは飛沫の直接の飛沫が飛ぶということを意識します。
ただ、みんなでこう大騒ぎするというか、大声を出すとか、歌を歌うとか、それから一種の熱気ですね、籠ったような感じになると。それで、そういうところでなぜか面的に感染が広がることがあると、これがエアロゾル感染です。それで、恐らく専門家の方はそこをはっきり言わないと思いますが、なかなか言ってくれないんです。ただ、一定の条件が広がったとき、昔3密って言いました。あれ、多分合理的でして、その3密っていうのは、飛沫感染のことで専門家言っていましたけど、私はひょっとするとそれ、エアロゾル感染じゃないかと思っています。エアロゾル感染が起こる条件というのはある程度整うと、面的にかなり広がると。それで、いうことがあり、過去の株でも起きていました。
それで、それは今、今の新しいBA.4、BA.5、BA.2.12.1、これで起きるかどうかというのは、定性的には起き得ると思います。ただ、まだ、そこは正直本県のケースではまだ検証はされていません。しかし、エアロゾル感染というのは過去起こっているというふうに思ったほうがいいことから、やはり換気によってこの空中に漂っているかもしれない、そういうウイルスが流されていくように、その辺は意識していただいたほうがいいのではないかと思います。
○日本海新聞 濱田匡史 記者
すいません。関連してなんですけども、先ほどのお話で変異株の特定によるものなのか、それとも気温みたいな環境によるものなのかというのがありました。もう1点ちょっと僕、気になっているのが、我々県民のほうの慣れによるような感染というのが増えてきているんじゃないのかなと思っているような、ありまして、クラスターの発生だとかつぶさに見ていくと、どうも同じようなケース、同じようなタイプでの発生というのがちょっと増えてきていて、それで、我々県民サイドも当たり前になってきてしまっていて、ちょっと感情的に緩んでいる部分もあるのかなと思うんですけども、そこを何かこう啓発する必要があると思うんですけども、何か対策お考えですか。
●知事
そういう意味でちょっと申し訳ないですけども、先ほども議論がありました、こういう感染防御強化月間を、これ法律上の措置として呼びかけをさせていただくことを、まずはさせていただこうと思っています。それで、おっしゃるように、実は過去、新しい株が入ってきたときというのは爆発的に割と広がります。それで、前のデルタ株のときもそうでしたし、アルファ株がはやり始めたときも、これも一定の地域でかなり広がりました。それで、何が起きるかというと、割とこう、私どもは抑えにかかっちゃうんですね。ですから、一旦なぎのように割と静かになると。それで、そうすると、県民の皆さんも、今はもう大丈夫だなということで少し行動変容を起こされる、逆にですね。それで、そこを今度ウイルスが狙ってくるわけですね。ですから、そこのメンタルと、それから実際の新しいウイルスの存在というとこに実はギャップがありまして、それで、これが結びついてしまうことで一気に爆発的に広がるということが過去も起きてきています。デルタのときもそうでしたし、アルファのときもそうでした。それで、BA.2もそれが連休の明けのところで起きかけたんですが、このときは何とかとどめることはできましたけれども、今回もそういう意味で次の波の始まりというふうに考えていただいて、もう一度あの頃を思い出して、ちょっと警戒してみましょうと。行動を完全にやめろということじゃないですが、対策を強化して、それで皆さんの健康を守って、この夏休み中も楽しく過ごせるように、お互いしていきましょうということをお願いしたいと思っています。
○日本海新聞 濱田匡史 記者
すみません。そうしますと県としては7波の入口に立ってるとお考えですか。
●知事
そうですね。恐らくそうだと思います。これは、島根[県]がそういう状況であれば、山陰としては警戒すべき状況だと、全体としては思わなければいけません。経済圏、社会圏は一体性がありますのでそういうふうに思います。また、ちょっと注意すべきなのは、さっきちょっと申し上げましたが、実際に西部と東部で、このBA.4、BA.5系統が見られます。多くは、今これ、西部です。西部ですが、東部にも入ってきていますね。それで、これらの経路だとか、それからこのBA.2.12.1とかいうことを考えますと、必ずしも1つの県境だけを越えて入ってきたというわけではなくて、それ以外にも実は、このくくりの中にいろんなバリエーションは多分あるんだと思いますが、大きくくくってBA.4だとかBA.5と言われる系統というものが特に存在している可能性があると。
ですから、そういう意味では注意すべき段階に、国全体が今入ってきてると思ったほうがいいのではないかと思います。日本地図を見てみまして、それで比較をしてみれば、対前週で増えているところ、割とこう西側のほうにあります。なぜか東北は青森を除いてあんまり増えていない。ですから、こういうのってやっぱりどのときもそうです。アルファ株のときも西からこう割と動いていきました。現在は、関東はやっぱり増えていますよね。それで関東は、例えば神奈川県さんなどは全数を見ていません。自分で治そうという人たちは数えてないので、ですから、全数はよく分かんない。そういう全体の中でも増えてきている傾向は関東では出てきていると。だから、関東以西のところで、かなり広く増える傾向が顕著になり始めるのではないか。今週、これから日を追って曜日が替わっていくに従って、その傾向がひょっとすると明らかになるかもしれないと懸念をしております。
○中国新聞 小畑浩 記者
すいません。中国新聞小畑です。関連なんですけど、現在、今、鳥取の実務の現場で見えることしか分からないんだと思うんですけれども、ワクチンとBA.1、BA.2、BA.4、BA.5との関連、感染しやすさとか、症状とか、その辺り何か見えてきたものってありますでしょうか。
●知事
これについては、ちょっと今日、冒頭申し上げましたように少し思い切って絞って話をしましたので、ワクチンについては会見では触れませんでしたが、またこれ市町村長や医師会の皆さんと夕方話し合うことにいたしておりまして、我々としてはこの夏休みに向けてワクチン接種の戦略的な普及を図っていきたいと思っております。その理由は特に重症化を引き起こす度合い、これについてはBA.2では顕著でありますし、BA.4やBA.5、まだ十分な調査資料はありませんけれども、一定程度は回避できる可能性はあるわけであります。
さらに大事なのは、デルタ系にはこれ感染も含めて効くところでありまして、そういう別系統のものがまた第7波、第8波として入ってくるかもしれませんので、やはり今この時間のあるときに打っていただくのがいいだろうというふうに思っております。ただ、残念ながら、ファイザー社にしろ、モデルナ社にしろですね、5倍程度感染が減るだろうとは言われてますが、20倍以上減ったデルタ株とかと比べますと、感染の落ちた度合いというのは必ずしも大きくはないと。正直に見てそうだろうと思っています。でも、それでもやはり感染の確率は減ると思いますし、それから、さらに重症化という非常に重要なポイントでは有効性があると思っていますので、ぜひ、その接種については御検討いただきたいと思っております。
○時事通信 竹原伸 記者
時事通信竹原です。話変わってなんですけれども、総務省が来年度から、マイナンバーカードの交付率を普通交付税の算定に反映させるっていう見直しを検討しておりますが、知事はどうお考えでしょうか。
●知事
これもう、ちょっと報道ベースでしかお聞きをしておりませんで、ちょっとまだ判断しかねるところであります。その具体的な仕組みをいろいろと出していただいて、それについて提言したり修正したりする必要があれば、他県の知事さんとも一緒に話合いながら、デジタルの対策本部もありますので、提言をしていく必要があるかもしれません。ただ、今のところちょっとそれ以上の情報が実はなくて、そこのところはどう判断したらいいのかというのはちょっと考えにくいです。つまり交付税というのは一般的に何ていいますか、その仕事の大きさ、標準的な行政経費との関係で算定してくるものでありますので、そこに何らかのその需要というものを見込んでいる可能性がありまして、それよく伺ってみないと分からないところであります。
ただ、いずれにいたしましても、全国知事会としても、市長会、町村会と一緒になりながら、このマイナンバーカードについては、マイナポイント制度がいよいよ[6]月末始まるということでありますので、普及促進に向けて力を合わせていかなければいけません。それについては我々首長でも共通の意識を持っていきたいと思っております。
○日本海新聞 竹久祐樹 記者
日本海新聞の竹久です。今日の会見の内容とは異なりますが、JRローカル線の関係で伺いをします。先般JR西日本の株主総会がありましてその場で長谷川社長が利用者の少ないそのローカル路線の収支公表したことについて触れまして、沿線自治体と具体的な議論をするために状況を開示したという発言がありました。これについての知事の受け止めと、知事は以前、廃止を前提とした話合いには応じないというふうな御発言をされています。そのお考えに今もお変わりないかお聞かせください。
●知事
JR[西日本]の長谷川[一明]社長もこれまでもいろいろと私もお話をさせていただく機会はございましたが、やみくもにあっちもこっちも廃止するということでは多分恐らくないんではないかと思っております。それで、私どもも大切に考えなければならないのは、地域交通を支えている言わば主役であるJR西日本さんがその責務を果たせるような環境を地域としてもつくっていく必要があるだろうと考えております。そういう意味で、このたび砂丘号が復活をするというものの応援をさせていただいたり、あるいはあめつちが因美線の智頭以内にも入っていくこと、これについても応援をさせていただいたり、具体的に私たちもスキームを組んでいかなきゃいけないと思っております。
今後ですね、JRさんは支社レベルで地元での話合いをしたいということをおっしゃっておられまして、いずれ米子支社、場合によっては岡山支社かもしれません。そちらのほうからお話があることを私としては待つことにいたしたいと思っております。ただ、その際に、単純に廃止を前提とするという話合いであればそれは我々としても応じるわけにはいかないということには変わりなく、どのように地域交通というものをみんなで守っていくのか、このことをぜひJRさんの御理解も得ながら我々も汗をかいていくと、そういう方向性を考えていきたいなと思っております。
◯日本海新聞 濱田匡史 記者
すいません。日本海新聞濱田です。知事、ちょっとコロナがこんなにまたはやりそうなときに聞くのもちょっとあれなんですけど、インバウンドの再開に向けていろんな事業が動き始めていて、それで、ソウルなんかだともうエアソウルさんの再開を見越して旅行商品の販売なんかも旅行者がしている状況だと思うんですけど、ネックになっているのがその空港での検疫体制、受入体制のところで税関さんとか、あと、いろいろ今協議をしていらっしゃる最中だと思うんですけど、米子鬼太郎空港のその受入体制っていうのが当初エアソウルさんが言っていらっしゃった8月上旬からの運航再開に間に合いそうなのかどうなのかっていう肌感覚はどうなもんなんですかね。
●知事
今現在の我々がいろいろと政府関係者から得ている情報では、まずは札幌[市]の新千歳[空港]とか、それからそれに続いて例えば広島[空港]だとか、割と大きめなところが先行するんではないかと思っております。ですから、そうした意味ではターゲットどちらかというと、関空インアウトに当面この夏、秋はなるかもしれません。ただ、いずれにいたしましても、米子鬼太郎空港で受け入れるということになった場合に、あそこにちょっとスペースの問題とか、それから人員のこと、それで、かなりそうした意味で検査だとかそういうことが仮にあるのであれば時間がかかりますので、それが密にならないように処理をしていくということなども含めると結構、ちょっと準備が必要になります。その意味で、[米子]空港ビル[株式会社]とか、私ども鳥取県側とか、それから国土交通省、それからあとはCIQ関係者、この辺での協議を今、しているところです。条件整備はいつ再開されてもおかしくないという前提で我々としては協議を進めさせていただきまして、スムーズな滞りのないそういう感染防止と観光とを両立できるような、そういう航空の姿というのをつくっていきたいと考えております。
◯時事通信 竹原伸 記者
すいません。時事通信竹原です。すいません。また、戻って申し訳ないんですけど、合区の選挙についてなんですけども、合区になって今回3度目で、それで、さっき投票率を見たところ合区になってから56、それで前回が49と5割切ってしまったわけです。それで投票の普及啓発については県の選管ものぼり旗を立てたり、バスマスクと言ってバスにマスクをつけたりですとか、いろいろな対策を行っているんですが、知事が思う投票率、若者の投票率も含めてなんですが、どういうことを行えば投票率がアップするかというようなお考え等ありましたらお聞かせ願えればと思います。
●知事
やはり先ほどもちょっとお話がありましたが、やはり選挙自体の大切さが住民の皆様、有権者に染み通らないといけないと思うんですね。残念ながら合区というのはその意味では逆の作用を起こしていますので、恐らく合区を解消するっていうのは1つの解決策にもなるんだろうというふうに思います。合区の副産物として自民党での特別枠というものもできたわけでありますが、こういうものもまた選挙らしさを失ってしまう危険もあるわけでありまして、そういう意味で再考すべき時期なんだろうというふうに思います。
もちろんそうは言ってその投票という国民にとって重要な参政権行使の機会でありますので、その大切さについては選管のほうで精力的に動いていただきたいと思いますし、選挙についてはゆるくないと、ゆるキャラを使って両県で啓発をされるなどいろいろと工夫もされていますので、その成果に期待をいたしたいと思っています。
◯日本海新聞 竹久祐樹 記者
じゃあ、日本海新聞竹久です。話が最初に戻ってすいませんが、原発の関係です。中電に今回その財源措置、国の財源措置が賄われないものについては事業者側に一体の継続性を持って応分の負担をしてもらおうという協定の締結になろうかと思いますが、一方で、原発は国策としてなされている部分もあります。本来は国がここは面倒を見なければいけないところかもしれませんが、その辺りは、例えば国にも並行してそこの負担については引き続き要求をしていくとか、その辺りのお考えをお聞かせください。
●知事
これについては先般経済産業省のほうなど、私どもが一定の結論出したときですね、お伺いをさせていただいたり、ネットでの会議を通じまして申入れをさせていただいております。周辺地域でも法律に基づいて原子力対策をやらなければならない義務づけがあります。そうであればそれにふさわしい周辺地域での財源というものも国として検討してももらいたいと、これは強く申入れをさせていただきました。この私どもの申入れの趣旨は島根県の丸山[達也]知事も理解をしていただきまして、島根県のほうからも同趣旨を申入れていただいております。ぜひ政府におきましては、いわゆる電源三法に基づくそうした交付金助成制度等も含めて、やはりそうした周辺地域に対する対策も考えていただくように、我々としては今後も訴えかけていきたいと思います。
○中国新聞 小畑浩 記者
すいません。中国新聞の小畑です。原発の関係、すいません、補足でお伺いさせてください。今回この協定について、鳥取県と中国電力ということではなくて、島根県が一緒になるっていう、これは2号機の再稼動容認のプロセスの中で出た話ではありますけれども、その辺りの意義をちょっと改めてお願いしたいと思います。
●知事
これでほんとで島根県の丸山知事はじめ、危機管理防災関係者など御理解を得たと感謝をしておりますが、やはり山陰両県が一体となってこういう原発の立地周辺地域として協定を同じ立場で結べるということは大きな意義があると思っております。その重みをぜひ中国電力にも心から理解をしていただきたいとうふうに思います。それで私ども周辺だけの協定であるよりも、恐らく立地が入ってこの文言の中で同じ文言を使った協定になりますので、中国電力のオブリゲーション、責務というものも強く私どもは訴えることができると考えております。
◯NHK 杉井浩太 記者
よろしいでしょうか。はい、ではこれで記者会見終了します。ありがとうございました。
●知事
どうも、ありがとうございました。