●知事
皆様、おはようございます。本日も聴覚障がい者の皆さんの分かりやすさという点でマスクを外し、距離を取って会見をさせていただいております。お許しをいただければと思います。今、我が国、今、国会の真っ最中であり、海外の状況も変転をしているところであります。国会のほうでは[物価高克服・経済再生実現のための]総合経済対策が閣議決定をされ、これが今国会に提出をされるという運びとなりました。これは私ども全国知事会でも要請をしていたところであり、非常に評価できる内容も入っています。例えば交付税の5,000億[円]の増額であるとか、また、[新型コロナウイルス感染症対応]地方創生臨時交付金も7,500億円、今回、積み増しがなされたところであります。いずれにいたしましても非常に今、切迫した県民生活、それから産業、雇用の状況等がございまして、ぜひこれを有効に活用しながら国全体で進めていく必要があります。
先般は、私ども[全国]知事会の知事が揃いまして、[岸田文雄 内閣]総理[大臣]はじめ閣僚と官邸で意見交換をさせていただきました。我々国・地方一体となって車の両輪としてこの難局を乗り切っていかなければなりません。また、併せて今、アメリカ[合衆国]では中間選挙が開かれておりまして、このmidterm electionsというのは大統領の選挙にも今後、2年後に影響してくるともよく言われるものであります。世界中が今、かたずを呑んでその状況を見ておるわけでございますが、これからどういうふうに世界が動いていくのか、私たちは注視する必要がありますし、民主主義というものを確立をして守り育てていくこと、こういうことも戦争も含めて、今、テーマになってきているのではないか、これが世界の情勢ではと思います。
そういう中で、ウクライナ情勢で石油価格、エネルギー価格へ影響したり、あるいは肥料やそうした農薬等も含めまして影響があったり、いろいろとある中、[新型]コロナ[ウイルス感染症]という厳しい切迫した状況が続いています。官邸でも議論いたしましたが、世界の中でこの感染症が動いているわけでありますから、その動向というのは今後も変転をしていくものだと思いますが、今、[第]8波が始まったと、私ども現場では感じているところであります。ぜひ病床の確保、これが円滑に支障なくできるような制度の改善もぜひやっていただく、こういうことなども含めながら、対策を国と共同して取っていかなければならない、こういう局面かと思っております。
●知事
そういう中、私どものほうでも12月の[定例]県議会を控えまして、今、予算編成作業を始めたところでございます。今、申し上げましたように国の2次補正[予算]がありました。この2次補正の中には[新型コロナウイルス感染症緊急]包括支援交付金というコロナ対策のものも積み増しが1兆円以上入っているところであります。それで、政府のほうで今回出されました28兆9,000億[円]の予算、かなり大型だと思いますし、これを有効に活用していくことが大事であります。スピーディーに行いたいという意味で、本県としてもこれを即座に取り込みながら12月の補正予算[案]を規模を大きく提出をしていきたいと考えております。
今、分析作業始まったばかりでありますが、ざっと見て300億円は突破する勢いだと思います。そういう中で新型コロナの第8波の緊急対策、これにつきましても年末年始の体制をきちんと確保をすること、あるいは在宅療養者の相談体制、夜間でも行えるようにすること、あるいは[陽性者]コンタクトセンターの機能を強化してお医者さんの目がさらに行き届くようにすること、あるいはいろんな衛生対策を各施設でやっていくこと等々、50億円を超えるような規模に多分この第8波対策もなってくるのではないかと思います。
こういうものも含めて300億円超、円安や物価高騰対策、生活者支援、そうした分野に、横断的に予算を積極的に計上してまいりたいと考えております。ちょっと額が大きめに見えますが、国の第2次補正、これを踏まえた12月補正予算とできる限りしていくように、今、作業のハッパをかけているところでございます。
●知事
そういう中、その焦点の[新型]コロナ[ウイルス感染症の新規陽性者数の推移]の状況でありますが、現在、こういうようなカーブで、まず第7波がありました。その後、第8波が今、競り上がりつつあります。直近でいきますと、今日発表見込みの今、整理中の数字が405[人]であります。そのうち、東・中・西それぞれに100[人]を超えてきておりますし、特に東部が多いという状況、ですから、大きな傾向は変わっていませんが、中部も110[人]ぐらいで、今、伸びている、この傾向が続いています。これが直近1週間当たりの10万人当たりの新規陽性者数でありますが、東部とそれから中部が今、急速に上がりまして、500人を超える水準に今なってきていると、西部も今、上がってきております。それで、となりの、隣県の状況も見ますと、この西部も今後、これまでの経験的にはまた今後も隣県とのいろんな交流もありますので、影響を受けてくるのではないかというふうに懸念もいたしているところであります。
いずれにいたしましても、あまりいい状況ではございませんで、ただ、この第7波のときも何度も説明をいたしましたが、できる限りこの波が高くなるのを抑える、そして遅らせるという戦略で私どもも今、クラスター対策、学校だとか福祉施設などを重点的に今やっておりまして、こういうものの影響かと思いますが、じわじわ今、上がる、こういう階段状に今、上がってきている、この第7波の状況と似たような形で一気に今、上がるところは、一応は今、とどめている感があります。若干の手応えはあります。
しかし、足元の感染状況を見ますと、かなり感染力が強い株が動いているのか、動きとしては以前のこの10月のこの状況、比較的落ち着いた頃の状況よりもやはり陽性率というものは上がってきているというふうに見ざるを得ないところであります。
●知事
その背景につきましては、先般も御説明をいたしました傾向がさらに顕著になってきておりまして、この山陰地方の特有の現象かもしれませんが、初期から[オミクロン株の]BA.5.2.1というものがBA.5系統で表れました。それで、これがBA.5.2等のものを凌駕をしていく過程で第7波がぐうっと上がっていったということです。それで、今回はこのBA.5.2.1が収束をするというか、勢いが弱まる中でBA.5.2、それからBF.5、これらが高まってきていると、これと軌を一にして、今、本県でも競り上がりが起きてきているというのが足元の状況です。
ただ、昨日の専門家会議でも懸念されていたものがあります。それはBQ.1と言われる系統、それから、XBB[と]言われる系統、これらについては本県ではまだ確認がございません。それであと、ケンタウロスと言われるBA.2.75、これについては、前回、1件報告があったということを申し上げたと思いますが、それは周りを取り囲みましたけど、別のまたこのBA.2.75も入ってきています。しかし、まだこれが優勢になっている状況ではない。だから、主流は今、BA.5.2やBA.5が伸びていく中で、先ほど御覧いただいたように本県も競り上がり、第8波の状況になってきているということです。
それで、専門家会議が警戒しているのは、さらに新しい系統、これが広がってくるとまた上がる加速度がついてくるのではないかということです。それで、私どもも、もしそういうことになれば、今、ここには見えないところがこのかつてのBA.5.2.1のようにわあっと増えながら加速度をつけて上がっていく可能性がやっぱりあると。ですから、今月、あるいは来月といったところで十分経過が必要な状況でありまして、そういう意味で、感染状況に即した対策を取っていかなければいけないということです。
●知事
現在のクラスターの状況でありますが、このオレンジ[色]の学校、それから黄色の保育所等の子どもの施設、こういうもののウエートはやはり高いんですけども、この緑[色]の事業所というのが比較的高くなってきています。それで、これは、この頃にちょっと類推されるわけですね。これは、実は第7波が始まった頃、この6月27[日]~7月3日と書いてありますが、その頃にわあっとまず事業所で大きくなりまして、それが子どもの施設に、子どもたちのほうに入っていくと。それで、それがこのピークを迎えた8月の22[日]~28[日]とありますが、こういうところには残念ながらその勢いが高齢者施設や医療施設に入り込んでいったと、それで、こういう傾向が見られたわけですね。
それで、実は今、同じような軌跡をたどろうとしているのかもしれません。やはりこの事業所などでのクラスターが最近、1つ目立つところがあります。それからこの子どもの施設がだんだんとまたこれが増えてきていると、それで、そうしたところが今度、この高齢者とか医療施設に入り込みますと命に関わることになってくるということでありまして、そういう意味で、クラスター対策をしっかりやっていく必要があると。
それで、最近の傾向では、デイサービスのクラスターが目立つようになってきています。このデイサービスがどうしてそういう状況になるかという分析をしてみますと、デイサービスというのは地域の中でいろんな御家庭から利用者が入ってくるわけです。それで、その利用者の方が罹患を仮にされていると、それが今度そのほかの方々に広がっていってというようなパターンをたどることにもなる。それから、職員の方もそうでありますが、例えば、その地域の全域から職員の方、入ってくるわけですね。だから、いわば、集結点になっているところがありまして、そういうことが影響してか、デイサービスのクラスターというのも目立つようになってきているということです。
それで、特に多いのはやはり学校や保育所のクラスターでありまして、そうしたことを考えると、やはり調子の悪い方についてはお子様も含めて通学だとか出勤だとか、あるいは施設の利用を控えていただく、あるいはまた、寒くなり始めましたけど、換気というのが非常にオミクロン系では重要であるということ、それから、福祉や医療のほうではゾーニング(清潔な区域とウイルスによって汚染されている区域を区分けすること)管理、ここのところの徹底というのが十分なされないといけないということ、それからあと、マスクの適切な着用、これらがやはり1つのポイントになってくると思います。
それで、今日も[鳥取県新型コロナウイルス感染症]対策本部[会議]を開いて、今、この第8波に突入したと思われる状況から、こうした施設ごとのお願いもしていく必要があると考えております。
●知事
それから、ワクチン接種であります。ワクチンにつきましてはやはり第8波が急速に拡大しておりまして、先般(11月7日)の全国知事会議でも[岸田文雄内閣]総理[大臣]がこのワクチン接種に地方も協力してくれと、こういうお話がありました。それで、私どもも問題意識は共通でありますので、市町村と協力しながら進めていこうということになったわけであります。
それで、現在、本県は、この過去の(一日の)最大[ワクチン]接種[回数]時、7月の末頃とほぼ同じぐらいの受入れ態勢を取っています。ですから、ぜひ早めに予約を取っていただいたり、ウォークイン(当日に空きがあれば予約可能)で接種できるところもございますので、できるだけ早めに接種をお願いをしたいと、これ、今、年齢層限らず乳幼児まで含めて、今、接種が広がっていますので、ぜひ御活用いただきたいと改めてお願いをしたいと思います。
それで、そういう意味で県営[ワクチン]会場でのお子様の接種[対象年齢]を[18歳以上から12歳以上に]拡充をしたり、ワクチンバスが非常に好調でありますので、私学などで今、要請も始まっていますが、高校への派遣ということも行い、学校でのワクチン接種ということも可能にしていこうと、あるいはJR米子や倉吉の駅での街頭呼びかけを今週、来週予定をしていたり、それから乳幼児の接種、これが今、鳥取市で行っていて、岩美町も始まりましたが、今後、県内で本格化します。それに併せましてチラシを配布をするとか、CMを放送したりするということにいたしているところであります。ぜひ、今、こういうふうに感染が急拡大の状況になってきましたので、ぜひ、感染予防ということにもなりますし、特に大事な重症化の予防ということになりますので、御協力をいただければありがたいと思います。
●知事
それから、職員の体制でありますが、この第8波が始まりましたので、職員の300人規模、400人規模での応援人員体制を、今、つくらせていただきました。それで、現在は55人体制で回しています。これ100人と書いてありますが、今、400人の規模でも、この55人で支障なく回っています。それで、これはやはり[陽性者]コンタクトセンターを実施したということによって、業務の効率化が図られていることが大きいと思います。
それで、第7波のときは、このコンタクトセンターがない状態でありましたので、[1日の感染者数の]最大が1,198人でした。それで、その1,198人のときは290人の応援体制で仕事が翌日回しにならないように、何とかしのいでいたということでありますが、コンタクトセンターが導入されましたので、恐らく同じような規模で大体2,000人ぐらい日にさばけるぐらいにはなるだろうと。それで1,198[人]の最大のものの約3倍の3,000人規模に400人規模の応援人員で対応できるだろうと。こういうように今、モデルをつくって、今、我々も準備をしているところであります。
ここに外部委託だとか、ロボット化だとか、そうしたものも入れまして、こういうものをしのいでいくことをやっていく、これを第8波対策として、県庁の組織のほうでやっていきたいと思います。また、こういう直接のこの対策に当たる職員もそうですし、それから今回もやりますけれども、班体制を組んで、同じところで仕事をする職員を数を減らしていくと。それで、これによって誰かが罹患しても、もう1班は出勤できることになって、BCP(business continuity plan:事業継続計画)が図られるということですね、それで、そういうようなバックアップ体制をやったり、いろいろと仕事のやり方を変えていかざるを得ない状況になってきました。
それで、これに伴って、いわゆる職員の間で喪失感だとか、あるいはストレスだとか、そういうものが直接の業務以外でもやっぱり起こっているのではないかとも思われますので、そのメンタルヘルス対策のほうも強化をして、今月に、例えば管理職向けの[メンタルヘルス]対策の研修会だとか、いろんなことをやっていき、この第8波対策とさせていただこうと考えております。
●知事
また、ちょっと変わりますが、12月[定例県]議会に提出をするものとして、豊かな森づくり協働税を提案しようと考えております。もともと鳥取県は大きな議論をかつてしまして、森林環境保全税というのを徴収をしていました。ただ、その後、今、大きく様変わりし始めていまして、国が森林環境税というのをつくり、これを市町村のほうに分配をすると。県にも来ますけど、県は一部です。それで、この森林環境税を利用して、市町村は森林整備を加速していくということになるわけでありますが、それで、じゃあ、森林環境保全税を続けるかどうか。それで、今年度いっぱいが、この区切りになっておりました。それで専門家だとか、あるいはパブリックコメントだとか、いろいろと議論を県民の皆様、有識者としてまいりましたが、やはり同様のこの森林を守る、森を守る取組というのは引き続きやる必要があるだろうと。
それで、県民の皆様や事業者と協働で豊かな森づくりをすることによりまして、CO2(二酸化炭素)の吸収につながったり、山地災害を防止したり、生物多様性保全につながったり、水源かん養したり、それでこういうような森づくりの効用ということもございまいして、やはり従来のこの森林環境保全税に相当するようなやはり税収が必要ではないかと、こういうコンセンサス(意見の一致)に至りました。
したがいまして、12[月定例県]議会に新しい豊かな森づくり協働税っていうのを提案していきたいということであります。県民の皆様と協働して森づくりを推進をしていく。それから豊な森と里山を次世代へと継承していく。こういうものをテーマにして、県民税の均等割に超過課税という上乗せをする方式をすると。それで、税率的には従来の森林環境保全税と同等の年500円というものを5年間お願いできないかということであります。
今、COP27(第27回気候変動枠組条約締結国会議)も開かれていまして、環境問題というのが、この税が始まった従来の森林環境保全税の頃よりもさらに緊急性が高まっている状況であります。また、災害も増えている。異常気象がもとで、そういうこともございますし、そういうようなことを考えますと、県民みんなで負担をし合いながら、森林を守っていく。それで、森をつくっていく。そういう税収というのが必要ではないかということでございまして、どうか御理解と御協力をお願いを申し上げたいと思います。
12月[定例]県議会に向けまして、条例案を策定をしている作業中でございます。
●知事
それから、今日も一部報道で出ておりましたが、原子力安全対策につきまして、昨日私どものほうにも具体的な話が入り始めているんですけども、[保坂伸]資源エネルギー庁長官のほうから説明がしたいというのが、私どもに対するメッセージです。それで、その内容は原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金という、これ平成27年につくられたものでございますが、まだ新しい交付金制度でございます。これについての説明をということで今日の夕刻にお話を聞くことにいたしております。
それで、私どもとしてその内容を聞き取った上で、米子[市]、境港[市]の両市長(伊木隆司米子市長、伊達憲太郎境港市長)と即時にまた話し合いを開始をしたいというふうに考えております。この具体の内容ちょっと聞いてみないと分からないところでありますが、恐らく背景としては、私ども[島根原子力発電所]2号炉が、審査が佳境、審査が終わりまして、私ども県を挙げてその協議を始めた頃、まさにこの[資源]エネ[ルギー]庁の長官だとかから私どものほうにお話がありました。そのときに申し上げた内容の1つが、正直そのときの長官のお話というのがあまりにも一方的で、国のほうで決めたものだし、これは原子力規制委員会のほうで厳正な審査が終わったものだから、これに周辺地域も協力しろと、こういうふうに聞こえるようなお話をされました。
それで、そのときに私も申し上げましたけれども、いや、その周辺地域は影響を受けるわけでありまして、もし事故があったらどうだというのは全く変わらないし、私どもは原子力災害対策の基本法(原子力対策特別措置法)におきまして、その2条で[米子市、境港市が]周辺地域と位置づけられて、それで、計画をつくったり、対策をしなきゃいけない。ただ、それに対する例えば人件費だとか、根本的な負担というのは、実は全くない状態でこれ始まっているということの不合理を申し上げました。それで、さらに申し上げましたのは電源立地[地域対策]交付金と言われる非常に大きな交付金があります。それで、こういうものも、実は(平成17年3月31日の)市町村合併が進められたときに、合併で例えば島根町が松江市に大きくなったわけですね。それで、そのときに周辺も、じゃあ、境港市とかがなったかというと、そのときにはならないわけです。それで、それはなぜかというと特例的に、従来の立地と周辺に限ったわけですね。ですから、その交付金というのは、実は出ない仕組みでつくってあると。
ただ、片方で、対策は東日本大震災以後、[範囲を]広げるようになって、周辺の30km圏内がやらなければいけないのにその辺はどう考えてもおかしいじゃないですかと。それで、人件費が出ないというのはせめてもの最低条件としておかしいし、それで、これは我々中国電力[株式会社]から当時は寄付ですけども、寄付という形でもらうしか方法がないぐらいであると。それで、そういうことを申し上げまして、そのとき私も記憶していますが、エネ庁の長官も検討はさせていただきますとおっしゃっていたと思います。それで、それに対する答えなのかよく分かりませんが、平成27年に制定されたこの交付金について、本県も対象地域として適用しようというお話なのかなというふうにも今日の報道も拝見して推察をするところであります。
実は、これは規模の問題が実はありまして、本県も今、例えば周辺地域でも交付を受けられる[放射線]監視等交付金だとか、それから安全対策の交付金[原子力発電施設等緊急時安全対策交付金]というものを活用して、モニタリングの施設整備などはやっておりますし、それは国費が出るものがあります。ただ、一番大きな電源立地の交付金[電源立地地域対策交付金]は、本県は今ももらえない、それから核燃料税の課税権が認められません。したがいまして、人件費に充てるような自由な財源というのも本県は周辺地域対策をしていても出ないという状況は変わっていないところであります。ですから、今回これで新しい交付金が仮に適用されたとしても、1回限りの限られた資金だと思います。ですから、根本の解決にはまだなってないというふうに思います。
ですから、今、人件費はこのたび協定を結びまして、中国電力が毎年その額に応じた支給というものを要は事実上、約束するような形に今回持ち込みましたけれども、それで、本来は核燃料税なり何なり、そうした自由な財源というのがあってもおかしくないんですけど、それは認められていない状況は変わっていません。電源立地[地域対策]交付金などもございまして、例えば隣の島根県さんですと、大体年間30億[円]以上そういうのが出ます。それ我々はゼロでありますから、それで、その電源立地交付金でよくメディアの皆さんが例えば立派な建物ができたとか、道路ができたとかおっしゃいますけど、ああいうのは一切うちはないんですね。それで、この辺ぜひ誤解のないようにしていただきたいと思います。
ただ、私たちがほしいのは、せめてもの安全は絶対ほしいと、それで、それに伴う人件費ぐらいは当然じゃないかというふうに思いますが、今回のも、ちょっとそこの根本解決に至るものではなく、我々としてはやはり今後もそうした財源の問題というのは、提起していかざるを得ないのではないかと思います。ただ、前のやり取りを受けて、エネ庁の長官もいろいろと中で動かれたんだと思います。そういう意味で、その点は評価したいと思いますが、ちょっと今、世情報道されていることではやや一面的でありまして、例えば島根県さんは毎年50億[円]以上ぐらいいろんな資金が得られるわけですね。それで私どもは核燃[料]税も、その電源立地交付金も入りませんから、多くても7億[円]、8億[円]だとかその程度のもの、それは全部ひもつきでモニタリングの経費だとか、あるいは原発の対策の機器の購入費などにしか認められないものでありますので、自由度の高い財源は今でも全くないと。この辺はやっぱり立地[地域]と周辺[地域]の違いが格段に大きい状況は変わっていないわけです。
それで、その前提の中で、1つ風穴を開けていただけるということなんだろうと思いますが、ただ、これで解決するかというとそうでもないんではないかというふうに思っております。今日のお話を聞いてみないといけませんが、そうした前提のものだということで御理解をいただきたいと思います。今日これが、お話があるということになりました。
それから[11月12日]土曜日の日に原子力防災訓練を実動で行います。久しぶりに住民の方を交えての実動訓練ということになり、御協力に感謝を申し上げたいと思います。今回は避難先まで自家用車で動いていただく、鳥取市とか北栄町、そこの設定まで動いていただくということを初めてやりたいと思いますし、中国電力からこのたび提供を受けますストレッチ[ャー]車両、これを活用しながら要援護者の避難の訓練をさせていただいたり、それから新しく整備をした、そうした道路の一連のシステムを動かしてみたり、新しい状況も踏まえながらやっていきたいと思います。これをこういうことを繰り返しながら避難の安全性というものをさらに高めていくということにいたしたいと思っております。
●知事
それから観光関係でありますが、来週の[11月]15日、蟹取県アンバサダーに御就任いただきました山崎怜奈さんも御出演いただきまして、メディアの発表会をいたしたいと考えております。実は、このたび山崎さんが来県されまして、県内のいろんなところを見て歩いて帰られました。その様子に基づきまして、いろいろと観光コースの設定なども当日御発表になるんじゃないかなというふうに思っております。ぜひ、多くの方々にこうした蟹取県ということを、キャンペーンを知っていただければと思いますが、このたびは松葉がに漁解禁されまして、初日で69枚という驚異的な五輝星が出て驚いたわけであります。百貨店とか、あるいは販売促進など、今後展開をしていこうと思います。
それからメディアでもいろいろと報道がございました全国旅行支援[「ウェルカニとっとり得々割」]、これが一時ちょっと本県は止まっていた問題がありまして、前回[10月27日]の記者会見のときに、これは解消するというふうに申し上げましたが、本日[11月10日]、楽天トラベル様が再開していただける運びとなりました。これによりまして、ほかのじゃらんさんだとかyahooトラベルといった、大規模なOTAと言いますけども、オンラインでのトラベルエージェンシー、オンラインで購入できる旅行会社のものっていうものは基本的に再開されるというところにたどり着いたところであります。今後も12月の20日の終了日まで切れ目なくこれを展開できるように予算配分の目配りをしていきたいと思います。
それからこの週末からフラワーイルミネーション[in花回廊]。花回廊が、これを再開をされるということになります。冬場というのはなかなか山陰は閑散期でありますけれども、こういうイルミネーションも楽しんでいただきながらホリデーシーズン等を盛り上げていきたいというふうに考えております。
●知事
それから環境関係でございますが、本日から[Let’s冬の省エネ]節電グランプリという、そういうプロジェクトを始めたいと思います。去年より一月分見ていただいて、去年のこの月よりも電気の使用量減っていますよという方には応募をしていただきまして、そうしますと[鳥取県]地産地消セットだとかが当たったり、また、とてもたくさん削減していただいた方にはポータブルソーラー、蓄電池、こういうものもプレゼントしようというキャンペーンを今日から始めさせていただきまして、1月[末]までやっていきたいと思っております。
それから本県で初めて県営住宅での省エネ型等積極的に取り入れたモデル住宅を上粟島[米子市]で、団地の統合含みでやっていくことになりましたが、これにPFI(公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用する手法)[の]BT(民間事業者が公共施設等を設計・建設し、公共側に施設の所有権を移転するPFI手法の一つ)[で]造っていただいて、それを後でトランスファー(所有権を移転)していただく、動かしていただき、[鳥取県]住宅供給公社のほうで管理運営していくという導入で整備をする方向で来たる[12月県]議会のほうに説明をさせていただきたいと考えております。
また、これもその議会のほうで予算など計上して相談を始めたいと思いますが、鳥取砂丘コナン空港につきましても脱炭素化を推進するための計画、この計画策定をさせていただきたいと考えております。それからこの週末、[11月]13日にはあの10人がやってきます。この弥生人、青谷弥生人のそっくりさんを募集しましたあの10名のそっくりさんたちが、また再び集結をしまして、それでもう一度みんなで弥生時代へ帰っていこうと、こういうことであります。
このたびは、[湯梨浜町]泊の方の銅鐸を兵庫県の学校が再現をしていただきまして、こういうものの復元、現地なども含めて、例えばいろんな勾玉などの体験授業であるとか、それから地元が今、盛り上がりまして、例えば脳みそパフェというのを作ったとか、こういうものを召し上がっていただくだとか、それからいろんな発掘調査の現場を見ていただく、専門家の解説も聞いていただければと思います。実は、今からちょうど1年後ぐらいに、この青谷上寺地の資料館、展示施設が開館することになります。そのオープニングの1年前として、今回第1回の「青谷かみじちフェスタ」というのをさせていただこうと。
それで、その状況を見て、また今後もこうしたことを、また、来年は開館時期になるかと思いますが、再び開催するなどしまして、青谷をはじめとした妻木晩田等の遺跡のあるこの鳥取県の弥生王国というのを全国の皆様に楽しんでいただく、こういうことを展開していければと思いますし、考古学などに関心を持っていただきまして、次世代の方々、子どもたち、あるいは研究者が関心を寄せていただき、さらにそうしたこういう青谷の弥生遺跡をはじめとした弥生時代、古代の解明が進む弾みになればと考えております。私のほうからは以上です。
〇時事通信 竹原伸 記者
では、質問のほうに入ります。報道機関名と名前を名乗った上で御質問のほうお願いします。それではお願いします。
〇日本海新聞 福谷二月 記者
日本海新聞の福谷です。原発の交付金について、お話を伺いたいと思います。まず、今回の制度の変更なんですが、そもそも制度の変更自体は10月の末ということで、発表は官報のみということだったんですが、鳥取県はこの交付金の対象になると、この時点で発表された理由ですね、知事もおっしゃったように、風穴を開ける1つの事例となると思いますので、制度が変更になった時点で速やかに県民にお知らせするべきだったんではないかと思うんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
●知事
これにつきましては、今日[11月10日]、我々も御説明を受けるということになります。例えば、この[原子力発電施設等立地地域基盤整備支援]交付金の適用対象で隣県が入るということの、これ本当官報登載ぐらいだったと思います。それで、我々も、今、実はハラハラドキドキしているわけでありまして、それで、一体中身はどういうものになるのかなと。それで、我々が実は要請したのは、例えば人件費が毎年かさみますよね。それで、そういうものがどうなるか。それで、中国電力さんが今、払うとは言っていますが、中国電力さんも国に要求してもらいたいということをおっしゃっている。それから、電源立地[地域対策]交付金などと、今の全体の予算の状況を見ても、そんな大きくないんじゃないかなと思われるんですが、どういうような、例えばレベルのそうした交付金になるのか、我々が実はファーストケースでありますので、ちょっとその辺は聞いてみないと分からないということであります。ですから、また、今日、[資源]エネ[ルギー]庁のほうで頭の整理をしたものを多分我々のほうに初めて教えていただけるのではないかなというふうに考えております。
〇日本海新聞 福谷二月 記者
先ほど知事のお話の中で、今回の交付金についてですが、根本的な問題解決には至っていないというお話でした。県民の中には今回のこの交付金の対象となることで、中電あるいは国に首輪をつけられることになったんじゃないのかと危惧するような見方も出てくると思いますが、改めて本県として、中電、国に対してこの原発政策に対するスタンスを示していただけますでしょうか。
●知事
私どもは[原子力発電所]周辺地域でありますので、安全安心、これを第一義として、今後も交渉それから監視にあたっていきたいというふうに思います。この手を緩めることは絶対にありません。それで、今回の交付金が出ると言っても電源立地の交付金とかと比べるとどうかということじゃないかと思うんですね。ですから、それで、例えば我々は、県は争うことはあれですけど、例えば地元でいろいろとそういうことであめ玉を取らされたんじゃないかみたいな、我々から見たら、うがった見方がありますけども、これは周辺地域の住民の皆様に対しても、やや失礼な見方ではないかなというふうに思います。
それで、それをそうした議論を意図的に起こされる方々もいらっしゃるかもしれませんが、冷静に見ていただきたいということですね。それで、先ほどもちょっと申し上げましたが、問題の根本は、原子力災害対策基本法(原子力災害対策特別措置法)で私どもはこういう安全対策をやりなさいというとこを義務づけられるように、実は東日本大震災の後、大きな制度改正があってなったわけです。ところが、それは、我々の住民の税金でやりなさいというのはどうも納得がいかないわけですね。
それで、そういう部分がまだ、人件費をはじめとして、いろいろと残されたままである。それで、そういう不満をぶつけたところ、今回この交付金が来るということでありますが、果たしてその解決になるのかどうかっていうのは、ちょっと今日聞いてみないと分からないと思いますし、恐らく今後もやはりこうした矛盾点は指摘していかざるを得ないのではないかと思います。そういう状況でありますので、例えばこれがあるから原発について監視が甘くなるということは一切ないということです。
○日本海新聞 福谷二月 記者
ありがとうございます。
○読売新聞 藤本幸大 記者
読売新聞の藤本です。原発の交付金に関連してなんですが、今回の交付金によって、中国電力と結ばれてる財源の協定の中身というのは、影響受けるものなんでしょうか。
●知事
それはちょっと今日話を聞いてみないと分からないと思います。実は、これは国のほうの制度として示されているものは、原子力発電所等を取り巻く環境変化が立地地域等に与える影響を緩和するというものでありまして、公共施設の整備、維持補修、維持運営、産業活性化、福祉、地域活性化等が示されています。ちょっと見た感じでは、その人件費、私どもが求めていたような人件費に恒久的に原発が動いている限り、やはりそういう人件費かかりますので、それで、そういうものを監視人員の人件費などに充てられるのかっていうと、多分ちょっと違うのかなというふうにも思います。そうであれば、残念ながら、今回、中国電力との協定を解消して、国のほうの[原子力発電施設等立地地域基盤整備支援]交付金に切替えていくという状況ではないのではないかなと思いますが、今日詳しい話を聞いてみたいと思います。
○朝日新聞 大久保直樹 記者
朝日新聞の大久保と申します。知事、この交付金の、このタイミングなんですけれども、もっと早くしかるべき対応あってもよかったかなと思うんですが、岸田総理が最近いわゆる再稼動を積極的に推進、それから次世代型の研究炉の開発とか、非常に原子力に傾いているという流れの中で、このタイミングで、この隣接する鳥取県に対する手当てがあるというのは、何かそういう思惑みたいなのを感じるんで、このタイミングについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
●知事
これはちょっと分からないですね、それはもう政府の事情なので、先ほどもちょっとお話がありましたが、なぜこのタイミングになったのかというのは、私も分かりません。それちょっと、それ以上本当に何も言いようがないです。ただ、いずれにいたしましても、そういう何らかの思惑があったにせよ、ないにせよ、事の本質は原発立地地域と周辺地域で財源格差が大分ありまして、それで、その中に、先ほどもお話がありました、何かあめを握らせて、これで何とかしてよっていうようなことをよく言われるんですけども、そういうもの以前の、原発が動いている以上は、例えば放射線の監視をしなきゃいけないとか、避難訓練をしなきゃいけないとか、避難路をつくらなきゃいけないとか。そういう一連の費用自体が実は、周辺[地域]は賄えないという状況がありまして、これが解消されているわけではございません。したがいまして、今回のこの交付金が出たから、その立地が急に進むかっていうと、ちょっとそこは分からないと思います。
○朝日新聞 大久保直樹 記者
もう1点だけ、関連しまして、その財政の格差なんですけれども、それこそ立地自治体なんかは、多分福井県なんかで見ると、基礎自治体なんかで、一般会計の半分ぐらいが原子力関連の交付金、収入というような自治体もあります。それで、そういう意味では、島根県もそうなんですけど、ただ、抱えているリスクっていうのは行政の区分にかかわらず、島根県と全く同じ境港、米子もUPZに入って逃げなければいけない。そのリスクにさらされていることは同じだと思うんですが、正直この数字はまだ、これからだと思うんですが、ちょっと桁が1つ違うんじゃないかというぐらいの違和感があるんですけど、このさっき財政の規模感っていう話がありましたが、その辺り矛盾というのはどのように考えていらっしゃいますか。
●知事
先ほども申しましたが、例えば、核燃料税の課税の可否も含めて考えていただければ、今、年々10対1ぐらい、オーバーに言えばですね、1桁違うぐらいやっぱり周辺[地域]というのは、対策費が賄えない状況であります。それで、それはいいこと悪いこと両方あるとは思うんですね。とにかくお金もらって、それで何とか私らもっていうことは、そういう実はけちくさい考え全然ないですから、周辺[地域]のほうは、とにかく被害が及ばないようにするにはどうしたらいいかっていうことで頭がいっぱいです。
それで、それ以上のことっていうのは我々ないので、周辺[地域]と立地[地域]の自治体の違いというのは確かにある。それで、ただ、いろんな議論は多分あるんだとは思うんですけども、私の感性からしては、何か必要以上の財源をもらってもしょうがないと思うんですね。せめて、その原発に使わなきゃいけないお金っていうぐらいは県民の税金ではなくて、電力料金であるとか、国の全体の予算の中で、やっぱり支弁されるものであって、我々は雇用すら生んでませんので、もしそこに企業、電力会社があれば、そこに雇用が生まれたり、そこから発注されるいろんな工事だとか、あるいは商品購入だとか、あるいはその人たちが暮らすに当たってのいろんな経済効果が生まれるかもしれませんが、我々はその経済効果すらないので、その辺についてやはりもっと真剣に考えていただきたいなということであります。
今日[11月10日]どういう、金額も含めてどういう御提示があるのかに注目をしたいと思いますが、今までのちょっとこの制度の内容等からしても、人件費を賄うこと等もないのかなという気もしますし、ちょっとまだ割り切れた状況ではないだろうと思います。
○時事通信 竹原伸 記者
時事通信の竹原です。すみません。新型コロナワクチンの関係で、今、国の話で恐縮なんですけど、財務省が、財政制度等審議会でいわゆる今後、季節性インフルエンザのワクチンと同様に一部自己負担にしたいと、それ検討するよう求めたんですが、今後、いずれ全額、今、無料ですけれども、今後一部負担というのは合理的なのかどうか、知事はどう思っていらっしゃいますでしょうか。
●知事
これはやはり国を挙げての議論が必要な分野だと思います。それは正直パンデミックにどうこれから国として向き合っていくのか、それから今のこの我々でいうと、今、BA.5.2、それからBF.5が主流ですけども、そういう株の状況というものをどう分析をするかなど、いろんな要因が絡むだろうと思います。だから、治せる病気になってインフルエンザのように対処できる、例えばタミフルがあって病院に行けば治るということであって、それで、有料で予防注射をやってくださいっていうのはある程度制度的に成り立つものもあるかもしれませんが、現在はまだその治療薬が確立されていない状況であって、国としても今、国のスタンスはやはりこの感染拡大を抑えなければならない、そういう意味で予防注射という手段を使うんだと、こうやっているわけでありますから、協力を求める以上は無料接種が基本ではないかと思います。
ただ、今後フェーズが変わればそういう議論があるのかなというふうに思います。ただ、最近の財政当局のやっていることに我々は正直憤りも感じます。それで、私たちは別にお金を使いたくてコロナ対策をやっているわけではありません。今回、問題になっています病床確保もそうです。それで、この病床確保については、病床確保をしていただくために我々保健所サイドでどれほど病院をお願いをして納得をいただいているのか、また、病院において、先ほど申しましたようにすぐにクラスターが起こってしまう。それで、クラスターが起こると病床は即座に埋まってしまいますし、病院の従事者の方々も出勤できなくなるわけですね。それで、そのクラスターを防ぐために病棟ごとに全部まとめて、ナースステーションも含めてその感染拡大を防止する管理をすると。
それで、そういうことで例えば20床まとめて、これを確保するんだったらば20床まとめてということになる。ところが、今回、財政当局と厚[生]労[働]省で話し合ってつくってきた案というのは、そのナースステーション分割をして、病棟ごとでなくて病室ごとに管理すればいいじゃないかっていうんですね。全くの素人だし、ナンセンスです。だから、お金の勘定だけでその物事っていうのは変わらないですよね。それで、今回の予防接種も単にお金の勘定で有料化しようとするんであれば、それは正直落胆をするところであります。
ウイルスは人間の都合で動くもんでもないし、ましてその予算当局の都合で動くものでは絶対にないです。それで、予算当局が、ここは、感染は広がらないだろうと決めて感染が広がらなくなるなら別ですけれども、現実はそれとは全く裏腹なことが現象面で起きているわけでありまして、それで、そのいい加減な施策に振り回されて、私どもも今、病床確保について一月以上、病院とすったもんだ、いろいろと頭を悩ませて協議をせざるを得なくなっていますけども、全くナンセンスです。
ですから、先般総理のほうにこれは直訴させていただいて、周旋をつくるというふうに総理も明言されましたので、今、それに期待を寄せていますが、どうも予算の管理が基で予防接種だとか、病床確保だとか、そういうところに少し節約できたといって満足感を覚える予算査定っていうのは、私はその血の通った予算査定でもないと思うし、これでパンデミック終わらせられるかといったら、逆にパンデミックが広がってしまう危険があるというふうに思います。
ですから、現象面に即してフェーズが変わっていって、それで、予防接種というものを検討していきましょうというのは、私は理解できると思いますが、ただ、やみくもに無料化っていうことをとにかくやめさせたいっていうのは、これは正しい感染症対策の姿勢ではないと思います。
○山陰中央新報 岸本久瑠人 記者
山陰中央新報の岸本です。税制調査会に関連してお尋ねしたいんですけども、政府のほうでは電気自動車の普及を見据えて走行距離に応じた課税の仕組みもその議論の中で提案されたということですが、地方では、車は欠かせない足になっています。知事はこの議論については、どのように思われますでしょうか。
●知事
これについては、税制の専門家が集まった政府の税制調査会でありますので、ある意味学術的な観点も含めて大いに議論はしていただく必要があるんではないかと思います。もともと自動車税というのは、これは道路損傷負担金的性格があるというふうに位置づけられてる税金であります。それであと、併せて財産課税的な意味合いもあるということも言われていました。つまり担税力に則して課税の根拠というのを求めるというものであります。
それで、現実今どうなっているかというと、やはり道路の維持管理費というのは増えていますし、もちろん建設の事業費もかかる中で、我々、都道府県が自動車税を基にしてそういう事業を展開しているという面があります。ただ、そこに電気自動車等が税率を優遇されるもんですから、その分の税収減というのは顕著になってきているのもまた事実でありまして、じゃあ、その道路損傷の度合いが減ったかというと、自動車が走れば同然ながらその道路は損傷しますので、そこの財源としてはあまり今のがあるべき姿なのかなというとちょっと疑問があります。
ただ、それが走行距離に応じてなのかどうかとか、どういう課税の在り方が公平であり、実際、科学的、専門的に見てもよりベターな方向なのかっていうのは、我々としてもちょっとよくまだ判断がつかないところです。そういう意味で、国全体でこういう議論が始まっているということ事態は評価をさせていただきたいと思います。ただ、税制というのは、納税者の皆様の納得と理解が得られなければ成立しないものでありますし、当然ながら国会での議論によって税法が制定されない限りは租税法定主義によって税金というのは変更できませんので、今後大きな議論が進むのではないかというふうに期待をいたしております。
ですから、その距離課税が、それがベストかどうかというのは正直今、分かりません。ただ、問題点は今浮上してきている状況はあるということは言えようかと思っています。
○読売新聞 藤本幸大 記者
読売新聞の藤本です。北朝鮮のミサイル発射について何度も最近繰り返されていて、また、Jアラートの不具合も出てきているということで、その辺についてのお考えを伺えますでしょうか。
●知事
まず、北朝鮮はやはり今、世界が平和に対する関心を深めている。今回の中間選挙がアメリカで行われている中でも、そうした世界情勢というのは当然論点になるぐらいでありますし、こういうウクライナ情勢に起因して、そうしたどうやったら国連の機能を高めていくことができるのか、平和を維持することができるのか、世界各国が関心を寄せているときに、ミサイルを一方的な理由で連射をするというのは到底受けられないと思います。それで、逆に北朝鮮の中の食糧供給であるとか、こうした健康管理であるだとか、民生の向上であるとか、様々な国としてなすべきことが優先課題があろうかと思います。そういう中で、先軍主義として軍事を優先することが正しい国家の在り方なのかというと、大きな疑問があります。
また、併せまして私どもは拉致被害者というものを抱えているわけでありまして、ここに人道的観点から一刻も早くやはり対処していくことが世界の共感を得る、理解を得ることにもつながっていくのではないかと思いますが、そちらのほうも一向に進展しないまま、逆に、その緊張を高めるミサイル発射だけが続くというのはいかがなものかと、これ断固抗議をしたいと思います。それで、私どもはそういう意味で県内で被害が船舶も含めてあるかどうかのフォローアップをしたり、また、安全対策の強化ということを不断にやっていかなければなりません。今、警戒レベルを高めた状態のまま止めております。
そういう中、頻発するそうしたミサイル発射につきまして、これちょっと若干前になりますけれども、報道でいろいろとされるが、随分後になって、国のほうから情報が我々危機管理当局のほうに届けられるということがございまして、これについては、鳥取県として抗議をさせていただきました。緊張感を持って、そうした危機管理に当たっている政府の部局においても、我々住民の皆様の国民保護をやっていったり、それから船舶を含めて周知徹底をしたりというのは、タイムイズマネー、時との競争であります。ですから、1秒1分でも早くそういう情報は共有していただくことが必要であります。
そういう意味で、Jアラート(全国瞬時警報システム)ではなかったんですけども、一連の情報の提供が遅れたということで今回の北朝鮮の連射の中で、私どもも抗議をさせていただいたこともございました。その後、政府のほうの対応は若干早くなったとは思うんですけども、ただ、Jアラートの件につきましては通過した後でJアラートが鳴るというのが合理的なのかどうか、やはり政府として我々も意見申し上げたわけでありますが、情報共有を現場や国民の皆様としていただくことの重要性をさらに考えていただきたいと思います。これ、人間のシステムの問題もありましょうし、機械のシステムの問題もありましょうし、点検をしていただく必要はあると思っています。
○日本海新聞 福谷二月 記者
日本海新聞の福谷です。12月の補正予算について伺いたいんですが、国の補正予算の中には、地域の稼ぐ力の回復強化として2兆4,000億円が計上されています。鳥取県としてはどういった部分に注力をしていって、この予算を積極的に取っていくということになるんでしょか。
●知事
このたび、政府のほうで示された28兆9,000億の中に、よく総理がおっしゃいますが、稼ぐ力の強化ということがあります。それで、国のほうでも産業成長資金ですか、何かの従来の補助金の拡充がございました。それで私どものほうでも実は県のほうでもやっているそういう経営改革であるとか、それから新商品だとか、また、今のこの稼ぐ力でよく総理もおっしゃいますけれども、輸出することなど、そういうことで稼ぐ力をつけていくということもあると思うんですね。だから、例えば、そういうふうに外に打って出る、そういう企業活動を応援をするとか、それから経営改革を行ったり、それからラインの変更をしたり、そうやって成長性を高めていく、こういうところでの助成制度というものを拡大していくということなどは、そうした稼ぐ力関連で県としても積極計上すべきかなと思っています。今ちょっと議論始まったばっかりで、今、整理中でありますけれども、そうしたことなどを庁内で今ディスカッションしているところであります。
○時事通信 竹原伸 記者
すみません。時事通信竹原です。すみません。7日に令和臨調ですね、発足されて代表世話人は宮城県の村井知事で、参加する22県の知事に平井知事も含まれておりますが、知事会とはもちろん別の組織ですが、この期待というか、こういう視点で訴えかけていきたいといった期待というかあれば教えていただければと思います。
●知事
やはり、今この[アメリカ合衆国]中間選挙も含めて世界が変わりつつあると。それで、日本も少なからずその影響を受けているような気がいたします。デモクラシー、民主主義の在り方が、今、転換点に来ているのかもしれないなとも思えるわけであります。それで、ポラライゼーションと言われるような二極化、こういうものが進んで行く。それでその背景にはネット社会があるのではないかと思います。イーロン・マスク氏がTwitter[社]を買収するということで、それが、言わば選挙に絡むのではないかというようなことも報道として指摘されたというようなこともございましたけれども、やはりこの民主主義というもの、もう一度我々の大切な価値として、きちんと再構築していく、そういう時期に差しかかったかなと思うんです。そんな意味で国と地方の関係であるとか、それから官僚組織、政府のほうの、これと政治との関係であるだとか、それから官民協働とよく言いますけれども、そういうパートナシップを結びながら市民社会、成熟系としての日本の、いわば政治プロセスやそれから地域振興の手法というものを磨き上げていく、こういうようなことが急務になってきたんではないかなと思うんですね。
なかなか[全国]知事会の中でその辺のコンセンサスを取って議論をすることは難しいですけれども、ただ、一首長としてで参加をさせていただき、そういう議論を仲間の首長さんたちとしたり、それから令和臨調(全国国民会議)の学会やあるいは経済界の皆様等々と意見交換できるというのは、この国を変える1つのチャンスになればというふうに期待をいたしております。やはり守るべき価値としてそうした民主主義というのがあるとすれば民主主義の学校としての地方自治、その実践の経験というのは役に立つのではないかというふうに思います。
我々としても、例えばいろいろと官僚組織や政治の関係もございますけれども、やはり硬直化した政策決定過程というのがかいま見れるんですね。それに言わば風穴を開けようとして、例えばこのコロナのときなどは典型的に地方から声を挙げて、これを幸いメディアの皆様も大きく取り上げていただいて、政府を動かすことが今できてきている面があります。しかし、まだ十分でないと思うんですね。やはりもっと日本型の民主主義というものを成熟させていくっていうことが大切ではないか。
それで、これと併せて今そのやはり一極集中のような状況がある。この一極集中に対してもっとその日本の国土を有効に活用し、幸せというものを一人一人個人のレベルで極大化していくためにも地方創生と我々呼んだりしますが、そうした地域の確立というものをもう一度取り戻していく、そうしたアイデアというものも我々も持っていますし、それを経済界の中枢の方々も含めて議論していければ大きな力になるかもしれないと思います。こういう一極集中の是正などは、特にやはり知事会の中でも議論が分かれる面がありますが、一個人して首長で参加すれば割と自由度の高い市町もできるんではないかというふうに思っております。知事会はまとまって政府、あるいは医師会だとか経済界と議論するそういうチャネルもつくりましたけれども、ただ、もっとダイナミックな自由度の高い発想というものを出していくためにも令和臨調に期待を寄せているところであります。
◯時事通信 竹原伸 記者
そのほか、御質問等はございますでしょうか。はい、大丈夫でしょう。はい、どうぞ、はい。
◯朝日新聞 大久保直樹 記者
せっかくなんでちょっと聞いてもいいですか。先般もお尋ねした、5期目のお話なんですけど、5期目、5期目あるかないかという話なんですが、県議会で最大会派の会長からもぜひにというような、そんなお話があって、それで知事が御判断される材料っていうのが、県民がまずどう思われるか、それから御自身の健康とか、あと、コロナとか知事会のお仕事まだあるということだったんですが、その辺りいかがですか。県議会で、二元代表制で県民が選んだ県議さんの最大会派のお声がそういうのがあって、それで、知事御自身も壮健そのものでいらっしゃるように見えますし、あと、判断されるトリガーというか、あと、何を今こう判断されているのかなという、ちょっとお伺いできればと思います。
●知事
結論から言うと、状況はまだ変わっておりません。したがいまして、今日新しい要素はございません。この間ですね、いろいろな方々から立候補すべきではないかというお声をいただいていることは事実でありまして、それについて私もその評価していただいたということに感謝を申し上げてきているところでありますが、ただ、自分自身は民主主義の道具として考えているところであります。先ほど申しましたデモクラシーの姿として、県民代表として役割を果たす。それで、その役割を果たす際に、自分が果たしてこれから4年間というものがふさわしいのかどうか、ちょっと変わりもんなんだと思いますが、そこは結構真剣に悩んでいるところであります。それで、また、自分自身の年令もだんだん重なってきていますので最初当選した45歳の頃とは、だんだんとポンコツになってきているのもまた事実であります。
そうした状況やあるいはいろいろ県政の行方を考えたときに、どういう方向性があり得るのか、それにふさわしいのは果たして自分なのか、あるいはほかの人材に求めるべきなのか、その辺もやはりきちんと考えた上で自分なりに結論を出す必要があると思っておりまして、今しばらくお時間をお借りをしたいというふうに思います。今後も様々なお話をいただくと思いますし、いろんな方々とも御相談していかなければいけないことでありますけれども、やはり慎重に自分の身の処し方について今はまだ考える時期ではないかと思います。ただ、年内にはやはり結論を出さないと多くの方々に御迷惑もかかるのではないかと逆に思っていまして、そうした年内の中で判断をしてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
◯時事通信 竹原伸 記者
そのほか御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。はい。それでは今日の知事会見終わります。知事ありがとうございました。
●知事
どうも、ありがとうございました。