防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2022年11月17日)

令和4年11月17日(木)午前10時~
 災害対策本部室(第2庁舎3階)

(報告事項)


(質疑事項)

  
  • 11月17日記者会見資料(PDF)
  • ※定例記者会見後の修正版資料となります。

    録画配信 知事記者会見動画(約100分) ※MPEG4形式

      

    ●知事

     

     皆様、おはようございます。本日も聴覚障がい者の分かりやすさということで距離を取り、マスクを外して会見に臨ませていただきます。今も世界の情勢は混沌としております。そういう中、G20[金融・世界経済に関する首脳会合]が開かれる、さらにはCOP27[国連気候変動枠組条約第27回締約国会議]、また、ASEAN[東南アジア諸国連合]、様々な協議がなされる中、昨日もポーランドにミサイルが着弾するというそういうニュースが飛び交っております。非常に不安定な中、私たちは物価高、あるいはエネルギー高、あるいは社会不安、こういうものを抱えながら進んでいかなければなりません。

     

    そういう中、私どもとしても、1つは新型コロナ[ウイルス感染症]の対策もあり、現在、[感染の波の]第8波がせり上がっている状況でありまして、本日、急遽、全国知事会も緊急対策本部を開催をすることとなりました。こうした国内外の情勢を見極めまして、私どものほうでも予算を今、編成作業中でありますが、それも最終盤に差しかかってきたところでございます。このたびの[令和4年度]12月補正予算の中では、私どもとして、今、予想されます国の補正予算、この審議が進むということを睨みながら、私どももその内容も物価高対策、生活困難対策なども含めて計上することといたしているところであります。




    こういう社会不安の中で孤独・孤立ということがクローズアップされてきております。特に[新型]コロナ[ウイルス]によりまして、その傾向が強まったのではないかと心配されているところであります。私どもはかねて例えば老老介護であるとか、ヤングケアラー、こうした問題の背景には、個人個人のそのお悩みの方々が孤立することはもちろんのこと、その方々を支えるべき家族なども疲弊してしまったり、老老介護なんかでは典型的でありますが、介護をするその介護者自身が高齢化が進んできており限界を感じる、こういうものを社会のセーフティネットの中で、その当事者、あるいは御家族や支援者、この辺も含めて支えていくべきではないかということで、有識者や関係団体と一緒に協議を進めてまいりました。

     

    さらには[県]議会での御意見を聴取をする、また、パブリックコメントを行う、こういう中、最終的な案を取りまとめましたので、孤独・孤立を防ぐ温もりのある支え愛社会づくり推進条例を、これを来る12月[定例]県議会に提案をすることといたしたいと思います。問題意識としてはヤングケアラーだとか、老老介護、あるいは8050問題[80代の親が同居する50代の子どもの生活を支えている問題]などもなかなか悩みを抱えている御家族もこのことを社会の中で何か訴えにくいという事情もありまして、そうした方々が家族ごと孤立してしまうということもあるわけです。

     

    ただ、鳥取県は幸いにしましてまだ地域の絆というものが残されているのではないか、また、もちろん行政のほうでも様々相談窓口を持っていたり、それから当事者団体だとか御家族団体、さらには様々なこれを支えようというNPO[非営利組織]をはじめとした各団体もございます。そうしたところでネットワーク社会を生かしながら孤独・孤立というものを解消していく、それを支えていく、そうしたことを考えようよと。それで、こうした包括的に本人だとか御家族、それから親権者、これを社会で支えていこうというコンセプトの条例としては全国で初めてのものになると思います。私どもも割とまじめにこうしたいろんな問題が今、同時に多発で起こっているけれども、その通底する、共通する課題は何なのかというふうにいろいろと思案をさせていただき協議をいたしましたが、やはりこうした問題に共通するのは、何か課題を抱える方がおられる、それを取り囲んで支援される方がおられる。ただ、それも例えば核家族化であるとか、いろんな状況によりまして、そうしたユニット(単位)ごとくたびれ果ててしまう、それで、こういう社会機能の低下ということがあるのではないか、この辺を鳥取県とて市町村などとも協力してやっていけないかということであります。こうした話し合う中、例えば産後うつの問題があるとか、いろんな課題が見えてきたところでございますが、こうしたことに自治体である、あるいは関係機関だとか県民、事業者の皆様、皆で協力をしながら地域で温かく支えていく、そういう温もりのある社会づくりというのが必要なのではないかということであります。

     

    そういう意味で、条例の中ではそうしたネットワークを強化していくべきだという御意見も非常にございまして、これ、まず入れる。それから、特にこうした個人情報の共有というのは難しい局面もあります。中には法律上、共有できる場合もありますが、それ以外のところにおきましても関係機関で共有できるようにみんなで協力していきましょうということを書く。さらに包括的支援だとか、制度の狭間の方、上手にその制度に対応できない部分もあります。

     

    ヤングケアラーなど、特に最近始まった課題でありまして、どうアプローチしていいのかよく見えないところがあります。それで、こうしたものにいろんな相談窓口であるだとか、例えばスクールカウンセラーであるとか、それから福祉のほうのそういう障がいを持っている家族の支援や、あるいは高齢者支援を助ける、そういうようないろんな制度がある、それで、そういう窓口をヤングケアラーのほうに投入していくというようなことで、制度の狭間の方にも対応できるようなことを地域資源を活用してやっていこうではないか。

     

    また、よくそうしたスキル(技能)の高い人材の育成というのが課題ではないかということもありまして、そうした方々の発掘だとか研修だとかも必要でありますし、関係の施策の推進ということも当然あるでしょうと。それで、こういうものを条例としてこのたびまとめさせていただきまして、可決されれば新年から施行していくということで考えております。


    それで、こうした問題意識も含めて12月の補正予算を編成をさせていただきました。今のところ見込では370億円台の後半になるのではないかと思います。それで、円安や物価高騰、生活者支援等がございますが、例えば円安等の関係では、産業成長応援補助金に円安でむしろこちらに回帰する企業さんがあるのではないかと、それで、ここに5%補助率アップを組み込んではどうか、また、海外へ販売するチャンスということもあるのではないか、それで、海外で、例えば日系の旅行会社なども向こうにネットワークを持っていたりします。それで、そうしたところと連携をして、海外でのビジネス拠点の役割を果たしていただく、そういうことはどうだろうか。

     

    また、これも関係者とお話をしますと、中小の運輸業者も含めて支援がなかなか届かないところがあります。そういう意味で運送事業者や荷主等が一緒になりまして物流効率化を進める、こういうものを支援しよう。また、従来やっている飲食店の支援、これを拡大をしていく、また、生活者対策では先ほどの条例関連で相談窓口を設置をするとか、うつ症状の早期発見、これ、例えば市町村のほうに、[膵液や唾液に含まれる消化酵素]アミラーゼの計測でストレスの度合いというのが分かります。そういうものを配置するその支援事業などをまず、これ、条例関連で出させていただこうと。

     

    あと、これ、国全体の問題でもありますが、生活福祉に、これ、返すのはこれから大変になってきますが、そのサポートをする人材、これを社協などに置いていく、それに対応する支援員の増員など、それで、このほか企業への資金繰りの一括返済の5年据置きのものの拡大、そうした融資の拡大やあるいはソフト事業としてのなかなか今、大変な困難な状況にある企業さんを企業支援ネットワーク、金融機関だとか、商工団体だとかと一緒になりましてフォローしていく。それから、これは県のほうで独自につくった助成制度でありますが、コスト高によって粗利が減少するところも含めて支援をしていこうと、そういう助成制度を拡大をするというようなことであります。

     

    政府の方でも岸田[文雄 内閣]総理[大臣]が、これから稼ぐ力と、こういうことをおっしゃいますが、そういう意味で若い方々がビジネスに挑戦していくものにつきまして、この週末、TORIGGER(トリガー)というあの八頭[町]の隼Lab.(はやぶさラボ)のところで実施をします。そういうコンペティション風のそういう様々な提案、これをみんなでサポートしていくというようなイベントも今、用意をさせていただいているところであります。このように予算編成は今、進んでまいりまして、来る12月議会のほうに370億円台後半に及ぶと思いますが、予算の今、提出の運びで準備をしているところであります。

    そして、今の感染状況、[新型]コロナの関係でありますが、一旦1,198[]まで上がった第7波から落ちてきたものの、徐々にこれが上がり始めて、第8波に入っているんではないかと。それで、特にこれ中身をいろいろと調べてみますと、こちらに書いてありますが、今、言われているようなBQ.1.1、あるいはXBBと言われる株は、今のところはまだ見つかっていないと。ただ、どうも動向がおかしいので、今、いろいろとまだ調査はしているところであります。

     

    それで主流はそうはいってもオミクロンの中のBA.5系統の流れではないか。BQ.1.1なども、BA.5.3の亜種でございますので、同じような系統のものが中心であるということであります。それが何らかの要因で感染力が強まっている、それによって広がっていると思うんですが、クラスター対策などをしっかりやっていくという鳥取のやり方によりまして、この第7波も、こういうふうにせり上がっていますが、他県と比べますと、徐々に階段を上るように上がっていく。一気に上がるというところをこれを防いだので、ここの第7波で大分各県と感染者数の差がついたのはそこであります。

     

    今回も今、始まりは結構早かったかもしれませんが、抑えながら今、上がっているところであります。それで直近の昨日の段階では500人を一旦切っておりますけれども、今、精査中でありますが、400[人]台ではありますものの、対前週でやはり増えていると。それで徐々に、やはり増えている傾向というのは止まっている状況ではありません。それで、中身を見てみますと、クラスター、子どもたちのクラスターがやっぱり多いですし、クラスターの手前でも、学校や保育園等の感染が目立ちます。それと併せて高齢者施設、これはデイサービスなどの、皆さんが家におられて集まる施設以外に、入所型の施設でも顕著に今、見られるようになってきていますし、それから事業所、あるいは工事現場、こうしたところでのクラスターも見られます。

     

    それで学校などでクラスターが今、多発している幾つか実例を一生懸命調査しているんですが、例えば、学校でのいろんなイベントがあると。それで、そのイベントのときに、大きな呼吸を伴うような、そういうものに関連してやはり一気に爆発的に広がるということが起きています。それで、それがちょうどこの秋の時期、そうしたイベントも多いもんですから、せり上がりのかなり大きな要因になっている。数的にそうではないかと思われます。それで見逃せないのは、医療機関や高齢者のクラスターでございまして、これも命に関わることになりかねないので、注意が必要だということです。 

    先般、政府の[新型コロナウイルス感染症対策]分科会がございました。それで、その分科会の考え方が示されました。私もいろいろ主張したんですが、通ったこともあれば、ちょっとよく分からないなということも実はあるんですが、いずれにせよ政府の方針は出たということであります。それで、政府のほうでは、このレベル1~レベル4に分けまして、特にレベル3、レベル4は医療機能に関わる深刻な事態だということで、これに対して対応を考えなさいということであります。今日、こうした政府の考え方を受けながら、各都道府県のほうから意見が知事会のほうでも出されるのではないかと思います。

    ただ、いずれにしましても、これに対応していくために、ちょっと従来の我々の施策、考え方を修正していく、適用させていくことが必要になりますので、このレベルの判断、ある程度分かりやすくするために、レベル2は確保病床使用率で30%超、[レベル]3は50%超、さらに[レベル]4は80%超、それで私どもの場合、やはり新規陽性者の数に応じて警戒を高めていくのが、先手、先手という、本当の先手、先手はやっぱりこちらを見なきゃいけないと思うんですね。この辺、学者の先生とちょっと見解が合わないんですけど、新規陽性者の数の、10万人当たり300人超とか、1,000人超、2,000人超ということでございます。ちなみに第7波の最高が1,300[人]ぐらいですかね、これが。ですから、このレベル3の段階であったというように設定されますし、50%のぎりぎりのところを行ったり来たりした時期がございます。

    ですから、第7波のピークというのは、大体このレベル3のレベルであると。レベル4はかなりそれを超えていくレベルであるということです。それで、このコロナ警報につきましても、こうした国のほうの設計図に基づきましてコロナ警報も数字をいじっているところでありますが、本日この新しい基準に基づきましても、西部地区につきましては、鳥取県版新型コロナ警報、病床使用率が30%を超えるということで、この警報発令ということに本日させていただきます。

    そして、こうしたレベルに対応しながら、感染拡大の緊急対策をやっていく必要があります。それで当面今、急いで実施しているものが、ここの下のほうに書いてありますが、年末年始の体制強化を今、医療機関と協議をしているところでございます。それから休日急患診療所とか、そういうところもであります。それで、外来につきましても、各家庭での抗原検査キットや解熱剤の購入について、これは予備ということでありますが、備蓄をするという意味で呼びかけをさせていただこうと。ただ、レベル1、2、先ほどレベル1、2の段階、現在はレベル2が本県です。それで現在段階では、まずはお医者さんに行ってくださいという考え方でおりますので、そこは御理解をいただきたいと思います。

     

    ただ、全国で今、このキットや解熱剤がかなり売られてきておりますので、せり上がっている段階なので本県はちょっとなるべく遅めにそっちに、波のせりを抑えていこうと思います。それで、うっかりすると市場になくなってしまいかねないということもありますから、そういう意味で、今のうちから購入、備蓄ということは、呼びかけはさせていただきたいという趣旨であります。今はまだお医者さんのほうで検査はできます。まずはお医者さんにかかるということをお願いします。それから入院協力機関以外の医療機関、これについても治療薬の研修会を来月早々には実施をしたいと考えておりますし、薬剤師会と相談をしまして、在宅療養の方への薬剤配布、これについても昨日話し合いをさせていただきました。

     

    それで、[陽性者]コンタクトセンターにも昨日から夜間のお医者さんによる相談、これができる体制に移行しております。それからクラスター対策として、明日からですかね、[鳥取大学医学部]千酌[浩樹]先生にお願いをしましてビデオの研修というものを流させていただき、医療クラスターを防ぐ、そういうビデオ配信を始めさせていただいたりしますが、それ以外の事象につきましても、こういうクラスター対策の情報共有を図ったり、研修を進めてまいりたいと考えておるところでございます。そういうようなことを今、当面、今、実施を始めたとこであるし、今日以降、今、実施を、目途が立ったところでありますが、先ほどのレベルに応じてレベル2やレベル3でそれぞれ対策を取っていこうというようにいたしております。

     

    例えば外来診療であればレベル2の今の段階で受診相談センターは順次、人員や回線など増強していこうということであります。現在は60人体制でやれているところであります。それからレベル3に入りましたら、みなし陽性ということも検討させていただいたり、それから抗原検査キットによって自宅でやっていただくということにレベル3の段階では移行していくことを検討したいと思っております。また、一般医療の制限によります病床確保という深刻な対応づくり、体制づくりにつきましてもこの段階では考えていくということになろうかと思っております。コンタクトセンターもレベルに応じて順次拡大をしていくということでありますし、クラスター対策につきましても来月から試薬を今、導入中でございまして、こういう医療機関等、あるいは子どもたちの施設などで定期検査を実施する、そういう体制に来月から移行していきたいと思っております。これは週1回やっていただくということですね。

     

    それからあと、発熱外来が逼迫してくるという厳しい状態になってきた場合には、そこで検査を受けるよりも行政検査のPCR検査のほうをまた拡大して提供していくということをやっていこうと思います。

    それから先般来いろいろ議論がございますのが、乳幼児のワクチン接種がなかなか進まないではないかという御議論でございます。これはやはり小児科のお医者さんはやろうとして協力していただいているんですが、なかなかその集まりが悪いということがどうしてもあると、様子見ということであるかと思います。

    それで、そこで1億円をこのたびの[12月]補正予算の中にも入れさせていただきまして、小児科のお医者さんに例えば夕方の5時から7時まで当院ではワクチン接種、コロナをやっていますというようなことで専用の時間帯をセットしていただくと。それで、そこでそれに対して市町村だとか、保育所などでもそうした情報を共有をしながら、もうそこの時間帯にまとめて行ってくださいっていうようなことをオペレーションをしていく。

    例えば定期健診を6か月、1歳半、3歳でやると。湯梨浜町では1歳でもされますが、そうしたときに呼びかけをしたり、保育所などでも保護者への呼びかけをしていただくと。それで、こういうことでできる限りこの小児科のほうに集まっていただけるようにしてはどうかと。それから県のほうでも広域的に、今日からこの[乳幼児接種]ワンストップ相談窓口というのをつくらせていただきますので、どうか御相談をいただければありがたいと思います。以上がコロナ関係でございます。

    それから道路やあるいは鉄道もございますが、いよいよ雪のシーズンになります。長期予報では今年は雪が多めではないかという予測も出ているわけでありまして、我々としてもその備えを考えなければいけません。そういう意味で今の道路の除雪[機]等の確保につきましては、除雪機を500台ベースに増強させていただき、全車にGPSを配置しまして効率的に除雪の運用ができるようにしようと。また、問題はあるところでスタック(タイヤが雪などにはまり進まなくなること)して止まってしまう場合があるんですね。それで、これ早めに見つけて、それでそこを優先的に除雪をしたり、あるいは交通整理をしたりして、交通確保することが大事でありますが、そのカメラも250台を超えるレベルに今、増やしてきております。

     

    それから今日、除雪の業者さんに対します除雪の研修を実施をさせていただきます。また、関係機関の訓練も今月行おうと。それからあと、明日、冬季道路交通確保対策会議、これを国土交通省さんや県、市町村、警察等で集合しまして、これで申し合わせをしようと。それで、今ここで話し合うことにいたしておりますのが、速やかに交通規制が行われるようにインターチェンジに誘導員を配置をして、例えば警察の人に交通整理を行っていただいたり、鳥取県の場合、対面交通が多いんですね、高速道路でも。それで対面交通の場合、あれ交通規制がありまして、後ろに[いる時]前が詰まっていたら並ばなきゃいけないと。だけど、交通整理で警察官が出て、もう片方を止めて、こちらはもう帰ってくれと。それでスタック車両で起きている渋滞の中で取り残された人たちを外のほうに誘導するということなども考えられるわけでありまして、そうした警察等も含めた協力によりまして、速やかにスタックを解消していくと。渋滞、そこに閉じ込められる車というものを解消していくということを考えていこうということなど、明日話し合いをすることにいたしております。

     

    またJR西日本さんをはじめとした情報共有も確認をさせていただき、リモートをずっと開きっぱなしにして、大雪のときには一緒に行動していこうというような方針で今年は臨もうとしております。また12月補正[予算]の中でも5億円除雪費を追加計上いたしまして、昨年度の19億円という実績を上回る20億円を当面用意させていただくことといたしたいと思います。また、併せまして、防災一般については[とっとり]防災フェスタ[2022]を3年ぶりに今週末行うことにいたしておりまして、この実動の訓練の状況はライブで配信をするということにいたしております。

    それから子育て関係でありますが、これ実はいわゆる低出生体重児、こういうお子様が生まれてきて、母子手帳つけますけども、母子手帳ってやっぱり基本的なパターンに応じて作ってるもんですから、低体重で出生されたお子様は結構発達の遅れも出る傾向が強うございまして、そうしたものにうまく記入できないというか、使いづらくなってしまうと、母子手帳が。それで母子手帳の副読本という形でそうした低出生体重児に即した発達、成長の見守りができるようなハンドブックを鳥取県として作らせていただきました。これまた来年に入りましたら配布を開始したいと思っております。

     

    それから今回の予算の中で、このたび静岡[県]で起きた悲しい園児の置き去り事故、さらには先般大阪[府]でも自家用車の中に取り残したという、そういう事故がございました。それで、こういうものに即して、緊急に予算を計上させていただいて、送迎バスの安全対策、それから預かり状況を確認できるスマホなどでの管理システム、それからICTを活用しまして、どこに子どもがいるかっていうののGPSでの見守りなどを支援していこうと、こういうようなことであります。

     

    本県では、実は当初予算ベースで360度車内が見える、そういうドライブレコーダーの購入補助をやっていまして、既に5つかそこら、園のほうで今年も導入していただいていますが、そうしたものを国の今回の制度も活用しながら強化していこうということであります。また、このたび政府のほうで打ち出された出産子育て応援給付につきましても、5億円余り本県としても計上させていただこうということであります。

    それから一部報道でも若干ありました点でありますけども、倉吉地域で最近事業拡大等の動きがありまして、これを機動的に本県としても支援していこうということであります。一部報道でありましたオムロンスイッチアンドデバイス株式会社様におきましては、平成22年に実は倉吉[市]の事業所を岡山[市]の事業所のほうに本社を持っていきまして、それまでオムロン倉吉って言っていたものがこういう会社になり、岡山の会社になって、その工場としてやっていたわけです。実は平成28年に鳥取県中部地震もありまして、残念ながら被害も受けられる。そういう中、岡山のほうの拠点性が増していたような状況ではあったんですけども、このたび、本社を岡山から倉吉に丸ごと生産機能を集約していこうと。それで、コネクタなどもこちらの倉吉のほうで生産をする。そうしたことで70名の従業員の皆さんが倉吉のほうへ移ってこられるということになりました。それで、今、オムロンさんとはいろいろと接触、交渉もさせていただいておりますが、今のところは具体的な話には至っておりませんけれども、投資等の状況に応じまして、機動的に支援していくことも御相談を申し上げているところであります。

    あともう1つは、本県の誘致企業であります、[株式会社]グッドスマイルカンパニーさんですね。それで、この会社はフィギュアの製造工場でございます。それで、このフィギュアが結構海外も含めて非常に市場が伸びていると。そういう中、海外に実は生産拠点がありました。それで、そういう中、鳥取県のほうで誘致をしまして、まんが王国とっとりの関連誘致として、当方のほうの工場をそのまま居抜きで使う形でフィギュア製造を始めておられましたが、非常に評判も良く、生産も伸びているという状況でございます。

    そこで倉吉[市]さんのほうでも、新しい第2工場、これにふさわしいものを市としても整備していこうと。それは県のほうでは支援を市に対して行う。また、会社の設備投資に対して、[鳥取県]産業成長応援補助金などを行うと。そうして、当面100名規模の新規雇用ということを第2工場のほうでもやっていこうという話が、このたびようやくまとまったところであります。これから、倉吉[市]さんのほうでも調整をされると思いますし、グッドスマイルカンパニーさんのほうでも、さらなる検討もされると思いますが、近々、調印式を関係者でやって、この第2工場の設置に向けまして、地域丸ごとで支援していこうというふうに、今、話し合いをしているところであります。

    それから、本日からスナバ国民、これは関係人口的な方、単なる観光よりも、例えばボランティアをこちらでやるとか、週末農業をやるとか、いろんなタイプの方々がいらっしゃいます。それで、こういう方々、今スナバ国のパスポートというのをネット上で発行していまして、これに登録された方も、今増えてきているところであります。それで、今日から本県の宿泊施設やこういう体験メニュー、こういうものを御利用していただいた場合に、抽選で県内の3万円相当の宿泊券が当たりますよというキャンペーンを始め、コロナ後に向けまして、こうした関係人口強化にしていければと思います。

     

    また、この週末、ちょっとこれ不正確かもしれません。ゲゲゲ忌のほうはこの週末だけじゃないと思いますが、宙(そら)フェスTOKYO2022、これ日本橋で行うものにつきまして、これ、後で訂正しますけども、宙フェスにつきましてはこの週末、VRで宣伝しようと。また、ゲゲゲ忌2022、これもちょうどこの11月の末目がけてされます。このたびはゲゲゲ忌2022に併せまして、アニメを公開をして、その上映会などをされます。それで、その中に、原口御夫妻だとか関係の御家族なども登壇をされるようなことをいろいろと声優さんも含めて展開をされるということであります。それで、この機会に鳥取県としても出展をしたり、また、私どものほうでメッセージを送ったり、それで生誕祭を3月にやりますので、それに向けた我々のプロモーションもしていこうと思います。[水木しげる]先生には大変お世話になったふるさとでございますので、このゲゲゲ忌にも協力していこうということであります。

     

    それから、国際バカロレアフォーラム[2022in鳥取]、いよいよ新年度、動き出すということで許可が取れました。それで、この週末に倉吉におきまして、[倉吉]東[高等学]校の考え方、併せてシンガポールの学校や国内の先進校なども含めてフォーラムを行います。この国際バカロレアは、海外への留学ももちろんでありますが、例えば国内で言えば、東京大学や京都大学など有名大学の入学資格にもつながってまいります。そういう意味で、優位な人材、国際人材を意欲的につくっていこうということであります。全国では、公立でのこのバカロレア校はまだ10校程度でございまして、そういう意味で少し前に進んで、本県としてもチャレンジをしていこうということであります。それから、県立美術館につきまして、今週、来週とですね、来週、また動きがあるわけでありますが、27日には気球を飛ばしまして、それで、上から今の建設中の美術館を見ていただけるそういうイベントであるとか、それから見学ツアーであるとか、それから、例えば倉吉の中華料理屋さんで美術館のラーメンを作って売り出すということをされますが、24日に青年団体のほうでそうした認定事業などをやられまして、いよいよそうしたアートと食など、こういうものをスタートしていこうということになるわけであります。

    この県立美術館につきましては、いろいろと世上議論もございますし、県民の皆様にも様々なお考えがあるという状況であります。昨日、これを、[鳥取県立]美術館[整備推進]事業を展開している[鳥取県]教育委員会やあるいは美術館の関係職員幹部を呼びまして、私の考え方も申し上げたところでございます。それで、今、いろいろと議論があり、報道機関の皆様もそうした意味でメディアを通じて今の議論の状況を県内外に発信をしておられるわけでありますが、私もこの間の動きを見ていて、幾つかやはり気になると言いますか、自分として考えるべきことがあるなと思っております。基本はやっぱり教育委員会のほうで差配してもらわなければいけない部分なんですけども、ただ、少し方向性を我々執行部としても申し上げるべきことがあるのではないかと思っておりました。

    この美術館につきましては、今回、ブリロの箱、これが議論を呼んだわけでございます。それで、実はこのブリロの箱以外にもキャンベルのスープ缶と言われる、これもやはり著名な作品がございまして、これについてもこのたび美術館のほうで購入をしたというところでございます。その後、この作品をめぐって、これを買ったことについてどうかという賛否の両論が巻き起こっているところでありますが、私は、これはやや誤解を恐れずに申し上げれば、当然起こるべきして起こる議論なんだろうと思うんです。それで、その1つは現代美術、特にポップアートと言われるジャンルについての芸術に対する世界の理解の問題であります。

    このブリロの箱も1964年に発表された作品でありますが、非常に議論を呼びました。というか最初は無視されるくらいであります。それで、その後、カナダの美術館が購入をしまして、さらにストックホルム、ヨーロッパのほうでその評価が高まってくるということです。それで、1950年代の半ばぐらいから戦後、新しいその世界の中でアートが変わっていく時期がありました。それで、1950年代半ばから1960年代にかけましてポップアートというのがアメリカ中心に生まれてくるわけであります。このポップアートはちょっと遠い国のように思いますが、日本で言えば草間彌生さんだとか、ああいうのは皆ポップアートの系譜に入るわけです。それで、それまでの芸術とはちょっと異質なものがありまして、これをアート、芸術として認めるかどうかというのが非常に議論を呼ぶわけでありまして、従来の芸術のジャンルとはかなり違ったものであります。

    それで、[アーサー・コールマン・]ダントーという批評家が有名な著述を、こうしたものを残しているんですけれども。アートの世界というのがあると、それで、そのアートの世界の中で、それまでは作品自体、例えばモナ・リザの絵自体がその評価というものをいわば決めるというふうに思われていたものだと思いますが、このポップアートのこの特にブリロの、1964年のこのブリロの箱に、実は彼も着目しているんですけども、このブリロの箱が1つきっかけになりまして、その芸術というものが実はその批評家だとか、学芸員だとか様々な人たちの関わりの中で芸術として認められてくる、そういう現象がポップアートで起きたのではないか。それで、ポップアートというのは、そういう意味でそれまでの芸術の歴史、美術の歴史の中で一つの画するものだったというふうに言われていまして、今ではそのダントーさんも含めてこのブリロ以前、ブリロ後というようなそういう区分けをして考え方の整理をするということも行われているところであります。

    そういう意味で美術館の学芸員の皆さん、それから有識者と協議をして議論をされて購入を決定されるということだったと伺っていますけども、その全国でも著名な美術関係者の皆さんも、このブリロの箱というものについて購入すべきだというふうに結論付けられただろうと思いますし、それは一定の合理性は、私はあると思います。ただ、このブリロの箱をめぐって世界がいわば議論を巻き起こされたわけです。それで、この[アンディ・]ウォーホル作者自体もそういう議論を巻き起こそうと思って、芸術は何かという問いかけをこの作品の中でされたという面があります。

    したがいまして、実は我々が今、こうして県内で議論をし、またそれが着火点になりまして全国でも議論がされていますが、これ、まさに現代美術史がたどってきた道筋を今、私たちが歩いているということなのかもしれないなと思って見ているわけであります。そういう意味で、例えば、何かの公共事業をやる、あるいは何かこういう1つの補助金事業を出すというようなことであれば、今、ここでそれを、じゃあ、やるかやらないか判断するということかもしれませんが、このブリロの箱をめぐって、巻き起こったポップアート、あるいは現代美術の承認の過程、世界的なプロセスから考えますと、短兵急に決めてしまうというのも、またこれいかがかなというふうに思います。

    それで県立美術館の今の美術収集の関係者にも申し上げたんですけども、例えば、美術館が開館をして、そこでキュレーター(学芸員などの学術的専門職員)が、これはこういう意図で、この美術館にはふさわしいと思って購入したという意図があると思います。それで、それに即した展示をつくられる、それが美術館完成の後だと思います。それで、その後ですね、このブリロの箱という美術品を鳥取県が保有し続けて、展示し続けることが、是か非かというのを、例えば来館者とか、あるいは県民の皆さんで、これを御覧いただいた方々、実際にその場で、現場で展示を御覧いただいた方々で、何だったら投票してもらって、3年ぐらいかけて判定してもらったほうがいいんじゃないだろうかと。それで恐らく、その中で芸術は何か、残念ながら鳥取県はずっと県立美術館のようなものを持ってませんので、こういう現代美術に対しての議論をまともにやってきた経緯はないのかもしれません。

    ですから、県民の皆さんでも賛否両論出る。全国の皆さんもこれに触発されて議論が出ていますが、芸術というものは、これも芸術として認められてきたという過去の歴史も考えれば、開館して、例えば3年間とか、一定の期間ですね、投票で判定してもらうぐらいの気概で美術館の関係者も、言わばその正当性というのを主張されるんだったらしてもらったらいいし、それに対し反論だとか、いろんな御意見もあれば、そのときはまた受け止めていけばいいと。それで、こういう議論をすることで、初めて美術に対する子どもたち、あるいはいろんな世代の方々の理解が深まり、ここで美術館をつくったという意義が逆に生まれるんではないかなというふうにも思うわけであります。

    それで、そういうふうに展開していくほうが、今のこの問題状況、議論の状況からすると適切なのではないだろうか。そういうように私の考え方を美術館の関係者のほうに申し上げたところであります。それで、その上で、ただ、正直まだ説明不足じゃないかと私も思っています。特にブリロの箱が3億円という言葉が一人歩きしていますが、実は西尾[邑次]県政の時代から県立美術館の構想がありまして、それで県内作家、あるいは県内作家に関係する、例えば前田寛治(現・北栄町出身の画家)に関連して[ギュスターヴ・]クールベの作品を買ったりしています。それで、こういうような作品収集がこれまでに13億円[かけて]行われています。それに、この現代美術のウォーホルのブリロの箱というものが乗っかった、16億円のうちの3億円ということなんですね。ですから、美術館を開くに当たって、このブリロの美術館ではなくて、県内の作家、それを検証してまた親しんでいただく。それで、あるいは漫画テイストというものも当然本県を語る上では欠かせないと思いますので、そういうことも今、学芸員の皆様も一生懸命考えてくださっていると思っております。それで、そういうようなやっぱりコンセプトだとか、それからせっかくブリロの箱を買うのであれば、子どもたちみんなで、ブリロの箱作ってみようじゃないかとか、そうやって現代アートを展開していく、言わばラーニングセンターとしての美術館の役割ということを教育委員会は強調されるわけでありますが、そうであれば、そういう具体的なプログラムなども含めて、やはり県民の皆様に対して、キャラバン(周知・広報活動)を開館までにしっかりやっていく必要があるんじゃないか。その辺の、言わばスケジュール感というか、これからの展開が何もないままブリロの箱が良いだ悪いだで意見があったので、あちらで説明会ありますと、これを繰り返していても、多分生産的な議論にならないんじゃないかなと私は思います。

    したがいまして、開館時期目指して、各地で精力的にそうした美術館というものに対する理解、これはブリロの箱のことも含めてやってもらったらいいと思いますが、そうしたことをやはり展開すべきではないかというように、これを申し上げました。あと、もう1つ県民の間で議論が上がっていたことに関連して、私はちょっと問題意識、これは執行部側として持っていることでありますが、このブリロの箱について、これは美術品の収集の基金(美術品取得基金)で買っています。

    それで基金制度というのは、これはどこの県でもやっていることでありまして、典型的には土地開発基金っていうものがあります。それで、土地開発基金の例を取っていえば、公共事業をやろうとして、その公共事業に必要な土地を買います。ただ、その土地を買うときに所有者の人と意思が合致して、今のタイミングでこの価格で買わなきゃいけないということになるわけですね。それで、それに対応するためには、分かったと。じゃあ、これから議会にかけて、予算をつくって、議会にかけて承認を得て、それで契約も承認を得て買いましょうというふうにしてると、土地はほかの人に売られちゃうかもしれないと。

    それで、そこで美術についても、これもほかの県もやっているかもしれませんが、西尾県政時代に、美術館構想がありまして、[美術品取得]基金をつくって、そこでお金を持っておいて、それを美術品に換えるという。だから基金の中に絵が入るんですね、絵やあるいは彫刻なんかが入ってくるわけです。それで、現金で持つか、絵で持つか、それで土地開発基金だったら、現金で持つか、土地で持つかっていうようなそういう仕組みが実は地方自治制度の中にありまして、これを活用してやっているわけですね。それで、それを今回、美術館関係者の皆様で、これは全国の専門家にも聞いたけど、これは買うべきでないかということになったということでこのたびブリロの箱を買われたわけであります。

    しかし、今、いろいろと議論が起こっていますので、通常であれば、例えばそういうブリロの箱を買った後、当然基金の現金が減りますので、その現金を補充するために絵や作品とそれから現金を一般会計と入れ替えて、基金をもう1回お金に変えていくわけです。それで、こういう作業を実は毎年、これは通例としてやっているんですが、これは、今までは割と地元作家の[作品]を買って2,000万[円]、3,000万[円]の世界でお金と絵や作品を入れ替えていました。

    それで、そういうのとはちょっとレベルも違うし、議論もありますので教育委員会的には、ルールに基づいてまたお金に入れてもらえということになるんですが、お金に入れた途端にまたこれが別の作品に大きく変わってしまうかもしれないと。それで、今はそのタイミングではないんじゃないかなと思うんですね。それで、まずはこの現代美術、ポップアートについての議論が巻き起こったわけですから、それで、このことについて県民の皆さんの様々な賛否両論というものを受け止めながらいろいろと考えるべき時期に今、入っているんじゃないかなと思うので、この基金を現金化していくということは凍結を当面したいということを昨日申し上げました。

    教育委員会のほうもちょっと予定とは違うと思うんですが、今の議論の状況というのは教育委員会のほうでも理解をしてもらったと思います。したがいまして、当面ですね、まずは開館目指して様々な住民の皆さん、県民の理解というものをやはり進めていくことが重要でありますし、出来上がった後、どういうふうにこういうものを果たして生かしていけるのかというものをやはり精力的に取り組んでいただく必要がある。それで、私の1つの考え方、コンセプトとしては開館後に、実際にその鳥取県立美術館に足を運んでいただいた県外から見に来られた方々や、あるいは県内の見に来られた方々、実際に展示も見ていただいて、それで、これが是か非かというのをやはり我々税金で造ったものである以上は、判断する機会も確保しておく必要があるんじゃないか。

    ただ、それを今日や明日で全部決めてしまえというのは、現代美術に対して我々も謙虚に考えなきゃいけないところでありまして、段々とこの時代とともに、芸術に対する考え方というのは変わってくることがございますし、今、現に世界中ではブリロの箱はアートとして認められている、それなりの価値も持つものとして認められていますので、その判断に我々鳥取県としても県民の皆様の御理解が得られた形でできるかどうか、これは美術館開館後、例えば3年なら3年の判断期間というものをつくって、みんなで、じゃあ、投票してみようと、ええかどうかと、何か分かりやすい形でしてみたらいいんじゃないかと。それで、そういうことの議論をすることこそが美術館を造った1つの意義ではないかというふうに考えたところであります。

    今、教育委員会のほうでどうすべきか、検討を始めてくださったと思います。いずれにいたしましても我々執行部として、県立美術館、建設も進んでおり、こうやって地元の方々も盛り上がっていますので、私どもとしてはサポートしていく考え方であります。ただ、今いろんな議論が起こっていることについて、ただ突き進むのではなくて、一定の修正をしていただいて、やはり県民の皆様の考え方、あるいは日本全国で起こっている議論との折り合いというものをやはり我々も真剣に考えるべきではないか、このように思っているところであります。私のほうからは以上です。

    ○時事通信 竹原伸 記者

     はい。それでは質問のほうに入ります。報道機関名と名前を名乗った上で御質問をください。それではお願いします。

    ○読売新聞 藤本幸大 記者

     

     読売新聞の藤本です。今おっしゃったブリロの箱の件で、例えばその開館後に投票してもらってというふうなお話ですが、こういったこと、仮にやったとして否定的な意見が多かったということになれば、その作品をまた売りに出すとか、そういったことになるということでしょうか。

     

     

    ●知事

     

     そこはまだちょっと今、決めきれないとこだと思います。美術館運営には美術館運営のルールもありますし、ただ、やはりそこは勝負をかけるべきものもあると思うんですね。これやっぱり美術館関係者の常識と我々、要は美術の素人とのギャップかもしれませんが、やはり県民立の美術館であると言うからには、県民の皆様が認める内容の美術館に、これは専門家の方々もこれやっていただく場面っていうのはあるんじゃないかというふうに思います。ただ、今、じゃあ、それを処分してしまうかっていうところは、私もそれ言う権限も実はございませんし、それはまたそのときの話し合いの中で考えていけばいいのではないかなと思います。

     

    ただ、私もちょっと実際にMoMA[ニューヨーク近代美術館]というアメリカの現代美術館にも度々行ったことも、アメリカに住んでたもんですから、ございまして、こういう[アンディ・]ウォーホルの作品にも触れていますが、正直最初はよく分かんないんですよね。それで、これって雑誌に載っている、例えばマリリンモンローの絵もそうです。これあそこで見たあの写真をちょっとコラージュしたぐらいじゃないのっていう感覚になっちゃうんですよね。ただ、何回か見ていて、それでそこにやっぱりキャプション(説明)がついています。それで説明がいろいろとされますし、やはりこれは、こういうことで価値があるんだっていうのをやはり後々やっぱり評価っていうのは決まってくるんですよね。その時間がやっぱりかかるんじゃないかなっていう感覚はあります。

     

    ですから、今、生煮えの状態で右だ、左だいうのは、これはやっぱり作品に対しても礼を失するのかなと思いますし、正直ウォーホル自体がこういう議論を望んでいたと思うので、それで、その議論を提起された以上はやっぱり我々もしばらくはそれを受けて立たなければならないんではないか。それが芸術に対する正しい向き合い方なんではないかなと思うんですね。それでいろんな作品ってやっぱりあります。障がい者アートなんかもそうです。それで、こんなもんって言ってしまえばそれで終わってしまうんですけども、やっぱりそれに対して、さっきの批評家のお話もありますけども、いろんな関係者が関わって、それでそれに対して時代の流れの中でこれは芸術的価値があるものかどうか、アートかどうかっていう、そういう判断、評価が生まれてくるわけですね。ですから、そういう、アートワールドと言われるようなそういう芸術の社会、芸術世界の中でしかるべく判断されていくものであって、まだ私たちはその判断の入り口に、今入ったに過ぎないのかもしれません。

     

    したがいまして、時間をかけて議論をしていく中で、皆さんの見方もいろいろ出てくるでありましょうし、それでひょっとすると、こうしたことがきっかっけになって鳥取県立美術館が本気で現代美術に取り組もうとしていると、そういう気概が逆に伝わって、それを見に来られる方が逆に出てくるかもしれない。その辺は、今はまだ判断できないのかなと。ですから、これからしばらく、まずは県立美術館っていうのは、こういうことをやりたいんだっていうのをやっぱり関係者が率直に理解を求めていくことが大事な時期であって、開館後にそうした判断すべき時期があってもいいんではないか。それで、判断についてはやはり県立であり、県民立である以上は謙虚に受け止めるべきだと私は思います。美術館関係者の方はいろいろとあると思いますが、その辺はこれからよくそのとき議論していけばいいんじゃないかと思っています。

    ○日本海新聞 松本妙子 記者

     日本海新聞の松本です。関連して美術館のお話で、美術品の収集基金の現金化を凍結したということは、実際に、コレクションに影響が出るとお考えでしょうか、今後。

    ●知事

     要は、極論言えば、またブリロの箱が出てきましたら、また、買いましょうというのがちょっと私はよく分かんないんですね、これ、申し訳ない。ちょっと今のは取消したらいいかもしれませんけど、ともかく、まずはこの議論がどういう方向にいくかっていうのを、やっぱり大切にすべきだと。私はこの賛否両論が非常に値打ちがあると思っていまして、それで、この議論が沸き起ったわけですから、それで、これを大切にして美術館はこういうものだとか、芸術というのはこういう視点だとかいうことを、いろんな方々に体験していただく、それにまずは注力すべきではないかなと思っています。それで、そういう意味で今、5億円ほどのものが今、5,000万かそこらだと思います、残っているのは。

    ただ、毎年、購入しているような郷土作家を大体2,000万、3,000万くらいのレベルには収まっています。それで、通常の収集は、そういう収集のレベルでありまして、来年、再来年と行く分には、それは可能なレンジに入っている、収集は続けられると。ただ、こういう言わば議論を呼ぶような作品の購入というのは、ちょっと待ってくれと、これは執行部の考え方。ちょっと教育委員会はどう考えるか分かりませんが、我々はむしろ、立ち止まったほうが美術館の意義は高まる、本当に皆さんに美術館について考えていただく機会になると思うので。ただ、ここでまた新しい大きな作品を買うと、話がまた逆戻りしてしまうんじゃないかなということを、ちょっと心配をしていると、はた目ですけどね、心配をしているということです。

    それで、万が一、じゃあ、本当にこれはみんながいいと思うと、これ買いたいということが出てくれば、それは一般会計で普通に予算を出して買えます。それを緊急に、すぐに話が合えば買える形にしているのが基金というやり方なので、それで、普通に購入をすることは一般会計でも買えます。例えば博物館、いろいろと所蔵品がありますよね、美術品じゃないですけども、そういうものもそうした予算で買っていますから買おうと思ったら買えるわけです。ただ、学芸員さんたちが非常に機動的に動ける、そういう意味で、これ、仕組み自体は大事な仕組みだと思うんですが、その基金制度の活用というところは、ちょっと当面、執行部としては、ここは一旦凍結させていただいたらどうかなと思います。

    ただ、世間がもう納得したと、もう、じゃあ、次買おうやということになれば、また基金と作品を入れ替えて、それで現金をつくって、また、まだ5億円まで、今、買えるんで買おうと思ったら。そういう状態に戻すということは考えられると思いますが、私は今、今年度は少なくとも凍結しておいたほうがいいんじゃないかなと思っています。

    NHK  吉川 綾乃  記者

     

     NHKの吉川と申します。乳幼児ワクチンの接種促進事業について何点かお聞かせください。まず、いずれも小児科への財政支援に関してですが、専用時間帯開設支援、また接種回数実績加算、ともに10万円を超える高い設定となっています。専用の時間帯を開設する医療機関の負担など、この設定背景があれば教えていただけますでしょうか。

     

     

    ●知事

     

     これについては、東部、中部、西部の、実は小児科の先生方とお話をさせていただきました。やはりそういう人件費のことだとか、それから実際なかなかハードルが高いんです。この5人、10人集めるっていう状況に今、正直ないんですよね。それで、ただ、お医者さんが、あの子、あの子っていうのは顔が分かる、お父さんお母さんも含めて、それでそういう小児科のお医者さんが、今これ一緒に打ちましょうっていうふうに声かけをしていただくっていうのが非常に我々としても効果があると思っていまして、そういう意味でのインセンティブもつけさせていただいたということです。

     

    ただ、もちろんこれ以外にも、もともと注射1本でおいくらっていうのも、支援はいろいろございまして、それに上乗せをするということで、この程度がやはり必要ではないかというのを、実は小児科の先生方と話し合ったところでございます。

    それから、今、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射したという情報がございました。若干だけコメントをさせていただきたいと思いますが、現在、関係船舶につきまして安全の確認中でございます。それで、この今、G20等、重要な国際的な会議が開かれ、また、ポーランドにおいて、まだ詳細は分からないものの、ウクライナ以外でのミサイル等も懸念されているそういう状況の中で、北朝鮮の今回のミサイル発射は言語道断と言わざるを得ません。断固抗議を申し上げたいと思います。政府におきましては、ぜひ拉致問題も含めて、今、国際社会が連帯の方向に向かっていますので、連帯をして事態の解決に当たっていただきたいと強く求めたいと思います。以上、すみません。中断をさせていただきました。

    NHK  吉川 綾乃  記者

     もう1点追加でお伺いさせてください。ここまで手厚い接種促進、推進に関して、県としてはどのような問題意識からされているのか、改めて県民への呼びかけとともに、お聞かせいただけますでしょうか。

    ●知事

     実は報道も一部されましたが、ほぼ皆無に近い乳幼児接種の状況が現実に起こりました。これ、鳥取県は大都市と違って、子どもさんの数、密度が希薄であります。したがいまして、10本打てるこの1瓶について、それだけの人数を集めるというのはなかなか難しいです。それで、それをお医者さんたちも人数が集まらないとワクチンが無駄になるのでということで躊躇されるわけですね。それで、こういう特殊な状況がありますので、県としてもこの小児科の先生方への支援も含めて、保育所や幼稚園、あるいは市町村と連帯をして、みんなで予防接種の効率化を図ろうと。それで、やはり保育園でも、実は感染が続いていますし、それは子どもさんにとって健康も影響がありますが、併せてそこで働く皆さんだとか、さらに通われてるお子さんの御家族も含めて、何とかしてもらいたいという意識はあるわけですね。

    それで、今までこうした乳幼児接種が進んでいなかったっていうか、できなかったので、その対策はなかったところでありますが、今オミクロン株で非常に感染が広がりやすい、オミクロン株で感染が広がりやすい中で、こうした予防接種を受けておくことは、例えば熱性けいれんといった深刻な状態がお子さんに起こることも多数、今、報告されていますが、そうしたことからお子様を守ることになりますし、保育園の関係者、幼稚園の関係者にとりましても非常に有効でございますので、御協力をお願い申し上げたいと思います。

    ○中国新聞 小畑浩 記者

     すみません。中国新聞小畑と申します。乳幼児ワクチン接種について追加でお伺いをいたします。今世間一般で言われているのは保護者側の打たせようというインセンティブの低さというふうに言われているんですが、実際、一方で、知事が先ほどおっしゃったように、1瓶10人分あるけれども、人数集めるのが難しいので、実際に打ちたい人が1人、2人いても打てない。あとは、聞こえてきた話では、例えばインフルエンザとの同時流行に備えて、インフルエンザの予防接種の体制をつくったりしていて、なおかつ通常のコロナ診療による健康観察もあったりして、年を明けないと実際にコロナのほう、ワクチン乳幼児接種に体制がつくれないという小児科もあるとお聞きしています。

    そうなると、例えばかかりつけの医者で1人、2人しかいないから打てません、もしか体制ができてないと打てませんといった保護者が、接種ができる医療機関がないかと片っ端から電話をして探さないと打ちたい人が打てない状況になっているんじゃないかという、そういう側面も恐らくあると思います。

    そこでお聞きしたいのが、このワンストップ窓口というのをつくられるんですけども、ここに例えば電話をすると今日この日、ここが打てますよとか、そういった調整ができてスムーズな接種につながるような体制になるのかということと、この財政支援という面があって、例えば体制がなかなか取れないというところも体制が取れるようになりそうなのか、その辺りの今回の対策によってどんな解決が見込まれるのかというのをお願いいたします。

    ●知事

     今回のこの乳幼児の予防接種、やっぱり全国的にも非常に接種率が低いです。特に人口が希薄で、子どもさんが少ないところは悩ましい状況になっている、それはおっしゃるとおりでございます。それで、今おっしゃったような問題点に加えて、実はちっちゃいお子さんがおられると分かるんですが、非常にいろんな予防接種が実はあるんです。ロタウイルスであるとか、三種混合ワクチンであるとか、そういうものが実は予防接種のこうスケジュールがありまして、その中にこのインフルエンザだったらば同時接種も可能なぐらい問題はないんですが、それ以外はやはり間隔を空けなきゃいけない。

    それで、そういうものをいろんな予防接種、母子手帳とかも見ながら皆さん保健師さんの案内で打っていくんですが、そこのところの調整の問題もあると。だから、小児科のお医者さんが、実は普段かかりつけ医でそうした予防接種やっていますので、それであそこのお子さんは今これ打った、これ打った、それで、次までまだ間があるから今、打てるというのは分かるものですから、それで、そういう小児科のお医者さんの御協力というのは非常に大事なので、ここに1つ大きなインセンティブを与えようということが1つです。それから、今、お話がありましたように、いろいろと市町村でも小児科のお医者さんがいないところすら、残念ながら本県の場合はあります。したがいまして、こういう県としての、今おっしゃったワンストップ相談窓口をつくりまして、それで、何月何日に、何時にここで専用の接種時間がありますから、そちらに行っていただけませんかというような御案内をさせていただけるということであります。そういう意味で、いろいろと市町村だとか保育所とも連携しながら呼びかけをして、ワンストップでも県の相談窓口を今回、これについては開かせていただきまして、調整に入らせていただきたいという趣旨であります。

     


    ○読売新聞 藤本幸大 記者

     

     読売新聞の藤本です。コロナの第8波を迎え撃つに当たって、改めて第7波の課題がどういった部分であったのかということと、あと、高齢者施設のクラスターが続いている状況なので、その辺りの課題についても伺えますでしょうか。

     

     

    ●知事

     

     第7波のときの私どもの状況でありますが、せり上がったんですが、[新規陽性者数]1,198[人]でUターンしました。それで、ちょっと理由はよく分かりません、いまだに。ただ、現実はそうでありました。そこに至るまで、先ほど申しましたが、一歩一歩こう階段を上がるような形で持っていきましたので、他県のように急上昇していくという局面をできる限り押さえました。それで外来診療は確保できていました、最後まで。ただ、ただですね、やはり夜間急患診療所、そういうところはやっぱりひっ迫する傾向があった。

     

    それで、それから今回、これから年末年始ということがございます。それで、そういう意味で、ここにこうございますけれども、体制を強化をして、ここは1つのやはり第7波の反省もあるのではないかと我々も思っていまして、どうしても普通にこう診療所がみんな空いているときは、うち93%診ていますから、あんまり問題ないんですけども、夜間急患ということになりますと、なかなかそこの対応が難しい、それで、そこに、今、年末年始がかかっていくかもしれない。それで、この辺の体制強化は大きな1つの第7波に即した課題だったと思います。

     

     

    あと、やはり在宅療養が一気に増えます。そういう意味で、例えばお薬の処方だとかを、オンライン診療なども電話診療も含めてやっていただく、それで、こういうことを医師会と第7波のときは走りながら調整していました。それで、今回、そういうことをやった上で、さらに薬剤師会の御協力を得て薬の配達というところをさらに踏み込んでいけないだろうか、これ、今、国の事業も何かできるような動きもあるようで、それも睨みながら、今、調整をしているということであります。

     

    そういうようなことなど、第7波のときの反省も踏まえて、さらに効果的な対策につなげられないかというふうに思っております。それで、今のところ我々、体制のほうは、ここにありますが、60人規模[応援人員体制]で、今、この500人レベルの対応で、500人の新規陽性者の対応で60人レベルで今、増援で抑えているんです。それで、あの頃は300人とかそういうレベルで応援しなければいけなかったです。だから、かなり、いわゆる陽性者コンタクトセンターと我々呼んでいるところの機能が有効に働いていまして、外来診療のお医者さんの負担だとか、それから職員のほうの動員も含めた応援の必要性などについて、一定程度第7波と第8波では緩和されるだろう、そこは期待をしているところであります。ただ、そうは言ってもやっぱり我々なるべくお医者さんに診てもらおうと思いますので、この外来診療のところの強化等がやはり1つのポイントになってくるのではないかと思っています。

     

     

    ○読売新聞 藤本幸大 記者

     

     あと、高齢者施設のクラスターについてはいかが、

     

     

    ●知事

     

     失礼しました。高齢者施設については、これはなかなか難しいですね。それで、ここにちょっとございますけれども、クラスター対策として、この高齢者施設などにつきましても研修だとか、点検などを呼びかけています。ただ、実は高齢者施設も対応しています。それでも入ってくるんですね。この辺が第7波になって非常に変わってきたところでありまして、大きな病院も相変わらずやはり患者さんが出てくるという状況です。それで、この辺はやはり感染力が相当強まっていて、エアロゾル感染が中心だと思いますが、非常に防ぎにくいです。

     

    そういう意味で、それを少しでも緩和しようということで、検査を毎週やるという、週1回、検査を毎週やるような検査キット、手配をしまして、そういう対応を取らせていただいたり、そうしたことでの対策の強化を今回盛り込ませていただいたところでございます。それで、これは今、足元の状況からいきますと、一旦デイサービスのが、ちょっと見え始めたんですが、また、施設に今、戻ってきています。理由はよく分かりません。ただ、施設内の感染が、やはり即、実は入院に結びつくんですね、それで西部なんかも、ここで[鳥取県版新型コロナ]警報に来たのは、やはりそうした動きの関連もあります。それで残念ながら、かなりいろいろと疾患を持っておられたりしておられまして、命に関わることにもなる。だから、ぜひ、ここは収めたいと思っておりますが、関係機関と一緒になってやっていきたいと思ってます。

     

    それで第7波の途中から、我々やり始めたのは、1人でも罹患者が出たら報告してくださいと。それで実は、今は全てのこの施設の罹患状況というのが、ほぼリアルタイムで県のほうで把握させていただいて、それで、それに対するクラスター対策、ゾーニングであるだとか、検査なども手配をさせていただいています。ただ、それでも、やはりなかなか止めることができないっていうのは、全国も厳しい状況だろうと思いますし、ここはオミクロン株との闘いでは、そこは織り込みながらできる限り、感染拡大を早期に止める、それから早期に医療にかかっていただきまして、なるべく命に関わるところを回避していくということに今は重点を置かざるを得ないんではないかなと思っています。


    ○朝日新聞 大久保直樹 記者

     朝日新聞の大久保と申します。先日、原子力の避難訓練、実動訓練があったところなんですけれども、先ほど知事、大雪の対応で対面道路が多いというお話もございましたけれども、訓練で、まさしくちょうど事故があって、国道へ迂回するというようなこともありました。それで先日も伺ったんですが、国策でやっぱりこの原子力進める以上で、それでなおかつシビアアクシデントは起こり得るという想定で対策されている以上、このインフラ整備というのも国策でセットでもっとやるべきではないかなと思うんですが、いまだに北栄町のほうであったりとか、それから山陰道も豊岡、丹後へ抜けていくところもミッシングリンクがまだあって、なおかつ高速道路が全線開通したとしても、先ほどおっしゃった対面通行であるという、非常にちょっと心もとないような印象もありまして、それで、この対策というのは、恐らく原発の賛否にかかわらず、賛成していても、反対していても、あそこに大量の核燃料棒が貯蔵されている以上、リスクはあるわけで、ここは恐らく共通してみんな賛成するところだと思うんですが、この辺のインフラ整備、もっと電力消費地も含めて、鳥取県にもっとお金をつぎ込んでもいいんじゃないかなという印象があるんですが、その辺りの不足感というかはいかがですか。

    ●知事

     これにつきましては、[島根原子力発電所]第2号炉の議論のときも、県議会でも数多く提起されました。また、米子・境港両市、周辺2市におきましても同じ議論が議会、住民との話し合いの中で提起をされました。したがいまして、こうした避難路について、しっかりと政府のほうで考えてもらいたいと。これは当時、政府に申し入れもさせていただきました。現在、年末の予算編成時期ということもありまして、この点も先頃、私自身も例えば自民党の幹事長代行梶山[弘志]先生のほうにお伺いをさせていただいて、そうした趣旨も含めて、ミッシングリンクの解消ということを訴えさせていただいたり、あとは、国土交通省の古川[康]政務官のほうにも、同趣旨のことを申し上げたりいたしております。

    それで、これについてぜひ、特に緊急性があると思いますのは米子・境港間。これは島根半島を通って、[島根]原発周辺から島根県の方々が逃げていくのに、多分最も有効なルートの1つになると思います。ですから、そうした立地の方々の避難の可能性も含めて、やはりこれの整備ということは喫緊の課題だと思います。ぜひ、政府としても、今、要請を重ねておりますけれども、地元の実情に理解をして進めていただければと思っております。

    朝日新聞 大久保直樹 記者

     もう1点だけ関連して。この避難計画、内閣府の緊急事態をそれに基づく地域防災計画も含めてなんですが、やはり原子力の稼働については、再考の知見で規制委員会が審査している。なら、避難計画もやはり第三者の視点で第三者の機関が審査するべきじゃないかなという意見もよく聞くんですが、その辺りについてはいかがですか、県がやるんじゃない、第三者が審査するっていう件について。

    ●知事

     今回の避難訓練も実は評価者として、私どもの原子力安全顧問の先生も来られておられました。それでいろいろ御覧になっていただいて、この後また意見がまとめられてくると思います。それで、我々は我々で自律的にそうしたPDCAサイクルを回そうといたしております。それで、国全体の仕組み、政府のほうの立場を申し上げれば、こないだの再稼動に向けた判断の中で内閣としては、2号炉についての避難計画は、実は見て認証しているっていう形になっています。ですから、一定程度のレベルは島根鳥取両県とも、具備しているというふうに認められているところであります。ただ、我々はこれで十分かというと、つくっている当事者が言うのもなんですけれども、もっともっとどんどんやっぱり改良していいものにしていきたいと。それでさらなる上のレベルを目指しているということであります。もし政府のほうでその辺の避難計画について、我々が自主的にやっていることなども参考にしていただきながら、何らかの仕組みをつくっていただけるのであれば私は歓迎したいと思います。


    ○日本海新聞 福谷二月 記者

     日本海新聞の福谷です。その避難訓練について伺いたいと思います。昨日(1112日)の訓練では明らかに気の緩み、緊張感の欠如としか思えないようなアクシデントが起こったりもしました。初めて自家用車による避難訓練が行われましたが、これも漫然と、ただただ鳥取市に向かうだけの訓練のように思いました。実際原発事故が起これば、地域住民の方は我先にと自家用車に乗り込んで自動車道に向かってインターチェンジの乗り口で大渋滞が起こる、そういったことが安易に予想がつくんですけども、この実際に、この地域住民の避難に際して、今、県としてこの避難計画がどの程度の実効性があるとお考えでしょうか。

    あともう1点です。今回の訓練には鳥取市民、県東部の市民の避難は含まれていませんでした。もしも実際に事故が起これば、県東部の方々も偏西風の影響ですとか、不安の増大で避難をというふうに動かれる方も多いと思います。この県東部の方々の避難に対してはどのように思っていらっしゃいますでしょか。

    ●知事

     これにつきましては、まず境港[市で]のことだと思いますが、これについては警察のほうでも今回の事態を重く見て対応を考えておられると思いますし、今回の避難訓練の実相に即した総括をするように私どもとしては指示しておりまして、それで実際そういったハプニングが起こることも訓練なのかもしれません。それでそういうものも含めて、じゃあ、今後どういうふうにしようか、例えばパトカーの先導が必要かとか、あるいはバスで迎えに行くだったらそれ万が一のときに故障車があっても通れるようなルートというものを確保してそっちのほうに人間が集まって乗っかっていくというようなことだとか、いろいろと工夫の余地は多分あるんだと思います。

    それで、そういうようなことでフェールセーフ[安全に作用する仕組み]と言いますか、さらにいいものをいろんなアクシデントが起きても対応できるようなことも工夫としては考えていけるのかなと思いますが、その辺は避難計画のバージョンアップというものを図っていければというふうに考えております。それから県東部ということなんですが、実際には放射線のモニタリングは東部も含めて我々装備はできます。それに、特に重点的にはやはり原発に近いほうから、当然ながらプルーム[気流]で流れたとしても、その流れるところというのが高くなりますので、その動きは全県で把握できますし、本県の場合は島根県と実はシステムを接続していまして、全国でも珍しいですが、立地、周辺ともになったモニタリングをやっています。

    そのモニタリング情報に基づいて避難の必要性があれば国のほうが、実はその避難を命令する権限というのは国にありますけども、国とも情報を共有しながら適切にやっていくことになると思いますが、今のところ東部で直ちに避難する必要性というのはむしろ薄いと考えられます。それで、むしろ東部の方々は冷静に判断してくださいと、行動されてくださいという呼びかけに恐らくなると思います。それで、そういう意味で避難訓練の対象には東部は今のとこしておりませんが、当然ながらプルームの流れによって、例えば[福島県]飯館村のようなことなどがいろいろとどこかで起こるかもしれません。ただ、飯館村などあのケースであっても東部まで届きませんから。それで、いずれにせよ何らかのことがあった場合には、それに即して臨機応変に対応したいと思いますし、政府もその立場は恐らく共通しているだろうというふうに思います。

    それで自動車の、今回自家用車で実際にこの避難所まで行ったというのは、実は行ったことがないということもありまして、それで、実際にそのルートを通っていただいて確認していただくということに主眼が置かれておりました。それでコロナの関係がありまして、あまり大量の動員は今回かけておりません。市町村職員も含めて今回はそこは避けさせていただいております。実際はパニック状態になってどんどん車が出ていくというようなことというのは容易に想定はされますけれども、そのときに対応できるように例えば信号の交通制御であるとか、警察官の誘導だとか、そういうことも含めて計画の中には盛り込んでいるところであります。それで、できるだけ多くの方が適切に避難するためにはリスクの大きい地域から順番にやっていくという段階的避難が重要だと考えておりまして、この辺について、さらに関係者、関係地域の皆様に両市とともに理解を得ていきたいと思っております。


    ○日本海新聞 松本妙子 記者

     日本海新聞の松本です。国際バカロレア高校のことについてお伺いたいと思います。山陰初の認定校として倉吉東校が認定されましたけれども、英語で授業を進めたり高いレベルでの論文を作ったりするなど国際的な教育を受けられる学校として期待がされていますけれども、知事が思われている倉吉東高への期待感を教えてください。

    ●知事

     やはり世界の国境は取れつつあると思います。それで若い方々がこれから長い人生活躍するチャンスというのは、日本国内に限らず世界を股にかけるということになろうかと思います。そういう意味でリーダー的な役割を果たしていただける、そういう有為な人材がこの鳥取から倉吉東高校を拠点に輩出されることを願っております。教育のやり方は大分違いますが、そこで認証される国際バカロレア[ディプロマ・プログラム(IBDP)]というのは世界のパスポートにも等しいものでありまして、いろんなところで学びのチャンスが生まれることによって人生の選択が広がると思っております。まずは20名程度という小規模からスタートをしますけども、ぜひ、多くの皆様にこのフォーラムに来ていただきまして、我々が目指しているところを御覧いただき、御入学という選択も考えていただければ大変ありがたいというふうに思います。

    私自身も海外でも生活をしたり、そこの方々の知見をお伺いをしたりしたことがございます。やっぱりコミュニケーション手段というのは非常に重要でありまして、英語に限らずいろんな言語に親しんでおくことの重要性っていうのはもう身に染みて自分の仕事の中でも感じております。ですから、こうしたバカロレアの養成校で教育を受けることで、まるで海外で勉強したかのようにすぐに新しい世界に飛び込んでいける、そういうものになれば夢のような話だなと私自身も思っているところでありまして、期待をしているところでございます。

    ○時事通信 竹原伸 記者

     そのほか御質問等いかがでしょか。はい。

     


    ◯山陰中央テレビ 松尾直明 記者

     

     TSK山陰中央テレビの松尾です。質問戻って恐縮なんですが、ブリロの箱の件で是非を問う場を検討されるというお考えありましたけども、これは必要性についてのその是非を問う場というものなのか、それとも芸術性をついてそのものを問う場として、どちらを想定していらっしゃる。

     

     

    知事

     

     私は簡単に、これはちょっとまた教育委員会も激烈に反応してくるかもしれませんけども、私はこの美術館にブリロの箱は必要か、そういう問いかけじゃないかなと思っています。それで、ただ、その前提としては芸術性についてどういうふうに考えるかとか、またこれを機会に学習機能というものをどう持たせる、それ多分彼らはやっているんでしょう。そういうものを見て総合的に考えてこの箱をここに飾って皆さんに多くの方々に見ていただいたり、それに基づく体験活動だとか、そういうものをどう評価されるかということで分かりやすく、例えば投票してもらって必要か必要でないかみたいなのでいいじゃないかなあと私は単純に思います。

     

    ただ、いろいろ美術館の立場もあるのでいろいろと今、多分急に検討されているというふうに思います。ただ、大切なのはやはり県立であり県民立と美術館関係者も言っている県民に支えられる美術館でありたいと思うのならば、やはりそこは正々堂々こうしたブリロの箱がここにあること、その必要性を問うというのは私は値打ちがあると思いますし、そういう論争を通して多分学芸員の皆様も意図をして[アンディ・]ウォーホル自体もそれを狙っていたような芸術に関する論争ですね、それはまさに美術は何かを考える機会ということだと思いますが、そういうものの触発するきっかけにもそうした、例えば判定する投票とかが、なるんではないかなと思いますので、そういう美術館の仕掛けを考えるのも有効ではないかなというふうに提起させていただきました。

     

     

    山陰中央テレビ 松尾直明 記者

     

     追加で。もし、必要性が県民によって否定されてしまったときに、そのものがなくなってしまったときに、その議論の機会っていうのが失われてしまうことは、もしかしたらブリロの箱を買った意義が薄れてしまう可能性にもなるのかなと思うんですけど、その辺りはどうでしょう。

     

     

    ●知事

     

     そこは、いろいろ考え方があると思うんですね。県民立あるいは県立として美術館というものを造る、それはやはり鳥取県として必要かどうかというのは、やはり最終的には主権者である県民、あるいは美術館の場合は利用者がありますので、実際に見に来られる方々、その意見は非常に、やっぱり同じウエートで重要だと思います。そうした皆様の実際に展示されている状況を見ての判断というのは、私は学芸員の方々も尊重すべきものだと思います。それで、そういう意味で、その展示というものについて、考えていただく重要な材料だろうと思いますし、それで、この論争を通して美術館はさらに成長することもできるんじゃないかなと思います。仮に、ブリロの箱がなくなってしまったとしても、そうした美術について考える、そういう体験というのは残るでありましょうし、形を変えて、美術館の別の道筋があったとしても、当然ながら、そうした論争自体を肥やしにして動いていけると私はにらんでおります。

     

     

    〇時事通信 竹原伸 記者

     

    そのほか、御質問いかがでしょうか。はい。



    〇朝日新聞 大久保直樹 記者

    朝日新聞の大久保です。関連しまして、知事、ちなみにこの美術館のことなんですが、くしくも大変話題にというか注目というか、もちろん現代美術に対する関心も、それから県外の方も鳥取県に美術館ができるなということがものすごく今、話題にというか、注目をされているんですけど、その辺りの御感想というのはいかがですか。まさしくこうした議論をウォーホルも望んでいたんじゃないかというお話がありましたけども、今、全国が注目しているという、くしくもこれ、逆に狙ってたらすごいなと思うんですが、想定されたことだったらすごいなと思うんですが。

    ●知事

    恐らく当の作者の[アンディ・]ウォーホル自体もそこを狙ってたと思います。こういうものが、例えばギャラリーにあっていいかどうかというのを、その存在として問いかけたんだと思うんですね。それで、まんまとその流れに世界中がはまってしまって、まずはヨーロッパで火がついて、特にアメリカの若い世代を中心にしてポップアートいうのが定着をして、今では、それは草間彌生さんだとか、ああいうのはみんなそうですけども、いろんな系譜で活躍される美術家につながってきて、みんなが当たり前のように美術と考えている。

    ただ、鳥取県でこれを買うと言ったときに大騒ぎになりましたけれども、これは、実は1960年代、64年にウォーホルが狙ってたとおりに、実は我々、策にはまっているのかもしれません。それで、私は大いに議論してもらったほうがいいじゃないかなと昨日も申し上げましたけど、学芸員の皆さんもこうした論争に慣れてないので、どちらかというと、すばらしいものなのにな、何でかなという思いは多分皆さん強いと思うし、実は日本中の学芸員の方も、頑張れって言っているんだそうです。そうだろうと思います。今の芸術の理解からすれば。それはそれでそうなんだろうと思うんですが、私は、ここで論争が起こること自体を大切にしたいなと、これ素人だからかもしれませんが思うんですね。それで、美術館を造るのが単に箱をつくって、そこに絵が飾ってあって見て、いっときの清涼感を得るということだけでなくて、むしろこれに美術館の存在に触発をされて、それで私もじゃあ、ちょっと作品をつくってみようとか、あるいは作品を見るときはこういう視点が大切なのかなというふうに考えてみるとか、そういうことで人間のその価値、芸術というものを人類が育ててきたそのバリューといいますか、価値というものが高まっていくんだと思うんですね。

    それで、私たちは美術館のない県で育ちましたので、そうした体験に今まであまり触れてなかったかもしれませんが、これをきっかけにして、大いに議論していただくこと自体に私は価値を見出してもいいんじゃないかなと。そういう意味で、今、大久保[直樹記者]さんおっしゃるように、この論争が言わば全国の皆さんがある意味おもしろがっていただいて、鳥取でこんな論争が沸き起こったと。これは本当に芸術論として非常におもしろいんだと思います。それで、それを皆さんがまた楽しまれて、それで鳥取にはそういう美術館があるんだなと、みんな真剣に現代美術考えているんだなという思いで来ていただけるという方も出てくるかもしれませんので、そういう効果も副次的には生まれてくると思います。

    〇時事通信 竹原伸 記者

    そのほか、御質問はございますでしょうか。なければ、今日の知事会見のほう終わらせていただきたいと思います。知事ありがとうございました。

    ●知事

    どうもありがとうございました。


      

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