鳥取県では、複数の経済指標の動きを統合した「鳥取県景気動向指数」を毎月公表しています。また、この指数に基づき、景気の転換点を示す「景気基準日付」を設定しています。
転換点には景気の「山」と「谷」があり、谷から山までが拡張局面、山から谷までが後退局面とされます。また、谷から山を経てまた谷へと至る景気の動きが「循環」と呼ばれ、鳥取県では国の第6循環から各循環に対応する景気基準日付を設定しています。(表1)
景気基準日付は、内閣府経済社会総合研究所による設定方法を準用し、次のように設定しています。
鳥取県景気動向指数(CI・DI)の一致指数を構成する7つの指標について、それぞれのデータの動きに応じ個別の転換点(山・谷)を「ブライ・ボッシャン法*1」という統計的手法によって設定します。
それぞれの指標について月ごとに谷から山に至る期間をすべて拡張(+)、山から谷に至る期間をすべて後退(-)とし、全7指標のうち拡張を示す指標の割合(+の指標の割合)を求めます。この割合を「ヒストリカルDI」といいこれが50%を下回る直前の月を景気の山候補、逆に50%を上回る直前の月を景気の谷候補とします。
それぞれの候補について、さらにCI一致指数などを参照し景気の量的変化の程度や各局面の長さなどを確認し、総合的に判断して景気基準日付を設定します。
鳥取県ではすでに、平成30年11月を景気の山として暫定設定していますが、各指標の季節調整替え後のデータであらためてヒストリカルDIの推移を見ると、平成30年8月から50%を下回り、その後、令和2年7月から50%を上回っています。したがって、それぞれの直前の月である平成30年7月が景気の山の候補、令和2年6月が景気の谷の候補となります。(図1、表2)
次に、それぞれの候補について、1. 大半の経済部門に波及しているか(波及度*2)、2. 経済活動の収縮・拡大の程度(量的な変化*3)はどれくらいか、3. 拡張・後退期間の長さ*4は一定以上あるかを確認します
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波及度:平成24年8月から平成30年7月までの拡張局面において、ヒストリカルDIは100%まで上昇していることから全ての部門に波及していることが確認できます。
また、平成30年8月から令和2年6月までの後退局面において、ヒストリカルDIは0%まで下降していることから全ての部門に波及していることが確認できます。(図1)
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量的な変化:平成24年8月から平成30年7月までの拡張局面でのCI一致指数の上昇率は14.1%で過去の拡張局面のうち上昇が小さかった例を上回ることが確認できます。
また、平成30年8月から令和2年6月までの後退局面でのCI一致指数の下降率は36.1%で過去の後退局面のうち下降が小さかった例を上回ることが確認できます。(図2)
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期間の長さ:拡張期間(平成24年8月~平成30年7月)は72か月、後退期間(30年8月~令和2年6月)は23か月で循環の期間は、95か月と十分な期間が確認できます。(表3)
以上から平成30年7月を景気の山、令和2年6月を景気の谷と確定します。
*1 ブライ・ボッシャン法:12か月移動平均等の移動平均を適用した結果に1周期は15か月以上、上昇・下降の局面は5か月以上等の条件から転換点を選定するもの。
*2 ヒストリカルDIが100%(0%)近傍まで上昇(下降)したかを目安とする。
*3 CI一致指数の上昇率・下降率が過去の拡張・後退局面のうち上昇・下降が小さかった例と同等以上を目安とする。
*4 1局面(谷から山、山から谷)が5か月以上、1循環(谷から谷、山から山)が15か月以上の期間を目安とする。